説明

シンク用プレート及びそれを備えたシンクユニット

【課題】重ねた状態でも互いに位置ずれを起こさずにスライド可能であり、優れた作業環境を確保することができるシンク用プレートおよびそれを備えたシンクユニットを提供する。
【解決手段】シンクユニット2のシンク本体100における前後の内壁面100a,100bの深さ方向中途の位置に設けられた、水平方向に沿って延びる一対の案内面112a,112bを設ける。これら案内面112a,112bにスライド可能に載置されるプレート41,42それぞれは、互いに係合してシンク本体100の左右方向にずれないように両プレートを結合させる移動規制部(保護キャップ300の突出部301,切り欠き部302)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンク用プレートに関する。さらに詳しくは、シンク内に載置され、調理、洗浄などに利用されるシンク用プレートおよびそれを備えたシンクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンなどのシンクとして、食材や調理器具の洗浄を行うスペースを十分に確保するとともに、冷凍食材の解凍、洗浄後の食材の水きりや、下ごしらえなどを行うスペースを確保するために、水切りプレートや調理プレートが載置可能なシンクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のシンクユニットでは、図8に示されるように、シンク本体500の前璧501および後壁502それぞれには、前側スライド案内部501a〜501dと、後側スライド案内部502a〜502dとが設けられている。501aと502aの間、501bと502bの間、501cと502cの間および501dと502dの間の間隔は、それぞれ等しくなっている。プレート600は、これら前側スライド案内部501a〜501dと後側スライド案内部502a〜502dとの間に掛け渡して載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3650352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のシンクユニットでは、前側スライド案内部501a〜501dが下側のスライド案内部になるほど後壁に接近するように階段状に形成され、かつ後側スライド案内部502a〜502dも下側のスライド案内部になるほど前壁から遠ざかるように傾斜して形成されている。そのため、両スライド案内部間にプレート600を2枚以上重ねようとしても、後側スライド案内部502a〜502dの壁部(後壁)に閊えてしまうため、両スライド案内部間への載置が困難である。したがって、特許文献1に記載のシンクユニットは、作業性が不十分であるという欠点がある。
また、特許文献1に記載のプレートを両スライド案内部間に載置せずに、重ねたとしても、プレート同士が互いに位置ずれを起こしやすい。
【0006】
したがって、本発明は、重ねた状態でも互いに位置ずれを起こさずにスライド可能であり、優れた作業環境を確保することができるシンク用プレートおよびそれを備えたシンクユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシンク用プレートは、シンク本体における前後の内壁面の深さ方向中途の位置に設けられた、水平方向に沿って延びる一対の案内面にスライド可能に載置されるシンク用プレートであって、このプレートと対をなす他のプレートに係合してシンク本体の左右方向にずれないように両プレートを結合させる移動規制部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のシンク用プレートは、移動規制部がプレート本体の対向面に設けられているため、他のプレートと重ね合わせた場合であっても、互いに係合してシンク本体の左右方向にずれないように両プレートを結合させることができる。したがって、本発明のシンク用プレートは、重ねた状態でも互いに位置ずれを起こさずにスライド可能であり、優れた作業環境を確保することができる。
【0009】
前記移動規制部は、重ね合わせ方向に突出して一方の対向面側の端面に設けられた突出部と、他方の対向面側の端面に設けられ、前記突出部と重ね合わせ方向に係合可能な切り欠き部と、を備えていてもよい。この場合、移動規制部同士が凹凸係合するため、より効果的に位置ずれを抑制することができる。
【0010】
前記移動規制部は、プレート本体の角部を保護する保護キャップからなるものであってもよい。
【0011】
本発明のシンクユニットは、シンク本体における前後の内壁面の深さ方向中途の位置に、水平方向に沿って延びる一対の案内面が設けられたシンクと、前述したシンク用プレートと、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明のシンクユニットは、シンク本体における前後の内壁面に、一対の案内面が設けられているため、プレートを容易に重ねることができ、かつ容易にスライドさせることが可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシンク用プレートおよびシンクユニットによれば、重ねた状態でも互いに位置ずれを起こさずにスライド可能であり、優れた作業環境を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係るシンクユニットを備えたシステムキッチンの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシンクユニットの斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係るシンクユニットの斜視図である。
【図4】(a)は図3のA−A断面図、(b)は図3のB−B断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るシンク用プレートの斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係るシンク用プレートのシンク本体に取り付けられる保護キャップの斜視図((a)および(b))ならびに側面図(c)である。
【図7】本発明の実施形態に係るシンク用プレートを使用状態の一例の斜視図およびその部分拡大図である。
【図8】従来技術に係るシンクユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るシンクユニットを備えたシステムキッチンの斜視図である。システムキッチン1は、内部に収納空間が形成され、かつ前面に収納空間を開閉する扉11と、後面に背面パネルが設けられたキャビネット部13と、このキャビネット部13の上部に設けられた天板14と、この天板14に設けられたシンク15と、同じく天板14に設けられたガスコンロやIHヒーターなどの加熱調理器16とを備えている。
【0016】
天板14の左右方向両側には、開口17,18が形成されている。右側の開口17には加熱調理器16が装入されている。左側の開口18には、シンク15が装入されている。加熱調理器16およびシンク15の配置は、室内におけるシステムキッチン1の配置などに応じて適宜変更することができる。
【0017】
図2および図3は本発明の実施形態に係るシンクユニットの斜視図、図4(a)は図3のA−A断面図、図4(b)は図3のB−B断面図である。
シンクユニット2は、図2に示されるように、シンク15と、水切り天板31と、調理天板32と、シンク用プレートである水切りプレート41および調理プレート42とを有する。
【0018】
シンク15のシンク本体100の前後の周縁部には、天板案内部111a,111bが形成されている。水切り天板31および調理天板32は、これら天板案内部111a,111bの間に跨るように載置される。水切り天板31および調理天板32を天板案内部111a,111bの間に載置した場合、水切り天板31および調理天板32が、天板14と略面一となる。
これにより、調理などの作業スペースを得ることができる。
【0019】
また、シンク本体100における前後の内壁面100a,100bの深さ方向中途の位置には、それぞれ、水平方向に沿ってリブ部が設けられ、案内面112a,112bが形成されている(図3および図4(a)参照)。
案内面112a,112bは、シンク本体100の深さ方向において、同じ深さの位置となるように形成されている(図4(a)参照)。
これら案内面112a,112bには、水切りプレート41および調理プレート42が、シンク本体100の左右方向にスライド可能に水平に載置される(図3参照)。
案内面112a,112bの水平方向高さは、水切りプレート41および調理プレート42を支えるのに十分なものであればよい。
【0020】
このように、水切りプレート41および調理プレート42をシンク本体100の深さ方向中途に載置することにより、水切り天板31調理天板32および天板14によって形成される作業スペースに加えて、シンク15内に新たな作業スペースを確保することができる。
したがって、かかる構成によれば、シンク本体100のスペースを大きく確保したとしても、十分な作業スペースを確保することが可能になる。
また、水切りプレート41および調理プレート42によって形成される作業スペースは、シンク本体100の底部から離れているため、ゆでこぼし、食材の洗浄などの際に、調理器具などの洗浄に伴う底部の汚れを気にすることなく、清潔な状態で作業を行うことができる。
かかるシンク用プレート(水切りプレート41,調理プレート42)は、うどん、そば、パスタなどの湯でこぼし、流水させながらの調理、魚さばきなどに好適である。
【0021】
シンク本体100の後よりの底部には、図示しないトラップおよび配管に接続された排水口19が設けられている。この底部は、シンク本体100の前後および左右から排水口19に向けて傾斜が設けられており、水が排水口19に流れやすくなっている(図4(a)および(b)参照)。
【0022】
図5は本発明の実施形態に係るシンク用プレートの斜視図、図6は本発明の実施形態に係るシンク用プレートのシンク本体に取り付けられる保護キャップの斜視図((a)および(b))ならびに側面図(c)、図7は本発明の実施形態に係るシンク用プレートを使用状態の一例の斜視図およびその部分拡大図である。ここでは、水切りプレート41を具体例として挙げて説明する。
水切りプレート41は、プレート本体200と保護キャップ300とからなる。
プレート本体200は、各角部に設けられたねじ穴201と、複数の水切り穴202とを有する。
プレート本体200の角部には、保護キャップ300と嵌合する嵌合構造が形成されている(図示せず)。
かかるプレート本体200は、ステンレスなどからなる。
プレート本体200の長辺の長さは、シンク本体100の内壁面100a,100b間の距離と、案内面112a,112bの水平方向高さに合わせて設定される。
【0023】
保護キャップ300には、図6に示されるように、シンク本体100の表側の対向面側に配置される突出部301と、裏側の対向面側に配置される切り欠き部302とが形成されている。これら突出部301および切り欠き部302は、移動規制部として働く。
突出部301は、プレート本体200の角部の嵌合構造部分の厚さと、切り欠き部302の深さとを考慮し、キャップ本体の高さよりも高くなるように形成されている(図6(a)および(c)参照)。
これら突出部301および切り欠き部302は、プレートを重ね合わせた際に、重ね合せ方向に係合して凹凸係合構造を形成する。したがって、プレートを重ねた場合であっても、シンク本体100の左右方向への移動が互いに規制されるので、重ねた状態でも互いに位置ずれを起こさずにスライド可能となる。
【0024】
また、保護キャップ300には、図7に示されるように、プレート本体200のねじ穴201の位置に合わせて形成されたねじ山形成部303と、プレート本体200の角部に対応する嵌合構造(図6の304参照)とが形成されている。
保護キャップ300は、プレート本体200の角部に嵌合され、かつねじ401によってプレート本体200のねじ穴201部分に強固に固定されている(図5および図7参照)。
かかる保護キャップは、合成樹脂などからなる。
【0025】
なお、調理プレート42は、水切りプレート41と同様に、プレート本体の各角部に保護キャップ300が嵌合され、固定されたものである。調理プレート42のプレート本体は、ステンレスなどからなる。
【0026】
以上説明したような構成を備えたシンク用プレート(水切りプレート41,調理プレート42)は、図7に示されるように、シンク15内において重ねて使用することができる。
また、シンク15内において水切りプレート41,調理プレート42を重ねたときには、それぞれ保護キャップ300同士が重ね合わせ方向に係合し、左右方向への移動を互いに規制しつつ、スライドさせることができる。
したがって、他の作業をしながらであっても、これらのプレートを重ねた状態で容易にスライドさせることができる。
また、シンク用プレート(水切りプレート41,調理プレート42)を邪魔にならない位置にスライドさせることで、シンク15の底部に使用後の調理器具などを置いた状態で、つぎの調理に迅速に取りかかることが可能になる。
【符号の説明】
【0027】
1 システムキッチン
2 シンクユニット
15 シンク
41 水切りプレート
42 調理プレート
100 シンク本体
100a,100b 内壁面
112a,112b 案内面
200 プレート本体
300 保護キャップ
301 突出部
302 切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンク本体における前後の内壁面の深さ方向中途の位置に設けられた、水平方向に沿って延びる一対の案内面にスライド可能に載置されるシンク用プレートであって、
このプレートと対をなす他のプレートに係合してシンク本体の左右方向にずれないように両プレートを結合させる移動規制部を有することを特徴とするシンク用プレート。
【請求項2】
前記移動規制部が、重ね合わせ方向に突出して一方の対向面側の端面に設けられた突出部と、
他方の対向面側の端面に設けられ、前記突出部と重ね合わせ方向に係合可能な切り欠き部と
を備えている、請求項1に記載のシンク用プレート。
【請求項3】
前記移動規制部が、プレート本体の角部を保護する保護キャップからなる、請求項1又は2に記載のシンク用プレート。
【請求項4】
シンク本体における前後の内壁面の深さ方向中途の位置に、水平方向に沿って延びる一対の案内面が設けられたシンクと、
請求項1〜3のいずれかに記載のシンク用プレートと
を備えるシンクユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−94226(P2013−94226A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237022(P2011−237022)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000108661)タカラスタンダード株式会社 (51)
【Fターム(参考)】