説明

シートの背を進行方向に向けた乗用自動車

【課題】 乗用自動車が衝突事故のとき、同乗者が被害を受けやすい、その被害をより少なくかつ小さくするにはどうすればよいかが課題です。
【解決手段】 シートと身体が常に密着していると基本的に防ぐことは可能です、そのためにシートを前後逆に、即ち進行方向に背中をむけて座れるシートを装備します、またこの逆シートにすることによって有効な慣性エネルギー吸収装置の取り付けが可能となり、課題の解決へとつながります。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は乗用自動車のシート(座席)に関するものです。 事故被害予防対策としてシートの設置方法とシート別慣性エネルギー吸収装置に関するものです。
【背景技術】
【0002】
自動車のシートの殆どは運転席同様進行方向を向いて設置され、用に供されています。
走行時の事故による受傷致死対策として、安全運転指導の他、装備的にはヘッドレスト、シートベルト、チャイルドシート、エアバッグなどがあるだけです。
【0003】
しかし自損事故のみならず貰い事故を含め悲惨な大小の事故は毎日どこかで起きているのが現状です。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は自動車事故の際、同乗者の被害率が一番高い、それら同乗者の受ける被害をもっと少なくする方法がないものかが課題です、換言すれば、自動車は颯爽と、格好良くが外観のモットーですが、事故における人的被害の最少化に軸足を置いて、見て呉れや過去の慣習に囚われずに解決する方法を見出すのが課題です。
【課題を解決するための手段】
【0005】
自動車の性能はここ四半世紀で驚愕するほどその性能が向上しております、また急速に道路も整備され自動車はより早く、より遠く、より手軽に利用されるようになってきております、がしかし運転者の技量や集中力、注意力は以前のまま、運転者の増加(含む高齢者)、一人一台化の傾向による車両の増加、さらに制限速度のアップ傾向などなどがあり、事故の絶対件数の増加と重大事故の発生率が世界的に高くなっております。
運転する者は自損事故を起こさぬように細心の注意をもってハンドルを握るのは当然といえましょう、しかし予見し難い貰い事故から同乗者を如何にすれば守れるのか考えたとき、あまりにも術がなさすぎることに驚かされます。
【0006】
運転手は運転時に正しい姿勢で着座しハンドルを持ちます、そして同乗者と同じくシートベルトをしめます、車内ではエアーバッグを除いて身を守る術はこれですべてです。
しかし運転手は常に状況を把握しています、そして事故を感じたその瞬間、良し悪しとは別に本能的に自分の身を守る動作、即ち危険からの回避をいたします。一方同乗者は何もなす術が無いままに、ただ振り回されているだけなのです。
【0007】
何も出来ない同乗者のために、もっと安全性の高い車内にするにはどうしたら良いのだろうか、1つには、シートを前後逆に設置することだと考えます、即ち現在のシートは殆どが運転席と同じ進行方向に向けて設置されております、そこで運転席はそのままに、他のシートを180度回転させ進行方向に背中を向けて座るように設置します(以後安全形式と呼びます)。またこれから記述するシートは特定しない限り運転席を除くものとします。
【0008】
2つには、衝突の際、自動車が受ける衝撃とは別に個々のシートと同乗者に慣性のエネルギーが発生します、そのエネルギーをシートの背面クッションとシート下のスプリングで吸収させます、シート背面にある従来のクッションに加えて例えば化学素材である低反発弾性材を採用してより多くのエネルギーを吸収させます。
【0009】
3つめにはシートと座位調節レールの間にスライダーを挿入し、座位調節をスライダーとレールの間で行います、スライダーに載っているシートとスライダーはスプリングで固定し、衝突の時にはこのスプリングがシートの慣性エネルギーを吸収します。結論として、同乗者の身体はシートに沈み且つシートはスプリングで引きとどめられ、合わせて大きな慣性エネルギーを吸収することが出来ます。
【0010】
これらのエネルギー吸収方式は安全形式シートだからこそ出来るものです。衝突によって発生した同乗者個々の慣性エネルギーをそれぞれのシートで吸収させます、こうすると当然前方へ身体が飛ぶことはなくなるし頭部の激突も無くなります。
後部シートの場合でも同様と考えます、又追突された場合でも頚部の屈曲,伸展が従来と順序が逆になるので、むち打ちになりにくいと考えます
【0011】
この安全形式即ち進行方向を背にする座り方には、一部の新幹線や列車(常備及び人為)、地下鉄、バス、ケーブルカー、外国のタクシーなどの一部にみられるのですが、これらはいずれも事故被害対策用ではありません、しかし乗り心地としては違和感もなく、慣れると全く問題はないと考えます。
【0012】
乗用自動車も、大きさ、型式など,多岐にわたっているので、新形式シートにするのにも改造の必要のあるものないもの、ドアの改造の必要のあるものないもの色々です、さらにレール新設の必要あるもの、スライダーの開発、有効なスプリングの固定法など周辺の考察や作業が残ります。
【発明の効果】
【0013】
効果の表われる良い面としては
1.前後の衝突に対してはシートベルトが不要になるのかも知れません。
2.前後の衝突に対してはチャイルドシートも不要になるのかも知れません。
3.前後の衝突でも前のめりにならない、身体が浮き上がりません。
4.前後の衝突はシートから身体が離れません。
5.前後の衝突ではシートに身体がさらに沈みます。
6.外の景色は目に飛び込むのではなく、流れるので目が疲れません。
7.助手席では運転手と顔を見合わせながら会話が出来ます。
8.追突されたときでも、頚部の屈曲、伸展が従来と逆になるので、むち打ち症になって も症状は、軽く済みます。
【0014】
若干懸念される点
1.運転者と同乗者は通常外観を共有できないことです。
2.進行方向に背をむけているので生理的に嫌がる人もおるようですが時間の問題でしょ う。
3.シートの設置、配置関係で現在と比較して車内のコミュニケーションが取りにくいと 感ずる人もおるようですがこれも時間の問題でしょう。
【産業上の利用可能性】
【0015】
同乗者のリスクを考えれば、また同乗者の幸せを考えれば、直ぐにでも取り組める課題です。シートを取り付けるためには、車体の一部の変更、それに伴う外装の変更は発生するでしょうが、シートの変更だけで実現可能な車種もありそうです。
まずは、安全形式シートの装備を、次に慣性エネルギー吸収システムと二段階で行うのも一案でしょう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同乗者の事故被害予防対策として進行方向に背中を向けたシートを一つ以上設置した乗用自動車の製造と販売。
【請求項2】
[請求項1]のシート(1)とシートの前後調節用レール(2)との間にスライダー(3)を挿入し、このシートとスライダー間にスプリング(4)を固定し、この四者間で前後調節と衝突時シート単位に発生する慣性のエネルギーの吸収を行うシステムの保護。

【公開番号】特開2008−37407(P2008−37407A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−234552(P2006−234552)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(591055160)
【Fターム(参考)】