説明

シングル・ハイブリッド・エアー循環回路

【課題】 現在、自動車用エンジン、船舶用エンジン、船外機、発電機等、エアー冷凍サイクル等の動力は化石燃料が主に使用されている。このため、COの増加による地球温暖化およびNOによる健康への影響などが問題視されている。これら問題の解決のため、化石燃料を必要としない動力として、エアー循環回路を開発するにあたり、従来のエアー循環回路では、回路内のコンプレッサ、ブローワの動力にエアーモータの出力を使用しているため、これらが作動状態になると、エアーモータの出力が不安定になることがあった。
【解決手段】 エアー循環回路に、蓄電池とオルテネェータとエアーコンプレッサを中心とした電装回路を設置する。蓄電池の電力でブローワの駆動を行い。又、エアーモータに負荷が掛かっている場合には、従来のコンプレッサの代わりに、蓄電池の電力を使い電動モータを回転させて、エアーコンプレッサを駆動することでエアーの補充をすることで、エアーモータの出力の安定化を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来のエアー循環回路に、蓄電池とオルタネータとエアーコンプレッサを中心とした電装回路を設置して、ハイブリッド化することにより、実用性の向上を計るシングル・ハイブリッド・エアー循環回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のエアー循環回路では、エアータンクの圧力を保つために、必要に応じて、エアーモータの出力の一部を使い、コンプレッサを作動させることで、エアーを補充していた。しかし、エアーモータの出力の負荷が増加すると、コンプレッサに使用する出力が重なり、外部出力低下すると同時にコンプレッサの性能低下を生じた。
【非特許文献1】 渡部一郎著 「空気機械」コロナ社出版、1959年
【非特許文献2】 竹花有也著 「自動車工学概論」理工学社出版、2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、エアー循環回路において、エアーモータの出力の負荷が大きい状態で、エアータンクのエアーを補充する場合に、エアーを充填する動力を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、エアー循環回路に、蓄電池とオルタネータとエアーコンプレッサを中心とした電装回路を組み込むことにより、エアーモータの外部出力低下を防止する。エアーモータの出力を常に安定した状態を維持するために、電動コンプレッサを作動し、エアータンクの圧力低下を防止することが不可欠と成る。。通常は、エアーモータの出力を使用したコンプレッサでエアーの補充をおこなうが。エアーモータの負荷が大きい場合は、コンプレッサを停止させて、代わりに、バッテリーの電力を使用した電動モータで駆動させたエアーコンプレッサで、エアータンクのエアーの補充を行う。
【発明の効果】
【0005】
シングル・エアー循環回路をシングル・ハイブリッド化することにより、エアーモータから出力される動力の安定化を図ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
エアーモータの負荷の大きさに応じて、エアータンクのエアーの補充を、エアーモータの出力を使用したコンプレッサと、蓄電池の電力を使用した電動モータで駆動するエアーコンプレッサとで使い分けることで、より安定化したエアーモータの動力を得ることが実現した。
【実施例1】
【0007】
図1は、従来のエアー循環回路の1実施例であって、1〜27の部品構成によるシングル・エアー循環回路である。図1において、エアーモータを動力として活用するにあたり、起動の前準備として最初に起動に用いる圧縮エアーを得るため、コンプレッサ1(1)を起動し、エアーチャージバルブ(2)を用いて、エアータンク(3)に9Kpaの圧縮エアーを初期充填する。開閉バルブ(6)を開くと圧縮エアーは、3方バルブ(8)、エアーコントロールユニット(9)、エアー増幅器1(10−1)、アクセレータ+ソレノイドバルブ(11)に至り停止する。
【実施例1】
【0008】
次に、アクセレータ+ソレノイドバルブ(11)のバルブを開くと、3方バルブ(8)から圧縮エアーが流れ、エアーコントロールユニット(9)によって、自動的に圧縮エアーは6.3Kpaに調整され、エアー増幅器1(10−1)を通過するとエアー増幅器内は負圧となる。この負圧の発生でエアー増幅器の外周に配備した4個の吸気孔から外気が流入し、第2室内の循環エアー量が増加し第3室に至る。
【0009】
第3室内も前記同様に負圧を発生し、エアー増幅器に配備した4個の吸気孔から外気が流入し、エアー流量は増幅器の第2室と第3室を通過時に約10倍に増加する。その増加を表1にエアー増幅器入口のエアー量と出口のエアー増加量の状態で示した。エアー増加でエネルギーを蓄えた循環エアーは、アクセレータ+ソレノイドバルブ(11)を経て、エアーモータ(12)を回転させて動力を発生する。
【0010】
エアーモータ(12)から吐出した排気エアーフローは、分流器1(13)によりAとBの2方向の排気エアーフローに分けられ、A方向の排気エアーフローは、サージングタンク1(14)に蓄えられ、エアー増幅器2(10−2)、3(10−3)を通り、サージングタンク2(18)に至る。一方、B方向の排気エアーフローは、分流器1(13)を通り、エアーレギュレータ(15)に至る。ここで排気エアーフローは、ブローワ(16)の吸気ポートに排出され、この時に余分な排気エアーは捨てられる。
【0011】
ブローワ(16)で送られた排気エアーフローは、サージングタンク4(17)に蓄えられ、配管により、エアー増幅器2(10−2)の外周に配備されたチェックバルブ付吸気孔を経て、増幅器内に吸引され、エアー増幅器2(10−2)内の排気エアーフロー量は増加する。同様に、エアー増幅器3(10−3)内でも、エアー増幅器2(10−2)と同様の排気エアーフローの増加が行われ、増加した排気エアーフローはサージングタンク2(18)に蓄えられる。
【0012】
サージングタンク2(18)で、AとBの2方向の排気エアーフローは合流し、分流器2(19)により、コンプレッサ3(21)の圧縮エアーと合流して、サージングタンク3(20)に蓄えられる。サージングタンク3(20)に蓄えられたエアーは、3方バルブ(8)に戻り、エアー増幅器1(10−1)に流れ、エアーモータ(12)に流れ、モータを駆動し動力を発生する。アクセレータ+ソレノイドバルブ(11)のバルブを閉じるまで、エアー循環行程が繰り返され、動力の発生が続けられる。
【0013】
エアータンク(3)の9kpaの圧力を保つため、エアーモータ(12)の動力を使い、コンプレッサ2(22)を駆動し、常に圧力を維持している。
【実施例2】
【0014】
図2の実施例は、本発明のシングル・ハイブリッド・エアー循環回路の1実施例であって、図1のシングル・エアー循環回路に23,24,25,26の電装部品を追加構成したものが、シングル・ハイブリッド・エアー循環回路である。エアーモータ(12)で、オルタネータ(23)を駆動し、バッテリー(24)の充電を行う。バッテリー(24)の電力により、ブローワ(16)と、電動モータ(27)を回転させる。電動モータ(27)によりコンプレッサ(25,26)を駆動することで、エアー循環をより正確に且つ効果的に行うものである。
【実施例3】
【0015】
図3、4は、本発明のシングル・ハイブリッド・エアー循環回路の作動状態を示すフローチャート図である。
【0016】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0017】
充電可能なバッテリーを搭載することで、エアーモータを動力に利用するためのエアー循環回路をより効果的に作動させる事ができる。このため、自動車産業、船舶事業関係あるいは一般産業で利用することが可能である。無公害であるため、広範囲の産業で利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 従来のシングル・シングル・エアー循環回路
【図2】 本発明のシングル・ハイブリット・エアー循環回路の実施方法を示す説明図
【図3】 同シングル・ハイブリット・エアー循環回路の初期圧縮エアー充填と蓄電池充電のフローチャート図
【図4】 同シングル・ハイブリット・エアー循環回路のフローチャート図
【図5】 同シングル・ハイブリット・エアー循環回路の圧縮エアー補充用コンプレッサ
【図6】 同シングル・ハイブリット・エアー循環回路のエアー増幅器の平面図
【符号の説明】
【0019】
1 初コンプレッサ
2 エアーチャージバルブ
3 エアータンク
4 開閉バルブ
5 圧力ゲージ
6 リリーフバルブ
7 チェックバルブエアーコントロールユニット
8 3方バルブ
9 エアーコントロールユニット
10−1 エアー増幅器1
10−2 エアー増幅器2
10−3 エアー増幅器3
11 アクセレータ+ソレノイドバルブ
12 エアーモータ
13 分流器1
14 サージングタンク1
15 エアーレギュレータ
16 ブローワ
17 サージングタンク4
18 サージングタンク2
19 分流器2
20 サージングタンク
21 コンプレッサ3
22 コンプレッサ2
23 オルタネー
24 蓄電池
25 電動ンプレッサ
26 電動コンプレッサ
27 動力用電動機
S1 サクションポート
D1 デリバリーポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力用として使用するエアーモータを作動するためのエアー循環回路と電動機用電源として蓄電池を使用する2系統からなり、前記蓄電池はプラグインによって家庭用電源からも蓄電池の充電を可能にし、前記エアーモータが発生した動力を外部動力と内部動力に利用し、前記電動機が発生する動力も外部動力と内部動力として利用する。外部出力は駆動動力に使用し、内部出力は主にエアーモータを作動するためのエアー循環回路を継続するためにコンプレッサを駆動し、エアータンク1へ高圧エアーをおくり蓄える。蓄電池容量を満たすため、オルタネータをエアーモータ出力軸動力を利用し駆動し蓄電池の充電を行う。エアーモータの負荷が大きい状態ではエアータンクの充填を行う場合に、従来のエアーモータの出力を使うコンプレッサの代わりに、蓄電池の電力で電動モータを回転させて、エアーコンプレッサを駆動して、エアータンクの充填を行うことで、エアーモータの出力の安定性を向上させたことを特徴とするシングル・ハイブリット・エアー循環回路。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリット・エアー循環回路において、運転開始にあたり9Kpaに圧縮したエアーを充填したエアータンクの開閉バルブを開くと、圧縮エアーは3方バルブ、エアーコトロールユニット、エアー増幅器1、アクセレータ+ソレノイドバルブに至り停止する。次に、アクセレータ+ソレノイドバルブのバルブを開くと、エアーが流れ、エアーコトロールユニットで圧力を6.3Kpaに調整され、エアー増幅器1でエアー量を増幅し、エアーモータを回転させる。エアー循環回路のサイクルが開始し、エアーモータに回転力を与え排出されたエアーは、分流器1でAとBの2方向の排気エアーフローに分けられ、Aの排気エアーフローは、サージングタンク1に蓄えられ、圧力のサージング等の安定化の後に、エアー増幅器2および3を経てサージングタンク2に蓄積する。より一層の安定化および活性化を効果的にするため、前記分流器1で分流したBの排気エアーフローをエアーレギュレータに送り、排気エアーの調整を行い、ブローワの吸気ポートへ送る。ブローワによって、サージングタンク4に蓄えられた排気エアーフローは、分配管を通してエアー増幅器2およびエアー増幅器3の各々8個の吸気孔から吸気される。更に、排気エアーを増幅し安定した吸気の状態を維持するため、増幅器の吸気孔すべてにチェックバルブを配備する。このようにして排気エアーフローはサージングタンク2へ送られ、Aの排気エアーフローに合流する。より効果的に、活性化を促進した排気エアーフローはサージングタンク2に蓄積する。蓄積した排気エアーフローは、分流器2の一方からサージングタンク3に蓄えられ、もう一方からのコンプレッサ3のエアーとサージングタンク3で混合され、3方バルブへ送られることで、エアー循環回路の連続運転が開始する。エアー循環回路の安定化を図る上で、コンプレッサ2を用いて、エアータンクの圧力を9Kpaに維持する。コンプレッサ2、3及びブローワの動力は、エアーモータの動力により運転し、エアー循環回路の安定化を図る機能を備えたエアー循環回路でエアーモータを回転し、安定した動力を導くために構成したことを特徴とするシングル・ハイブリット・エアー循環回路。
【請求項3】
請求項1又は2記載のシングル・ハイブリット・エアー循環回路において、前記分流器で分流したBの排気エアーフローを前記エアーレギュレータに送り、吸気ポート付近に大気放出し排気エアーの調整を行う前記ブローワは、前記エアーモータからベルト掛けで動力を伝達されることにより駆動することを特徴とするシングル・ハイブリット・エアー循環回路。
【請求項4】
請求項1又は2記載のシングル・ハイブリット・エアー循環回路において、前記エアー増幅器の各々が有するすべての吸気孔に、チェックバルブを設けて、逆流の防止手段を備えたことを特徴とするハイブリット・エアー循環回路。
【請求項5】
請求項1又は2記載のシングル・ハイブリット・エアー循環回路において、エアー循環回路の活性化を図るため、前記サージングタンクから送られる排気エアーフローと前記エアータンクからの圧縮エアーの合流と調整を行うために、3方バルブあるいは、T字型配管の両入口にチェックバルブを配備したチェックバルブ付T字型配管を有することを特徴とするハイブリット・エアー循環回路。
【請求項6】
請求項1又は2記載のハイブリット・エアー循環回路において、前記エアータンクにエアー補充をおこなう前記コンプレッサは、前記エアーモータの動力を安定化するため、前記エアーモータとの接続間にクラッチ又は、クラッチに準ずる接続を設けて、必要により動力の接続と切断が行えるコンプレッサを、有することを特徴とするシングル・ハイブリット・エアー循環回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−47186(P2012−47186A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−336156(P2008−336156)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(504140679)
【Fターム(参考)】