説明

シンクライアント装置、クライアントプログラムおよびそれを記録した記録媒体

【課題】入力デバイスとしてタッチパネルを備え、サーバ装置と接続するためのネットワークに対する負荷を軽減することができるシンクライアント装置を提供する。
【解決手段】クライアントコンピュータ2は、アプリケーションプログラムAP1〜APnを格納するサーバコンピュータ1とネットワーク3を介して接続され、タッチパネル24と、ディスプレイ25と、アプリケーション画像表示処理部2111と、入力用データ記憶部22と、キーボード画像表示処理部2112と、入力処理部212とを備える。入力用データ記憶部22には、キーボード画像データKB1〜KBnが記憶されているので、キーボード画像表示処理部2112は、キーボード画像データKB1〜KBnのいずれかを読み出してディスプレイ25にキーボード画像を表示する。これにより、サーバコンピュータ1からキーボード画像のデータを送信する必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置にEthernet(登録商標)回線などのネットワークを介して接続されたシンクライアント装置に関し、特に、必要最小限の機能のみを有するシンクライアント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、システムのコスト低減やセキュリティ向上のために、クライアントコンピュータに搭載する機能を最小限にとどめ、アプリケーションプログラムの実行をサーバコンピュータが行うシンクライアントシステムが導入されている。シンクライアントシステムでは、クライアントコンピュータからの指示に応じてサーバコンピュータがアプリケーションプログラムを実行し、クライアントコンピュータはサーバコンピュータから転送されるアプリケーションプログラムの実行画像を表示し、マウス、キーボード、タッチパネルなどによる入力操作によってアプリケーションプログラムの実行を制御する(例えば、特許文献1)。このように、シンクライアントシステムでは、クライアントコンピュータにキーボードやマウスを接続して、キーボード入力やマウス入力の仮想化を行っている。また、タッチパネルによる入力操作では、タッチパネルの入力座標をサーバコンピュータがエミュレートしてマウス入力として認識する。
【0003】
また、特許文献2には、クライアントコンピュータの要求に応じてサーバコンピュータがアプリケーションプログラムを実行する場合に、クライアントコンピュータのファンクションキーの機能を実行されるアプリケーションプログラムに対応するよう設定する技術が開示されている。また、特許文献2では、ファンクションキー表示付Webページ画面をクライアントコンピュータに送信することにより、ファンクションキーの画像をクライアントコンピュータに表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−272770号公報(2007年10月18日公開)
【特許文献2】特開2001−331404号公報(2001年11月30日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クライアントコンピュータが、入力操作用のデバイスとしてタッチパネルのみを備える端末であって、例えば、サーバコンピュータからの実行画像に対して文字入力を行う場合、クライアントコンピュータの表示デバイスに文字入力のためのキーボード画像を表示させる必要がある。ここで、特許文献2の技術を適用すると、サーバコンピュータがキーボード画像のデータをクライアントコンピュータに送信することにより、クライアントコンピュータの表示デバイスにキーボード画像が表示される構成となる。
【0006】
しかしながら、この構成では、クライアントコンピュータの表示デバイスに文字入力用の実行画像を表示するたびに、サーバコンピュータはキーボード画像をクライアントコンピュータに送信する必要がある。このため、サーバコンピュータとクライアントコンピュータとの間の通信データ量が増加して、ネットワークに対する負荷が増大してしまう。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、入力デバイスとしてタッチパネルを備え、サーバ装置と接続するためのネットワークに対する負荷を軽減することができるシンクライアント装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るシンクライアント装置は、アプリケーションプログラムを実行するサーバ装置にネットワークを介して接続されるシンクライアント装置であって、画像を表示する表示領域を有するディスプレイおよび表示された前記画像に対しての入力操作を受け付ける入力手段を含む表示デバイスと、前記サーバ装置が実行しているアプリケーションプログラムの実行画像を、前記サーバ装置から受信して前記ディスプレイに表示するアプリケーション画像表示手段と、前記アプリケーションプログラムの実行を制御する制御情報を前記入力操作に応じて前記サーバ装置に送信する入力処理手段と、所定のキー配列を有するキーボード画像を記憶するキーボード画像記憶部と、前記キーボード画像記憶部から前記キーボード画像を読み出して前記ディスプレイに表示するキーボード画像表示手段とを備え、前記入力処理手段は、前記ディスプレイに表示された前記キーボード画像のキーに対して入力操作が行われると、入力操作が行われたキーに対応するキーコードを生成して、生成したキーコードを前記制御情報として前記サーバ装置に送信することことを特徴としている。
【0009】
上記シンクライアント装置は、入力デバイスとしてディスプレイに表示された画像に対しての入力操作を受け付ける入力手段(例えば、タッチパネル)を備え、サーバ装置が実行するアプリケーションプログラムの実行画像をアプリケーション画像表示手段がディスプレイに表示して、入力処理手段が入力手段による入力操作に応じて制御情報をサーバ装置に送信することにより、アプリケーションプログラムの実行が制御される。また、キーボード画像表示手段がディスプレイにキーボード画像を表示し、キーボード画像のキーに対する入力操作が行われると、入力処理手段が当該キーに対応するキーコードを生成して、生成したキーコードを前記制御情報としてサーバ装置に送信する。これにより、サーバ装置では、キーコードに対応するアプリケーションの処理が行われる。
【0010】
ここで、上記シンクライアント装置は、キーボード画像を記憶するキーボード画像記憶部を備え、キーボード画像表示手段は、キーボード画像記憶部からキーボード画像を読み出すことによりディスプレイにキーボード画像を表示している。このため、キーボード画像の表示のために、サーバ装置はキーボード画像のデータをシンクライアント装置に送信する必要がない。よって、サーバ装置がキーボード画像のデータをシンクライアント装置に送信する構成に比べ、サーバ装置とのデータ通信量を減らすことができる。したがって、入力デバイスとしてタッチパネルを備え、サーバ装置と接続するためのネットワークに対する負荷を軽減することができるシンクライアント装置を実現できる。
【0011】
本発明に係るシンクライアント装置では、前記キーボード画像記憶部は、互いに異なるキー配列を有する複数のキーボード画像を記憶し、各キーボード画像は、前記サーバ装置が実行するアプリケーションプログラムの実行画像の少なくともいずれかに対応し、前記キーボード画像表示手段は、前記複数のキーボード画像のうち前記アプリケーション画像表示手段が表示しているアプリケーションプログラムの実行画像に対応するキーボード画像を、前記キーボード画像記憶部から読み出して前記表示デバイスに表示することが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、キーボード画像記憶部に複数種類のキーボード画像が記憶されており、表示デバイスに表示されるアプリケーションプログラムの実行画像に応じて、当該実行画像に対応するキーボード画像を表示することができる。したがって、ユーザはキーボード画像に対する入力操作を容易に行うことができる。
【0013】
本発明に係るシンクライアント装置では、各キーボード画像は、対応するアプリケーションプログラムの実行に必要なキーのみを有することが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、不必要なキーの押下による操作ミスを防止することができ、入力操作をより簡便にすることができる。
【0015】
本発明のクライアントプログラムは、コンピュータを前述のいずれかのシンクライアント装置の各手段として機能させるプログラムである。また、このクライアントプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。このように、クライアントプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることにより、前記シンクライアント装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るシンクライアント装置は、アプリケーションプログラムを実行するサーバ装置にネットワークを介して接続されるシンクライアント装置であって、画像を表示する表示領域を有するディスプレイおよび表示された前記画像に対しての入力操作を受け付ける入力手段を含む表示デバイスと、前記サーバ装置が実行しているアプリケーションプログラムの実行画像を、前記サーバ装置から受信して前記ディスプレイに表示するアプリケーション画像表示手段と、前記アプリケーションプログラムの実行を制御する制御情報を前記入力操作に応じて前記サーバ装置に送信する入力処理手段と、所定のキー配列を有するキーボード画像を記憶するキーボード画像記憶部と、前記キーボード画像記憶部から前記キーボード画像を読み出して前記ディスプレイに表示するキーボード画像表示手段とを備え、前記入力処理手段は、前記ディスプレイに表示された前記キーボード画像のキーに対して入力操作が行われると、入力操作が行われたキーに対応するキーコードを生成して、生成したキーコードを前記制御情報として前記サーバ装置に送信する構成である。したがって、入力手段としてタッチパネルを備え、サーバ装置と接続するためのネットワークに対する負荷を軽減することができるシンクライアント装置を実現できるという効果を奏する。
【0017】
また、アプリケーション画像の状態に応じたキーボード画像を表示することにより、不要な入力操作を防止するとともに、アプリケーション画像に対して適切な制御が実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るサーバ・クライアントシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すサーバ・クライアントシステムのクライアントコンピュータの表示デバイスに表示されるキーボード画像の一例を示しており、(a)は、ひらがなの入力に用いられるキーボード画像を示す図であり、(b)は、英文字の入力に用いられるキーボード画像を示す図である。
【図3】(a)は、ひらがなの入力を要求するアプリケーション画像の一例を示す図であり、(b)は、当該アプリケーション画像にひらがなの入力に必要なキーのみを有するキーボード画像が表示された一例を示す図である。
【図4】(a)は、英文字の入力を要求するアプリケーション画像の一例を示す図であり、(b)は、当該アプリケーション画像に英文字の入力に必要なキーのみを有するキーボード画像が表示された一例を示す図である。
【図5】(a)は、数字の入力を要求するアプリケーション画像の一例を示す図であり、(b)は、当該アプリケーション画像に数字の入力に必要なキーのみを有するキーボード画像が表示された一例を示す図である。
【図6】(a)および(b)はともに、図1に示すサーバ・クライアントシステムのクライアントコンピュータの表示デバイスに表示されるキーボード画像の他の例を示す図である。
【図7】(a)は、図6(a)に示すキーボード画像のキーとキーコードとの対応関係を示すキーコードデータの一例を示す図であり、(b)は、図6(b)に示すキーボード画像のキーとキーコードとの対応関係を示すキーコードデータの一例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るサーバ・クライアントシステムの構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示すサーバ・クライアントシステムにおけるサーバ部の設定登録部による登録処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図8に示すサーバ・クライアントシステムにおけるサーバ部のデータ読出部によるデータ読み出しの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図8に示すサーバ・クライアントシステムのクライアントコンピュータの表示デバイスに表示されるキーボード画像の一例を示しており、(a)は、通常のパーソナルコンピュータに用いられるキーボードと同様のキー配列を有するキーボード画像を示す図であり、(b)は、一部のひらがなのキーのみを有するキーボード画像を示す図である。
【図12】(a)は、図8に示すサーバ・クライアントシステムのサーバコンピュータの表示デバイスに表示される画像の一例を示す図であり、(b)は、上記サーバ・クライアントシステムのクライアントコンピュータの表示デバイスに表示される画像の一例を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るサーバ・クライアントシステムの構成を示すブロック図である。
【図14】キーボード設定データの一例を示す図である。
【図15】第4の実施形態に係るサーバ・クライアントシステムの構成を示すブロック図である。
【図16】(a)は図15に示すクライアントコンピュータがサーバコンピュータから取得する矩形画像(選択画像)を含むアプリケーションプログラムの画像を示す図であり、(b)は取得した矩形画像がクライアント装置の表示デバイスに表示された状態を示す図である。
【図17】(a)は図15に示すクライアントコンピュータがサーバコンピュータから取得する矩形画像を含むアプリケーションプログラムの他の画像を示す図であり、(b)は取得した矩形画像がクライアント装置の表示デバイスに表示された状態を示す他の図である。
【図18】第5の実施形態に係るサーバ・クライアントシステムの構成を示すブロック図である。
【図19】(a)は、図18に示すサーバ・クライアントシステムのクライアントコンピュータの表示デバイスの正面図であり、(b)は、当該表示デバイスの分解図である。
【図20】図18に示すサーバ・クライアントシステムのクライアントコンピュータの入力用データ記憶部に記憶されるキーコードデータの一例を示す図である。
【図21】本発明の第5の実施形態の変形例に係るサーバ・クライアントシステムの構成を示すブロック図である。
【図22】(a)および(b)はともに、図21に示すサーバ・クライアントシステムのクライアントコンピュータの入力用データ記憶部に記憶されるキーコードデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係るサーバ・クライアントシステム10の構成を示すブロック図である。サーバ・クライアントシステム10は、サーバコンピュータ(サーバ装置)1と、クライアントコンピュータ(シンクライアント装置)2とを備え、サーバコンピュータ1とクライアントコンピュータ2とは、本実施形態において、接続はインターネットなどのWAN、Ethernet(登録商標)などのLAN、USB(Universal Serial Bus:登録商標)などの高速シリアル通信を用いることができる。
【0021】
まず、サーバコンピュータ1の構成について説明する。
【0022】
サーバコンピュータ1は、サーバ部11と、記憶装置12と、表示メモリ13と、サーバディスプレイ14と、通信インターフェース(図中「IF」にて示す)15とを備え、本実施形態においては、パーソナルコンピュータによって構成されている。
【0023】
記憶装置12は、本実施形態においてはハードディスク装置で構成されており、n種類(nは整数)のアプリケーションプログラムAP1〜APnを保存している。また、記憶装置12は、サーバ用展開領域121を含んでいる。サーバ用展開領域121は、サーバコンピュータ1のサーバディスプレイ14に表示させるアプリケーションプログラムの画像データを展開するために設けられている領域である。このサーバ用展開領域121は、アプリケーションプログラムが起動された状態でサーバディスプレイ14に表示される当該アプリケーションプログラムの画像のデータを格納するために設けられている。
【0024】
サーバ部11は、CPUがサーバプログラムを実行することによって実現される機能ブロックであり、クライアントコンピュータ2に対してアプリケーションプログラムAP1〜APnを操作させるためのサーバ機能を備えている。サーバ部11は、この機能を実現するために、クライアント指示受付部111と、アプリケーション画像転送部112とを有している。
【0025】
クライアント指示受付部111は、クライアントコンピュータ2からの制御情報に基づいて、アプリケーションプログラムの実行を受け付ける機能ブロックである。具体的には、クライアント指示受付部111は、以下のように動作する。
【0026】
まず、アプリケーションプログラムが立ち上がっていない状態では、サーバコンピュータ1は、クライアントコンピュータ2からアプリケーションプログラムの実行の指示を受け付けると、当該指示に基づいて、記憶装置12から指示されたアプリケーションプログラムAP1〜APnを読み出して実行する。そして、実行中のアプリケーションプログラムの実行画像(以下「アプリケーション画像」とする)のデータを表示メモリ13に展開する。なお、クライアントコンピュータ2からサーバコンピュータ1への指示手順については後に詳述する。
【0027】
表示メモリ13は、例えばVRAMによって構成されており、表示メモリ13にアプリケーション画像のデータが展開され、サーバ部11のアプリケーション画像転送部112により画像データが読み出されることにより、サーバディスプレイ14に当該アプリケーション画像が表示される。
【0028】
すでにアプリケーションプログラムが立ち上がっている状態では、クライアント指示受付部111は、指示に基づきアプリケーションプログラムを動作させる。そして、アプリケーション画像転送部112は、表示メモリ13に展開されているアプリケーション画像の少なくとも一部を表示メモリ13から読み出して、通信インターフェース15を介してクライアントコンピュータ2に送信する。これにより、クライアントコンピュータ2では、送信されたアプリケーション画像が表示デバイス23に表示され、ユーザは、アプリケーション画像に対して入力操作を行うことにより、サーバコンピュータ1のアプリケーションプログラムの実行を制御することができる。
【0029】
なお、サーバコンピュータ1に複数のクライアントコンピュータ2が接続されている場合、サーバコンピュータ1はクライアントコンピュータ2に自動的にアプリケーションプログラムの実行画像を送信してもよい。例えば、サーバコンピュータ1において、複数のクライアントコンピュータ2が同一のアプリケーションの実行、表示、閲覧を行っている場合には、指示を送信してきたクライアントコンピュータ2だけでなく、同一のアプリケーションを実行、表示、閲覧している他のクライアントコンピュータ2にもアプリケーション画像の少なくとも一部が送信され、指示を送ったクライアントコンピュータ2と他のクライアントコンピュータ2とは同じ状態とされる。
【0030】
また、クライアントコンピュータ2がサーバコンピュータ1のアプリケーションプログラムの実行を制御することによって生成されたデータは、サーバコンピュータ1の記憶装置12に保存される。すなわち、クライアントコンピュータ2は、アプリケーションプログラムの実行によって生成されたデータを保存しないので、クライアントコンピュータ2のユーザによるデータ漏洩を防止することができる。
【0031】
クライアントコンピュータ2は、入力デバイスとしてタッチパネルを備えるシンクライアント装置であり、プログラマブル表示器などの表示端末やパーソナルコンピュータによって構成されている。具体的には、クライアントコンピュータ2は、本体部21と、入力用データ記憶部22と、表示デバイス23と、通信インターフェース(図中「IF」にて示す)26とを備えている。
【0032】
表示デバイス23は、ディスプレイ25とタッチパネル24とを備えている。ディスプレイ25は、サーバコンピュータ1から送信されるアプリケーション画像や後述するキーボード画像を表示するものであり、液晶ディスプレイ(LCD)やCRT(Cathode Ray tube:陰極管)ディスプレイが好適に用いられる。タッチパネル24は、ディスプレイ25の表面に貼り付けられ、ディスプレイ25に表示される画像が見えるように透明となっている。タッチパネル24は位置入力装置であり、タッチパネル24を介して表示される画像に対する入力操作を受け付ける。タッチパネル24に対して入力操作が行なわれると、タッチパネル24は、タッチパネル24への入力操作がされた位置座標を示す信号を生成する。
【0033】
入力用データ記憶部22は、本実施形態においては、不揮発性のメモリで構成されており、キーボード画像ファイルKBFとキーコードファイルKCFとを記憶している。なお、入力用データ記憶部22は、ハードディスク等で構成されてもよいが、本実施形態のクライアントコンピュータ2では、サーバコンピュータ1におけるアプリケーションプログラムの実行によって生成されたデータは、入力用データ記憶部22には保存されず、サーバコンピュータ1の記憶装置12に保存される。
【0034】
キーボード画像ファイルKBFは、サーバコンピュータ1の記憶装置12に保存されているアプリケーションプログラムAP1〜APnと同数のキーボード画像データKB1〜KBnを含んでいる。キーボード画像データKB1〜KBnは、それぞれアプリケーションプログラムAP1〜APnに対応している。具体的には、キーボード画像データKB1のキーボード画像は、アプリケーションプログラムAP1の実行処理において使用されるキーのみを有しており、以下同様に、キーボード画像データKBnのキーボード画像は、アプリケーションプログラムAPnの実行処理において使用されるキーのみを有している。
【0035】
また、キーコードファイルKCFは、キーボード画像データKB1〜KBnと同数のキーコードデータKC1〜KCnを含んでいる。
【0036】
キーボード画像データKB1〜KBnは、表示デバイス23に表示されるキーボード画像のデータである。また、キーコードデータKC1〜KCnは、キーボード画像のキーと当該キーに対応するキーコードとの対応を示すデータであり、キーボード画像に対する入力操作が行われた場合に、後述する本体部21の入力処理部212がキーコードを生成するために参照するデータである。これらのキーボード画像データKB1〜KBnとキーコードデータKC1〜KCnとは、入力操作されたキーボード画像のキーと、入力処理部212によって生成されるキーコードとが対応するように、互いに関連付けられている。具体的には、キーコードデータKC1は、キーボード画像データKB1のキーボード画像が有するキーとキーコードとの対応関係を示すデータであり、以下同様に、キーコードデータKCnは、キーボード画像データKBnのキーボード画像が有するキーとキーコードとの対応関係を示すデータである。
【0037】
本体部21は、CPUがクライアントプログラムを実行することによって実現される機能ブロックである。本体部21は、サーバコンピュータ1において実行されるアプリケーションプログラムを操作するためのクライアント機能を備えている。このクライアント機能を実現するために、本体部21は、表示処理部211と入力処理部212とアプリケーション特定部213とを有している。
【0038】
表示処理部211は、サーバコンピュータ1から送信されるアプリケーション画像と、入力用データ記憶部22に記憶されているキーボード画像とを表示デバイス23に表示するための機能ブロックであり、アプリケーション画像表示処理部2111とキーボード画像表示処理部2112とを有している。
【0039】
アプリケーション画像表示処理部2111は、サーバコンピュータ1のアプリケーション画像転送部112から送信されたアプリケーション画像のデータを、通信インターフェース26を介して受信すると、受信したアプリケーション画像のデータを図示しない表示メモリに展開する。これにより、表示デバイス23のディスプレイ25に、サーバコンピュータ1において実行されているアプリケーションプログラムの実行画像が表示される。
【0040】
キーボード画像表示処理部2112は、表示デバイス23のディスプレイ25にアプリケーション画像が表示されると、表示されたアプリケーション画像に関連付けられたキーボード画像データKBがある場合は、入力用データ記憶部22からキーボード画像データKBを読み出して、図示しない前記表示メモリに展開する。その結果、表示デバイス23のディスプレイ25には、キーボード画像がアプリケーション画像に重なって表示される。なお、キーボード画像は、アプリケーション画像に重ならないような位置に表示されるように適宜表示位置を設定できる。さらに、キーボード画像の表示、非表示を選択するようにすることもできる。
【0041】
クライアントコンピュータ2のユーザは、表示デバイス23のディスプレイ25に表示されたアプリケーション画像およびキーボード画像に対してタッチパネル24を介して入力操作することにより、サーバコンピュータ1のアプリケーションプログラムの実行を制御することができる。具体的には、タッチパネル24に対する入力操作が行われると、タッチパネル24は、入力位置の座標を示す信号を生成して入力処理部212に出力する。例えば、入力位置がアプリケーション画像の操作ボタンである場合、入力処理部212は、操作ボタンに対してマウスを用いて入力された場合と同様の入力位置情報をサーバコンピュータ1に送信して、この入力位置情報を制御情報としてサーバコンピュータ1に送信する。これにより、サーバコンピュータ1のクライアント指示受付部111は、操作ボタンに関連付けられた入力位置情報に対応する処理が実行される。
【0042】
一方、入力位置がキーボード画像のキーである場合、入力処理部212は、入力位置の座標から入力操作されたキーを特定し、キーコードデータKCを参照して入力操作されたキーに対応するキーコードを生成して、キーコードを制御情報としてサーバコンピュータ1に送信する。これにより、サーバコンピュータ1のクライアント指示受付部111は、クライアントコンピュータ2から送信されたキーコードに対応する処理を実行する。
【0043】
すなわち、本発明のクライアントコンピュータ2の入力処理部212は、入力位置がキーを指している場合には、キーコードを制御情報としてサーバコンピュータ1に送る一方、入力位置がアプリケーション画像を指している場合には、入力位置を示す座標データをサーバコンピュータ1に送るようになっている。
【0044】
また、本体部21aは、アプリケーション特定部213を有している。アプリケーション特定部213は、表示デバイス23に表示されているアプリケーション画像のアプリケーションプログラムが、アプリケーションプログラムAP1〜APnのいずれであるかを特定する機能を有している。
【0045】
例えば、クライアントコンピュータ2からの指示に基づき、サーバコンピュータ1のクライアント指示受付部111がアプリケーションプログラムAP1〜APnのうちアプリケーションプログラムAP2を実行した場合について説明する。このとき、アプリケーション画像転送部112は、アプリケーションプログラムAP2のアプリケーション画像のデータをクライアントコンピュータ2に送信する。クライアントコンピュータ2のアプリケーション画像表示処理部2111は、受信したアプリケーション画像のデータを図示しない表示メモリに展開し、これにより表示デバイス23にアプリケーションプログラムAP2のアプリケーション画像が表示される。
【0046】
また、サーバコンピュータ1のアプリケーション画像転送部112は、アプリケーション画像のデータと共に、アプリケーションプログラムAP2を特定するための識別情報をクライアントコンピュータ2に送信する。クライアントコンピュータ2のアプリケーション特定部213は、当該識別情報に基づき、サーバコンピュータ1において実行されているアプリケーションプログラムがアプリケーションプログラムAP2であることを特定する。
【0047】
アプリケーション特定部213は、アプリケーションプログラムを特定すると、特定したアプリケーションプログラムAP2に対応するキーボード画像データKB2を示すキーボード選択情報を生成して、キーボード画像表示処理部2112に出力する。また、アプリケーション特定部213は、特定したアプリケーションプログラムAP2に対応するキーボード画像データKB2に関連付けられているキーコードデータKC2を示すキーコード選択情報を生成して、入力処理部212に出力する。
【0048】
キーボード画像表示処理部2112は、アプリケーション特定部213からのキーボード選択情報に基づいて、キーボード画像ファイルKBFからキーボード画像データKB2を選択して読み出し、図示しない表示メモリに展開する。これにより、アプリケーションプログラムAP2のアプリケーション画像が表示デバイス23に表示されているときに、アプリケーションプログラムAP2に対応するキーボード画像データKB2のキーボード画像が表示される。
【0049】
また、入力処理部212は、アプリケーション特定部213からのキーコード選択情報に基づいて、キーコードを生成する際に参照するキーコードデータとして、キーコードデータKC2を選択する。これにより、キーボード画像データKB2のキーボード画像に対する入力操作が行われると、入力処理部212は、入力操作されたキーに対応するキーコードを生成することができる。
【0050】
上記のように、キーボード画像データKB2のキーボード画像は、アプリケーションプログラムAP2の実行に必要なキーのみを備えている。したがって、不必要なキーの押下による操作ミスや悪戯を防止することができ、アプリケーションプログラムAP2の実行に対する操作をより簡便にすることができる。
【0051】
以下、本実施形態におけるキーボード画像、アプリケーション画像およびキーコードデータの一例について図2〜図7に基づいて説明する。
【0052】
図2は、表示デバイス23に表示されるキーボード画像KBの一例を示しており、(a)は、ひらがなの入力に用いられるキーボード画像KB1を示す図であり、(b)は、英文字の入力に用いられるキーボード画像KB2を示す図である。
【0053】
例えば、アプリケーションプログラムAP1の実行処理に必要なキーコードがひらがなのみであって、図3(a)に示すアプリケーションプログラムAP1のアプリケーション画像に対して入力操作を行う場合、図3(b)に示すように、ひらがなの入力に必要なキーのみを有するキーボード画像KB1を表示させる。また、アプリケーションプログラムAP2の実行処理に必要なキーコードが英文字のみであって、図4(a)に示すアプリケーションプログラムAP2のアプリケーション画像に対して入力操作を行う場合、図4(b)に示すように、英文字の入力に必要なキーのみを有するキーボード画像KB2を表示させる。
【0054】
このように、キーボード画像KB1およびキーボード画像KB2は、それぞれアプリケーションプログラムAP1およびアプリケーションプログラムAP2の実行に必要なキーのみを有している。したがって、クライアントコンピュータ2のユーザは、キーボード画像KB1・KB2に対する入力操作を容易に行うことができる。
【0055】
また、1つのアプリケーションプログラムを実行する場合に、表示されるアプリケーション画像に対して複数の異なるキーボード画像を表示させる構成としてもよい。
【0056】
例えば、アプリケーションプログラムAP1の実行画像が、図3(a)に示すような、ひらがなの入力を要求する画像の他に、図5(a)に示すような、数字の入力を要求する画像も含む場合、図5(b)に示すように、数字の入力を要求する画像が表示デバイス23に表示されるときに、数字の入力に必要なキーのみを有するキーボード画像KB3を表示させてもよい。このように、アプリケーション画像に応じて、異なるキーボード画像を表示することにより、キーボード画像に対する入力操作がさらに容易となる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係るサーバ・クライアントシステム10では、操作対象となるアプリケーションプログラムの種類に応じて、そのアプリケーションプログラムの実行処理用にカスタマイズされたキーボード画像を表示させることができる。さらに、同一のアプリケーションプログラムのアプリケーション画像であっても、表示されているアプリケーション画像に応じて、異なるキーボード画像を表示させることができる。したがって、クライアントコンピュータ2のユーザは、キーボード画像に対する入力操作を容易に行うことができる。
【0058】
また、表示デバイス23に表示されるキーボード画像が備えるキーは、パーソナルコンピュータで使用される一般的なキーボード装置が備えるキーに限定しなくてもよい。
【0059】
図6は、表示デバイス23に表示されるキーボード画像の他の例を示す図であり、(a)は、キーボード画像KB4を示しており、(b)は、キーボード画像KB5を示している。図6(a)に示すキーボード画像KB4は、ひらがなのキーの他、「ヘルプ」「保存」「印刷」等、一般的なキーボード装置には設けられていないキーを含んでいる。また、図6(b)に示すキーボード画像KB5は、一般的なキーボード装置には設けられていないキーのみで構成されている。
【0060】
図7(a)は、図6(a)に示すキーボード画像KB4のキーとキーコードとの対応関係を示すキーコードデータKC4の一例を示す図である。キーコードデータKC4では、「保存」「印刷」のそれぞれのキーに、「Ctrl+S」「Ctrl+P」のキーコードが対応付けられている。このように、一つのキーに複数のキーコードを組み合わせたキーコードを対応付けることにより、一つのキー操作で連続したキーコードを生成できる。これにより、入力操作をさらに容易にすることができる。
【0061】
また、図7(b)は、図6(b)に示すキーボード画像KB5のキーとキーコードとの対応関係を示すキーコードデータKC5の一例を示す図である。キーコードデータKC5におけるキーコードは、アプリケーションプログラムの実行のために独自に設定されたものである。また、デバイスの非常停止といった操作は、サーバコンピュータ1に複雑なキーコードを送信する必要があるが、図7(b)に示すように、「非常停止」のキーに予めキーコードを対応付けておくことにより、一つのキー操作によって「非常停止」の制御を行うことができる。
【0062】
また、1つのキーに複数の文字列を示すキーコードを対応付けることにより、1つのキー操作で複数の文字列を入力できるようにしてもよい。
【0063】
このように、本実施形態では、シンクライアント装置であるクライアントコンピュータ2において、サーバコンピュータ1で実行されるアプリケーション画像を表示する場合に、アプリケーション画像に予め関連付けられたキーボード画像データがクライアントコンピュータ2の入力用データ記憶部22に保存されていると、キーボード画像データが読み出され、クライアントコンピュータ2の表示デバイス23にキーボード画像が表示される。すなわち、クライアントコンピュータ2自身がキーボード画像を表示する機能を有しているため、サーバコンピュータ1は、クライアントコンピュータ2に対してキーボード画像のデータを送信する必要がない。したがって、サーバコンピュータ1がアプリケーション画像のデータとキーボード画像のデータとの両方を送信する場合に比べて、ネットワーク3における通信データ量を減らすことができるので、高速通信が可能となる。また、サーバコンピュータ1のキーボード画像データの送信の負担が無くなるので、サーバコンピュータ1でのアプリケーションプログラムの実行速度を向上させることができ、さらに、通信速度の高速化により、表示デバイス23の画像の表示速度も向上させることができる。
【0064】
さらに、キーボード画像に含まれるキーの種類や、キーに対応するキーコードを自由に設定することにより、アプリケーション画像ごとに最適なキーボード画像を用いることができる。なお、アプリケーションプログラムに対応するキーボード画像は、当該アプリケーションプログラムの実行に必要なキー以外のキーを含んでいてもよい。
【0065】
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について図8〜図12を参照して説明する。
【0066】
第1の実施形態では、サーバコンピュータにおいて実行されるアプリケーション画像の状態に応じて、表示デバイスに表示されるキーボード画像を切り替える構成について説明したが、本実施形態では、クライアントコンピュータが1種類のキーボード画像を表示する構成について説明する。また、本実施形態では、サーバコンピュータのサーバディスプレイに表示される画像の一部をクライアントコンピュータのディスプレイに表示する構成について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、第1の実施形態において説明した部材と機能の異なる部材のみ異なる符号を付記し、第1の実施形態において説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0067】
図8は、本実施形態の変形例に係るサーバ・クライアントシステム10aの構成を示すブロック図である。サーバ・クライアントシステム10aと図1に示すサーバ・クライアントシステム10との相違点は、サーバコンピュータ1aにおいて、サーバ部11aが設定登録部113を有し、クライアントコンピュータ2aにおいて、本体部21aが、アプリケーション特定部213を有していないことである。
【0068】
また、サーバコンピュータ1aの記憶装置12には、設定ファイルSF1が記憶されており、設定ファイルSF1は、IPアドレス、ID、アプリケーション指定番号および矩形範囲データを含んでいる。また、サーバコンピュータ1aの表示メモリは、クライアント用展開領域131を含んでおり、クライアント用展開領域131は、クライアントコンピュータ2の表示デバイス23に表示させるアプリケーションプログラムを展開するために設けられている領域である。このクライアント用展開領域131は、アプリケーションプログラムの画像データ毎の区分領域R1,R2,…,Rn(記憶領域)に区分されている。これにより、各アプリケーションプログラムAP1〜APnの画像データが、それぞれ区分領域R〜Rnに展開される。すなわち、1つの区分領域には、1つのアプリケーションプログラムが展開、記憶されるようになっている。
【0069】
さらに、クライアントコンピュータ2aの入力用データ記憶部22には、1つのキーボード画像データKBと1つのキーコードデータKCとが記憶されており、キーボード画像データKBとキーコードデータKCとは、入力操作されたキーボード画像のキーと、入力処理部212によって生成されるキーコードとが対応するように、互いに関連付けられている。これにより、サーバ・クライアントシステム10aでは、サーバコンピュータ1が実行するアプリケーションプログラムの種類に関わらず、キーボード画像表示処理部2112は、1種類のキーボード画像を表示デバイス23に表示する。また、入力用データ記憶部22には、設定ファイルSF2が記憶されており、設定ファイルSF2は、クライアントコンピュータ2に関して設定されたものであり、サーバコンピュータ1から取得される。
【0070】
まず、サーバコンピュータ1aの構成について詳細に説明する。
【0071】
アプリケーション指定番号は、クライアントコンピュータ2a側で操作するアプリケーションプログラムを指定するための番号である。このアプリケーション指定番号は、指定するアプリケーションプログラムの画像のデータが展開されているメモリ領域である表示メモリ13のクライアント用展開領域131の先頭アドレスと対応付けられている。このように、アプリケーション指定番号は、メモリ領域と関連付けて設定してもよいが、アプリケーションプログラムを直接指定するように設定してもよい。具体的には、後述する矩形範囲データがアプリケーションプログラムにおいて設定されることから、後述する矩形範囲データをアプリケーション指定番号に割り付けることで、アプリケーション指定番号がアプリケーションプログラムと直接関連付けられる。
【0072】
矩形範囲データは、指定されたアプリケーションプログラムの画像のうち、クライアントコンピュータ2aで表示される部分を特定するために予め設定されている矩形範囲を示すデータである。この矩形範囲データは、例えば、矩形領域の対向する2つの頂角の座標データを含んでいる。
【0073】
上記の設定ファイルSF1は、サーバコンピュータ1a毎に設けられている。また、設定ファイルSF1はパスワードを含んでいてもよい。
【0074】
設定登録部113は、ユーザによって入力されたIPアドレス、ID、アプリケーション指定番号および矩形範囲データを、前述の設定ファイルSF1を作成することにより設定する。また、設定登録部113は、クライアントコンピュータ2aに対して操作を許可できるアプリケーションプログラムを記憶装置12に登録する。
【0075】
設定登録部113は、設定ファイルSF1の作成に関して、IPアドレスおよびIDを設定するためのユーザインターフェースとして、これらを入力するためのダイアログボックス(図示せず)を表示する。このダイアログボックスには、必要に応じてパスワードを入力するボックスが設けられていてもよい。
【0076】
また、設定登録部113は、アプリケーション指定番号と矩形領域(選択領域)とを割り付けるためのユーザインターフェースとして、その割り付けのためのダイアログボックス(図示せず)を表示する。この割り付けは、アプリケーション指定番号により指定されるアプリケーションプログラムの画像が表示されている状態で矩形領域を選択して、上記のダイアログボックスを用いて行われる。矩形領域の選択は、クリックした状態でマウスを移動させるなどの一般的な方法で行われる。
【0077】
このダイアログボックスは、アプリケーション指定番号を入力するボックスと、設定ファイルSF1のファイル名を表示するファイル名ボックスと、選択された矩形領域の範囲を表示する矩形範囲ボックス(選択範囲ボックス)とを有している。ファイル名ボックスには、新規の設定ファイルSF1を作成する場合、自動的に設定されたファイル名が表示され、すでに作成された設定ファイルSF1を更新する場合、ファイル名の一覧から選択することにより所望のファイル名が表示される。選択される矩形領域の範囲は、矩形領域の対向する2つの頂点(例えば左下および右上の)の座標として規定され、矩形範囲ボックスには、その2点の座標が表示される。設定登録部113は、この矩形範囲が特定されると、クライアント用展開領域131において、矩形範囲で特定される矩形領域のデータの先頭アドレスと末尾アドレスとを矩形範囲データと組み合わせて設定する。
【0078】
設定登録部113は、上記のIPアドレス、ID、アプリケーション指定番号および矩形範囲を上記のファイル名の設定ファイルSF1に書き込み、設定ファイルSF1を記憶装置12に保存することにより、設定の登録を行う。
【0079】
アプリケーション画像転送部112は、クライアントコンピュータ2aからの接続要求に応じて、表示メモリ13に展開されたアプリケーションプログラムの画像データから設定されている矩形領域のデータを読み出してクライアントコンピュータ2aに送信する。具体的には、アプリケーション画像転送部112は、接続要求と併せてクライアントコンピュータ2aから送信されるIPアドレスおよびIDと設定ファイルSF1に設定されているIPアドレスおよびIDとを比較照合し、両者が合致すると、IPアドレスおよびIDで特定された設定ファイルSF1を参照して矩形領域データの読み出しを行う。
【0080】
なお、IDは権限を表すコードを含んでいてもよい。これにより、アプリケーション画像転送部112が、権限に応じて操作できるアプリケーションプログラムを異ならせるようにしてもよい。
【0081】
アプリケーション画像転送部112は、特定された設定ファイルSF1におけるアプリケーション指定番号に対応付けられた先頭アドレスに基づいて、指定されたアプリケーションプログラムの画像データが展開されている領域をクライアント用展開領域131において特定する。また、アプリケーション画像転送部112は、上記の設定ファイルSF1における矩形範囲データで定まる矩形領域のデータを、特定された上記の領域から前述の先頭アドレスから末尾アドレスまでの範囲で読み出す。そして、アプリケーション画像転送部112は、読み出した矩形領域のデータをクライアントコンピュータ2aに送信するように通信インターフェース15に渡す。
【0082】
あるいは、アプリケーション画像転送部112は、設定ファイルSF1に設定されている上記の先頭アドレスおよび末尾アドレスにより直接矩形領域のデータをクライアント用展開領域131から読み出してもよい。これにより、アプリケーションプログラムの画像データが展開されている領域を特定する必要がなくなる。
【0083】
さらに、アプリケーション画像転送部112は、クライアントコンピュータ2aによるアプリケーションプログラムの操作により、クライアント用展開領域131に展開されている画像データに変化があると、その都度、クライアントコンピュータ2aに送信するために矩形領域のデータを読み出す。アプリケーション画像転送部112は、その読み出しのときに、上記の操作によって変化が生じた部分のみを差分データとして出力する。差分データをクライアントコンピュータ2aに送信することにより、矩形領域の画像データをそのまま送信することに比べて、送信時間を短縮することができる。
【0084】
アプリケーション画像転送部112は、矩形領域の表示位置を補正する。クライアントコンピュータ2aの表示デバイス23のディスプレイ25の表示画面サイズが、サーバコンピュータ1aのサーバディスプレイ14の表示画面サイズに比べて小さい場合、選択された矩形領域の位置によっては、当該矩形領域がディスプレイ25に表示されなくなることがある。このような不都合を回避するため、矩形領域を例えばディスプレイ25における表示画面の左下端側に寄せて表示するように、読み出された矩形領域のデータの座標値を補正する。具体的には、アプリケーション画像転送部112は、設定ファイルSF1で矩形範囲を規定している2つの頂点のうちの1点(左下端)の座標を(0,0)に補正するとともに、他方の頂点の座標もこれに応じて補正する。これにより、矩形領域の左下端の頂点がディスプレイ25の表示原点(左下端)と一致するので、表示原点から大きく離れた矩形範囲の画像がディスプレイ25に表示できなくなるというケースを大幅に少なくすることができる。
【0085】
以上の構成により、クライアントコンピュータ2aのディスプレイ25には、サーバコンピュータ1aのサーバディスプレイ14に表示される画像の一部が表示される。続いて、クライアントコンピュータ2aの構成について詳細に説明する。
【0086】
上述のように、入力用データ記憶部22に記憶されている設定ファイルSF2は、クライアントコンピュータ2に関して設定されたものであり、サーバコンピュータ1から取得される。
【0087】
表示処理部211は、クライアントコンピュータ2aの要求に応じてサーバコンピュータ1aから送信された矩形領域のデータを表示デバイス23のディスプレイ25に表示するための処理を行う。また、表示処理部211は、クライアントコンピュータ2a側での操作で生じた変化が反映されている前述の差分データを受けると、すでにディスプレイ25に表示されている矩形領域の画像に対し、差分データを更新するように表示する。
【0088】
また、表示処理部211は、スケーラとしての機能を有している。矩形領域がディスプレイ25の画面表示サイズに合わせて選択されない場合、矩形領域がディスプレイ25の表示画面に対して極端に小さくまたは大きく表示されることがある。このような不都合を回避するため、ディスプレイ25の表示能力に合わせて、矩形領域の画像を拡大または縮小することにより、ディスプレイ25のサイズにできるだけ近い大きさで矩形領域を表示することができる。このようなスケーラの機能は、例えば、テレビジョン受像機などで用いられている技術が用いられる。
【0089】
入力処理部212は、サーバコンピュータ1のアプリケーションプログラムを操作する要求の入力操作がタッチパネル24を用いてユーザによってなされると、その要求のための要求信号を出力する。また、入力処理部212は、要求信号とともに、入力用データ記憶部22に保存されている設定ファイルSF2から、IPアドレス、IDおよびアプリケーション指定番号を読み出して出力する。
【0090】
上記のように構成されるサーバ・クライアントシステム10aのサーバコンピュータ1aにおける設定登録部113の登録処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0091】
まず、操作が可能なアプリケーションプログラムが登録されているか否かを判定し(ステップS1)、登録が行われていない場合、処理がステップS6に移行する。
【0092】
ステップS1において、登録が行われていると判定すると、アプリケーションプログラムの操作を所望するクライアントコンピュータ2aについての登録が行われているか否かを判定し(ステップS2)、登録が行われていない場合、登録が行われる(ステップS3)。このとき、設定登録部113によって、IPアドレスおよびIDが登録されることで、クライアントコンピュータ2aについての登録が行われ、アプリケーションプログラムの割付が行われる(ステップS4)。このとき、設定登録部113によって、前述のアプリケーション指定番号と矩形領域との割り付けが行われる。また、ステップS2において、登録が行われている場合、ステップS4に処理が移行する。
【0093】
上記のよう登録された設定データを設定ファイルSF1として記憶装置12に保存する(ステップS5)。そして、引き続いて登録処理を行うか否かを判定する(ステップS6)。ここで、登録処理を行わない場合、処理を終了する一方、登録処理を続行する場合、処理がステップS1に移行する。
【0094】
続いて、サーバコンピュータ1aにおけるアプリケーション画像転送部112の矩形領域のデータ読み出し処理および通信インターフェース15のデータ送信処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0095】
まず、クライアントコンピュータ2aから接続要求を受ける待機状態において(ステップS11)、接続要求を受けた場合、クライアントコンピュータ2aを特定する設定データの照合を行う(ステップS12)。このとき、アプリケーション画像転送部112によって、クライアントコンピュータ2aから受信したIPアドレスおよびIDと設定ファイルSF1に登録されているIPアドレスおよびIDとがそれぞれ照合される。設定データ照合の結果、両者が合致したか否を判定する(ステップS13)。ここで、両者が合致していない場合、エラー情報をクライアントコンピュータ2aに送信する。クライアントコンピュータ2aでは、そのエラー情報に基づいて表示デバイス23に、接続要求が拒否されたことをメッセージにて表示する。
【0096】
ステップS13において、両者が合致している場合、予め設定された矩形領域のデータを表示メモリ13から読み出す(ステップS15)。このとき、アプリケーション画像転送部112によって、設定ファイルSF1から読み出されたアプリケーション指定番号および矩形範囲データに基づいて、所望の矩形領域の画像データがクライアント用展開領域131から読み出される。そして、読み出された画像データをクライアントコンピュータ2aに送信する。
【0097】
クライアントコンピュータ2aでは、その画像データが受信されると、表示処理部211によってその画像データに基づいて、選択された矩形領域の画像が表示デバイス23に表示される。クライアントコンピュータ2aにおいて、表示された画像上でアプリケーションプログラムが、ユーザによってタッチパネル24を用いて操作されると、タッチパネル24の入力信号による操作情報がサーバコンピュータ1aに送信される。サーバコンピュータ1aにおいては、受信した操作情報に基づいてアプリケーションプログラムが動作して、それによる変化がクライアント用展開領域131に展開されている画像データに反映される。
【0098】
矩形領域の画像データがクライアントコンピュータ2aに送信されてからは、上記の変化があるか否かを判定し(ステップS17)、変化があった場合、クライアント用展開領域131に展開されている画像データから変化分である差分データを抽出する(ステップS18)。さらに、抽出された差分データをクライアントコンピュータ2aに送信する(ステップS19)。このとき、クライアントコンピュータ2aでは、受信した差分データに基づいて、表示デバイス23に表示されている矩形画像が変化する。そして、引き続いて登録処理を行うか否かを判定する(ステップS20)。ここで、登録処理を行わない場合、データ読み出しおよびデータ送信の処理を終了する一方、当該処理を続行する場合、処理がステップS11に移行する。
【0099】
続いて、サーバ・クライアントシステム10aにおけるキーボード画像およびアプリケーション画像の一例について説明する。
【0100】
図11は、表示デバイス23に表示されるキーボード画像KBの一例を示しており、(a)は、通常のパーソナルコンピュータに用いられるキーボードと同様のキー配列を有するキーボード画像を示す図であり、(b)は、一部のひらがなのキーのみを有するキーボード画像を示す図である。サーバコンピュータ1aで実行されるアプリケーションプログラムの制御のために、多種類のキー操作が必要な場合は、図11(a)に示すようなキーボード画像を用いることが望ましい。また、サーバコンピュータ1aで実行されるアプリケーションプログラムの制御のために、特定のキー操作のみ要求される場合は、図11(b)に示すように、必要なキーのみを有するキーボード画像を用いることが望ましい。
【0101】
図12(a)は、サーバコンピュータ1aのサーバディスプレイ14に表示される画像の一例を示す図であり、図12(b)は、クライアントコンピュータ2の表示デバイス23に表示される画像の一例を示す図である。図12(a)に示すように、サーバコンピュータ1のサーバディスプレイ14には、実行中のアプリケーション画像が表示されている。
【0102】
図8に示すアプリケーション画像転送部112は、サーバディスプレイ14に表示されているアプリケーション画像のうち、矩形枠で囲った領域の画像データをクライアントコンピュータ2に送信している。その結果、図12(b)に示すように、クライアントコンピュータ2の表示デバイス23には、矩形枠で囲った領域の画像が表示されている。
【0103】
また、図8に示すクライアントコンピュータ2の入力用データ記憶部22には、図11(b)に示すキーボード画像のデータが保存されており、キーボード画像表示処理部2112が表示デバイス23に表示されたアプリケーション画像に応じて、予めアプリケーション画像に関連付けられた前記キーボード画像のデータを入力用データ記憶部22から読み出すことにより、図12(b)に示すように、表示デバイス23に当該キーボード画像が表示される。
【0104】
ここで、例えば、クライアントコンピュータ2のアプリケーション画像の「入荷登録」の表示部分に対してタッチ入力が行われると、図8に示す入力処理部212は、タッチ入力された入力位置情報をサーバコンピュータ1に送信する。これにより、サーバコンピュータ1のクライアント指示受付部111は、当該入力位置情報に基づいて、すなわち「入荷登録」の部分にタッチ入力がされたとして、入荷登録の画面に切り替える処理を行う。また、クライアントコンピュータ2のキーボード画像の「あ」の表示部分に対してタッチ入力が行われると、図8に示す入力処理部212は、キーコードデータKCを参照して、「あ」を示すキーコードを制御情報としてサーバコンピュータに送信する。これにより、例えば、アプリケーション画像に文字入力欄が表示されていた場合、サーバコンピュータ1のクライアント指示受付部111は、当該キーコードに基づいて、文字入力欄に「あ」を表示する処理を行う。
【0105】
このように、クライアントコンピュータ2a自身がキーボード画像を表示する機能を有しているため、サーバコンピュータ1aは、クライアントコンピュータ2aに対してキーボード画像のデータを送信する必要がない。したがって、サーバコンピュータ1aがアプリケーション画像のデータとキーボード画像のデータとの両方を送信する場合に比べて、ネットワーク3における通信データ量を減らすことができるので、高速通信が可能となる。また、キーボード画像のみをクライアントコンピュータ2a側で切り替える場合は、キーボード上に予めキーボード画像切替ボタンなどの特殊キーを設定しておくことにより、サーバコンピュータ1aと通信することなく、クライアントコンピュータ2aにおける操作によってキーボード画像を切り替えることもできる。
【0106】
また、サーバコンピュータからキーボード画像を送信する構成では、クライアントコンピュータにおいて表示されるキーボード画像のサイズは、クライアントコンピュータの表示デバイスのサイズに依存する。したがって、表示デバイスのサイズによっては、キーボード画像のキーが入力操作に支障を来すほど小さく又は大きく表示される場合がある。特に、キーボード画像が小さく表示されると、表示デバイスの解像度が低い場合、入力操作が困難となる。
【0107】
これに対し、本実施形態では、表示デバイスに表示されるキーボード画像がクライアントコンピュータに記憶されているので、キーボード画像の大きさを表示デバイスのサイズに合わせて適宜設定することにより、入力操作に支障のない大きさでキーボード画像を表示させることができる。また、図11(b)に示すようなキーボード画像のキーの個数を限定することにより、表示デバイスのサイズが小さくても、各キーを適度な大きさで表示させることができる。
【0108】
さらに、キーボード画像のキーに、XOR、拡大、縮小、ドット移動といった入力エフェクトや、αブレンド、オーバーラップといったポップアップエフェクトを設定してもよい。このように、表示デバイスのサイズや解像度に合わせて、最適なキーボード画像を個別に設計することができる。
【0109】
〔実施形態3〕
本発明の第3の実施形態について、図13〜図14を参照して説明する。
【0110】
第2の実施形態では、アプリケーションプログラムAP1〜APnとキーボード画像データKB1〜KBnとがそれぞれ1対1に対応していたが、本実施形態では、1つのキーボード画像データを複数のアプリケーションプログラムに対応させる構成について説明する。なお、説明の便宜上、第1および第2の実施形態において説明した部材と機能の異なる部材のみ異なる符号を付記し、第1および第2の実施形態において説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0111】
図13は、第3の実施形態に係るサーバ・クライアントシステム10bの構成を示すブロック図である。サーバ・クライアントシステム10bにおいて、図1に示すサーバ・クライアントシステム10と異なる点は、クライアントコンピュータ2bの構成が異なる点である。クライアントコンピュータ2bは、キーボード設定記憶部22bをさらに有し、入力用データ記憶部22に、m種類の(mはnより小さい整数)キーボード画像データKB1〜KBmからなるキーボード画像ファイルKBFbと、m種類のキーコードファイルKC1〜KCmからなるキーコードファイルKCFbが記憶されている点で、図1に示すクライアントコンピュータ2と異なっている。
【0112】
キーボード設定記憶部22bは、本実施形態においては、入力用データ記憶部22と同様に不揮発性のメモリで構成されており、アプリケーションプログラムと、キーボード画像データとキーコードデータとの対応関係を示すキーボード設定データを記憶している。
【0113】
図14は、キーボード設定データの一例を示す図である。同図に示すように、キーボード画像データKB2は、2つのアプリケーションプログラムAP2・AP3に対応しており、キーボード画像データKB4は、2つのアプリケーションプログラムAP5・AP6に対応している。なお、各キーボード画像データKB1〜KBmは、各キーコードデータKC1〜KCmと、それぞれ関連付けられている。
【0114】
アプリケーション特定部213は、サーバコンピュータ1で実行されているアプリケーションプログラムを特定するための識別情報を受信すると、キーボード設定記憶部22bにアクセスしてキーボード設定データを参照する。これにより、アプリケーション特定部213は、特定したアプリケーションプログラムに対応するキーボード画像データを示すキーボード選択情報を生成して、キーボード画像表示処理部2112に出力する。また、アプリケーション特定部213は、特定したアプリケーションプログラムに対応するキーボード画像データに関連付けられているキーコードデータを示すキーコード選択情報を生成して、入力処理部212に出力する。
【0115】
キーボード画像表示処理部2112は、アプリケーション特定部213からのキーボード選択情報に基づいて、サーバコンピュータ1で実行されているアプリケーションプログラムに対応するキーボード画像データを、キーボード画像ファイルKBFbから選択して読み出し、図示しない表示メモリに展開する。これにより、サーバコンピュータ1で実行されているアプリケーションプログラムに対応するキーボード画像データのキーボード画像が表示される。
【0116】
また、入力処理部212は、アプリケーション特定部213からのキーコード選択情報に基づいて、キーボード画像データのキーボード画像に対する入力操作が行われると、対応するキーコードデータを選択して、入力操作されたキーに対応するキーコードを生成することができる。
【0117】
本実施形態では、キーボード画像データおよびキーコードデータの数が、アプリケーションプログラムの数よりも少ない。したがって、クライアントコンピュータ2に記憶されるキーボード画像データのデータ量を抑えることができる。
【0118】
本実施形態には、異なるアプリケーションプログラムに同一のキーボード画像データが関連付けられている場合も含まれる。この場合、同じキーボード画像データを設定した複数のアプリケーションプログラムから共通のキーボード画像が読み出される。
【0119】
〔実施形態4〕
本発明の第4の実施形態について、図15〜図17を参照して説明する。本実施形態では、矩形画像の送信要求、送信、受信および表示の具体例について説明する。
【0120】
図15は、本実施形態に係るサーバ・クライアントシステム10bの構成を示すブロック図である。サーバ・クライアントシステム10bは、2台のサーバコンピュータ101,102と、3台のクライアントコンピュータ201,202,203とがネットワーク3を介して接続されている構成である。サーバコンピュータ101,102の具体的な構成は、図8に示すサーバコンピュータ1aと同様であり、クライアントコンピュータ201,202,203の具体的な構成は、図8に示すクライアントコンピュータ2aと同様である。
【0121】
まず、サーバコンピュータ101のクライアント用展開領域131に展開されている画像のうち、図16(a)に示す画像301のアプリケーションプログラムの操作がクライアントコンピュータ201から要求されているとする。この画像301については、左上端寄りの矩形領域X1を表す矩形範囲データが設定ファイルSF1に設定されている。サーバコンピュータ101では、前述のIPアドレスおよびIDの合致により、上記の要求を受けると、矩形領域X1のデータをクライアントコンピュータ201に送信する。これにより、クライアントコンピュータ201の表示デバイス23には、図16(b)に示すように、矩形領域X1の画像が表示される。
【0122】
次いで、サーバコンピュータ102のクライアント用展開領域131に展開されている画像のうち、図17(a)に示す画像302のアプリケーションプログラムの操作がクライアントコンピュータ201から要求されているとする。この画像302については、右上端寄りの矩形領域X2を表す矩形範囲データが設定ファイルSF1に設定されている。サーバコンピュータ102では、前述のIPアドレスおよびIDの合致により、上記の要求を受けると、矩形領域X2のデータをクライアントコンピュータ201に送信する。このとき、クライアントコンピュータ201との接続がサーバコンピュータ101からサーバコンピュータ102に切り替わる。これにより、クライアントコンピュータ201の表示デバイス23には、図17(b)に示すように、矩形領域X2の画像が表示される。
【0123】
以上のように、本実施形態に係るサーバ・クライアントシステム10bでは、クライアントコンピュータ2aの接続要求を受けると、予め設定ファイルSF1に設定されたアプリケーション指定番号および矩形範囲データに基づいて、指定されたアプリケーションプログラムの画像データにおける矩形領域を特定して読み出して、クライアントコンピュータ2に送信する。これにより、クライアントコンピュータ2aでは、受信した矩形領域の画像データがクライアント用展開領域131に展開されている所望のアプリケーションプログラムを、選択された矩形領域の範囲内でのみ操作することができる。
【0124】
それゆえ、クライアントコンピュータ2aからのアプリケーションプログラムの操作を必要最小に制限することも可能になる。この操作制限の効果をより高めるには、設定登録部112によって選択できる部分を予め規定しておくとよい。例えば、ウインドウの本体部分は選択できるが、ウインドウのコントロール部分は選択できないように規定しておく。これにより、アプリケーションプログラムが、クライアントコンピュータ2aから不用意に終了されたり、望ましくない状態に変化させられたりすることを容易に回避できる。
【0125】
また、サーバコンピュータ1aにおいて、記憶装置12のサーバ用展開領域121に展開されている画像データがサーバディスプレイ14に表示されていても、クライアントコンピュータ2a側で行われる操作によって、その画像データのアプリケーションプログラムには何の影響も及ばない。
【0126】
また、異なるIDに対して同じアプリケーション指定番号を対応付けてもよい。これにより、同じアプリケーション指定番号を設定した複数のクライアントコンピュータ2aから共通のアプリケーションプログラムを操作することができる。この結果、いずれのクライアントコンピュータ2aにも、各クライアントコンピュータ2aにおける操作が反映された矩形画像が表示される。
【0127】
さらに、複数のアプリケーションプログラムの画像をクライアント用展開領域131に展開するので、表示メモリ13のサイズを増大させてクライアント用展開領域131を拡張することにより、クライアントコンピュータ2aから指定できるアプリケーションプログラムの数を増やすことができる。
【0128】
〔実施形態5〕
本発明の第5の実施形態について、図18〜図22を参照して説明する。本実施形態では、表示デバイスのディスプレイにキーボード画像を表示させる代わりに、表示デバイスのディスプレイの画像表示領域の周囲に常設のキーを設けた構成について説明する。なお、説明の便宜上、第1の実施形態において説明した部材と機能の異なる部材のみ異なる符号を付記し、第1の実施形態において説明した図面と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0129】
図18は、第5の実施形態に係るサーバ・クライアントシステム10cの構成を示すブロック図である。サーバ・クライアントシステム10cにおいて、図1に示すサーバ・クライアントシステム10と異なる点は、クライアントコンピュータ2cの構成が異なる点である。クライアントコンピュータ2cは、図1に示すクライアントコンピュータ2において、本体部21と表示デバイス23とをそれぞれ本体部21cとディスプレイ25cおよびタッチパネル24cを含む表示デバイス23cとに置き換え、入力用データ記憶部22がキーコードファイルKCFのみを記憶している構成である。本体部21cは、図1に示す本体部21において、表示処理部211を、アプリケーション画像表示処理部2111のみを有する表示処理部211cに置き換えた構成である。
【0130】
図19(a)は、クライアントコンピュータ2cの表示デバイス23cの正面図であり、図19(b)は、表示デバイス23cの分解図である。図19(b)に示すように、表示デバイス23cは、ディスプレイ23pを含む筐体H上にタッチパネル24cを重ね合わせ、さらに、タッチパネル24c上に表面シート27を重ね合わせて構成されている。
【0131】
タッチパネル24cの面積と表面シート27の面積とは、ほぼ同一であるが、ディスプレイ23pの面積はタッチパネル24cおよび表面シート27の面積より小さい。そして、正面から見て表面シート27におけるディスプレイ23pと重なっている部分は透明とされ(以下透過部27aという)、一方、ディスプレイ23pからはみ出た部分は、不透明とされている。そして、この不透明な部分に、常設のキー(以下「固定キー」とする)が設けられている。一方、ディスプレイ23pに表示される表示画像は透過部27aを介して見えるようになっている。表面シート27は、弾性を有し、下面に配置されたタッチパネル24cが操作できるものであれば、特に限定されない。
【0132】
図18に示すクライアントコンピュータ2cが、サーバコンピュータ1で実行されているアプリケーション画像のデータを受信すると、アプリケーション画像表示処理部2111は、受信したアプリケーション画像を表示デバイス23cに表示する。アプリケーション画像の操作ボタンに対して入力操作が行われると、入力処理部212は、操作ボタンに対してマウス入力された場合と同様に入力位置情報を、サーバコンピュータ1に送信する。これにより、サーバコンピュータ1のクライアント指示受付部111は、操作ボタンに関連付けられた入力位置情報に対応する処理が実行される。
【0133】
また、図19に示す固定キーに対する入力操作が行われると、入力処理部212は、キーコードデータKCを参照して、入力操作されたキーに対応するキーコードを生成して、キーコードを制御情報としてサーバコンピュータ1に送信する。これにより、サーバコンピュータ1のクライアント指示受付部111は、クライアントコンピュータ2cから送信されたキーコードに対応する処理を実行する。これにより、ユーザは、タッチパネル24cを介してアプリケーション画像に対する入力操作を行うことができ、さらに、図19に示す固定キーに対する入力操作により、サーバコンピュータ1のアプリケーションプログラムの実行を制御することができる。
【0134】
図20は、図18に示す入力用データ記憶部22に記憶されるキーコードデータKCの一例を示す図である。キーコードデータKCは、図19に示す固定キーとキーコードとの対応関係を示しており、例えば、「F1」のキーに対する入力操作が行われると、図18に示す入力処理部212は、「Alt+F1」のキーコードを生成する。
【0135】
このように、本実施形態では、上述の第1および第2の実施形態と同様、サーバコンピュータ1は、キーボード画像のデータをクライアントコンピュータ2cに送信する必要がないため、ネットワーク3の通信量を軽減することができる。さらに、キーボード画像を表示する代わりに表示パネル23pの周囲に固定キーを設けた構成であるので、キーボード画像がアプリケーション画像に重なって表示されることによる操作性の低下を招くことはない。
【0136】
また、サーバコンピュータ1において実行されるアプリケーションプログラムによって、固定キーに対応付けられるキーコードを異ならせてもよい。これにより、クライアントコンピュータの固定キーのハードウェア構成が同一であっても、アプリケーションプログラムごとに異なる操作が可能となる。
【0137】
さらに、1つのキーに対して複数のキーコードを設定することにより、キー操作が簡素化される。
【0138】
図21は、本実施形態の変形例に係るサーバ・クライアントシステム10dの構成を示すブロック図である。サーバ・クライアントシステム10dにおいて、図18に示すサーバ・クライアントシステム10bと異なる点は、クライアントコンピュータ2dの構成が異なる点である。サーバ・クライアントシステム10dは、図18に示すサーバ・クライアントシステム10cにおいて、クライアントコンピュータ2bをクライアントコンピュータ2dに置き換えた構成である。クライアントコンピュータ2dは、本体部21dがアプリケーション特定部213をさらに備え、入力用データ記憶部22が複数のキーコードデータKC1〜KCnを記憶している点で、クライアントコンピュータ2cと異なっている。
【0139】
キーコードデータKC1〜KCnは、それぞれサーバコンピュータ1に保存されているアプリケーションプログラムAP1〜APnに対応している。具体的には、キーコードデータKC1は、アプリケーションプログラムAP1の実行処理において使用されるキーコードのみを有しており、以下同様に、キーコードデータKCnは、アプリケーションプログラムAPnの実行処理において使用されるキーコードのみを有している。
【0140】
図22は、入力用データ記憶部22に記憶されるキーコードデータの一例を示す図であり、(a)は、キーコードデータKC1を示しており、(b)は、キーコードデータKC2を示している。なお、これらのキーコードデータKC1・KC2では、ファンクションキーF1〜F4以外の固定キーとキーコードとの対応関係の表示は省略している。
【0141】
例えば、サーバコンピュータ1においてアプリケーションプログラムAP2が実行され、アプリケーション画像表示処理部2111がアプリケーションプログラムAP2のアプリケーション画像を表示デバイス23cに表示している場合、アプリケーション特定部213は、サーバコンピュータ1からアプリケーション画像のデータとともに送信されるアプリケーションプログラムAP2を特定するための識別情報に基づき、サーバコンピュータ1において実行されているアプリケーションプログラムがアプリケーションプログラムAP2であることを特定する。続いて、アプリケーション特定部213は、特定したアプリケーションプログラムAP2に対応するキーコードデータKC2を示すキーコード選択情報を生成して、入力処理部212に出力する。入力処理部212は、このキーコード選択情報に基づいて、キーコードを生成する際に参照するキーコードデータとして、キーコードデータKC2を選択する。これにより、固定キーに対する入力操作が行われると、入力処理部212は、入力操作された固定キーに対応するキーコードを生成することができる。
【0142】
このように、実行中のアプリケーションプログラムに応じて、固定キーに対応付けられるキーコードを切り替えることにより、アプリケーションプログラムに対する操作性を向上させることができる。なお、固定キーとキーコードとの対応関係の切り替えは、同一のアプリケーションプログラムのアプリケーション画像に応じてあるいはアプリケーションプログラムの状態に応じて行ってもよい。
【0143】
また、本実施形態では、固定キーとしてファンクションキーや数字キーなどを例示したが、「保存」や「非常停止」などの、一般的なキーボード装置には設けられていないキーが固定キーに含まれていてもよい。さらに、異なる固定キーの表示を有する表面シート27を複数用いてもよい。これにより、キーの数や位置も自由に設計できる。
【0144】
〔実施形態の総括〕
各実施形態において、前述のクライアントプログラムは、クライアントコンピュータ2と分離可能に構成される記録媒体に記録され、この記憶媒体からクライアントコンピュータ2にインストールすることが可能である。上記の記録媒体は、コンピュータに読み取り可能な記録媒体であり、磁気テープやカセットテープなどのテープ系、フレキシブルディスクやハードディスクなどの磁気ディスク系、CD−ROM、MO、MD、DVDなどの光ディスク系、ICカード(メモリカードを含む)、光カードなどのカード系が好適である。その他、上記のプログラムメディアは、マスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROMなどによる半導体メモリを含めた固定的にプログラムを担持する媒体であってもよい。
【0145】
また、クライアントコンピュータ2が、インターネットを含む通信ネットワークと接続可能な環境に置かれていれば、通信ネットワークからクライアントプログラムをダウンロードしてもよい。ただし、このように通信ネットワークからクライアントプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用プログラムは予めクライアントコンピュータ2に格納されるか、あるいは別の記録媒体からインストールされるものであることが好ましい。
【0146】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、一般用途のサーバ・クライアントシステムだけでなく、例えば、シンクライアントとしてプログラマブル表示器を備える産業用途のサーバ・クライアントシステムに利用することができる。
【符号の説明】
【0148】
1 サーバコンピュータ(サーバ装置)
2、2a、2b、2c クライアントコンピュータ(シンクライアント装置)
3 ネットワーク
22 入力用データ記憶部(キーボード画像記憶手段)
23、23b 表示デバイス
23p ディスプレイ(表示領域)
24、24b タッチパネル(入力手段)
27 表面シート(キーボード表示部材)
2111 アプリケーション画像表示処理部(アプリケーション画像表示処理手段)
2112 キーボード画像表示処理部(キーボード画像表示処理手段)
212 入力処理部(入力処理手段)
AP1〜APn アプリケーションプログラム
KB、KB1〜KBn キーボード画像データ(キーボード画像)
KC、KC1〜KCn キーコードデータ(キーコード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションプログラムを実行するサーバ装置にネットワークを介して接続されるシンクライアント装置であって、
画像を表示する表示領域を有するディスプレイおよび表示された前記画像に対しての入力操作を受け付ける入力手段を含む表示デバイスと、
前記サーバ装置が実行しているアプリケーションプログラムの実行画像を、前記サーバ装置から受信して前記ディスプレイに表示するアプリケーション画像表示手段と、
前記アプリケーションプログラムの実行を制御する制御情報を前記入力操作に応じて前記サーバ装置に送信する入力処理手段と、
所定のキー配列を有するキーボード画像を記憶するキーボード画像記憶部と、
前記キーボード画像記憶部から前記キーボード画像を読み出して前記ディスプレイに表示するキーボード画像表示手段とを備え、
前記入力処理手段は、前記ディスプレイに表示された前記キーボード画像のキーに対して入力操作が行われると、入力操作が行われたキーに対応するキーコードを生成して、生成したキーコードを前記制御情報として前記サーバ装置に送信することを特徴とするシンクライアント装置。
【請求項2】
前記キーボード画像記憶部は、互いに異なるキー配列を有する複数のキーボード画像を記憶し、
各キーボード画像は、前記サーバ装置が実行するアプリケーションプログラムの実行画像の少なくともいずれかに対応し、
前記キーボード画像表示手段は、前記複数のキーボード画像のうち前記アプリケーション画像表示手段が表示しているアプリケーションプログラムの実行画像に対応するキーボード画像を、前記キーボード画像記憶部から読み出して前記表示デバイスに表示することを特徴とする請求項1に記載のシンクライアント装置。
【請求項3】
各キーボード画像は、対応するアプリケーションプログラムの実行に必要なキーのみを有することを特徴とする請求項2に記載のシンクライアント装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンクライアント装置の各手段として、コンピュータを機能させるクライアントプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載のクライアントプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2010−262446(P2010−262446A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112168(P2009−112168)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】