説明

シリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法

【課題】太陽光を吸収すると電子正孔対が生成され、光電変換効率が向上するシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法を提供する。
【解決手段】酸化インジウムスズ(ITO)11層と二酸化チタン(TiO2)層12とが積層された基板1を反応チャンバーの中へ入れ込み、シラン(SiH4)を前駆物質体(precursor)としてアルゴン(Argon)を希釈あるいはキャリヤーガスや混入空気とし、蒸着法と複数回のパルスにより基板の二酸化チタン層の表面において、シリコン量子点核生成層(nucleation)と成長生長層(growth)及び不活性化層(passivation)等の工程を行い、直接に複数のシリコン量子点21が生長分布される構造が形成され、また、単一のパルスにより直接にシリコン量子点構造以外に炭化ケイ素(SiCx)量子点薄膜22を沈着し、これにより、基板の二酸化チタン層の表面にシリコン量子点分布層2が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法に関し、特に、形成されたシリコン量子点構造により、電子の運動や方向を制限することにより、光電変換効率が向上されるものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般の従来の半導体太陽電池は、III−V族やシリコンブリケット或いはシリコン薄膜等を、光感作の材料とするのが一般的であり、それは、光感作が実現されるが、工程が複雑で、コストが高いため、実用的ではない。
【0003】
故に、関係業者が有機染料(dye)を光感作材料とする半導体太陽電池を提案し、例えば、中華民国特許公報第093114773号「太陽電池ユニットとそのモジュール」は、上表面と下表面とがある光電変換層と、当該光電変換層の上表面に形成され、当該光電変換層の縁から伸ばす陽極導通部が含有される陽極層と、当該光電変換層の下表面に形成され、当該光電変換層の縁から伸ばす陰極導通部が含有される陰極層と、当該光電変換層を封止し、当該陽極導通部と当該陰極導通部が、それぞれ、外部へ露出するように、当該光電変換層の縁に設置される一つ以上のスペーサと、が含有され、当該光電変換層は、染料光感作層と電解質とが含有され、当該染料光感作層が、当該陽極層の上に設置され、当該電解質が、当該染料光感作層と当該陰極層との間に充填される。
【0004】
当該「太陽電池ユニットとそのモジュール」によれば、従来の、工程が複雑でありる及びコストが高い欠点が改善されるが、当該有機染料が、高分子有機物からなるため、長期間に太陽光に照射されると、当該材料が、変質し、そして、光感作の効果が失ってしまう。そのため、上記の従来の「太陽電池ユニットとそのモジュール」も、実用的ではない。
【特許文献1】中華民国特許公報第093114773号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、太陽光を吸収すると、厚さが100ナノメートル(nanometer)より小さいシリコン量子点分布層により、電子正孔対が生成され、形成されたシリコン量子点構造により、電子の運動や方向を制限し、光電変換効率が向上されるシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、酸化インジウムスズ(ITO)層と二酸化チタン(TiO2)層とが積層された基板を反応チャンバーの中へ入れ込み、シラン(SiH4)を前駆物質体(precursor)として、アルゴン(Argon)を希釈あるいはキャリヤーガスや混入空気とし、蒸着法と複数回のパルスにより、基板の二酸化チタン層の表面において、シリコン量子点核生成層(nucleation)とシリコン量子点成長生長層(growth)及びシリコン量子点不活性活性化層(passivation)等の工程を行い、直接に複数のシリコン量子点が成生長分布される構造が形成され、また、単一のパルスにより、直接に、シリコン量子点構造以外に、炭化ケイ素(SiCx)量子点薄膜を沈着し、これにより、当該基板の二酸化チタン層の表面に、厚さが100ナノメートルより小さいシリコン量子点分布層が形成されるシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜5は、それぞれ、本発明の基板の断面概念図と本発明の工程cのシリコン量子点核層概念図、本発明の工程cのシリコン量子点生長層概念図、本発明の工程cのシリコン量子点不活性化層概念図及び本発明の工程dのシリコン量子点分布層概念図である。本発明は、図のように、シリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法であって、
a、少なくとも酸化インジウムスズ(ITO)層11と二酸化チタン(TiO2)層12とが積層され、導電ガラス板やプラスチック板である基板1を用意し、
b、当該基板1を反応チャンバーの中へ入れ込み、
c、当該反応チャンバーの中において、シラン(SiH4)を前駆物質体(precursor)として、アルゴン(Argon)を希釈あるいはキャリヤーガスや混入空気(carrier
gas)とし、また、当該反応チャンバーの内部において、シランの濃度比や流量比が1%乃至20%の間にあり、処理ガス圧力が1ミリトール(mTorr)乃至2000ミリトールの間にあり、基板の処理温度が室温乃至350℃の間にあり、その後、プラズマCVD(Plasma-enhanced
chemical vapor deposition、PECVD)と複数回のパルス(multi-pulses)により、当該基板1の二酸化チタン層12の表面において、シリコン量子点核生成層211(nucleation)と成長生長層212(growth)及び不活性活性化層213(passivation)等の工程を行い、直接に複数のシリコン量子点が成生長分布される構造21が形成され、
d、単一のパルスにより、直接に、当該複数のシリコン量子点が分布される構造21以外に、炭化ケイ素(SiCx)量子点薄膜22を沈着し、これにより、当該基板の二酸化チタン層12の表面に、厚さが100ナノメートル(nanometer)より小さいシリコン量子点分布層2が形成される。
【0008】
上記のように、新規のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法が構成される。
【0009】
また、当該工程cにおいて、シリコン量子点不活性化層工程は、シリコン原子表面のダングリングボンド(dangling bonds)にSi-HとSi-C連鎖が形成され、また、当該シリコン量子点不活性活性化層工程のガス材料は、水素ガス(H2)やメタン(CH4)或いは他の水素原子や炭素原子を生成できるガスであり、目的として、シリコン量子点の酸化や化学反応或いは機械摩擦等の問題を解消することでありながら、光電流と光電圧とが向上される。
【0010】
本発明に係わるシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法によるシリコン量子点分布層構造は、太陽光に照射されると、1ミリアンペア/平方センチメートル(mA/cm2)乃至1アンペア/平方センチメートル(A/cm2)の光電流が得られ、その光電圧は、0.1ボルト(V)乃至1.0ボルトの間やそれ以上であり、また、光電変換効率が1%乃至60%の間やそれ以上である。
【0011】
上記のように、本発明に係わるシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法によれば、有効に、従来の様々の欠点を改善でき、厚さが100ナノメートルより小さいシリコン量子点分布層が、太陽光を吸収すると、電子正孔対が生成され、また、形成されたシリコン量子点構造により、電子の運動や方向を制限することにより、光電変換効率が向上され、そのため、本発明は、より進歩的且つ実用的なものであるため、法に従って特許請求を出願する。
【0012】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明に係わる特許請求の範囲は、それによって制限されず、また、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書内容に従う、等価の変更や修正は、全てが本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の基板の断面概念図
【図2】本発明の工程cのシリコン量子点核層概念図
【図3】本発明の工程cのシリコン量子点生長層概念図
【図4】本発明の工程cのシリコン量子点不活性化層概念図
【図5】本発明の工程dのシリコン量子点分布層概念図
【符号の説明】
【0014】
1 基板
11 酸化インジウムスズ層
12 二酸化チタン層
2 シリコン量子点分布層
21 シリコン量子点構造
211 シリコン量子点核生成層
212 シリコン量子点成長生長層
213 シリコン量子点不活性化層
22 炭化ケイ素量子点薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a、少なくとも酸化インジウムスズ(ITO)層と二酸化チタン(TiO2)層とが積層される基板を用意し、
b、当該基板を反応チャンバーの中へ入れ込み、
c、当該反応チャンバーの中において、シラン(SiH4)を前駆物質体(precursor)として、アルゴン(Argon)を希釈あるいはやキャリヤーガス混入空気(carrier
gas)とし、また、蒸着法と複数回のパルス(multi-pulses)により、基板の二酸化チタン層の表面において、シリコン量子点核生成層(nucleation)と成長生長層(growth)及び不活性活性化層(passivation)等の工程を行い、直接に、複数のシリコン量子点が成生長分布される構造が形成され、
d、単一のパルスにより、直接に、当該複数のシリコン量子点が分布される構造以外に、炭化ケイ素(SiCx)量子点薄膜を沈着して、当該基板の二酸化チタン層の表面に、シリコン量子点分布層が形成される、
ことを特徴とするシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。
【請求項2】
当該基板は、導電ガラスであることを特徴とする請求項1に記載のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。
【請求項3】
当該基板は、プラスチック板であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。
【請求項4】
当該反応チャンバーの内部において、シランの濃度比や流量比が1%乃至20%の間にあることを特徴とする請求項1に記載のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。
【請求項5】
当該反応チャンバーの内部において、処理ガス圧力が1ミリトール(mTorr)乃至2000ミリトールの間にあることを特徴とする請求項1に記載のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。
【請求項6】
当該反応チャンバーの内部において、基板処理温度が、室温乃至350℃の間にあることを特徴とする請求項1に記載のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。
【請求項7】
当該蒸着法は、プラズマCVD(Plasma-enhanced chemical vapor deposition、PECVD)であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。
【請求項8】
当該シリコン量子点不活性化層工程は、シリコン原子表面のダングリングボンド(dangling bonds)にSi-HとSi-C連鎖が形成されることを特徴とする請求項1に記載のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。
【請求項9】
当該シリコン量子点不活性化層工程のガス材料は、水素ガス(H2)やメタン(CH4)或いは他の水素原子や炭素原子を生成できるガスであることを特徴とする請求項1に記載のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。
【請求項10】
当該シリコン量子点分布層は、厚さが100ナノメートル(nanometer)より小さいことを特徴とする請求項1に記載のシリコン量子点活性化太陽電池のシリコン量子点活性化層の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate