説明

シート処理装置

シート状印刷基材を処理するためのシート処理装置は、シートの少なくとも一部分を支持するシート支持面と、流体フローを誘発する流体フロー発生器と、吸入口から排出口まで延在している第一通路および前記第一通路を吸引終点に接続する第二通路を含むベンチュリ型負圧源であって、第一通路と第二通路との間の接続は、第一通路内の直径流量制限部に隣接して位置しているベンチュリ型負圧源とを含み、シート支持面は少なくとも1つの開口を含み、これは、動作時に、シート支持面上にシート状印刷基材の少なくとも一部分を押さえつける開口においてシート状印刷基材に負圧が付与されるように、ベンチュリ型負圧源の吸引終点と流体連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状印刷基材を処理するためのシート処理装置、およびシート処理装置内でシート状印刷基材を押さえつける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような印刷装置の典型例は、吐出されるときに標識物質が流体である印刷ヘッドによって画像形成要素が構成される、インクジェットプリンタである。印刷ヘッドは通常各々が、(1つまたは複数の)アレイに配置された、複数のノズルを収容する。動作時には、ノズルは標識物質の流体液滴を基材上に画像通りに吐出するように制御される。プリンタが走査型であるとき、印刷ヘッドは基材を横断して、すなわち主走査方向に往復移動可能なキャリッジ上に支持されている。このようなプリンタでは、印刷ヘッドは通常、主走査方向に対して直交する副走査方向に配列されている。基材を横切るキャリッジの横断において、原画の一部に対応する標識物質の画像ドットのマトリクスは、印刷ヘッドの選択されたノズルを画像通りに作動させることによって、基材上に形成される。印刷されたマトリクスは一般的に印刷スワースと称され、その一方で副走査方向のこのマトリクスの寸法は、スワース幅と称される。通常、必要ではないものの、印刷スワースは、選択された印刷モード内では一定である。画像の一部が完成すると、基材は印刷ヘッドを担持するキャリッジに対して副走査方向に変位させられ、画像の次の部分の印刷を可能にする。この変位ステップがスワース幅と等しくなるように選択されると、画像は多数の非重複スワースにおいて印刷されることが可能である。このような手法の利点は、単一の印刷段階のみが採用されることによる高生産性である。しかしながら、多数の印刷段階の使用を可能にする印刷装置を採用することにより、画質が改良されるかも知れない。画像が印刷ヘッドの単一横断または多重横断のいずれを用いて印刷されるかに関わらず、基材と印刷ヘッドとの間の中間横断変位はわずかな増分において実行され、増分は通常、印刷スワース幅と同じかまたはそれより小さい。一貫した許容可能な画質を提供するためには、わずかな変位誤差でさえ、たとえば白筋およびバンディングなどの印刷アーチファクトをもたらす可能性があるので、これらの変位ステップが確実に実行され得ることは、最重要である。したがって、一旦支持面の平面内の印刷領域で、および印刷ヘッドに向かう方向に位置決めされたら、基材を正確に維持することが重要である。印刷ヘッドを基材に接触させると、画像の汚れを生じて、通常は繊細な印刷ヘッドを損傷する危険性を増加させる可能性がある。基材の位置および向きを維持することは、通常は、印刷領域の下に位置する吸引装置によって実行される。このタイプの吸引装置では、吸引装置内の真空緩衝器の空気を吸い出すファンに動力供給することによって、準大気圧が誘導される。この負圧は通常、これらの開口を覆う基材がシート支持面に対して押さえつけられるように、印刷システムのシート支持面の複数の開口に供給される。標識材料を基材に適用した後に基材が次のスワースのために再位置決めされるように、あるいは完全な画像を完成させた後に基材がシート支持面から外されるように、真空がオフに切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,378,155号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート支持面の開口で真空を印加すること、ならびに緩和することは、いずれもある程度の設定時間を要し、これは実質的にスワースまたは基材スイッチの間の生産性に影響する。さらに、負圧源から開口への負圧の移動は、シート処理装置の費用および複雑さを著しく増加させ、すなわち準大気圧を媒体維持箇所に移動させるためには、負圧を維持して負圧源から負圧が必要とされる場所まで移動させるために、一般的に比較的太い配管が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、動作時に、切替時間に対する影響を最小限にして印刷基材を確実に保持する、シート処理装置を提供する。
【0006】
本発明の第一の態様によれば、シート状印刷基材を処理するためのシート処理装置が開示され、これは、シートの少なくとも一部分を支持するシート支持面と、流体フローを誘発する流体フロー発生器と、吸入口から排出口まで延在している第一通路および前記第一通路を吸引終点に接続する第二通路を含むベンチュリ型負圧源であって、第一通路と第二通路との間の接続は、第一通路内の直径流量制限部に隣接して位置しているベンチュリ型負圧源とを含み、シート支持面は少なくとも1つの開口を含み、これは、動作時に、シート支持面上にシート状印刷基材の少なくとも一部分を押さえつける開口においてシート状印刷基材に負圧が付与されるように、ベンチュリ型負圧源の吸引終点と流体連通している。
【0007】
流体が流れるように誘導する流体フロー発生器をオンに切り替えることによって比較的瞬時に真空が形成されることは、このシート処理装置の利点である。本発明は、負圧が必要とされる場所の比較的近くで準大気圧が発生することを、さらに可能にする。一般的に、流体のフローを移動させることは、源から開口まで負圧を移動させるよりも容易である。本発明によるシート処理装置にベンチュリ型負圧源を使用することによって、比較的低流量で、高度な負圧が達成可能である。これは、たとえばシート状印刷基材が、負圧が付与される全ての開口を覆っていない場合など、負圧漏れの比較的低い影響に貢献する。
【0008】
本発明の一実施形態において、シート処理装置は、流体フロー発生器とベンチュリ型負圧源の吸入口の間に実装された流量制限弁をさらに含み、この流量制限弁は−動作中に−流体フロー発生器からベンチュリ型負圧源の吸入口に流体が流れるのを制御可能に抑制するように構成されている。流量制限弁を抑制状態に切り替えることにより、結果的にベンチュリ型負圧源を流れる流体はなくなり、負圧は開口に負圧を構築することを瞬時に停止する。流量制限弁を開放状態に切り替えることは、ベンチュリ型負圧源を通る流れをもたらし、負圧は、シート状印刷基材を保持する開口で実質的に瞬時に構築し始める。
【0009】
本発明の一実施形態において、シート処理装置は、ベンチュリ型負圧源とシート状印刷基材を保持する開口との間の構築負圧を緩衝するために、開口における開放真空緩衝器空間を含む。真空緩衝器空間を採用することにより、より一定な負圧が開口において維持されるように、負圧におけるわずかな変動も補償される。真空緩衝器空間は比較的小さくてもよく、たとえばシート支持面にくぼんだカップ型の緩衝器空間など、シート支持面の開口の直下の小さなチャンバであってもよく、あるいは複数の開口にまたがってもよい比較的大きい空間を含んでもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、シート処理装置は、吸引終点における構築負圧を制御可能に緩和するための、通気手段をさらに含む。ベンチュリ型負圧源を通る流体のフローを抑制することは実質的に瞬時に吸引終点における負圧の構築を停止するものの、通気手段を追加することは、たとえばシート状印刷基材の搬送を可能にするために、シート状印刷基材の保持とシート状印刷基材の解放との間のより迅速な切替に貢献するだろう。通気手段の制御は、たとえば電気的に、光学的に、機械的に、空気圧によってなど、通気手段と制御ユニットとの間の接続によって、実現されてもよい。制御ユニットは、単一ユニットとして実現されてもよく、あるいは全体に分散され、しかもシート処理装置から離れていてもよい。吸引終点が通気される状態に通気手段を切り替えることにより、吸引終点における圧力が大気圧力まで緩和されるように、大気空気はベンチュリ型負圧源とシート状印刷基材との間を流れることができるようになる。さらなる実施形態において、通気手段は、流体フロー発生器からの流体フローと制御可能に流体連通している。つまり、吸引終点が通気される状態に通気手段を切り替えることにより、吸引終点における圧力が大気圧力またはわずかな正圧まで緩和されるように、加圧空気がベンチュリ型負圧源とシート状印刷基材との間を流れることが可能になり、シート支持面における開口からのシート状印刷基材のより高速な解放を可能にする。通気手段を切り替える弁は、個別の弁であってもよく、またはたとえば、弁の第一状態で流体フローをベンチュリ型負圧源まで誘導し、弁の第二状態で圧縮流体フローを通気手段まで誘導する弁など、二状態弁であってもよい。後者は、通気手段が止められたときに、吸引終点における負圧の構築を停止する。
【0011】
本発明の一実施形態において、シート処理装置は、たとえば正圧源から個々の区画に加圧空気を供給するホースなど、個々の流体フローによって個別に動作させられる、複数の区画をさらに含む。いずれの加圧流体源も流体フロー発生器の役割を果たしてよいことは、当業者にとって自明である。シート処理装置は、単一の、または複数の、流体フロー発生器を含んでもよい。
【0012】
本発明の別の態様は、上記請求項のいずれか一項に記載のシート処理装置を含むインクジェットプリンタに関し、これはシート支持面の少なくとも一部にわたって主走査方向に往復移動可能であって少なくとも1つの印刷ヘッドを担持するキャリッジをさらに含み、各印刷ヘッドは、主走査方向に横断して印刷基材の仮想印刷領域に標識物質のドットを画像通りに形成するための、複数の吐出要素を有しており、印刷基材の印刷領域は、吸引によってシート支持面上に押さえつけられている。インクジェット印刷において、シート状印刷基材と印刷ヘッドとの間の接触が印刷ヘッドを損傷または破壊さえするおそれがあるので、シート状印刷基材の平面内およびシート状印刷基材の平面に対して直角の、両方の必要な位置にシート状印刷基材が保持されることは、最重要である。
【0013】
本発明の別の態様は、シート処理装置内にシート状印刷基材の少なくとも一部分を押さえつける方法に関し、この方法は、a)シート処理装置のシート支持面の開口を覆うためにシート状印刷基材の一部分を提供するステップであって、開口はベンチュリ型直径流量制限部と流体連通している、ステップと、b)ベンチュリ型直径流量制限部を通じて流体を流すことを誘発し、それによって準大気圧を形成するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態によるシート処理装置が設けられた、ハイブリッド平台型ロールツーロールインクジェットプリンタの模式的上面図である。
【図2】本発明の一実施形態によるベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。
【図3】本発明の一実施形態によるシート処理装置が設けられた、ハイブリッド平台型ロールツーロールインクジェットプリンタの模式図である。
【図4】本発明の一実施形態による通気手段を含むベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。
【図5】本発明の一実施形態による通気弁を含むベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。
【図6】本発明の一実施形態によるベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。
【図7】本発明の一実施形態による弾性圧力シールを含むベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面に関連して、本発明は、以下に詳細に記載される。いくつかの実施形態が開示される。開示される実施形態において、標識物質は紫外線硬化インクであり、放射線源は水銀ランプであり、基材は紙であるが、しかし当業者がその他いくつかの同等実施形態または本発明を実行するその他の方法を想起し得ることは、明らかである。具体的には、標識物質は、溶媒または水性インク、放射線硬化インク、液体トナー、ホットメルトインクを含むがこれらに限定されない、液状で吐出可能ないずれの標識物質であってもよく、その一方で放射線源は、ハロゲンランプを含む乾燥源、または水銀蒸気ランプ、キセノンフラッシュランプ、およびLEDを含む硬化源であってもよい。基材は、ウェブまたはシート状の可撓性または剛性媒体であってもよく、たとえば紙、段ボール、ラベル用紙、プラスチックまたは布で構成されてもよい。したがって、本発明の範囲は、添付請求項の用語によってのみ限定される。
【0016】
図1の印刷装置は、ハイブリッド型インクジェットプリンタ、すなわち標識物質として紫外線硬化インクを用いる、平台型とロールツーロール型を組み合わせたプリンタである。プリンタの平台部は、印刷時に紙シート2を静止状態で支持および保持するための平坦支持台(1)を含む。台の下には、空気が大気圧よりはるかに低い圧力に保たれている、リザーバがある。支持台は、紙シートと接触する上面を有する有孔金属板を含む。開口5は、台の表面に対して紙シートを吸引させる。金属板の開口5は通常、約1mmの直径を有する。通常、1mあたり約400個の孔が形成される。金属板の上面には、約5mmの直径を有する大きめのくぼみが形成され、各々のくぼみは1つの開口を囲んでいる。いくつかの印刷ヘッド3がキャリッジ4に実装され、これは基材を横切って延在する案内部材7に沿って、すなわち主走査方向に、往復移動することが可能である。
【0017】
たとえばブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)など、特定の色の印刷ヘッド3が、主走査方向、すなわち矢印Aで示される方向に配置され、その一方で異なる色の印刷ヘッドは、矢印Bで示されるように、実質的に副走査方向に配列されている。各印刷ヘッドは、通常は副走査方向で単一のアレイまたは多数のアレイに配置されている、多数の吐出要素を含む。各吐出要素は、インクダクトを経由して、対応する色のインクリザーバに接続されている。各インクダクトには、インクダクトを作動するための手段、および関連する電気駆動回路が設けられている。たとえばインクダクトは、熱的に、および/または圧電的に、または音響的、または静電的に作動されてもよい。インクダクトが作動されると、インク滴が台1の方向に吐出要素から吐出され、基材上にインクのドットを形成する。
【0018】
キャリッジは、基材上に付着したインクドットに放射するための2つの放射線源8をさらに支持する。案内部材7は、キャリッジが吊されている2つの平行な円筒形ロッドで構成されてもよい。案内部材およびキャリッジはいずれもガントリ9の一部である。このガントリは、基材に沿って前後に、すなわち副走査方向に、移動可能である。支持台1およびその上の基材はいずれも静止状態に保たれる。
【0019】
動作時に、ガントリはまず、たとえばキャリッジが支持台1の左上の角に位置するように、初期印刷位置に変位される。次に、選択された印刷モードに応じて、再生されるべき画像または文書の画素のパターンに関連して印刷ヘッドの選択された吐出要素を画像通りに作動することによって、印刷スワースが形成され、その一方でキャリッジは、1つ以上の横断において基材を横切って移動させられる。紫外線硬化インクを用いると、インクを硬化するために必要とされる最小量のエネルギーがある。図1に模式的に示される水銀蒸気ランプ8は、少なくとも印刷スワースが前進する間に付着したインクドットに放射し、印刷スワース幅、すなわち基材を横切るキャリッジの横断において基材上で印刷ヘッドによって形成される画像ドットの幅よりも、わずかに大きい副走査方向の寸法を有する。
【0020】
印刷スワースが完成すると、印刷ヘッドは、次の隣接または部分的に重複する印刷スワースを印刷できるようにするため、副走査方向に段階的に変位させられる。したがって、基材に対する印刷ヘッドの増補的な前進は、先の印刷スワースの幅と同じかまたはそれより小さい。印刷ヘッドはキャリッジに実装され、キャリッジはガントリに吊されているので、副走査方向の印刷ヘッドの変位は、ガントリを変位させることによって行われる。
【0021】
ガントリを正確に変位させるために、駆動手段が提供される。これらの駆動手段は、ベルトを移動させることによってガントリも移動するように、ガントリに動作可能に関連づけられた2つのエンドレス金属ベルトを含む。これらのベルトは、台表面の下で台1の両側に位置決めされ、副走査方向に延在する。ベルトの反対端に位置する2つのプーリが、各ベルトを担持する。ベルトを駆動するために1つのプーリが使用され、その一方で別のプーリはベルトを案内および伸長するために使用される。ガントリを変位させるときのスキューを制限するために、各ベルトの駆動プーリは実質的に同一である。さらに、両方のベルトの駆動プーリが同時に駆動されることを保証するために、ロッドの回転運動が駆動プーリに伝達されるように、両端において駆動プーリに動作可能に接続されている、金属ロッドが適用される。ロッド自体は、たとえばその一端において、中心付近で、あるいは中心から外れて、駆動される。この駆動手段は、プリンタの平台部の支持台1の上方のどの位置でも可能であるだけでなく、プリンタのロールツーロール部の支持体の上方のどの位置においても、印刷ヘッドが正確に位置決めされ得ることを、保証する。
【0022】
ガントリ位置決めおよびひいては印刷ヘッドの位置決めの適切な制御を可能にするために、副走査方向で台表面に沿って延在する平台支持体1上に、高精度リニアエンコーダ14が設けられる。このリニアエンコーダは、台の下に、または副走査方向に延在する台側面にも、実装されてよい。このリニアエンコーダは、マイクロメートル間隔の印が設けられた、高精度の定規である。定規とともにマイクロメートルの範囲内でガントリ/キャリッジ/印刷ヘッド位置の決定を可能にする、光検出器13がキャリッジ上に設けられる。リニアエンコーダが台の下または台側面に実装される場合、光検出器は好ましくはガントリに実装される。正確な駆動手段とともに、約10μm以下のガントリ位置決め精度が達成可能である。
【0023】
静止した基材上の印刷を可能にする平台部に加えて、図1に描写されるようなプリンタは、その上で印刷が実行可能なように、可動基材を担持して一時的に保持する個別の支持体11を有する、ロールツーロール部も含む。プリンタのロールツーロール部の基材搬送路は、比較的単純である。基材、すなわち用紙ウェブ22は、用紙供給ロール21から支持体11上を通って巻き取りロールまで送られる。このように定義された搬送路は、連続経路である。供給ロールおよび巻き取りロールのそれぞれの回転運動には、駆動モータ26が使用される。したがって、用紙送りおよび用紙伸長は、駆動モータを制御することによって制御される。用紙案内を容易にするために、ローラ23および湾曲面24が提供される。また、ローラ23には、滑らないように用紙の裏面に接触するためのエラストマ外層が設けられている。さらに、用紙送りを測定するために、ローラ23の一端には高精度回転エンコーダが設けられている。ローラ23に関連づけられたこのエンコーダの代わりに、またはこれに加えて、用紙送りを判断するため、または少なくとも用紙送りの判断を支援するために、供給ロール21上にも回転エンコーダが設けられてもよい。あるいはローラ23の代わりに、用紙送りを測定するためにグリッドホイールも使用されてよい。
【0024】
動作中、まず供給および巻き取りロールの間に、連続用紙経路が形成される。次に、たとえば印刷ヘッドが、用紙搬送方向に支持体11の約半分のところで支持体11上の用紙の上方に位置するように、先に記載されたような駆動手段を用いて、ガントリが初期印刷位置まで変位させられる。次に、選択された印刷モードに応じて、再生されるべき画像または文書の画素のパターンに関連して印刷ヘッドの選択された吐出要素を画像通りに作動することによって、印刷スワースが形成され、その一方でキャリッジは、1つ以上の横断において支持体11上の用紙22を横切って移動させられる。図1に模式的に示される水銀蒸気ランプ8は、少なくとも印刷スワースが前進する間に付着したインクドットに放射し、印刷スワース幅、すなわち基材を横切るキャリッジの横断において基材上で印刷ヘッドによって形成される画像ドットの幅よりも、わずかに大きい副走査方向の寸法を有する。
【0025】
本発明の実施形態によれば、印刷スワースが完成すると、用紙は、次の隣接または部分的に重複する印刷スワースを印刷できるようにするため、所定の距離にわたって副走査方向に段階的に送られる。続いて、ローラ23に関連づけられた回転エンコーダおよび/または供給ロール21に関連づけられた回転エンコーダによって、実際の用紙送り距離が測定される。この実際の送り距離は所定距離と比較され、それに基づいて補正距離が決定される。次に、印刷ヘッドに対する用紙の実際の送り距離が所定距離に等しくなって次の印刷スワースが実行されてもよいように、ガントリ、キャリッジ、または印刷ヘッドは、副走査方向でこの補正距離だけ変位させられる。ガントリを補正距離だけ正確に変位させるために、平台動作に関連して先に記載されたのと同じ駆動および制御手段が利用される。印刷スワースの実行、用紙送り、位置検出、およびガントリの変位による位置補正のこのシーケンスは、完全な画像が印刷されるまで繰り返される。
【0026】
あるいは、本発明の別の実施形態によれば、各印刷スワースの後に基材を送る代わりに、プリンタは、基材送りに先立って複数の印刷スワースが実行されるように、あるいは言い換えると、先の実施形態に記載されたような基材送りおよび付随する補正が、2つ、3つ、または4つ、あるいは支持体寸法およびガントリ到達距離が許容するできる限り多くの印刷スワースの、各シーケンスの後にのみ実行されるように、動作してもよい。シーケンスの印刷スワースの間で基材を変位させる代わりに、ガントリが支持体11上の基材に対して変位させられる。支持体11および台1は、本発明によるベンチュリ型負圧源と流体連通している、開口5を含む。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態によるベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。図2は、シート状印刷基材2が台1上にどのように保持されるかを、模式的に示す。台1は、台1の上部平面をベンチュリ型負圧源52に接続する、開口5を含む。ベンチュリ型負圧源52は、吸入口57から排出口58までの通路を含む。吸入口57は、この場合には空気圧縮機(図示せず)などの、流体フロー発生器と流体連通している。前記通路は、直径流量制限部59を含む。この直径流量制限部59は、ベンチュリ型負圧源52の吸入口における通路の部分よりも小さい直径を有する、前記通路の一部である。直径流量制限部59内で、通過する流体は、吸入口57におけるよりも高い速度を直径流量制限部59において達成することになり、その物理的結果として、ベンチュリ型負圧源52の直径流量制限部59において、通過している流体の動的圧力は低下することになる。ベンチュリ型負圧源52の寸法を適切に設計することにより、直径流量制限部における圧力Pは、準大気圧の値を達成し、その結果、大気圧力Pに対して負圧となる。負圧Pは、直径流量制限部59を、随意的な緩衝器チャンバ50を通じて間接的に開口5に、または代替実施形態において直接開口5に接続する、導管51内に伝播する。緩衝器チャンバ50は、時間をかけて実際の圧力を均一にする、圧力緩衝器である。
【0028】
図3は、本発明の一実施形態によるシート処理装置が設けられた、ハイブリッド平台型ロールツーロールインクジェットプリンタの模式図である。流体フロー発生器60は、導管511および512を通じて弁551および552に向かって流れる加圧空気のフローを発生させる。弁551および552は、複数のベンチュリ型負圧源52に向かうフローを制御可能に抑制するか、または開放状態においてこれらはフローを通過させる。弁551および552の制御は、電気的に実現される。弁551および552に電気信号を送信することにより、弁は開放から閉鎖状態へ、またはその逆に、切り替わる。前記弁の制御が光学的に、機械的に、空気圧によってなど、別の方法で実現されてもよいことは、明らかであろう。尚、図は6つのベンチュリ型負圧源52を示しているものの、これは単なる説明目的であることに注意してほしい。実際にはシステムは、その他の数のベンチュリ型負圧源52を含んでもよい。流体フロー発生器60からの加圧空気は−実際にはその他の数の区画が存在してもよいが−両方の区画に流入し、導管511から第一区画の出口71へ、および導管512から第二区画の出口72へ、流れる。ベンチュリ型負圧源52は、各々が1つ以上の開口5に接続されている緩衝器チャンバを通じて、開口5と流体連通している。出口71および72はあるいは、加圧流体の閉鎖フロー回路を形成するために、流体フロー発生器への戻り導管として実現されてもよい。
【0029】
図4は、本発明の一実施形態による通気手段を含むベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。本実施形態は、図2の実施形態と非常によく似ているが、しかしこの実施形態は、開口5の付近の吸引終点で負圧を緩和するための通気手段80を含む。この実施形態において、通気手段は、緩衝器チャンバ50に流入し、それによってベンチュリ型負圧源52によって構築された負圧を緩和するために、緩衝器チャンバ50への通路を大気空気に対して制御可能に開放する空気弁80を含む。
【0030】
図5は、本発明の一実施形態による通気弁を含むベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。この実施形態は、弁が状態91に設定されている場合に導管94を通じてベンチュリ型負圧源52まで流れるように、あるいは状態92で通気導管93を通じて緩衝器チャンバ50内に向かって流れるように加圧空気を誘導するように、加圧空気を制御するための弁90を含む。弁90を状態91または92に制御可能に切り替えることにより、システムは、台1上へのシート状印刷基材2の真空吸着の切替時間を短縮することができる。開口5に負圧を印加および解除するのに必要な切替時間を短縮することにより、シート状印刷基材2を搬送方向の次の位置に搬送するなどのプロセスで、より短い時間が費やされる。
【0031】
図6は、本発明の一実施形態によるベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。図6において、シート状印刷基材2はシート処理装置上に支持されている。しかしながら、実際には、いくつかのシート状印刷基材タイプは、たとえば湿気(脱水)、指向性熱的効果などによって丸まる傾向がある。具体的には、印刷剛体などの硬い媒体は、シート状印刷基材2とシート処理装置の吸引開口との間に気流漏れAをもたらす可能性がある。気流漏れは、吸引開口における負圧を局所的に緩和または減少させ、負圧装置の握持を緩めてシート状印刷基材に対する制御を弱める結果となる。図7は、本発明の一実施形態による弾性圧力シールを含むベンチュリ型負圧源を含むシート処理装置の模式図である。弾性圧力シール98、99は、シート処理装置の側面に実装されるように構成されており、拡大円形破線切り取り部に示されるように、負圧の漏れの可能性を少なくとも部分的に封止する。大気圧力Pは、シート状印刷基材に向かって弾性シールを押圧し、丸まった媒体のため、および一般的には通常は完全に吸引穴の上に存在するわけではない媒体のため、シールが存在しない場合に発生するであろう間隙を閉鎖する。媒体搬送方向の上流を指す側面がある角度で曲がるように弾性シールを構成することにより、シート状印刷基材は、吸引領域に供給されたときに上流方向から弾性シール98、99の上を容易に摺動する。
【0032】
一般的に、シート状印刷基材を保持する負圧は時間とともに変動する可能性があり、その点においてこれは完全にオンオフ切替が可能であり、あるいはより高いまたは低い負圧に徐々に切り替えられてもよいことは、理解されるだろう。これは、シート状印刷基材が間欠的に搬送および保持される、たとえば印刷動作中は保持されて次の印刷スワースとの間では搬送される場合に、特に有利である。
【0033】
負圧は、シート処理装置の幅全体にわたって均一であってもよく、あるいは幅全体にわたって変動してもよく、たとえばシート支持面の中心では最大負圧であって、支持面の側縁に向かって減少してもよい。これは時間に応じて交互に変動してもよく、たとえばインクヘッドが支持面の特定スポット上を移動する瞬間に負圧が上昇し、インクヘッドがそのスポット上にないときに減少してもよい。これらの変動が、独立して、あるいは互いに組み合わせて発生してもよいことは、明らかであろう。シート状印刷基材によって吸引開口の封止性を向上させるために、媒体がシート支持面上に押し当てられるように、そしてさらに、望ましければ硬化性を向上させるためにさらなる冷却または気流を提供するために、たとえば走査キャリッジ上など、シート状印刷基材の上方に、空気を吹き付けるエアナイフが実装されてもよい。シート状印刷基材がその上に支持される支持領域は、完全に平坦であるかまたは輪郭を有していてもよい。輪郭を有する支持面は、たとえば多孔質印刷基材を使用するときに、より大きい領域にわたって負圧を均一化するために、有利であろう。支持面は、横方向の搬送のために溝があるか、または別の輪郭を有してもよい。漏れの影響を低減するために、被覆されていない開口を閉鎖することが有利であろう。操作者はたとえば、別の被覆シートを用いて、シート状印刷基材によって覆われていない領域を覆ってもよく、あるいは、吸引開口が覆われていない場合に気流を自動的に閉鎖するために、たとえば米国特許第4,378,155号明細書に開示されているような、弁が実装されてもよい。
【0034】
本発明の詳細な実施形態が、本明細書に開示されている;しかしながら、開示されている実施形態は本発明の例示に過ぎず、様々な形態で実現され得ることは、理解されるべきである。したがって、本明細書に開示された具体的な構造的および機能的詳細は、限定的にではなく、単に請求項の基礎として、および当業者が事実上いずれの適切に詳細説明された構造においても本発明を多様に採用するための教示の代表的な基礎として、解釈されるべきである。具体的には、個別の従属請求項および/または実施形態に提示および記載された特徴は、組み合わせて適用されてもよく、このような請求項および/または実施形態のいずれの組み合わせも、本明細書に開示されるものである。
【0035】
さらに、本明細書において使用される用語および語句は、限定を目的とするものではない;むしろ、本発明の理解しやすい記載を提供することを目的としている。本明細書で使用される「a」または「an」という用語は、1つまたは2つ以上として定義される。本明細書で使用される複数(plurality)という用語は、2つまたは3つ以上として定義される。本明細書で使用される別の(another)という用語は、少なくとも2つめ以上として定義される。本明細書で使用される、含む(including)および/または有する(having)という用語は、含む(comprising)(すなわち限定しない言語)として定義される。本明細書で使用される結合される(coupled)という用語は、必ずしも直接的にではないが、接続される(connected)と定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状印刷基材を処理するためのシート処理装置であって、
シートの少なくとも一部分を支持するシート支持面と、
流体フローを誘発する流体フロー発生器と、
吸入口から排出口まで延在している第一通路および前記第一通路を吸引終点に接続する第二通路を含むベンチュリ型負圧源であって、第一通路と第二通路との間の接続は、第一通路内の直径流量制限部に隣接して位置している、ベンチュリ型負圧源と、を含み、
シート支持面は少なくとも1つの開口を含み、これは、動作時に、シート支持面上にシート状印刷基材の少なくとも一部分を押さえつける開口においてシート状印刷基材に負圧が付与されるように、ベンチュリ型負圧源の吸引終点と流体連通している、シート処理装置。
【請求項2】
流体フロー発生器とベンチュリ型負圧源の吸入口の間に実装された流量制限弁をさらに含み、動作中に、流体フロー発生器からベンチュリ型負圧源の吸入口に流体が流れるのを制御可能に抑制するように構成されている、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
開口が、シート支持面にくぼんだ開放真空緩衝器空間を含む、請求項1または2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
開放真空緩衝器空間が、開放カップ型くぼみ空間を含む、請求項3に記載のシート処理装置。
【請求項5】
吸引終点における負圧を制御可能に緩和するための通気手段をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
通気手段が、流体フロー発生器からの流体フローと制御可能に流体連通している、請求項5に記載のシート処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のシート処理装置を含むインクジェットプリンタであって、シート支持面の少なくとも一部にわたって主走査方向に往復移動可能であって少なくとも1つの印刷ヘッドを担持するキャリッジをさらに含み、各印刷ヘッドは、主走査方向に横断して印刷基材の仮想印刷領域に標識物質のドットを画像通りに形成するための複数の吐出要素を有しており、印刷基材の印刷領域は、吸引手段によってシート支持面上に押さえつけられている、インクジェットプリンタ。
【請求項8】
シート処理装置内にシート状印刷基材の少なくとも一部分を押さえつける方法であって、
a)シート処理装置のシート支持面の開口を覆うためにシート状印刷基材の一部分を提供するステップであって、開口はベンチュリ型直径流量制限部と流体連通している、ステップと、
b)ベンチュリ型直径流量制限部を通じて流体を流すよう誘発し、それによって準大気圧を形成するステップと、を含む方法。
【請求項9】
流体がベンチュリ型直径流量制限部を流れるのを実質的に抑制するように流量抑制器を制御するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
開口において準大気圧を緩和するために開口を通気するステップをさらに含む、請求項8および9のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−512120(P2013−512120A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540408(P2012−540408)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068072
【国際公開番号】WO2011/064226
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(390039435)オセ−テクノロジーズ・ベー・ヴエー (103)
【氏名又は名称原語表記】OCE’−NEDERLAND BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】