説明

シンク用ラック

【課題】 取付け状態においてガタツキにくく且つ取付け部およびその近傍に汚れが付きにくい構造のシンク用ラック。
【解決手段】 シンク(13)において物品(21,22)を載置状態で保持するシンク用ラック(1)。シンクの後方において横方向に間隔を隔てて設けられた一対の突起部(15a,15b)の側面を包囲して当接する形態で一対の突起部と着脱自在に係合する一対の取付け部(2a,2b)と、一対の取付け部の近傍同士が互いに連結されていないラック本体(3:3A,3B)とを備えている。ラック本体は、弾性的に変形可能な線材により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンク用ラックに関し、さらに詳細にはキッチンのシンクにおいて洗剤やスポンジなどの物品を載置状態で保持するラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチンのシンクにおいて洗剤やスポンジなどの物品を載置状態で保持するシンク用ラックが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のシンク用ラックでは、全体剛性が高くて変形しにくい構造を採用しているため、製造誤差がある程度あっても無理なく取り付けることができるように、取付け部には余裕をもった寸法設定がなされている。その結果、従来のシンク用ラックは取付け状態においてガタツキ易く、取付け部およびその近傍に汚れが付き易い。
【0004】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、取付け状態においてガタツキにくく且つ取付け部およびその近傍に汚れが付きにくい構造のシンク用ラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明では、シンクにおいて物品を載置状態で保持するシンク用ラックであって、
前記シンクの後方において横方向に間隔を隔てて設けられた一対の突起部の側面を包囲して当接する形態で前記一対の突起部と着脱自在に係合する一対の取付け部と、
前記一対の取付け部の近傍同士が互いに連結されていないラック本体とを備えていることを特徴とするシンク用ラックを提供する。
【0006】
本発明の好ましい態様によれば、前記ラック本体は、弾性的に変形する線材により形成されている。また、前記突起部は、円柱状の外形形状を有し、前記取付け部は、前記突起部の円柱状の外形形状に対応する円柱状の内部空間を有することが好ましい。
【0007】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ラック本体は、前記一対の取付け部の前側に設けられて前記シンクの内部において物品を載置状態で保持する第1ラック部と、前記一対の取付け部の後側に設けられて前記シンクの後方において物品を載置状態で保持する第2ラック部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシンク用ラックは、シンクの後方において横方向に間隔を隔てて設けられた一対の突起部の側面を包囲して当接する形態で一対の突起部と着脱自在に係合する一対の取付け部を備えている。そして、ラック本体は、取付け前の状態において一対の取付け部の間隔が所定の範囲に亘って弾性的に変化するように、一対の取付け部の近傍同士が互いに連結されていない構造を有する。このように一対の取付け部の間隔が所定の範囲に亘って弾性的に変化するような構成は、例えば弾性的に変形可能な線材によりラック本体を形成することにより実現可能である。
【0009】
本発明では、一対の取付け部の間隔が所定の範囲に亘って弾性的に変化するので、取付け部に余裕をもった寸法設定をしなくても、シンクの後方に設けられた一対の突起部に一対の取付け部を容易に係合させることができる。この場合、取付け状態において一対の取付け部の近傍同士が、一対の突起部の間に存在する部材により互いに連結された構造になるので、取付け前には弾性的に変化し易かったシンク用ラックの全体剛性が取付け後には十分に高くなり、取付け状態においてガタツキにくくなる。
【0010】
また、本発明では、一対の取付け部の間隔が所定の範囲に亘って弾性的に変化するので、取付け部に余裕をもった寸法設定をする必要がなく、一対の突起部の側面を包囲して当接する密着包囲型の係合が可能になる。その結果、取付け形態が極めて簡素になり、ひいては取付け部およびその近傍に汚れが付きにくくなる。こうして、本発明では、取付け状態においてガタツキにくく且つ取付け部に汚れが付きにくい構造のシンク用ラックを実現することができる。
【0011】
なお、本発明では、突起部が円柱状の外形形状を有し、取付け部は突起部の円柱状の外形形状に対応する円柱状の内部空間を有することが好ましい。この構成により、シンク用ラックの取付けがさらに容易になるだけでなく、取付け形態がさらに簡素になる。
【0012】
また、本発明では、ラック本体が、一対の取付け部の前側に設けられてシンクの内部において物品を載置状態で保持する第1ラック部と、一対の取付け部の後側に設けられてシンクの後方において物品を載置状態で保持する第2ラック部とを有することが好ましい。この構成により、第1ラック部に載置する物品と第2ラック部に載置する物品とを使い分けて、シンク用ラックの使い勝手を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかるシンク用ラックが取り付けられたキッチンの全体構成を概略的に示す斜視図である。図2は、図1のシンクおよび周辺の要部構成を概略的に示す斜視図であって、シンク用ラックの使用状態を示している。図1に示すキッチンは、床Fの上に載置されたベースキャビネットBCを備えている。
【0014】
ベースキャビネットBCの上部には、キッチンに向かって左側から加熱調理部(IHコンロ、ガスコンロなど)11と、一対のカウンター12aおよび12bとが設けられ、この一対のカウンター12aと12bとの間にシンク13が設けられている。また、シンク13に隣接して、たとえば湯水混合型の水栓14が設けられている。本実施形態のシンク用ラックは、シンク13において洗剤やスポンジなどの物品を載置状態で保持するように取り付けられている。
【0015】
図3は、本実施形態のシンク用ラックの構成を概略的に示す斜視図であって、前方右上からシンク用ラックを見た図である。図4は、本実施形態のシンク用ラックの構成を概略的に示す斜視図であって、後方左上からシンク用ラックを見た図である。図5および図6は、本実施形態のシンク用ラックの取付けを説明する図である。
【0016】
図5および図6を参照すると、本実施形態では、シンク13の後方において横方向に間隔を隔てて一対の突起部15a,15bが設けられている。具体的には、一対の突起部15a,15bは、例えば円柱状の外形形状を有するピン部材であって、シンク13の排水口13aの形成領域(すなわち水栓14の脇のへこみ領域)の横方向に沿った両端に対応する位置に設けられている。
【0017】
本実施形態のシンク用ラック1は、図3〜図6に示すように、一対のピン部材15a,15bの側面を包囲して当接する形態で一対のピン部材15a,15bと着脱自在に係合する一対の取付け部2a,2bを備えている。すなわち、一対の取付け部2a,2bは、例えば円形パイプ状の部材により形成され、一対のピン部材15a,15bの円柱状の外形形状に対応する円柱状の内部空間を有する。
【0018】
ラック本体3(参照符号3の図示は省略)は、弾性的に変形可能な線材により形成され、一対の取付け部2a,2bの近傍同士が互いに連結されていない構造を有する。その結果、ラック本体3は、取付け前の状態において、一対の取付け部2a,2bの間隔が所定の範囲に亘って弾性的に変化するという特徴を有する。ラック本体3は、例えば一対の取付け部2a,2bも同時に形成する円形パイプ状の部材3aと、この部材3aよりも細い線材3bとにより構成されている。
【0019】
また、ラック本体3は、一対の取付け部2a,2bの前側に設けられてシンク13の内部において物品を載置状態で保持する第1ラック部3Aと、一対の取付け部2a,2bの後側に設けられてシンク13の後方において物品を載置状態で保持する第2ラック部3Bとを有する。図2および図5に示すように、第1ラック部3Aは例えば洗剤21やスポンジ(不図示)などの物品を載置状態で保持し、第2ラック部3Bは例えばまな板22などの物品を載置状態で保持する。
【0020】
以上のように、本実施形態では、一対の取付け部2a,2bの間隔が所定の範囲に亘って弾性的に変化するので、取付け部2a,2bに余裕をもった寸法設定をしなくても、シンク13の後方に設けられた一対のピン部材(突起部)15a,15bに一対の取付け部2a,2bを容易に係合させることができる。具体的には、図6に示すように、一対のピン部材15aと15bとの間隔Lに比して一対の取付け部2aと2bとの間隔が大きい場合、一対の取付け部2aと2bとの間隔を所要量だけ狭めるようにラック本体3を弾性変形させつつ、一対のピン部材15a,15bの側面を包囲して当接するように一対の取付け部2a,2bを一対のピン部材15a,15bに容易に係合させることができる。
【0021】
逆に、一対のピン部材15aと15bとの間隔Lに比して一対の取付け部2aと2bとの間隔が小さい場合、一対の取付け部2aと2bとの間隔を所要量だけ拡げるようにラック本体3を弾性変形させつつ、一対のピン部材15a,15bの側面を包囲して当接するように一対の取付け部2a,2bを一対のピン部材15a,15bに容易に係合させることができる。その結果、取付け状態において一対の取付け部2a,2bの近傍同士が、一対のピン部材15aと15bとの間に存在する部材により互いに連結された構造になるので、取付け前には弾性的に変化し易かったシンク用ラック1の全体剛性が取付け後には十分に高くなり、取付け状態においてガタツキにくい。
【0022】
また、本実施形態では、一対の取付け部2a,2bの間隔が所定の範囲に亘って弾性的に変化するので、取付け部2a,2bに余裕をもった寸法設定をする必要がなく、一対のピン部材15aと15bの側面を包囲して当接する密着包囲型の係合を実現することができる。その結果、取付け形態が極めて簡素であり、ひいては取付け部2a,2bおよびその近傍に汚れが付きにくい。
【0023】
特に、本実施形態では、突起部15a,15bが円柱状の外形形状を有し、取付け部2a,2bは突起部15a,15bの円柱状の外形形状に対応する円柱状の内部空間を有するので、シンク用ラック1の取付けが著しく容易であり、取付け形態が非常に簡素である。
【0024】
また、本実施形態では、ラック本体3が、一対の取付け部2a,2bの前側に設けられてシンク13の内部において物品を載置状態で保持する第1ラック部3Aと、一対の取付け部2a,2bの後側に設けられてシンク13の後方において物品を載置状態で保持する第2ラック部3Bとを有するので、第1ラック部3Aに載置する物品と第2ラック部3Bに載置する物品とを使い分けることができ、シンク用ラック1の使い勝手が良好である。
【0025】
なお、上述の実施形態では、一対の突起部15a,15bが円柱状の外形形状を有し、一対の取付け部2a,2bは一対のピン部材15a,15bの円柱状の外形形状に対応する円柱状の内部空間を有する構成が例示されている。しかしながら、これに限定されることなく、突起部の外形形状、これに対応する取付け部の構成などについては様々な変形例が可能である。
【0026】
また、上述の実施形態では、ラック本体3が、一対の取付け部2a,2bの前側に設けられた第1ラック部3Aと、一対の取付け部2a,2bの後側に設けられた第2ラック部3Bとを有する構成が例示されている。しかしながら、これに限定されることなく、ラック本体3の具体的な構成については様々な変形例が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態にかかるシンク用ラックが取り付けられたキッチンの全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1のシンクおよび周辺の要部構成を概略的に示す斜視図であって、シンク用ラックの使用状態を示している。
【図3】本実施形態のシンク用ラックの構成を概略的に示す斜視図であって、前方右上からシンク用ラックを見た図である。
【図4】本実施形態のシンク用ラックの構成を概略的に示す斜視図であって、後方左上からシンク用ラックを見た図である。
【図5】本実施形態のシンク用ラックの取付けを説明する第1の図である。
【図6】本実施形態のシンク用ラックの取付けを説明する第2の図である。
【符号の説明】
【0028】
1 シンク用ラック
2a,2b 一対の取付け部
3 ラック本体
3A 第1ラック部
3B 第2ラック部
11 加熱調理部
13 シンク
15a,15b 一対のピン部材
21 洗剤
22 まな板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクにおいて物品を載置状態で保持するシンク用ラックであって、
前記シンクの後方において横方向に間隔を隔てて設けられた一対の突起部の側面を包囲して当接する形態で前記一対の突起部と着脱自在に係合する一対の取付け部と、
前記一対の取付け部の近傍同士が互いに連結されていないラック本体とを備えていることを特徴とするシンク用ラック。
【請求項2】
前記ラック本体は、弾性的に変形可能な線材により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のシンク用ラック。
【請求項3】
前記突起部は、円柱状の外形形状を有し、
前記取付け部は、前記突起部の円柱状の外形形状に対応する円柱状の内部空間を有することを特徴とする請求項1または2に記載のシンク用ラック。
【請求項4】
前記ラック本体は、前記一対の取付け部の前側に設けられて前記シンクの内部において物品を載置状態で保持する第1ラック部と、前記一対の取付け部の後側に設けられて前記シンクの後方において物品を載置状態で保持する第2ラック部とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシンク用ラック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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