説明

シンシチウム構造体におけるイオンチャンネル移送のための移送手段としての間葉系幹細胞

本発明は、シンシチウム構造体へ遺伝子をデリバリーするための組成物であって、前記遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物を提供する。また本発明は、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、イオンチャンネル移送のための組成物を提供する。また本発明は、シンシチウム構造体において機能的な遺伝子産物を発現させる方法であって、前記シンシチウム構造体に、遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。更に本発明は、シンシチウム構造体において機能的なイオンチャンネルを発現させる方法であって、前記シンシチウム構造体に、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。また本発明は、小分子をデリバリーするための組成物であって、前記小分子または前記小分子をコードする遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【優先権の記述】
【0001】
本出願は、2003年1月15日に出願された米国シリアルNo. 10/342,506の優先権を主張し、その全内容を参照により本明細書の開示内容の一部とする。
【スポンサー提供の研究または開発に関する記述】
【0002】
本明細書に開示される発明は、国立保健研究所からのNIH基金Nos. HL-28958およびHL-20558の下、政府援助によりなされた。よって、米国政府が本発明に一定の権利を有する。
【発明の背景】
【0003】
本発明は、シンシチウム構造体におけるイオンチャンネル移送のための移送手段としての間葉系幹細胞に関する。
【0004】
本出願を通して、種々の文献が数字により参照される。完全な引用は、クレームの直前の明細書の末尾に見出される。これら文献の開示はその全体を、本明細書に記載されクレームされる本発明の日の時点における当業者にとっての技術水準をより完全に説明するために、参照により本明細書の開示内容の一部とする。
【0005】
ペースメーカー電流Ifは、心臓の自動領域(1)および非自動領域(2-6)の両方に存在する。更に、活性化の閾値電圧は、心臓の領域の間で大きく異なっており、洞房結節でマイナスが最小であり(たとえば、ウサギの洞房結節で-40 mVであり(7))、心室でマイナスが最大である(種にもよるが、-108 mVまたはそれ以上のマイナスである(5,8,9))。興味深いことに、電流は、新生児の心室(ラットで約-70 mV(8,10))および病気の成人の心室(高齢の高血圧ラットで約-70 mV閾値(11)、心不全のヒトの心室で-55 mV(12))においては、より小さいマイナスの電圧で活性化する。正常な成人の心臓における活性化電圧の局所的変動に関して、並びに発生および疾患による心室の活性化電圧の調節に関して、分子および細胞の根拠がまだ決定されていないが、このようなことを理解することは、心筋層における発現電流を将来的に治療に応用するのに極めて重要である。
【0006】
現在、心臓の機能を修復するために、電気的ペースメーカーおよび心臓作用薬のみが使用されている。心臓自体に本来備わった構成成分、たとえばペースメーカーチャンネル遺伝子のアルファおよびベータサブユニットを利用した心臓の生物学的ペースメーカーが求められている(57,58,59)。本発明は、電気的ペースメーカーなどの電子装置の移植も、心臓作用薬などの潜在的に毒性の化学薬品の投与も必要としないこれら遺伝子のデリバリーシステムを完成させることを対象とする。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、シンシチウム構造体に遺伝子をデリバリーするための移送手段として間葉系幹細胞を利用することを含む。遺伝子が組み込まれた間葉系幹細胞をシンシチウム構造体に投与すると、幹細胞はシンシチウムとカップリングし、シンシチウム構造体内での遺伝子発現を可能にする。たとえば、心臓の領域へ幹細胞を介してデリバリーされたイオンチャンネル遺伝子は、心臓のペースメーカー活性を変えることができる。加えて、間葉系幹細胞は、機能的なシンシチウムへ小分子をデリバリーするために同様に使用することもできる。
【0008】
本発明は、シンシチウム構造体へ遺伝子をデリバリーするための組成物であって、当該遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物を提供する。
【0009】
また本発明は、イオンチャンネル移送のための組成物であって、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む組成物を提供する。
【0010】
更に本発明は、シンシチウム構造体において機能的な遺伝子産物を発現させる方法であって、当該シンシチウム構造体に、遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0011】
本発明は、シンシチウム構造体において機能的なイオンチャンネルを発現させる方法であって、当該シンシチウム構造体に、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0012】
また本発明は、被検体における心臓病の症状を治療する方法であって、当該被検体の心臓の細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞の電流の発現を増大させるのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該被検体における心臓病の症状を治療することを含む方法を提供する。
【0013】
更に本発明は、被検体の心臓において電流を誘導する方法であって、当該被検体の心臓の細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該被検体の心臓の細胞において電流を誘導するのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該被検体の心臓の細胞において電流を誘導することを含む方法を提供する。
【0014】
また本発明は、被検体において心拍数を増大させる方法であって、当該被検体の心臓の細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該心臓の細胞の活性化の時定数を低下させるのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該被検体において心拍数を増大させることを含む方法を提供する。
【0015】
また本発明は、細胞において電流を誘導する方法であって、当該細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞において電流を誘導するのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該細胞において電流を誘導することを含む方法を提供する。
【0016】
更に本発明は、細胞の収縮を引き起こす方法であって、当該細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞の収縮を引き起こすのに必要な電流を誘導するのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該細胞の収縮を引き起こすことを含む方法を提供する。
【0017】
また本発明は、細胞を活性化するのに必要な時間を短縮する方法であって、当該細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞の活性化の時定数を低下させるのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該細胞を活性化するのに必要な時間を短縮することを含む方法を提供する。
【0018】
また本発明は、細胞の膜電位を変化させる方法であって、当該細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞の膜電位を変化させるのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該細胞の膜電位を変化させることを含む方法を提供する。
【0019】
また本発明は、遺伝子で形質転換した間葉系幹細胞から発達した心臓の筋細胞を提供する。
【0020】
更に本発明は、小分子をデリバリーするための組成物であって、当該小分子または当該小分子をコードする遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0021】
本発明は、シンシチウム構造体へ遺伝子をデリバリーするための組成物であって、当該遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物を提供する。
【0022】
上記組成物の好ましい態様において、幹細胞は間葉系幹細胞である。
上記組成物の好ましい態様において、遺伝子はMiRP1をコードする。
【0023】
上記組成物の好ましい態様において、遺伝子はHCNチャンネルをコードする。
すぐ前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN1である。
【0024】
前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN2である。
前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN4である。
【0025】
上記組成物の好ましい態様において、遺伝子は、変異したHCNチャンネルをコードする。
すぐ前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはE324A-HCN2である。
【0026】
前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはY331A-HCN2である。
前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはY331A,E324A-HCN2である。
【0027】
上記組成物の好ましい態様において、遺伝子はMiRP1およびHCNチャンネルをコードする。
すぐ前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN1である。
【0028】
前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN2である。
前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN4である。
【0029】
上記組成物の好ましい態様において、遺伝子は、MiRP1および変異したHCNチャンネルをコードする。
すぐ前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはE324A-HCN2である。
【0030】
前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはY331A-HCN2である。
前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはY331A,E324A-HCN2である。
【0031】
また本発明は、イオンチャンネル移送のための組成物であって、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む組成物を提供する。
【0032】
上記組成物の好ましい態様において、幹細胞は間葉系幹細胞である。
上記組成物の好ましい態様において、化合物は、MiRP1をコードする核酸を含む。
【0033】
上記組成物の好ましい態様において、化合物は、HCNチャンネルをコードする核酸を含む。
すぐ前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN1である。
【0034】
前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN2である。
前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN4である。
【0035】
上記組成物の好ましい態様において、化合物は、変異したHCNチャンネルをコードする核酸を含む。
すぐ前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはE324A-HCN2である。
【0036】
前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはY331A-HCN2である。
前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはY331A,E324A-HCN2である。
【0037】
上記組成物の好ましい態様において、化合物は、MiRP1およびHCNチャンネルをコードする核酸を含む。
すぐ前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN1である。
【0038】
前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN2である。
前述の組成物の好ましい態様において、HCNチャンネルはHCN4である。
【0039】
上記組成物の好ましい態様において、化合物は、MiRP1および変異したHCNチャンネルをコードする核酸を含む。
すぐ前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはE324A-HCN2である。
【0040】
前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはY331A-HCN2である。
前述の組成物の好ましい態様において、変異したHCNチャンネルはY331A,E324A-HCN2である。
【0041】
更に本発明は、シンシチウム構造体において機能的な遺伝子産物を発現させる方法であって、当該シンシチウム構造体に、遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
上記方法の好ましい態様において、遺伝子産物はイオンチャンネルである。
【0042】
上記方法の好ましい態様において、シンシチウム構造体は哺乳類の心臓である。
上記方法の好ましい態様において、シンシチウム構造体は哺乳類の膀胱である。
【0043】
上記方法の好ましい態様において、シンシチウム構造体は動脈である。
上記方法の好ましい態様において、シンシチウム構造体は小動脈である。
【0044】
上記方法の好ましい態様において、シンシチウム構造体は哺乳類の肝臓である。
上記方法の好ましい態様において、シンシチウム構造体は哺乳類の胃腸管である。
【0045】
上記方法の好ましい態様において、シンシチウム構造体は、上皮組織に由来する腫瘍である。
上記方法の好ましい態様において、シンシチウム構造体は、平滑筋組織に由来する腫瘍である。
【0046】
また本発明は、シンシチウム構造体において機能的なイオンチャンネルを発現させる方法であって、当該シンシチウム構造体に、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む組成物を投与することを含む方法を提供する。
上記方法の好ましい態様において、シンシチウム構造体は哺乳類の心臓である。
【0047】
更に本発明は、被検体における心臓病の症状を治療する方法であって、当該被検体の心臓の細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞の電流の発現を増大させるのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該被検体における心臓病の症状を治療することを含む方法を提供する。
【0048】
上記方法の好ましい態様において、電流はペースメーカーの電流である。
上記方法の好ましい態様において、心臓病の症状は心臓のリズム障害である。
【0049】
上記方法の好ましい態様において、心臓のリズム障害は、少なくとも一の伝導ブロック、完全な房室ブロック、不完全な房室ブロックおよび洞房結節の機能不全から成る群より選択される。
【0050】
上記方法の好ましい態様において、接触工程は、当該構造体への全身投与および注射から成る群より選択される。
すぐ前述の方法の好ましい態様において、接触の投与は、当該構造体の細胞への局所適用、マイクロインジェクションおよびカテーテル法を含む群より選択される。
【0051】
更に本発明は、被検体の心臓において電流を誘導する方法であって、当該被検体の心臓の細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該被検体の心臓の細胞において電流を誘導するのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該被検体の心臓の細胞において電流を誘導することを含む方法を提供する。
【0052】
また本発明は、被検体において心拍数を増大させる方法であって、当該被検体の心臓の細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該心臓の細胞の活性化の時定数を低下させるのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該被検体において心拍数を増大させることを含む方法を提供する。
【0053】
また本発明は、細胞において電流を誘導する方法であって、当該細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞において電流を誘導するのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該細胞において電流を誘導することを含む方法を提供する。
【0054】
また本発明は、細胞の収縮を引き起こす方法であって、当該細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞の収縮を引き起こすのに必要な電流を誘導するのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該細胞の収縮を引き起こすことを含む方法を提供する。
【0055】
更に本発明は、細胞を活性化するのに必要な時間を短縮する方法であって、当該細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞の活性化の時定数を低下させるのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該細胞を活性化するのに必要な時間を短縮することを含む方法を提供する。
【0056】
また本発明は、細胞の膜電位を変化させる方法であって、当該細胞と、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む、当該細胞の膜電位を変化させるのに充分な量の組成物とを接触させ、それにより当該細胞の膜電位を変化させることを含む方法を提供する。
【0057】
また本発明は、遺伝子で形質転換した間葉系幹細胞から発達した心臓の筋細胞を提供する。
更に本発明は、小分子をデリバリーするための組成物であって、当該小分子または当該小分子をコードする遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物を提供する。
【0058】
本明細書で使用される「シンシチウム構造体」の用語は、その細胞間にギャップ結合を介したコミュニケーションを備えた構造体を意味する。
本明細書で使用される「心臓の細胞」の用語は、単離されているか、または培養中である、心臓由来の細胞を意味する。
【0059】
本明細書で使用される「心臓の筋細胞(cardiac myocytes)」の用語は、単離されているか、または培養中である、心臓の筋肉または導電性組織に由来する筋細胞であって、電流を発生させることができるものを意味する。
【0060】
本明細書で使用される「細胞の膜電位」の用語は、細胞の原形質膜を横切る膜内外電位差を意味する。
本明細書で使用される「電流を誘導する」の用語は、細胞に電流を起こさせることを意味する。
【0061】
本明細書で使用される「細胞を活性化するのに必要な時間」の用語は、細胞の活性化のための期間を意味する。
本明細書で使用される「小分子」の用語は、1200ダルトンまでの分子および/または1.2ナノメーターまでの小径の分子を意味する。
【0062】
上述の詳細な説明を説明する方法を、以下で述べる。
本発明は、心臓の細胞および/または幹細胞において調節可能なペースメーカーをつくるために使用することができる、ペースメーカーチャンネルのアルファおよび/またはベータサブユニット遺伝子およびプロモーターを提供する。
【0063】
第1段階:ペースメーカーチャンネル遺伝子の発現、調節および機能
発現したチャンネル機能の初期評価は、培養中の新生児の心室筋細胞においてトランスフェクションにより行うことができる。有望な構築物を幹細胞にトランスフェクションし(第2段階)、その後、培養中の心臓の筋細胞にカップリングしペーシングする能力について試験する(第3段階)。更に、有望な構築物は、対象遺伝子を発現するアデノウイルスとして調製し、その機能を、インビトロ(新生児および成人の心室筋細胞の培養物)およびインビボ(様々な心臓の領域)で特徴付けてもよい。インビボでの研究は、第5段階で行ってもよい。コア機能は、アデノウイルス構築物の調製を、蛍光マーカーおよびHCN、MiRPおよび変異遺伝子と合体させる。
【0064】
第1段階の具体的な目的または目標は、以下のとおりである:
1.天然のHCNアイソフォーム(ペースメーカーチャンネルのアルファサブユニット)の発現および特徴づけ。HCN1、HCN2およびHCN4は、新生児の筋細胞で過剰発現することができ、カイネティクス、電圧依存性、並びにイソプロテレノール(ベータ−アドレナリン作用性)およびカルバコール(ムスカリン性)、および直接的なcAMPによる自律調整の観点から特徴づけることができる。これら研究は、トランスフェクションまたはアデノウイルス感染により行うことができる。
【0065】
2.天然のHCNアイソフォームの過剰発現の機能的インパクト。新生児の培養物の自動能に対する過剰発現の効果を、各アイソフォームについて決定することができるとともに、自律調整に対する速度の感受性を決定することができる。これら研究は、高い発現効率を必要とするため、アデノウイルス感染により行うことができる。速度に対する各アイソフォームの効果は、感染のレベル(すなわち、使用した感染の多重性[m.o.i.])および(目的または目標1の下で測定した)このm.o.i.に関する対応の平均電流密度と関連づけることができる。
【0066】
3.ペースメーカーチャンネルの機能および速度のベータサブユニット調整。(アデノウイルス感染を用いて)HCNベータサブユニットMiRP1(KCNE2)による同時感染を行うか、または同時感染を行わないで、HCN m.o.i.の範囲で、目的または目標1と2の下での実験を繰り返すことができる。これにより、細胞膜におけるHCN発現の効率を増大させるためにKCNE2を用いることにより、全体的に低いウイルスロードで同じ効果を達成できるかどうかが決定される。加えて、KCNE2感染のみが内在性HCNタンパク質を充分にアップレギュレートし、ペースメーカー電流および自発的速度を有意に増大させるかどうかが決定される。そうであれば、自律調整の速度が再度決定される。
【0067】
4.ペースメーカー遺伝子の最適化。突然変異HCN遺伝子は、カイネティクス、電圧依存性および自律感受性の観点で特性が改良されたものを同定するために、新生児の心室の培養物で試験することができ、その後、速度に対するこれら突然変異遺伝子の効果が決定される。閾値電圧を正にシフトさせ、カイネティクスの速度を増大させる突然変異がおそらく最も適切である。
【0068】
5.成人の筋細胞における遺伝子発現の機能的インパクト。生物物理学的特性および自発的速度に対する効果の観点から最も有望であると思われる目的または目標1−4に由来する遺伝子産物を、成人の心室および/またはプルキンエ培養細胞において感染させ、(遺伝子が発現している細胞タイプとはおそらく異なる)生物物理学的特性およびペースメーカー活性を発生させる能力を決定することができる。
【0069】
6.発現の調節。最も有望と思われる(目的または目標1−5に由来する)遺伝子産物を、幹細胞において第2段階および第3段階により試験し、インビボで第5段階により試験する。同時にこれら遺伝子産物を、調節可能な(たとえばエクジソン誘導可能な)プロモーターの制御下において新規プラスミドに移す。この調節可能な構築物を、発現レベルと自動能の誘導との関係を評価するためにインビトロで再度試験する。調節の時間的経過(すなわち、チャンネルの発現をアップおよびダウンレギュレートする時間)も決定され(第2段階と協力してなされる)。
【0070】
7.インビボでの発現後の電流の特徴づけ。第5段階と協力して、イヌの心臓に遺伝子産物をアデノウイルス感染させ、ECGの特徴付けを行った後、その動物を屠殺し、感染領域から細胞を単離し、ペースメーカー電流特性を決定する。
【0071】
8.幹細胞筋細胞の相互作用。第2段階と協力して、新生児の筋細胞培養物において高いペーシング速度を誘導するのに必要なトランスフェクト幹細胞の密度を調査する。
【0072】
第2段階:成人の間葉系幹細胞を用いた生物学的ペースメーカーの作製
目的は、ペースメーカー遺伝子(a pacemaker gene)(または複数遺伝子(genes))およびデリバリーシステム(幹細胞)を最適化して、選択した心臓領域において永久に調節可能なペースメーカーを作製することである。
【0073】
第2段階の具体的な目的または目標は、以下のとおりである:
1.成人の間葉系幹細胞の膜特性を研究すること。
2.トランスフェクションのためのペースメーカー遺伝子または複数遺伝子(a pacemaker gene or genes)を最適化すること。
【0074】
3.対象遺伝子およびEGFPが単一のRNAから翻訳されることを可能にする(蛍光を示す細胞のほぼ100%が対象遺伝子を発現する)バイシストロン発現ベクターを用いて、構成的に活性なプロモーター下の選択ペースメーカー遺伝子で、幹細胞をトランスフェクトすること。使用されるベクターは、HCN遺伝子を発現させるためのpCMS-EGFPベクター、同時トランスフェクションマーカーベクターとしてのpHygEGFP、EGFPとの融合タンパク質としてHCN遺伝子を発現させるためのpEGFP-C1ベクター、および筋特異的プロモーターからのEGFPの転写をモニターするためのpEGFP-1ベクターである。
【0075】
4.抗生物質選択マーカーを使用して、安定にトランスフェクトされたクローンを選択すること。
5.トランスフェクトした幹細胞の膜特性および発現されるペースメーカー電流を研究すること。
【0076】
6.インビトロにおいてトランスフェクトした幹細胞の針生存を研究し、これらの結果と第5段階で実施したイヌの注射後の生存研究とを比較すること。
7.カップリング研究のためトランスフェクトした幹細胞を第3段階に提供すること。
【0077】
8.幹細胞へのカップリングの存在下または非存在下において、成人の心臓の細胞(心房、プルキンエおよび心室)の膜特性を研究し、カップリングがペーシングを誘導するかどうかを決定すること。
9.第1段階と協力して、新生児の筋細胞培養物において高いペーシング速度を誘導するのに必要なトランスフェクト幹細胞の密度を調査すること。
【0078】
10.第5段階と協力して、幹細胞ペースメーカーをイヌの心臓に移植した後、移植後の種々の時間にその動物を屠殺することができる。第2段階において細胞を分離し、その膜特性を研究し、更に生化学的マーカーを使用して心臓の細胞タイプへの分化レベルを調査することができる。
11.調節可能なプロモーター(たとえばエクジソンシステム)を使用して幹細胞をトランスフェクトすること。
【0079】
12.抗生物質抵抗性により安定なトランスフェクションを選択する。
13.インデューサーとペースメーカー電流の発現レベルとの間の用量・反応関係を試験する。また、インデューサーへの露出とペースメーカー遺伝子の発現との間のラグ(lag)を決定し、インデューサー露出の終わりとペースメーカー遺伝子の発現の低下との間のラグを決定する。
【0080】
14.第1段階および第5段階で使用するための構築物を提供して、目的または目標9および10と同様の研究を実施する。
【0081】
第3段階:筋細胞および幹細胞の統合
幹細胞から生物学的ペースメーカーを作製するため、または幹細胞由来の心臓形成(cardiogenic)細胞株を用いて損傷した心筋層を修復するため、新規細胞を心臓シンシチウムへ統合する。このプロセスは、ギャップ結合の形成、並びに1)活動電位を発生させ伝播するためのイオンおよび2)正常な生理学的機能を維持するための関連セカンドメッセンジャーを細胞から細胞へ通過させる能力を利用する。心臓のギャップ結合は、3つのサブユニットタンパク質:コネキシン43(Cx43)、および/またはCx40、および/またはCx45の組合せから構成される。この段階の主要な目的は、発現したコネキシンのタイプを決定すること、並びに生物学的ペースメーカーのためのペースメーカー遺伝子でトランスフェクトした幹細胞、および心臓修復のために使用される幹細胞由来の心臓形成細胞株における機能を決定することである。また、これら細胞タイプが、結節、心房、プルキンエ、および心室の心筋層に由来する正常な成人の心臓筋細胞を用いてギャップ結合を形成する能力を決定してもよい。必要な場合、または所望の場合、関連のコネキシン遺伝子を用いた何れかのプレパレーションのトランスフェクションを調査することができる。イオンの透過性(ギャップ結合コンダクタンスを測定することによりアッセイされる)および生理学的セカンドメッセンジャーの透過性(大きな分子量の蛍光色素の透過によりアッセイされる)の両方が重要であるため、我々の実験プロトコールにおいて両測定を行う。
【0082】
第3段階の具体的な目的または目標は、以下のとおりである:
1.心臓のコネキシン(40、43、および45)でトランスフェクトした細胞(HeLa)に幹細胞がカップリングする程度を決定する(図4A−B参照)。
2.幹細胞が、結節領域、心房、プルキンエ線維、および心室の心筋層に由来する成人の心臓筋細胞にカップリングする能力を決定する。
【0083】
3.集密状態の幹細胞培養物および心筋細胞との同時培養物においてCx43、Cx40、およびCx45の分布および位置を決定するために免疫学的局在決定を使用する。
4.ペースメーカー遺伝子でトランスフェクトした幹細胞について、目的または目標1−3を繰り返す。
【0084】
5.生物学的ペースメーカーの始動後の決まった時間にトランスフェクト幹細胞を心筋層に移植し、その後その動物を屠殺する。これら動物において、1)間葉系幹細胞でどのコネキシンが発現しているか、並びに2)単離された細胞ペアの幹細胞の幹細胞への機能的カップリング、および幹細胞の心臓筋細胞への機能的カップリングを決定することができる。
【0085】
6.心臓形成細胞株が、心臓のコネキシン(40、43、45)を発現する培養細胞(HeLa)へカップリングする程度を決定する。
7.目的または目標2で使用したのと同じ領域に由来する成人の心臓筋細胞にカップリングする心臓形成細胞株の能力を決定する。
【0086】
8.心臓の修復のためにイヌに心臓形成細胞株に由来する細胞を移植した後、決まった時間にその動物を屠殺する。1)修復細胞株におけるコネキシンの発現、および2)心臓形成細胞株のペアまたは成人の心臓細胞と心臓形成細胞株に由来する細胞との間のペアの機能的カップリングを、これら動物から決定することができる。
【0087】
9.必要な場合、または所望の場合、幹細胞、ペースメーカー遺伝子でトランスフェクトした幹細胞、または幹細胞由来の心臓形成細胞株においてコネキシンを発現させる。改良された機能的なカップリングが起こるかどうか決定することができる。
【0088】
第4段階:心臓の修復のために幹細胞を最適化する
第4段階の目的は、(1)心臓細胞株へのトランスフォーメーションのために幹細胞を増殖すること、(2)心臓細胞系統を選択すること、(3)心臓様細胞を、心室または結節細胞タイプへ分化するよう更に誘導すること、(4)個々の細胞タイプの各々を適切な遺伝子でトランスフェクトして、特定の心臓の領域において機能および生存を最適化することである。
【0089】
第4段階の具体的な目的または目標は以下のとおりである:
1.筋肉または心臓の筋肉に特異的なプロモーターおよび緑色蛍光タンパク質を用いて幹細胞をトランスフェクトして、心臓系統に従って増殖する細胞の選択を援助する。
2.安定なトランスフェクションを選択する。
【0090】
3.心臓の分化を誘導するための有用なアプローチを試験する(胚様体、5-アザシチジンの露出を含む)。
4.心臓形成細胞株へ分化した細胞を選択する。
【0091】
5.心臓と同様の活動電位および心臓のI-V関係、および心臓の特定の膜電流を探して、細胞をパッチクランプする。
6.心臓分化の生化学的マーカーを研究する。
【0092】
7.栄養性ファクターまたは同時培養は、結節タイプ、心房の筋肉、または心室の心内膜または心外膜への更なる分化を特異的に誘導することができる。再度、サイン膜活動電位または膜電流を探すためにパッチクランプ法により試験する。
8.所望の心臓領域に由来する成人の筋細胞に対するカップリング試験のために、第3段階に細胞を提供する。
【0093】
9.各細胞タイプの針生存を試験する。
10.イヌの心不全の心臓モデルにおける効能試験のために、第5段階に細胞を提供する。細胞の特性を研究するため、インビボでの実験期間の後、細胞を回収することができる。
【0094】
11.内向き整流の増大を含む細胞の生存を最適化するための新規遺伝子、または追加の脈管形成を誘導するための遺伝子を添加する(VEGFまたは他の成長因子など)。
【0095】
第5段階:完全な動物および単離された組織におけるペースメーカー機能の発現
第5段階の全体的な目的は以下のとおりである:(1)遺伝子治療および幹細胞移植のアプローチを介してインビボで発現した特定のペースメーカー構築物が、どの程度まで心臓の速度およびリズムに影響を及ぼすことができるか決定すること。(2)操作された細胞株が、どの程度まで心筋の修復およびAV結節置換に影響を及ぼすことができるか決定すること。
【0096】
ドナー細胞にデリバリー遺伝子または化合物を提供するときには、操作されたドナー細胞を生物学的ターゲットにデリバーすることが必要である。ターゲットの直接的注入が可能である場合、この方法が適用されるでしょう。あるいは、ターゲットが特定の動脈により栄養供給される場合、操作されたドナー細胞を前述の動脈にデリバーし、生物学的ターゲットへデリバリーするために血液に放出することができる。
【0097】
全般的な仮説は、(1)心臓の特定の領域で発現されるかまたは移植されたペースメーカーチャンネルは、特殊な導電線維および心房および心室においてIK1の「クランピング」効果に反対する規則的な自律的応答リズムを生むということ、並びに(2)操作された細胞株は、非機能的心筋層またはAV結節に置き換わることができるということである。
【0098】
3つの目的または目標は以下のとおりである:
1.インサイチューの心臓および単離された組織において、機能的ペースメーカーとして特定のHCN αおよびβサブユニット構築物の機能を調査すること。以下のサブ仮説の試験を含む:
【0099】
a: HCN2またはHCN4を運ぶアデノウイルス構築物をイヌ心室心筋層へインビボで注入すると、Ifの特徴を有するペースメーカー電流を導き出すことができる。このことが機能するというコンセプトの証明が存在するが、大きなIK1および高い負の膜電位のため、ここで発現したHCN2は活性化しやすいため、この関与は心室を動かさないかもしれない。
【0100】
b: HCN2またはHCN4を運ぶアデノウイルス構築物をイヌ索枝または心房へインビボで注入すると、Ifの特徴を有し、(IK1の低下および発現HCNの正の活性化の観点から)心臓を動かすことができる自律的応答ペースメーカー電流が導き出される。
【0101】
c:追加のHCNアイソフォームの非存在下においてMiRP1を運ぶアデノウイルス構築物を上記組織へ注入すると、内在性Ifを有意にアップレギュレートし、活性化カイネティクスの速度を増すことができるため、これによりペースメーカー機能を変えるための代替手段が提供される。
【0102】
d:(第1段階および第2段階で開発した)突然変異遺伝子のアデノウイルス構築物を注入すると、代わりの優れた機能的ペースメーカーが提供される。
【0103】
2.インサイチューの心臓および単離された組織に機能的なペースメーカーを提供するため、ヒト間葉系細胞株に挿入した特定のHCN αおよびβサブユニット構築物の機能を調査すること。サブ仮説は、上述のものから以下のとおり改変される:
【0104】
a:HCN2またはHCN4を運ぶ幹細胞をイヌ心室心筋層へインビボで注入すると、Ifの特徴を有し、心臓を動かすことができるペースメーカー電流を導き出すことができる。幹細胞の移植により、IK1の効果に打ち勝つために充分な大きさの結節を移植することが可能になる。
【0105】
b:HCN2またはHCN4を運ぶアデノウイルス構築物をイヌ索枝または心房へインビボで注入すると、Ifの特徴を有し、(IK1の低下および発現HCNの正の活性化の観点から)心臓を動かすことができる自律的応答ペースメーカー電流が導き出される。
【0106】
c:追加のHCNアイソフォームの非存在下においてMiRP1を運ぶアデノウイルス構築物を上記組織へ注入すると、内在性心筋Ifを有意にアップレギュレートし、活性化カイネティクスの速度を増すことができるため、これによりペースメーカー機能を変えるための代替手段が提供される。
【0107】
d:(第1段階および第2段階で開発した)突然変異遺伝子の構築物を運ぶ幹細胞を注入すると、代わりの優れた機能的ペースメーカーが提供される。
【0108】
3.心筋の修復における、操作された心臓細胞株の移植の有用性を調査すること。これは、心筋層およびAV結節の置換を含む。サブ仮説は以下のとおりである:
【0109】
a:心筋梗塞が心室瘤のみを誘導したイヌの心臓およびうっ血性心不全の心臓において、第4段階により操作された細胞株は、心筋層で増殖し、これは、血流力学的およびイメージングを介して研究されると機能的である基板を提供するが、不整脈を発生させない。この結果は、改良された心臓の機能および拍出量である。
【0110】
b:ホルマリン注射またはRF切除を介してAVブロックが誘導されたイヌの心臓において、第4段階により操作された細胞株は、インサイチューの心臓および単離された組織においてAV結節と同じ機能を有するバイパス路を提供する。
【0111】
幹細胞の単離および細胞培養
ヒト/イヌ骨髄吸引液から間葉系幹細胞(ヒトまたはイヌ)を単離し、増殖させることができる。
【0112】
例えば、10 mLの骨髄吸引液を、凝固を防ぐために6000ユニットのヘパリンを含有するシリンジに集め、リン酸緩衝溶液(PBS)で2回洗浄し、20 mLのコントロール培地(10 % FBSを含有するDMEM)に添加し、その後遠心分離して細胞を沈殿させ脂肪を除去した。細胞の沈殿物をコントロール培地に再懸濁し、70 %パーコール溶液を13000 gで20分間遠心分離することにより作製された密度勾配上で、1100 gで30分間分画した。間葉系幹細胞リッチの低密度分画を集め、コントロール培地ですすぎ、60 mm2ディッシュあたり107有核細胞の密度で播いた。その後、間葉系幹細胞を、コントロール培地において37℃で5 % CO2を含有する加湿雰囲気で培養した。
【0113】
1)間葉系幹細胞の単離および特徴づけ
ドナーからhMSCおよびcMSCを単離することができる。間葉系幹細胞を使用する利点は、分化に内胚葉を必要としないこと、培養が簡単であること、高価なサイトカイン補充物質を必要としないこと、免疫原性がごく僅かであることである。また、フローサイトメトリーにより細胞純度を試験し、骨形成、軟骨形成、脂質生成、心臓形成の系統へ分化するhMSC/cMSCの能力を試験することができる。
【0114】
例えば、hMSCを、妊娠初期、期待される免疫学的能力の発達の前および後に、胎仔ヒツジに移植した。hMSCは、移植後13ヶ月もの間、合体し複合組織で存続した。移植されたヒト細胞は、軟骨細胞、含脂肪細胞、筋細胞および心筋細胞(cardiomyocytes)、骨髄間質細胞および胸腺間質へと部位特異的に分化した。予期しないことに、期待される免疫能の発達後に細胞を移植したときでも、長期間の合体がみられた。考えられる理由は、hMSCがクラスIヒト白血球抗原を発現するが、クラスIIを発現せず、免疫認識を制限するためかもしれない。
【0115】
心筋において、(ヒト)β-2ミクログロブリンの染色またはヒトALU配列に関するインサイチューハイブリダイゼーションを、平滑筋または骨格筋に特異的な細胞質タンパク質である滑面小胞体ATPase-2(SERCA-2)に対する抗体を用いた二重染色と組み合わせた。
【0116】
また、心筋細胞は、マウスの骨髄間質細胞から生成した。マウスの骨髄間質細胞を、3μM 5-アザシチジンで処理した。1週間後、幾つかの細胞は徐々にサイズが増大し、ボール様またはスティック様の外観になった。2週間後、細胞は自発的に拍動し始め、ボール様またはスティック様の細胞は、隣接している細胞と連結し、筋管のような構造を形成した。3週間後、同調して拍動する細胞のほとんどが連結し、筋管のような構造を形成し、心筋原性(cardiomyogeneic)細胞株を形成した。
【0117】
更に、hMSCは、デキサメタゾン、β−グリセロールリン酸、アスコルベートおよび10 % FBSを用いて、骨形成系統のみにインビトロで分化するように誘導することができる。軟骨形成系統は、血清なしであるが、トランスフォーミング増殖因子β3(ペレット状のミクロな塊)およびhMSCを用いて、それのみに誘導することができる。最後に、脂質生成系統は、1-メチル1-3-イソブチルキサンチン、デキサメタゾン、インスリン、ヨードメタシンおよびhMSCを用いて、それのみに誘導することができる。
【0118】
循環する骨髄細胞から心筋形成のインビボでの実証
正常およびジストロフィー(mdx)のメスマウスは、正常なオスドナーから骨髄移植(BMT)を受けた。70日後、BMTマウス由来の心房および心室領域の組織セクションを、ドナー由来のY染色体について精査した。BMT-mdxマウス一匹において、心筋細胞が、骨髄由来のY染色体を含有することが見出された。
【0119】
2)組織/細胞の培養
細胞の保存、増殖および培養細胞の維持と共にプロジェクトで使用されるhMSC/cMSCおよび他の細胞タイプのための培地を調製することができる。
【0120】
3)形態測定
光学、蛍光および共焦点顕微鏡を使用して、細胞タイプおよび心臓形成細胞株をモニターすることができる。また、そのコアは、組織化学的および免疫学的局在決定の研究すべてをサポートすることができる。
【0121】
4)RNA抽出およびRT−PCR分析
幹細胞または心臓形成細胞株にトランスフェクションした遺伝子すべての発現レベルをモニターすることができる。
【0122】
hMSCからの心不全の移植療法
移植療法は、hMSCの使用によっても可能である。hMSCが心臓の筋細胞に分化した後、純粋な培養物を、細胞の生存または細胞の選別(たとえば、筋または心臓特異的プロモーターにより誘導される抗生物質抵抗性遺伝子またはGFP)により選択する。その後、分化した筋細胞の成人の筋細胞への電気的カップリングについて、更に生化学的、免疫組織学的、および電気生理学的特性についてインビトロで試験する。これら試験の完了後、イヌのモデルを使用して、分化した筋細胞の宿主組織への統合および収縮性能の改良について評価する。また、イヌのモデルを、腫瘍形成または病原菌の伝達が起こらないことについて調査する。その後、拒絶を防ぐ方法を試験する。レシピエントとドナーが同じであれば、拒絶の危険はない。最後に、ヒトの試験が開始される。
【0123】
小分子のための細胞間デリバリーシステム
機能的なシンシチウムの細胞内コンパートメントへ特定の溶質をデリバーすることは、特定の溶質を予めロードした幹細胞をターゲット組織(細胞)に播くことにより達成することができる。あるいは、小さな溶質を産生する遺伝子を、従来記載されるとおり幹細胞に導入することができる。幹細胞からターゲット細胞への溶質の移送は、ギャップ結合を通った拡散によりなされる。そのシステムは、親水性セカンドメッセンジャー、薬剤およびその代謝物、および無機イオンをデリバリーすることができる。
【0124】
A)幹細胞のローディング:
特定の溶質の幹細胞へのローディングは、エレクトロポレーションにより、または膜透過可能なエステル形態を含有する媒体を用いて幹細胞を灌流させることにより行うことができる。図1aは、幹細胞の光学マイクロ写真であり、図1bは、Lucifer Yellow(LY)の存在を示す蛍光顕微鏡による同細胞の写真である。色素は、エレクトロポレーションによりロードした。
【0125】
B)幹細胞からターゲット細胞へのロードされた溶質の移送:
培養細胞を用いて実証する。図2は、幹細胞からHeLa細胞への色素の移送を示す。LYは、おそらくギャップ結合を通った拡散により、HeLa細胞にデリバーされた。
【0126】
移送に関する関連パラメーター:
1)幹細胞は、コネキシン:Cx43、Cx45、Cx40、Cx32およびCx26の一または複数を含有する他の細胞bとともにギャップ結合チャンネルを形成する。
【0127】
2)内径〜1.0 nmの負に荷電した溶質は、すべて上記ギャップ結合チャンネルを通過することができる(同型Cx43、Cx40、Cx45、異型Cx43−Cx40および混合型またはヘテロメリックCx43−Cx40(63,64)およびCx32およびCx26(65))。
【0128】
K+に対するLucifer Yellowの選択比は、Cx43については0.025であり、Cx40については0.0028である。ギャップ結合のタイプおよびチャンネルの総数が、幹細胞とターゲット細胞の間の特定の溶質の通過率を決める。
【0129】
本発明の一つの好ましい態様を記載するが、変形や改変が当業者に思い浮かぶように、本発明はそれに限定されるものではない。
本発明の範囲は、添付の請求の範囲により決定される。
【参照文献】
【0130】










【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1A】エレクトロポレーションによりLucifer Yellow色素をロードした幹細胞。A:幹細胞の光学マイクロ写真画像。ロード濃度は、媒質中2 mM Lucifer Yellowであった。
【図1B】エレクトロポレーションによりLucifer Yellow色素をロードした幹細胞。B:同じ幹細胞の蛍光画像。ロード濃度は、媒質中2 mM Lucifer Yellowであった。
【図2A】幹細胞からCx43トランスフェクションHeLa細胞へのLucifer Yellow色素の移送。A:その後HeLa Cx43細胞へ移送されるLucifer Yellowを、電極によりロードした幹細胞の光学マイクロ写真画像。色素の移送は、ギャップ結合を通った拡散によりおそらく起こる。
【図2B】幹細胞からCx43トランスフェクションHeLa細胞へのLucifer Yellow色素の移送。B:同じ幹細胞の蛍光画像。色素の移送は、ギャップ結合を通った拡散によりおそらく起こる。
【図3A】幹細胞の間、および幹細胞とイヌ心筋細胞(心室)の間の、カップリングおよびイオンおよび色素の移送。A:幹細胞の間の色素移送の光学マイクロ写真および蛍光画像。
【図3B】幹細胞の間、および幹細胞とイヌ心筋細胞(心室)の間の、カップリングおよびイオンおよび色素の移送。B:幹細胞とイヌ心筋細胞の間の色素移送の光学マイクロ写真および蛍光画像。
【図3C】幹細胞の間、および幹細胞とイヌ心筋細胞(心室)の間の、カップリングおよびイオンおよび色素の移送。C:幹細胞とイヌ心筋細胞の間のイオン移送を示すグラフ。
【図4A】Cx43トランスフェクションHeLa細胞への幹細胞のカップリング。A:幹細胞からHeLa細胞への色素移送の光学マイクロ写真および蛍光画像。
【図4B】Cx43トランスフェクションHeLa細胞への幹細胞のカップリング。B:幹細胞とHeLa細胞の間のイオン移送のグラフ。
【図5A】胚様体から単離したヒト間葉系幹細胞のI-V関係。A:胚様体から単離した幹細胞の光学マイクロ写真画像。
【図5B】胚様体から単離したヒト間葉系幹細胞のI-V関係。B:I-V関係について心臓様分化の開始を示唆する内向き整流を示すグラフ。
【図6】インビトロでトランスフェクションした幹細胞の針生存率。
【図7】mH2-EGFPで一過性トランスフェクションしたヒト間葉系幹細胞。
【図8A】幹細胞に組み込まれたHCN2は、ペースメーカー電流を発生させることができる。A:HCN2を発現する幹細胞のランププロトコール。ランプは、+50から-100 mVに変化し、0 mVに戻る。実験は室温20℃で行った。従って生理的温度において、カイネティクスは約15×速く、振幅は2×大きいでしょう。
【図8B】幹細胞に組み込まれたHCN2は、ペースメーカー電流を発生させることができる。A:HCN2を発現する幹細胞のランププロトコール。B:HCN2を発現する幹細胞のステッププロトコール。ステップは、0〜-100 mVである。実験は室温20℃で行った。従って生理的温度において、カイネティクスは約15×速く、振幅は2×大きいでしょう。
【図9A】幹細胞に組み込まれたHCN2は、ペースメーカー電流を発生させることができなかった。A:HCN2を発現できない幹細胞のランププロトコール。ランプは、+50から-100 mVに変化し、0 mVに戻る。実験は室温20℃で行った。従って生理的温度において、カイネティクスは約15×速く、振幅は2×大きいでしょう。
【図9B】幹細胞に組み込まれたHCN2は、ペースメーカー電流を発生させることができなかった。B:発現できず電流を発生できない幹細胞に組み込まれた変異体HCN2。ステップは、0〜-100 mVである。実験は室温20℃で行った。従って生理的温度において、カイネティクスは約15×速く、振幅は2×大きいでしょう。
【図10A】HCN2ペースメーカー遺伝子を有するヒト間葉系幹細胞を移植した結果、イヌ心室におけるインサイチューでのペースメーカー機能の発現。イヌは麻酔し、HCN2遺伝子を組み込んだ幹細胞を、イヌの前左心室壁に21ゲージ針を介して移植した。A:針挿入による刺激に基づく、特定の形状の洞調律および心室性頻拍を実証するECGsの記録。
【図10B】B:洞調律の停止に至るイヌの迷走神経の刺激。
【図10C】C:洞調律の停止後、安定な心室固有調律の開始をもたらす継続した迷走神経の刺激。この調律は、移植部位における刺激の結果、移植の初日に生じた調律(図10A)と同じECG lead IIの形状を示した。心室固有調律の最も有望な原因は、幹細胞におけるペースメーカー電流による自発的な刺激波動の開始である。
【図10D】D:迷走神経の刺激の終結時に、イヌは洞調律に戻った。
【図10E】E:イヌの心臓を取り出し、組織学的研究を行った。移植部位の針の跡に沿った間葉系幹細胞の結節−様構造を示すスライド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンシチウム構造体へ遺伝子をデリバリーするための組成物であって、前記遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物。
【請求項2】
前記幹細胞が間葉系幹細胞である、請求項1に記載の幹細胞。
【請求項3】
前記遺伝子がMiRP1をコードする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記遺伝子がHCNチャンネルをコードする、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記HCNチャンネルがHCN1である、請求項4に記載のHCNチャンネル。
【請求項6】
前記HCNチャンネルがHCN2である、請求項4に記載のHCNチャンネル。
【請求項7】
前記HCNチャンネルがHCN4である、請求項4に記載のHCNチャンネル。
【請求項8】
前記遺伝子が、変異したHCNチャンネルをコードする、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記変異したHCNチャンネルがE324A-HCN2である、請求項8に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項10】
前記変異したHCNチャンネルがY331A-HCN2である、請求項8に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項11】
前記変異したHCNチャンネルがY331A,E324A-HCN2である、請求項8に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項12】
前記遺伝子がMiRP1およびHCNチャンネルをコードする、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記HCNチャンネルがHCN1である、請求項12に記載のHCNチャンネル。
【請求項14】
前記HCNチャンネルがHCN2である、請求項12に記載のHCNチャンネル。
【請求項15】
前記HCNチャンネルがHCN4である、請求項12に記載のHCNチャンネル。
【請求項16】
前記遺伝子が、MiRP1および変異したHCNチャンネルをコードする、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記変異したHCNチャンネルがE324A-HCN2である、請求項16に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項18】
前記変異したHCNチャンネルがY331A-HCN2である、請求項16に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項19】
前記変異したHCNチャンネルがY331A,E324A-HCN2である、請求項16に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項20】
イオンチャンネル移送のための組成物であって、イオンチャンネルをつくるのに充分な量の化合物が組み込まれた幹細胞を含む組成物。
【請求項21】
前記幹細胞が間葉系幹細胞である、請求項20に記載の幹細胞。
【請求項22】
前記化合物が、MiRP1をコードする核酸を含む、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が、HCNチャンネルをコードする核酸を含む、請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
前記HCNチャンネルがHCN1である、請求項23に記載のHCNチャンネル。
【請求項25】
前記HCNチャンネルがHCN2である、請求項23に記載のHCNチャンネル。
【請求項26】
前記HCNチャンネルがHCN4である、請求項23に記載のHCNチャンネル。
【請求項27】
前記化合物が、変異したHCNチャンネルをコードする核酸を含む、請求項20に記載の化合物。
【請求項28】
前記変異したHCNチャンネルがE324A-HCN2である、請求項27に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項29】
前記変異したHCNチャンネルがY331A-HCN2である、請求項27に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項30】
前記変異したHCNチャンネルがY331A,E324A-HCN2である、請求項27に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項31】
前記化合物が、MiRP1およびHCNチャンネルをコードする核酸を含む、請求項20に記載の化合物。
【請求項32】
前記HCNチャンネルがHCN1である、請求項31に記載のHCNチャンネル。
【請求項33】
前記HCNチャンネルがHCN2である、請求項31に記載のHCNチャンネル。
【請求項34】
前記HCNチャンネルがHCN4である、請求項31に記載のHCNチャンネル。
【請求項35】
前記化合物が、MiRP1および変異したHCNチャンネルをコードする核酸を含む、請求項20に記載の化合物。
【請求項36】
前記変異したHCNチャンネルがE324A-HCN2である、請求項35に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項37】
前記変異したHCNチャンネルがY331A-HCN2である、請求項35に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項38】
前記変異したHCNチャンネルがY331A,E324A-HCN2である、請求項35に記載の変異したHCNチャンネル。
【請求項39】
シンシチウム構造体において機能的な遺伝子産物を発現させる方法であって、前記シンシチウム構造体に請求項1に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項40】
前記遺伝子産物がイオンチャンネルである、請求項39に記載の遺伝子産物。
【請求項41】
前記シンシチウム構造体が哺乳類の心臓である、請求項39に記載のシンシチウム構造体。
【請求項42】
前記シンシチウム構造体が哺乳類の膀胱である、請求項39に記載のシンシチウム構造体。
【請求項43】
前記シンシチウム構造体が動脈である、請求項39に記載のシンシチウム構造体。
【請求項44】
前記シンシチウム構造体が小動脈である、請求項39に記載のシンシチウム構造体。
【請求項45】
前記シンシチウム構造体が哺乳類の肝臓である、請求項39に記載のシンシチウム構造体。
【請求項46】
前記シンシチウム構造体が哺乳類の胃腸管である、請求項39に記載のシンシチウム構造体。
【請求項47】
前記シンシチウム構造体が、上皮組織に由来する腫瘍である、請求項39に記載のシンシチウム構造体。
【請求項48】
前記シンシチウム構造体が、平滑筋組織に由来する腫瘍である、請求項39に記載のシンシチウム構造体。
【請求項49】
シンシチウム構造体において機能的なイオンチャンネルを発現させる方法であって、前記シンシチウム構造体に請求項20に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項50】
前記シンシチウム構造体が哺乳類の心臓である、請求項49に記載のシンシチウム構造体。
【請求項51】
被検体における心臓病の症状を治療する方法であって、前記被検体の心臓の細胞を、前記細胞の電流の発現を増大させるのに充分な量の請求項20に記載の組成物と接触させ、それにより前記被検体における心臓病の症状を治療することを含む方法。
【請求項52】
前記電流がペースメーカーの電流である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記心臓病の症状が心臓のリズム障害である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記心臓のリズム障害が、少なくとも一の伝導ブロック、完全な房室ブロック、不完全な房室ブロックおよび洞房結節の機能不全から成る群より選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記接触工程が、前記構造体への全身投与および注射から成る群より選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記接触の投与が、前記構造体の細胞への局所適用、マイクロインジェクションおよびカテーテル法を含む群より選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
被検体の心臓において電流を誘導する方法であって、前記被検体の心臓の細胞を、前記被検体の心臓の細胞において電流を誘導するのに充分な量の請求項20に記載の組成物と接触させ、それにより前記被検体の心臓の細胞において電流を誘導することを含む方法。
【請求項58】
被検体において心拍数を増大させる方法であって、前記被検体の心臓の細胞を、前記心臓の細胞の活性化の時定数を低下させるのに充分な量の請求項20に記載の組成物と接触させ、それにより前記被検体において心拍数を増大させることを含む方法。
【請求項59】
細胞において電流を誘導する方法であって、細胞を、前記細胞において電流を誘導するのに充分な量の請求項20に記載の組成物と接触させ、それにより前記細胞において電流を誘導することを含む方法。
【請求項60】
細胞の収縮を引き起こす方法であって、前記細胞を、前記細胞の収縮を引き起こすのに必要な電流を誘導するのに充分な量の請求項20に記載の組成物と接触させ、それにより前記細胞の収縮を引き起こすことを含む方法。
【請求項61】
細胞を活性化するのに必要な時間を短縮する方法であって、細胞を、前記細胞の活性化の時定数を低下させるのに充分な量の請求項20に記載の組成物と接触させ、それにより前記細胞を活性化するのに必要な時間を短縮することを含む方法。
【請求項62】
細胞の膜電位を変化させる方法であって、細胞を、前記細胞の膜電位を変化させるのに充分な量の請求項20に記載の組成物と接触させ、それにより前記細胞の膜電位を変化させることを含む方法。
【請求項63】
遺伝子で形質転換した間葉系幹細胞から発達した心臓の筋細胞。
【請求項64】
小分子をデリバリーするための組成物であって、前記小分子または前記小分子をコードする遺伝子が組み込まれた幹細胞を含む組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【公表番号】特表2006−515759(P2006−515759A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500957(P2006−500957)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/000950
【国際公開番号】WO2004/065580
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(592104782)ザ・トラスティーズ・オブ・コランビア・ユニバーシティー・イン・ザ・シティー・オブ・ニューヨーク (21)
【氏名又は名称原語表記】THE TRUSTEES OF COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
【出願人】(505268736)ザ・リサーチ・ファウンデーション・オブ・ステート・ユニバーシティー・オブ・ニューヨーク (1)
【Fターム(参考)】