説明

シートの異物除去装置

【課題】塊(異物)を確実に除去することができる異物除去装置を提供する。
【解決手段】発泡樹脂シートに付着した異物を除去する除去手段5を備えたシートの異物除去装置において、前記除去手段5は、シートの表裏両側に付着した異物を吸引すべく、シートの表裏両側に配置した一対の吸引装置6,7を備え、該吸引装置6,7は、発泡樹脂シートに対して吸引力を作用させて前記異物を吸引する吸引部であって、発泡樹脂シートの幅方向に沿って所定長さを有して幅方向に複数並設される吸引部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡樹脂シートに付着した異物を除去する除去手段を備えたシートの異物除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリスチレン系樹脂をベース樹脂とした発泡樹脂シートが、食品用トレーなどの熱成形品の原材料などに広く用いられている。このポリスチレン系発泡樹脂シートは、通常、ポリスチレン系樹脂組成物の連続的な押出発泡によって製造される。そして、連続的な押出発泡によって長尺帯状に製造された発泡樹脂シートは、一旦ロール状に巻き取られた原反ロールなどと呼ばれる状態にされ、その後成形加工に利用される。
【0003】
この発泡樹脂シートの製造工程をより具体的に説明すると、ポリスチレン系樹脂組成物を押出機内で発泡剤などとともに溶融混練し、該押出機の先端部に装着した押出発泡用の金型としてのサーキュラーダイの円環状のダイスリット(吐出口)から溶融混練物を押出発泡して円筒状の発泡体を連続的に形成する。そして、該円筒状の発泡体を冷却マンドレルで内側から冷却した後に切断装置で押出方向に沿った連続的な切り込みを入れて帯状に展開し、得られた帯状のポリスチレン系の発泡樹脂シートをロール状に巻き取って前記原反ロールとする。
【0004】
ところで、押出機の金型の吐出口付近では、目ヤニと呼ばれる樹脂の塊(異物)が堆積して成長していく。この塊は、成長して大きくなると金型から離脱し、送り出される発泡樹脂シートに異物として付着してしまう。
【0005】
上記問題を解決するため、塊(異物)が堆積しないように金型の内面をコーティング処理するなど、金型に工夫を施した装置が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−246782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記処理が施された金型では、塊の発生を完全に防止することが難しく、改善の余地があった。また、処理が施された金型を使用していない設備もあり、早期改善が要望されている。
【0008】
そこで、押出した発泡樹脂シートに付着している塊を除去する除去手段を備えた異物除去装置を別途設けることが考えられる。例えば、押出される発泡樹脂シートに付着している塊を掻き取るスクレーパを設ける場合や、発泡樹脂シートの全幅に渡る長さを有して塊を吸引除去する吸引部を設ける場合などが考えられる。
【0009】
スクレーパにより塊を掻き取る場合には、発泡樹脂シートを傷付けてしまう不都合が発生してしまい、使用し難いものである。また、吸引部により塊を吸引除去する場合には、吸引部の長さが長いため、吸引力が分散してしまって吸引力を確実に作用させることができず、塊(異物)を確実に除去できない。
【0010】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、塊(異物)を確実に除去することができる異物除去装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るシートの異物除去装置は、発泡樹脂シートに付着した異物を除去する除去手段を備えたシートの異物除去装置において、前記除去手段は、発泡樹脂シートの表裏両側に付着した異物を吸引除去すべく、発泡樹脂シートの表裏両側に配置した一対の吸引装置を備え、該吸引装置は、発泡樹脂シートに対して吸引力を作用させて前記異物を吸引する吸引部であって、発泡樹脂シートの幅方向に沿って所定長さを有して幅方向に複数並設される吸引部を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、シートの表裏両側に配置した一対の吸引装置の吸引力により、発泡樹脂シートの表面及び裏面に付着した異物(例えば樹脂の塊)を吸引除去することができる。ここで、吸引装置は、発泡樹脂シートの幅方向に並設される複数の吸引部を備えるので、各吸引部の吸引力によって異物を吸引除去でき、発泡樹脂シートに付着した異物(樹脂の塊など)を確実に除去できる。
【0013】
また、本発明に係るシートの異物除去装置においては、前記複数の吸引部のうちの少なくとも1つは、他の吸引部に対して発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれして配置されていることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、複数の吸引部のうちの少なくとも1つが、他の吸引部に対して発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれしていると、発泡樹脂シートに作用する吸引力が長さ方向一箇所に集中して作用することがないから、発泡樹脂シートに幅方向の大きな折曲力が作用するようなことがなく、発泡樹脂シートを良好に送り出すことができる。
【0015】
また、本発明に係るシートの異物除去装置においては、前記複数の吸引部は、隣り合う吸引部どうしが発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれし、かつ、隣り合う吸引部の近接する端部どうしが、長さ方向においてラップしていることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、隣り合う吸引部の近接する端部どうしが、長さ方向においてラップしていることで、隣り合う吸引部の近接する端部どうし間の吸引力が低下するようなことがなく、発泡樹脂シートのどの位置に付着している異物(樹脂の塊など)をも確実に吸引することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上の如く、本発明によれば、発泡樹脂シートの幅方向に並設される複数の吸引部を備えた吸引装置を設けることによって、各吸引部の吸引力によって異物を吸引除去でき、発泡樹脂シートに付着した異物(樹脂の塊など)を確実に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の異物除去装置を組み込んだ、ポリスチレン系発泡樹脂シートを製造する製造設備の概略側面図である。
【図2】同異物除去装置の側面図である。
【図3】同異物除去装置の平面図である。
【図4】同異物除去装置の要部を示す平面図である。
【図5】図3におけるA−A線断面図である。
【図6】図5におけるB−B線断面図である。
【図7】エア供給路を加えた同異物除去装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るシートの異物除去装置の一実施形態について、図1〜図7を参酌して説明する。
【0020】
該異物除去装置は、例えばポリスチレン系発泡樹脂シートを製造する製造設備に組み込まれて使用される装置の一つである。この製造設備は、図1に示すように、発泡材を含んだポリスチレン系樹脂組成物を溶融混練するための押出機としてタンデム押出機100を備える。このタンデム押出機100の先端には、前記ポリスチレン系樹脂組成物を発泡状態で押出して円筒状の発泡体101を形成する押出発泡用の金型としてのサーキュラーダイ102が装着されている。
【0021】
また、製造設備は、前記サーキュラーダイ102の前方に設けられる冷却マンドレル(プラグともいう)103を備える。この冷却マンドレル103は、サーキュラーダイ102の前面に開口している円環状のダイスリット(吐出口)から円筒状に吐出される前記発泡体101を内面側から冷却するとともに該発泡体101を拡径して所定の大きさの円筒状に形成するように構成されている。
【0022】
更に、製造設備は、前記冷却マンドレル103によって冷却された円筒状の発泡体101に押出方向に沿った連続的な切れ込みを設けるための切断装置111を備える。この切断装置111により、円筒状の発泡体101を展開して帯状のポリスチレン系発泡樹脂シート(以下、単にシートFという)を形成することができる。
【0023】
そして、切断装置111により切断されて形成された帯状のシートFの表裏両面に付着した異物を除去する異物除去装置1が、冷却マンドレル103のシート長さ方向下手側(押出し方向下手側)に設けられている。前記異物は、前記サーキュラーダイ102の突出口付近に堆積した目ヤニと呼ばれる樹脂の塊である。その異物が、該サーキュラーダイ102から離脱してシートFに付着し、その付着した塊(異物)を異物除去装置1で除去することになる。異物除去装置1による異物除去処理が終了したシートFは、巻取り機104により巻き取られる。尚、異物除去装置1の手前には、シート長さ方向上流側から、シートFを展開するための展開ロール105、移動するシートFの幅方向両端部を上下方向から挟持して端の位置を設定するクロスガイダー106が設けられている。
【0024】
巻取り機104は、シート長さ方向上流側から、シートに所定の圧力を付与する上下一対のニップロール107、シートFをS字状に巻回する上下一対のSロール108、巻き取る直前のシートFを案内するガイドロール109、シートFを巻き取る巻取りロール110を備えている。
【0025】
異物除去装置1は、図2及び図3に示すように、前後一対のフレーム部2A,2B及び左右一対のフレーム部2C,2Dからなる長方形状のフレーム2と、フレーム2の前側上端に設けられ、切断装置111で展開されたシートF(図1参照)の幅方向両端部を上下方向から挟持してシートF(図1参照)の幅方向両端の位置を制御すべく左右両側に配置した上下一対の挟持ロール3,3、4,4(図3及び図5参照)からなるクロスガイダー106と、上下一対の挟持ロール3,3、4,4で位置制御されたシートFの表裏両面に付着した異物を除去する除去手段5とを備えている。尚、上下一対の挟持ロール3,3、4,4は、左右一対のフレーム部2C,2Dにそれぞれ立設した支持部材Eに回転自在に軸支されている。
【0026】
除去手段5は、シートの表裏両側から異物を吸引すべく、シートの表裏両側、つまりシートの上側及び下側に配置した一対の吸引装置6,7からなっている。
【0027】
上側の吸引装置6は、図3〜図6に示すように、金属製のケース10と、該ケース10内にスペーサ13を介して取り付けられ、下端に吸引開口部11K,12Kが形成されて幅方向で複数並設された(ここでは2個)吸引部を構成する金属製の第1及び第2上箱状体11,12とを備えている。
【0028】
ケース10は、天井壁10Aと、天井壁10Aの前後端から下方へ垂下した前後壁10B,10Cとを備え、下端及び左右両端が開放されたアーチ型に構成されている。
【0029】
第1及び第2上箱状体11,12は、同一構成であるため、第1上箱状体11について説明する。この第1上箱状体11は、天井壁11Aと、天井壁11Aの前後端から下方へ垂下した前後壁11B,11Bと、天井壁11Aの左右端から下方へ垂下した左右壁11C,11C(図6では一方のみ図示している)とを備えた下方が開放された箱型に構成されている。
【0030】
第1上箱状体11は、図4に示すように、ケース10の前後方向(シートFの長さ方向)中央部でかつ左右方向左側(シートFの長さ方向と直交する幅方向左側)に寄った位置に配置されている。また、第2上箱状体12は、第1上箱状体11よりも前側に位置するようにケース10の前後方向(シートFの長さ方向)前端部の位置で、かつ、左右方向右側(シートFの長さ方向と直交する幅方向右側)に寄った位置に配置されている。そして、それら2個の上箱状体11,12は、シートFの長さ方向と直交する幅方向で近接する左右端部どうしが前後方向(シートFの長さ方向)でラップする状態で配置されている。そのラップ量は、後述するエアマフラー18又は吸引用のパイプ19が配置されるスペース分に設定されているが、自由に変更することができる。尚、ケース10の前後方向後端部は、スペースになっている。
【0031】
下側の吸引装置7は、図3〜図6に示すように、金属製のケース14と、該ケース14内にスペーサ17を介して取り付けられ、上端に吸引開口部15K,16Kが形成されて複数並設された(ここでは2個)吸引部を構成する金属製の第1及び第2下箱状体15,16とを備えている。
【0032】
ケース14は、底壁14Aと、底壁14Aの前後端から上方へ立ち上げられた前後壁14B,14Cとを備え、上端及び左右両端が開放された逆アーチ型に構成されている。
【0033】
第1及び第2下箱状体15,16は、同一構成であるため、第1下箱状体15について説明する。この第1下箱状体15は、底壁15Aと、底壁15Aの前後端から上方へ立ち上げた前後壁15B,15Bと、底壁15Aの左右端から上方へ立ち上げた左右壁15C,15C(図6では一方のみ図示している)とを備えた上方が開放された箱型に構成されている。
【0034】
第1下箱状体15は、ケース14の前後方向(シートFの長さ方向)後端部でかつ左右方向左側(シートFの長さ方向と直交する幅方向左側)に寄った位置に配置されている。また、第2下箱状体16は、第1下箱状体15よりも前側に位置するようにケース10の前後方向(シートFの長さ方向)中央部の位置で、かつ、左右方向右側(シートFの長さ方向と直交する幅方向右側)に寄った位置に配置されている。そして、それら2個の下箱状体15,16は、シートFの長さ方向と直交する幅方向で近接する左右端部どうしが前後方向(シートFの長さ方向)でラップする状態で配置されている。そのラップ量は、後述するエアマフラー18又は吸引用のパイプ19が配置されるスペース分に設定されているが、自由に変更することができる。尚、ケース14の前後方向前端部は、スペースになっている。
【0035】
上側のケース10に対して下側のケース14がシート長さ方向において後側へ位置ずれしている。そのずれ量は、図3、図4及び図6に示すように、概ね1個の箱状体15の幅の大きさになっているが、このずれ量は変更できる。このような位置ずれによって、上側のケース10の2つの第1、第2上箱状体11,12の次に、下側の2つの第1、第2下箱状体15,16が位置することになる。具体的には、前側から順に、第2上箱状体12、第1上箱状体11、第2下箱状体16、第1下箱状体15という配置となる。
【0036】
また、上側のケース10のシート長さ方向における寸法をシート長さ方向後方側へ箱状体一個分だけ延ばしてスペースを設けるとともに、下側のケース14のシート長さ方向における寸法をシート長さ方向前方側へ箱状体一個分だけ延ばしてスペースを設けている。これによって、上側のケース10と下側のケース14とのシート長さ方向におけるラップ量を多くしてシートFが上側のケース10と下側のケース14とで案内される案内距離を長くしている。
【0037】
図6に示すように、上側のケース10は、前後の側壁10B,10Cの下端部を前後方向内側に90度折り曲げて下面がフラット面を有する水平板部10a,10cと、この水平板部10a,10cの内側端から上方に90度折り曲げられた縦板部10b,10dを備えている。また、下側のケース14は、前後壁14B,14Cの上端部を前後方向内側に90度折り曲げて上面がフラット面を有する水平板部14a,14cと、この水平板部14a,14cの内側端から下方に90度折り曲げられた縦板部14b,14dを備えている。
【0038】
また、上側の第1上箱状体11は、前後壁11B,11Bの下端部を前後方向内側に90度折り曲げて下面がフラット面を有する水平板部11a,11aと、この水平板部11a,11aの内側端から上方に90度折り曲げられた縦板部11b,11bとを備えている。そして、上側の第1上箱状体11の水平板部11a,11aの底面(下面)が、上側のケース10の水平板部10a,10cの底面(下面)よりも上方に位置するように構成されている。また、下側の第1下箱状体15が、前後壁15B,15Bの上端部を前後方向内側に90度折り曲げて下面が水平なフラット面を有する水平板部15a,15aと、この水平板部15a,15aの内側端から90度下方に折り曲げられた縦板部15b,15bとを備えている。そして、下側の第1下箱状体15の水平板部15a,15aの天面(上面)が、下側のケース14の水平板部14a,14cの天面(上面)よりも下方に位置するように構成されている。尚、上側の第2上箱状体12及び下側の第2下箱状体16も上側の第1上箱状体11及び下側の第1下箱状体15と同様に構成されている。つまり、上側の第2上箱状体12は、前後壁の下端部を前後方向内側に90度折り曲げて下面がフラット面を有する水平板部と、この水平板部の内側端から上方に90度折り曲げられた縦板部とを備えている。また、下側の第2下箱状体16は、前後壁の下端部を前後方向内側に90度折り曲げて下面がフラット面を有する水平板部と、この水平板部の内側端から上方に90度折り曲げられた縦板部とを備えている。
【0039】
さらに、一対の吸引装置6,7のうちの一方(上側)の吸引装置6は、図7に示すように、フレーム2の左右両側の上端に突設された一対のエアシリンダ8,9のピストンロッド8A,9Aの先端同士間に掛け渡された状態で取り付けられている。他方(下側)の吸引装置7は、前記一対のエアシリンダ8,9のシリンダチューブ8B,9B同士間に掛け渡された状態で取り付けられている。
【0040】
図3、図4、図5及び図7に示すように、箱状体11,12,15,16の幅方向一端部には、外部空気取入部を構成するエアマフラー18の一端(下端)が貫通接続され、該エアマフラー18から取り入れた空気を異物と共に吸引して箱状体外へ排出するための吸引用のパイプ19が該箱状体11,12,15,16の幅方向他端部に貫通接続されている。
【0041】
エアマフラー18及び吸引用のパイプ19の取り付け位置について詳述すれば、上側の2個の第1、第2上箱状体11,12の幅方向外側端部にエアマフラー18を備え、かつ、幅方向内側端部にパイプ19を備えている。また、下側の2個の第1、第2下箱状体15,16の幅方向外側端部にエアマフラー18を備え、かつ、幅方向内側端部にパイプ19を備えている。
【0042】
図7に示すように、4本のパイプ(上側に2本、下側に2本のパイプ)19に、4本の配管20〜23を介して圧力計PI,PI,PI,PIがそれぞれ接続され、一方の2本の配管20,21の圧力計PI,PIの排出口側にバルブ28A,28Bが接続されるとともに、2本の配管20,21の排出口端を1本の配管24に合流させるためのジョイント用の第1配管25が接続されている。また、他方の2本の配管22,23の圧力計PI,PIの排出口側にバルブ29A,29Bが接続されるとともに、2本の配管22,23の排出口端を1本の配管26に合流させるためのジョイント用の第2配管27が接続されている。2本の配管24,26の排出口側が一本の配管30に合流され、この配管30の終端にホッパー31が接続され、ホッパー31に吸引ブロワー(ポンプ)P1が接続されている。
【0043】
2本のエアシリンダ8,9には、切替バルブ32を介してエア供給ポンプPが接続されている。
【0044】
上側の吸引部は、前記第1及び第2上箱状体11,12と、それら上箱状体11,12にそれぞれ接続した前記エアマフラー18及び吸引用のパイプ19とから構成されている。また、下側の吸引部は、前記第1、第2下箱状体15,16と、それら下箱状体15,16にそれぞれ接続した前記エアマフラー18及び吸引用のパイプ19とから構成されている。
【0045】
以上の構成の異物除去装置によりシートに付着したカスなどの異物を除去することについて説明する。まず切替バルブ32を図7に示す中央位置から左側に移動させて切替えることによって、エア供給ポンプPからのエアをエアシリンダ8,9に供給し、エアシリンダ8,9を伸長作動させる。これにより、上側の吸引装置6を下側の吸引装置7に対して離間移動させる。この離間状態でシートFを上側のケース10と下側のケース14との間に挿入し、挿入後、切替バルブ32を右側に移動させて、エア供給ポンプPからのエアをエアシリンダ8,9に供給し、エアシリンダ8,9を短縮作動させる。これにより、上側の吸引装置6を下側の吸引装置7に接近させた初期位置に戻すことによって、上側のケース10と下側のケース14との間にシートを挟み込んだ状態にセットする。
【0046】
セットが完了してから、吸引ブロワー(ポンプ)P1を吸引作動させるとともにシートを送り出す。この吸引作動によりエアマフラー18から外気を4個の箱状体11,12,15,16に供給する。シートFに異物が付着していれば、その異物を吸引して該当するパイプ19から配管20,21,22,23を通してホッパー31へ貯留される。このとき、図6に示すように、上側の箱状体11,12(図6では第1上箱状体11のみを示している)の水平板部11a,11aの下端面又は下側の下箱状体15,16(図6では第1下箱状体15のみを示している)の水平板部15a,15aの上端面と、シートFの上面又は下面との間に僅かな隙間Hが発生している。このことから、上箱状体11,12の水平板部11a,11a(図6では第1上箱状体11のみを示している)の下端面又は下箱状体15,16の水平板部15a,15a(図6では第1下箱状体15のみを示している)の上端面が、シートFに引っ付いてシートFに大きな移動抵抗を与えることがない。
【0047】
また、図4に示すように、シート長さ方向始端側から、上側の第2上箱状体12、上側の第1上箱状体11、下側の第2下箱状体16、下側の第1下箱状体15の順に位置ずれしている。このことから、全ての箱状体12,11,16,15が幅方向に沿って一列に並んでいる場合に、移動するシートFの一箇所に吸引力が集中してしまい、シートに幅方向の大きな折曲力が作用するようなことがない。従って、シートFをスムーズに移動させることができる。
【0048】
また、幅方向で隣り合う第1、第2箱状体11,12の近接する端部どうし及び第1、第2下箱状体15,16の近接する端部どうしが、長さ方向においてラップしていることから、幅方向における箱状体11と12、15と16の近接する端部どうし間の吸引力が低下するようなことがない。このことから、シートFのどの位置に付着している異物をも確実に吸引することができる。
【0049】
また、パイプ19を幅方向内側端部に備えていれば、シート幅に関わらずシートに吸引作用を確実に発揮させることができる。これに対して、パイプ19を幅方向外側端部に備えている場合に、シートの幅方向両端が吸引部まで達していない幅であると、シートと吸引部との間に隙間が発生してしまう。このため、該隙間から吸引エアが漏れ出してしまうことになり、吸引力が大きく低下してしまうことになる。
【0050】
尚、本発明に係るシートの異物除去装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
前記実施形態では、シートの上側及び下側にそれぞれ、2個の箱状体を設けたが、3個以上の箱状体を設けてもよい。また、シートの上側及び下側にそれぞれ、同数の箱状体を設ける場合が最適であるが、場合によっては、上側と下側とで異なる個数の箱状体を設けて実施することもできる。
【0052】
また、前記実施形態では、シートの案内用の他、箱状体とシートとの接触を防ぐためのケース10,14を設けたが、ケース10,14を省略して箱状体のみで実施することもできる。
【0053】
また、前記実施形態では、上側の第1及び第2上箱状体11,12及び下側の第1及び第2下箱状体15,16の4個すべてを、発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれして配置したが、少なくとも1個の箱状体を、発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれして配置する構成であってもよい。尚、上側の第1及び第2上箱状体11,12が発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれしないで一直線状に並ぶように配置してもよい。また、下側の第1及び第2下箱状体15,16も同様に、発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれしないで一直線状に並ぶように配置してもよい。
【0054】
また、前記実施形態では、上下の吸引装置6,7が発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれして配置したが、位置ずれしないで同じ位置に配置してもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、パイプ19を幅方向内側端部に備え、かつ、マフラー18を幅方向外側端部に備えたが、これとは反対に、パイプ19を幅方向外側端部に備え、かつ、マフラー18を幅方向内側端部に備えてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1…異物除去装置、2…フレーム、2A,2B,2C,2D…フレーム部、3,4…挟持ロール、5…除去手段、6,7…吸引装置、8,9…エアシリンダ、8A,9A…ピストンロッド、8B,9B…シリンダチューブ、10,14…ケース、10A…天井壁、10B,10C…前後壁、10a,10c…水平板部、10b,10d…縦板部、11,12,15,16…箱状体、11A…天井壁、11K,12K…吸引開口部、11B…前後壁、11C…左右壁、11a…水平板部、11b…縦板部、13,17…スペーサ、14A…底壁、14B,14C…前後壁、14a,14c…水平板部、14b,14d…縦板部、15A…底壁、15K,16K…吸引開口部、15B…前後壁、15C…左右壁、15a水平板部、15b…縦板部、18…エアマフラー、19…パイプ、20〜27,30…配管、28,29…バルブ、31…ホッパー、32…切替バルブ、100…タンデム押出機、101…発泡体、102…サーキュラーダイ、103…冷却マンドレル、104…巻取り機、105…展開ロール、106…クロスガイダー、107…ニップロール、108…Sロール、109…ガイドロール、110…巻取りロール、111…切断装置、F…シート、H…隙間、P…エア供給ポンプ、P1…吸引ブロワー、PI…圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡樹脂シートに付着した異物を除去する除去手段を備えたシートの異物除去装置において、
前記除去手段は、発泡樹脂シートの表裏両側に付着した異物を吸引除去すべく、発泡樹脂シートの表裏両側に配置した一対の吸引装置を備え、該吸引装置は、発泡樹脂シートに対して吸引力を作用させて前記異物を吸引する吸引部であって、発泡樹脂シートの幅方向に沿って所定長さを有して幅方向に複数並設される吸引部を備えていることを特徴とするシートの異物除去装置。
【請求項2】
前記複数の吸引部のうちの少なくとも1つは、他の吸引部に対して発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれして配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシートの異物除去装置。
【請求項3】
前記複数の吸引部は、隣り合う吸引部どうしが発泡樹脂シートの長さ方向において位置ずれし、かつ、隣り合う吸引部の近接する端部どうしが、長さ方向においてラップしていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシートの異物除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−27799(P2013−27799A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163411(P2011−163411)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【出願人】(510218870)株式会社積水化成品天理 (9)
【Fターム(参考)】