説明

シート処理装置及び画像形成装置

【課題】搬送誤差やシートの搬送方向長さのバラツキがある場合でも重ね合わせた複数枚のシートを確実に整合することのできるシート処理装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】引き込みベルトローラにより、中間処理トレイ138に搬送されたシートS1,S2のうちの最下位のシートS1から順次移送して後端ストッパ150に当接させる。そして、引き込みベルトローラ158の移送方向上流に位置し、中間処理トレイ138に搬送されたシートS1,S2を移送して引き込みベルトローラ158に搬送するパドル131を、引き込みベルトローラ158により移送されたシートS1が後端ストッパ150に当接するまでは、次のシートS2が引き込みベルトローラ158に達することがないように駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置及び画像形成装置に関し、特に先行シートが処理されている間に待機させた後続シートを整合するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置においては、画像を形成したシートに対し綴じ処理、ソート処理等の処理を行うシート処理装置を備えたものがある。このようなシート処理装置としては、装置内に中間処理トレイを設け、この中間処理トレイに複数のシートを積載してシート束を形成し、このシート束に対して綴じ処理等の処理を行うものが広く用いられている。
【0003】
そして、このようなシート処理装置では、シートに綴じ処理を施す場合、ある一定の処理時間が必要になる。ここで、この処理時間は、画像形成装置の画像形成速度にも依存する部分はあるが、シートが排出される間隔内で綴じ処理を完了させるのは困難であるため、シートの排紙間隔を越えるのが一般的である。このため、綴じ処理を行う場合には、画像形成を中断させる必要があるが、このように画像形成を中断させると、生産性が低下する。
【0004】
そこで、従来のシート処理装置においては、例えば中間処理トレイで先行シート束に対する綴じ処理が行われている間、後続シート束の先頭の数枚を一時待機させるバッファリング処理(待機処理)を行うようにしたものがある。そして、先行シート束に対する綴じ処理が終了すると、先行シート束を排出し、この後、一時待機していた数枚のシートを重ね合わせた状態で中間処理トレイに搬送するようにしている。これにより、画像形成を中断することなくシートに処理を施すことができる。
【0005】
しかし、画像形成速度が速く、排出されるシートの間隔が狭い画像形成装置の場合には、綴じ処理だけではなく、整合処理においても、シート排紙間隔内で完了させることが困難になる。そこで、従来、1枚ずつ中間処理トレイに搬送していたシートをバッファリング処理し、シートを複数枚ずつ中間処理トレイに搬送することで、画像形成装置からの出力を中断することなくシートに整合処理を施すようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0006】
このような従来のシート処理装置において、シートを処理する際、まず中間処理トレイで先行シート束に対して綴じ処理が行われている間、バッファローラに先行シートを巻き付け、先行シートを一時待機させる。そして、後続シートがバッファローラに到達するタイミングで、一時待機していたバッファローラの回転を再開し、バッファローラに巻き付けられた先行シートと後続シートとを重ね合わせる。このとき、後続シートの搬送方向上流端が先行シートの搬送方向上流端よりも搬送方向に所定量先行した状態で重ね合わされる。以下、同様にして所定枚数のシートを、上位シートの搬送方向上流端が下位シートの搬送方向上流端よりも搬送方向に所定量先行した状態で重ね合わせる。
【0007】
この後、先行シート束に対する綴じ処理が終了し、先行シート束が排出されると、重ね合わされたシート束は、排出ローラにより中間処理トレイに排出され、束排出ローラに受け渡される。そして、シート束後端が排出ローラを通過すると、この際、圧接状態にある束排出ローラが逆回転し、この後、束排出ローラが離間することにより、シート束は中間処理トレイの後端ストッパに当接する方向へ放出される。
【0008】
ここで、このシート処理装置は、シート束を後端ストッパの方向に移送させるローレットベルトを備えている。そして、シート束が放出された後、複数枚のシートの搬送方向上流端がずれた状態で重ね合わされたシート束を、ローレットベルトにより最下位のシートから一枚ずつ順番に後端ストッパに付き当てることにより、排出されたシート束の排出方向の整合を行う。この後、不図示の整合板により、中間処理トレイ上のシートの排出方向と直交する幅方向の位置を整合することにより、シートの整合処理を完了する。
【0009】
このように、複数枚のシートをずらした状態で重ねて合わせて中間処理トレイに搬送することにより、画像形成速度が速く、排出されるシート間隔が狭い画像形成装置の処理速度を低下させることなく、シートに整合処理を施すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−194582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、このような従来のシート処理装置において、複数枚のシートの搬送方向上流端が略同じ間隔になるように重ね合わされるが、搬送誤差、シートの搬送方向長さのバラツキ等の影響により実際には各シートの搬送方向上流端の間隔にバラツキが生ずる。ここで、重ね合わされたシートが、搬送方向上流端の間隔が所定よりも短い間隔で排出された場合、ローレットベルトによって下位シートの搬送方向上流端が後端ストッパに突き当てられる前に上位シートの上流端がローレットベルトに到達してしまう可能性がある。なお、これは、シート間の摩擦係数よりもローレットベルトとシートとの間の摩擦係数がはるかに大きいため、上位シートが下位シートの上面に摺接して移動し、下位シートよりも先に後端ストッパに到達してしまうからである。
【0012】
また、ローレットベルトはシートの上面に当接して後端ストッパに突き当てるようになっている。このため、下位シートよりも先に上位シートが後端ストッパに到達してしまうと、下位シートは後端ストッパに到達する前に停止してしまい、良好なシートの整合が困難になる。
【0013】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、搬送誤差やシートの搬送方向長さのバラツキがある場合でも重ね合わせた複数枚のシートを確実に整合することのできるシート処理装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、シート処理装置において、処理を行うシートを積載するシート積載部と、前記シート積載部に搬送されたシートの搬送方向の一端と当接してシートの搬送方向の位置を規制する規制部材と、複数枚のシートを重ね合わせて待機させ、待機させたシートが前記シート積載部に搬送された際、後続シートの下に重ねられる先行シートの方が前記規制部材に近い状態となるように順次搬送方向にずらして前記シート積載部に搬送するシート待機部と、前記シート積載部に搬送された待機シートのうちの最下位のシートから順次移送して前記規制部材に当接させる第1移送部と、前記第1移送部の移送方向上流に位置し、前記シート積載部に搬送されたシートを前記第1移送部に移送する第2移送部と、前記第1移送部により移送されたシートが前記規制部材に当接するまでは、次のシートが前記第1移送部に達しないように前記第2移送部による次のシートの移送を制御する制御部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のように、シートが規制部材に当接するまでは次のシートが第1移送部に達することがないようにして下位シートから順次、規制部材に当接させることにより、重ね合わせた複数枚のシートを確実に整合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の一例である白黒/カラー複写機の構成を示す図。
【図2】上記シート処理装置であるフィニッシャの構成を説明する図。
【図3】上記フィニッシャに設けられたステイプル部の構成を説明する図。
【図4】上記フィニッシャに設けられた中間処理トレイの構成を説明する図。
【図5】上記白黒/カラー複写機の制御ブロック図。
【図6】上記フィニッシャの制御ブロック図。
【図7】上記フィニッシャの先頭バッファリング処理及び途中バッファリング処理におけるシートの重ね合わせ動作を説明する図。
【図8】上記先頭バッファリング処理により重ね合わせたシート束に対する整合動作を説明する第1の図。
【図9】上記先頭バッファリング処理により重ね合わせたシート束に対する整合動作を説明する第2の図。
【図10】上記途中バッファリング処理により重ね合わせたシート束に対する整合動作を説明する第1の図。
【図11】上記途中バッファリング処理により重ね合わせたシート束に対する整合動作を説明する第2の図。
【図12】上記フィニッシャに設けられた引き込みパドルと引き込みベルトローラのシート移送速度の関係を説明する図。
【図13】上記フィニッシャのバッファリング処理を説明するフローチャート。
【図14】上記バッファリング処理のうちのHP移動処理を説明するフローチャート。
【図15】上記バッファリング処理のうちの先頭バッファ処理を説明するフローチャート。
【図16】上記バッファリング処理のうちの途中バッファ処理を説明するフローチャート。
【図17】上記フィニッシャの他の構成を説明する図。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係るフィニッシャのステイプル部の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の一例である白黒/カラー複写機の構成を示す図である。図1において、600は白黒/カラー複写機、602は白黒/カラー複写機本体(以下、複写機本体という)、650は複写機本体602の上部に設けられた原稿読み取り部(イメージリーダ)、651は複数の原稿を自動的に読み取るための原稿搬送装置である。
【0018】
複写機本体602は、画像形成するための通常のシートSを積載する給紙カセット909a,909b、電子写真プロセスを用いてシート上にトナー画像を形成する画像形成部603、シートに形成されたトナー画像を定着させる定着部904等を備えている。また、複写機本体602の上面にはユーザが複写機本体602に対して各種入力/設定を行うため操作部601が、また複写機本体602の側方には、シート処理装置であるフィニッシャ100が接続されている。なお、630は複写機本体602及びフィニッシャ100の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
【0019】
そして、このような白黒/カラー複写機600において、不図示の原稿の画像をシートに形成する際には、まず原稿搬送装置651により搬送された原稿の画像を、原稿読み取り部650に設けられたイメージセンサ650aにより読み取る。この後、読み取られたデジタルデータを露光装置604に入力し、露光装置604は、このデジタルデータに応じた光を画像形成部603に設けられた感光体ドラム914(914a〜914d)に照射する。このように光が照射されると、感光体ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像することにより、感光体ドラム表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー画像が形成される。
【0020】
次に、この4色のトナー画像を給紙カセット909a,909bから給送されたシート上に転写し、この後、シート上に転写されたトナー像を、定着部904により永久定着する。なお、このようにトナー画像を定着した後、シートの片面に画像を形成するモードであれば、そのまま、シートを排出ローラ対907から、複写機本体602の側部に接続されたフィニッシャ100に排出する。
【0021】
また、シートの両面に画像を形成するモードであれば、シートを定着部904から反転ローラ905に受け渡しし、この後、所定のタイミングで反転ローラ905を反転させ、シートを両面搬送ローラ906a〜906fの方向へ搬送する。そして、この後、再度、シートを画像形成部603に搬送し、裏面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を転写する。なお、このように裏面に4色のトナー像が転写されたシートは、再度定着部904に搬送されてトナー画像が定着され、この後、排出ローラ対907から排出され、フィニッシャ100に搬送される。
【0022】
フィニッシャ100は、複写機本体602から排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、取り込んだシートの後端付近に孔をあけるパンチ処理を行うようになっている。また、フィニッシャ100は、シート束の後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、製本処理等の処理を行うようになっている。そして、フィニッシャ100は、シートをステイプルする綴じ部であるステイプル部100A及びシート束を二つ折りにして製本するサドルユニット135を備えている。また、フィニッシャ100は、後述する複数枚のシートを待機させ、待機させたシートを、シート積載部に搬送された際、最下位のシートが最も規制部材に近い状態となるように順次ずらして重ね合わせてシート積載部に搬送するシート待機部100Cを備えている。
【0023】
フィニッシャ100は、図2に示すように、シートを装置内部に取り込むための入口ローラ対102を備えており、複写機本体602から排出されたシートは、入口ローラ対102に受け渡される。なお、この時、入口センサ101によりシートの受渡しタイミングも同時に検知される。
【0024】
この後、入口ローラ対102により搬送されたシートは搬送パス103を通過しながら、シートの端部位置を横レジ検知センサ104により検知され、フィニッシャ100のセンター(中央)位置に対してどの程度、幅方向のずれが生じているかが検知される。また、このように幅方向のずれ(以下、横レジ誤差という)が検知された後、シートはシフトローラ対105,106に搬送されている途中でシフトユニット108が手前方向、或は奥方向に所定量移動することにより、シートのシフト動作が実施される。ここで、「手前(前)」は、ユーザが図1に示す操作部601に臨んで立つ際の装置の前面側を言い、「奥」とは装置の背面側を指す。
【0025】
次に、シートは搬送ローラ110及び離間ローラ111により搬送され、第1バッファローラ対115に達する。この後、上トレイ136に排出される場合は、上パス切換部材118が不図示のソレノイド等の駆動部により、図中破線の状態になる。これにより、シートは上パス搬送路117に導かれ、上排出ローラ120により上トレイ136に排出される。
【0026】
上トレイ136に排出されない場合は、第1バッファローラ対115により搬送されたシートは、実線に示す状態の上パス切換部材118により束搬送パス121に導かれる。この後、搬送ローラ122、束搬送ローラ対124により順次搬送パス内を通過していく。なお、112は第2バッファローラ、109は第1バッファセンサ、116は第2バッファセンサである。そして、後述するようにシートをバッファリングする際には、この第1及び第2バッファセンサ109,116の検知に基づいて第1バッファローラ対115及び第2バッファローラ対112を駆動する。
【0027】
次に、搬送されてきたシートを下方の積載トレイ137に排出する場合は、実線に示す状態のサドルパス切換部材125により下パス126に搬送される。この後、シート搬送部である下排出ローラ対128により処理を行うシートを積載するシート積載部である中間処理トレイ138に順次搬送される。
【0028】
ここで、中間処理トレイ138は、図3に示すように下排出ローラ対128(128a,128b)の下方に位置し、シート束の排出方向に対して下流側(図3の左側)を上方に、上流側(図3の右側)を下方に傾斜して配設されている。そして、中間処理トレイ138の上流側である下方端部には、中間処理トレイ138に搬送されたシートの搬送方向の一端と当接してシートの搬送方向の位置を規制する規制部材である後端ストッパ150が配置されている。さらに、中間処理トレイ138の下流側端部には、束排出ローラ対130(130a,130b)が配置されている。
【0029】
なお、束排出ローラ対130は、後述する図6に示す束排出モータM130によって正逆回転するようになっている。また、上部束排出ローラ130bは揺動ガイド149の下面前端部に配置されており、この上部束排出ローラ130bは揺動ガイド149の開閉動作に伴って下部束排出ローラ130aに対して離接するようになっている。なお、この揺動ガイド149は、支持軸154に支持されて、支持軸154を中心に回動可能に構成され、揺動モータM149によって上下方向に開閉可能になっている。また、下排出ローラ対128a,128bの搬送方向上流には中間処理前センサ127が配置されており、中間処理前センサ127の検知に基づき下排出ローラ対128へのシートの受け渡しタイミングを検知するようにしている。
【0030】
さらに、下排出ローラ対128の搬送方向下流近傍位置には、後述するようにバッファ処理された複数枚のシートを上方から叩いて中間処理トレイ138上に落とす後端落とし160が配設されている。なお、この後端落とし160は、後述する図6に示す後端落とし160のホームポジションを検知する後端落としHPセンサ162からの信号に基づき、適切なタイミングで後端落とし駆動モータM160を駆動することにより落下する。そして、このように後端落とし160が落下させてシートの後端を落とすことにより、短時間でシートを後述する引き込みベルトローラ158に接触させることができる。
【0031】
綴じ部であるステイプラ132は、スライド支台305上に固定されており、中間処理トレイ138に積載されたシートの後端縁に沿って移動するようになっている。引き込みパドル131は、中間処理トレイ138の上方かつ、下排出ローラ対128の排出方向下流に配設されている駆動軸157上に沿って複数配置されている。なお、この第2移送部である引き込みパドル131は、後述する図6に示す引き込みパドルHPセンサ161からの信号に基づき適切なタイミングで引き込みパドル駆動モータM131を駆動して駆動軸157を回転させることにより、回転するようになっている。
【0032】
下排出ローラ128aの外周には、中間処理トレイ138上に積載されたシートを引き込んで後端ストッパ150に移送する引き込みベルトローラ158が掛けられており、この引き込みベルトローラ158は、下排出ローラ128aの回転に従動して回転する。ここで、この第1移送部である引き込みベルトローラ158は、後述する図6に示す牽引部材位置センサ181からの信号に基づき牽引部材駆動モータM180を駆動することによって移動する牽引部材163により、牽引される。そして、この牽引部材163による牽引により、引き込みベルトローラ158は、その下方部が中間処理トレイ138上に積載された最上シートと接触する接触位置と、中間処理トレイ138上に放出されるシートに干渉しない退避位置の位置を取る。
【0033】
このように、中間処理トレイ138に搬送されたシートは、引き込みパドル131や引き込みベルトローラ158により、順次後端ストッパ150に移送され、中間処理トレイ138上で、所定枚数整合処理される。次に、このように中間処理トレイ上で整合処理されたシート束は、必要に応じて綴じ部を構成するステイプラ132により綴じ処理が施され、この後、束排出ローラ対130により下方の積載トレイ137に排出される。なお、このステイプラ132は、シート搬送方向と直交する幅方向(以下、奥行き方向という)に移動自在であり、中間処理トレイ上(シート積載部上)のシート束の後端部の複数箇所を綴じ処理することができる。
【0034】
一方、シートをサドル(中綴じ)処理する場合には、不図示のソレノイド等の駆動部により、図2に示すようにサドルパス切換部材125を破線で示す位置に移動させる。これにより、シートはサドルパス133に搬送され、サドル入口ローラ対134によりサドルユニット135に導かれ、サドル処理(中綴じ処理)される。なお、図2において、100Bはフィニッシャ100の上部に設けられたインサータである。このインサータ100Bは、シート束の先頭ページ、最終ページ、又は複写機本体602にて画像が形成されたシート間に通常のシートとは別のシート(インサートシート)を挿入するためのものである。
【0035】
ところで、中間処理トレイ138には、図4に示すようにシートの幅方向の位置を整合する幅方向整合部を構成する整合部材240a,240bが設けられている。この整合部材240a,240bは、中間処理トレイ138上に、整合面241a,241bが対向するように手前側と奥側に配置されており、収容されたシートの幅方向の端部を整合する働きをする。なお、整合部材240a,240bはそれぞれ独立して駆動可能な整合部材モータM240a,M240bを有している。そして、それぞれ整合部材モータM240a,M240bの先端プーリから第1伝達ベルト251a,251b及び第2伝達ベルト252a,252bを介して、中間処理トレイ138に対してシートの幅方向に沿って移動可能となっている。また、中間処理トレイ138上の整合部材240a,240bが最も離れた状態になる位置に、整合部材240a,240bのホームポジションを検知する整合部材HPセンサ243a,243bが設けられている。
【0036】
図5は、白黒/カラー複写機600の制御ブロック図であり、CPU回路部630は、CPU629、制御プログラム等を格納したROM631、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM660を有している。また、図5において、637は白黒/カラー複写機600と外部PC(コンピュータ)620との外部インターフェイスである。この外部インターフェイス637は外部PC620からのプリントデータを受信すると、このデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部634へ出力する。
【0037】
そして、この画像信号制御部634は、このデータをプリンタ制御部635へ出力し、プリンタ制御部635は、画像信号制御部634からのデータを不図示の露光制御部へ出力する。また、操作部601は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー及び設定状態を表示するための表示部等を有している。そして、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部630に出力すると共に、CPU回路部630からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
【0038】
CPU回路部630は、ROM631に格納された制御プログラム及び操作部601の設定に従い、画像信号制御部634を制御すると共に、プリンタ制御部635を介して画像形成部603(図1参照)を制御する。また、CPU回路部630は、フィニッシャ制御部636を介してフィニッシャ100を制御する。
【0039】
なお、本実施の形態において、制御部としてのフィニッシャ制御部636はフィニッシャ100に搭載され、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ100の駆動制御を行う。また、フィニッシャ制御部636をCPU回路部630と一体的に複写機本体側に配設し、複写機本体側から直接、フィニッシャ100を制御するようにしてもよい。
【0040】
図6は本実施の形態に係るフィニッシャ100の制御ブロック図である。コントローラとしてのフィニッシャ制御部636は、マイクロコンピュータシステムで構成されてCPU300、ROM301及びRAM302等を有している。ROM301にはパンチャー処理用プログラムやステープリング処理用プログラム等が予め格納されている。CPU300は各プログラムを実行し、RAM302との間で適宜データのやり取りをしながら入力データ処理を行うことにより、所定の制御信号を作成するようになっている。また、CPU300と、複写機本体側に設けられた本体側CPU回路部630との間ではデータの送受信が行われ、CPU300は本体側CPU回路部630から原稿のサイズやコピー枚数などの各種情報を取得するようになっている。
【0041】
また入力インターフェイス303には、中間処理前センサ127、引き込みパドルHPセンサ161、後端落としHPセンサ162、牽引部材位置センサ181及び整合部材HPセンサ243が接続されている。そして、これらの検出部から得た検出信号が入力インターフェイス303を介してCPU300に入力データとして入力される。
【0042】
また、出力インターフェイス304には、下排出ローラ対128を駆動する処理前モータM128、束排出ローラ対130を駆動させる束排出モータM130、引き込みパドル131を駆動させる引き込みパドル駆動モータM131が接続されている。さらに、出力インターフェイス304には、揺動ガイド149を駆動させる揺動モータM149、後端落とし160を駆動させる後端落とし駆動モータM160、牽引部材180を駆動させる牽引部材駆動モータM180、整合部材モータM240が接続されている。そして、CPU300は入力データに基づき出力インターフェイス304を介して各モータに各種の制御信号を出力する。
【0043】
ところで、本実施の形態において、例えば綴じ処理を行う場合、シートに綴じ処理を施す時間を確保するため、中間処理トレイ上のシート束が処理されている間、次に処理されるシート束の最初の複数枚を重ね合わせて待機させるようにしている。そして、中間処理トレイ上のシート束の処理が終わり、次のシートを処理する際には、まず待機させた複数枚のシートを重ね合わせた状態で中間処理トレイ138に搬送するようにしている。
【0044】
また、本実施の形態においては、中間処理トレイにシートが排出される毎に行われる幅方向の整合処理の時間を確保するため、最初の複数枚のシートを重ね合わせて搬送した後、次の複数枚のシートを重ね合わせて待機させるようにしている。なお、以下、次に処理されるシート束の最初の複数枚を重ね合わせて待機させる処理を先頭バッファリング処理、次の複数枚のシートを重ね合わせて待機させる処理を途中バッファリング処理と言う。
【0045】
また、先頭バッファリング処理によって重ね合わされたシートを先頭バッファシート、途中バッファリング処理によって重ね合わされたシートを途中バッファシートという。なお、一般的に、綴じ処理時間は、幅整合時間より長いため、先頭バッファシートの重ね合わせ枚数は、途中バッファシートの重ね合わせ枚数より多くなる。このため、本実施の形態では、中間処理トレイにおける処理動作が先頭バッファリング処理と途中バッファリング処理とで異なる。
【0046】
次に、本実施の形態の先頭バッファリング処理及び途中バッファリング処理におけるシートの重ね合わせ動作について図7を用いて説明する。シート搬送部を構成する搬送ローラ110及び離間ローラ111により搬送されてきたシートS1は、図7の(a)に示すように、搬送ローラ110及び離間ローラ111と中間処理トレイ138との間に設けられた束搬送パス121に搬送される。この後、束搬送パス121に設けられた正逆転可能な第1バッファローラ対115により搬送される。
【0047】
次に、第2バッファセンサ116によりシートS1の先端位置が検知される。この検知タイミングと予め認知されているシートのサイズ情報に基づきシートS1は後端位置が、束搬送パス121から分岐し、次に処理する複数枚のシートを待機させる待機部であるバッファパス113の分岐点Aに到達するまで搬送される。このとき、バッファパス切換え部材114は不図示の駆動部により破線状態に切り替えられている。
【0048】
次に、このようにシートS1の後端が分岐点Aに到達した後、第1バッファローラ対115を逆転動作させる。そして、図7の(b)に示すように、シートS1の後端をバッファパス113に導き、シートS1を、正転動作している正逆転可能な第2バッファローラ対112に受け渡す。これにより、シートS1は第2バッファローラ対112により、先端位置が位置Bに到達するまで引き込まれ、その位置にて一時待機する。なお、本実施の形態において、中間処理トレイ138上のシート束が処理されている間、次に処理する複数枚のシートを待機させるシート待機部100Cは、バッファパス113、第1バッファローラ対115及び第2バッファローラ対112により構成される。
【0049】
次に、次に搬送されてくるシートS2を、束搬送パス121とバッファパス113との分岐点Aよりもシート搬送方向上流に設けられている第1バッファセンサ109が検知するのを待つ。そして、第1バッファセンサ109が次に搬送されてくるシートS2を検知すると、このシートS2の搬送に合わせて、シートS2と重なり合うように第2バッファローラ対112を逆転駆動し、一時待機していたシートS1の搬送を再開する。これにより、シートS1を搬送経路に戻し、図7の(c)に示すようにシートS1とシートS2の搬送方向上流端を、所定のずらし量で重ね合わせる。
【0050】
次に、中間処理トレイ138における先頭バッファリング処理により重ね合わせたシート束に対する整合動作について図8及び図9を用いて説明する。まず、図8の(a)に示すように、次に処理されるシート束の最初の複数枚(n枚)のシートが重ね合わされた先行バッファシートSは、下排出ローラ対128(128a,128b)により案内ガイド151に沿って束排出ローラ対130のニップ部に案内される。このとき、揺動ガイド149は閉じており、束排出ローラ対130(130a,130b)は接している状態にある。また、束排出ローラ対130は、バッファシートSを積載トレイ137に排出する方向に回転している。
【0051】
これにより、束排出ローラ対130に受け渡されたバッファシートSは、束排出ローラ対130により、図8の(b)に示すように、後端が下排出ローラ対128を抜けるまで、そのまま積載トレイ137に排出される方向に搬送される。この後、図8の(c)に示すように、バッファシートSの後端が下排出ローラ対128を抜けて中間処理トレイ138上に積載されると、束排出ローラ対130が逆方向に回転する。これにより、バッファシートSは、図9の(a)に示すように、中間処理トレイ138の放出方向下流に設けられた後端ストッパ150に突き当たる方向に移送される。
【0052】
次に、バッファシートSが後端ストッパ150に突き当たる前に、図9の(b)に示すように、揺動ガイド149が開き、束排出ローラ130a,130bが離間し、バッファシートSは後端ストッパ150に向けて移送される。この後、図9の(c)に示すように、バッファシートSは後端ストッパ150に突き当たり、シートの搬送方向上流端、すなわち移送方向下流端が整合される。そして、このような搬送方向の整合が完了すると、図4に示す整合部材240を、排出方向と直交する幅方向で、かつ整合部材240が近づく方向に移動させることにより、バッファシートSに当接させ、バッファシートSの幅方向の整合を行う。
【0053】
次に、途中バッファリング処理により重ね合わせたシート束に対する整合動作について図10及び図11を用いて説明する。まず、途中バッファシートS’(シートS1+シートS2)の搬送時には、少なくとも先頭バッファシートSが先行して中間処理トレイに排出されている。このため、図10の(a)に示すように、中間処理トレイ138上には先頭バッファシートSが積載された状態であり、また揺動ガイド149が上方回動して束排出ローラ130a,130bが離間している状態にある。さらに、引き込みパドル131と引き込みベルトローラ158は、それぞれ搬送されてくるシートに接触しない退避位置にある。そして、途中バッファシートS’は、この状態のまま、一連の処理が行われる。
【0054】
即ち、引き込みパドル131と引き込みベルトローラ158がシートに接触しない退避位置にある状態で途中バッファシートS’の搬送が開始される。なお、搬送されてくる途中バッファシートS’は、上下に重ね合わされた下側(下方)のシートS1の方が上側(上方)のシートS2よりも後端ストッパ150の方向にずれている形になるように搬送方向にずらして重ね合わせた状態で搬送される。即ち、バッファシートS’はシート待機部100Cにより、中間処理トレイ138に搬送された際、待機シートのうちの最下位のシートが最も後端ストッパ150に近い状態となるように、シート後端を順次搬送方向にずらして重ね合わせた状態で搬送される。
【0055】
そして、途中バッファシートS’の搬送が開始され、途中バッファシートS’の後端、すなわち下側のシートS1の後端が下排出ローラ対128を抜ける。ここで、その直後のタイミングで、図10の(b)に示すように、後端落とし160が下方回動し、この後端落とし160により下側のシートS1の後端が上方から叩かれ、途中バッファシートS’は中間処理トレイ138に叩き落とされる。なお、これとほぼ同時に引き込みパドル131が回転を開始して上方から途中バッファシートS’を押さえるようになり、これにより上側のシートS2が積載トレイ137の方向に飛び出すのを防止することができる。
【0056】
そして、このように引き込みパドル131が途中バッファシートS’を押さえた後、引き続き、引き込みパドル131を回転させることにより、上側のシートS2の引き込みベルトローラ方向への移送を開始する。また、途中バッファシートS’が中間処理トレイ138上に落下するタイミングで、図3に示す牽引部材163を下排出ローラ対128側に移動させ、図10の(c)に示すように、引き込みベルトローラ158を下のシートS1に接触する接触位置まで下降させる。そして、この後、下排出ローラ128aを回転させることにより、引き込みベルトローラ158を回転させ、下側のシート(最下位のシート)S1の後端ストッパ150方向への移送を開始する。
【0057】
このとき、引き込みベルトローラ158の下側のシートS1を引き込む力は、下側のシートS1の上下にあるシート、すなわち上側のシートS2及び先頭バッファシートSの最上位のシートから受ける摩擦抵抗力より大きくなっている。これにより、引き込みベルトローラ158の回転により、下側のシートS1を移送することができる。
【0058】
また、引き込みパドル131と上側のシートS2の間の摩擦力は、引き込みベルトローラ158により移送される下側のシートS1との摩擦力によって、上のシートS2に作用する上のシートS2を移送しようとする力より大きくなっている。このため、上のシートS2は、引き込みベルトローラ158に到達するまでは、引き込みパドル131の移送速度(引き込み速度)Vpで引き込み移送され、下のシートS1は引き込みベルトローラ158の移送速度(引き込み速度)Vbで引き込み移送される。
【0059】
この後、引き込みベルトローラ158により下側のシートS1は、後端ストッパ150に突き当たるまで移送され、下側のシートS1の搬送方向の整合が行われる。また、図11の(a)に示すように、上側のシートS2は、下側のシートS1が後端ストッパ150に突き当たるタイミングで引き込みパドル131によって引き込みベルトローラ158に受け渡される。
【0060】
この後、引き込みベルトローラ158に受け渡されたシートS2は、そのまま引き込みベルトローラ158によって後端ストッパ150に突き当たるまで移送され、図11の(b)に示すように、上側のシートS2の搬送方向の整合が行われる。以上により、途中バッファシートS’の搬送方向の整合処理は完了する。なお、このように搬送方向の整合が完了すると、整合部材240を移動させシート幅方向の整合を行う。
【0061】
次に、引き込みパドル131と引き込みベルトローラ158のシート移送速度の関係について図12を用いて説明する。なお、図12は、引き込みパドル131及び引き込みベルとローラ158によるシートS1,S2の移送開始時の位置関係を示している。また、図12において、aは重ね合わせた上のシートS2から引き込みベルトローラ158の当接位置までの距離(シートS1とS2のずらし量と同値)、bは引き込みベルトローラ158の当接位置から後端ストッパ150までの距離である。Vpは引き込みパドル131のシート移送速度、Vbは引き込みベルトローラ158のシート移送速度を示している。これにより、下側のシートS1が引き込みベルトローラ158により後端ストッパ150まで引き込み移送される時間はt=b/Vbとなり、上側のシートS2が引き込みベルトローラ158の当接位置まで移送される時間はt=a/Vpとなる。
【0062】
ここで、本実施の形態においては、下側のシート(下位シート)S1が後端ストッパ150に移送された後、上側のシート(上位シート)S2が引き込みベルトローラ158の当接位置まで移送されるようにしている。このためには、下側のシートS1が後端ストッパ150まで引き込み移送される前に上側のシートS2が引き込みベルトローラ158の当接位置まで移送されないことが必要条件である。つまり、b/Vb≦a/Vpの関係が成り立つことが必要条件である。このため、引き込みパドル131の移送速度Vpを、Vp≦Vb×a/bとなるように設定する。なお、移送速度Vpは一定速である必要は無く、時間t=b/Vb間の平均速度VpavがVpav≦Vb×a/bになるようにしても良い。
【0063】
また、生産性が間に合うのであれば、引き込みパドル131を一時停止させておき、下側のシートS1が後端ストッパ150に到達後に引き込みパドル131を駆動させ、上側のシートS2を引き込みベルトローラ158に受け渡しても良い。
【0064】
次に、本実施の形態に係るフィニッシャ制御部636によるバッファリング処理について図13に示すフローチャートを用いて説明する。バッファシートの搬送が開始(スタート)されると(S800)、まずHP移動処理に移行する(S801)。ここで、HP移動処理では、図14に示すように、まず後端落とし駆動モータM160を駆動し(S820)、後端落とし160をホームポジションに向けて移動させる。この後、後端落としHPセンサ162を監視し(S821)、後端落とし160が後端落としHP(ホームポジション)に到達したかを判断する(S822)。そして、後端落とし160が後端落としHPに到達したと判断すると(S822のY)、後端落とし駆動モータM160を停止する(S823)。
【0065】
次に、引き込みパドル駆動モータM131を駆動し(S824)、引き込みパドル131をホームポジションに向けて移動させる。この後、引き込みパドルHPセンサ161を監視し(S825)、引き込みパドル131が引き込みパドルHPに到達したかを判断する(S826)。そして、引き込みパドル131が引き込みパドルHPに到達したと判断すると(S826のY)、引き込みパドル駆動モータM131を停止する(S827)。
【0066】
次に、整合部材モータM240を駆動し(S828)、整合部材240をホームポジションに向けて移動させる。この後、整合部材HPセンサ243を監視し(S829)、整合部材240が整合部材HPに到達したかを判断する(S830)。そして、整合部材240が整合部材HPに到達したと判断すると(S830のY)、整合部材モータM240を停止する(S831)。
【0067】
最後に、牽引部材駆動モータM180を駆動し(S832)、牽引部材180を退避位置に向けて移動させる。この後、牽引部材位置センサを監視し(S833)、牽引部材180が退避位置に到達したかを判断する(S834)。そして、牽引部材180が退避位置に到達したと判断すると(S834のY)、牽引部材駆動モータM180を停止する(S835)。以上で、HP移動処理は完了する(S836)。
【0068】
次に、このようなHP移動処理が完了すると、図13に示すように、複写機本体側のCPU629から送られる情報に基づいて搬送されてくるバッファシートが束の先頭かどうかの判断を行う(S802)。そして、例えば搬送されてくるバッファシートが束の先頭の場合は(S802のY)、先頭バッファ処理に移行する(S803)。
【0069】
ここで、先頭バッファ処理では、図15に示すように、まず束排出ローラ対130を回転させるよう束排出モータM130を駆動し(S840)、シートの搬入に備える。次に、先頭バッファシートが中間処理トレイ138に搬入が開始されるタイミングを検知するよう中間処理前センサ127を監視する(S841)。この後、中間処理前センサ127がシートの先端を検知すると(S842のY)、検知したタイミングを基準に束排出モータM130のクロック数を監視(カウント)する(S843)。
【0070】
次に、束排出モータM130が、検知された先頭バッファシートが既述した図8の(a),(b)に示すように下排出ローラ対128から束排出ローラ対130に受け渡された後、下排出ローラ対128を通過する所定クロック数回転したかを判断する(S844)。そして、束排出モータM130が所定クロック数回転したと判断すると(S844のY)、すなわち既述した図8の(c)に示すように先頭バッファシートSが下排出ローラ対128を通過したと判断すると、束排出モータM130を一旦停止する(S845)。
【0071】
次に、既述した図9の(a)に示すように、束排出モータM130を反転駆動し(S846)、さらに束排出モータM130のクロック数を監視する(S847)。この後、束排出モータM130が所定クロック数回転したと判断すると(S848のY)、すなわち先頭バッファシートSを所定量、後端ストッパ150側に移送したと判断すると、揺動モータM149を駆動する(S849)。これにより、既述した図9の(b)に示すように、揺動ガイド149が上方回動し、束排出ローラ対130は離間する。この後、束排出モータM130及び揺動モータM149のクロック数を監視する(S850)。そして、束排出モータM130及び揺動モータM149が所定クロック数回転したと判断すると(S851のY)、すなわち既述した図9の(c)に示すようにシートSの整合が完了すると、束排出モータM130及び揺動モータM149を停止する(S852)。
【0072】
次に、先頭バッファシートSの幅方向の整合処理を行うよう整合部材モータM240を駆動し(S853)、さらに整合部材モータM240のクロック数を監視する(S854)。この後、整合部材モータM240が所定クロック数回転したと判断すると(S855のY)、すなわちシートの幅方向の整合処理が終わったと判断すると、整合部材モータM240を停止する(S856)。以上で、先頭バッファ処理は終了する(S857)。
【0073】
一方、搬送されてくるバッファシートが先頭で無い場合は(S802のN)、途中バッファ処理(S804)へと進む。ここで、途中バッファ処理では、図16に示すように、まず、途中バッファシートの後端が下排出ローラ対128を抜けるタイミングを検知するよう中間処理前センサ127を監視する(S860)。そして、中間処理前センサ127が途中バッファシートの後端を検知すると(S861のY)、途中バッファシートの後端が下排出ローラ対128を通過するタイミングで、後端落とし駆動モータM160を駆動する(S862)。これにより、既述した図10の(b)に示すように途中バッファシートS’の後端が下排出ローラ対128を通過するタイミングで、後端落とし160が途中バッファシートS’を中間処理トレイ138上に叩き落とすようになる。
【0074】
次に、途中バッファシートS’が中間処理トレイ138上に叩き落とされた後、引き込みパドル駆動モータM131を駆動する(S863)。なお、この後、後端落とし駆動モータM160は、クロック数が監視され(S864)、後端落とし駆動モータM160が所定クロック数回転すると(S865のY)、後端落とし駆動モータM160を停止する(S866)。
【0075】
次に、途中バッファシートが中間処理トレイ138に落下するタイミングで牽引部材駆動モータM180を駆動し(S867)、引き込みベルトローラ158を途中バッファシートに当接する方向に移動させる。なお、この後、牽引部材駆動モータM180は、クロック数が監視される(S868)。そして、牽引部材駆動モータM180が所定クロック数回転したと判断すると、すなわち既述した図10の(c)に示すように引き込みベルトローラ158が接触位置に達したと判断すると(S869のY)、牽引部材駆動モータM180を停止する(S870)。この後、下排出ローラ128aの回転に従動して引き込みベルトローラ158が回転すると、下側のシートS1が後端ストッパ150に向かって移送される。
【0076】
次に、S863で駆動された引き込みパドル駆動モータM131のクロック数を監視する(S871)。ここで、引き込みパドル駆動モータM131は、下側のシートが後端ストッパ150に到達した後、既述した図11の(a)に示すように上側のシートが引き込みベルトローラ158に受け渡されるように、所定時間で所定クロック数回転するように制御されている。そして、引き込みパドル駆動モータM131が所定クロック数回転し(S872のY)、下側のシートが後端ストッパ150に到達した後、上側のシートが引き込みベルトローラ158に受け渡されると、引き込みパドル駆動モータM131を停止する(S873)。
【0077】
次に、処理前モータM128を駆動し、この処理前モータM128のクロック数を監視する(S874)。そして、処理前モータM128が所定クロック数回転したと判断すると(S875のY)、すなわち受け渡されたシートが引き込みベルトローラ158により後端ストッパ150に突き当たる所定距離分回転したと判断すると、牽引部材駆動モータM180を駆動する。
【0078】
次に、既述した図11の(b)に示すように、受け渡されたシートS2が後端ストッパ150に突き当たると、この後、牽引部材駆動モータM180のクロック数を監視する(S876)。そして、牽引部材が、引き込みベルトローラ158が退避位置となる、牽引部材の退避位置に到達したかを判断し(S877)、牽引部材が退避位置に到達したと判断すると(S877のY)、牽引部材駆動モータM180を停止する(S878)。
【0079】
次に、牽引部材が退避位置に到達して引き込みベルトローラ158の退避位置への移動が完了すると、整合部材モータM240を駆動させ(S879)、整合部材モータM240のクロック数を監視する(S880)。そして、整合部材モータM240が所定クロック数回転し(S881のY)、整合部材240による整合が行われたと判断すると、整合部材モータM240を停止する(S882)。以上で途中バッファ処理は終了する(S883)。
【0080】
次に、このような先頭バッファ処理又は途中バッファ処理が終了すると、複写機本体側のCPU629から送られる情報に基づき整合したシートが束の最終シートかどうかの判断を行う(S805)。ここで、シートが最終シートでは無い場合は(S805のN)、HP移動処理(S801)に戻り、上記処理を繰り返す。
【0081】
また、シートが最終シートの場合は(S805のY)、綴じ処理を行うどうかを判断する(S806)。そして、綴じ処理を行う場合は(S806のY)、綴じ処理を行い(S807)、この後、束排出処理へと移行し(S808)、処理は完了する。綴じ処理を行わない場合は(S806のN)、そのまま束排出処理へと移行し(S808)、処理は完了する。
【0082】
以上説明したように、本実施の形態においては、シート束紙の先頭の複数枚のシートに対しては先頭バッファリング処理を行い、後続のシートに対しては途中バッファ処理を行うようにしている。そして、この途中バッファ処理により処理された途中バッファシートが中間処理トレイ138に搬送された後、引き込みベルトローラ158により、最下位のシートから順次移送して、後端ストッパ150に当接させるようにしている。さらに、シートを引き込んで引き込みベルトローラ158に移送する引き込みパドル131を、引き込まれた最下位のシートが後端ストッパ150に当接するまでは、次のシートが引き込みベルトローラ158に達することがないように駆動するようにしている。
【0083】
つまり、本実施の形態においては、下位シートが後端ストッパ150に当接するまでは次のシートが引き込みベルトローラ158に達することがないようにすることにより、最下位のシートから順次、後端ストッパ150に当接させるようにしている。また、途中バッファシートを後端ストッパ150に当接させる際、バッファシートの後端部付近に移送力を加えるようにしている。これにより、搬送誤差やシートの搬送方向長さのバラツキがある場合でも重ね合わせた複数枚のシートを確実に整合することができる。
【0084】
この結果、複写機本体602が、画像形成速度が速く、排出されるシート間隔が狭い場合でも、複写機本体602の画像形成速度を低下させることなく、シートに対して整合処理等の処理を施すことが可能となる。また、途中バッファ処理の際、シートを少なくとも2枚以上重ね合わせて搬送をするため、従来のようにシートを1枚ずつ搬送するのに比べ、整合動作が半分以下になり、動作速度も低くすることができるようになる。この結果、整合部材の耐久性の向上や、駆動モータの負荷低減によるモータの小型化、低コスト化につながる。
【0085】
さらに、先頭バッファで重ね合わせる枚数を少なくとも2値有するようにし、シート束の枚数に応じて、先頭バッファの重ね合わせ枚数を変え、後続シートが途中バッファで重ね合わせる枚数の倍数になるようにするようにしても良い。これにより、束の最終シートが重ね合わせられず途中バッファが出来なくなることを防止することができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、シートを搬送途中で逆搬送し、待機経路(バッファパス113)に一時待機させるスイッチバック方式を用いたフィニッシャ100について説明したが、本発明は、これに限らない。例えば、図17の(a)に示す巻き付き方式や、図17の(b)に示す複数バッファパス方式を用いたフィニッシャでも適用することができる。
【0087】
ここで、巻き付き方式を用いたフィニッシャでは、シートをバッファリング処理する際は、図17の(a)に示すように、まず先行シートS1を回転体であるバッファローラ410の周面に形成された円形パス402内に一時待機させる。そして、後続シートS2の搬送に合わせて一時待機していたシートS1を合流地点406で重ね合わせ搬送を行う。これを必要枚数繰り返し、必要枚数重ね合わせると、搬送経路切り替え部材409を切り替え、重ね合わせたシート束を、束搬送パス413に設けられた搬送ローラ411により搬送する。
【0088】
また、複数バッファパス方式を用いたフィニッシャでは、図17の(b)に示すように、重ね合わせを行う枚数分のバッファパスを用いてシートの重ね合わせを行う。ここでは3枚を重ね合わせる場合を例に説明を行う。シートが搬送されると、経路切り替え部材504を用いて、第1先行シートS1を第1バッファパス501に、第2先行シートS2を第2バッファパス502にそれぞれ導き、一時待機させる。
【0089】
この後、重ね合わせる最終シートS3が第3バッファパス503を通り、合流パス505を通過するタイミングで第1バッファパス501に設けられた搬送ローラ510及び第2バッファパス502に設けられた搬送ローラ511を駆動する。これにより、第1及び第2バッファパス501,502に待機していたシートS1,S2を、合流パス505で最終シートS3と重ね合わせ、この後、3枚のシートS1〜S3を、重ね合わせた状態で搬送ローラ512により搬送する。なお、もっと多くの枚数で重ね合わせる場合においても、重ね合わせ枚数に対応したバッファパスを備え、それぞれのバッファパスにシートを導き、一時待機後、重ね合わせ最終シートに合わせて搬送し合流する同様の動作を行う。
【0090】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図18は、本実施の形態に係るフィニッシャのステイプル部の構成を示す図である。なお、図18において、既述した図12と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0091】
図18において、158Aは第1移送部を構成する引き込みローラであり、この引き込みローラ158Aは、中間処理トレイ138の上方、かつ下排出ローラ128aの略直下方位置に、上下方向に回動自在に設けられている。ここで、この引き込みローラ158Aは中間処理トレイ138上に積載されたシートに接離可能であり、シートと接触する接触位置(実線位置)とシートに接触しない退避位置(破線位置)をとることができる。そして、この引き込みローラ158Aは、接触位置にあるときに、中間処理トレイ138上のシートを引き込んで後端ストッパ150の方向へ移送する。
【0092】
また、131Aは第2移送部を構成する引き込みベルトローラであり、この引き込みベルトローラ131Aは中間処理トレイ138の上方、かつ引き込みローラ158Aよりシート排出方向下流(移送方向上流)に配設されている。そして、この引き込みベルトローラ131Aは、中間処理トレイ138上に積載されたシートに接離可能であり、シートと接触する接触位置(実線位置)とシートに接触しない退避位置(破線位置)をとることができる。そして、引き込みベルトローラ131Aが接触位置にあるときに、中間処理トレイ138上のシートを引き込んで引き込みローラ158Aの方向へ移送させる。
【0093】
ここで、本実施の形態において、引き込みベルトローラ131A及び引き込みローラ158Aは、それぞれ既述した第1の実施の形態における引き込みパドル131及び引き込みベルトローラ158に対応する機能を有している。即ち、中間処理トレイ138上に放出された途中バッファシートに対し、引き込みローラ158Aはシートを後端ストッパ150へ移送する機能を有している。また、引き込みベルトローラ131Aは下側のシートが後端ストッパ150に到達した後に上側のシートを引き込みローラ158Aへと受け渡す機能を有している。
【0094】
そして、途中バッファシートが中間処理トレイ138に搬送された後、引き込みローラ158Aにより、最下位のシートから順次移送して、後端ストッパ150に当接させるようにしている。さらに、シートを引き込んで引き込みローラ158Aに移送する引き込みベルトローラ131Aを、引き込まれたシートが後端ストッパ150に当接するまでは、次のシートが引き込みローラ158Aに達することがないように駆動するようにしている。これにより、搬送誤差やシートの搬送方向長さのバラツキがある場合でも重ね合わせた複数枚のシートを確実に整合することができる。
【0095】
なお、本実施の形態では、既述した第1の実施の形態の回転しながら接触位置及び退避位置に移動する引き込みパドル131に対応する第2移送部として、変形しながら接触位置及び退避位置に移動する無端ベルトであるベルトローラを適用した。しかし、本発明は、これに限らない。
【0096】
この移送部材はシートが移送でき、かつシートに接離可能であれば良く、引き込みローラ158Aのように接触位置及び退避位置に昇降可能な搬送ローラでも良い。同様に、搬送されたシートのうちの最下位のシートから順次移送する第1の実施の形態の引き込みベルトローラ158に対応する第1移送部も、シートが移送でき、かつシートに接離可能であれば良く、引き込みパドル131のようなパドルを適用しても良い。即ち、第1移送部及び第2移送部を、無端ベルトと、パドルと、ローラのうちの一つにより、それぞれ構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0097】
100…フィニッシャ、100C…シート待機部、131…パドル、131A…引き込みベルトローラ、138…中間処理トレイ、158…引き込みベルトローラ、158A…引き込みローラ、150…後端ストッパ、240a,240b…整合部材、600…白黒/カラー複写機、601…操作部、602…白黒/カラー複写機本体、603…画像形成部、630…CPU回路部、636…フィニッシャ制御部、S…シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理を行うシートを積載するシート積載部と、
前記シート積載部に搬送されたシートの搬送方向の一端と当接してシートの搬送方向の位置を規制する規制部材と、
複数枚のシートを重ね合わせて待機させ、待機させたシートが前記シート積載部に搬送された際、後続シートの下に重ねられる先行シートの方が前記規制部材に近い状態となるように順次搬送方向にずらして前記シート積載部に搬送するシート待機部と、
前記シート積載部に搬送された待機シートのうちの最下位のシートから順次移送して前記規制部材に当接させる第1移送部と、
前記第1移送部の移送方向上流に位置し、前記シート積載部に搬送されたシートを前記第1移送部に移送する第2移送部と、
前記第1移送部により移送されたシートが前記規制部材に当接するまでは、次のシートが前記第1移送部に達しないように前記第2移送部による次のシートの移送を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1移送部により移送されたシートが前記規制部材に当接するまでは前記第2移送部によって移送される次のシートが前記第1移送部に達することがないように前記第2移送部の移送速度を制御することを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2移送部の移送速度が前記第1移送部の移送速度よりも小さくなるよう制御することを特徴とする請求項2記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記第1移送部及び前記第2移送部は、それぞれ前記シート積載部に搬送されたシートに接触する接触位置及びシートと接触しない退避位置に移動可能であり、前記シート積載部にシートが搬送されると前記接触位置に移動し、前記シート積載部に搬送されたシートが前記規制部材に当接すると前記退避位置に移動する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記第2移送部は、前記シート積載部にシートが搬送されると前記退避位置から前記接触位置に移動することを特徴とする請求項4記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記第1移送部及び前記第2移送部を、変形しながら前記接触位置及び前記退避位置に移動する無端ベルトと、回転しながら前記接触位置及び前記退避位置に移動するパドルと、前記接触位置及び前記退避位置に昇降可能なローラのうちの一つにより、それぞれ構成することを特徴とする請求項4又は5記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記シート積載部に積載されたシートが前記規制部材に当接した後、シートを、シートを排出する方向と直交する幅方向に整合する幅方向整合部を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部によって画像を形成されたシートを処理する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート処理装置と、を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2013−82555(P2013−82555A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−193981(P2012−193981)
【出願日】平成24年9月4日(2012.9.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】