説明

シリンドリカルコームとその製造方法、それらに用いられる側板

【課題】個人差や接着剤固化時の狂いや変位なく鋸歯状ワイヤを所定の傾斜角を持つように容易かつ安定に配列、配置し固定できるようにする。
【解決手段】基台2のシリンドリカル面3上にその周方向Aに対し所定の傾斜角θを持つよう、基台2の軸方向Bでの両端面4、4に取り付けた側板6、6間に、軸方向Bに配列し固定した鋸歯状ワイヤ7を有するシリンドリカルコーム1であって、各側板6、6の一方または双方に、所定の傾斜角θを持って配列する鋸歯状ワイヤ7を所定の傾斜角θに倣わせる向きのゲージ面8を設けたことにより、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてコーマに用いられるシリンドリカルコームとその製造方法、それらに用いられる側板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーマのシリンドリカルコームは、アルミニウム系の基台のシリンドリカル面に、その周方向に向いて紡績針としての歯を連設した鋸歯状ワイヤを軸方向に配列して固定したものが古くから提供されている(例えば、特許文献1、2参照。)。一方、針先ないしは歯先がシリンドリカル面の周方向に対して所定の傾斜角を持って並ぶようにして、針や歯による繊維に対する扱き効率を高めることも周知である(例えば、特許文献1、3参照。)。現在では特許文献1に見られるような周方向に何区分かのジグザグ配置により十分な扱き効率を得ることが主流になっている。また、鋸歯状ワイヤのジグザグ配置や、周方向の何区分かに歯の種類を変えることに対応して、周方向の各区分単位で鋸歯状ワイヤを分断して配置することも行われている(例えば、特許文献2参照。)。本出願人は、図6に示すようなシリンドリカルコームを従来から提供している。このものは、基台aのシリンドリカル面に歯の周方向ピッチが大きいものから小さいものまで4種類の鋸歯状ワイヤb〜eを周方向Aに配置し、それらの配置区分ごとに鋸歯状ワイヤb〜eの同じ種類のものどうしを軸方向Bに配列しており、一例として、各配置区分ごとの各鋸歯状ワイヤb〜eにつき、周方向の一方から他方へ周方向Aに対する傾斜角θが反転する向きで軸方向Bに配列したものとしている。基台aの軸方向Bでの両端にはアルミニウム系で図7に示すように平板状の側板f、fをネジgで止めて取り付け、鋸歯状ワイヤb〜eの先端を残して両側から覆い保護するようにしている。
【特許文献1】実公昭47−15639号公報
【特許文献2】実公昭47−15642号公報
【特許文献3】実公昭47−15542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、鋸歯状ワイヤb〜eは基台aのシリンドリカル面の周方向Aに真っ直ぐ配置されると、周方向Aに走る繊維に対して先頭に続く歯が働きにくく扱き効率が低下するのに対し、周方向Aに対し所定の傾斜角θを持って配置されると、鋸歯状ワイヤb〜eの全ての歯が周方向Aに走る繊維に働き扱き効率が増大するものの、歯のピッチと傾斜角θとの関係で、傾斜角θが小さ過ぎると扱き度が高過ぎて繊維に傷を付けたり繊維切れの原因になったりするし、逆に傾斜角θが大き過ぎると扱き度が低くなり十分な扱き効率が得られない原因になったりし、カードで紡出されたスライバーを高品質化するコーマでは特に問題になる。
【0004】
しかし、鋸歯状ワイヤb〜eをその配置区分ごとに所定の傾斜角θにして軸方向Bに配列するのに向きを一義的に決められず、作業に熟練と長い時間を要する上、中には個人差が生じることもある。また、鋸歯状ワイヤb〜eの接着による固定は、基台aのシリンドリカル面に接着剤を塗布した接着剤塗布面上に鋸歯状ワイヤb〜eを配列、配置し、基台aに押圧した状態を保って、具体的には配置した鋸歯状ワイヤb〜e上に重しを載せた状態で接着剤の固化を待つが、その過程で、作業の速さや荒っぽさなどによって鋸歯状ワイヤb〜eは加圧のバランスの偏りや崩れによって側板fとの間に生じている図6に示すような傾斜角θに応じた隙間s分での非拘束状態によって傾いたり変位したりして配列、配置が狂ったり、乱れることもある。これらは、歩留まり低下、品質低下、製品コスト上昇の原因になる。
【0005】
これに、シリンドリカル面に溝を刻設して鋸歯状ワイヤを嵌めこむ方式で対応したりするのでは、基台、鋸歯状ワイヤ共に複雑化するので勢いコストが上昇する。
本発明者は、側板fは鋸歯状ワイヤb〜eを側方からの外力に対して保護し、かつ、人や物が側方から引っ掛かって巻き込まれる危険を防止する保護機能しか果たしていないが、鋸歯状ワイヤb〜eの両側直近に位置していることに着眼し、上記のような問題を解決するに到った。
【0006】
そこで、本発明の目的は、個人差や接着剤固化時の狂いや変位なく鋸歯状ワイヤを所定の傾斜角を持つように容易かつ安定に配列、配置し固定できるシリンドリカルコーム、その製造方法、それらに用いる側板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のコーマのシリンドリカルコームは、基台の軸方向両端面に取り付けた側板間で、基台のシリンドリカル面上にその周方向に対し所定の傾斜角を持つよう軸方向に配列し固定した鋸歯状ワイヤを有するコーマのシリンドリカルコームであって、各側板の一方または双方に、前記所定の傾斜角を持って配列する鋸歯状ワイヤを所定の傾斜角を持つように倣わせる向きのゲージ面を設けたことを1つの特徴としている。
【0008】
このような構成では、側板は基台の軸方向端面に取り付けられることで、基台のシリンドリカル面の周方向に対するゲージ面の傾斜向きと位置とが、基台の軸方向端面を基準に一義的に決まる。これによって、鋸歯状ワイヤをゲージ面に沿って順次軸方向に配列していくことで、個人差なく容易かつ安定に所定の傾斜角を持って迅速に配列、配置することができるし、配列、配置後の鋸歯状ワイヤはゲージ面に沿ったままであるので、接着剤が固化するまで重しなどによる基台のシリンドリカル面への押圧した状態を保つ過程で、作業の速さや荒っぽさなどが原因して配列や配置が狂ったり、変位したりし難く、両端の側板がゲージ面を持っていると軸方向に配列した鋸歯状ワイヤを両側の平行なゲージ面間に挟み持つ状態が得られて、鋸歯状ワイヤの配列や配置が狂ったり、変位したりするのを確実に防止することができる。
【0009】
このようなシリンドリカルコームは、シリンドリカル面を持った基台の軸方向両端面に側板を取り付ける工程と、基台のシリンドリカル面に接着剤を塗布する工程と、鋸歯状ワイヤを側板に形成したゲージ面に倣って基台の周方向に対し所定の傾斜角として接着剤塗布面上に軸方向に配列する工程と、配列した鋸歯状ワイヤを基台のシリンドリカル面に押圧した状態で接着剤の固化を図る工程と、を含むことを1つの特徴とするコーマのシリンドリカルコームの製造方法によって、鋸歯状ワイヤを個人差なく容易かつ安定に所定の傾斜角を持って迅速に配列、配置し、また、接着剤が固化するまで重しなどによる基台のシリンドリカル面への押圧した状態を保つ過程で配列や配置が狂ったり、変位したりし難くすることができる。
【0010】
本発明のシリンドリカルコームの製造方法は、また、シリンドリカル面を持った基台の軸方向両端面に側板を取り付ける工程と、基台のシリンドリカル面に接着剤を塗布する工程と、各側板に形成した鋸歯状ワイヤをシリンドリカル面の周方向に対し所定の傾斜角に倣わせる向きとした互いに平行なゲージ面間で鋸歯状ワイヤの向きを規正して接着剤塗布面上に軸方向に配列する工程と、配列した鋸歯状ワイヤを基台のシリンドリカル面に押圧した状態を保って接着剤の固化を図り、鋸歯状ワイヤを基台のシリンドリカル面に固定する工程と、を含むことを別の特徴とし、1つの特徴の場合に比し、特に、両端の側板がゲージ面を持って軸方向に配列した鋸歯状ワイヤを両側の平行なゲージ面間で規正し挟み持つ状態が得られて、鋸歯状ワイヤの配列や配置が狂ったり、変位したりするのを確実に防止することができる。
【0011】
前記シリンドリカルコームに加え、さらに、鋸歯状ワイヤは、周方向には、複数の区分に分断して配列され、鋸歯状ワイヤの周方向に対する傾斜角が区分によって規則的にまたは不規則的に反転し、側板のゲージ面は、各区分ごとの鋸歯状ワイヤの傾斜角の反転に対応して、周方向一方側から他方側に区分によって向きが反転していることを特徴とすることができる。
【0012】
このような構成では、上記のシリンドリカルコームの場合に加え、さらに、鋸歯状ワイヤを基台のシリンドリカル面の周方向に複数の区分に分断して配置することで、区分ごとに鋸歯状ワイヤの傾斜角や歯の種類を選択でき、周方向の一方側区分から他方側区分に順次に規則的または不規則的に傾斜角を反転させられ、傾斜角が反転する先行区分と後行区分とで、歯並びの向きが傾斜角の違いに応じ周方向に走る繊維に対し異なった扱き作用を前後して複合させ、一方側の傾斜角による扱き作用の偏りを解消または軽減することができ、規則的な反転は前記複合をきめ細かく、また均等な複合を図れるし、不規則的な反転は歯の種類などに対し規則を外した複合パターンにて自由に対応できる。
側板は、合成樹脂成形品であるものとすることができる。
【0013】
このような構成では、側板のゲージ面は、側板の基台軸方向端面への取り付け部からシリンドリカル面より外方に張り出した張り出し部の内面にシリンドリカル面側に突出して形成されることになるが、合成樹脂成形品であると金属に比し容易かつ安価に得られる。
【0014】
本発明の上記シリンドリカルコームまたはシリンドリカルコームの製造方法の発明は、また、それらに用いられる側板として、鋸歯状ワイヤが軸方向に配列され接着剤で固定するシリンドリカル面を持った基台の軸方向両端面に当てがい取り付けられて、配列されている鋸歯状ワイヤを、その軸方向両側から覆う側板であって、側板における基台のシリンドリカル面よりも上に張り出す張り出し部の内面に、基台のシリンドリカル面に軸方向に配列する鋸歯状ワイヤをシリンドリカル面の周方向に対して所定の傾斜角を持つように倣わせるゲージ面を形成したことを特徴とする発明も提案している。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシリンドリカルコームおよびその製造方法によれば、基板のゲージ面の、基台のシリンドリカル面の周方向に対するゲージ面の傾斜向きと位置とが、基台の側板を取り付ける軸方向端面を基準に一義的に決まって、鋸歯状ワイヤをゲージ面に沿って順次軸方向に配列していくことで、個人差なく容易かつ安定に所定の傾斜角を持って迅速に配列、配置でき、鋸歯状ワイヤはゲージ面による案内保持で接着剤が固化するまで基台のシリンドリカル面への押圧した状態を保つ過程で配列や配置が狂ったり、変位したりし難く、両端の側板がゲージ面を持っていると鋸歯状ワイヤを両側からの案内、保持によって鋸歯状ワイヤの配列や配置が狂ったり、変位したりするのを確実に防止することができるので、生産性に優れ、高精度で歩留まりも高く、製品コストが低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係るシリンドリカルコーム、その製造方法、それらに用いる側板の実施の形態につき、図1〜図5を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲を限定するものではない。
図1、図2、図5に示す本実施の形態のシリンドリカルコーム1は、例えば、図5に示すようなアルミニウム系で円弧形の横断面を有した基台2のシリンドリカル面3上にその周方向Aに対し図2に示すような所定の傾斜角θを持つよう、基台2の軸方向Bで見た両端面4、4に図5に示すネジ5または及び接着により取り付けた側板6、6間に、軸方向Bに配列し固定した鋸歯状ワイヤ7を有した基本構成であって、各側板6、6の一方または双方に、図2に示すような所定の傾斜角θを持って配列する鋸歯状ワイヤ7を所定の傾斜角θを持つように倣わせる向きのゲージ面8を設けている。図示例では両側板6、6の双方にゲージ面8を設けてあり、軸方向に対向し合う一対ずつのゲージ面8、8はそれぞれ図1、図3、図4に示すように互いに平行になる。
【0017】
以上のように、側板6、6は基台2の軸方向Bでの端面4、4に取り付けられることで、図1、図2に示すように基台2のシリンドリカル面3の周方向Aに対するゲージ面8の傾斜向きと位置とが、基台2の軸方向Bでの端面4、4を基準に一義的に決まる。これによって、鋸歯状ワイヤ7をゲージ面8に沿って順次軸方向Bに配列していくことで、個人差なく容易かつ安定に所定の傾斜角θを持って迅速に配列、配置することができる。また、配列、配置後の鋸歯状ワイヤ6はゲージ面8に沿ったままであるので、図5に示すように接着剤9が固化するまで作業台10上において重し11などによる基台2のシリンドリカル面3への押圧した状態を保つ過程で、作業の速さや荒っぽさなどで配列や配置が狂ったり、変位したりし難く、図示例のように両端の側板6、6がゲージ面8を持っていることで、図1に示すように軸方向Bに配列した鋸歯状ワイヤ6を両側の平行なゲージ面8、8間に挟み持つ状態が得られて、鋸歯状ワイヤ6の配列や配置が狂ったり、変位したりするのを確実に防止することができる。
【0018】
このようなシリンドリカルコーム1は、シリンドリカル面3を持った基台2の軸方向Bでの両端面4、4に側板6、6を取り付ける工程と、基台2のシリンドリカル面3に接着剤9を塗布する工程と、鋸歯状ワイヤ7を側板6、6に形成したゲージ面8に倣って基台2の周方向Aに対し所定の傾斜角θを持つようにして接着剤塗布面上に軸方向Bに配列する工程と、配列した鋸歯状ワイヤ7を基台2のシリンドリカル面3に押圧した状態で接着剤9の固化を図る工程と、を含む製造方法によって、鋸歯状ワイヤ7を個人差なく容易かつ安定に所定の傾斜角θを持って迅速に配列、配置し、また、接着剤9が固化するまで重し11などによる基台2のシリンドリカル面4への押圧した状態を保つ過程で配列や配置が狂ったり、変位したりし難くすることができる。
【0019】
以上の結果、基板6、6のゲージ面8の、基台2のシリンドリカル面3の周方向Aに対するゲージ面8の傾斜向きと位置とが、基台3の側板6、6を取り付ける軸方向Bでの端面4、4を基準に一義的に決まって、鋸歯状ワイヤ7をゲージ面8に沿って順次軸方向Bに配列していくことで、個人差なく容易かつ安定に所定の傾斜角を持って迅速に配列、配置でき、鋸歯状ワイヤ7はゲージ面8による案内保持で接着剤9が固化するまで基台2のシリンドリカル面3への押圧した状態を保つ過程で配列や配置が狂ったり、変位したりし難く、両端の側板6、6がゲージ面8を持っていると鋸歯状ワイヤ7を両側からの案内、保持によって鋸歯状ワイヤ7の配列や配置が狂ったり、変位したりするのを確実に防止することができるので、生産性に優れ、高精度で歩留まりも高く、製品コストが低減する。
【0020】
また、別の製造方法例として、シリンドリカル面3を持った基台2の軸方向Bでの両端面4、4に側板6、6を取り付ける工程と、基台2のシリンドリカル面3に接着剤9を塗布する工程と、各側板6、6に形成した鋸歯状ワイヤ7をシリンドリカル面3の周方向Aに対し所定の傾斜角θを持つように倣わせる向きとした互いに平行なゲージ面8、8間で鋸歯状ワイヤ7の向きを規正して接着剤塗布面上に軸方向Bに配列する工程と、配列した鋸歯状ワイヤ7を基台2のシリンドリカル面3に押圧した状態を保って接着剤9の固化を図り、鋸歯状ワイヤ7を基台2のシリンドリカル面3に固定する工程と、を含むことで、上記の場合に比し、特に、両端の側板6、6がゲージ面8、8を持って軸方向Bに配列する鋸歯状ワイヤ7を両側の平行なゲージ面8、8間で規正し挟み持つ状態が得られて、鋸歯状ワイヤ7の配列や配置が狂ったり、変位したりするのを確実に防止することができる。
【0021】
シリンドリカルコーム1は、さらに、鋸歯状ワイヤ7は、周方向Aには図1、図2、図5に示すように、複数の区分C、D、E、Fなどに分断して配置され、鋸歯状ワイヤ7の周方向Aに対する傾斜角θが区分C、D、E、Fなどによって図示するように1区分ごとあるいは適数区分ごとなど規則的に、または不規則的に反転し、側板6、6のゲージ面8は、各区分C、D、E、Fごとの鋸歯状ワイヤ7の傾斜角θの反転に対応して、周方向Aでの一方側から他方側に区分C、D、E、Fによって向きが反転しているようにすることができる。
【0022】
このように、鋸歯状ワイヤ7を基台2のシリンドリカル面3の周方向Aに複数の区分C、D、E、Fなどに分断して配置することで、区分C、D、E、Fなどごとに鋸歯状ワイヤ7の傾斜角θや歯の種類を選択でき、周方向Aでの一方側区分から他方側区分に順次に規則的または不規則的に傾斜角θを反転させられ、傾斜角θが反転する先行区分と後行区分とで、歯並びの向きが傾斜角θの向きの違いに応じ周方向Aに走る繊維に対し異なった扱き作用を前後して複合させ、一方側の傾斜角θのみによる扱き作用の偏りを解消または軽減することができ、規則的な反転は前記複合をきめ細かく、また均等な複合を図れるし、不規則的な反転は歯の種類などに対し規則を外した複合パターンにて自由に対応できる。
【0023】
なお、側板6,6は、合成樹脂成形品であり、金属製に比して鋸歯状ワイヤ7に対する拘束力や強度の点で劣ることに対し、図1、図3に示すようにネジ止めのための取り付け穴12を利用した中央1箇所でのネジ止めに加え、接着を併用して取り付けている。しかし、ネジ止め箇所を複数にして接着を省略することもできる。側板6のゲージ面8は図3〜図5に示すように、側板6の基台2軸方向Bでの端面4への取り付け部6aからシリンドリカル面4より外方に張り出した張り出し部6bの内面にシリンドリカル面3側に図3に示すように突出して形成された立体形状になるが、合成樹脂成形品であることにより金属に比し容易かつ安価に得られる。
【0024】
ここで、上記シリンドリカルコーム1またはその製造方法は、それらに用いられる側板6、6として、鋸歯状ワイヤ7が軸方向Bに配列され接着剤9で固定するシリンドリカル面3を持った基台2の軸方向Bでの両端面4、4に当てがい取り付けられて、配列されている鋸歯状ワイヤ7を、その軸方向Bでの両側から覆う側板6、6であって、側板6、6における基台2への取り付け部6aからシリンドリカル面3よりも上に張り出す張り出し部6bの内面に、基台2のシリンドリカル面3に軸方向Bに配列する鋸歯状ワイヤ7をシリンドリカル面3の周方向Aに対して所定の傾斜角θを持つように倣わせるゲージ面8を形成したものとして提供しており、これを単独にユーザに提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、コーマの鋸歯状ワイヤを所定の傾斜角を持つように配列したシリンドリカルコームに実用して、高精度なものを安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係るシリンドリカルコームの1つの例を示す斜視図である。
【図2】図1のシリンドリカルコームの一端部を示す平面図である。
【図3】図1のシリンドリカルコームに用いている両側の側板の斜視図である。
【図4】図3の側板の平面図である。
【図5】図1のシリンドリカルコームの一部を断面して見た側面図である。
【図6】従来のシリンドリカルコームの一端部を示す平面図である。
【図7】図6のシリンドリカルコームに用いている両側の側板の斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
1 シリンドリカルコーム
2 基台
3 シリンドリカル面
4 端面
5 ネジ
6 側板
7 鋸歯状ワイヤ
8 ゲージ面
9 接着剤
10 作業台
11 重し
12 取り付け穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台の軸方向両端面に取り付けた側板間で、基台のシリンドリカル面上にその周方向に対し所定の傾斜角を持つよう軸方向に配列し固定した鋸歯状ワイヤを有するシリンドリカルコームであって、
各側板の一方または双方に、前記所定の傾斜角を持って配列する鋸歯状ワイヤを所定の傾斜角を持つように倣わせる向きのゲージ面を設けたことを特徴とするシリンドリカルコーム。
【請求項2】
鋸歯状ワイヤは、周方向には、複数の区分に分断して配置され、鋸歯状ワイヤの周方向に対する傾斜角が区分によって規則的または不規則的に反転し、側板のゲージ面は、各区分ごとの鋸歯状ワイヤの傾斜角の反転に対応して、周方向一方側から他方側に区分によって向きが反転している請求項1に記載のシリンドリカルコーム。
【請求項3】
側板は、合成樹脂成形品である請求項1、2のいずれか1項に記載のシリンドリカルコーム。
【請求項4】
シリンドリカル面を持った基台の軸方向両端面に側板を取り付ける工程と、基台のシリンドリカル面に接着剤を塗布する工程と、鋸歯状ワイヤを側板に形成したゲージ面に倣って基台の周方向に対し所定の傾斜角として接着剤塗布面上に軸方向に配列する工程と、配列した鋸歯状ワイヤを基台のシリンドリカル面に押圧した状態で接着剤の固化を図る工程と、を含むことを特徴とするシリンドリカルコームの製造方法。
【請求項5】
シリンドリカル面を持った基台の軸方向両端面に側板を取り付ける工程と、基台のシリンドリカル面に接着剤を塗布する工程と、各側板に形成した鋸歯状ワイヤをシリンドリカル面の周方向に対し所定の傾斜角に倣わせる向きとした互いに平行なゲージ面間で鋸歯状ワイヤの向きを規正して接着剤塗布面上に軸方向に配列する工程と、配列した鋸歯状ワイヤを基台のシリンドリカル面に押圧した状態を保って接着剤の固化を図り、鋸歯状ワイヤを基台のシリンドリカル面に固定する工程と、を含むことを特徴とするシリンドリカルコームの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜3のシリンドリカルコームまたは請求項4、5のシリンドリカルコームの製造方法に用いられ、鋸歯状ワイヤが軸方向に配列され接着剤で固定するシリンドリカル面を持った基台の軸方向両端面に当てがい取り付けられて、配列されている鋸歯状ワイヤを、その軸方向両側から覆う側板であって、側板における基台のシリンドリカル面よりも上に張り出す張り出し部の内面に、基台のシリンドリカル面に軸方向に配列する鋸歯状ワイヤをシリンドリカル面の周方向に対して所定の傾斜角を持つように倣わせるゲージ面を形成したことを特徴とする側板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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