説明

シートフィーダ内でシートを部分的に重ね、該部分的に重ねられたシートを印刷機に提供する方法および装置

【課題】部分的に重なったシートの列を印刷機へ提供すること。
【解決手段】シートフィード装置は、部分的に重なったシートの列を印刷機へ搬送するためのコンベア要素を備えている。コンベア要素は、互いに枢着された少なくとも二つの部分を備え、これら二つの部分のうちの一つが部分的に重なったシートの列の供給源に枢着されている。コンベア要素は、二つの部分が枢着されていることによって印刷機から引っ込むことができるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートフィーダ内でシートを部分的に重ねる方法および装置に関するものである。本発明はまた、部分的に重ねられたシートを印刷機に提供する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一巻きの紙ロールから長尺印刷用紙を取り出し、この長尺印刷用紙を個々のシートに切断し、次いで切断されたシートを部分的な重ね状態すなわち板葺き(shingled)状態に配列するのに使用されるシートフィード装置が知られている。従来は、このような装置における板葺き状態のシートの列のうちの先頭シートは、部分的に重ねられたシートの列の一番下にあった。換言すれば、各切断されたシートの後縁の上に、シートフィード装置から切り出された次のシートの前縁が重なっていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、印刷機は、板葺き状態のシートの列のうちの先頭シートが、重ねられたシートの列の一番上にある「逆板葺き状態(reverse shingle)」でシートの列を受け取るように構成されている。換言すれば、各切断されたシートの後縁が、シートフィード装置から切り出された次のシートの前縁上に重なっている状態である。少なくともコストの点から言えば、印刷機に対する切断されたシート供給源として一巻きの紙ロールを用いることが望ましい。
【0004】
過去のシートフィード装置においては、印刷機に装填されるときに、切断されたシートをシートの列から1枚ずつ拾い上げるように動作する真空フィーダを備えることによって「逆板葺き状態」を得ていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、印刷機に使用するのに好適なシートフィード装置および方法に関するものである。特に本発明は、第1コンベヤ要素、第2コンベヤ要素およびシート撓め要素を有するシートフィード装置を含むものである。
【0006】
上記第1コンベヤ要素は、シート供給源からの1枚のシートを第1の速度で搬送する。上記第2コンベヤ要素は、上記第1コンベア要素の近傍に位置決めされ、この第1コンベア要素から放たれるシートを、上記第1コンベア要素の上記第1の速度よりも低速の第2の速度で搬送する。
【0007】
上記シート撓め要素は、上記シートが上記第1コンベア要素から上記第2コンベア要素に移動する際に上記シートに係合するように位置決めされている。このシート撓め要素は、上記シートに係合して、このシートの後縁と上記第2コンベア要素との間に隙間を生成させる。次に上記第1コンベア要素からの後続のシートの前縁が上記隙間内にフィードされる。後続のシートの速度は、現在上記第2コンベア要素上にある、隙間を備えたシートの速度よりも高速の第1コンベア要素の速度であるため、後続のシートの前縁が上記隙間内にフィードされる。
【0008】
上記シート撓め要素は、1個のシートフィードローラと、1個の整形ローラとを備えることができる。これらのローラは協働して上記隙間を生成させる。上記シートフィードローラは、上記シートを上記第2コンベア要素にフィードするのをアシストすることができる。上記シートフィードローラと上記整形ローラとは、シートに順次係合するように位置決めされている。開示された実施の形態に関しては、上記整形ローラが上記シートフィードローラの後でシートに係合するように位置決めされている。開示された実施の形態においては、シートフィードローラと整形ローラとが協働してシートをカールさせて、このシートの後縁と第2コンベア要素との間に上記隙間を生成させる。
【0009】
さらに、上記整形ローラは、全体として上記シートフィードローラの上方に位置決めされているが、整形ローラの下縁はシートフィードローラの上縁よりも下方にある。シートフィードローラは、整形ローラの直径よりも大径とすることができる。
【0010】
本発明はまた、シートフィード装置におけるシートの列中のシートを部分的に重ねる方法を提供する。この方法は、シート供給源から1枚のシートを搬送し、このシートを撓めてシートの後縁とコンベヤ手段との間に隙間を生成させ、後続のシートの前縁を上記隙間内にフィードすることを含む。
【0011】
上記シートの撓めは、前述のように、上記シートを少なくとも二つのローラに順次フィードすることによって行なわれ、本発明の一つの実施の形態においては、上記シートを1個のシートフィードローラと1個の整形ローラとに順次通してフィードすることによって行なわれる。これらのローラは協働して、上記シートをカールさせて上記隙間を生成させる。
【0012】
後続シートの前縁を上記隙間内にフィードするために、上記シートは第1コンベア要素から第2コンベア要素へ搬送される。前述のように、上記第2コンベア要素は上記第1コンベア要素の速度よりも低速の速度を有する。したがって、上記シートが上記第2コンベア要素上に乗ると、このシートの速度は、第1コンベア要素からの後続シートの速度よりも低速になる。この故に、後続シートの前縁が上記隙間内にフィードされる。
【0013】
本発明はまた、部分的に重なったシートの列を印刷機へ搬送するシートフィード装置を提供するものである。この装置は、上記部分的に重なったシートの列を印刷機へ搬送するためのコンベア要素を備えている。このコンベア要素は、互いに枢着された少なくとも二つの部分を備え、これら二つの部分のうちの一つが上記部分的に重なったシートの列の供給源に枢着されている。
【0014】
この装置はまた、部分的に重なったシートの列の供給源に対する枢着点の周りで上記コンベア要素を昇降させるために、上記コンベア要素に連結されたリフティング要素を備えている。このリフティング要素は油圧リフト部材であり得る。本発明の一つの実施の形態においては、上記リフティング要素が、上記コンベア要素の、上記部分的に重なったシートの列の供給源に枢着された部分に連結されている。
【0015】
動作時には、上記コンベア要素が下降位置にあるときに、このコンベア要素の、上記部分的に重なったシートの列の供給源に枢着された部分から遠い側の部分が、これら部分間の枢着点の周りで上方に旋回せしめられることが可能である。
【0016】
本発明をよりよく理解するために、かついかにして効果を奏するのかを明瞭に示すために、本発明の好ましい実施の形態を示す図面を参照して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は逆板葺き状態のシートの列を印刷機にフィードするシートフィード装置の概略図である。
【図2】図2は従来のシートフィード装置からの板葺き状態に重ねられたシートの列を示す図である。
【図3】図3は逆板葺き状態に重ねられたシートの列を生成させるための本発明によるシートフィード装置の概略図である。
【図4】図4は図3の4−4線に沿った断面図である。
【図5】図5は本発明により提供された、「逆板葺き状態」に重ねられたシートを示す概略図である。
【図6】図6は本発明により提供された、「逆板葺き状態」に重ねられたシートを示す概略図である。
【図7】図7は本発明により提供された、「逆板葺き状態」に重ねられたシートを示す概略図である。
【図8】図8は本発明により提供された、「逆板葺き状態」に重ねられたシートを示す概略図である。
【図9】図9は本発明により提供された、「逆板葺き状態」に重ねられたシートを示す概略図である。
【図10】図10は本発明により提供された、「逆板葺き状態」に重ねられたシートを示す概略図である。
【図11】図11は印刷機に対して下降位置にある、シートフィード装置のコンベア部分の概略図である。
【図12】図12は印刷機に対して下降・引っ込み位置にある、シートフィード装置のコンベア部分の概略図である。
【図13】図13は印刷機に係合された位置にある、シートフィード装置の別のコンベア部分の概略図である。
【図14】図14はコンベア部分が印刷機に対して上昇・引っ込み位置にある、図13の装置の概略図である。
【図15】図15は本発明により提供されたフェストゥーンの概略図である。
【図16】図16はシートフィード装置の構成要素間を走行する長尺印刷用紙を方向変換させるための装置の要部を示す斜視図である。
【図17】図17は図16の装置の概略図である。
【図18】図18はシートフィード装置のレイアウトの一例を示す平面図である。
【図19】図19は図18の装置の正面図である。
【図20】図20はシートフィード装置のレイアウトの一例を示す平面図である。
【図21】図21は図20の装置の正面図である。
【図22】図22はシートフィード装置のレイアウトの一例を示す平面図である。
【図23】図23は図22の装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1にシートフィード装置10が全体的に開示されている。図示されたシートフィード装置10は、紙ロール12と、この紙ロール12から長尺印刷用紙16を受け取り、この長尺印刷用紙を個々のシートに切断するハウジング14と、切断されたシートを、さらなる加工のために、切断されたシートを逆板葺き状態の一連のシート群20として搬送するコンベヤ18とを備えている。図1に開示された実施の形態は、逆板葺き状態のシートの列20が印刷機22に搬送される。ハウジング14は、逆板葺き状態のシートの列20作成のために長尺印刷用紙16を切断するカッタ24と、後述するように、切断されたシートを部分的に重ねるための、符号26で示されたシート撓め要素を備えることができる。
【0019】
図1を参照すると、紙ロール12は、28においてハウジング14内にフィードされる長尺印刷用紙16を提供する。長尺印刷用紙16は一連のローラ30を介してハウジング14に搬送される。ハウジング14内で、長尺印刷用紙16は、この長尺印刷用紙16をカッタ24に案内するシートフィードローラ34に対し、別の一連のローラ32を介して搬送される。紙ロール12およびローラ30は、別のハウジング35内に収容することができる。ローラ30および32、ならびに第1シートフィードローラ34は、紙ロール12から長尺印刷用紙16を制御された速度でカッタ24に搬送するように作動される。
【0020】
図3から特に明らかなように、ハウジング14内のローラ32および第1シートフィードローラ34は、シートフィード装置10のコンベヤ18の第1コンベア要素36に長尺印刷用紙16をフィードする。この第1コンベア要素36は、長尺印刷用紙16の制御された送込みを受ける複数の高速移動ベルト38(図4参照)からなるテーブルを備えている。ベルト38の表面速度は、長尺印刷用紙16の制御された送込み速度よりも僅かに速く、これにより、ベルト38上の長尺印刷用紙の部分40が第1コンベア要素36のベルト38の速度を拾うのでオーバーフィード効果が生じる。長尺印刷用紙16の所定の長さが高速移動ベルト38上にフィードされると、長尺印刷用紙はカッタ24によって切断される。切断されたシート42は、長尺印刷用紙16から離れ、高速移動ベルト38そのままの速度に加速される。これによりカッタ24は、コンベヤ18に対する切断されたシート42の供給源となる。
【0021】
シートフィード装置10のコンベヤ18は、少なくとも第1コンベア要素36のベルト38の速度に比較して低速の移動ベルト46からなる第2コンベア要素44(図4参照)をも備えている。
【0022】
図2(従来技術)に示されているように、公知のシートフィード装置においては、切断されたシート242が、第1コンベア要素の高速移動ベルトから第2コンベア要素244の低速移動ベルト246に、矢印249の方向に移動して搬送される。シートは低速移動ベルト246からなるテーブル上に移動するので、低速移動ベルト246の速度に合わせて減速する。カッタで切断されたばかりの後続のシートは、なおも高速移動ベルト上を移動している。後続のシートが低速移動ベルト246に搬送されるときには、その速度は一時的に、先に低速移動ベルト246上に移動したシートの速度よりも速い。このことは、カッタからフィードされる後続のシートが低速移動ベルト246上のシート上に部分的に重なるのを可能にし、その結果、後続のシートのそれぞれの前縁251が、符号250におけるように、先にフィードされたシートのそれぞれの後縁253上に乗ることによって、部分的に重なったシート252の列220を形成することになる。換言すれば、部分的に重なったシート252のそれぞれは、その後縁253上に、カッタからフィードされた後続のシートの前縁が重なることになる。
【0023】
しかしながら、例えば、図1における印刷機22は、後続のシートのそれぞれの前縁51が、例えば図3の符号50におけるように、先にフィードされたシートのそれぞれの後縁53の下に潜り込んでいる状態での、部分的に重なったシート52の列20を受け取るように構成されている。シート52の列20における「逆板葺き状態」を達成するために、図3ならびに図5〜図10に示されているように、シート撓め要素26が設けられている。
【0024】
このシート撓め要素26は、切断されたシート42が、第1コンベア要素36から第2コンベア要素44に移動するときに、上記切断されたシート42に係合するように位置決めされている。特に、図3およびさらに詳細には図5〜図10に示されているように、撓め要素26は、特定の切断されたシート54に係合して、このシート54の後縁58と第2コンベア要素44との間に隙間56を生じさせる。この隙間56は、後に詳述されているように、後続のシート62の前縁60を内部に受け入れるのに十分な大きさを有する。
【0025】
特に図5〜図10を参照すると、シート撓め要素26は、第2シートフィードローラ64と整形ローラ66とを備えることができる。第2シートフィードローラ64は、図4に示されているように、低速移動ベルトと同じ駆動軸68の周りを回転することができる。第2シートフィードローラ64と整形ローラ66とは、第1コンベア要素36の高速ベルト38から第2コンベア要素44の低速ベルト46にシート54が移動するときに、シート54に順次係合するように位置決めされている。開示された実施例に関しては、整形ローラ66は、第2シートフィードローラ64よりも後にシート54に係合するように位置決めされている。また、整形ローラ66は、第2シートフィードローラ64よりも上方にあるが、その下縁70は第2シートフィードローラ64の上縁72のレベルよりも下方に位置決めされている。これにより、後述するように、シート54が撓められて隙間56を生じさせる。また、図示のように、第2シートフィードローラ64の直径は、整形ローラ66の直径よりも大きい。第2シートフィードローラ64の上方でかつ整形ローラ66の近傍には、規制ブロック67が設けられて、シート54に生じる撓みの量を規制している。
【0026】
ここで、シートを部分的に重ねるためのシートフィード装置10の動作および方法について、図5〜図10を参照して説明する。特に図5に示されているように、第1コンベア要素36の高速移動ベルト38からのシート54が第2コンベア要素44の低速移動ベルト46に実質的に搬送されても、シート54の後部74は、依然としてシート撓め要素26の第2シートフィードローラ64および整形ローラ66を通過している。シート54のさらに多くの部分が第2コンベア要素44の低速移動ベルト46にフィードされると、シート54の速度は低速移動ベルト46の速度に一致するように減速される。このシート54全体が第2コンベア要素44の低速移動ベルト46上に乗ると、このシートの速度はベルト46の速度に一致する。しかしながら、図5において、シート54の速度が減速されるので、その速度は、第1コンベア要素36の高速移動ベルト38上の、後続のシート62よりも遅くなる。シート54が整形ローラ66および第2シートフィードローラ64を通過するときに、そしてこれらのローラの相対位置によって、図6に示すように、シート54の後縁58が第2コンベア要素44から離れるように撓められる。特に、シート54が第2シートフィードローラ64および整形ローラ66を通過するときに、これらが協働してシートをカールさせ、後縁58に隙間56を形成させる。シート54のカール可能な量は規制ブロック57により規制することができる。シート54の後縁58は、ローラ64と規制ブロック57との間に設けられた空間の範囲内でカールすることができる。
【0027】
第1コンベア要素36からの後続のシート62は、このコンベア要素の高速ベルト38の速度で移動する。このより速い速度により、後続のシート62が、シート54の後縁58の撓みによって生成された隙間56内に侵入するように駆動され、その結果、シート54が後続のシート62上に部分的に重なる。シート62が第2コンベア要素44の低速移動ベルト46上に徐々にフィードされるのにつれて、シート62は依然としてより高い速度を保っているので、シート62がさらに隙間56内にフィードされる(図9参照)。図10に示されているように、後続のシート62の一部分は依然として第1コンベア要素36の高速移動ベルト38に係合しているので、シート62は、第2コンベア要素44の低速移動ベルト46上に完全に乗って、シート54と同一の速度になるまで、隙間56内に徐々にフィードされる。
【0028】
この進行動作、すなわち、シート供給源すなわちカッタ24からの切断されたシートを搬送し、特定のシート54を撓めて、このシート54の後縁58と搬送手段、すなわちコンベヤ18との間に隙間56を生じさせ、後続のシート62の前縁60を、生成された隙間56内にフィードするという動作は、各シートについて反復される。この方法で、「逆板葺き状態」で矢印49の方向に重ねられたシート52の列20が生成される。図3に示されているように、ストッパホイール76が設けられて、逆板葺き状態のシート52の列20を安定させ、かつ第1コンベア要素36の高速移動ベルト38から持ち越して来るかも知れない余分な速度を鈍らせる。
【0029】
図1に示されているように、シートフィード装置10は、逆板葺き状態のシート52の列20を印刷機22にフィードする。しかしながら、シートを何回も印刷機22に通すことが必要になる場合がある。例えば、多色印刷が要求されるときには、印刷機22に何回も通すことが必要になる。
【0030】
上述したように、シートフィード装置10からシートが印刷機22内にフィードされると第1回目の印刷が行なわれる。印刷機22を通る2回目の通路を形成するために、2回目の通路(または3回目以降のいずれかの通路)は、すでに切断されかつ1回目の通路を通って印刷機22内にフィードされたシートで形成しなければならない。その場合は、第2コンベア要素44を印刷機22から引っ込めることが望ましい。
【0031】
図1、図11および図12に示されているように、シート撓め要素26から逆板葺き状態のシート52の列22を印刷機22に搬送する第2コンベア要素44は、部分的に重なり合っているシートの上流側供給源(すなわちハウジング14)に78において枢着されている。さらに、第2コンベア要素44は、互いに枢着された複数の部分によって構成することができ、図示の実施の形態では、84において互いに枢着された少なくとも二つの部分80,82を備えている。
【0032】
部分的に重なっているシート52の列20の上流側供給源に対する枢着点78の周りで第2コンベア要素44を昇降させるために、例えば油圧リフトのようなリフト部材86を第2コンベア要素44に連結することができる。この実施の形態において開示されているリフト部材86は、上流側供給源に枢着されている第2コンベア要素の部分82に連結されている。
【0033】
したがって、印刷機22を通る2回目の通路が必要な場合には、コンベア要素44が(図11に示されているように)下降せしめられる。重なり合っているシートの上流側供給源に枢着されているコンベア要素44の部分82から突き出ているコンベア要素44の部分80は、枢着点84の上方に旋回せしめられる(図12に示されているように)。これによって、シートフィード装置の第2コンベア要素44を印刷機22から引っ込めることができる。
【0034】
図13を参照すると、第2コンベア要素44を引っ込めるための別の実施の形態においては、リフト部材86が油圧シリンダ90と支柱92とを備えている。シリンダ90は、ハウジング14と第2コンベア要素44の部分82とにそれぞれ固定されたピヴォットマウント94と95との間に延びている。支柱92は、ハウジング14と第2コンベア要素44の部分80とにそれぞれ固定されたピヴォットマウント97と98との間に延びている。
【0035】
ここで図14を参照すると、油圧シリンダ90を延伸することによって、第2コンベア要素44を印刷機22から引っ込めることができる。このような油圧シリンダ90の延伸により、第2コンベア要素44の第2部分82が枢着点78の周りで旋回せしめられる。この動作が生じると、支柱92は、第2コンベア要素44の第1部分80を枢着点84の周りで下方へ旋回させる機能を果たす。シリンダ90が完全に延伸すると、第2コンベア要素44は整然と折り畳まれ、ハウジング14に対する所定位置にしっかりと保持される(図14参照)。
【0036】
図15を参照すると、前述のように、紙ロール12および複数のローラ30を収容するハウジング35が設けられている。複数のローラ30は、紙ロール12から長尺印刷用紙16を引き出し、この長尺印刷用紙16をカッタ24に案内する。紙ロール12とカッタ24との間に、隔離させる緩衝帯100を設けるのが効果的である。この緩衝帯100は、カッタ24の対する長尺印刷用紙16の供給速度および張力を安定させることができ、かつ特にロール12の起動および停止時のロール12の慣性を吸収することができる。
【0037】
一つの実施の形態においては、緩衝帯100がフェストゥーン(festoon)102の形態でハウジング35内に設けられている。このフェストゥーン102は、不動の支持部材104に固定された一連の上部ローラ30aと、キャリッジ106に取り付けられた一連の下部ローラ30bとを備えている。長尺印刷用紙16は、上部ローラ30aと下部ローラ30bとを交互に通ってフィードされる。キャリッジ106は、上方位置108と下方位置106との間で移動可能である。キャリッジ106は、不動の支持部材104と基台105との間に延びる垂直レール112に沿って摺動する。キャリッジ106を下方位置110に向かって付勢するための、引っ張りスプリングのような付勢手段114が設けられている。
【0038】
動作時には、長尺印刷用紙16がフェストゥーン102の上部ローラ30aと下部ローラ30bとの間に逐次延びていることにより、カッタ24に対する長尺印刷用紙16の緩衝された供給が行なわれる。さらに、フェストゥーン102の付勢手段114により、例えばロール12が空になった場合であっても、長尺印刷用紙16の所望の張力が維持される。
【0039】
装置10の種々の部品を印刷機22の正面に取り付けるには、相当の長さの床のスペースが必要であることが理解される。このことは、長尺印刷用紙16がロール12から印刷機22まで直線的に走行するように機器が配置されている場合には特に事実となる。
【0040】
直線的以外の機器の配置構造が望ましい場合もある。このような配置構造では、長尺印刷用紙16の走行方向を、例えば90度変えることが要求される。
【0041】
図16および図17を参照すると、シートフィード装置10が、長尺印刷用紙16の走行方向を変えるための方向変換バー120をさらに備えている。一つの実施の形態においては、この方向変換バー120は、パーフォレーション126を備えた外表面を有する中空パイプ122を備えている。このパイプ122は、その両端に蓋が施され、かつパイプ122の内部がシール130によって、中央室128と一連の外側室129とに長さ方向に分割されている。
【0042】
中央室128および外側室129には、圧力調整されたエアの供給源に順次連結された主配管136に連結された複数のダクト132を通ってエアが供給される。これらダクト132は、外側室129のうちのいずれか一つまたは複数にエアを供給したり止めたりするためのバルブ134が設けられている。
【0043】
動作時には、方向変換バー120は、長尺印刷用紙16の面と同一平面内において長尺印刷用紙16の進入方向に対して45度の方向に向けられている。長尺印刷用紙16は方向変換バー120の外表面124を回って走行することにより、方向変換バー120を後にする長尺印刷用紙16の方向が進入方向に対して90度曲げられる。パーフォレーション126からのエアの噴出が、長尺印刷用紙16と方向変換バー120の外表面124との間のクッションを提供するので、長尺印刷用紙16は方向変換バー120上をスムーズに滑ることができる。上記バルブ134は、方向変換バー120の外表面124に対する長尺印刷用紙16の幅および位置に応じてオン・オフされる。
【0044】
ここで図18から図23を参照すると、方向変換バー120を使用した種々の機器配置レイアウトが可能である。
【0045】
図18および図19には、方向変換バー120がハウジング14とハウジング35との間の水平面に設けられた90度変換レイアウトの平面図および正面図がそれぞれ示されている。
【0046】
図20および図21には、2本の方向変換バー120がハウジング14とハウジング35との間の水平面に設けられた180度変換レイアウトの平面図および正面図がそれぞれ示されている。
【0047】
図22および図23には、2本の方向変換バー120がハウジング14とハウジング35との間の垂直面に設けられた180度変換レイアウトの平面図および正面図がそれぞれ示されている。
【0048】
当業者にとっては、本発明の種々の変形が直ちに明らかになるであろうことが理解され、本発明はそのような変形を含むことを意図するものである。
【符号の説明】
【0049】
10 シートフィード装置
12 紙ロール
14,35 ハウジング
16 長尺印刷用紙
18 コンベヤ
20 シートの列
24 カッタ
26 シート撓め要素
30,32 ローラ
34 第1シートフィードローラ
36 第1コンベヤ要素
42 切断されたシート
44 第2コンベヤ要素
54,62 シート
64 第2シートフィードローラ
66 整形ローラ
80,82 第2コンベヤ要素の部分
102 フェストゥーン
120 方向変換バー
122 中空パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的に重なったシートの列を印刷機へ搬送するシートフィード装置であって、
(a)前記部分的に重なったシートの列を印刷機へ搬送するためのコンベア要素を備え、該コンベア要素は、互いに枢着された少なくとも二つの部分を備え、該二つの部分のうちの一つが前記部分的に重なったシートの列の供給源に枢着され、
(b)該部分的に重なったシートの列の供給源に対する枢着点の周りで前記コンベア要素を昇降させるために、前記コンベア要素に連結されたリフティング要素を備えており、
前記コンベア要素が下降位置にあるときに、該コンベア要素の、前記部分的に重なったシートの列の供給源に枢着された部分から遠い側の部分が、これら部分間の枢着点の周りで上方に旋回せしめられることを特徴とするシートフィード装置。
【請求項2】
前記リフティング要素が、前記コンベア要素の、前記部分的に重なったシートの列の供給源に枢着された部分に連結されていることを特徴とする請求項1記載のシートフィード装置。
【請求項3】
前記リフティング要素が油圧リフト部材であることを特徴とする請求項2記載のシートフィード装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−196819(P2009−196819A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−137940(P2009−137940)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【分割の表示】特願2003−578264(P2003−578264)の分割
【原出願日】平成15年3月20日(2003.3.20)
【出願人】(504357325)マグナム マニュファクチャリング リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MAGNUM MANUFACTURING LIMITED
【Fターム(参考)】