説明

シリカ系メソセル発泡体へのクリックケミストリーによる触媒の固定

本発明は、触媒又は触媒前駆体を、クリックケミストリーにより、シリカ系メソセル発泡体(MCF)にグラフトすることを含む、不均一化触媒の調製方法に関する。本発明はまた、1,2,3−トリアゾールを通して、シリカ系メソセル発泡体(MCF)にグラフトされた触媒化学種を含む不均一化触媒にも関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2007年3月22日に出願された米国特許仮出願第60/907134号明細書の利益、及び優先権を主張し、その出願の内容は参照によって本明細書に全体として組み込まれる。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、シリカ系メソセル発泡体(mesocellular foam、MCF)への触媒の固定に対する「クリックケミストリー」の応用に関する。
【0003】
[発明の背景]
シャープレス(Sharpless)等は、初めて、「クリックケミストリー」の概念を導入したが[1]、これは、複素芳香族リンク、例えば、アジドとアルキンとのフイスゲン(Huisgen)1,3−双極子環状付加[2]を通じての、関心のある化合物及び材料の効率的な合成のための強力で選択的な反応を用いる。このモジュール方式は、信頼でき、広く適用でき、高収率であり、簡単な反応及び精製条件のみを必要とする。それは、取り扱いの難しい試薬を含まず、強い塩基に対して安定である[3]
【0004】
最近、化学的及び生物学的に有用な材料の合成における「クリックケミストリー」の応用が報告された[4、5]。しかし、不均一化触媒の開発が、化学及び製薬業界に最も重大な影響を生じたように見える[6、7]。様々な担体に均一触媒錯体を固定化する(クリックケミストリー通じてではない)試みが、報告されているが[7A]、これらは、工業的用途にとって十分に効果的な不均一化触媒をいつも生成したわけではなかった。固定化触媒(本明細書では、不均一化触媒とも呼ばれる)は、かなりの数の利点、例えば、触媒回収及び生成物分離の容易さ、製造コストの低減、並びに生成物の触媒汚染の減少などをもたらすことができる[8、9]。このような系は、費用の掛からないグリーンケミストリーが益々求められていることを考えると、非常に興味のあるものである。
【0005】
[発明の簡単な概要]
一態様において、本発明は、触媒又は触媒前駆体を、クリックケミストリーにより、シリカ系メソセル発泡体(MCF)にグラフトすることを含む、不均一化触媒の調製方法を提供する。
【0006】
別の態様において、本発明は、1,2,3−トリアゾールを通してシリカ系メソセル発泡体(MCF)にグラフトされた触媒化学種を含む不均一化触媒を提供する。
【0007】
本発明の上のまた他の特徴と利点は、例として本発明の好ましい実施形態を示す添付図に関連させて考慮すれば、以下の説明から明らかになるであろう。
【0008】
本発明の実施形態は、次の図を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】4つの不均一化有機触媒の構造を示す図である。
【0010】
[発明の詳細な説明]
クリックケミストリーは、シリカを含めて様々な担体に、いくつかのタイプの化合物を固定化するために採用された。しかし、クリックケミストリーとシリカ系メソセル発泡体(MCF)との有益な組合せは、高い費用効率、環境適合性、及び触媒活性を有する不均一化触媒の開発のためには、これまで探求されてこなかった。本発明は、効率的で再使用可能な触媒系の容易で費用の掛からない調製方法を提供し、この方法は、様々なリガンド、触媒、溶媒、及び担体に広く適用できる。MCF微粒子もまた、微細構造、細孔サイズ及び表面の化学的性質に関して、容易に特定の用途に合わせて製造できる。
【0011】
[クリックケミストリー]
クリックケミストリーは、小さな単位を一緒に結び付けることによって、物質を迅速に確実に生成するように、目的に合わせて適用される化学を記述する化学的原理である。通常、クリックケミストリーは、範囲の広いモジュール式応用を有し、高い化学収率を有し、害のない副生成物を生成し、立体特異性であり、簡単な反応条件を必要とし、容易に入手できる出発物質及び試薬を用い、溶媒を用いないか又は水のような良性の溶媒を用い、分取クロマトグラフィーでなく晶析又は蒸留により容易に生成物が分離され、単一の反応生成物を有する反応に有利である大きな熱力学的駆動力を有し、また高いアトムエコノミー(atom economy)を有する反応を奨励する。前記の一般的規準のあるものは特質が主観的であり、すべての規準が満たされる必要はないが、いくつかの反応が、「クリックケミストリー」の反応として一般に認められている。このようなものの例には、フイスゲン1,3−双極子環状付加及びその変形形態が含まれる。
【0012】
アジド−アルキンのフイスゲン環状付加は、1,2,3−トリアゾールを生じる、アジドと末端又は内部アルキンとの1,3−双極子環状付加である。この反応は、次のように例示できる。
【化1】

【0013】
上の反応において、アジドはアルキンと反応して、1,4−付加物及び1,5−付加物の混合物としてトリアゾールを与える。
【0014】
フイスゲン1,3−双極子環状付加の注目に値する変形形態は、銅(I)触媒による変形形態であり、この変形形態では、有機アジド及び末端アルキンが一体化して、唯一の生成物として、1,2,3−トリアゾールの1,4−位置異性体を与える。この反応は、市販の銅(I)供給源、例えば、臭化又はヨウ化第一銅、或いは他の銅供給源、例えば、in situにCu(I)を生成する、銅(II)(例えば、硫酸銅(II))と還元剤(例えば、アスコルビン酸ナトリウム)との混合物を用いて実施できる。Cu(I)は、水性溶媒中で不安定であるから、安定化リガンド、例えば、トリス−(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(TBTA)が使用され得る。反応は様々な溶媒中で実施でき、溶媒の例には、水と様々な混和性又は部分混和性有機溶媒(例えば、アルコール、DMSO,DMF,tBuOH及びアセトン)との混合物が含まれる。
【0015】
上の反応の一実施形態において、末端アルキンが、トリメチルシリル保護基により保護され、ラジカル反応が完了した後、続いて脱保護されてもよい。
【0016】
[シリカ系メソセル発泡体]
シリカ系MCF微粒子は優れた担体材料として役立ち、クリックケミストリーは、触媒錯体のグラフト化のための非常に信頼でき広く適用できる手段を提供する。
【0017】
シリカ系メソセル発泡体(MFC)[10]は、不均一化触媒にとって非常に有用な担体材料であることが見出された[11]。MCFの物理的及び化学的強靭さのおかげで、実験室及び生産規模の両方でこの材料は容易に取り扱える。これらの発泡体は、拡散限界なしに、嵩高い基質(substrate)を含む反応を容易にし、立体障害なしに、大きな触媒錯体を留めるのに使用できる[12]。したがって、新規不均一化触媒を開発するために、クリックケミストリーと組み合わせて、固体担体として、このメソセルシリカ材料を用いると有利である[13、14]
【0018】
シリカ系メソセル発泡体は、国際公開第2006/135339号(この内容は参照によって本明細書に組み込まれる)に教示される方法のような、知られている方法に従って調製できる。
【0019】
前記発泡体は、一層小さなサイズの窓によって連なったセル様メソ細孔を含み得る。平均の細孔サイズ(例えば、セル細孔サイズ)は、約5nmを超える、又は約10nmを超え得る。それは、約5と約100nmの間、或いは約5と50、5と20、10と30、50と100、20と30、20と25、2と22、24と42、25と30、27と30、27と29、又は10と50nmの間であり得る。細孔サイズは、約5、10、15、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100nmであり得る。メソ細孔のサイズと窓のサイズの比は、約10:1と約1.5:1の間、或いは約10:1と2:1、10:1と5:1、5:1と1.5:1、3:1と1.5:1、5:1と3:1又は8:1と4:1の間であり得る、また、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1又は1.5:1であり得る、或いは、何らかの他の比であり得る。窓のサイズ(即ち、窓の細孔サイズ)は、約2nmを超える、5nmを超える、又は約10nmを超え得る。それは、約2と約100nmの間、或いは約2と50、2と10、5と50、5と20、10と20、10と15、10と12、15と20、15と18、15と17、10と100、50と100又は10と50nmの間であり得る。窓のサイズは、約2、3、4、5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は100nmであり得る。粒子は様々な窓のサイズの分布を有し得る。様々な窓のサイズは約2と100nmの間であり得る。一実施形態において、平均の細孔サイズは、24と42nmの間であり、細孔を繋ぐ窓は、9から22nmの直径を有する。
【0020】
通常の形の固体発泡体の粒子は、約1と約20ミクロンの間、又は約2と約50、20と50、10と50、2と40、1と10、1と5、1と2、2と20、2と10、3と8、4と7、4と6、5と20、10と20、2と10若しくは5と10ミクロンの間の平均粒子直径を有し得る、また、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45若しくは50ミクロンの平均粒子直径を有し得る、或いは1ミクロン未満又は50ミクロン超であり得る。固体発泡体の粒子は狭い粒子サイズ分布を有し得る、又は、粒子は様々な細孔サイズの分布を有し得る。平均粒子サイズから10%を超えて異なる(より大きい又はより小さい)粒子サイズを有する約50%未満の粒子が存在し得る、或いは、平均粒子サイズから10%を超えて異なる粒子サイズを有する約45、40、35、30、25、20、15、10又は5%未満の粒子が存在し得る、また、平均粒子サイズから10%を超えて異なる粒子サイズを有する約1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50%の粒子が存在し得る。
【0021】
粒子は、約0.5と約5cm/gの間、或いは約0.5と4、0.5と3、0.5と2、1と5、2と5、3と5、1と3、1と2、2と3、1.5と2、1.5と1.7、2と2.5、2.2と2.4又は2と2.4の間の細孔容積を有し得る、また、約0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7.2.8、2.9、3、3.5、4、4.5又は5cm/g、或いは約5cm/gを超える細孔容積を有し得る。粒子は、約100と約1000m/gの間、又は約100と500、100と200、200と1000、500と1000、200と800、200と500、500と800、500と700、500と600、550と600、550と570、600と800、650と750、670と730若しくは690と710m/gの間の比表面積を示し得る、また、約100、150、200、250、300、350、400、450、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、750、750、800、850、900、950若しくは1000m/gの比表面積を有し得る、或いは、約100未満又は約1000m/gを超える比表面積を有し得る。
【0022】
発泡体には、シリカ、アルミノケイ酸塩、又はアルミニウム、スズ若しくは鉛のような金属によりドーピングされたシリカが含まれ得る。発泡体はメソ細孔シリカを含み得る。
【0023】
固体発泡体の粒子は球状であり得る、又はそれらは何らかの他の形状、例えば、卵形、楕円形、立方体、偏菱形、斜方晶、又は平行六面体(例えば、直角平行六面体)であり得る。粒子は親水性であり得る、又はそれらは疎水性であり得る。それらが疎水性である場合、それらは、それらの表面に、アルキル基(例えば、アルキルシリル基)又はアリール基(例えば、アリールシリル基から)を有し得る。このアルキル基には、CからC20の直鎖又は分岐状アルキル基、例えば、メチル、エチル、オクチル、オクタデシル又はイソプロピルが含まれ得る。アリールシリル基には、例えば、フェニル又はトリル基が含まれ得る。固体発泡体の粒子は、それらの表面にトリメチルシリル基を有し得る。
【0024】
[不均一化触媒を得る方法]
本発明の方法は、化学品及び医薬品のための、環境に調和した、しばしばより低コストである合成の選択肢を提供する。さらに、この方法によって得られる不均一化触媒は、優れた活性及び再使用性を示し、ある範囲の基質及び反応媒体が許容される。
【0025】
本発明の方法は、不均一化された様々な触媒;金属系触媒(即ち、有機金属触媒)及び非金属触媒(即ち、有機触媒)の両方を得るために使用できる。
【0026】
一実施形態において、1種又は複数の金属原子を含む不均一化触媒は、クリックケミストリーによって、リガンド(クリックケミストリーに適する化学基を有する、又は有するように誘導体化されている)のような触媒前駆体を、シリカ系MCFにグラフトして、次いで、場合によってはさらなるリガンド分子と一緒に、金属化学種を、固定化されたリガンドに結び付けることによって調製される。別の実施形態において、完全に又は部分的に生成した金属含有触媒(これは、クリックケミストリーに適する化学基を有するリガンドを含む)が、シリカ系MCFにグラフトされる(部分的に生成した金属含有触媒がグラフトされる場合、その触媒化学種を完成させるために、場合によっては、その後、さらに反応が行われる)。さらなる実施形態において、金属原子を含まない触媒(本明細書では、有機触媒とも呼ばれる)は、それがクリックケミストリーに適する化学基を有するように誘導体化され、次いで、シリカ系MCFにグラフトされ得る。
【0027】
一実施形態において、触媒又は触媒前駆体が、リンカー部分を介してシリカ系MCFにグラフトされ得る。例えば、リンカー部分は、シリカ系MCFと反応できる基と共に、アルキン基又はアジド基を有し得る。この場合、そのリンカーは、触媒又は触媒前駆体(これは、適宜、アルキン基又はアジド基を有するであろう)と、1,3−双極子環状付加反応によって反応して、中間体を生成でき、次いで、この中間体がシリカ系MCFと反応させられる。別法として、リンカー部分がシリカ系MCFと反応して中間体を生成でき、次いで、この中間体が、1,3−双極子環状付加反応によって、触媒又は触媒前駆体と反応させられる。
【0028】
適切なリンカー部分の例には、アジド又はアルキン基を、シリカ系MCFと反応できる基と共に含む分子が含まれる。このような基の例には、トリアルコキシシリル基、例えば、トリメトキシシリルが含まれる。一実施形態において、リンカー部分は、次の式を有し得る。
−X−Si(OMe)
式中、Xは、−CHCH−又は−C−である。
【0029】
本発明では、どのようなタイプの触媒も、それがクリックケミストリーに適する化学基を含む又は含むように誘導体化され得る限り、使用できる。適切なタイプの触媒の例には、閉環メタセシス触媒、シクロプロパン化触媒、及びアミノ酸のような有機触媒が含まれる。本発明の方法で使用される適切な触媒の具体例は下で記載される。
【実施例】
【0030】
次の実施例は本発明を例示するために記載される。しかし、各実施例に記載される具体的詳細は、例示のために選択されており、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではないことが理解されるであろう。通常、実験は、特に断らなければ、類似の条件下に実施された。
【0031】
[実施例1:閉環メタセシス]
閉環メタセシス(RCM)は、様々な環状モチーフ(motif)の生成において重要な役割を果たしてきた[15]。しかし、主に、ルテニウム含有化合物の高コスト、及び重大な金属浸出問題のせいで、製薬業界は、大規模な製造にRCMをまだ広く利用していない。例えば、欧州医薬品審査庁(European Agency for the Evaluation of Medicinal Products)のガイドラインによれば、残留ルテニウムレベルは、経口及び非経口医薬品で、5ppm及び0.5ppm未満でなければならない[16]。多くの研究グループが様々な担体への第1−及び第2−世代グラブス(Grubbs)触媒の固定化について報告しているが[17]、これらの不均一化触媒は、拡散に関連する問題点に帰因する低い活性、再使用での活性の低下、及びさらなる精製の必要性のような欠点がある[18]
【0032】
RCMのための固定化ルテニウム触媒の調製が、スキーム1に示されている。
【化2】

【0033】
アルキン2を、穏やかな条件下でのプロパルギル化によって、知られているフェノール1[18]から直ちに調製した。対応するブロミドから新たに調製した3a/bによる2の処理は、ヨウ化Cu(I)の存在下で、トリアゾール4a/bを生成した。これらのホベイダ(Hoveyda)−グラブス型リガンドは、トルエン中100℃で、トリメチルシリル(TMS)で部分的にプレキャッピングしたMCFに円滑にグラフトされて、固定化リガンド6a/bを与え、これらの構造は光音響フーリエ変換赤外(PA−FTIR)及び交差分極マジック角スピニング(CPMAS)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルによって確認した。
【0034】
市販の第2世代グラブス触媒及び官能化MCFの6a/bを、環流ジクロロメタン(DCM)中、塩化Cu(I)の存在下で処理し[19]、その後の濾過及び乾燥によって、緑色の粉末を分離した。固定化リガンドの6a/bへのルテニウムの取込みは、良好な収率で達成された。
【0035】
表1は、6a/bにおけるリガンド、及び7a/bにおけるルテニウムの担持密度をそれぞれ要約する。
【表1】

【0036】
これらの数字は、4a/bとグラブス触媒の比によって容易に制御できるであろう。不均一化ルテニウム触媒の7a/bは、良好な活性及びリサイクル性を示し、活性の低下なしに数カ月を超える期間貯蔵された[20]
【0037】
不均一化触媒の7a/bの活性は、RCMについて、ジアリルマロン酸ジエチル8を標準の基質として用いて試験した。ジエン8は、周囲温度で、DCM中5mol%の7a/bを用いることによって、NMR分光法によって示されるように、目立った副生成物を生成しないで、1.5h以内に、環化生成物9に円滑に、また完全に転化された(表2)。
【0038】
表2
【化3】


【表2】

【0039】
不均一化触媒の7a/bは、市販の第2世代ホベイダ−グラブス触媒(10)より効率が劣ることが立証された。しかし、反応速度は、7a/bのリンカー部分を適合させることによって増大させ得るであろう。一層柔軟なプロピルリンカーでは、転化はより速くなったが、一方、より堅いベンジルリンカーでは、より遅い転化を示した。しかし、これらの相違は著しくはなかった。
【0040】
7a/bの優れたリサイクル性(特に、短い反応時間に伴う高温での)を表3に示した。
【0041】
表3
【化4】


【表3】

【0042】
これらの結果は、カルバマートリンカーによる以前の出願者等の結果に互いによく関連していた[11e]
【0043】
[実施例2:RCMリガンド2の調製]
シュレンクフラスコに、アルゴンの下で、フェノール1(10.0mmol)、プロパルギルブロミド(12.0mmol)、炭酸カリウム(12.0mmol)、及び乾燥DMF(20ml)を投入した。反応混合物を60℃で12時間攪拌した。薄層クロマトグラフィー(TLC)により調べて1が完全に転化した時、得られた混合物を室温に冷却し、酢酸エチル(100ml)により希釈し、水(2×50ml)及び塩水(50ml)により順次洗った。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により、アルキン2(8.20mmol)を無色のオイルとして得た。H−NMR(400MHz,CDCl):δ 1.33(d,6H,J=6.0Hz)、2.54(t,1H,J=1.8Hz)、4.42(七重線,1H,J=6.0Hz)、4.67(d,2H,J=1.8Hz)、5.26(dd,1H,J=11.2,1.2Hz)、5.72(dd,1H,J=17.6,1.2Hz)、6.85(bs,2H)、7.05(dd,1H,J=17.6,11.2Hz)、7.13(bs,1H)。13C−NMR(100MHz,CDCl):δ 22.2、55.5、72.1、75.4、78.8、112.7、114.4、115.2、116.5、129.2、131.6、150.1、151.8。
【0044】
[実施例3:RCM触媒7a及び7bの調製]
[クリックケミストリー反応]
シュレンクフラスコに、THF(5ml)中、アルキン2(0.50mmol)、トリメトキシシラン3a(0.50mmol)、ヨウ化Cu(I)(5μmol)、及びN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(1.00mmol)を投入した。得られた混合物をアルゴン下に周囲温度で12時間攪拌した。揮発性成分を減圧下に完全に除去して、トリアゾール4aを定量的収率で無色のオイルとして得て、これをさらなる精製なしに次のステップに用いた。H−NMR(400MHz,CDCl):δ 0.61〜0.65(m,2H)、1.32(d,J=6.0Hz,6H)、2.04(五重線,2H,J=7.6Hz)、3.57(s,9H)、4.37(t,J=7.6Hz,2H)、4.40(七重線,J=6.0Hz,1H)、5.20(s,2H)、5.25(dd,1H,J=11.2,1.2Hz)、5.72(dd,1H,J=17.6,1.2Hz)、6.85(bs,2H)、7.04(dd,1H,J=17.6,11.2Hz)、7.14(d,1H,J=2.4Hz)、7.62(s,1H)。13C−NMR(100MHz,CDCl):δ 6.2、22.2、24.0、50.7、52.5、62.7、72.1、112.5、114.4、114.9、116.7、122.6、129.3、131.6、144.3、149.8、152.5。MS(FAB):m/z(%)422(100)[M+H]、453(10)、268(14)。
【0045】
2(0.50mmol)及び3b(0.50mmol)を用いるクリックケミストリーの通常の手順により4bを得た。H−NMR(400MHz,CDCl):δ 1.32(d,J=6.0Hz,6H)、3.63(s,9H)、4.40(七重線,J=6.0Hz,1H)、5.18(s,2H)、5.25(dd,1H,J=11.2,1.2Hz)、5.56(s,2H)、5.69(dd,1H,J=17.6,1.2Hz)、6.83(bs,2H)、7.03(dd,1H,J=17.6,11.2Hz)、7.11(bs,1H)、7.31(d,2H,J=7.6Hz)、7.67(d,2H,7.6Hz)。13C−NMR(100MHz,CDCl):δ 22.2、50.9、54.1、62.7、72.1、112.6、114.4、114.9、116.6、122.6、127.5、129.3、130.4、131.6、135.6、136.8、145.0、149.9、152.4。MS(FAB):m/z(%)470(100)[M+H]、264(10)、211(73)。HRMS(FAB):C2432Siの計算値:470.2106[M+H]、実測値 470.2098。
【0046】
[リガンドのグラフト化]
シュレンクフラスコに、TMSをプレキャッピングしたMCFである5(2.00g、0.60mmolTMS/g)を投入し、120℃で24時間真空下に置いた。フラスコを室温でアルゴンによりパージし、乾燥トルエン(40ml)及びトリメトキシシラン4a(0.50mmol)を投入した。得られた混合物を90℃で24時間加熱した。室温に冷却し、固体をトルエン、DCM、メタノール、及びDCM(各50ml)により徹底的に洗った。白色の固体をシュレンクフラスコに移し、真空下に80℃で12時間乾燥した。室温まで冷却した後、フラスコを液体窒素浴に10分間入れ、HMDS(1ml)を真空下に−200℃で加えた。フラスコを密封し、次いで、80℃に5時間保った。得られた固体を室温に冷却し、DCM(100ml)により徹底的に洗い、次に、真空下に24時間乾燥して、固定化リガンド6aを白色粉末として得た。13C CP−MAS NMR:δ 3.64、13.3、23.8、27.3、54.5、65.7、74.5、115.0、119.5、124.8、132.9、135.4、147.8、153.2、156.5。元素分析、実測値:C,9.16;H,1.90;N,0.87。リガンドの負荷量:0.19mmol/g。
【0047】
5(2.00g、0.60mmolTMS/g)及び4b(0.50mmol)を用いるリガンドグラフト化の通常の手順により、6bを得た。元素分析、測定値:C、9.98;H、1.85;N、0.85。リガンドの担持:0.19mmol/g。
【0048】
[ルテニウムの担持]
環流冷却器を備えた2口フラスコに、アルゴン中、リガンド6a(2.00g、0.19mmol/g)、第2世代グラブス触媒(0.38mmol)、塩化銅(0.38mmol)、及び乾燥DCM(20ml)を投入した。反応混合物を、アルゴン中、5時間加熱還流した。反応混合物は暗茶色から深緑色に徐々に変化した。室温まで冷却した後、細かい粉末を、空気中で、DCM(100ml)により徹底的に洗い、真空下に24時間乾燥して、固定化触媒7aを緑色の粉末として得た。元素分析、測定値:C、12.65;H、2.15;N、1.23。ルテニウムの担持:0.16mmol/g。
【0049】
6b(2.00g、0.19mmol/g)を用いる、ルテニウム担持の通常の手順により、7bを得た。元素分析、測定値:C、13.47;H、2.13;N、1.29。ルテニウムの担持:0.16mmol/g。
【0050】
[RCMでの触媒活性試験]
反応は、アルゴン中、室温で、磁気攪拌棒を入れたバイアル中で行った。バイアルに、触媒6a/b(5μmol)及びDCM(2ml)を投入した。基質8(0.10mmol)を注射器により注入した。転化は、DCMによる溶離によって、シリカゲルの短いパッドを通して濾過した後、GCによってモニターした。
【0051】
[RCMでの触媒リサイクル性試験]
反応は、前記と同様に行った。各試行が完了すると、反応バイアルを4000rpmで3分間遠心した。上澄みは、転化についてGCによって特性決定した。バイアルに、DCMの別のアリコートを投入し、1分間攪拌し、再び遠心した。もう1回の洗いを実施し、その後、新鮮な基質により次の試行を実施した。
【0052】
[実施例4:シクロプロパン化]
キラルなビスオキサゾリン(BOX)は、様々な不斉触媒反応で高い選択性を示した[21]。しかし、対応する有機金属触媒は、高いエナンチオ選択性の達成において、ターンオーバー数(TON)が低いという欠点があった。このため、これらの触媒を様々な担体に固定することに大きな関心があった[22、23]。クリックケミストリーが、2つの小さい分子を結び付ける単なる手段としてでなく、グラフト化のプロトコルとして、MCFにアザビスオキサゾリン(azaBOX)を固定化するために採用された。
【0053】
知られているアミン11[24]は容易に調製され、テトラヒドロフラン(THF)中の水素化ナトリウムに媒介されプロパルギルブロミドと反応して、アルキン12を与えた。この比較的不安定なリガンドは、ヨウ化Cu(I)の存在下で、直ちに3a/bと「クリック」されて、トリアゾール13a/bを定量的収率で与え、その構造は、PA−FTIR及びCPMAS13C−NMRスペクトルによって明らかにされた(スキーム2)。
【化5】

【0054】
前駆体13a/bは、トルエン中高温で、TMSをプレキャッピングしたMCF(5)に、円滑にグラフトされた。MCF担持azaBOXである14a/bの調製は、気相におけるヘキサメチルジシラザン(HMDS)による処理により残りのシラノールをポストキャッピングすることによって完了した。
【0055】
11から出発して、14a/bの通算収率は70%を超えていた。金属の導入は、14a/bのTHF懸濁液に、Cu(II)トリフラートを加えることによって達成した。1時間の攪拌後、懸濁液を濾過し、THFにより徹底的に洗い、真空下に乾燥して、対応するCu(II)錯体(15a/b)を生成した。
【0056】
シクロプロパン化はCu(I)錯体で実施し、この錯体は、フェニルヒドラジン(PhNHNH)によりCu(II)錯体を還元することによって、in situに生成させた(スキーム3)。
【化6】

【0057】
シクロプロパン17a/bの生成において、優れたエナンチオ選択性及びリサイクル性が、本発明者等による固定化Cu−azaBOX錯体を用いることによって実現された。
【0058】
化学量論量のCu(I)を用いるワンポットで、グラフト化及び錯化を実施することによって、15a/bのより容易な合成を検討した。固定化アジド19a/bは、トルエン中での3a/bと5との縮合、その後のTMS基によるポストキャッピングによって容易に調製された(スキーム4)。
【化7】

【0059】
錯体15a/bは、THF中で、>0.5当量のヨウ化Cu(I)の存在下で、12と19a/bとを反応させることによって円滑に生成した。トリアゾールの生成及びCu(I)の錯化というタンデム反応により、エナンチオ選択性シクロプロパン化のためのazaBOX系不均一化触媒の調製はかなり容易になった。
【0060】
[実施例5:BOXリガンド12の調製]
THF(10ml)中のアミン11(10.0mmol)を、THF(20ml)中の懸濁液としての水素化ナトリウム(12.0mmol)を投入したシュレンクフラスコに、周囲温度でゆっくりと加えた。得られた混合物を、60℃で1時間攪拌し、次いで、周囲温度まで冷却し、その後、アルゴン中で、プロパルギルブロミド(13.0mmol)を加えた。反応混合物を12時間攪拌した。TLCによって調べて1が完全に転化すると、得られた混合物をセライト(商標)の短いパッドを通して濾過し、減圧下に濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により、アルキン12(7.80mmol)を得た。H−NMR(400MHz,CDCl):δ 0.91(s,18H)、2.25(t,J=2.4Hz,1H)、3.84(dd,J=6.4,9.2Hz,2H)、4.30(dd,J=6.4,8.4Hz,2H)、4.38(dd,J=8.4,9.2Hz,2H)、4.69(d,J=2.4Hz,2H)。13C−NMR(100MHz,CDCl):δ 24.5、34.1、39.9、70.7、71.5、73.2、79.4、156.5。
【0061】
[実施例6:BOXリガンド14a及び14bの調製]
12(0.80mmol)及び3a(0.75mmol)を用いるクリックケミストリーの通常の手順により、13aを得た。H−NMR(400MHz;CDCl):δ 0.60〜0.65(m,2H)、0.85(s,18H)、1.97〜2.00(m,2H)、3.57(s,9H)、3.79〜3.83(m,2H)、4.24(t,J=6.4Hz,2H)、4.28〜4.40(m,4H)、5.15(bs,2H)、7.63(s,1H)。13C−NMR(100MHz,CDCl):δ 6.2、24.0、24.8、25.5、34.0、50.6、52.3、70.2、73.4、122.9、144.5、157.0。MS(FAB):m/z(%)511(100)[M+H]、453(10)、268(14)。HRMS(FAB):C2343Siの計算値:511.3059[M+H]、実測値511.3047。
【0062】
12(0.80mmol)及び3b(0.75mmol)を用いるクリックケミストリーの通常の手順により、13bを得た。H−NMR(400MHz,CDCl):δ 0.79(s,18H)、3.63(s,9H)、3.77(dd,J=6.8,9.2Hz,2H)、4.20(dd,J=6.8,8.0Hz,2H)、4.30(dd,J=8.0,9.2Hz,2H)、5.14(s,2H)、5.49(bs,2H)、7.27(d,J=8.4Hz)、7.64(d,J=8.4Hz)。13C−NMR(100MHz,CDCl):δ 24.8、25.5、33.9、50.9、54.0、70.2、73.4、122.9、127.6、130.2、135.5、137.0、145.0、157.0。MS(FAB):m/z(%)559(100)[M+H]、306(10)、268(23)。HRMS(FAB):C2743Siの計算値:559.3059[M+H]、実測値559.3051。
【0063】
5(2.50g、0.80mmolTMS/g)及び13a(0.75mmol)を用いるリガンドのグラフト化の通常の手順により、14aを得た。元素分析、測定値:C、9.36;H、1.99;N、2.00。リガンドの担持:0.24mmol/g。
【0064】
5(2.50g、0.80mmolTMS/g)及び13b(0.75mmol)を用いるリガンドのグラフト化の通常の手順により、14bを得た。元素分析、測定値:C、10.29;H、1.94;N、1.70。リガンドの担持:0.21mmol/g。
【0065】
[シクロプロパン化の手順]
Cu(II)トリフラート(10μmol)を、THFに分散させた14a(20μmol)に加えた。1時間攪拌した後、懸濁液を濾過し、THFにより洗い、次いで、真空下に乾燥して、15aを得た。ドデカン(0.5mmol)及びフェニルヒドラジン(5%溶液の25μl)を、DCM(3ml)中の15aの懸濁液に加えた。スチレン(1.5mmol)を加えた後、DCM(2ml)中のジアゾ酢酸エチル(1.0mmol)を、シリンジポンプを用い、5時間かけて滴下して導入した。混合物をさらに2時間攪拌し、遠心した。溶液の部分を捕集し、トランス/シスの比及び収率をGCによって求めた。鏡像異性体過剰率を、Chiraldex−Bカラムを用いるGCによって求めた。析出物をDCM(5ml)により洗い、遠心した。同じ洗いの手順を3回繰り返した。回収した触媒は次の試行で直ちに再使用した。
【0066】
[実施例7:有機触媒]
有機触媒[25]は、それらがより低コストで環境に良いプロセスを提供するので、魅力的である。それらはまた、触媒の再使用のために、金属系触媒より容易に担体に固定され得る[25]。金属系触媒の担体への固定(通常、有機リガンドの固定と、その後の金属の付加によって達成される)は、しばしば、金属の浸出問題によって悩まされ、再使用の前の金属の補充による触媒の再生を必要とする[26]
【0067】
アミノ酸及びそれらの誘導体は、キラルな有機触媒の明らかな供給源を代表する[25]。それらの有用性及び残基における様々な官能基により、担持触媒作用の分野において多数の応用がある[27]
【0068】
最近、プロトン化フェニルアラニン由来環状アミンが、用途の多い有機触媒として出現した[28]。イミダゾリジン−4−オン(元々は、マクミラン(MacMillan)等によって有機触媒として提案された)は、多数のプロセスにおいて広範囲に及ぶ用途を見出した[29]。それらの妥当性により、いくつかのグループは、エナンチオ選択性ディールス−アルダー環状付加、1,3−双極子環状付加、及びフレーデル−クラフツアルキル化などを促進するために、可溶及び不溶の担持触媒を開発するに至った[27、30]
【0069】
固定化イミダゾリジン−4−オンの調製がスキーム5に例示される。
【化8】

【0070】
チロシンメチルエステル塩酸塩(20)(この遊離のヒドロキシル基がMCFへの結合として重要な役割を果たすであろう)から出発して、報告されたスキーム(スキーム5)に従うことによって、アルキン23及び24を良好な収率で合成した[28a、31]。フェニルアラニンは、固定化されるキラルなイミダゾリジノンの別の供給源として使えた。3重結合は、溶媒を用いない条件下に、25とプロパルギルアミンとの縮合によってうまく導入された(スキーム6)。
【化9】

【0071】
本発明者等の先の合成方法に従って、アルキン23/24/27/28は、MCFにグラフトする前に、3a/bとの「クリッキング」によって、さらに修飾されて、トリメトキシシラン基が付けられた。これらの不均一化有機触媒29〜32(図1)は、いくつかの反応で、良好な効率及び選択性、さらには高いリサイクル性を示し、有用であることが立証された。
【0072】
[実施例8:固定化有機触媒29〜32の調製]
5(2.00g、0.60mmolTMS/g)と、対応する前駆体23及び3a(それぞれ、0.50mmol)からのクリックケミストリー生成物とを用いる、リガンドのグラフト化の通常の手順により、29aを得た。元素分析、測定値:C、9.03;H、1.89;N、1.14。触媒の担持:0.16mmol/g。
【0073】
5(2.00g、0.60mmolTMS/g)と、対応する前駆体27及び3a(それぞれ、0.50mmol)からのクリックケミストリー生成物とを用いる、リガンドのグラフト化の通常の手順により、31aを得た。元素分析、測定値:C、8.82;H、1.91;N、1.15。触媒の担持:0.16mmol/g。
【0074】
本明細書に引用されたすべての出版物、特許及び特許出願は、それぞれの個々の出版物、特許又は特許出願が参照によって組み込まれると明確に個別に示されているかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。何らかの出版物の引用は、出願日に先立つその開示のためであり、本発明が、先行する発明によってこのような出版物に先行する、権利を付与されないことを認めるものと解釈されるべきでない。
【0075】
上述の発明は、明確な理解のために、実例及び実施例によっていくらか詳細に説明されたが、本発明の教示に照らして、当業者には、ある変更及び修正が、添付の特許請求の精神及び範囲から逸脱することなく、それらになされ得ることが容易に認められる。
【0076】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数の意味を(意味内容が明らかにそうでないことを示しているのでなければ)含む。特に断らなければ、本明細書において用いられているすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に普通に理解されているものと同じ意味を有する。
【0077】
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[30] Besides [27],see: a)A.Puglisi,M.Benaglia,M.Cinquini,F.Cozzi,G.Celentano,Eur.J.Org.Chem.2004,567; b)M.Benaglia,G.Celentano,M.Cinquini,A.Puglisi,F.Cozzi,Adv.Synth.Catal.2002,344,149; c)S.A.Selkala,J.Tois,P.M.Pihko,A.M.P.Koskinen,Adv.Synth.Catal.2002,344,941.
[31] N.A.Paras,D.W.C.MacMillan,J.Am.Chem.Soc.2002,124,7894.
[32] a)P.T.Anastas,L.B.Bartlett,M.M.Kirchhoff,T.C.Williamson,Catal.Today 2000,55,11; b)R.A.Sheldon,Green Chem.2000,2,G1.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒又は触媒前駆体をクリックケミストリーによりシリカ系メソセル発泡体(MCF)にグラフトすることを含む、不均一化触媒の調製方法。
【請求項2】
グラフトすることが、少なくとも部分的に1,3−双極子環状付加反応によって達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1,3−双極子環状付加反応がアルキン基とアジド基の間の反応である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1,3−双極子環状付加が銅触媒の存在下で実施される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
銅触媒が、
(a)銅(I)の供給源(例えば、臭化第一銅又はヨウ化第一銅)、又は
(b)銅(II)の供給源(例えば、硫酸銅(II))及び還元剤(例えばアスコルビン酸ナトリウム)
を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
触媒又は触媒前駆体が、1,2,3−トリアゾールを通してシリカ系MCFにグラフトされる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
触媒又は触媒前駆体が、リンカー部分を介してシリカ系MCFにグラフトされる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
触媒又は触媒前駆体がアルキン基を有し、
リンカー部分が、アジド基、及びシリカ系MCFと反応できる基を有し、
グラフトすることが、触媒又は触媒前駆体を1,3−双極子環状付加反応によってリンカー部分に反応させて中間体を生成し、次いで、この中間体をシリカ系MCFと反応させることによって実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
触媒又は触媒前駆体がアルキン基を有し、
リンカー部分が、アジド基、及びシリカ系MCFと反応できる基を有し、
グラフトすることが、シリカ系MCFをリンカー部分に反応させて中間体を生成し、次いで、この中間体を1,3−双極子環状付加反応によって触媒又は触媒前駆体と反応させることによって実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
シリカ系MCFと反応できる基が、トリアルコキシシリル基、例えばトリメトキシシリル基である、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
リンカー部分が、次の式、
−X−Si(OMe)
[式中、Xは、−CHCH−又は−C−である]
を有する、請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
触媒又は触媒前駆体がアジド基を有し、
リンカー部分が、アルキン基、及びシリカ系MCFと反応できる基を有し、
グラフトすることが、触媒又は触媒前駆体を1,3−双極子環状付加反応によってリンカー部分に反応させて中間体を生成し、次いで、この中間体をシリカ系MCFと反応させることによって実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
触媒又は触媒前駆体がアジド基を有し、
リンカー部分が、アルキン基、及びシリカ系MCFと反応できる基を有し、
グラフトすることが、シリカ系MCFをリンカー部分に反応させて中間体を生成し、次いで、この中間体を1,3−双極子環状付加反応によって触媒又は触媒前駆体と反応させることによって実施される、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
シリカ系MCFと反応できる基がトリアルコキシシリル基である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
触媒前駆体が、閉環メタセシス有機金属触媒を生成するのに適するリガンドである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
触媒前駆体が、アルキン基又はアジド基を含む、ホベイダ−グラブス型リガンド誘導体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
触媒前駆体が、シクロプロパン化有機金属触媒を生成するのに適するリガンドである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
触媒前駆体が、アルキン基又はアジド基を含むビスオキサゾリン誘導体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
触媒が、アルキン基又はアジド基を含む、アミノ酸又はアミノ酸誘導体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
触媒が、アルキン基又はアジド基を含む、イミダゾリジン−4−オン誘導体である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
触媒前駆体を触媒に変換するさらなるステップを含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
触媒前駆体がリガンドであり、変換するステップが、触媒前駆体と、金属化学種、及び場合によってはさらなるリガンド分子とを反応させて、不均一化有機金属触媒を生成させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法によって得られる不均一化触媒。
【請求項24】
1,2,3−トリアゾールを通してシリカ系メソセル発泡体(MCF)にグラフトされた触媒化学種を含む不均一化触媒。
【請求項25】
触媒化学種が、1,2,3−トリアゾールの1,4−付加物又は1,5−付加物を通してシリカ系MCFにグラフトされる、請求項24に記載の不均一化触媒。
【請求項26】
触媒が閉環メタセシス触媒である、請求項24又は25に記載の不均一化触媒。
【請求項27】
触媒がルテニウムを含む、請求項26に記載の不均一化触媒。
【請求項28】
触媒がホベイダ−グラブス型リガンドを含む、請求項26又は27に記載の不均一化触媒。
【請求項29】
次の式:
【化1】


[式中、Xは、−CHCH−又は−C−である]
を有する、請求項5に記載の不均一化触媒。
【請求項30】
触媒がシクロプロパン化触媒である、請求項24又は25に記載の不均一化触媒。
【請求項31】
シクロプロパン化触媒がビスオキサゾリンである、請求項30に記載の不均一化触媒。
【請求項32】
シクロプロパン化触媒がアザビスオキサゾリンである、請求項30に記載の不均一化触媒。
【請求項33】
シクロプロパン化触媒が、次の式:
【化2】


[式中、Xは、−CHCH−又は−C−である]
を有する、請求項30に記載の不均一化触媒。
【請求項34】
触媒が有機触媒である、請求項24又は25に記載の不均一化触媒。
【請求項35】
触媒がアミノ酸又はアミノ酸誘導体である、請求項34に記載の不均一化触媒。
【請求項36】
触媒が、プロトン化フェニルアラニン由来の環状アミンである、請求項34に記載の不均一化触媒。
【請求項37】
触媒がイミダゾリジン−4−オンである、請求項34に記載の不均一化触媒。
【請求項38】
次の式:
【化3】


[式中、Xは、−CHCH−又は−C−である]
を有する、請求項34に記載の不均一化触媒。

【図1】
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【公表番号】特表2010−522079(P2010−522079A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500885(P2010−500885)
【出願日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【国際出願番号】PCT/SG2008/000088
【国際公開番号】WO2008/115154
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【Fターム(参考)】