説明

シート処理装置及び画像読取装置

【課題】排出されるシートの整合性を向上することができるシート処理装置及び画像読取装置を提供する。
【解決手段】載置台100にシート束90を立てて載置し、シート束90からシートを1枚ずつ取り出して搬送し、所定の処理を行った後、第1排紙部102又は第2排紙部103に排出する。載置台100では第1の,第2の駆動軸に取り付けられた第1の,第2の回転体の回転によりシート束90を上下方向に振動させながらシート束90の先端を載置台突き当て部122に突き当てて、シート束90を整合する。第1排紙部102では第1の,第2の回転体に同軸に連結された第3の,第4の回転体の回転によりシートを上下方向に振動させながらシートの後端を第1後端側突き当て部123に突き当てて、シート束を整合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置及び画像読取装置に関し、具体的には、給送部にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ搬送路に給送して画像を読み取り、画像を読み取った原稿を順次排出する画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ等に搭載される画像読取装置は、シートを画像読取部に給送するために、ADF(automatic document feeder)等のシート給送装置を備えている。ADF等のシート給送装置では、複数枚のシートからなるシート束を給紙部(給送部)にセットする際に、シート束の端部を揃える整合作業を行う必要があるが、全てのシートが端部を揃えた状態でセットされないことがある。
【0003】
その場合、シートを1枚ずつ分離して搬送する際にジャムが発生したり、給紙順が入れ替わる等の問題が生じることがある。また、搬送するシートとして、例えば、MICR等の磁気インク文字が印刷されたシートの場合、給送前のシート端部の揃え状態が悪いと、その後の画像読取部と磁気インク文字との相対位置関係を良好に保つことができず、正確に磁気インク文字を読み取ることができないという問題が生じる。
【0004】
このような問題を解決するために、給紙部にセットされたシート束を振動させながらシート束の端部を揃える整合装置を有するシート給送装置が提案されている(特許文献1参照)。この特許文献1に記載されたシート給送装置は、給紙を行うためにシート束がシートの重なり方向が略水平方向となる状態で載置される載置台を備えている。シート束の整合時には、シート給送方向に互いに離間するように載置台の下側に配置された断面矩形状の2つの回転体がシート給送方向に回転することにより、回転体の角隅部でシート束を繰り返し突き上げてシート束を振動させる。これにより、シート束の底面(各シートの下端の辺)を揃えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4265763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したADF等のシート給送装置を備えた画像読取装置では、読み取り後のシートが1枚ずつ排紙部(排出部)に排紙されて積載される。このとき、各シートは排紙部に勢いよく排出されるため、読み取り等を終了したシートの束の端部が一律に揃わない場合が殆どである。そのため、読み取り後のシート束を別の場所に収納等する場合には、シート束の整合作業を行う必要がある。このシート束の整合作業は、大量のシートを処理しなければならない場合には、非常に面倒である。
【0007】
なお、近年、シートの高速処理の要望に伴ってシートの搬送速度も高速化しており、上述した排出シートの整合性の問題は顕著化する。また、上述した各問題は、画像読取装置に限って発生するものではなく、複数枚のシートを順次搬送して所定箇所に排出してシート束として集める構成のシート搬送装置においても同様に発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、排出されるシートの整合性を向上することができるシート処理装置及び画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るシート処理装置は、複数のシートからなるシート束が前記シートの主面が鉛直方向と略平行となるようにセットされる給送部と、前記給送部から取り込まれたシートが排出される排出部と、前記排出部に排出されたシートの先端又は後端を突き当てる突き当て部と、前記排出部に排出されたシート束を振動させて前記突き当て部に突き当たるように前記シート束を動かす整合手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像読取装置は、複数のシートからなるシート束が前記シートの主面が鉛直方向と略平行となるようにセットされる給送部と、前記給送部にセットされたシート束の先端を突き当てる第1の突き当て部と、前記給送部にセットされたシート束を鉛直方向に振動させながら前記シート束が前記第1の突き当て部に突き当たるように前記シート束を動かす第1の整合手段と、前記給送部にセットされたシート束から1枚ずつシートを取り出されたシートが排出される排出部と、前記排出部に排出されたシート束の先端又は後端を突き当てる第2の突き当て部と、前記第1の整合手段と連結され、前記排出部に排出されたシート束を鉛直方向に振動させながら前記シート束が前記第2の突き当て部に突き当たるように前記シート束を動かす第2の整合手段と、前記第1の整合手段又は前記第2の整合手段を駆動することにより前記第1の整合手段と前記第2の整合手段とを同時に駆動する共通の駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、排出されるシートの整合性を向上させることができる。また、給送部と排出部のシート整合手段を共通の駆動手段で駆動する場合には、装置コストのコストアップを抑えながら、給送部でのシート束の整合と排出部でのシート束の整合とを同時又は任意に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置をその上側から見たときの概略構造を示す断面図である。
【図2】図1に示す画像読取装置が備える、第1実施形態に係るシート整合装置の構造を示す断面図である。
【図3】図1に示す画像読取装置が備える、第2実施形態に係るシート整合装置の構造を示す断面図である。
【図4】図1に示す画像読取装置が備える、第3実施形態に係るシート整合装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、磁気情報としてのMICR情報(磁気インク文字情報)を有するシート(原稿)の磁気情報または画像情報の読み取りを行う、いわゆるチェックスキャナである画像読取装置を取り上げて説明することとする。
【0014】
<画像読取装置の概略構造>
図1は、本発明の実施形態に係る画像読取装置をその上側から見たときの概略構造を示す断面図である。画像読取装置300では、複数枚のシート(読取原稿)からなるシート束90は、シートの主面が鉛直方向と略平行となるように(シートの重なり方向が略水平方向となるように)、給紙を行う給送部の少なくとも一部を構成する載置台100に載置(セット)される。したがって、図1にはシート束90の厚み方向側面が描画されている。
【0015】
載置台100に載置されたシート束90は、給紙ローラ104に対して押圧されるように、押圧板101によって付勢されている。給紙ローラ104に当接するシートは、給紙ローラ104の駆動により給送ローラ105側へ送給される。シートが重送された場合には、重送された複数枚のシートは、分離ローラ107によって1枚ずつに分離されて搬送路110へ給送される。すなわち、本実施形態では、上述した載置台100、給紙ローラ104、分離ローラ107、及び押圧板101によって給送部が構成される。
【0016】
搬送路110には、上流側から下流側に向けて、載置台100から給送されたシートを検知するレジストセンサ112と、シートのMICR情報を読み取る情報読取部106と、シートの画像を読み取る画像読取部108とがこの順序で配置されている。情報読取部106で読み取られたMICR情報及び画像読取部108で読み取られた画像情報は、通信ケーブル(不図示)等を通してホストコンピュータ(不図示)等に送信される。すなわち、本実施形態の画像読取装置300とホストコンピュータとで画像読取システムが構成される。
【0017】
画像読取装置300では、排紙先の指示情報に従って、排紙部として2箇所に設けられた第1排紙部102又は第2排紙部103へシートが排紙されるように、切替フラッパ(不図示)や対応する搬送ローラが駆動される。なお、排紙先の指示情報は、画像読取装置300が備える操作手段(不図示)から受信する。つまり、本実施形態の画像読取装置300は、1つの給送部に対して複数の排出部として第1排紙部102及び第2排紙部103が設けられ、給送部から取り込まれるシートは、排出先としての第1排紙部102又は第2排紙部103に振り分け可能に設けられている。
【0018】
載置台100には、シート束90をシート搬送方向で整合するために、第1の突き当て部として、シート先端(搬送路110側)を当接により受け止める載置台突き当て部122が設けられている。また、第1排紙部102には、排紙されたシートをシート搬送方向で整合するための第2の突き当て部として、シートの後端を突き当てる第1後端側突き当て部123及びシートの先端を突き当てる第1先端側突き当て部125が設けられている。同様に、第2排紙部103には、第3の突き当て部として、シートの後端を突き当てる第2後端側突き当て部124及びシートの先端を突き当てる第2先端側突き当て部126が、それぞれ設けられている。すなわち、上記第1排紙部102及び第2排紙部103は、それぞれが所定枚数のシートを確実に収容可能な収容スペースを有し、且つシートの整合性を高めるべくシートの排出方向においてシートの移動を規制するための突き当て部が設けられている。
【0019】
シート束90からシートを分離して搬送路110へ送給し、第1排紙部102又は第2排紙部103へ排紙するまでの、画像読取装置300を構成する各種の駆動部品等(構成要素)の動作制御は、制御部(不図示)により行われる。制御部は、CPUと、プログラム等を格納したROMと、記憶媒体としてのRAM等を備え、CPUが、ROMに格納されたプログラムをRAMの作業領域に展開し、実行することにより、画像読取装置300全体の動作が制御される。
【0020】
<第1実施形態に係るシート整合装置>
[シート整合装置の構造]
図2は、画像読取装置300が備える、第1実施形態に係るシート整合装置の構造を示す断面図である。このシート整合装置は、載置台100、第1排紙部102及び第2排紙部103の下側に配置されている。
【0021】
シート整合装置は、載置台100の下側に配置された第1回転体115(第1の回転体)と第2回転体116(第2の回転体)とを備えている。また、シート整合装置は、第1排紙部102と第2排紙部103の下側に配置された第3回転体117(第3の回転体)と第4回転体118(第4の回転体)とを有している。以下に詳細に説明する通り、第1回転体115及び第2回転体116は、回転することにより載置台100におけるシート束90の整合を行う第1の整合手段として機能する。また、第3回転体117及び第4回転体118は、回転することにより第1排紙部102及び第2排紙部103におけるシート束の整合を行う第2の整合手段として機能する。
【0022】
また、シート整合装置は、第1駆動軸113(第1の駆動軸)と、第2駆動軸114(第2の駆動軸)とを備えている。第1回転体115は第1駆動軸113に取り付けられ、第2回転体116は第2駆動軸114に取り付けられている。モータ(不図示)の駆動力がベルト119を介して第1駆動軸113及び第2駆動軸114へ伝えられ、第1駆動軸113及び第2駆動軸114が同じ方向に回転する。第1駆動軸113及び第2駆動軸114は共通の駆動手段(モータ及びベルト119)によって駆動される。
【0023】
第3回転体117は第1回転体115に対して同軸に連結されており、第4回転体118は第2回転体116に対して同軸に連結されている。本実施形態では、連結の一態様として、第1駆動軸113が第1回転体115と第3回転体117とを貫通するようにして、第1駆動軸113に第1回転体115と第3回転体117とが固定された構造を採っている。同様に、第2駆動軸114が第2回転体116と第4回転体118とを貫通するようにして、第2駆動軸114に第2回転体116と第4回転体118とが固定された構造としている。よって、本実施形態では、第1回転体115〜第4回転体118は、同じ方向に同じ回転速度で回転する。なお、これら第1回転体115〜第4回転体118は、シートの整合性を高めるべく、それぞれ非同期的に回転制御できるようにしてもよいし、給送部と排出部とで同期又は非同期に回転制御できるようにしてもよい。
【0024】
第1回転体115〜第4回転体118は、長手方向と直交する断面が楕円や多角形(例えば、四角形)等の形状を有している。第1回転体115及び第2回転体116は、回転時に、その外周面が載置台100の底面から一定の長さだけ突出した状態と載置台100の底面下に隠れる状態とが実現されるように、形状及び配設位置が調整されている。第3回転体117及び第4回転体118についても同様である。
【0025】
したがって、第1駆動軸113及び第2駆動軸114を回転させて第1回転体115〜第4回転体118を回転させることにより、第1回転体115〜第4回転体118上に載置又は排紙されているシートは上方に突き上げられて上下に振動する。これによりシート束を整合する効果が得られる。このシート整合の原理は、従来技術として説明した特許文献1に記載されたシート整合の原理と同様である。
【0026】
すなわち、第1回転体115及び第2回転体116は載置台100に載置されたシート束90に当接し、第1回転体115はシート束90をその先端側(搬送路110側)で整合し、第2回転体116はシート束90をその後端側で整合する。第3回転体117は、第1排紙部102及び第2排紙部103に排出されたシート束をその後端側(搬送路110側)で整合し、第4回転体118は、第1排紙部102及び第2排紙部103に排出されたシート束をその先端側で整合する。
【0027】
なお、第1回転体115〜第4回転体118の回転位置はエンコーダ120によって検出され、センサ121がエンコーダ120の検出を行う。また、第1回転体115〜第4回転体118の回転方向を決める第1駆動軸113及び第2駆動軸114の回転方向は、例えば、モータ(不図示)の回転方向を切り換えることにより、任意に切り換えることができるようになっている。この切り換えは、ユーザが操作手段(不図示)を通して行うことができる。
【0028】
[シート整合装置によるシート整合動作]
ユーザは、載置台100にシート束90を載置し、画像読取装置300が備える操作手段(不図示)の整合開始スイッチを押下する。これにより、ベルト119を介してモータ(不図示)によって第1駆動軸113及び第2駆動軸114が回転駆動され、第1回転体115〜第4回転体118が回転を開始する。
【0029】
本実施形態では、第1回転体115及び第2回転体116を、搬送路110方向に回転させる。つまり、第1回転体115及び第2回転体116とシートとの接触部において、シートを搬送路110へ送り出すような力が加わる方向に、第1回転体115及び第2回転体116を回転させる。なお、第3回転体117及び第4回転体118は、第1回転体115及び第2回転体116と同じ方向に回転する。
【0030】
第1回転体115及び第2回転体116の断面形状は、前述の通りに楕円形等であるので、第1回転体115及び第2回転体116が回転すると、シート束90を上方へ突き上げる(持ち上げる)ようにしてシート束90を振動させる。これにより、シート束90を上下方向(鉛直方向)で整合させることができる。これと同時に、シート束90をその先端側(搬送路110側)へ動かす力が、第1回転体115及び第2回転体116からシート束90に作用する。これより、シート束90の先端側は載置台100に設けられた載置台突き当て部122に当接し、シート束90のシート搬送方向での整合が行われる。
【0031】
載置台100でのシート束90の整合動作が終了すると、シート束90の底面が載置台100の底面と接触した状態(各シートの下端辺が載置台100の底面に接触した状態)となるように、第1回転体115〜第4回転体118が停止する。第1回転体115〜第4回転体118の停止動作は、エンコーダ120及びセンサ121の検出結果に基づいて行われる。第1排紙部102及び第2排紙部103にシートが排紙されている場合、載置台100に載置されたシート束90の底面が載置台100の底面と接触した状態になると、第1排紙部102及び第2排紙部103でもシートの下端辺が底面と接触した状態となる。
【0032】
載置台100上で整合されたシート束90のシートは、1枚ずつ、給送ローラ105によって搬送路110へ順次給送され、画像の読み取り等が行われた後、第1排紙部102又は第2排紙部103に排出される。シート束90の全てのシートが排出された後に、本実施形態では、ユーザが次に読み取るシート束を載置台100に載置し、再び操作手段(不図示)の整合開始スイッチを押すものとして、以下に説明を続ける。
【0033】
第1回転体115〜第4回転体118が再び回転を始めると、第1回転体115及び第2回転体116は、先のシート束90の場合と同様に、載置台100に載置されたシート束を、上下方向及びシート搬送方向において整合する。
【0034】
前述の通り、第1回転体115及び第2回転体116が搬送路110方向に回転すると、第3回転体117及び第4回転体118もまた搬送路110方向に回転する。よって、載置台100でのシート束90の整合と同様に、第3回転体117及び第4回転体118の回転により、第1排紙部102及び第2排紙部103に排紙されたシート束の上下方向で整合が行われる。これと同時に、第1排紙部102及び第2排紙部103にそれぞれ排紙されたシート束は、その後端が第1後端側突き当て部123及び第2後端側突き当て部124に当接し、シート搬送方向において整合される。
【0035】
次に、載置台100に載置された次のシート束の全てのシートが搬送路110へ給送され、第1排紙部102又は第2排紙部103に排紙された後に、新たに読み取りを行うシート束がないとする。この場合、第1排紙部102又は第2排紙部103に排紙されたシート束を整合するために、ユーザは操作手段(不図示)の整合開始スイッチを押下する。
【0036】
このとき、第1回転体115〜第4回転体118を、搬送路110方向に回転させてもよいし、搬送路110方向とは反対の方向に回転させてもよい。なお、前述の通り、第1回転体115〜第4回転体118の回転方向(第1駆動軸113及び第2駆動軸114の回転方向)は、ユーザが操作手段(不図示)にて設定することができる。
【0037】
第1回転体115〜第4回転体118を搬送路110方向に回転させた場合の、第1排紙部102及び第2排紙部103にそれぞれ排紙されたシート束の整合については、既に説明しているので、ここでの説明を省略する。
【0038】
第1排紙部102及び第2排紙部103にそれぞれ排紙されたシート束を上下方向で整合するメカニズムは、第3回転体117及び第4回転体118の回転方向に関係なく、同じである。第1回転体115〜第4回転体118を搬送路110方向とは反対の方向に回転させると、第1排紙部102及び第2排紙部103では、シート束は、その先端が第1先端側突き当て部125及び第2先端側突き当て部126に当接するように動く。これにより、シート束をシート搬送方向において整合することができる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、簡単な構成のシート整合装置を用いて、載置台100に載置されたシートと第1排紙部102及び第2排紙部103に排紙されたシート束を同時に上下方向及びシート搬送方向において整合することができる。
【0040】
<第2実施形態に係るシート整合装置>
図3は、画像読取装置300が備える、第2実施形態に係るシート整合装置の構造を示す断面図である。このシート整合装置では、第1回転体115と第3回転体117との連結に第1ギア301が用いられ、第2回転体116と第4回転体118との連結に第2ギア302が用いられている。なお、その他の構成は第1実施形態に係るシート整合装置と同じである。
【0041】
第1ギア301は、回転方向を変換する第1の回転方向変換手段として機能し、第1回転体115の回転方向と第3回転体117との回転方向とを逆にする。同様に、第2ギア302は、回転方向を変換する第2の回転方向変換手段として機能し、第2回転体116の回転方向と第4回転体118との回転方向とを逆にする。したがって、第1回転体115及び第2回転体116を搬送路110方向に回転させると、第3回転体117及び第4回転体118は、搬送路110方向とは反対の方向に回転する。
【0042】
これにより、載置台100ではシート束90を載置台突き当て部122に当接させて整合すると同時に、第1排紙部102及び第2排紙部103ではシートを第1先端側突き当て部125及び第2先端側突き当て部126に当接させて整合することができる。つまり、載置台100、第1排紙部102及び第2排紙部103の全てにおいて、シートをその先端側で整合させることができる。
【0043】
<第3実施形態に係るシート整合装置>
図4は、画像読取装置300が備える、第3実施形態に係るシート整合装置の構造を示す断面図である。このシート整合装置では、第1回転体115と第3回転体117との連結に第1クラッチ401を用い、第2回転体116と第4回転体118との連結に第2クラッチ402を用いている。また、第3回転体117に第1駆動軸113を、第4回転体118に第2駆動軸114を接続し、第1駆動軸113及び第2駆動軸114をモータ(不図示)等からベルト119を介して駆動する構成へ変更されている。その他の構成は第1実施形態に係るシート整合装置と同じである。
【0044】
第1クラッチ401は、回転動力の伝達と遮断とを切り換える第1の切換手段として機能し、第1駆動軸113の回転にしたがって回転する第3回転体117の回転動力の第1回転体115への伝達と遮断とを切り換える。同様に、第2クラッチ402は、回転動力の伝達と遮断とを切り換える第2の切換手段として機能し、第2駆動軸114の回転にしたがって回転する第4回転体118の回転動力の第2回転体116への伝達と遮断とを切り換える。
【0045】
したがって、載置台100、第1排紙部102及び第2排紙部103の全てにおいて同時にシート整合動作を行うだけでなく、第1排紙部102と第2排紙部103だけでシート整合動作を行うという使い方が可能になる。例えば、シート束のスキャン前とスキャン後では、第1回転体115〜第4回転体118の全てを回転させてシート整合動作を行う。そして、シートのスキャン中には、第3回転体117及び第4回転体118のみを回転させることにより、シートのスキャンを行いながら第1排紙部102及び第2排紙部103に排紙されるシート束を整合させるという使用方法を実行することが可能になる。
【0046】
<その他の実施形態>
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0047】
例えば、第1実施形態に係るシート整合装置の動作説明では、画像読取装置300が備える操作手段(不図示)によりシート整合動作を開始させた。しかし、これに限られず、画像読取装置300と接続されたコンピュータ等からの動作開始コマンドによって、シート整合動作を開始させ、シートの読み取りを行うようにしてもよい。
【0048】
また、第3実施形態に係るシート整合装置では、第1クラッチ401及び第2クラッチ402により載置台100でのシート整合動作の実行をオン/オフすることができるようにした。これに対し、第2実施形態に係るシート整合装置が備える第1ギア301及び第2ギア302をそれぞれ第1クラッチ401及び第2クラッチ402に変更した構成とすることができる。
【0049】
このような構成では、第1クラッチ401は、第1回転体115から第3回転体117への回転動力の伝達と遮断とを切り換え、第2クラッチ402は第2回転体116から第4回転体118への回転動力の伝達と遮断とを切り換える。この場合、載置台100、第1排紙部102及び第2排紙部103の全てにおいて同時にシート整合動作を行うだけでなく、載置台100でのみシート整合動作を行うという使い方が可能になる。
【0050】
本発明は以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0051】
また、本発明では、1つの給送部に対して1つの排出部を設けてもよいし、複数の給送部から1つ又は複数の排出部を設けてもよい。さらに、各排出部には、排出されたシートを積載方向(シートの厚さ方向)に押圧又は支持するための板状部材を設けてシート整合性を高めてもよい。なお、このような板状部材は、排出部内でのシートの移動を案内する役割や、シートを摺接させて排出部内でのシートの暴れ等の不整合を抑制する役割を持たせることも可能である。このように排出部に板状部材を設ける場合、排出部でのシート整合動作においては、板状部材によるシート押圧動作を一時的に解除(シートを実質的に押圧せず支持する)等してシートの機動性を確保し、シートの整合作業の効率を高めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
90 シート束
100 載置台
102 第1排紙部
103 第2排紙部
110 搬送路
113 第1駆動軸
114 第2駆動軸
115 第1回転体
116 第2回転体
117 第3回転体
118 第4回転体
122 載置台突き当て部
123 第1後端側突き当て部
124 第2後端側突き当て部
125 第1先端側突き当て部
126 第2先端側突き当て部
300 画像読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシートからなるシート束が前記シートの主面が鉛直方向と略平行となるようにセットされる給送部と、
前記給送部から取り込まれたシートが排出される排出部と、
前記排出部に排出されたシートの先端又は後端を突き当てる突き当て部と、
前記排出部に排出されたシート束を振動させて前記突き当て部に突き当たるように前記シート束を動かす整合手段とを備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
複数のシートからなるシート束が前記シートの主面が鉛直方向と略平行となるようにセットされる給送部と、
前記給送部にセットされたシート束の先端を突き当てる第1の突き当て部と、
前記給送部にセットされたシート束を鉛直方向に振動させながら前記シート束が前記第1の突き当て部に突き当たるように前記シート束を動かす第1の整合手段と、
前記給送部にセットされたシート束から1枚ずつシートを取り出されたシートが排出される排出部と、
前記排出部に排出されたシート束の先端又は後端を突き当てる第2の突き当て部と、
前記第1の整合手段と連結され、前記排出部に排出されたシート束を鉛直方向に振動させながら前記シート束が前記第2の突き当て部に突き当たるように前記シート束を動かす第2の整合手段と、
前記第1の整合手段又は前記第2の整合手段を駆動することにより前記第1の整合手段と前記第2の整合手段とを同時に駆動する共通の駆動手段と、を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
前記第1の整合手段は、前記給送部にセットされたシート束と接触して回転により前記シート束を振動させる第1の回転体及び第2の回転体を有し、
前記第2の整合手段は、前記第1の回転体及び前記第2の回転体にそれぞれ同軸となるように連結され、前記排出部に排出されたシートと接触して回転により前記シートを振動させる第3の回転体及び第4の回転体を有し、
前記駆動手段は、同じ方向に回転する第1の駆動軸及び第2の駆動軸を有し、
前記第1の駆動軸及び前記第2の駆動軸に、前記第1の回転体及び前記第2の回転体が、又は、前記第3の回転体及び前記第4の回転体が、取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1の整合手段は、前記給送部にセットされたシート束と接触して回転により前記シート束を振動させる第1の回転体及び第2の回転体を有し、
前記第2の整合手段は、前記排出部に排出されたシートと接触して回転により前記シートを振動させる第3の回転体及び第4の回転体を有し、
前記駆動手段は、同じ方向に回転する第1の駆動軸及び第2の駆動軸を有し、
前記第1の回転体と前記第3の回転体とを同軸となるように連結する第1の回転方向変換手段と、前記第2の回転体と前記第4の回転体とを同軸となるように連結する第2の回転方向変換手段と、を更に備え、
前記第1の駆動軸及び前記第2の駆動軸に、前記第1の回転体及び前記第2の回転体が、又は、前記第3の回転体及び前記第4の回転体が、が取り付けられ、
前記第1の回転方向変換手段及び前記第2の回転方向変換手段はそれぞれ、前記第1の回転体及び前記第2の回転体の回転方向と前記第3の回転体及び前記第4の回転体の回転方向とを逆にすることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第1の整合手段は、前記給送部にセットされたシート束と接触して回転により前記シート束を振動させる第1の回転体及び第2の回転体を有し、
前記第2の整合手段は、前記排出部に排出されたシートと接触して回転により前記シートを振動させる第3の回転体及び第4の回転体を有し、
前記駆動手段は、同じ方向に回転する第1の駆動軸及び第2の駆動軸を有し、
前記第1の回転体と前記第3の回転体とを同軸となるように連結する第1の切換手段と、前記第2の回転体と前記第4の回転体とを同軸となるように連結する第2の切換手段と、を更に有し、
前記第1の駆動軸及び前記第2の駆動軸に、前記第1の回転体及び前記第2の回転体が、又は、前記第3の回転体及び前記第4の回転体が、取り付けられ、
前記第1の切換手段は前記第1の回転体と前記第3の回転体との間での回転動力の伝達と遮断を行い、前記第2の切換手段は前記第2の回転体と前記第4の回転体との間での回転動力の伝達と遮断を行うことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−171751(P2012−171751A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35787(P2011−35787)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】