説明

シロアリの駆除方法

【課題】駆除装置内に誘導したシロアリの駆除剤を喫食する行動を活発化させて有効成分の摂取効率を改善し、シロアリ群(営巣群)全体を殺滅して駆除を完了するまでに要する処理時間を可及的に短くし、好ましくは3ヶ月未満という短い期間で行なえる効率の良いシロアリ駆除方法とすることである。
【解決手段】駆除有効成分を含有すると共に粉末化されかつ蒸煮された木材からなる蒸煮材(粒径100〜10メッシュ)およびセルロース系賦形剤を含有する粉剤1または打錠成形された錠剤2を準備し、一方、開放性の容器3の底板5を通水可能に設け、この底板5を砂地層8に設置し、この錠剤2を容器3に多数個収容し、その上に粉剤1を所定量振りかけた後、少なくとも粉剤1に水が流出しない量の水を含ませて施用するシロアリの駆除方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シロアリを誘引し駆除するシロアリの駆除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木造建築物などを食害してその強度や耐久性を低下させるシロアリの駆除および食害の予防のために、種々のシロアリ駆除剤が開発されている。
【0003】
シロアリが好んで食害する天然素材または合成素材に対して殺虫有効成分を含有させた毒餌剤を用いた駆除方法は、ヒトの生活環境や自然環境に対し殺虫成分を必要以上に拡散させることがなく駆除できる点で殺虫薬剤の散布に比べて有利である。
【0004】
このようなシロアリ駆除用毒餌剤を用いた駆除方法に拠れば、シロアリが毒餌を喫食するか、または齧るなどの摂食行動によって、殺虫有効成分を体内に取込み、巣へ持ち帰らせて死に至ることができ、また帰巣時にグルーミング等の行動によって他の個体にも殺虫有効成分を伝搬させることが期待できるから、シロアリの群れ(巣)全体を壊滅できる。
【0005】
ところで、シロアリを誘引し駆除する場合に、生息しているシロアリをいかにして忌避させることなく駆除剤を設置した装置内に誘導できるかについては工夫がなされている。
【0006】
例えば、駆除装置にシロアリの導入口を形成した際、このシロアリの導入口に導入補助餌材を挿入して設けたシロアリ駆除装置が知られている。導入補助餌材としては、段ボールに湿り気を与えて使用するとシロアリを導入口から容器内に効率よく導入させることができる。
【0007】
因みに、殺虫用毒餌剤の製剤例としては、粉剤(散薬)、顆粒剤、ブロック型成形体などがあり、添加されている賦形剤や増量剤の成分は、ホワイトカーボン、ケイソウ土、カオリン、タルク、クレー、結晶セルロース、炭酸カルシウム、ベントナイト、ゼオライト、セピオライト、アタパルジャイトなどである(特許文献1)。
【0008】
また、シロアリの喫食性が高まるように、木質系粉粒体を含有させ、さらに粒径2mm以上に造粒調整した毒餌剤を用いる駆除方法も知られている(特許文献2)。
【0009】
このようにシロアリ駆除方法については、駆除装置内に誘導し、その喫食性を高めて効率よくシロアリを壊滅する工夫がなされている。
【0010】
【特許文献1】特開2000−189031号公報(段落番号「0029」)
【特許文献2】特開2004−168693号公報(段落番号「0010」)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上記した従来のシロアリ駆除方法では、駆除装置内に誘導した後に駆除剤を摂取する喫食行動での有効成分の摂取効率が悪く、そのためにシロアリの群れ(営巣群)全体を殺滅して駆除を完了するまでには、通常、3〜12ヶ月を要する。
【0012】
特に、長期の駆除処理期間として冬季を挟む期間、いわゆる越年の長期処理期間となる場合があり、そのような場合にはシロアリの摂食率が低下するため、短時間に駆除処理を行なうことが容易なことではなかった。
【0013】
また、長期の駆除処理期間中において駆除剤にカビが生える場合があり、そのような場合にはさらに喫食効率が低下する。
【0014】
また、セルロース系賦形剤を含有してブロック形状などに成形された駆除剤を用いると、その表面が滑らかな滑面である程度撥水するので、雨水などに接触すると表面張力で水滴が形成されるか、または錠剤の表面に水の膜が形成され、そのような水滴または水面にシロアリが接触すると、表面張力で虫体が水面に引き寄せられて張り付いた状態となりトラップされて動けなくなってしまうため、シロアリは本能的に水面に対する忌避行動をとり、駆除の効率も低下するという問題点がある。
【0015】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、駆除装置内に誘導したシロアリの駆除剤を喫食する行動を活発化させて有効成分の摂取効率を改善し、シロアリ群(営巣群)全体を殺滅して駆除を完了するまでに要する処理時間を可及的に短くし、好ましくは3ヶ月未満という短い期間で行なえる効率の良いシロアリ駆除方法とすることである。
【0016】
また、特にシロアリ駆除方法において、駆除剤に水を含ませてシロアリに喫食させる際に、シロアリが忌避行動を採らないで効率の良いシロアリ駆除方法とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、この発明では、駆除有効成分を含有すると共に粉末化されかつ蒸煮された木材からなる蒸煮材およびセルロース系賦形剤を含有する粉剤または打錠成形された錠剤を準備し、この錠剤を開放性容器に多数個収容し、その上に前記粉剤を所定量振りかけた後、少なくとも粉剤に水を含ませて施用するシロアリの駆除方法としたのである。
【0018】
上記した工程からなる駆除方法によると、錠剤の表面に付着した粉剤の成分のうち、主として蒸煮材が水分を速やかに吸収し、錠剤の表面に水滴を形成させずに比較的多くの水分を含む駆除剤となり、シロアリは水滴に対する忌避行動を起こさずによく喫食する。また、蒸煮材は含水によって適度な硬さとなってシロアリの喫食性を高める。
【0019】
ここで、駆除剤に含有されている蒸煮材は、木材が水蒸気で充分に加熱されたことによって細胞壁が軟化し、また原料の木材に含まれていた細菌類が高温の水蒸気に接することで死滅しているものであるから、その腐敗やカビの発生は抑制されている。
【0020】
このような蒸煮材は、脂質も分離されていて生の木材よりも吸水しやすいから、吸水するとさらに柔らかくなってシロアリが喫食しやすい。さらに蒸煮材は、伐採直後の新鮮な木材に含まれるシロアリ忌避成分が、加熱水蒸気で洗浄されたことによって除去されており、シロアリの誘引性の高いものとなっている。
【0021】
蒸煮処理によって木材のシロアリ誘引性が高まる理由は、本来、樹木には生体防御機能としてのシロアリの忌避成分が含まれているが、それが加熱水蒸気で流出除去されること、一方、誘引成分は加熱水蒸気で流出せずに残存し、相対的にシロアリの嗜好する成分の濃度が高まることによるとも考えられる。
【0022】
そして、このような蒸煮材は、シロアリが齧りとって喫食する必要がない粒径に粉末化されていることにより、嗜好性が高く、実際に喫食される速度も従来餌材の木材片や段ボール材等に比べて格段に早いものである。
【0023】
上記のように喫食の速度に好ましい作用を奏する蒸煮材としては、粒径100メッシュ(=147μm)から10メッシュ(=1.651mm)の範囲程度の粉末状蒸煮材を採用することが好ましい。
【0024】
また、本願の発明者は、シロアリの生態観察から、表面が比較的滑らかなものを積極的に齧らないが、表面が比較的粗いのもについて齧るというシロアリの性質を発見し、この性質を利用して、錠剤の表面に付着させた粉末状シロアリ誘引性駆除剤によって、シロアリの喫食行動を積極化できることを見出した。
【0025】
そのため、本願のシロアリの駆除方法では、前記の粉剤を所定量振りかけた後、少なくとも粉剤に水を含ませて施用する。
【0026】
粉剤に水を含ませる際には、粉剤から水が流出しない程度に水を含ませることが好ましい。粉剤に水を含ませると、錠剤の表面に付着した粉剤の成分のうち、主として蒸煮材が水分を速やかに吸収し、さらにセルロース系賦形剤も吸水するので、錠剤の表面に水滴を形成せずに粉剤および錠剤に比較的多くの水分が保持される駆除剤となり、シロアリは水滴に対する忌避行動を起こさずによく喫食する。また、吸水した蒸煮材は適度な硬さとなってシロアリの喫食性を高める。
【0027】
このように水は、蒸煮材に染み込ませて誘引性があるばかりでなく、蒸煮材に接触通過して流出した水にもシロアリの誘引性成分が含まれており、錠剤やその周囲に染み込ませた水を駆除剤の周囲の広い範囲に染み込ませることで、シロアリが誘引され、同じ様に水の染み込んだ粉末状シロアリ誘引性駆除剤や、さらには錠剤としても喫食行動がスムーズになる。
【0028】
したがって、開放性容器の底面を通水可能に設け、この底面を砂地層に設置する要件を付加した上述のシロアリの駆除方法であることも好ましい。
【0029】
このようにすると、粉剤や錠剤の吸水量を超えて水を加えても粉剤から流れ出した余剰の水が駆除剤の周囲に溜まらず砂地に染み込み、常に粉剤から水が流出しない程度に水が含まれたシロアリの駆除方法を確実に実行できる。
【発明の効果】
【0030】
この発明は、駆除有効成分、好適に所定粒径の蒸煮材およびセルロース系賦形剤を含有する粉剤または打錠成形された錠剤を準備し、開放性容器に多数個収容した錠剤上に粉剤を所定量振りかけた後、粉剤に水を含ませて施用するようにしたので、駆除装置内での有効成分の摂取効率が改善され、シロアリの群れ(営巣群)全体を殺滅して駆除を完了する時間が短くなり、好ましくは従来の駆除期間より短い3ヶ月未満または1〜2ヶ月で処理できるシロアリ駆除方法となる利点がある。
【0031】
また、駆除剤に水を含ませてシロアリに喫食させる場合に、シロアリが忌避行動を採らないシロアリ駆除方法となる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
この発明の実施形態の駆除方法を以下に添付図面を参照して説明する。
図1、2に示すように、この発明では、先ず駆除有効成分を含有すると共に粉末化されかつ蒸煮された木材からなる蒸煮材およびセルロース系賦形剤を含有する粉剤1、打錠成形された錠剤2および開放性の容器3を準備する。
【0033】
この発明に用いる開放性の容器3は、シロアリの出入りが可能であり、また過剰な水分は排水されるように周知の開放された構造であればよく、例えば長方形状の木枠4とゴム板等の底板5および蓋板6からなる。容器3の木枠4は、木製部品を継ぎ合わせて形成することが好ましく、木製部品同士の間には、段ボール紙(図示せず。)を介して2つ以上の木製部品を接着一体化している。このように容器3の木枠4の要所に段ボール紙を介在させる際、段ボール紙を構成する2枚の板紙間の波状紙が蟻道に似た通路を容器3の内外を通じるように配置できる。これによりシロアリ7の容器3内への進入行動が活発になる。
【0034】
ゴム板製の底板5は、要所に適当な大きさの通水孔(図示せず。)を形成した耐水性のある素材からなるものであり、粉剤1や錠剤2の容器3内への収容性を確保すると共に、容器3内への水分の供給過剰による水没を防止している。
ゴム板製の蓋板6は、防水性や断熱性のある素材からなることが好ましく、容器3の上部開口からの雨水などの浸入を防止し、また断熱性により容器3内温度の外気温度との連動を抑制し、また容器内外の空気流動を防止する役目も持たせる。
【0035】
駆除対象のシロアリの種類は、特に限定された種類ではなく、例えばヤマトシロアリ、イエシロアリ、ダイコクシロアリ、アメリカカンザイシロアリ、サツマシロアリ、カタンシロアリ、タイワンシロアリ、タカサゴシロアリその他のシロアリ類が挙げられる。
【0036】
駆除有効成分を例示すると、ヒドラメチルノン、スルフルミド(sulfluramid)、アバメクチン(abamectin) 、ホウ酸、ホウ酸塩またはそのエステル、アセタムプリド(acetamprid)やニテンピラム(nitenpyram)等のネオニコチノイド系化合物、クロロフェナピール(chlorfenapyr)等のフェニルピロール系化合物、フェニルピラゾール系化合物、オキサゾール系のエトキサゾール(etoxazole)があり、特に昆虫成長抑制剤の例としては、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron) 、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ビストリフルロン(Bistrifluron)があり、またクロロフズアズロン(chlorfluazuron)等のキチン合成阻害剤、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、ヒドロフェン(hydrophen)、メトプレン(methoprene)およびフェノキシカルブ(fenoxycarb)等の幼若ホルモン様活性化合物などが遅効性の殺シロアリ剤であって好ましいものとして挙げられる。
【0037】
この発明に用いるセルロース系賦形剤は、結晶セルロース、発泡セルロース粒、カルボキシメチルセルロース(CMC)、その他のセルロース系材料からなり、前記結晶セルロースは、木材パルプを酸加水分解して得られ、非結晶部分を除去して純粋な結晶部分だけを取り出すよう工業的に生産されるセルロースである。これらの成分の他にも必要に応じて周知の結合剤を添加し、適度な硬さに調製して打錠することもできる。
【0038】
この発明に用いる蒸煮材は、粉末化されかつ蒸煮された木材からなるものであり、原料とする木材に対して水蒸気で十分に加熱する処理を行なったものである。蒸煮の温度や圧力の条件は、蒸煮機の性能や木材の種類に対応して適宜に設定すればよいが、そのような蒸煮の目的として、細胞壁を軟化させ繊維を柔らかくし、また原料に含まれる細菌を死滅させ、腐敗やカビの発生を防止することが達成される。
【0039】
蒸煮処理の原料とする木材は、特に樹木の種類を限定せずに使用することができ、例えば広葉樹ばかりでなく針葉樹も使用することができるが、このうちシロアリが摂食を好む比較的柔らかい木質材が好ましい。
【0040】
そして、蒸煮材は、最終的に粉末化されている状態に仕上げたものを使用するが、粉末化した後で蒸煮および乾燥操作を行なう方が、製造の効率がよく好ましい。
【0041】
粉末化されかつ蒸煮された木材からなる蒸煮材は、粒径100〜10メッシュの蒸煮材であることが好ましい。なぜなら、粒径100メッシュ(粒径147μm)未満の小径では、シロアリの喫食行動には小さすぎて却って摂取効率が悪くなり、10メッシュ(1651μm)を超える大粒径では、シロアリが何度も齧らなければ喫食できなくなり、この場合も摂取効率が悪くなって好ましくないからである。
【0042】
この発明のシロアリ誘引性駆除剤における粉剤または打錠成形された錠剤からなるシロアリ誘引性駆除剤中の蒸煮材の配合割合は、5〜50重量%とすることが好ましい。なぜなら、5重量%未満の少量では、シロアリによる喫食の速度が遅くなって好ましくなく、50重量%を超える配合量では、打錠成形によって定型での成形が困難になって好ましくないからである。
【0043】
このような異なる2種類の製剤形態において、蒸煮材の配合割合は、錠剤より粉剤の場合の方が2〜7倍(重量比)、好ましくは4〜6倍程度多く設定することが、複合駆除剤のシロアリ誘引性を効率よく高めるために好ましい。
【0044】
配合された粉体原料を混合し、打錠された毒餌剤は、代表例として図示した円盤状の錠剤2の他、球状、多角柱状、球、楕円球などの周知形状のものが挙げられるが、特にその形状を限定する必要はなく、その大きさも最大径もしくは最長部の長さを粒径と定義して5〜100mm程度のものであればよく、好ましくは20〜50mm程度の大きさのものが扱いやすく好ましいものである。
【0045】
次いで、図1に示すように、長方形状の木枠4とゴム板製底板5からなる開放性の容器3を砂地層8などの水捌けのよい地面に、上面の開口が露出できるように埋設し、その開口から容器3内に錠剤2をランダムに積み重ねて入れ、さらにその上から粉剤1を全体に均一に振りかけて錠剤の表面、少なくとも上面を覆うようにする。
【0046】
そして、粉剤1の上から水を均等に注ぐか、または霧吹き器などで噴霧して粉剤1全体に充分に水を含ませ、錠剤2にも粉剤1を介して水を供給するようにし、最終的には粉剤1から水が流出しない程度の水の量を全体(粉剤1および錠剤2)に吸水させる。
【0047】
このようにすると、粉剤1は、その成分の蒸煮材などに水を多く含んでいても表面に水滴を形成せず、錠剤2だけを容器3に入れた場合に比べてシロアリの誘引性は高まり、また適当な硬さになってシロアリの喫食性を高める。
【0048】
また、錠剤2も蒸煮材が水分を速やかに吸収し、さらにセルロース系賦形剤も吸水するので、比較的多くの水分が保持される駆除剤となり、特に蒸煮材は含水によって適度な硬さとなり、錠剤2の全体も柔らかくシロアリの喫食性を高めるものになり、シロアリは忌避行動を起こさずによく喫食する。
【0049】
蒸煮材は、細胞壁が軟化していて繊維が柔らかく、また原料に含まれる細菌は死滅しているので、粉剤1および錠剤2の腐敗やカビの発生は防止される。
【実施例】
【0050】
駆除有効成分であるビストリフルロンを1.0重量%濃度となるように溶剤に溶解し、これに蒸煮材の粉末(杉材の粉末:粒径60メッシュ)15重量%とを混合した後、結晶セルロース84重量%を混合し、直径30mm、厚さ5mmの円盤状に打錠成形して錠剤(図2参照)を成形した。
【0051】
また、駆除有効成分であるビストリフルロンを1.0重量%濃度となるように溶剤に溶解し、これに蒸煮材粉末(杉材の粉末:粒径60メッシュ)50重量%とを混合した後、結晶セルロース49重量%を混合し、粉剤を製造した。
【0052】
実施形態に用いた図1に示す構造の容器3に、実施例の錠剤2を90gを入れ、さらにその上から実施例の粉剤1を30gを全体に均一に振りかけ、その上から水250gを均等に噴霧し、これを2004年の9月16日にシロアリの食害のある木製建物付近の地面に雨除けのゴム板製の蓋板6をした状態で埋設した。
【0053】
これを1週間毎に観察し、食害された錠剤と粉剤を新しいもの(錠剤90gと粉剤30g)に交換しながら、3週間観察したところ、職蟻が減少し、そのまま駆除剤(錠剤と粉剤)を取り替えずに観察を続けたところ、その後の食害は認められずに兵蟻が減少し、試験開始2ヶ月未満(55日後)の11月10日には食害のある木製建物の被害部にシロアリの生存が認められなくなった。
【0054】
その際の粉剤または打錠成形された錠剤からなるシロアリ誘引性駆除剤の総消費量は、287gであり、これは有効成分のビストリフルロン1.43gに相当する量であった。
【0055】
一方、長方形状の木枠とゴム板製底板からなる開放性容器に、比較例の錠剤90gを入れ、さらにその上から実施例の粉剤30gを全体に均一に振りかけ、その上から水250gを均等に噴霧し、これを地面に雨除けのゴム板製の蓋をした状態で埋設したところ、1週間後に一部カビの発生が見られ、その部分は蟻土で覆われている状態が認められ、それ以後の駆除剤に食害は認められなかった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】誘引駆除効果の試験装置の断面図
【図2】実施形態に用いた錠剤の斜視図
【符号の説明】
【0057】
1 粉剤
2 錠剤
3 容器
4 木枠
5 底板
6 蓋板
7 シロアリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆除有効成分を含有すると共に粉末化されかつ蒸煮された木材からなる蒸煮材およびセルロース系賦形剤を含有する粉剤または打錠成形された錠剤を準備し、この錠剤を開放性容器に多数個収容し、その上に前記粉剤を所定量振りかけた後、少なくとも粉剤に水を含ませて施用するシロアリの駆除方法。
【請求項2】
蒸煮材が、粒径100〜10メッシュの粉末状蒸煮材である請求項1に記載のシロアリの駆除方法。
【請求項3】
粉剤に水を含ませる際、粉剤から水が流出しない量の水を含ませる請求項1または2に記載のシロアリの駆除方法。
【請求項4】
開放性容器の底面を通水可能に設け、この底面を砂地層に設置する請求項1〜3のいずれかに記載のシロアリの駆除方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−254765(P2006−254765A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75489(P2005−75489)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000250018)有恒薬品工業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】