説明

シリコーン樹脂組成物及びその成形体

本発明は、レンズ、光ディスク、光ファイバー、フラットパネルディスプレイ基板等の光学用途や自動車の窓材等に適する高耐熱、高透明性、高寸法安定性を与えるシリコーン樹脂組成物に係る。このシリコーン樹脂組成物は、[RSiO3/2(但し、Rは(メタ)アクリロイル基を有する有機官能基であり、nは8、10又は12である)で表され、構造単位中に篭型構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンを主成分とするシリコーン樹脂と、分子中に−R−CR=CH又は−CR=CH(但し、Rはアルキレン基、アルキリデン基又は−OCO−基を示し、Rは水素又はアルキル基を示す)で表される不飽和基を少なくとも1個含み、前記シリコーン樹脂とラジカル共重合が可能な不飽和化合物を、1:99〜99:1の重量割合で配合して得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、シリコーン樹脂組成物及びその三次元架橋体であるシリコーン樹脂成形体に関する。
【背景技術】
無機ガラスは、高い透明性と耐熱性、寸法安定性を有するが故に、空間を分隔しながらも可視光を透過して視認性を妨げない構造体として、古くより幅広い産業分野で利用されてきた。このような優れた特徴をもった無機ガラスであるが、比重が2.5以上と重いこと、衝撃に弱く割れ易いことが2大欠点であった。特に、近年になってあらゆる産業分野で軽量、薄肉化といったダウンサイジングが進行した結果、ユーザーから上記欠点の改善を求める声がますます強まってきている。
このような産業界からの要望に応える材料として、透明な熱可塑性や熱硬化性プラスチックに期待が集まっている。ここで、透明な熱可塑性プラスチックとしては、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、PC(ポリカーボネート)等を例示することができる。中でも、PMMAは有機ガラスとも呼ばれ、透明性に優れ、且つガラスの2大欠点を克服した材料として注目されている。しかしながら、これら透明プラスチックは無機ガラスに比較して耐熱性ならびに線熱膨張率が著しく劣っており、用途が限定されるという問題があった。
一方、透明な熱硬化性プラスチックとしては、エポキシ樹脂、硬化型(メタ)アクリレート樹脂、シリコーン樹脂等を例示することができ、これらは一般に上記の熱可塑性プラスチックよりも高い耐熱性を有している。この中でエポキシ樹脂は、硬化収縮率が小さく成形性に優れているが、成形物の耐衝撃性が低く脆いという欠点がある。また硬化型(メタ)アクリレート樹脂は、耐熱性と成形性、成形物の物性等のバランスに優れているが、吸水率による寸法変化率及び熱による線膨張率が大きいことが欠点である。
熱硬化性プラスチックの中でもシリコーン樹脂は、耐熱性、耐候性、及び耐水性の点で優れているため、上記の各プラスチックの問題点を解決し、無機ガラスを代替する可能性が最も高い材料である。特に、ラダー構造のポリオルガノシルセスキオキサンは、ポリイミドにも劣らない耐熱性を示すことが知られている。
そのようなポリオルガノシルセスキオキサンの一例としては、フェニルトリクロロシランを有機溶剤中、加水分解してフェニルトリヒドロキシシランとし、該加水分解生成物を水のない溶媒中にてアルカリ性転位及び縮合触媒を用いて加熱し、脱水縮重合させて得られる篭型オクタフェニルシルセスキオキサン、該篭型オクタフェニルシルセスキオキサンを分離し、再度アルカリ性転位及び縮合触媒を用いて加熱重合せしめた固有粘度の低いフェニルシロキサンプレポリマー、又はそれらを更にアルカリ性転位及び縮合触媒を用いて加熱重合せしめた固有粘度の高いフェニルシルセスキオキサン重合体を製造する方法が、特公昭40−15989号公報、特開昭50−139900号公報やJ.Polymer Sci.PartC,No.1,PP.83−97(1963)に開示されている。
しかしながら、こうしたポリオルガノシルセスキオキサンも含めたシリコーン樹脂は、シロキサン結合の柔軟性が大きいため、構造体に必要とされる弾性率を発現させるためには架橋密度を大きくしなければならない。ところが、架橋密度が大きくなると硬化収縮率が著しく増大し、成形物が脆性化するので好ましくない。また、硬化収縮による残留応力が増大するため、厚肉の成形物を得るのが極めて困難である。こうした理由により、架橋密度の大きいシリコーン樹脂はコーティング用途に限定され、成形用途に用いられるのは架橋密度の低いシリコーンゴムに止まっているのが現状である。成形加工性に優れたアクリル樹脂と共重合化する方法、例えば、非ラダー型のシリコーン樹脂としては、側鎖にアルコキシシリル基を有するアクリルポリマーを用い、これをアルコキシシランと共重合させることで、アクリルポリマーを有機成分とし、ポリシロキサンを無機成分とするハイブリッド体を形成する技術が、日本化学会誌、571−580(1998)に開示されている。しかし、シリコーン樹脂は本来アクリルレート樹脂と相溶性が十分ではないため、機械的強度等に問題がない場合でも光線透過率等の光学的特性が損なわれる場合が多い。
また、特開平10−251407号公報に開示されているシラノール基を含有しないシリコーン樹脂を用いた成形体は優れた耐熱性、光学特性を示している。しかしながら、かご型ポリオルガノシルセスキオキサンと反応性官能基を有するジシロキサン化合物をアルカリ性転位及び縮合触媒存在下平衡化反応させて製造されたシリコーン樹脂は、1分子当りの反応性官能基数が平均1.1個と少なく、成形体中で三次元架橋構造への関与が少ないと推測される。すなわち、耐熱性、耐候性及び耐水性の特性に寄与するシリコーン樹脂の割合を増加させると、成形体中の反応性官能基数の絶対数が減少し、架橋密度の減少ならびに充分な三次元架橋構造体を構築できず、結果として耐熱性や機械特性の低下した成形体となってしまう。
【発明の開示】
したがって、本発明の目的は、透明性などの光学特性、耐熱性、耐候性というシリコーン樹脂の保有する特性を保持し、寸法安定(低線膨張)性、低吸水性などの他の諸特性にも優れたシリコーン樹脂成形体を与えることのできるシリコーン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するために検討を重ねた結果、シリコーン樹脂組成物中のかご型シリコーン樹脂の有する反応性官能基数を増加させ、これとラジカル共重合が可能な不飽和化合物を特定比率で配合することで耐熱性、機械的特性、寸法安定性等のバランスの優れた無機ガラスの代替用途に好適に用いられる透明なシリコーン樹脂成形体を与えることが可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、一般式(1)、

(但し、Rは(メタ)アクリロイル基を有する有機官能基、nは8、10又は12である)で表され、構造単位中に篭型構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンを主たる成分とするシリコーン樹脂と、分子中に−R−CR=CH又は−CR=CH(但し、Rはアルキレン基、アルキリデン基又は−OCO−基を示し、Rは水素又はアルキル基を示す)で表される不飽和基を少なくとも1個含み、前記シリコーン樹脂とラジカル共重合が可能な不飽和化合物を、1:99〜99:1の重量割合で配合したことを特徴とするシリコーン樹脂組成物である。
組成物中、シリコーン樹脂とラジカル共重合が可能な不飽和化合物の10〜100重量%が下記一般式(2)で表されるで表される脂環式不飽和化合物であることは本発明の好ましい態様の1つである。一般式(2)において、Zは下記式(2a)又は(2b)で表される基である。

また、シリコーン樹脂組成物を上記シリコーン樹脂、非脂環式不飽和化合物及び脂環式不飽和化合物から構成する場合、シリコーン樹脂:非脂環式不飽和化合物:脂環式不飽和化合物の重量割合は、5〜80:0〜80:0〜80となる割合で配合することが望ましい。
ここで用いられる、シリコーン樹脂は、一般式(3)

(Rは(メタ)アクリロイル基を有する有機官能基であり、Xは加水分解性基を示す)で表されるケイ素化合物を極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させ製造されたものであることが好ましく、その分子中ケイ素原子数と(メタ)アクリル基数が等しく、且つかご型構造を有するシリコーン樹脂であることがよい。
また、本発明は、上記記載のシリコーン樹脂組成物を、ラジカル共重合させて得られたシリコーン樹脂成形体である。
更に、本発明は、下記(a)〜(c)の要件を満たし、且つ、(d)及び(e)の要件の少なくとも1つを満たすシリコーン樹脂成形体である。
(a)ガラス転位温度が400℃以上、
(b)下記計算式により算出される動的粘弾性低下率ΔE’が60%以下

(但し、30℃での動的粘弾性率をE’30及び200℃での動的粘弾性率をE’200とする)、
(c)400〜800nm波長の可視光線の透過率が85%以上、
(d)飽和吸水率(JIS K 7209準拠)が1.0%以下、
(e)線膨張係数が50ppm/K以下、好ましくは40ppm/K以下、
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、シリコーン樹脂とこれと共重合可能な不飽和化合物を主要成分とする。本発明のシリコーン樹脂共重合体、このシリコーン樹脂組成物をラジカル共重合させて得られる。本発明の成形体は、このシリコーン樹脂組成物を成形硬化又はこのシリコーン樹脂共重合体を成形して得られる。本発明のシリコーン樹脂共重合体は、架橋重合体であって、この場合、熱硬化性樹脂と同様な成形硬化法が採用できる。
本発明に用いられるシリコーン樹脂は、上記一般式(1)で表され、構造単位中に篭型構造を有するポリオルガノシルセスキオキサン(篭型ポリオルガノシルセスキオキサンともいう)を主成分とする。
一般式(1)中、Rは(メタ)アクリロイル基を有する有機官能基であり、nは8、10又は12であるが、Rは下記一般式(4)で表される有機官能基であることが好ましい。一般式(4)中、mは1〜3の整数であり、Rは水素原子又はメチル基である。

従来のシリコーン樹脂はラダー型、非ラダー型を問わず、アクリル樹脂のような官能基を有する有機化合物との相溶性が低く、これらの組成物からは透明な成形体を得ることはできなかった。しかしながら、本発明のシリコーン樹脂は、有機化合物との相溶性が高い反応性官能基が篭の外側に張り出し、逆に有機化合物との相溶性が低いシロキサン骨格部分が篭の内側に取り込まれることにより、擬似的なミセル構造を形成しているため、アクリルモノマー、オリゴマー等の不飽和化合物と任意の比率で混合することができる。
上記一般式(1)で表される篭型ポリオルガノシルセスキオキサンは、分子中のケイ素原子上に反応性官能基を有する。一般式(1)中のnが8、10、12である篭型ポリオルガノシルセスキオキサンの具体的な構造としては、下記構造式(5)、(6)及び(7)に示すような篭型構造体が挙げられる。なお、下記式中のRは、一般式(1)におけるRと同じものを表す。

一般式(1)で表される篭型ポリオルガノシルセスキオキサンは、上記一般式(3)で表されるケイ素化合物を極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させて得ることができる。一般式(3)において、Rは(メタ)アクリロイル基を有する有機官能基であり、Xは加水分解性基を示すが、好ましくは、Rは前記一般式(4)で表され基である。好ましいRの具体例を示せば、3−メタクリロキシプロピル基、メタクリロキシメチル基、3−アクリロキシプロピル基が例示される。
一般式(3)において、加水分解性基Xは、加水分解性を有する基であれば特に限定されず、アルコキシ基、アセトキシ基等が挙げられるが、アルコキシル基であることが好ましい。アルコキシル基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−及びi−プロポキシ基、n−、i−及びt−ブトキシ基等が挙げられる。このうち反応性が高いメトキシ基であることが好ましい。
一般式(3)で表されるケイ素化合物の中で好ましい化合物を示せば、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシラン、3−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリクロロシランが挙げられる。中でも、原料の入手が容易である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いることが好ましい。
加水分解反応に用いられる塩基性触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、あるいはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化アンモニウム塩が例示される。これらの中でも、触媒活性が高い点からテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましく用いられる。塩基性触媒は、通常水溶液として使用される。
加水分解反応条件については、反応温度は0〜60℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。反応温度が0℃より低いと、反応速度が遅くなり加水分解性基が未反応の状態で残存してしまい反応時間を多く費やす結果となる。一方、60℃より高いと反応速度が速すぎるために複雑な縮合反応が進行し結果として加水分解生成物の高分子量化が促進される。また、反応時間は2時間以上が好ましい。反応時間が2時間に満たないと、加水分解反応が十分に進行せず加水分解性基が未反応の状態で残存してしまう状態となる。
加水分解反応は水の存在が必須であるが、これは塩基性触媒の水溶液から供給することもできるし、別途水として加えてもよい。水の量は加水分解性基を加水分解するに足る量以上、好ましくは理論量の1.0〜1.5倍量である。また、加水分解時には有機極性溶媒を用いることが必要で、有機極性溶媒としてはメタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、或いは他の有機極性溶媒を用いることができる。好ましくは、水と溶解性のある炭素数1〜6の低級アルコール類であり、2−プロパノールを用いることがより好ましい。非極性溶媒を用いると反応系が均一にならず加水分解反応が十分に進行せず未反応のアルコキシル基が残存してしまい好ましくない。
加水分解反応終了後は、水又は水含有反応溶媒を分離する。水又は水含有反応溶媒の分離は、減圧蒸発等の手段が採用できる。水分やその他の不純物を十分に除去するためには、非極性溶媒を添加して加水分解反応生成物を溶解させ、この溶液を食塩水等で洗浄し、その後無水硫酸マグネシウム等の乾燥剤で乾燥させる等の手段が採用できる。非極性溶媒を、蒸発等の手段で分離すれば、加水分解反応生成物を回収することができるが、非極性溶媒が次の反応で使用する非極性溶媒として使用可能であれば、これを分離する必要はない。
本発明の加水分解反応では加水分解と共に、加水分解物の縮合反応が生じる。加水分解物の縮合反応が伴う加水分解生成物は、通常、数平均分子量が1400〜5000の無色の粘性液体となる。加水分解生成物は、反応条件により異なるが数平均分子量が1400〜3000のオリゴマーとなり、一般式(3)に表される加水分解性基Xの大部分、好ましくはほぼ全部がOH基に置換され、更にそのOH基の大部分、好ましくは95%以上が縮合されている。加水分解生成物の構造については、複数種のかご型、はしご型、ランダム型のシルセスキオキサンであり、かご型構造をとっている化合物についても完全なかご型構造の割合は少なく、かごの一部が開いている不完全なかご型の構造が主となっている。したがって、この加水分解で得られた加水分解生成物を、更に、塩基性触媒存在下、有機溶媒中で加熱することによりシロキサン結合を縮合(再縮合という)させることによりかご型構造のシルセスキオキサンを選択的に製造する。
水又は水含有反応溶媒を分離したのち、非極性溶媒及び塩基性触媒の存在下に再縮合反応を行う。再縮合反応の反応条件については、反応温度は100〜200℃の範囲が好ましく、110〜140℃がより好ましい。また、反応温度が低すぎると再縮合反応をさせるために十分なドライビングフォースが得られず反応が進行しない。反応温度が高すぎると(メタ)アクリロイル基が自己重合反応を起こす可能性があるので、反応温度を抑制するが、重合禁止剤などを添加する必要がある。反応時間は2〜12時間が好ましい。非極性溶媒の使用量は加水分解反応生成物を溶解するに足る量であることがよく、塩基性触媒の使用量は加水分解反応生成物に対し、0.1〜10wt%の範囲である。
非極性溶媒としては、水と溶解性の無いか、殆どないものであればよいが、炭化水素系溶媒が好ましい。かかる、炭化水素系溶媒としてはトルエン、ベンゼン、キシレンなどの沸点の低い非極性溶媒がある。中でもトルエンを用いることが好ましい。塩基性触媒としては、加水分解反応に使用される塩基性触媒が使用でき、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化セシウムなどのアルカリ金属水酸化物、あるいはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリエチルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化アンモニウム塩が挙げられるが、テトラアルキルアンモニウム等の非極性溶媒に可溶性の触媒が好ましい。
また、再縮合に使用する加水分解生成物は水洗、脱水し濃縮したものを用いるのが好ましいが、水洗、脱水を行わなくても使用できる。この反応の際、水は存在してもよいが、積極的に加える必要はなく、塩基性触媒溶液から持ち込まれる水分程度にとどめることがよい。なお、加水分解生成物の加水分解が十分に行われていない場合は、残存する加水分解性基を加水分解するに必要な理論量以上の水分が必要であるが、通常は加水分解反応が十分に行われる。再縮合反応後は、触媒を水洗して取り除き、濃縮し、シルセスキオキサン混合物が得られる。
このようにして得られるシルセスキオキサンは、反応条件や加水分解生成物の状態により異なるが、構成成分は、複数種かご型シルセスキオキサンが全体の70%以上であり、複数種のかご型シルセスキオキサンの構成成分は一般式(5)で表されるT8が20〜40%、一般式(6)で表されるT10が40〜50%でその他の成分は一般式(7)で表されるT12である。T8はシロキサン混合物を20℃以下で放置することで針状の結晶として析出させ分離することができる。
本発明のシリコーン樹脂組成物において、シリコーン樹脂と共に使用される不飽和化合物は、分子中に−R−CR=CH又は−CR=CHで表される不飽和基を少なくとも1個含み、前記シリコーン樹脂とラジカル共重合が可能な不飽和化合物である。ここで、Rはアルキレン基、アルキリデン基又は−OCO−基を示すが、アルキレン基及びアルキリデン基としては、炭素数1〜6の低級アルキレン基及びアルキリデン基が好ましい。Rは水素又はアルキル基を示すが、好ましくは水素又はメチル基である。好ましい不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基及びビニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、A)シリコーン樹脂及びB)不飽和基を有しシリコーン樹脂と共重合可能な不飽和化合物を主成分とする。その混合比率は、1:99〜99:1の範囲であるが、シリコーン樹脂含有量をA、不飽和化合物含有量をBとした場合、好ましくは10/90≦A/B≦80/20、より好ましくは20/80≦A/B≦60/40である。シリコーン樹脂比率が10%未満であると、硬化後の成形体の耐熱性、透明性、吸水性等の物性値が低下するため好ましくない。また、シリコーン樹脂比率が80%を超えると、組成物の粘度が増大するため、成形体の製造が困難となるのでやはり好ましくない。
本発明のシリコーン樹脂組成物において、シリコーン樹脂と共に使用される不飽和化合物は、不飽和化合物中に少なくとも脂環式不飽和化合物を10〜100wt%含有させることで、低吸水性の成形体とすることができる。不飽和化合物に脂環式不飽和化合物と非脂環式不飽和化合物との両成分を含有させる場合、シリコーン樹脂:非脂環式不飽和化合物:脂環式不飽和化合物の重量割合は、5〜80:0〜80:0〜80となる割合で配合することが望ましいが、低吸水率化と低線膨張性の両立を図ろうとする場合には、不飽和化合物中における脂環式不飽和化合物の好ましい含有割合は20〜50wt%である。脂環式不飽和化合物としては、前記一般式(2)で表されるものが好ましい。一方、脂環式不飽和化合物以外の他の不飽和化合物である非脂環式不飽和化合物としては、鎖式不飽和化合物や芳香族不飽和化合物が好ましく挙げられる。シリコーン樹脂の割合が多いと得られる共重合体は、シリコーン樹脂としての物性が優勢となる。不飽和化合物の割合が多いと得られる共重合体は、不飽和化合物からの樹脂としての物性が優勢となるが、その欠点のいくつかが改良される。また、脂環式不飽和化合物の割合が多いと得られる共重合体は、低吸湿性に優れ、非脂環式多官能不飽和化合物の割合が多いと得られる共重合体は低線膨張性に優れる。
一般式(2)で表される脂環式不飽和化合物において、Zが式(2a)で表される基である場合の具体的な化合物としては、Rが水素であるジシクロペンタニルジアクリレート(又は、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジアクリレート)、Zが式(2b)で表される基である場合の具体的な化合物としては、Rが水素であるペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカンジアクリレートがある。
不飽和化合物は、構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体である反応性オリゴマーと、低分子量、低粘度の反応性モノマーに大別される。また、不飽和基を1個有する単官能不飽和化合物と2個以上有する多官能不飽和化合物に大別される。良好な3次元架橋体を得るためには、多官能不飽和化合物を極少量(1%以下程度)含むことがよいが、共重合体の耐熱性、強度等を期待する場合には1分子当たり平均1.1個以上、好ましくは1.5個以上、より好ましくは1.6〜5個とすることがよい。このためには、単官能不飽和化合物と不飽和基を2〜5個有する多官能不飽和化合物を混合使用して、平均の官能基数を調整することがよい。
反応性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニルアクリレート、ポリエン/チオール、シリコーンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルエチルメタクリレート等を例示することができる。これらには、単官能不飽和化合物と多官能不飽和化合物がある。
反応性の単官能モノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、イソボニルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート等を例示することができる。
反応性の多官能モノマーとしては、一般式(2)以外の不飽和化合物であるトリプロピレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等を例示することができる。
本発明で使用する不飽和化合物としては、以上に例示したもの以外に、各種反応性オリゴマー、モノマーを用いることができる。また、これらの反応性オリゴマーやモノマーは、それぞれ単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。しかしながら、A)シリコーン樹脂、B)不飽和化合物と、C)これら以外の不飽和化合物、モノマー又はオリゴマーを使用する場合は、C/(B+C)で計算される重量%を50重量%以下、好ましくは20重量%以下にとどめることがよい。
本発明のシリコーン樹脂組成物はこれをラジカル共重合することにより、シリコーン樹脂共重合体を得ることができる。シリコーン樹脂共重合体の物性を改良するため又はラジカル共重合を促進するためなどの目的で、本発明のシリコーン樹脂組成物に種々の添加剤を配合することができる。反応を促進する添加剤として熱重合開始剤、熱重合促進剤、光重合開始剤、光開始助剤、鋭感剤等を例示することができる。光重合開始剤又は熱重合開始剤を配合する場合、その添加量はシリコーン樹脂と不飽和化合物の合計100重量量に対して、0.1〜5重量部の範囲とすることがよく、0.1〜3重量部の範囲とすることが更に好ましい。この添加量が0.1重量部に満たないと硬化が不十分となり、得られる成形体の強度、剛性が低くなり、一方、5重量部を超えると成形体の着色等の問題が生じるおそれがある。
シリコーン樹脂組成物を光硬化性組成物とする場合に用いられる光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサンソン系、アシルホスフィンオキサイド系等の化合物を好適に使用することができる。具体的には、トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、ベンゾインメチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン、チオキサンソン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、カンファーキノン、ベンジル、アンスラキノン、ミヒラーケトン等を例示することができる。また、光重合開始剤と組み合わせて効果を発揮する光開始助剤や鋭感剤を併用することもできる。
本発明のシリコーン樹脂組成物には、本発明の目的から外れない範囲で各種添加剤を添加することができる。各種添加剤として有機/無機フィラー、可塑剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、離型剤、発泡剤、核剤、着色剤、架橋剤、分散助剤、樹脂成分等を例示することが出来る。
本発明のシリコーン樹脂組成物をラジカル共重合することによりシリコーン樹脂共重合体を得ることができるが、また、シリコーン樹脂組成物を所定の形状として、ラジカル共重合することによりシリコーン樹脂共重合体の成形体を得ることができる。得られるシリコーン樹脂共重合体が熱可塑性である場合は、各種の成形法を採用できるが、一分子当たりの反応性置換基又は不飽和基の数が1.0を超える場合は、三次元架橋構造体を有する共重合体となるため、通常、成形硬化が採用される。そこで、ラジカル共重合のことを硬化ともいう。ラジカル共重合には、加熱又は電子線、紫外線等のエネルギー線照射が適当である。
本発明のシリコーン樹脂共重合体は、ラジカル重合開始剤を含むシリコーン樹脂組成物を加熱又は光照射によって硬化させることで製造することができる。加熱によって共重合体(成形体)を製造する場合、その成形温度は、熱重合開始剤と促進剤の選択により、室温から200℃前後までの広い範囲から選択することができる。この場合、金型内やスチールベルト上で重合硬化させることで所望の形状のシリコーン樹脂成形体を得ることができる。
また、光照射によって共重合体(成形体)を製造する場合、波長10〜400nmの紫外線や波長400〜700nmの可視光線を照射することで、成形体を得ることができる。用いる光の波長は特に制限されるものではないが、特に波長200〜400nmの近紫外線が好適に用いられる。紫外線発生源として用いられるランプとしては、低圧水銀ランプ(出力:0.4〜4W/cm)、高圧水銀ランプ(40〜160W/cm)、超高圧水銀ランプ(173〜435W/cm)、メタルハライドランプ(80〜160W/cm)、パルスキセノンランプ(80〜120W/cm)、無電極放電ランプ(80〜120W/cm)等を例示することができる。これらの紫外線ランプは、各々その分光分布に特徴があるため、使用する光開始剤の種類に応じて選定される。
光照射によってシリコーン樹脂共重合体(成形体)を得る方法としては、例えば任意のキャビティ形状を有し、石英ガラス等の透明素材で構成された金型内に注入し、上記の紫外線ランプで紫外線を照射して重合硬化を行い、金型から脱型させることで所望の形状の成形体を製造する方法や、金型を用いない場合には、例えば移動するスチールベルト上にドクターブレードやロール状のコーターを用いて本発明のシリコーン樹脂組成物を塗布し、上記の紫外線ランプで重合硬化させることで、シート状の成形体を製造する方法等を例示することができる。
このようにして得られる本発明のシリコーン樹脂共重合体(成形体)は、動的熱機械分析装置(DMA)で測定したガラス転移温度が400℃以下にガラス転移温度示さず、且つ動的熱弾性率の低下が少なく、400〜800nm波長の可視光線の透過率が85%以上、飽和吸水率(JIS K 7209準拠)が1.0%以下、又は線膨張係数が50ppm/K以下である。
すなわち、得られるシリコーン樹脂成形体は、シリコーン樹脂組成物の配合組成によって、2つの特徴的な成形体を与える。1つは上記(a)〜(d)の要件を満たすシリコーン樹脂成形体である。もう1つは、上記(a)〜(c)及び(e)の条件を満たすシリコーン樹脂成形体である。
ここで、要件(a)はガラス転位温度が400℃以上ということであり、要件(b)は計算式(I)により算出される動的粘弾性低下率ΔE’が60%以下ということであり、要件(c)は400〜800nm波長の可視光線の透過率が85%以上ということであるが、好ましくは条件(b)の動的粘弾性低下率ΔE’が50%以下、条件(c)の可視光線の透過率が90%以上である。
また、要件(d)は飽和吸水率(JIS K 7209準拠)が1.0%以下ということであり、要件(e)は線膨張係数が50ppm/K以下、好ましくは40ppm/K以下ということであるが、この条件(d)及び(e)はいずれか一方が満足されればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施例を示す。なお、下記の実施例に使用したシリコーン樹脂は、下記の合成例に示した方法で得たものである。
合成例1
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた反応容器に、溶媒として2−プロパノール(IPA)40mlと塩基性触媒として5%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH水溶液)を装入した。滴下ロートにIPA15mlと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MTMS:東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製 SZ−6300)12.69gを入れ、反応容器を撹拌しながら、室温でMTMSのIPA溶液を30分かけて滴下した。MTMS滴下終了後、加熱することなく2時間撹拌した。2時間撹拌後溶媒を減圧下で溶媒を除去し、トルエン50mlで溶解した。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで加水分解生成物(シルセスキオキサン)を8.6g得た。このシルセスキオキサンは種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
次に、撹拌機、ディンスターク、冷却管を備えた反応容器に上記で得られたシルセスキオキサン20.65gとトルエン82mlと10%TMAH水溶液3.0gを入れ、徐々に加熱し水を留去した。更に130℃まで加熱しトルエンを還流温度で再縮合反応を行った。このときの反応溶液の温度は108℃であった。トルエン還流後2時間撹拌した後、反応を終了とした。反応溶液を飽和食塩水で中性になるまで水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水した。無水硫酸マグネシウムをろ別し、濃縮することで目的物であるかご型シルセスキオキサン(混合物)を18.77g得た。得られたかご型シルセスキオキサンは種々の有機溶剤に可溶な無色の粘性液体であった。
再縮合反応後の反応物の液体クロマトグラフィー分離後の質量分析を行ったところ上記構造式(5)、(6)及び(7)の分子構造にアンモニウムイオンが付いた分子イオンが確認され、構成比率はT8:T10:T12:その他が約2:4:1:3であり、かご型構造を主たる成分とするシリコーン樹脂であることが確認できる。なお、T8、T10、及びT12は、それぞれ式(5)、(6)及び(7)に対応する。
【実施例1】
合成例1で得たメタクリロイル基を全てのケイ素原子上に有した篭型シリコーン樹脂:25重量部、ジシクロペンタニルジアクリレート:75重量部、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:2.5重量部を混合し、透明なシリコーン樹脂組成物を得た。
次に、ロールコーターを用いて、厚さ0.4mmになるようにキャスト(流延)し、30W/cmの高圧水銀ランプを用い、2000mJ/cmの積算露光量で硬化させ、所定の厚みとしたシート状のシリコーン樹脂成形体を得た。
実施例2〜5及び比較例1〜7
配合組成を表1に示す割合とした他は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。得られた成形体の物性値をまとめて表2に示した。
表中の略号は次のとおり。
A:合成例1で得られた化合物
B:JP10−251407−Aに記載された方法により得たシラノール基を含有しないシリコーン樹脂。
C:トリメチロールプロパントリアクリレート
D:ジシクロペンタニルジアクリレート(共栄社化学(株)製ライトアクリレートDCP−A:一般式(2)において、Zが(a2)で、RはH)
E:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
F:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(重合開始剤)


1)曲げ弾性率(参考規格JIS K 7171準拠):試験速度0.3mm/min、支点間距離12mm、支点半径0.5mm、圧子半径1.5mm
2)吸水率(参考規格JIS K 7209):試料予備乾燥条件50℃、24hr
3)ガラス転移温度(Tg):動的熱機械分析法、昇温速度5℃/min、チャック間距離10mm
4)ΔE’:30℃での動的粘弾性率(E’30)と200℃での動的粘弾性率(E’200)から、計算式(I)で算出した値
5)全光線透過率(参考規格JIS K 7361−1):試料厚み0.4mm
6)線膨張係数:熱機械的分析法、昇温速度昇温速度5℃/min、圧縮荷重0.1N
【産業上の利用の可能性】
本発明によれば、高耐熱、高透明性で、高い寸法安定性を有する成形体を得ることができ、例えば、レンズ、光ディスク、光ファイバー及びフラットパネルディスプレイ基板等の光学用途や各種輸送機械や住宅等の窓材など様々な用途に用いることができる。成形体は、軽量、高衝撃強度の透明部材であり、ガラス代替材料としてもその利用範囲は広範となり、産業上の利用価値も高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)

(但し、Rは(メタ)アクリロイル基を有する有機官能基であり、nは8、10又は12である)で表され、構造単位中に篭型構造を有するポリオルガノシルセスキオキサンを主たる成分とするシリコーン樹脂と、
分子中に−R−CR=CH又は−CR=CH(但し、Rはアルキレン基、アルキリデン基又は−OCO−基を示し、Rは水素又はアルキル基を示す)で表される不飽和基を少なくとも1個含み、前記シリコーン樹脂とラジカル共重合が可能な不飽和化合物を、
1:99〜99:1の重量割合で配合したことを特徴とするシリコーン樹脂組成物。
【請求項2】
シリコーン樹脂とラジカル共重合が可能な不飽和化合物の10〜100重量%が、下記一般式(2)で表される脂環式不飽和化合物である請求項1記載のシリコーン樹脂組成物。

(式中、Zは(2a)又は(2b)で表される何れかの基を示し、Rは水素又はメチル基を示す)

【請求項3】
シリコーン樹脂:非脂環式不飽和化合物:脂環式不飽和化合物の重量割合が、5〜80:0〜80:0〜80となる割合で配合した請求項2記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項4】
シリコーン樹脂が、一般式(3)

(但し、Rは(メタ)アクリロイル基を有する有機官能基であり、Xは加水分解性基を示す)で表されるケイ素化合物を極性溶媒及び塩基性触媒存在下で加水分解反応させると共に一部縮合させ、得られた加水分解生成物を更に非極性溶媒及び塩基性触媒存在下で再縮合させて得られたものであり、分子中ケイ素原子数と(メタ)アクリロイル基数が等しく、且つかご型構造を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物を、ラジカル共重合させて得られたシリコーン樹脂成形体。
【請求項6】
請求項5記載のシリコーン樹脂成形体が、下記(a)〜(c)の要件と、(d)及び(e)の要件の少なくとも1つを満たすシリコーン樹脂成形体。
(a)ガラス転位温度が400℃以上、
(b)下記計算式(I)により算出される動的粘弾性低下率ΔE’が60%以下

(但し、30℃での動的粘弾性率をE’30及び200℃での動的粘弾性率をE’200とする)、
(c)400〜800nm波長の可視光線の透過率が85%以上、
(d)飽和吸水率(JIS K 7209準拠)が1.0%以下、
(e)線膨張係数が50ppm/K以下。
【請求項7】
請求項6記載のシリコーン樹脂成形体の要件(e)の線膨張係数が40ppm/K以下であるシリコーン樹脂成形体。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物を、加熱又はエネルギー線を照射してラジカル共重合させることを特徴とするシリコーン樹脂成形体の製造方法。

【国際公開番号】WO2004/085501
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【発行日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504036(P2005−504036)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003828
【国際出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】