説明

シンガス分圧を制御することによる、混合配位子ヒドロホルミル化プロセスにおけるノルマル:イソアルデヒド比の制御

ノルマル(N)アルデヒド及びイソ(I)アルデヒドを、或るN:I比で製造するヒドロホルミル化プロセスの制御方法であって、このプロセスが、オレフィン性不飽和化合物、例えばプロピレンを、合成ガス並びに遷移金属、例えばロジウム並びにオルガノポリホスファイト及びオルガノモノホスファイト配位子を含む触媒と接触させることを含み、前記接触を、合成ガス分圧を含むヒドロホルミル化条件で実施し、前記方法が、第一反応ゾーン内で合成ガス分圧を上昇させてN:I比を減少させるか又は第一反応ゾーン内で合成ガス分圧を低下させてN:I比を増加させることを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒドロホルミル化プロセスに関する。一面において、本発明は、遷移金属(例えばロジウム)、触媒を使用するヒドロホルミル化プロセスの直鎖対分枝鎖異性体比を制御することに関し、一方、別の面において、本発明は、前記金属を、2種のホスファイト配位子の混合物を使用して可溶化させる、プロセスに関する。更に別の面において、本発明は、プロセスのシンガス分圧を制御することによって、配位子の分解無しにアルデヒド生成物の直鎖対分枝鎖異性体比を制御することにある。
【背景技術】
【0002】
可変性のノルマル(即ち直鎖)対イソ(即ち分枝鎖)指数(VNI)ヒドロホルミル化プロセスは、ノルマル:イソアルデヒド生成物混合物中の調節可能な選択率を可能にするために、2種のホスファイト配位子の混合物を使用する。特に、三成分触媒系は、遷移金属、典型的にはロジウム(Rh)、オルガノポリホスファイト配位子、典型的にはオルガノビスホスファイト配位子(obpl)及びオルガノモノホスファイト配位子(ompl)を使用する。ここで、オルガノモノホスファイト配位子対ロジウム(ompl:Rh)モル比は、典型的には5超対1(>5:1)に維持され、そしてオルガノビスホスファイト配位子対ロジウム(obpl:Rh)モル比は、0:1と1:1との間で制御して、obpl:Rhモル比(典型的には、プロピレンについて20と40との間である)について得られるものに対して、単独でompl:Rh(典型的には、1と5との間である)に基づいて得られる範囲に亘ってN:Iを制御する。従来のN:Iの制御方法は、オルガノビスホスファイト配位子対ロジウム比を制御することにある。特に、N:Iを低下させるための方法は、酸化及び加水分解による配位子の自然分解によってオルガノビスホスファイト配位子の濃度を低下させることである。しかしながら、この方法に伴う障害は、オルガノビスホスファイト配位子の自然分解が遅い、即ち時間を要することである。オルガノビスホスファイト配位子の分解速度を増加させることは知られているが、この方法はプロセスの費用を増加させる。興味深いのは、高価なオルガノビスホスファイト配位子を分解させることなく、N:Iを制御する方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一つの態様において、本発明は、ノルマル(N)アルデヒド及びイソ(I)アルデヒドを、或るN:I比で製造するヒドロホルミル化プロセス(例えばWO第2008/115740A1号明細書中に記載されているプロセス)の制御方法であって、このプロセスは、オレフィン性不飽和化合物を、合成ガス(synthesis gas)(シンガス(syngas)としても知られており、即ち一酸化炭素及び水素)並びに遷移金属、好ましくはロジウム並びにオルガノポリホスファイト、好ましくはオルガノビスホスファイト及びオルガノモノホスファイト配位子からなる触媒と接触させることからなり、この接触は、一酸化炭素分圧を含むヒドロホルミル化条件で実施され、この方法は、合成ガス分圧を上昇させてN:I比を減少させるか又は合成ガス分圧を低下させてN:I比を増加させることを含む方法である。
【0004】
一つの態様において、本発明は、ノルマル(N)アルデヒド及びイソ(I)アルデヒドを、或るN:I比で製造する、ヒドロホルミル化プロセスの改良された制御プロセスであって、このプロセスが、オレフィン性不飽和化合物を、合成ガス並びに遷移金属、好ましくはロジウム並びにオルガノポリホスファイト、好ましくはオルガノビスホスファイト及びオルガノモノホスファイト配位子を含む触媒と接触させることを含んでなり、この接触は、反応ゾーン内で、ヒドロホルミル化条件で実施され、前記改良が、この合成ガスを反応ゾーンに一定速度で供給することを含んでなるプロセスである。現在のヒドロホルミル化プロセスでは、合成ガスは変動する速度で供給されている、即ち、合成ガスは反応ゾーン内の合成ガスの分圧における変動に応答して供給されている。
【発明を実施するための形態】
【0005】
元素の周期表に対する全ての参照は、CRC Press, Inc.により2003年に刊行され、著作権が取得されている元素の周期表を参照する。また、族又は複数の族に対する任意の参照は、族に番号を付けるためのIUPACシステムを使用するこの元素の周期表中に反映されている族又は複数の族であるものとする。反対の記述、文脈からの暗示又は当該技術分野における慣行のない限り、全ての部及びパーセントは重量基準であり、全ての試験方法は本件開示の出願日現在のものである。米国特許手続の目的のために、任意の参照された特許、特許出願又は刊行物の内容は、特に、合成技術の開示、定義(本件開示において特に与えられた全ての定義とは矛盾しない範囲まで)及び当該技術分野における一般的知識に関して、それらの全部が参照により含められる(又は、その対応する米国版が、参照によりそのように含められる)。
【0006】
全てのパーセント、好ましい量又は測定値、範囲及び終点は、包括的である。即ち「10以下」は、10を含む。「少なくとも」は、「以上」に等価であり、従って、「最大」は、「以下」に等価である。数字は、他の方法で特に記載しない限り、近似値である。「少なくとも」、「よりも大きい」、「以上」又は同様に記載されたパラメーターから、「最大」、「まで」、「よりも小さい」、「以下」又は同様に記載されたパラメーターまでの全ての範囲は、それぞれのパラメーターについて示される好ましさの相対程度に無関係に好ましい範囲である。従って、最も好ましい上限と組み合わせられた有利な下限を有する範囲は、本発明の実施のために好ましい。用語「有利な」は、必要なものよりも大きい好ましさの程度を示すために使用されるが、よりも小さいものは、用語「好ましくは」によって示される。とりわけ、試薬の相対量及びプロセス条件について、本明細書において数値範囲が示される。
【0007】
ヒドロホルミル化プロセス、その試薬、条件及び装置は公知であり、その他の文献の中でも、米国特許第4,169,861号、同第5,741,945号、同第6,153,800号、同第7,615,645号、欧州特許第0 590 613 A2号及び国際出願公開第WO2008/115740A1号中に記載されている。典型的には、オレフィン性不飽和化合物、例えばプロピレンが合成ガス、即ち一酸化炭素(CO)及び水素(H)と共に、遷移金属、好ましくはロジウム並びにオルガノポリホスファイト、好ましくはオルガノビスホスファイト及びオルガノモノホスファイト配位子を含む三成分触媒と共に、直列に連結された多反応器システム(即ち第一反応ゾーンの排出物が、次の反応ゾーンへの装入物として供給される)の中に供給される(この接触はヒドロホルミル化条件で行われる)。この処理技術は、従来のヒドロホルミル化プロセスにおいて使用される公知の処理技術のいずれに対応していてもよい。例えば、このプロセスは、所望により、液体状態又は気体状態で、連続式、半連続式又は回分式で実施することができ、液体再循環及び/若しくは気体再循環運転又はこのようなシステムの組合せを含むことができる。同様に、反応成分、触媒及び溶媒の添加の方式又は順序も、臨界的ではなく、任意の従来の方式で達成することができる。
【0008】
本発明のプロセスにおいて適切に使用されるオレフィン性不飽和化合物は、ヒドロホルミル化プロセスに関与して、対応するアルデヒド生成物(単数又は複数)を製造することができ、蒸発によって粗製液体ヒドロホルミル化生成物流から分離することができるものである。本発明の目的のために、「オレフィン」は、少なくとも炭素原子及び水素原子を含有し、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(C=C)を有する脂肪族有機化合物として定義される。好ましくは、このオレフィンには、1個又は2個の炭素−炭素二重結合、更に好ましくは1個の炭素−炭素二重結合が含まれる。この二重結合(単数又は複数)は、炭素鎖に沿った末端位置(α−オレフィン)又は鎖に沿った任意の内部位置(内部オレフィン)に配置されていてよい。任意的に、このオレフィンは、例えば窒素、酸素並びにハロゲン、好ましくは、塩素及び臭素を含む、炭素及び水素以外の元素を含んでいてよい。このオレフィンは、また、例えばヒドロキシ、アルコキシ、アルキル及びシクロアルキル置換基を含む官能性置換基によって置換されていてよい。好ましくは、本発明のプロセスにおいて使用されるオレフィンは、合計で3〜10個の炭素原子を有する置換又は非置換のオレフィンからなる。本発明のプロセスのために適している例示的オレフィンには、限定することなく、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン及びデセンのモノオレフィンの異性体(特別の限定されない例には、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン及び1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセンが含まれ並びにヘプテン、オクテン、ノネン及びデセンについて同様に含まれる)が含まれる。適切なオレフィンの他の限定されない例には、2−メチルプロペン(イソブチレン)、2−メチルブテン、シクロヘキセン、ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1−ヘキセン、スチレン、4−メチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、3−フェニル−1−プロペン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン並びにアルケノール、例えばペンテノール;アルケナール、例えばペンテナール;アリルアルコール、酪酸アリル、ヘキス−1−エン−4−オール、オクト−1−エン−4−オール、酢酸ビニル、酢酸アリル、酢酸3−ブテニル、プロピオン酸ビニル、プロピオン酸アリル、メタクリル酸メチル、ビニルエチルエーテル、ビニルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、3−ブテンニトリル、5−ヘキセンアミド及びジシクロペンタジエンを含むためのこのような種が含まれる。このオレフィンは、また、同様の又は異なった分子量又は構造のオレフィンの混合物(任意的に、不活性物質、例えば対応する飽和アルカンを含有する)であってよい。
【0009】
好ましくは、本発明のプロセスにおいて使用されるオレフィン流(stream)は、ブテン−1、ブテン−2、イソブチレン、ブタン及び任意的にブタジエンを含むC4ラフィネートI又はC4ラフィネートII異性体混合物を含んでなる。C4ラフィネートI流は、15〜50重量%のイソブチレン及び40〜85重量%のノルマルブテンを含み、100%までの任意の残りは、主としてn−ブタン及びイソブタンを含む。ノルマルブテンは、一般的に、ブテン−1及びブテン−2(シス−及びトランス−形)の混合物である。流成分の相対比率は、石油供給物の組成、スチームクラッキング又は接触分解運転において及びそれからC4流が誘導される次のプロセス工程において使用される条件に依存する。C4ラフィネートII流は、15〜55体積%の1−ブテン、5〜15体積%の2−ブテン(5〜35体積%のトランス−2−ブテン)、0.5〜5体積%のイソブチレン及び1〜40体積%のブタンを含む。更に好ましくは、このオレフィン流は、プロピレン又はプロピレン及びプロパン及び他の不活性物質の混合物を含む。
【0010】
本発明のヒドロホルミル化工程のために、水素及び一酸化炭素も必要である。これらのガスは、石油クラッキング及び精製運転を含む任意の利用可能な源泉から得ることができる。合成ガス混合物が、好ましく使用される。気体状水素の一酸化炭素に対するH:COモル比は、好ましくは1:10〜100:1の範囲であってよく、更に好ましいH:COモル比は、1:10〜10:1、なお更に好ましくは2:1〜1:2である。このガスは、一般的に、ドルトンの法則を使用して、(ガスクロマトグラフィーによって測定されたときの)気相中のそれらのモル分率及び全圧に基づく反応器内のそれらの分圧によって定量される。本発明の文脈中に使用されるとき、「シンガス分圧」は、COの分圧とHの分圧との合計である。
【0011】
遷移金属−配位子錯体触媒を形成する適切な金属には、ロジウム(Rh)、コバルト(Co)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)及びこれらの金属の2種又はそれ以上の混合物から選択された、第VIII族金属が含まれ、好ましい金属はロジウム、コバルト、イリジウム及びルテニウムであり、更に好ましくはロジウム、コバルト及びルテニウムであり、最も好ましくはロジウムである。他の許容される金属には、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)及びこれらの金属の2種又はそれ以上の混合物から選択された、第VIB族金属が含まれる。第VIB族及び第VIII族からの金属の混合物も、本発明において使用することができる。
【0012】
「錯体(complex)」及び類似の用語は、1個又はそれ以上の電子的に富んだ分子又は原子(即ち配位子(ligand))と、1個又はそれ以上の電子的に乏しい分子又は原子(例えば遷移金属)との結合体(union)によって形成される配位化合物を意味する。例えば、本発明の実施において使用されるオルガノモノホスファイト配位子は、1個の電子の非共有対を有する1個のリン(III)供与体原子を有し、これは、金属と配位共有結合を形成することができる。本発明の実施において使用されるオルガノポリホスファイト配位子は、それぞれ1個の電子の非共有対を有する2個又はそれ以上のリン(III)供与体原子を有し、これらのそれぞれは、独立に又は多分遷移金属と(例えばキレート化により)協力して配位共有結合を形成することができる。一酸化炭素も存在することができ、遷移金属と錯化することができる。錯体触媒の最終組成物は、また、追加の配位子、例えば水素又は金属の配位部位又は核電位を満たすアニオンを含有することができる。例示的追加の配位子には、例えばハロゲン(Cl、Br、I)、アルキル、アリール、置換されたアリール、アシル、CF、C、CN、(R)PO及びRP(O)(OH)O(式中、それぞれのRは、同じか又は異なっており、置換又は非置換の炭化水素基、例えば、アルキル又はアリールである)、アセテート、アセチルアセトネート、SO、PF、PF、NO、NO、CHO、CH=CHCH、CHCH=CHCH、CCN、CHCN、NH、ピリジン、(CN、モノオレフィン、ジオレフィン及びトリオレフィン、テトラヒドロフランなどが含まれる。
【0013】
遷移金属上の利用可能な配位部位の数は、当該技術分野で公知であり、選択された特定の遷移金属に依存する。この触媒種は、好ましくは金属、例えばロジウムの1分子当たり錯化された少なくとも1個の有機リン含有分子によって特徴付けられる、それらのモノマー性、ダイマー性又は高級核性(nuclearity)形にある錯体触媒混合物からなっていてよい。例えばヒドロホルミル化反応において使用される好ましい触媒の触媒種は、オルガノポリホスファイト配位子又はオルガノモノホスファイト配位子に加えて、一酸化炭素及び水素と共に錯化され得る。
【0014】
オルガノポリホスファイト配位子は、広く、複数のホスファイト基を含み、それらのそれぞれは、3個のヒドロカルビルオキシ基に結合された1個の三価のリン原子を含有している。2個のホスファイト基を結合し、橋架けしているヒドロカルビルオキシ基は、更に適切には、「二価のヒドロカルビルジオキシ基」として参照される。これらの橋架けジ−ラジカルは、如何なる特定のヒドロカルビル種にも限定されない。他方、リン原子からのペンダントで、2個のホスファイト基を橋架けしていない(即ち末端、非橋架け)ヒドロカルビルオキシ基は、それぞれ、アリールオキシ基から本質的になることを必要とする。「アリールオキシ」は広く、2種のアリールオキシ基、即ち(1)−O−アリール[ここで、このアリール基は、単一の芳香族環若しくは一緒に縮合されている、直接的に結合されている若しくは(異なった芳香族基が、共通の基、例えばメチレン若しくはエチレン単位に結合しているように)間接的に結合されている複数の芳香族環を含む]におけるような、単一のエーテル結合に結合されている一価のアリール基又は(2)−O−アリーレン−O−若しくは−O−アリーレン−アリーレン−O−[ここで、このアリーレン基は、単一の芳香族環若しくは一緒に縮合されている、直接的に結合されている若しくは(異なった芳香族基が、共通の基、例えばメチレン若しくはエチレン単位に結合しているように)間接的に結合されている複数の芳香族環を有する二価の炭化水素基からなる]におけるような、2個のエーテル結合に結合されている二価のアリーレン基のいずれかを指す。好ましいアリールオキシ基には、炭素数約5〜約20の、1個の芳香族環又は2〜4個の縮合した若しくは結合した芳香族環、例えばフェノキシ、ナフチルオキシ又はビフェノキシ並びにアリーレンジオキシ基、例えばフェニレンジオキシ、ナフチレンジオキシ及びビフェニレンジオキシが含まれる。これらの基のいずれも、置換されていないか又は置換されていてよい。
【0015】
好ましいオルガノポリホスファイト配位子は、2個、3個又はそれ以上のホスファイト基を含む。所望により、このような配位子の混合物を使用することができる。アキラルオルガノポリホスファイトが好ましい。代表的なオルガノポリホスファイトには、式(I):
【0016】
【化1】

【0017】
(式中、Xは、炭素数2〜40の置換又は非置換のn価の有機橋架け基を表し、それぞれのRは、同じか又は異なり、炭素数6〜40、好ましくは炭素数6〜20の二価のアリーレン基を表し、それぞれのRは、同じか又は異なり、炭素数6〜24の置換又は非置換の一価のアリール基を表し、a及びbは、同じか又は異なっていてよく、それぞれ0〜6の値を有し、但しa+bの合計は2〜6であり、そしてnはa+bに等しい)
のものが含まれる。aが2又はそれ以上の値を有するとき、それぞれのR基は、同じか又は異なっていてよく、bが1又はそれ以上の値を有するとき、それぞれのR基は、同じか又は異なってよい。
【0018】
Xによって表される代表的なn価(好ましくは二価)の炭化水素橋架け基には、非環式基及び芳香族基の両方、例えばアルキレン、アルキレン−Q−アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、ビスアリーレン、アリーレン−アルキレン及びアリーレン−(CH−Q−(CH−アリーレン基(式中、それぞれのyは、同じか又は異なり、0又は1の値である)が含まれる。Qは、−C(R−、−O−、−S−、−NR−、−Si(R−及び−CO−(式中、それぞれのRは、同じか又は異なり、水素、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル、トリル及びアニシルを表し、Rは、水素又は置換された若しくは置換されていない一価の炭化水素基、例えば、炭素数1〜4のアルキル基を表し、それぞれのRは、同じか又は異なり、水素又はアルキル基、好ましくはC1−10アルキル基を表す)から選択された二価の橋架け基を表し、そしてmは、0又は1の値である。上記のXによって表される更に好ましい非環式基は、二価のアルキレン基であり、一方、Xによって表される更に好ましい芳香族基は、例えば米国特許第4,769,498号、同第4,774,361号、同第4,885,401号、同第5,179,055号、同第5,113,022号、同第5,202,297号、同第5,235,113号、同第5,264,616号、同第5,364,950号、同第5,874,640号、同第5,892,119号、同第6,090,987号及び同第6,294,700号中に更に完全に開示されているような、二価のアリーレン基及びビスアリーレン基である。
【0019】
例示的好ましいオルガノポリホスファイトには、式(II)〜(IV):
【0020】
【化2】

【0021】
(式中、式(II)〜(IV)のR、R及びXは、式(I)について前記定義したのと同じものである)
のもののようなビスホスファイトが含まれる。好ましくはXはアルキレン、アリーレン、アリーレン−アルキレン−アリーレン及びビスアリーレンから選択された二価の炭化水素基を表し、Rはアリーレン、アリーレン−アルキレン−アリーレン及びビスアリーレンから選択された二価の炭化水素基を表し、それぞれのR基は一価のアリール基を表す。このような式(II)〜(IV)のオルガノポリホスファイト配位子は、例えば米国特許第4,668,651号、同第4,748,261号、同第4,769,498号、同第4,774,361号、同第4,885,401号、同第5,113,022号、同第5,179,055号、同第5,202,297号、同第5,235,113号、同第5,254,741号、同第5,264,616号、同第5,312,996号及び同第5,364,950号中に開示されている。
【0022】
オルガノビスホスファイトの更に好ましい種類の代表は式(V)〜(VII):
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、Q、R、R、X、m及びyは、前記定義の通りであり、それぞれのArは、同じか又は異なり、置換又は非置換の二価のアリール基を表す)
のものである。最も好ましくは、Xは、二価のアリール−(CH−(Q)−(CH−アリール基(式中、それぞれのyは、個々に、0又は1の値を有し、mは0又は1の値を有し、Qは−O−、−S−又は−C(R−(式中、それぞれのRは、同じか又は異なり、水素又はC1−10アルキル基、好ましくはメチル基を表す)である)を表す。更に好ましくは、式(V)〜(VII)の前記定義されたAr、X、R及びR基のそれぞれのアリール基は、6〜18個の炭素原子を含有することができ、この基は同じか又は異なっていてよく、一方、Xの好ましいアルキレン基は、2〜18個の炭素原子を含有することができる。更に、好ましくは、前記の式の二価のAr基及びXの二価のアリール基は、フェニレン基(ここで、−(CH−(Q)−(CH−によって表される橋架け単位は、フェニレン基をそれらのリン原子に接続している、式の酸素原子に対してオルトである位置で、このフェニレン基に結合されている)である。このようなフェニレン基上に存在しているとき、任意の置換基は、好ましくは与えられた置換フェニレン基をそのリン原子に結合している酸素原子に関して、フェニレン基のパラ及び/又はオルト位で結合されている。
【0025】
更に、所望により、前記の式(I)〜(VII)中の任意の与えられたオルガノポリホスファイトはイオン性ホスファイトであってよい。即ち、これは例えば米国特許第5,059,710号、同第5,113,022号、同第5,114,473号及び同第5,449,653号中に記載されているような、−SOM(式中、Mは無機又は有機カチオンを表す)、−POM(式中、Mは無機又は有機カチオンを表す)、N(R(式中、それぞれのRは同じか又は異なり、炭素数1〜30の炭化水素基、例えばアルキル、アリール、アルカリール、アラルキル及びシクロアルキル基を表し、Xは、無機又は有機アニオンを表す)、−COM(式中、Mは無機又は有機カチオンを表す)からなる群から選択された1種又はそれ以上のイオン性単位を含有することができる。従って、所望により、このようなオルガノポリホスファイト配位子は、1〜3個のこのようなイオン性単位を含有することができるけれども、好ましくは、オルガノポリホスファイト配位子が2個以上のこのようなイオン性単位を含有するとき、1個のみのこのようなイオン性単位が、全ての与えられたアリール単位上に置換されている。Mの適切なカチオン性種には、限定することなく、水素(即ち、プロトン)、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、ルビジウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム及びストロンチウムのカチオン、アンモニウムカチオン及び第四級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、アルソニウムカチオン並びにイミニウムカチオンが含まれる。適切なアニオンであるXには、例えばサルフェート、カーボネート、ホスフェート、クロリド、アセテート、オキサレートなどが含まれる。
【0026】
勿論、前記の式(I)〜(VII)のこのような非イオン性及びイオン性オルガノポリホスファイトのR、R、X、Q及びAr基のいずれも、所望により、本発明のプロセスの所望の結果に悪影響を与えない、任意的に1〜30個の炭素原子を含有する任意の適切な置換基によって置換されていてよい。勿論、対応する炭化水素基、例えばアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール及びシクロヘキシル置換基に加えて、基上に存在していてよい置換基には、例えばシリル基、例えば−Si(R;アミノ基、例えば−N(R;ホスフィン基、例えば−アリール−P(R;アシル基、例えば−C(O)R;アシルオキシ基、例えば−OC(O)R;アミド基、例えば−CON(R及び−N(R)COR;スルホニル基、例えば−SO;アルコキシ基、例えば−OR;スルフィニル基、例えば−SO;スルフェニル基、例えば−SR;ホスホニル基、例えば−P(O)(R並びにハロゲン、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ基など(式中、好ましくは、それぞれのR基は、個々に、炭素数1〜約18の同じ又は異なった一価の炭化水素基(例えばアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール及びシクロヘキシル基)を表し、但し、アミノ置換基、例えば、−N(Rにおいて、それぞれのRは、一緒になって、また、窒素原子と共に複素環式基を形成する二価の橋架け基を表すことができ、アミド置換基、例えば、−C(O)N(R及び−N(R)CORにおいて、Nに結合されたそれぞれのRは、また、水素であってよい)が含まれてよい。勿論、特定の与えられたオルガノポリホスファイトを作る、置換又は非置換の炭化水素基の何れも、同じ又は異なっていてよい。
【0027】
更に詳しくは、例示的置換基には、第一級、第二級及び第三級アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、アミル、sec−アミル、t−アミル、イソオクチル、デシル、オクタデシルなど;アリール基、例えばフェニル及びナフチル;アラルキル基、例えばベンジル、フェニルエチル及びトリフェニルメチル;アルカリール基、例えばトリル及びキシリル;脂環式基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、シクロオクチル及びシクロヘキシルエチル;アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、t−ブトキシ、−OCHCHOCH、−O(CHCHOCH及び−O(CHCHOCH;アリールオキシ基、例えばフェノキシ並びにシリル基、例えば−Si(CH、−Si(OCH及び−Si(C;アミノ基、例えば−NH、−N(CH、−NHCH及び−NH(C);アリールホスフィン基、例えば−P(C;アシル基、例えば−C(O)CH、−C(O)C及び−C(O)C;カルボニルオキシ基、例えば−C(O)OCH;オキシカルボニル基、例えば−O(CO)C;アミド基、例えば−CONH、−CON(CH及び−NHC(O)CH;スルホニル基、例えば−S(O);スルフィニル基、例えば−S(O)CH;スルフェニル基、例えば−SCH、−SC及び−SC;ホスホニル基、例えば−P(O)(C、−P(O)(CH、−P(O)(C、−P(O)(C、−P(O)(C、−P(O)(C13、−P(O)CH(C)及び−P(O)(H)(C)が含まれる。
【0028】
オルガノビスホスファイトの具体例は国際出願公開第WO2008/115740号の配位子A−Sである。
【0029】
本発明の実施において使用できるオルガノモノホスファイトには、1個のホスファイト基を含有する任意の有機化合物が含まれる。オルガノモノホスファイトの混合物を使用することもできる。代表的なオルガノモノホスファイトには、式(VIII):
【0030】
【化4】

【0031】
(式中、Rは置換又は非置換の炭素数4〜40又はそれ以上の三価の炭化水素基、例えば三価の非環式基及び三価の環式基、例えば三価のアルキレン基、例えば1,2,2−トリメチロールプロパンから誘導されるもの又は三価のシクロアルキレン基、例えば1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサンから誘導されるものを表す)
のものが含まれる。このようなオルガノモノホスファイトは、例えば米国特許第4,567,306号中に、更に詳細に記載されている。
【0032】
代表的なジオルガノホスファイトには、式(IX):
【0033】
【化5】

【0034】
(式中、Rは置換又は非置換の炭素数4〜40又はそれ以上の二価の炭化水素基を表し、Wは置換又は非置換の炭素数1〜18の一価の炭化水素基を表す)
のものが含まれる。
【0035】
式IXにおいて、Wによって表される代表的な置換及び非置換の一価の炭化水素基には、アルキル及びアリール基が含まれ、他方、Rによって表される、代表的な置換及び非置換の二価の炭化水素基には、二価の非環式基及び二価の芳香族基が含まれる。例示的二価の非環式基には、例えばアルキレン、アルキレン−オキシ−アルキレン、アルキレン−NX−アルキレン(式中、Xは、水素又は置換若しくは非置換の炭化水素基である)、アルキレン−S−アルキレン及びシクロアルキレン基が含まれる。更に好ましい二価の非環式基は、例えば米国特許第3,415,906号及び同第4,567,302号中に更に完全に開示されているような、二価のアルキレン基である。例示的二価の芳香族基には、例えばアリーレン、ビスアリーレン、アリーレン−アルキレン、アリーレン−アルキレン−アリーレン、アリーレン−オキシ−アリーレン、アリーレン−NX−アリーレン(式中、Xは、前記定義した通りである)、アリーレン−S−アリーレン及びアリーレン−S−アルキレンが含まれる。更に好ましくは、Rは、例えば米国特許第4,599,206号及び同第4,717,775号中に更に完全に開示されているような、二価の芳香族基である。
【0036】
ジオルガノモノホスファイトの更に好ましいクラスの代表は、式(X):
【0037】
【化6】

【0038】
(式中、Wは前記の通りであり、それぞれのArは、同一か又は異なり、置換又は非置換の二価のアリール基を表し、それぞれのyは、同一か又は異なり、0又は1の値であり、Qは、−C(R10−、−O−、−S−、−NR11−、−Si(R12−及び−COから選択された二価の橋架け基を表し、それぞれのR10は、同一か又は異なり、水素、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル、トリル及びアニシルを表し、R11は、水素又は炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは、メチルを表し、それぞれのR12は、同一か又は異なり、水素又は炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは、メチルを表し、そしてmは、0又は1の値である)
のものである。このようなジオルガノモノホスファイトは、例えば米国特許第4,599,206号、同第4,717,775号及び同第4,835,299号中に更に詳細に記載されている。
【0039】
代表的なトリオルガノモノホスファイトには、式(XI):
【0040】
【化7】

【0041】
(式中、それぞれのR13は、同一か又は異なり、置換又は非置換の一価の炭化水素基、例えばアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール又はアラルキル基(これらは、1〜24個の炭素原子を含有してよい)である)
のものが含まれてよい。例示的トリオルガノモノホスファイトには、例えばトリアルキルホスファイト、ジアルキルアリールホスファイト、アルキルジアリールホスファイト及びトリアリールホスファイト、例えばトリフェニルホスファイト、トリス(2,6−トリイソプロピル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェニル)ホスファイト並びに更に好ましいトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが含まれる。官能基が、遷移金属と著しく相互作用しないか又は他の方法でヒドロホルミル化を妨害しない限り、一価の炭化水素基単位自体が官能化されていてよい。代表的な官能基には、アルキル又はアリール基、エーテル、ニトリル、アミド、エステル、−N(R11、−Si(R12、ホスフェートなど(式中、R11及びR12は、前記に定義された通りである)が含まれる。このようなトリオルガノモノホスファイトは米国特許第3,527,809号及び同第5,277,532号中に更に詳細に記載されている。
【0042】
更なる選択として、任意のオルガノモノホスファイト−モノホスフェート配位子又はオルガノモノホスファイト−ポリホスフェート配位子を、本発明におけるオルガノモノホスファイト配位子として使用することができる。例えば、前記のような好ましいオルガノビスホスファイト配位子を含むオルガノポリホスファイト配位子のいずれも、1個以外の全てのリン(III)原子がリン(V)原子に転化されるように、酸化に付すことができる。得られる酸化された配位子は、オルガノモノホスファイト−ポリホスフェート又は好ましくはオルガノモノホスファイト−モノホスフェートからなっていてよく、これは、本発明の実施において使用されるオルガノモノホスファイト配位子成分を提供するように、遷移金属に対して相対的に2/1モル過剰で使用される。本明細書中に使用される、「オルガノモノホスファイト配位子」及び類似の用語には、特に他の方法で指摘されない限り、(この用語が使用される明細書に適合するように)オルガノモノホスファイト−モノホスフェート配位子及びオルガノモノホスファイト−ポリホスフェート配位子が含まれる。
【0043】
更なる選択として、任意のオルガノモノホスホルアミダイト(organomonophosphoramidite)配位子を、本発明の実施において使用されるオルガノモノホスファイト配位子として又はオルガノモノホスファイト配位子と組み合わせて使用することができ、そして任意のオルガノポリホスホルアミダイト配位子を、本発明の実施において使用されるオルガノポリホスファイト配位子として又はオルガノポリホスファイト配位子と組合わせて使用することができる。オルガノホスホルアミダイト配位子は公知であり、これらは、オルガノホスファイト配位子と同じ方式で使用される。代表的なオルガノホスホルアミダイト配位子は式(XII−XIV)のものである。
【0044】
【化8】

【0045】
オルガノホスホルアミダイトは、例えば米国特許第7,615,645号に更に記載されている。本明細書中に使用される「オルガノモノホスファイト配位子」及び類似の用語には、特に他の方法で指摘されない限り、オルガノモノホスホルアミダイト配位子が含まれ、「オルガノポリホスファイト配位子」及び類似の用語には、特に他の方法で指摘されない限り、オルガノポリホスホルアミダイト配位子が含まれる。
【0046】
ヒドロホルミル化触媒は、(1)遷移金属カルボニルヒドリド、(2)安定化触媒錯体の遷移金属成分に対して1:1モル基準以下の濃度で触媒系に与えられるオルガノビスホスファイト配位子及び(3)安定化触媒錯体のロジウム金属成分に対して過剰モル量で与えられる一座ホスファイト配位子の安定化錯体を含む。
【0047】
この触媒は、ヒドロホルミル化反応ゾーン内でインシトゥ(in situ)製造することができ又はその代わりに、これは、エクス−シトゥ(ex−situ)で製造し、続いて適切なヒドロホルミル化反応剤と共に反応ゾーンの中に導入することができる。一つの態様において、触媒は、1モルの適切な遷移金属源泉を、0.1モルのオルガノビスホスファイト配位子及び5〜100モルのオルガノモノホスファイト配位子と混合することによって製造される。一つの態様において、触媒は、1モルの適切なロジウム源泉対5〜100モルの一座ホスファイト配位子の比で混合し、ヒドロホルミル化反応の開始後に、ビスホスファイト配位子(<1モル)を添加することによって製造される。
【0048】
触媒種は、そのモノマー性、ダイマー性又は高級核性形(これは、好ましくは遷移金属の1モル当たり少なくとも1個の錯化された有機リン含有分子によって特徴付けられる)での錯体触媒混合物を含んでいてよい。例えば遷移金属は、一座ホスファイト配位子又はビスホスファイト配位子に加えて、一酸化炭素及び水素によって錯化されていてよい。
【0049】
触媒及びその製造は米国特許第4,169,861号、同第5,741,945号、同第6,153,800号、同第7,615,645号及び国際出願公開第WO2008/115740号中に更に完全に記載されている。
【0050】
ヒドロホルミル化触媒は、反応の間及び/又は生成物分離の間に、均一形又は不均一形であってよい。反応媒体中に存在する金属−配位子錯体触媒の量は、プロセスに触媒作用するために必要なその最少量であることのみを必要とする。遷移金属がロジウムである場合、ヒドロホルミル化反応媒体中の遊離ロジウムとして計算された、10〜1000部/100万(ppm)の範囲内の濃度が、殆どのプロセスのために十分であるが、一般的に、10〜500ppmのロジウム、更に好ましくは25〜350ppmのロジウムを使用することが好ましい。
【0051】
金属−配位子錯体触媒に加えて、遊離配位子(即ち金属と錯化していない配位子)が、また、ヒドロホルミル化反応媒体中に存在してよい。遊離ホスファイト又はホスホルアミダイト(一座又は多座)は、必須ではないが、好ましくは、使用される金属−ホスファイト又は金属ホスホルアミダイト配位子錯体触媒のホスファイト又はホスホルアミダイト配位子と同じものである。本発明のヒドロホルミル化プロセスは、ヒドロホルミル化反応媒体中の金属1モル当たり、0.1モルから、100モル未満まで又はそれより多くまでの遊離配位子を含有してよい。好ましくは、ヒドロホルミル化プロセスは、反応媒体中に存在する金属の1モル当たり、1〜50モルの配位子、更に好ましくは1.1〜4モルの配位子の存在下で実施され、配位子の量は、存在する金属に結合されている(錯化されている)配位子の量及び存在する遊離(錯化されていない)配位子の量の両方の合計である。勿論、所望により、補充(make-up)又は追加の配位子を、任意の時点で任意の適切な方法で、例えば反応媒体中の遊離配位子の予定のレベルを維持するために、ヒドロホルミル化プロセスの反応媒体に供給することができる。
【0052】
一般的手順として、触媒系が、ヒドロホルミル化ゾーン内の脱酸素溶媒媒体中で、最初に形成される。過剰の一座配位子が、溶媒媒体として性能を発揮することができる。第一のヒドロホルミル化ゾーンは、水素及び一酸化炭素によって加圧され、選択された反応温度にまで加熱されている。次いで、オレフィン性不飽和供給物が、第一のヒドロホルミル化ゾーンに装入され、所望の転化収率及び効率が達成されるまで反応が実施され、この時点で、第一の反応ゾーンの生成物が、次の反応ゾーンに移送され、次の反応ゾーン内で、新しい及び/又は再循環された試薬が添加される。この次の反応ゾーン(又は追加の次の反応ゾーン)内の反応が、所望の転化収率及び効率が達成されるまで継続し、この時点で、最後の反応ゾーンの生成物が、回収され、精製される。連続システムにおいて、触媒は、好ましくは、第一の反応ゾーンに戻し再循環される。
【0053】
ヒドロホルミル化プロセスの反応条件は、広範囲に変えることができる。例えば気体状の水素対一酸化炭素のH:COモル比は、有利には、1:10〜100:1又はそれより多い範囲であってよく、更に好ましい水素対一酸化炭素モル比は、1:10〜10:1である。有利には、ヒドロホルミル化プロセスは−25℃よりも高い、更に好ましくは50℃よりも高い反応温度で実施できる。ヒドロホルミル化プロセスは、有利には、200℃よりも低い、好ましくは120℃よりも低い反応温度で実施できる。有利には、オレフィン反応剤、一酸化炭素、水素及び任意の不活性軽質物を含む全気体圧力は、1psia(6.9kPa)〜10,000psia(68.9MPa)の範囲であってよい。好ましくは、このプロセスは、2,000psia(13,800kPa)よりも低い、更に好ましくは500psia(3450kPa)よりも低い、オレフィン反応剤、一酸化炭素及び水素を含む全気体圧力で運転される。有利には、一酸化炭素分圧は1psia(6.9kPa)から1000psia(6,900kPa)まで、好ましくは3psia(20.7kPa)から800psia(5,516kPa)まで、更に好ましくは15psia(103.4kPa)から100psia(689kPa)まで変化し、他方、水素分圧は、好ましくは5psia(34.5kPa)から500psia(3,450kPa)まで、更に好ましくは10psia(69kPa)から300psia(2,070kPa)まで変化する。
【0054】
合成ガス(CO+H)の供給流量は、所望のヒドロホルミル化プロセスを得るために十分な任意の運転可能な流量に亘って、広範囲に変化させることができる。シンガス供給流量は、触媒の特定の形状、オレフィン供給流量及びその他の運転条件に依存する。同様に、オキソ反応器(単数又は複数)からのベント流量は、所望のヒドロホルミル化プロセスを得るために十分な任意の運転可能な流量であってもよい。ベント流量は、反応器の規模並びに反応剤及びシンガス供給物の純度に依存性である。適切なシンガス供給流量及びベント流量は、公知であるか又は当業者によって容易に計算される。一つの態様において、H及びCO分圧は、ヒドロホルミル化速度が、モノホスファイト触媒についてシンガス(H及びCO)分圧についてポジティブオーダー(positive order)であり、ビスホスファイト触媒についてCO分圧についてネガティブオーダー(negative order)である条件下で、反応が実施されるように制御される(例えば国際出願公開第WO2008/115740A1号中に記載されている)。
【0055】
ヒドロホルミル化反応媒体希釈剤として不活性溶媒を使用することができる。ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン及びシクロヘキサノン;芳香族化合物、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン;o−ジクロロベンゼンを含むハロゲン化芳香族化合物;エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン及びジオキサン;塩化メチレンを含むハロゲン化パラフィン;パラフィン性炭化水素、例えばヘプタンなどを含む種々の溶媒を使用することができる。好ましい溶媒は、反応性オレフィン又はオレフィン類に加えて、アルデヒド生成物及び/又はアルデヒド生成物のオリゴマーである。
【0056】
一つの態様において、ヒドロホルミル化プロセスは、米国特許第5,763,671号に記載されているような多段反応器内で実施される。このような多段反応器は、1個の容器当たり、1個より多い理論的反応段又はゾーンを作る、内部物理的バリヤーを有するように設計することができる。その効果は、単一の連続攪拌式槽型反応器容器の内部に多数の反応器を有することと同様である。単一容器内の複数の反応段は、反応器容器体積を使用する費用効果的手段である。これは、他の方法では、同じ結果を達成するために必要な容器の数を、著しく減少させる。しかしながら、明らかに、目的が、プロセスの異なった段階において、反応剤の異なった分圧を有することである場合には、2個又はそれ以上の反応器又は容器が使用される。反応ゾーンは、並列又は直列であってよいが、最も好ましくは直列になっている。
【0057】
本発明のヒドロホルミル化プロセスは、典型的には、連続方式で実施される。このようなプロセスは、当該技術分野で公知であり、(a)溶媒、金属−ホスファイト配位子錯体触媒、遊離ホスファイトを含む液体均一反応混合物中で、オレイン性出発物質(単数又は複数)を一酸化炭素及び水素によってヒドロホルミル化する工程、(b)このオレフィン性出発物質(単数又は複数)のヒドロホルミル化のために有利である反応温度及び圧力条件を維持する工程、(c)オレフィン性出発物質(単数又は複数)、一酸化炭素及び水素が使い尽くされたとき、これらの反応剤の補充量を反応媒体に供給する工程並びに(d)所望のアルデヒドヒドロホルミル化生成物(単数又は複数)を、所望の任意の手段で回収する工程を含んでよい。連続プロセスは、一回通過方式で実施することができ、この一回通過方式においては、未反応オレフィン性出発物質(単数又は複数)及び蒸発したアルデヒド生成物を含む蒸気状混合物が、液体反応混合物(これから、アルデヒド生成物が回収される)から除去され、未反応オレフィン性出発物質(単数又は複数)を再循環することなく、補充オレフィン性出発物質(単数又は複数)、一酸化炭素及び水素が、次の一回通過のために液体反応媒体に供給される。再循環手順のこのようなタイプは、当該技術分野で公知であり、米国特許第4,148,830号に開示されているような、所望のアルデヒド反応生成物(単数又は複数)から分離された金属−ホスファイト配位子錯体触媒流体の液体再循環又は米国特許第4,247,486号中の開示のような、気体再循環手順並びに所望により液体再循環手順及び気体再循環手順の両方の組合せを含んでよい。本発明の最も好ましいヒドロホルミル化プロセスは、連続液体触媒再循環プロセスからなる。適切な液体触媒再循環手順は、例えば米国特許第4,668,651号、同第4,774,361号、同第5,102,505号及び同第5,110,990号に開示されている。
【0058】
一つの態様において、シンガスの分圧を上昇させることによって、バランス反応性が、ビスホスファイト配位子から一座ホスファイト配位子へシフトし、より低いN:I比への、例えば金属−一座配位子触媒単独のN:I比基準で最小値への2〜20単位の迅速応答シフトになる。シンガスの分圧を低下させることによって、バランス反応性が、一座ホスファイト配位子からビスホスファイト配位子へシフトし、N:I比における増加、例えば典型的には、金属−ビスホスファイト配位子触媒単独で観測される最大値への2〜20単位の増加になる。シンガス分圧を上昇させることによって、また、一座ホスファイト金属錯体と二座ホスファイト金属錯体との間の相対反応速度が変化し、複数の反応ゾーンを使用するプロセスにおいて、第一の反応ゾーンから第二の反応ゾーンへ等々と更に反応がシフトする(全反応の30%以下)。従って、総N:I比は、それぞれの反応器内で転化されたオレフィンの量に基づいて、複数の反応ゾーン内のモル平均転化率によって計算することができる。1個の反応ゾーンから他の反応ゾーンへ反応の量を動かすことによってモル平均転化率、従って最後の反応ゾーンの後に単離された生成物の最終N:I比が変化する。これらの計算は、独立に測定された一座ホスファイト金属錯体及び二座ホスファイト金属錯体の速度論に基づくことができる。
【0059】
(USSN第60/598,032号出願に記載されているような)反応圧力を維持するためのシンガス供給速度の制御は、モノホスファイト触媒が反応の全量を支配する条件下でのプロセス制御のためには十分に適合していない。これは、典型的には、高いCO分圧(例えばプロピレンについて3:1〜4:1のN:I)の場合である。システムが、前進圧力要求(forward pressure demand)で、即ち、より高い速度で一定の圧力及び排気制御で運転されている場合、(一定の供給速度で維持されている)オレフィン性不飽和化合物、例えばプロピレンはシンガスに取って代わり始める。システムは、より高いシンガス分圧から、より低いシンガス分圧にゆっくりシフトし、その差はオレフィンによって補充される。このことは、プロピレン及び一酸化炭素における相対反応次数がほぼ平衡であり、一定の分圧を持続することの不能になることを暗示している。これは一方を可変に制御する2個のパラメーターの結果である。
【0060】
第一に、反応器内のシンガスの存在量は、プロピレン存在量よりも著しく少ないので、システム内の任意の摂動(perturbation)(より高い又はより低い反応性)は、最終的に、オレフィンに対するシンガス存在量(及び分圧)を減少させる結果になる。
【0061】
第二に、シンガスを供給する制御システムは、典型的には、遅延時間を有し、これは、同じオレフィン供給速度をなお維持しながら、システムをより低い反応性定常状態の方に滑らせる。
【0062】
圧力要求モードにおいて、二つのシナリオが可能である。第一のシナリオにおいて、温度における小さい上昇は、より高い反応速度(10℃毎にほぼ2倍)になる。シンガス及びオレフィン消費が上昇するとき、反応器内の圧力は低下し、反応剤分圧における低下のために反応性が直ちに低下する。シンガス存在量は、オレフィンよりも速く使い尽くされる。次いで、シンガス補充が、制御圧力点に戻るように行われる。シンガス補充における非常に小さい遅延でも、これは、等しい又はより低いシンガス分圧になり、これはオレフィン(この供給は、サイクルを通して一定のままであり、従って遅延はない)によって補充される。時の経つにつれて、シンガス分圧の低下は、反応を、一座配位子から二座配位子の方にシフトさせ、これは、それ自体で反応性及びN:I比を変化させる効果を有する。
【0063】
第二シナリオにおいて、温度における小さい低下は、より低い反応速度、即ち温度における10℃低下毎に、速度においてほぼ50%低下になる。これは、シンガスについてのより低い要求になり、従ってオレフィン分圧は上昇し(維持された一定供給)、これはシンガスに取って代わる。
【0064】
圧力要求制御に付随する問題点は、固定シンガス供給モード、即ち僅かに過剰のシンガス(これは、典型的には、システムから不活性物質を除去するために必要であるパージ流中に失われる)で運転することによって、著しく減少されるか又は排除される。第一のシナリオにおいて、より高い反応速度へのシフト(即ち温度における小さい上昇)は、10℃毎にほぼ2倍である、反応剤のより大きい消費になる。ベント流は低下し、反応速度はシンガス消尽のために遅くなる。反応速度が低下するので、温度が低下し、反応剤が戻り蓄積し、ベント流が低下し、分圧はシンガス/オレフィン供給物の化学量論に基づいて回復する。
【0065】
第二のシナリオにおいて、より低い反応速度へのシフトが、温度における小さい低下からもたらされる。これは、より少ない反応剤を消費し、ベント流が増加し、より多くが排気されるにもかかわらず、供給物の化学量論は一定のままである。反応器内の組成物は、温度が戻るまで、本質的に同じままである。
【0066】
特定の態様
合成ガス分圧における変化による、N:I生成物比の制御
合成ガス分圧に対する異なる応答を有する、配位子1、かさ高のオルガノモノホスファイト及び配位子2、オルガノポリホスファイトを、ロジウムと組合せ、可変性選択率触媒系として評価する。
【0067】
ヒドロホルミル化プロセスを、連続モードで運転するガラス圧力反応器内で実施する。この反応器は、観察のためのガラスフロントを有する、油浴中に部分的に沈められた3オンス圧力ボトルを含んでなる。システムを窒素でパージした後、新しく調製したロジウム触媒前駆体溶液20mLを、注射器によって反応器に装入する。この触媒前駆体溶液には、300ppmのロジウム(ロジウムジカルボニルアセチルアセトネートとして導入する)、配位子1及び溶媒としてのテトラグリムが含有されている。反応器を密閉した後、システムを窒素でパージし、油浴を加熱して、50℃の反応温度を与える。この触媒溶液を、150psig(1034kPa)の全運転圧力で1:1CO及びHの供給物によって30〜60分間活性化する。活性化時間の後、オレフィン(プロピレン)を導入することによって反応を開始させる。個々のガスの流量を所望通りに調節し、150psig(1034kPa)の所望の全運転圧力を維持するために、窒素を、必要に応じて、添加する。供給ガス(H、CO、プロピレン、N)の流量を、個々に、質量流量計によって制御し、供給ガスを、フリット金属スパージャーを経て触媒前駆体溶液中に分散させる。N、H、CO、プロピレン及びアルデヒド生成物の分圧を、ガスクロマトグラフィー(GC)分析及びドルトンの法則により、ベント流を分析することによって決定する。供給ガスの未反応部分を、窒素流によってブチルアルデヒド生成物と共に分離して、実質的に一定の液体レベルを維持する。出口ガスを、GCによって周期的に分析する。所望により、反応流体のサンプルを、反応条件下での時間の関数としての配位子の分解速度を決定するための31P NMRのために、(注射器を経て)取り出すことができる。このシステムは、供給ラインから微量の空気を除去し、油浴の熱平衡に到達するために、定常状態条件に到達するために1日を要し、それで、配位子分解研究は、定常状態が達成された後でのみ開始される。この装置によって、また、反応温度、CO及びH分圧並びにそれぞれの触媒系についてのRh含有量の関数として、独立に、ヒドロホルミル化速度及びN/I性能を発生させることが可能になる。
【0068】
この反応システムは、予備定常状態運転を確立するためにロジウム/配位子1で開始され、次いで、配位子2をゆっくり添加することによって、異性体比が所望の目標に調節される。
【0069】
【化9】

【0070】
ガラス反応器システムに、Rh(CO)(acac)(300ppm Rh)、配位子1(10当量/Rh)及びテトラグリム(20mL)を含む触媒溶液を装入する。次いで、下記の条件を確立し、150psiaの全運転圧力に維持する。
【0071】
【表1】

【0072】
数日間連続運転した後、配位子2のアリコートを、注射器を経て添加し(THF中0.5当量/Rh)、続いて配位子2の希溶液(THF中2.5×10−5M、0.017mL/分)をGilson HPLCポンプを経て連続添加する。安定したN:I比が確立されたとき、合成ガス分圧を変更し、得られる変化を決定する。
【0073】
1080分間の間、H及びCOを、それぞれ、35psiaの分圧で維持し、N:I比は平均で9.4である。次いで、H及びCOの分圧を、80分間かけて10.5psiaまで低下させ、この圧力で350分間保持し、その間にN:I比は平均で17.95である。次いで、H及びCOの分圧を、80分間かけて35psiaまで戻し上昇させ、この圧力で880分間保持し、その間にN:I比は平均で11.6である。次いで、H及びCOの分圧を、再び80分間かけて59psiaまで上昇させ、この圧力で1160分間保持し、その間にN:I比は平均で8.6である。次いで、H及びCOの分圧を、再び80分間かけて35psiaまで戻し低下させ、この圧力で1200分間保持し、その間にN:I比は平均で12.4である。
【0074】
配位子2の添加速度は、分解速度を僅かに超え、従って70psig 1:1CO:Hで、N:I比は、時間と共に幾らか変化した。しかしながら、この実施例は、明らかに、このロジウム/かさ高オルガノモノホスファイト/オルガノポリホスファイト触媒系について、ノルマル対イソアルデヒドの比を、合成ガス分圧を単純に上昇させるか又は低下させることによって変化させることができることを示している。
【0075】
一般的に、単独でロジウム及び配位子1を含む触媒についての固有のN/I比は、約1であり、このN/I比変化は、前記の実施例のシンガス分圧範囲に亘ってプラス又はマイナス1の間に制限され、単独でロジウム及び配位子2を含む触媒についての固有のN/I比は、約30であり、このN/I比変化は、プラス又はマイナス約5に制限される。
【0076】
本発明を、前記の明細書によって詳細に説明したが、この詳細は、例示の目的のためであり、下記の付属する特許請求の範囲への限定として解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノルマル(N)アルデヒド及びイソ(I)アルデヒドを、或るN:I比で製造するヒドロホルミル化プロセスの制御方法であって、前記プロセスが、オレフィン性不飽和化合物を、合成ガス並びに遷移金属並びにオルガノポリホスファイト及びオルガノモノホスファイト配位子を含んでなる触媒と接触させることを含んでなり、前記接触が合成ガス分圧を含むヒドロホルミル化条件で実施され、前記方法が、合成ガス分圧を上昇させてN:I比を減少させるか又は合成ガス分圧を低下させてN:I比を増加させることを含んでなる方法。
【請求項2】
前記オレフィン性不飽和化合物が合計3〜10個の炭素原子を有するオレフィンである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オレフィン性不飽和化合物がブテン−1、ブテン−2、イソブチレン、ブタン及び任意的にブタジエンを含むCラフィネートI又はCラフィネートII異性体混合物である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記オレフィン性不飽和化合物がプロピレンである請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記シンガスが、10:1〜1:10のH:COモル比で、一酸化炭素及び水素を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒が(1)ロジウムカルボニルハイドライド、(2)安定化触媒錯体のロジウム金属成分に対して1:1モル基準以下の濃度で触媒系に与えられるビスホスファイト配位子及び(3)安定化触媒錯体のロジウム金属成分に対して過剰モル量で与えられる一座ホスファイト配位子の安定化錯体を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、1モルのロジウム源対5〜100モルの一座ホスファイト配位子の比で混合し、ヒドロホルミル化反応の開始後に、0.1モル〜1モル未満のビスホスファイト配位子を添加することによって、製造される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記一座ホスファイト配位子が式:
【化1】

を有し、そして、前記ビスホスファイト配位子が式:
【化2】

を有する請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ヒドロホルミル化条件が、−25℃よりも高く200℃よりも低い反応温度並びに1psia(6.8kPa)〜10,000psia(68.9MPa)の、オレフィン反応剤、一酸化炭素、水素及び任意の不活性軽質物を含む全気体圧力を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ヒドロホルミル化プロセスを連続方式で実施する請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ノルマル(N)アルデヒド及びイソ(I)アルデヒドを、或るN:I比で製造するヒドロホルミル化プロセスの改良された制御プロセスであって、前記プロセスが、オレフィン性不飽和化合物を、合成ガス並びに遷移金属並びにオルガノポリホスファイト及びオルガノモノホスファイト配位子を含んでなる触媒と接触させることを含んでなり、前記接触を、ヒドロホルミル化条件で運転される反応ゾーン内で実施し、前記改良が、新しいシンガス分圧目標を確立した後に、前記合成ガスを反応ゾーンに一定速度で供給することを含んでなるプロセス。

【公表番号】特表2013−515058(P2013−515058A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546037(P2012−546037)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/060471
【国際公開番号】WO2011/087688
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(508168701)ダウ テクノロジー インベストメンツ リミティド ライアビリティー カンパニー (19)
【Fターム(参考)】