説明

シンクの接合構造

【課題】成形時の収縮変形によるシンクの機能及び見栄えの悪化を抑制するとともに、汚れの付着や接着不良を防止する。
【解決手段】槽部9及び鍔部11をそれぞれ、SMC又はBMCからなる表面樹脂層13と、表面樹脂層13よりも高い靭性を有するオレフィン系架橋タイプの熱硬化性樹脂からなる裏面樹脂層15とからなる積層体で構成する。槽部9の開放側端面9aと鍔部11の開放側の面11aとで構成された接合面17の内側縁部に、接着剤21の塗布により天板3に接着される切削面19aを成形後の表面の切除により形成し、切削面19aと切削面19aに連続する槽部9内周面9bとの境に、丸みのない尖った角部22を形成する。切削面19aは、接合面17に部分的に一体に突設された突出部19の先端又は接合面17の突出部非形成領域に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹形状をなす槽部と、該槽部の開放側端縁部から外側に一体に突出する鍔部とを備えたシンクを被取付体に接着剤により接合するシンクの接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、凹形状をなす槽部と、該槽部の開放側端縁部から外側に一体に突出する鍔部とを備えた樹脂製のシンクを被取付体に接着剤により接合するシンクの接合構造が開示されている。この接合構造では、上記槽部の開放側端面と上記鍔部の開放側の面とで被取付体への接合面が構成されている。同文献の第6図では、上記接合面の内側縁部に突出部を突設し、該突出部を突出高さ全体に亘って切除してから被取付体に接合することで、接合箇所周りの外観見栄えを向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−125546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、シンクが1層で構成されているので、剛性確保のためにシンクを厚くすると、成形時における内側と外側の樹脂の収縮率の差が大きくなって成形後のシンクに変形が生じ、シンクの機能及び見栄えが悪化するおそれがある。
【0005】
また、上記突出部を突出高さ全体に亘って切除して接合面全体を平坦にしているので、接合時に被取付体をシンクの接合面に押し付けると、接合面と被取付体との間隔が狭くなって両者間に介在する接着剤が不足して接合不良を招くおそれがある。
【0006】
また、特許文献1のシンクをSMC(sheet molding compound)やBMC(bulk molding compound)で形成した場合、圧縮成形時に型構造上、接合面の内側縁部に気泡が発生し易く、この気泡が脱型後のシンクの表面に残ってカビ等の汚れの付着や接合不良を招くおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、成形時の収縮変形によるシンクの機能及び見栄えの悪化を抑制するとともに、汚れの付着や接合不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は、シンクを2層構造にし、接合面の内側縁部に切削面を設け、かつ接合面に突出部を部分的に形成したことを特徴とする。
【0009】
具体的には、第1の発明は、凹形状をなす槽部と、該槽部の開放側端縁部から外側に一体に突出する鍔部とを備えたシンクを被取付体に接着剤により接合するシンクの接合構造を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明は、上記槽部及び鍔部はそれぞれ、SMC又はBMCからなる表面樹脂層と、該表面樹脂層よりも高い靭性を有するオレフィン系架橋タイプの熱硬化性樹脂からなる裏面樹脂層とからなる積層体で全体が構成され、上記槽部の開放側端面と上記鍔部の開放側の面とで、上記被取付体への接合面が構成され、該接合面の内側縁部には、接着剤の塗布により上記被取付体に接合される切削面が成形後の表面の切除により形成され、該切削面と該切削面に連続する上記槽部内周面との境には、丸みのない尖った角部が形成され、上記切削面は、上記接合面に部分的に一体に突設された突出部の先端又は接合面の突出部非形成領域に形成されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明は、第1の発明に係るシンクの接合構造において、上記切削面は、上記突出部の先端に形成され、上記突出部の先端の外側部分には、内側部分よりも被取付体側に突出するスペーサー部が形成され、該スペーサー部の先端面は、上記切削面の一部であるか又は非切削面であることを特徴とする。
【0012】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係るシンクの接合構造において、上記槽部の裏面樹脂層の開放側端縁部近傍には、底部側よりも開放側が外側方に張り出すように屈曲する屈曲部が全周に亘って形成され、上記槽部の表面樹脂層は、上記屈曲部を境に開放側が底部側よりも厚肉に形成されて表面樹脂層の表面が段差なく平坦に形成されていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明は、第1〜第3の発明に係るシンクの接合構造において、上記切削面は、上記突出部の先端に形成され、上記接合面と上記被取付体との間には、上記突出部非形成領域で両者を接合する両面テープが介在し、上記突出部の突出高さは、上記両面テープの厚さよりも小さく設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、シンクを表面樹脂層と裏面樹脂層との2層構造としたので、シンクを1層で構成する場合に比べ、シンクの剛性確保に必要な各層の厚みが薄くなる。したがって、各層を薄くして成形時における内側と外側の樹脂の収縮率の差を抑え、収縮変形によるシンクの機能及び見栄えの悪化を抑制できる。
【0015】
また、SMC又はBMCで薄い表面樹脂層を構成することにより、シンクの変形を防止できるとともに、表面樹脂層よりも高い靭性を有する裏面樹脂層が、表面樹脂層を裏側から補強しているので、表面樹脂層に衝撃が加わった場合等に、シンク表面の割れを防止できる。
【0016】
また、接合面における突出部非形成領域と被取付体との間に、突出部の突出高さ分の接着剤の介在スペースを確保できる。
【0017】
さらに、成形時に接合面の内側縁部に気泡が発生しても、発生した気泡を内側縁部表面の切除により除去できるので、気泡の発生に起因する汚れの付着や取付け不良を防止できる。
【0018】
加えて、切削面と槽部内周面との境に丸みのない尖った角部が形成されているので、特許文献1と同様に、シンクと被取付体との一体感を増して外観見栄えを向上できる。
【0019】
第2の発明によれば、スペーサー部よりも内側の切削面と被取付体との間に、スペーサー部の突出高さ分の接着剤の介在スペースが確保されるので、切削面と被取付体との間に介在する接着剤の不足による接合不良を防止できる。
【0020】
第3の発明によれば、屈曲部の形成により槽部の裏面樹脂層の剛性が高められているので、シンクが変形しにくい。
【0021】
また、表面樹脂層の表面、すなわち槽部の表面を平坦に形成しているので、見栄えが良い。
【0022】
さらに、槽部の開放側端縁部周りがその反開放側よりも分厚く形成されて強度が高められているので、開放側端縁部周りの破損及び変形が防止される。
【0023】
第4の発明によれば、接着剤が塗布されてから乾くまでの間、両面テープで上記接合面を上記被取付体に対して該接合面に平行な方向に位置決めできるので、接着作業が容易になる。また、接着剤が塗布されてから乾くまでの間、上記突出部非形成領域と被取付体との間に、両面テープの厚さ分の間隔、即ち突出部の突出高さを超える間隔が維持され、その結果、切削面と被取付体との間に0より大きい間隔が確保される。したがって、切削面と被取付体との間に介在する接着剤の不足による接合不良を防止できる。
【0024】
さらに、切削面を突出部非形成領域に設けた場合に比べ、突出部の突出高さ分、切削面における接着剤の使用量を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態1に係る接合構造を適用したキッチンカウンターを示す斜視図である。
【図2】接合前の天板及びシンクを示す分解斜視図である。
【図3】シンクを天板に接合する手順を示すもので、(a)は、シンクの成形直後の状態を示す図2のA−A線相当断面図、(b)は、突出部の先端側を切除した状態を示す図2のA−A線相当断面図、(c)は、接着剤及び両面テープを接合面に載置した状態を示す図2のA−A線相当断面図、(d)は、接着剤に天板を押し付ける過程を示す図2のA−A線相当断面図、(e)は、シンクを天板に接合した状態を示す図2のA−A線相当断面図である。
【図4】(a)は、本発明の実施形態2に係る図3(b)相当図である。(b)は、本発明の実施形態2に係る図3(e)相当図である。
【図5】(a)は、本発明の実施形態3に係る図3(b)相当図であり、(b)は、本発明の実施形態3に係る図3(d)相当図であり、(c)は、本発明の実施形態3に係る図3(e)相当図である。
【図6】(a)は、本発明の実施形態4に係る図3(a)相当図であり、(b)は、本発明の実施形態4に係る図3(e)相当図である。
【図7】(a)は、本発明の実施形態5に係る図3(b)相当図である。(b)は、本発明の実施形態5に係る図3(e)相当図である。
【図8】(a)は、本発明の実施形態6に係る図3(b)相当図である。(b)は、本発明の実施形態6に係る図3(e)相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1及び図2は、本発明の実施形態1に係る接合構造を適用したキッチンカウンター1を示す。このキッチンカウンター1は、被取付体としての樹脂製の天板3を備えている。この天板3には、略矩形状の開口部5が形成され、この開口部5の周縁には、略凹形状をなすシンク7が後述する接着剤等により裏側から接合されている。
【0028】
上記シンク7は、上方が開放し底部9cに排水口10を有する平面視矩形の凹形状をなす槽部9と、該槽部9の開放側端縁部から全周に亘って外側方に一体に突出する板状鍔部11とを備えている。これら槽部9及び鍔部11は、図3(e)にも示すように、それぞれ、表面樹脂層13と、該表面樹脂層13よりも高い靭性を有する裏面樹脂層15とからなる積層体で構成されている。上記表面樹脂層13は、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等を主成分とするSMC又はBMCからなり、その厚みは、例えば1〜4mmに設定される。一方、上記裏面樹脂層15は、ポリノルボルネン系樹脂として、例えばジシクロペンタジエンを主原料としたオレフィン系架橋タイプの熱硬化性樹脂からなる。
【0029】
上記槽部9の開放側端面9aと、上記鍔部11の開放側の面11aとで、上記天板3への接合面17が構成され、該接合面17の内側縁部には、突出部19が全周に亘って一体に突設されている。該突出部19の先端には、成形後の先端側の切除により切削面19aが形成され、該切削面19aは、接着剤21の塗布により上記天板3裏面の開口部5周縁に全周に亘って接合されている。上記接着剤21は、例えば、ペガロック(登録商標)等の主剤・硬化剤二液の常温硬化反応型変性アクリレート系接着剤である。また、上記切削面19aと該切削面19aに連続する上記槽部9内周面9bとの境には、角部22が形成されている。
【0030】
また、上記接合面17と天板3との間には、突出部19(切削面19a)よりも外側の突出部非形成領域で両者を接合する両面テープ23が介在している。この両面テープ23は、上記接合面17の外側略半分の領域を占め、上記突出部19との間に間隔Sを有している。両面テープ23としては、例えば、VHB(ブイエッチビー:登録商標)テープ等の構造用接合テープが用いられ、その厚さTHは、上記突出部19の突出高さH1よりも大きく設定されている。つまり、上記突出部19の突出高さH1は、両面テープ23の厚さTHよりも小さく設定されている。
【0031】
そして、上述の如く構成されたキッチンカウンター1は、例えば、次のようにして製造される。
【0032】
まず、図示しない成形装置を用いてオレフィン系架橋タイプの熱硬化性樹脂を成形し、裏面樹脂層15を得る。そして、裏面樹脂層15上にSMC又はBMCを載置して圧縮成形することにより、裏面樹脂層15の表面に表面樹脂層13が一体に成形されたシンク7を得る。この時点で、シンク7の突出部19先端側は、図3(a)に示すように、切除されておらず、その先端の内側には、内側曲面25が形成されているとともに、その先端の外側には、外側曲面27が形成されている。
【0033】
次に、図3(b)に示すように、突出部19の先端側、すなわち接合面17の内側縁部表面を切除する。非切除部分の突出高さH1は、切除前の突出部19全体の突出高さH2の略半分に設定される。これにより、突出部19の先端に略平坦な切削面19aが形成されるとともに、内側曲面25及び外側曲面27が除去されて突出部19の内側面19b、すなわち槽部9内周面9bの開放側端縁部が平面形状をなし、上記切削面19aと槽部9内周面9bの境に角部22が形成される。
【0034】
その後、図3(c)に示すように、突出部19の切削面19a上に、接着剤21を載置するとともに、接合面17の外側略半分の領域に、両面テープ23の一方の面を貼付する。
【0035】
次いで、図3(d)に示すように、シンク7の接合面17上に載置された接着剤21に接合面17に対して平行にした状態の天板3を押し付ける。これにより、図3(e)に示すように、接着剤21が変形して突出部19の切削面19aの内側及び外側に広がる。このとき、接着剤21は、両面テープ23と突出部19との間に広がるが、両面テープ23と突出部19との間隔S、及び接着剤21の量は、接着剤21が両面テープ23に到達しないように設定されている。したがって、接着剤21の付着による両面テープ23の厚みや接合力の変動を防止できる。そして、天板3の裏面が両面テープ23の天板3側の面に到達し、両面テープ23の天板3側の面が天板3の裏面に貼り付けられる。この状態で、時間の経過とともに上記接着剤21が固化し、上記天板3にシンク7が接合される。このように、接着剤21が塗布されてから乾くまでの間、両面テープ23で上記接合面17を上記天板3に対して該接合面17に平行な方向に位置決めできるので、接着作業が容易になる。さらに、接着剤21が塗布されてから乾くまでの間、上記突出部非形成領域と天板3との間に、両面テープ23の厚さTH分の間隔、即ち突出部19の突出高さH1を超える間隔が維持され、その結果、切削面19aと天板3との間に0より大きい間隔が確保される。したがって、突出部19の切削面19aと天板3との間に介在する接着剤21の不足による接合不良を防止できる。また、突出部19の先端に接着剤21を塗布するので、突出部非形成領域に塗布する場合に比べ、突出部19の突出高さH1分、切削面19aにおける接着剤21の使用量を削減できる。
【0036】
その後、突出部19の内側にはみ出して固化した接着剤21(図3(e)中、破線で示す)をカットする。これにより、シンク7に天板3を接合したキッチンカウンター1が得られる。
【0037】
したがって、本実施形態1によれば、成形時に突出部19の先端側、すなわち、接合面17の内側縁部に気泡が発生しても、発生した気泡を、突出部19の先端側、すなわち接合面17の内側縁部表面の切除により除去できるので、気泡の発生に起因する汚れの付着や取付け不良を防止できる。
【0038】
また、切削面19aと槽部9内周面9bとの境に丸みのない尖った角部22が形成されているので、特許文献1と同様に、シンク7と天板3との一体感を増して外観見栄えを向上できる。
【0039】
加えて、接合面17全体ではなく、突出部19の先端側、すなわち接合面17の内側縁部表面だけを切除すればよいので、切削作業が容易である。
【0040】
さらに、シンク7を表面樹脂層13と裏面樹脂層15との2層構造としたので、シンクを1層で構成する場合に比べ、シンク7の剛性確保に必要な各層の厚みが薄くなる。したがって、各層を薄くして成形時における内側と外側の樹脂の収縮率の差を抑え、収縮変形によるシンク7の機能及び見栄えの悪化を抑制できる。
【0041】
また、SMC又はBMCで薄い表面樹脂層13を構成しているので、シンク7の変形が防止されるとともに、表面樹脂層13よりも高い靭性を有する裏面樹脂層15が、表面樹脂層13を裏側から補強しているので、表面樹脂層13に衝撃が加わった場合等に、シンク7表面の割れを防止できる。
【0042】
また、接合面17における突出部非形成領域と天板3との間に、少なくとも突出部19の突出高さH1分の接着剤の介在スペースを確保できる。
【0043】
(実施形態2)
図4(a)及び図4(b)は、本発明の実施形態2に係る接合構造を適用して天板3に接合されるシンク7を示す。本実施形態2では、上記突出部19の先端の外側部分には、内側部分よりも天板3側に突出するスペーサー部19cが形成され、該スペーサー部19cの先端面は、上記切削面19aの一部を構成し、上記天板3の裏面に当接している。また、上記接合面17と天板3との間に、両面テープ23が介在していない。その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0044】
したがって、本実施形態2によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、スペーサー部19cよりも内側の切削面19aと天板3との間に、スペーサー部19cの突出高さH3分の接着剤21の介在スペースが確保されるので、切削面19aと天板3との間に介在する接着剤21の不足による接合不良を防止できる。
【0045】
(実施形態3)
図5(a)〜図5(c)は、本発明の実施形態3に係る接合構造を適用して天板3に接合されるシンク7を示す。本実施形態3では、シンク7の接合面17に、上記突出部19(本実施形態3において以下「内側突出部」と呼ぶ)に加え、外側突出部29がその外周縁部に沿って全周に亘って突設されている。該外側突出部29の先端面29aが、接着剤21の塗布により、上記天板3裏面における上記内側突出部19の接合箇所よりも若干外側に、全周に亘って接合されている。この外側突出部29の突出高さH4は、先端側切除後の内側突出部19の突出高さH1と略等しくなっている。また、両面テープ23が、上記接合面17の幅方向中程の略1/3を占める領域で、上記内側突出部19との間に間隔S1を空け、かつ上記外側突出部29との間に間隔S2を空けて介在している。
【0046】
外側突出部29の先端側は、図5(a)〜図5(c)に示すように、切除されない。また、内側突出部19の切削面19a上に、接着剤21を載置する工程において、図5(b)に示すように、外側突出部29の先端面29a上に接着剤21を載置するとともに、接合面17の幅方向中程の略1/3を占める領域に、両面テープ23を貼付する。そして、シンク7の接合面17上に載置された接着剤21に天板3を押し付ける工程において、図5(c)に示すように、外側突出部29の先端面29a上の接着剤21も変形して該先端面29aから内側及び外側に広がる。その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0047】
したがって、本実施形態3によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、接合面17の内側縁部と外側縁部の両方が、接着剤21の塗布により天板3に接合されるので、接合強度を高めることができる。
【0048】
(実施形態4)
図6(a)及び図6(b)は、本発明の実施形態4に係る接合構造を適用して天板3に接合されるシンク7を示す。本実施形態4では、槽部9の裏面樹脂層15の開放側端縁部近傍に、底部9c側よりも開放側が外側に張り出すように屈曲する屈曲部31が全周に亘って形成されている。また、上記槽部9の表面樹脂層13は、上記屈曲部31を境に開放側が底部9c側よりも厚肉に形成され、槽部9の表面樹脂層13の表面は、段差なく平坦に形成されている。その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0049】
したがって、本実施形態4によれば、実施形態1と同様の効果が得られるとともに、屈曲部31の形成により槽部9の裏面樹脂層15の剛性が高められているので、シンク7が変形しにくい。
【0050】
また、表面樹脂層13の表面、すなわち槽部9の表面を平坦に形成しているので、見栄えが良い。
【0051】
さらに、槽部9の開放側端縁部周りがその反開放側よりも分厚く形成されて強度が高められているので、開放側端縁部周りの破損及び変形が防止される。
【0052】
(実施形態5)
図7(a)及び図7(b)は、本発明の実施形態5に係る接合構造を適用して天板3に接合されるシンク7を示す。本実施形態5では、スペーサー部19cの先端面が、非切削面となっている。このスペーサー部19cは、突出部19の先端側を外側略1/3の部分を残して切除することにより形成される。その他の構成は、実施形態2と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0053】
したがって、本実施形態5によれば、上記実施形態2と同様の効果が得られる。
【0054】
(実施形態6)
図8(a)及び図8(b)は、本発明の実施形態6に係る接合構造を適用して天板3に接合されるシンク7を示す。本実施形態6では、接合面17の内側縁部に切欠段部33が表面の切除により形成され、この切欠段部33の底面が、切削面19aとなっている。また、切削面19a非形成箇所が突出部19を構成している。つまり、切削面19aは、接合面17の突出部非形成領域に形成されている。また、上記接合面17と天板3との間に、両面テープ23が介在せず、突出部19の先端面が接着剤21を介して天板3の裏面に当接している。よって、突出部19の先端面(接合面17)の外側に余分な接着剤21が押し出されてはみ出している。
【0055】
本実施形態6のシンク7は、接合面17全体を平坦に成形した後、接合面17の内側縁部を凹状に切削して切欠段部33を形成することにより得られる。その他の構成は、実施形態1と同じであるので、同一の構成箇所には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0056】
したがって、本実施形態6によれば、上記実施形態1と同様の効果が得られる。
【0057】
上記実施形態6において、接合面17の内側縁部に加え、該内側縁部から外側に離間する箇所を凹状に切削することにより、複数の突出部19を形成してもよい。
【0058】
また、突出部19の突設箇所は、上記実施形態1〜6の例に限らず、突出部19が接合面17に部分的に形成されていればよい。
【0059】
また、上記実施形態1〜6では、キッチンカウンター1に本発明を適用したが、これに限らず、例えば、洗面台等にも適用できる。
【0060】
また、上記実施形態1〜5では、突出部19を槽部9の開放側端面9aの幅全体に亘って形成したが、幅方向の一部分だけに形成してもよいし、鍔部11の開放側の面11aに亘って形成してもよい。
【0061】
さらに、上記実施形態1,3,4,5,6では、切削面19aを平坦に形成したが、外側から内側にかけて低くなるように傾斜する傾斜面としてもよい。
【0062】
さらに、上記実施形態2においても、外側から内側にかけて低くなるように傾斜する傾斜面で切削面19aを構成し、該切削面19aの外側縁部がスペーサー部19cの先端面を構成するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、凹形状をなす槽部と、該槽部の開放側端縁部から外側に一体に突出する鍔部とを備えたシンクを被取付体に接着剤により接合するシンクの接合構造として有用である。
【符号の説明】
【0064】
3 天板(被取付体)
7 シンク
9 槽部
9a 開放側端面
9b 内周面
9c 底部
11 鍔部
11a 開放側の面
13 表面樹脂層
15 裏面樹脂層
17 接合面
19 内側突出部(突出部)
19a 切削面
19c スペーサー部
21 接着剤
22 角部
23 両面テープ
29 外側突出部(突出部)
31 屈曲部
H1 突出高さ
H4 突出高さ
TH 厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹形状をなす槽部(9)と、該槽部(9)の開放側端縁部から外側に一体に突出する鍔部(11)とを備えたシンク(7)を被取付体(3)に接着剤(21)により接合するシンクの接合構造であって、
上記槽部(9)及び鍔部(11)はそれぞれ、SMC又はBMCからなる表面樹脂層(13)と、該表面樹脂層(13)よりも高い靭性を有するオレフィン系架橋タイプの熱硬化性樹脂からなる裏面樹脂層(15)とからなる積層体で全体が構成され、
上記槽部(9)の開放側端面(9a)と上記鍔部(11)の開放側の面(11a)とで、上記被取付体(3)への接合面(17)が構成され、該接合面(17)の内側縁部には、接着剤(21)の塗布により上記被取付体(3)に接合される切削面(19a)が成形後の表面の切除により形成され、該切削面(19a)と該切削面(19a)に連続する上記槽部(9)内周面との境には、丸みのない尖った角部(22)が形成され、上記切削面(19a)は、上記接合面(17)に部分的に一体に突設された突出部(19)の先端又は接合面(17)の突出部非形成領域に形成されていることを特徴とするシンクの接合構造。
【請求項2】
請求項1に記載のシンクの接合構造において、
上記切削面(19a)は、上記突出部(19)の先端に形成され、
上記突出部(19)の先端の外側部分には、内側部分よりも被取付体(3)側に突出するスペーサー部(19c)が形成され、該スペーサー部(19c)の先端面は、上記切削面(19a)の一部であるか又は非切削面であることを特徴とするシンクの接合構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシンクの接合構造において、
上記槽部(9)の裏面樹脂層(15)の開放側端縁部近傍には、底部(9c)側よりも開放側が外側方に張り出すように屈曲する屈曲部(31)が全周に亘って形成され、
上記槽部(9)の表面樹脂層(13)は、上記屈曲部(31)を境に開放側が底部(9c)側よりも厚肉に形成されて表面樹脂層(13)の表面が段差なく平坦に形成されていることを特徴とするシンクの接合構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンクの接合構造において、
上記切削面(19a)は、上記突出部(19)の先端に形成され、
上記接合面(17)と上記被取付体(3)との間には、上記突出部非形成領域で両者を接合する両面テープ(23)が介在し、上記突出部(19)の突出高さ(H1)は、上記両面テープ(23)の厚さ(TH)よりも小さく設定されていることを特徴とするシンクの接合構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−9863(P2013−9863A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−144825(P2011−144825)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】