シリンダバレルの表面処理装置
【課題】コストダウンが可能なシリンダバレルの表面処理装置を提供する。
【解決手段】カバー部材32は、下面59に、可撓性を有してガスケット面42に密着して処理液の漏れを防止する第1のシールリング54、第2のシールリング55及び第3のシールリング56を、シリンダバレルの中心63を中心とする同心円状に備え、これらの第1〜第3のシールリング54、55、56は、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心63から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられている。
【効果】カバー部材を共用化するので、部品を減らして装置全体のコストを低減することができる。
【解決手段】カバー部材32は、下面59に、可撓性を有してガスケット面42に密着して処理液の漏れを防止する第1のシールリング54、第2のシールリング55及び第3のシールリング56を、シリンダバレルの中心63を中心とする同心円状に備え、これらの第1〜第3のシールリング54、55、56は、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心63から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられている。
【効果】カバー部材を共用化するので、部品を減らして装置全体のコストを低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダブロックに設けられているシリンダバレルの内面へ処理液を接触させて内面を処理する、シリンダバレルの表面処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのシリンダバレル内面は、ピストンリングによる摩擦や燃料の燃焼による高熱に晒されるため、表面の強度が求められる。表面の強度を高めるには表面処理が有効である。表面処理の一つであるめっき処理を施す場合、めっき処理前に表面の汚れ等をあらかじめ除去することが望まれる。このように表面処理前に汚れ等を除去する処理は、前処理と呼ばれる。
めっき処理の前処理の一例を次図で説明する。
【0003】
図11に示されるように、前処理では、エッチング処理、酸活性処理、第1亜鉛置換処理、溶解活性処理及び第2亜鉛置換処理が実施される。エッチング処理だけでも、処理液による化学処理、洗浄のための1次水洗、2次水洗及び乾燥を防ぐアイドラー等複数の工程で構成される。これらの工程のうち、化学処理工程の具体例が提案されている(例えば、特許文献1(図3(b))参照。)。
【0004】
この特許文献1の技術を図面に基づいて以下に説明する。
図12に示されるように、シリンダブロック101を、下部開口閉塞部材103が備えられたパレット104に載置し、シリンダブロック101の下部開口を塞ぐ。そして、パレット104をパン105の上に配置する。ノズル106が備えられたカバー部材107を、矢印(1)のように移動させ、シリンダブロック101の上部開口を塞ぎ、可撓性のシールリング102でシールする。
【0005】
処理液を、矢印(2)のように、処理液供給路108からノズル106に供給する。
供給された処理液は、矢印(3)のように、処理液噴射孔109からシリンダバレル110の下部に噴射され、矢印(4)のように、シリンダバレル110の内面に接触しながら上昇する。
シリンダバレル110内の処理液は、矢印(5)のように、主にパレット104に設けられた第1の排液通路111から排出され、処理液の残部は、矢印(6)のように蓋体107に設けられた第2の排液通路112から排出される。
【0006】
ところで、生産ラインでは、一つのラインで種々の径のシリンダバレルに前処理を施すことがある。異なる径のシリンダバレルに前処理を施すには、それぞれのシリンダバレルの径に対応するシールリングでシリンダバレルの上部開口をシールする。
【0007】
大きな径のシリンダバレルのために、大径のシールリング102を備えたカバー部材107を準備し、小さな径のシリンダバレルのために、小径のシールリング102を備えたカバー部材107を準備する。
このように、従来は、シリンダバレルの径に対応するカバー部材107を多数個準備する心配があった。
これでは、カバー部材107の調達費用や保管費用が嵩む。加えて、カバー部材107を変更する変更工数も嵩む。
近年のコストダウン要求から改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−214730公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、コストダウンが可能なシリンダバレルの表面処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、ガスケット面が上になるようにして置かれている内燃機関のシリンダブロックの前記ガスケット面に、カバー部材を載せてシリンダバレルの上部開口を塞ぎ、前記シリンダバレル内へ処理液を供給して前記シリンダバレルの内面を処理するシリンダバレルの表面処理装置において、前記カバー部材は、下面に、可撓性を有して前記ガスケット面に密着して前記処理液の漏れを防止する複数のシールリングを、前記シリンダバレルの中心を中心とする同心円状に備え、これらのシールリングは、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、カバー部材の下面は、複数のシールリングの下面からの突出代が同一又はほぼ同一になるように、階段形状とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、カバー部材は、下面に、複数のシールリングを、シリンダバレルの中心を中心とする同心円状に備え、これらのシールリングは、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられている。
小径のシリンダバレルには、複数シールリングのうち、最も中心側のシールリングをガスケット面に当てる。より大径のシリンダバレルでは、隣りのシールリングをガスケット面に当接させる。更に大径のシリンダバレルでは、更に隣りのシールリングをガスケット面に当接させる。
このように、シリンダバレルの径に応じて、好適なシールリングでシール性を発揮させる。
径の異なるシリンダバレルに対しても、シールリング及びカバー部材の段替えをする必要がないので、段替え工数の削減を図ることができる。
加えて、カバー部材を共用化するので、部品を減らして装置全体のコストを低減することができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、カバー部材の下面は、複数のシールリングの下面からの突出代が同一又はほぼ同一になるように、階段形状とされていることを特徴とする。突出代は潰し代に相当し、この潰し代はシール性能に影響する。仮に、突出代がまちまちであれば、シール性にばらつきが出る可能性があり、シールリングの形状設計が難しくなる。この点、本発明によれば、突出代が同一又はほぼ同一であるため、シールリングの形状設計が容易になり、シールリングの調達コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るシリンダバレルの表面処理装置の側面図である。
【図2】表面処理部の断面図である。
【図3】異なる大きさのシリンダバレルの上部開口をシールする状態の説明図である。
【図4】異なる大きさの2個のシリンダバレルを同時にシールする状態の説明図である。
【図5】階段部の断面図である。
【図6】図5の6部拡大図である。
【図7】図6の別の実施形態の説明図である。
【図8】図4の別の実施形態の説明図である。
【図9】図1の9−9線断面図である。
【図10】本発明に係るシリンダバレルの表面処理装置の作用図である。
【図11】めっきの前処理工程を説明する図である。
【図12】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、シリンダバレルの表面処理装置10は、アジャスタ11を有するベース12と、このベース12から立ち上げられている下部柱13と、この下部柱13の上端に設けられている中部支持部材14と、この中部支持部材14に支持され処理液を集めるパン15と、このパン15に集められた処理液を外部に排出する処理液排出管16と、パン15の上に設けられている囲い部材17と、この囲い部材17に囲われるように中部支持部材14に設けられている表面処理部20と、この表面処理部20に設けられ表面処理部20の上部からの排液を誘導する排液管21と、この排液管21の排液を監視する処理液検知部22と、中部支持部材14から立ち上げられている中部柱23と、この中部柱23の上端に設けられている上部支持部材24と、この上部支持部材24から立ち上げられている上部柱25と、この上部柱25の上端に設けられている天板26とを備える。
【0017】
表面処理部20は、詳細は後述するが、表面処理が施されるシリンダブロック27を支えるパレット31と、シリンダブロック27の上部を覆うカバー部材32と、このカバー部材32に設けられ処理液の一部を排出する第2の排液通路33とを備える。
【0018】
また、シリンダバレル内面の表面処理装置10は、天板26に設けられ昇降ロッド34を介してカバー部材32を昇降させる昇降シリンダ35と、昇降ロッド34の下端に回転軸36を中心に揺動自在に設けられている揺動部37と、昇降ロッド34の下部に設けられ進退ロッド38を介して揺動部37を揺動させる揺動シリンダ41とを備える。
【0019】
次に表面処理部20について説明する。
図2に示されるように、シリンダバレルの表面処理装置10の要部としての表面処理部20は、シリンダブロック27のガスケット面42が上になるようにして、シリンダブロック27を支えると共にシリンダバレル43の下部開口44を塞ぐパレット31と、このパレット31に設けられシリンダバレル43内に溜められた処理液の一部を排出する第1の排液通路45と、パレット31に設けられシリンダブロック27の段部46をシールする段部シール部材47と、パレット31に設けられシリンダブロック27の穴48の位置決めをする位置決めピン51と、シリンダバレル43の上部開口52に繋がる凹部53を有し、ガスケット面42に載せられシリンダバレル43の上部開口52を覆うカバー部材32と、このカバー部材32の下面59に設けられガスケット面42をシールする可撓性の第1〜第3のシールリング54、55、56と、カバー部材32に上から下向きに挿入されるようにしてカバー部材32に取付けられ、処理液を凹部53の壁57に向かって噴射する処理液噴射孔58を有し、凹部53の壁57を介してシリンダバレル43の内面へ処理液を供給するノズル61と、このノズル61に処理液を供給する処理液供給路62と、カバー部材32に設けられシリンダバレル43内に溜められた処理液の残部を排出する第2の排液通路33と、からなる。
【0020】
次に大きさの異なるシリンダブロックのガスケット面42をシールする状態を説明する。
図3(a)に示されるように、ガスケット面42が上になるようにして内径の小さいシリンダバレル43を備えるシリンダブロック27が配置されている。カバー部材32は、下面59に、可撓性を有してガスケット面42に密着して処理液の漏れを防止する第1のシールリング54、第2のシールリング55及び第3のシールリング56を、シリンダバレルの中心63を中心とする同心円状に備え、これらの第1〜第3のシールリング54、55、56は、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心63から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられている。カバー部材32の下面59は、シールリング54、55、56の下面59からの突出代が同一又はほぼ同一になるように、階段状の階段部64を備えている。
最も高い階段部64に設けられている第1のシールリング54のみが、ガスケット面42に接してシールする。第2、第3のシールリング54は、ガスケット面42に接触しない。
【0021】
図3(b)は、径の大きいシリンダバレル67を備えるシリンダブロック65のガスケット面66をシールする状態を説明する図であり、図3(a)と同様に構成されている部分は、符号を流用して詳細な説明は省略する。
最も低い階段部64に設けられている第3のシールリング56のみが、ガスケット面66に接してシールする。第1、第2のシールリング54、55の径は、シリンダバレル67の内径より小さい。そのため、第1、第2のシールリング54、55は、シリンダバレル67の内面より内側にあり、シリンダバレル67に接触しない。
【0022】
同一のカバー部材32及びシールリング53、54、55で、異なるシリンダブロック27、65をシールすることができるので、生産ラインにおいては、種類の異なるシリンダブロックに前処理を施す場合でも、カバー部材32の段替えの必要がなく、工数を低減することができる。
なお、シリンダバレル43の内径とシリンダバレル67の内径との中間の大きさの内径を備えるシリンダバレルの場合は、第2のシールリング55がガスケット面に接してシールし、第1、第3のシールリング54、56は、シリンダブロックに接触しない。
このように、シリンダバレルの径に応じて、好適なシールリングでシール性を発揮させる。
【0023】
次に異なる大きさのシリンダブロック27、65を同時にシールする状態を説明する。
図4に示されるように、親パレット68に子パレットとしての第1のパレット31及び第2のパレット69が設けられている。小さいシリンダブロック27は第1のパレット31に載置され、大きいシリンダブロック65は第2のパレット69に載置されている。
【0024】
親パレット68の上面からシリンダブロック27のガスケット面42までの高さL1は、カバー部材の32の第1のシールリング54に接触する高さである。
一方、親パレット68の上面からシリンダブロック65のガスケット面66までの高さL2は、カバー部材32の第3のシールリング56に接触する高さである。
2つのカバー部材32の高さを同一にした状態で、異なるシリンダブロック27、65を同時にシールすることができる。
また、カバー部材32、ノズル61共に同一であるため、カバー部材32の段替えの必要がなく、工数の低減を図ることができる。
また、第1の排液通路45、71の径を変えることで、排出される処理液の流量が調整される。
【0025】
次に階段部64について説明する。
図5(a)の比較例では、カバー部材72の下面73に階段部が設けられておらず、平面になっている。第1、第2及び第3のシールリング74、75、76は、いずれもガスケット面66に接触する。第3のシールリング76は、穴48の縁に接触することで破損や変形が生じ易くなる。
【0026】
また、小さいシリンダブロック27をシールする場合は、第1〜第3のシールリング74、75、76の全てがガスケット面66に接触するが、大きいシリンダブロック(図3、符号65)をシールする場合には、第3のシールリング76のみがガスケット面66に接触するので、シールの圧力に差が生じる。
シールの圧力を同等にするには、第3のシールリング76のみが接触する場合のシールクランプ力に比較して、第1〜第3のシールリング74、75、76全てが接触する場合のシールクランプ力を大きくする必要がある。クランプ力を大きくするには、昇降シリンダ(図1、符号35)を大型化する必要があり、装置のコストが高くなる。
【0027】
一方、図5(b)の実施例では、第1のシールリング54はガスケット面42に接触しているが、第2、第3のシールリング55、56がガスケット面に接触しないので、第2、第3のシールリング55、56に傷が付くことがない。
また、異なる大きさのシリンダブロックであっても、第1〜第3のシールリング54、55、56いずれか一つのシールリングのみが接触するので、シールの圧力を均一にすることができる。
シールするクランプ力を過剰に大きくする必要がないので、小型の昇降シリンダ35で対応することができ、装置のコストを低減することができる。
【0028】
次にシールリング54、55、56の断面形状について説明する。
図6に示されるように、第1〜第3のシールリング54、55、56の先端部には傾斜77が設けられている。これにより、処理液が切れやすくなり、第1〜第3のシールリング54、55、56がガスケット面42に固着しない効果を得る。
【0029】
また、第1〜第3のシールリング54、55、56の下面59からの突出代は同一又はほぼ同一であり、段差L=1mmである。これにより、可撓性のシールリング54、55、56の潰れ代が確保できる。段差を小さくすることで、角部(図3(b)、符号78)のエア溜まりによる前処理への影響を低減させ、適切に前処理を実施することができる。
【0030】
なお、段差は、L=1mmに限定されず、L=1.1mm、L=1.2mmでもよく、複数あるシールリング54、55、56のうち1つのシールリングのみがガスケット面に接触し、シールリング54、55、56の潰れ代が確保でき、エア溜まりによる影響がなければ、Lの値が異なっても差し支えない。
【0031】
次に図6の別の実施形態を述べる。
図7に示されるように、カバー部材32の下面59は、平面である。カバー部材32は、下面59に、可撓性を有してガスケット面42に密着して処理液の漏れを防止する第1のシールリング81、第2のシールリング82及び第3のシールリング83を、シリンダバレルの中心63を中心とする同心円状に備え、これらの第1〜第3のシールリング81、82、83は、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心63から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられている。この高低差(段差)L=1mmである。
【0032】
なお、段差は、L=1mmに限定せず、L=1.1mm、L=1.2mmでもよく、複数あるシールリング81、82、83のうち1つのシールリングのみがガスケット面に接触し、シールリング81、82、83の潰れ代が確保でき、エア溜まりによる影響がなければ、Lの値が異なっても差し支えない。
【0033】
次に図4の別の実施形態を述べる。
図8において、図4と同様に構成されている部分は、符号を流用して詳細な説明は省略する。
小さい径のシリンダバレル43側には、径の小さいノズル61が配置されている。
大きい径のシリンダバレル67側には、径の大きいノズル84が配置されている。大きいシリンダブロック65であっても、シリンダバレル67の内面とノズル84の外面で形成される空間の体積が小さくなり、処理液が満たされる時間が短くなるので、前処理の工数を短縮することができる。
【0034】
次に異なるサイズのシリンダブロック27、65が配置されている状態を説明する。
図9に示されるように、枠体85に親パレット68が設けられ、親パレット68に第1のパレット31及び第2のパレット69が配置されている。第1のパレット31及び第2のパレット69は、自由に組み合わせを変更できるので、同種類のシリンダブロックだけでなく、異なる種類のシリンダブロックに同時に前処理を施すことができる。
【0035】
以上に述べたシリンダバレルの表面処理装置10の作用を図10に述べる。
図10において、カバー部材32、32を、矢印(7)のように移動させ、ガスケット面42、66をシールする。
【0036】
ノズル61、84から処理液を、矢印(8)のように、シリンダバレル43、67の内面に供給する。シリンダバレル43、67内に溜められた処理液の一部は、矢印(9)、(9)のように、第1の排液通路45、71から排出される。処理液の供給量は、第1の排液通路45、71から排出される量よりも多い。そのため、処理液は矢印(10)のように、シリンダバレル43、67内を上昇する。シリンダバレル43、67内に溜められた処理液の残部は、矢印(11)のように、第2の排液通路33、33から排出される。
【0037】
尚、本発明に係るシリンダバレルの表面処理装置は、実施の形態では階段部を3段にして適用したが、3段に限定されず、2段、4段等、シリンダバレルのガスケット面をシールすることができれば、シリンダバレルの種類に応じて、階段部を複数段設けて適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のシリンダバレルの表面処理装置は、シリンダバレル内面のめっきの前処理に好適である。
【符号の説明】
【0039】
10…シリンダバレルの表面処理装置、20…表面処理部、27、65…シリンダブロック、31…第1のパレット、32…カバー部材、33…第2の排液通路、42、66…ガスケット面、43、67…シリンダバレル、52…上部開口、54、81…第1のシールリング、55、82…第2のシールリング、56、83…第3のシールリング、59…下面、63…シリンダバレルの中心、64…階段部、68…親パレット、69…第2のパレット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダブロックに設けられているシリンダバレルの内面へ処理液を接触させて内面を処理する、シリンダバレルの表面処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンのシリンダバレル内面は、ピストンリングによる摩擦や燃料の燃焼による高熱に晒されるため、表面の強度が求められる。表面の強度を高めるには表面処理が有効である。表面処理の一つであるめっき処理を施す場合、めっき処理前に表面の汚れ等をあらかじめ除去することが望まれる。このように表面処理前に汚れ等を除去する処理は、前処理と呼ばれる。
めっき処理の前処理の一例を次図で説明する。
【0003】
図11に示されるように、前処理では、エッチング処理、酸活性処理、第1亜鉛置換処理、溶解活性処理及び第2亜鉛置換処理が実施される。エッチング処理だけでも、処理液による化学処理、洗浄のための1次水洗、2次水洗及び乾燥を防ぐアイドラー等複数の工程で構成される。これらの工程のうち、化学処理工程の具体例が提案されている(例えば、特許文献1(図3(b))参照。)。
【0004】
この特許文献1の技術を図面に基づいて以下に説明する。
図12に示されるように、シリンダブロック101を、下部開口閉塞部材103が備えられたパレット104に載置し、シリンダブロック101の下部開口を塞ぐ。そして、パレット104をパン105の上に配置する。ノズル106が備えられたカバー部材107を、矢印(1)のように移動させ、シリンダブロック101の上部開口を塞ぎ、可撓性のシールリング102でシールする。
【0005】
処理液を、矢印(2)のように、処理液供給路108からノズル106に供給する。
供給された処理液は、矢印(3)のように、処理液噴射孔109からシリンダバレル110の下部に噴射され、矢印(4)のように、シリンダバレル110の内面に接触しながら上昇する。
シリンダバレル110内の処理液は、矢印(5)のように、主にパレット104に設けられた第1の排液通路111から排出され、処理液の残部は、矢印(6)のように蓋体107に設けられた第2の排液通路112から排出される。
【0006】
ところで、生産ラインでは、一つのラインで種々の径のシリンダバレルに前処理を施すことがある。異なる径のシリンダバレルに前処理を施すには、それぞれのシリンダバレルの径に対応するシールリングでシリンダバレルの上部開口をシールする。
【0007】
大きな径のシリンダバレルのために、大径のシールリング102を備えたカバー部材107を準備し、小さな径のシリンダバレルのために、小径のシールリング102を備えたカバー部材107を準備する。
このように、従来は、シリンダバレルの径に対応するカバー部材107を多数個準備する心配があった。
これでは、カバー部材107の調達費用や保管費用が嵩む。加えて、カバー部材107を変更する変更工数も嵩む。
近年のコストダウン要求から改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−214730公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、コストダウンが可能なシリンダバレルの表面処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、ガスケット面が上になるようにして置かれている内燃機関のシリンダブロックの前記ガスケット面に、カバー部材を載せてシリンダバレルの上部開口を塞ぎ、前記シリンダバレル内へ処理液を供給して前記シリンダバレルの内面を処理するシリンダバレルの表面処理装置において、前記カバー部材は、下面に、可撓性を有して前記ガスケット面に密着して前記処理液の漏れを防止する複数のシールリングを、前記シリンダバレルの中心を中心とする同心円状に備え、これらのシールリングは、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、カバー部材の下面は、複数のシールリングの下面からの突出代が同一又はほぼ同一になるように、階段形状とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、カバー部材は、下面に、複数のシールリングを、シリンダバレルの中心を中心とする同心円状に備え、これらのシールリングは、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられている。
小径のシリンダバレルには、複数シールリングのうち、最も中心側のシールリングをガスケット面に当てる。より大径のシリンダバレルでは、隣りのシールリングをガスケット面に当接させる。更に大径のシリンダバレルでは、更に隣りのシールリングをガスケット面に当接させる。
このように、シリンダバレルの径に応じて、好適なシールリングでシール性を発揮させる。
径の異なるシリンダバレルに対しても、シールリング及びカバー部材の段替えをする必要がないので、段替え工数の削減を図ることができる。
加えて、カバー部材を共用化するので、部品を減らして装置全体のコストを低減することができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、カバー部材の下面は、複数のシールリングの下面からの突出代が同一又はほぼ同一になるように、階段形状とされていることを特徴とする。突出代は潰し代に相当し、この潰し代はシール性能に影響する。仮に、突出代がまちまちであれば、シール性にばらつきが出る可能性があり、シールリングの形状設計が難しくなる。この点、本発明によれば、突出代が同一又はほぼ同一であるため、シールリングの形状設計が容易になり、シールリングの調達コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るシリンダバレルの表面処理装置の側面図である。
【図2】表面処理部の断面図である。
【図3】異なる大きさのシリンダバレルの上部開口をシールする状態の説明図である。
【図4】異なる大きさの2個のシリンダバレルを同時にシールする状態の説明図である。
【図5】階段部の断面図である。
【図6】図5の6部拡大図である。
【図7】図6の別の実施形態の説明図である。
【図8】図4の別の実施形態の説明図である。
【図9】図1の9−9線断面図である。
【図10】本発明に係るシリンダバレルの表面処理装置の作用図である。
【図11】めっきの前処理工程を説明する図である。
【図12】従来の技術の基本原理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0016】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、シリンダバレルの表面処理装置10は、アジャスタ11を有するベース12と、このベース12から立ち上げられている下部柱13と、この下部柱13の上端に設けられている中部支持部材14と、この中部支持部材14に支持され処理液を集めるパン15と、このパン15に集められた処理液を外部に排出する処理液排出管16と、パン15の上に設けられている囲い部材17と、この囲い部材17に囲われるように中部支持部材14に設けられている表面処理部20と、この表面処理部20に設けられ表面処理部20の上部からの排液を誘導する排液管21と、この排液管21の排液を監視する処理液検知部22と、中部支持部材14から立ち上げられている中部柱23と、この中部柱23の上端に設けられている上部支持部材24と、この上部支持部材24から立ち上げられている上部柱25と、この上部柱25の上端に設けられている天板26とを備える。
【0017】
表面処理部20は、詳細は後述するが、表面処理が施されるシリンダブロック27を支えるパレット31と、シリンダブロック27の上部を覆うカバー部材32と、このカバー部材32に設けられ処理液の一部を排出する第2の排液通路33とを備える。
【0018】
また、シリンダバレル内面の表面処理装置10は、天板26に設けられ昇降ロッド34を介してカバー部材32を昇降させる昇降シリンダ35と、昇降ロッド34の下端に回転軸36を中心に揺動自在に設けられている揺動部37と、昇降ロッド34の下部に設けられ進退ロッド38を介して揺動部37を揺動させる揺動シリンダ41とを備える。
【0019】
次に表面処理部20について説明する。
図2に示されるように、シリンダバレルの表面処理装置10の要部としての表面処理部20は、シリンダブロック27のガスケット面42が上になるようにして、シリンダブロック27を支えると共にシリンダバレル43の下部開口44を塞ぐパレット31と、このパレット31に設けられシリンダバレル43内に溜められた処理液の一部を排出する第1の排液通路45と、パレット31に設けられシリンダブロック27の段部46をシールする段部シール部材47と、パレット31に設けられシリンダブロック27の穴48の位置決めをする位置決めピン51と、シリンダバレル43の上部開口52に繋がる凹部53を有し、ガスケット面42に載せられシリンダバレル43の上部開口52を覆うカバー部材32と、このカバー部材32の下面59に設けられガスケット面42をシールする可撓性の第1〜第3のシールリング54、55、56と、カバー部材32に上から下向きに挿入されるようにしてカバー部材32に取付けられ、処理液を凹部53の壁57に向かって噴射する処理液噴射孔58を有し、凹部53の壁57を介してシリンダバレル43の内面へ処理液を供給するノズル61と、このノズル61に処理液を供給する処理液供給路62と、カバー部材32に設けられシリンダバレル43内に溜められた処理液の残部を排出する第2の排液通路33と、からなる。
【0020】
次に大きさの異なるシリンダブロックのガスケット面42をシールする状態を説明する。
図3(a)に示されるように、ガスケット面42が上になるようにして内径の小さいシリンダバレル43を備えるシリンダブロック27が配置されている。カバー部材32は、下面59に、可撓性を有してガスケット面42に密着して処理液の漏れを防止する第1のシールリング54、第2のシールリング55及び第3のシールリング56を、シリンダバレルの中心63を中心とする同心円状に備え、これらの第1〜第3のシールリング54、55、56は、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心63から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられている。カバー部材32の下面59は、シールリング54、55、56の下面59からの突出代が同一又はほぼ同一になるように、階段状の階段部64を備えている。
最も高い階段部64に設けられている第1のシールリング54のみが、ガスケット面42に接してシールする。第2、第3のシールリング54は、ガスケット面42に接触しない。
【0021】
図3(b)は、径の大きいシリンダバレル67を備えるシリンダブロック65のガスケット面66をシールする状態を説明する図であり、図3(a)と同様に構成されている部分は、符号を流用して詳細な説明は省略する。
最も低い階段部64に設けられている第3のシールリング56のみが、ガスケット面66に接してシールする。第1、第2のシールリング54、55の径は、シリンダバレル67の内径より小さい。そのため、第1、第2のシールリング54、55は、シリンダバレル67の内面より内側にあり、シリンダバレル67に接触しない。
【0022】
同一のカバー部材32及びシールリング53、54、55で、異なるシリンダブロック27、65をシールすることができるので、生産ラインにおいては、種類の異なるシリンダブロックに前処理を施す場合でも、カバー部材32の段替えの必要がなく、工数を低減することができる。
なお、シリンダバレル43の内径とシリンダバレル67の内径との中間の大きさの内径を備えるシリンダバレルの場合は、第2のシールリング55がガスケット面に接してシールし、第1、第3のシールリング54、56は、シリンダブロックに接触しない。
このように、シリンダバレルの径に応じて、好適なシールリングでシール性を発揮させる。
【0023】
次に異なる大きさのシリンダブロック27、65を同時にシールする状態を説明する。
図4に示されるように、親パレット68に子パレットとしての第1のパレット31及び第2のパレット69が設けられている。小さいシリンダブロック27は第1のパレット31に載置され、大きいシリンダブロック65は第2のパレット69に載置されている。
【0024】
親パレット68の上面からシリンダブロック27のガスケット面42までの高さL1は、カバー部材の32の第1のシールリング54に接触する高さである。
一方、親パレット68の上面からシリンダブロック65のガスケット面66までの高さL2は、カバー部材32の第3のシールリング56に接触する高さである。
2つのカバー部材32の高さを同一にした状態で、異なるシリンダブロック27、65を同時にシールすることができる。
また、カバー部材32、ノズル61共に同一であるため、カバー部材32の段替えの必要がなく、工数の低減を図ることができる。
また、第1の排液通路45、71の径を変えることで、排出される処理液の流量が調整される。
【0025】
次に階段部64について説明する。
図5(a)の比較例では、カバー部材72の下面73に階段部が設けられておらず、平面になっている。第1、第2及び第3のシールリング74、75、76は、いずれもガスケット面66に接触する。第3のシールリング76は、穴48の縁に接触することで破損や変形が生じ易くなる。
【0026】
また、小さいシリンダブロック27をシールする場合は、第1〜第3のシールリング74、75、76の全てがガスケット面66に接触するが、大きいシリンダブロック(図3、符号65)をシールする場合には、第3のシールリング76のみがガスケット面66に接触するので、シールの圧力に差が生じる。
シールの圧力を同等にするには、第3のシールリング76のみが接触する場合のシールクランプ力に比較して、第1〜第3のシールリング74、75、76全てが接触する場合のシールクランプ力を大きくする必要がある。クランプ力を大きくするには、昇降シリンダ(図1、符号35)を大型化する必要があり、装置のコストが高くなる。
【0027】
一方、図5(b)の実施例では、第1のシールリング54はガスケット面42に接触しているが、第2、第3のシールリング55、56がガスケット面に接触しないので、第2、第3のシールリング55、56に傷が付くことがない。
また、異なる大きさのシリンダブロックであっても、第1〜第3のシールリング54、55、56いずれか一つのシールリングのみが接触するので、シールの圧力を均一にすることができる。
シールするクランプ力を過剰に大きくする必要がないので、小型の昇降シリンダ35で対応することができ、装置のコストを低減することができる。
【0028】
次にシールリング54、55、56の断面形状について説明する。
図6に示されるように、第1〜第3のシールリング54、55、56の先端部には傾斜77が設けられている。これにより、処理液が切れやすくなり、第1〜第3のシールリング54、55、56がガスケット面42に固着しない効果を得る。
【0029】
また、第1〜第3のシールリング54、55、56の下面59からの突出代は同一又はほぼ同一であり、段差L=1mmである。これにより、可撓性のシールリング54、55、56の潰れ代が確保できる。段差を小さくすることで、角部(図3(b)、符号78)のエア溜まりによる前処理への影響を低減させ、適切に前処理を実施することができる。
【0030】
なお、段差は、L=1mmに限定されず、L=1.1mm、L=1.2mmでもよく、複数あるシールリング54、55、56のうち1つのシールリングのみがガスケット面に接触し、シールリング54、55、56の潰れ代が確保でき、エア溜まりによる影響がなければ、Lの値が異なっても差し支えない。
【0031】
次に図6の別の実施形態を述べる。
図7に示されるように、カバー部材32の下面59は、平面である。カバー部材32は、下面59に、可撓性を有してガスケット面42に密着して処理液の漏れを防止する第1のシールリング81、第2のシールリング82及び第3のシールリング83を、シリンダバレルの中心63を中心とする同心円状に備え、これらの第1〜第3のシールリング81、82、83は、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心63から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられている。この高低差(段差)L=1mmである。
【0032】
なお、段差は、L=1mmに限定せず、L=1.1mm、L=1.2mmでもよく、複数あるシールリング81、82、83のうち1つのシールリングのみがガスケット面に接触し、シールリング81、82、83の潰れ代が確保でき、エア溜まりによる影響がなければ、Lの値が異なっても差し支えない。
【0033】
次に図4の別の実施形態を述べる。
図8において、図4と同様に構成されている部分は、符号を流用して詳細な説明は省略する。
小さい径のシリンダバレル43側には、径の小さいノズル61が配置されている。
大きい径のシリンダバレル67側には、径の大きいノズル84が配置されている。大きいシリンダブロック65であっても、シリンダバレル67の内面とノズル84の外面で形成される空間の体積が小さくなり、処理液が満たされる時間が短くなるので、前処理の工数を短縮することができる。
【0034】
次に異なるサイズのシリンダブロック27、65が配置されている状態を説明する。
図9に示されるように、枠体85に親パレット68が設けられ、親パレット68に第1のパレット31及び第2のパレット69が配置されている。第1のパレット31及び第2のパレット69は、自由に組み合わせを変更できるので、同種類のシリンダブロックだけでなく、異なる種類のシリンダブロックに同時に前処理を施すことができる。
【0035】
以上に述べたシリンダバレルの表面処理装置10の作用を図10に述べる。
図10において、カバー部材32、32を、矢印(7)のように移動させ、ガスケット面42、66をシールする。
【0036】
ノズル61、84から処理液を、矢印(8)のように、シリンダバレル43、67の内面に供給する。シリンダバレル43、67内に溜められた処理液の一部は、矢印(9)、(9)のように、第1の排液通路45、71から排出される。処理液の供給量は、第1の排液通路45、71から排出される量よりも多い。そのため、処理液は矢印(10)のように、シリンダバレル43、67内を上昇する。シリンダバレル43、67内に溜められた処理液の残部は、矢印(11)のように、第2の排液通路33、33から排出される。
【0037】
尚、本発明に係るシリンダバレルの表面処理装置は、実施の形態では階段部を3段にして適用したが、3段に限定されず、2段、4段等、シリンダバレルのガスケット面をシールすることができれば、シリンダバレルの種類に応じて、階段部を複数段設けて適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のシリンダバレルの表面処理装置は、シリンダバレル内面のめっきの前処理に好適である。
【符号の説明】
【0039】
10…シリンダバレルの表面処理装置、20…表面処理部、27、65…シリンダブロック、31…第1のパレット、32…カバー部材、33…第2の排液通路、42、66…ガスケット面、43、67…シリンダバレル、52…上部開口、54、81…第1のシールリング、55、82…第2のシールリング、56、83…第3のシールリング、59…下面、63…シリンダバレルの中心、64…階段部、68…親パレット、69…第2のパレット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスケット面が上になるようにして置かれている内燃機関のシリンダブロックの前記ガスケット面に、カバー部材を載せてシリンダバレルの上部開口を塞ぎ、前記シリンダバレル内へ処理液を供給して前記シリンダバレルの内面を処理するシリンダバレルの表面処理装置において、
前記カバー部材は、下面に、可撓性を有して前記ガスケット面に密着して前記処理液の漏れを防止する複数のシールリングを、前記シリンダバレルの中心を中心とする同心円状に備え、
これらのシールリングは、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられていることを特徴とするシリンダバレルの表面処理装置。
【請求項2】
前記カバー部材の下面は、前記複数のシールリングの前記下面からの突出代が同一又はほぼ同一になるように、階段形状とされていることを特徴とする請求項1記載のシリンダバレルの表面処理装置。
【請求項1】
ガスケット面が上になるようにして置かれている内燃機関のシリンダブロックの前記ガスケット面に、カバー部材を載せてシリンダバレルの上部開口を塞ぎ、前記シリンダバレル内へ処理液を供給して前記シリンダバレルの内面を処理するシリンダバレルの表面処理装置において、
前記カバー部材は、下面に、可撓性を有して前記ガスケット面に密着して前記処理液の漏れを防止する複数のシールリングを、前記シリンダバレルの中心を中心とする同心円状に備え、
これらのシールリングは、下端のレベルが、最も中心側のシールリングに対して中心から離れたシールリング程高位になるように、高低差を付けて取付けられていることを特徴とするシリンダバレルの表面処理装置。
【請求項2】
前記カバー部材の下面は、前記複数のシールリングの前記下面からの突出代が同一又はほぼ同一になるように、階段形状とされていることを特徴とする請求項1記載のシリンダバレルの表面処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−52267(P2011−52267A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201754(P2009−201754)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]