説明

シート処置装置の防音装置

【課題】シート処置装置の防音装置において、シート処置装置が発する騒音を遮断して小さくする共に、シート原反の補充作業における作業効率が低下することを防ぐ。
【解決手段】シート処置装置1の防音装置3において、開口部21を具備しシート処置装置1の騒音発生部を覆うように設けられている本体カバー17と、開口部21に開閉自在に設けられ、シート原反保持装置15Aで保持されて本体カバー17の外側に位置しているシート残余原反5とシート原反保持装置15Bで保持されて本体カバー17の内側に位置しているシート原反5とをシート原反補充装置23を用いて相互に交換してシート原反を補充するときに、シート原反補充装置23の構成部材により開口部21を開くように構成されている開閉カバー19とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処置装置の防音装置に係り、たとえば、長尺のシートを巻き替えるシート巻替装置、好適にはシートの中でもよりも薄いフィルムを間欠的に高速で巻き替えるフィルム巻替装置に使用される防音装置に関する。最も具体的に当てはまる例としては、たとえば、家庭用ラップフィルムの巻き替え時に発生する騒音を防止する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺のシートを巻き替えるシート巻替装置の防音装置として、鉄板や樹脂等を用いて構成されたカバーでシート巻替装置を覆い、シート巻替装置のたとえばロール駆動系や高速で巻き替える場合のフィルム(シート)剥離部から発生する騒音を遮断する構成のものが知られている。
【0003】
また、従来の防音装置では、上記カバーの一部に、シートの原反等を出し入れする開口部を設け、この開口部に開閉カバーを設けてある。そして、シート原反等を補充するときに上記開閉カバーを手動で開き、シート巻替装置が巻き替えを行うときに上記開閉カバーを手動で閉じている。
【0004】
なお、従来の技術に関係する文献として、特許文献1〜特許文献3を掲げることができる。特に、特許文献1に示されている従来技術は単に防音カバーの構造に関するものであり、装置として大がかりである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3378938号公報
【特許文献2】特開2004−330335号公報
【特許文献3】特開平10−114451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、シート(フィルム)巻替装置では、巻き替え時は高速で巻き替え作業が行われ、したがって、騒音対策が必要であり、簡便で小型の防音装置が望まれている。
【0007】
また、上記従来の防音装置では、シート原反補充部分において補充作業を行うための開口部が必要となり防音の効果が不十分となり、また防音効果を高めるためにその部分に開閉カバーを設けた場合は開閉カバーを手動で開閉するので、シート原反を交換して補充するとき等における作業性が低下するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、シート処置装置の防音装置において、シート処置装置が発する騒音を遮断して小さくすることができると共に、シート原反の補充作業における作業効率が低下することを防ぐことができる簡便で小型の防音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、シート処置装置の防音装置において、開口部を具備し、前記シート処置装置の騒音発生部を覆うように設けられている本体カバーと、前記本体カバーの開口部に開閉自在に設けられ、第1のシート原反保持装置で保持されて前記本体カバーの外側に位置しているシート原反と第2のシート原反保持装置で保持されて前記本体カバーの内側に位置しているシート残余原反とを、シート原反補充装置を用いて前記本体カバーの開口部を通過させ相互に交換してシート原反を補充するときに、前記シート原反補充装置の構成部材、前記各シート原反保持装置の構成部材、前記シートを支持している支持部材のうちの少なくともいずれかにより、前記本体カバーの開口部を開くように構成されている開閉カバーとを有し、前記本体カバーの開口部を開くときには、前記シート原反のシートが前記開閉カバーに触れないように構成されているシート処置装置の防音装置である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシート処置装置の防音装置において、前記シート処置装置は、ロール状になっているシート原反のシートを、他の芯材に巻き替えて小巻のロール状にするシート巻替装置であり、前記本体カバーの開口部は、前記シート原反が前記シート巻替装置に供給される側に設けられており、前記シート原反補充装置は、前記各シート原反保持装置のうちの一方のシート原反保持装置とこの一方のシート原反保持装置で保持しているシート原反とが前記本体カバーの内側に位置し、前記各シート原反保持装置のうちの他方のシート原反保持装置とこの他方のシート原反保持装置で保持しているシート原反とが前記本体カバーの外側に位置するように、前記各シート原反保持装置を支持していると共に、前記本体カバーの開口部の横方向に延びた軸である回動中心軸を回動中心にして、前記一方のシート原反保持装置およびこのシート原反保持装置で保持しているシート残余原反と、前記他方のシート原反保持装置およびこのシート原反保持装置で保持しているシート原反とを回動して、前記各シート原反保持装置およびこれらの各シート原反保持装置が保持しているシート原反とシート残余原反とを前記本体カバーの開口部を通過させて前記シート原反と前記シート残余原反とを入れ替えてシート原反を補充する装置であるシート処置装置の防音装置である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のシート処置装置の防音装置において、前記シート原反補充装置は、前記回動中心軸を中心軸とし、前記本体カバーの開口部を二分する柱状の中心部材を備えており、前記開閉カバーは、前記二分された開口部の一方の部位である第1の開口部を開閉する第1の開閉カバーと、前記二分された開口部の他方の部位である第2の開口部を開閉する第2の開閉カバーとで構成されており、前記第1の開閉カバーは、平板状であって前記第1の開口部とほぼ同じ形状に形成されており、前記中心部材とは反対側に位置している端部が、前記本体カバーに回動自在に係合しており、前記本体カバーに対し回動して前記第1の開口部を開閉するように構成されており、前記第2の開閉カバーは、平板状であって前記第2の開口部とほぼ同じ形状に形成されており、前記中心部材とは反対側に位置している端部が、前記本体カバーに回動自在に係合しており、前記本体カバーに対し回動して前記第2の開口部を開閉するように構成されているシート処置装置の防音装置である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のシート処置装置の防音装置において、前記第1の開閉カバーは、上方に位置している第1の開口部を開閉する上側カバーであり、前記第2の開閉カバーは、下方に位置している第2の開口部を開閉する下側カバーであり、前記上側のカバーには第1の付勢機構が設けられており、前記第1の付勢機構により、前記上側のカバーが開いた後に閉まる場合、前記上側のカバーに重力がかかっても前記上側のカバーが急速に閉まらず緩やかに閉まるように構成されており、前記下側のカバーには第2の付勢機構が設けられており、前記第2の付勢機構で、前記下側カバーが開くときに前記下側カバーにかかる重力を支え、前記シート原反補充装置の動きによって前記下側カバーが開いた後に閉まるときには前記下側カバーにかかる重力に逆らって前記下側カバーを元の位置まで戻すように構成されているシート処置装置の防音装置である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のシート処置装置の防音装置において、前記各シート原反保持装置で保持されるシート原反の位置を調整するための位置調整ハンドルが、前記シート原反補充装置で前記各シート原反保持装置を回動させたときに、前記各開閉カバーに設けたキャスタに接触する位置に設けられており、前記シート原反を補充するために前記各シート原反保持装置を回動させたときに、前記位置調整ハンドルが前記各開閉カバーに設けたキャスタに接触して前記開閉カバーを押し開けるように構成されているシート処置装置の防音装置である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、シート処置装置の防音装置において、開口部を具備し、前記シート処置装置の騒音発生部を覆うように設けられている本体カバーと、前記本体カバーの開口部に開閉自在に設けられ、第1のシート原反保持装置で保持されて前記本体カバーの外側に位置しているシート原反と第2のシート原反保持装置で保持されて前記本体カバーの内側に位置しているシート残余原反とを、シート原反補充装置を用いて前記本体カバーの開口部を通過させ相互に交換してシート原反を補充するときに、前記シート原反補充装置に連動して前記本体カバーの開口部を開くように構成されている開閉カバーとを有するシート処置装置の防音装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シート処置装置の防音装置において、シート原反補充装置の回動運動を利用して開閉カバーの開閉を行うことで、小型で簡便に、シート処置装置が巻き替え時に発する騒音を遮断して小さくすることができると共に、シート原反の補充作業における作業効率が低下することを防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る防音装置3が使用されているシート巻替装置1の概略構成を示す図である。
【図2】防音装置3の要部の概略構成を示す断面図である。
【図3】図2におけるIII矢視図である。
【図4】図4(a)は、図2におけるIV部の拡大図であり、図4(b)は、図4(a)におけるB矢視図である。
【図5】上側の開閉カバー19Aとドアクローザ35Aとの係合部の変形例を示す図である。
【図6】騒音測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る防音装置3が使用されているシート巻替装置1の概略構成を示す図である。
【0018】
シート巻替装置1は、ロール状のシート原反(原反ロール)5Aに巻き付けられているシート7を、他の芯材9に巻き付けて(巻き替えて)たとえば小巻のロール状にするシート巻替装置である。シート原反5Aは、薄く所定の幅の長尺シート(フィルム)7が円筒状等の棒状の芯材11の外周に巻き付けられていることによってロール状(円筒状)になっている。上記巻き付けは、シート7の長手方向が芯材11の周方向に沿うようにしてなされている。なお、本実施形態におけるシートは、薄く高速で巻き替えることが可能なフィルムを示しているが、ある程度の厚さのものを含めてもよい。
【0019】
シート巻替装置1では、シート7の流れ方向の上流側から下流側に向かって順に、シート原反5A、各ガイドローラ13A,13B,13Cおよび駆動ローラ13Dが配置されている。最も下流側に位置している駆動ローラ13Dが、図示しない駆動ローラ支持装置で支持されて図示しないモータ等のアクチュエータで軸C2を中心にして矢印A5の方向に回転駆動することにより、各ガイドローラ13A,13B,13Cでシート7がガイドされて矢印A2,A3,A4の方向に移動するようになっている。さらに、詳しくは後述するシート原反保持装置15Aで保持されているシート原反(P1に位置しているシート原反)5Aが、軸C1を回転中心にして矢印A1の方向に回転し、シート7が繰り出されるようになっている。
【0020】
そして、駆動ロール13Dが矢印A5の方向に回転し、その結果、芯材9が軸C2aを中心にして矢印A5aの方向に回転し、芯材11から芯材9へのシート7の巻き替えがなされるようになっている。その結果、芯材9に巻き替えられた巻き替え品(小巻ロール)10が出来、所定の長さに巻き替えされた後、巻き替え品10が矢印A5の方向に移動すると共に次の芯材が供給され図示していないカッター刃でシートが切断され次の芯材で巻き替え作業がほぼ連続して行われるようになっている。
【0021】
以上のようにして巻き替え作業が行われる訳であるが、この状態では、高速で(芯材9,11が高速回転して)作業が行われることが多く、各ロールの駆動系や高速のシート引き剥がしにより大きな騒音が発生する。したがって、後述するようにシート原反補充用の開口部21は開閉カバー19により閉じられた状態になっている。巻き替え作業が進行しシート原反5でのシート7の残りが少なくなると巻き替え作業を停止し、詳しくは後述するシート原反5の補充作業を行うことになる。この際、もちろん開閉カバー19は開けられた状態になる訳であるが、シート巻替装置1が巻き替え作業を停止している状態では、多くの場合、騒音はほとんど発生していない状況である。
【0022】
なお、図1の紙面に直交する方向がシート7の幅方向であり、矢印A2,A3,A4で示すシート7の流れ方向がシート7の長手方向であり、各軸C1,C2は、図1の紙面に直交する方向に延びている。
【0023】
防音装置3は、本体カバー17と開閉カバー19とを備えて構成されている。本体カバー17は、たとえば矩形な箱状に形成されており、この一部に(箱を形成している側壁の一部に)開口部21を具備していると共に、シート処置装置1の騒音発生部(駆動系を含む装置全体)を内包して覆うように設けられている。なお、巻き替え完了品10の取り出し口(図示せず)は巻き替え完了品10が取り出せる最低限の大きさの開口部とし、騒音の発生を押さえている。
【0024】
開閉カバー19は、本体カバー17の開口部21に開閉自在に設けられている。すなわち、開口部21が開閉カバー19によって開閉するようになっている。
【0025】
また、開閉カバー19は、本体カバー17の外側に位置しているシート原反(P2に位置しているシート原反)5Bを、本体カバー17の内側に位置しているシート原反5Aの位置に補充するときに(シート7が繰り出されたことによってほぼ中心部材25のみになったシート原反(シート残余原反)5Aと、シート7が巻かれているシート原反5Bとを、本体カバー17の開口部21を通過させ相互に交換し、シート原反5BをP1に位置させ、シート原反5AをP2に位置させるときに)開口部21を開くように構成されている。
【0026】
本体カバー17の外側に位置しているシート原反5Bは、シート原反保持装置15Aと同様に構成されているシート原反保持装置15Bで保持されて、本体カバー17の開口部21の近くに位置しており、本体カバー17の内側に位置しているシート原反5Aは、シート原反保持装置15Aで保持されて、本体カバー17の開口部21の近くに位置している。
【0027】
シート残余原反5A(5B)とシート原反5B(5A)との交換(シート原反の補充)は、詳しくは後述するシート原反補充装置23を用いてなされるようになっている。
【0028】
開閉カバー19は、シート残余原反5Aとシート原反5Bとを交換するとき(シート原反5を補充するとき)シート残余原反5Aとシート原反5Bとが移動できるように、シート原反保持装置15の構成部材により(たとえば、シート原反保持装置15の構成部材に接触して)、本体カバー17の開口部21を開くようになっている。
【0029】
なお、開閉カバー19が、シート原反補充装置23の構成部材、シート原反保持装置15の構成部材、シート原反を支持している支持部材(たとえば、シート7の巻き芯である芯材11)のうちの少なくともいずれかに接触して、開口部21を開く構成であってもよい。さらには、開閉カバー19が、シート巻替装置1の稼動が停止しているときにシート原反補充装置23の稼動に連動して開閉する構成であってもよい。
【0030】
また、開閉カバー19は、常態では(たとえば、シート原反補充装置23が稼動しておらずシート原反5の補充がされておらず各シート原反5A,5Bの位置が図1で示すように固定されており、シート巻替装置1が稼動してシート7の巻き替えをしている状態では)、本体カバー17の開口部21を閉じている。
【0031】
ここで、シート原反補充装置23や開閉カバー19等についてさらに詳しく説明する。
【0032】
図2は、防音装置3の要部の概略構成を示す断面図であり、図3は、図2におけるIII矢視図であり、図4(a)は、図2におけるIV部の拡大図であり、図4(b)は、図4(a)におけるB矢視図である。なお、図2は、図1に対して逆勝手(左右が逆)に描かれている。
【0033】
本体カバー17の開口部21は、図3で示すように、所定の縦寸法と所定の幅寸法とを有する矩形状に形成されている。また、本体カバー17の開口部21は、図1で示すように、シート原反5Aがシート巻替装置1に供給される側(シート原反補充装置23側)に設けられている。そして、シート原反5Aが開口部21の内側(本体カバー17の内側)にあるシート原反保持装置15Aで保持されている。
【0034】
シート原反補充装置23は、各シート原反保持装置15(15A,15B)を支持している。この支持をしていることにより、各シート原反保持装置15のうちの一方のシート原反保持装置15A(15B)とこの一方のシート原反保持装置15A(15B)で保持しているシート原反5A(5B)とが本体カバー17の内側に位置し、各シート原反保持装置15のうちの他方のシート原反保持装置15B(15A)とこの他方のシート原反保持装置15B(15A)で保持しているシート原反5B(5A)とが本体カバー17の外側に位置するようになっている。
【0035】
この場合、シート原反保持装置15Aで保持しているシート原反5Aの中心軸C1が、シート原反補充装置23の回動中心軸(図1や図2の紙面に直交する方向に延びている回動中心軸)C3と平行に延伸している。また、本体カバー17の開口部21の幅方向および縦方向では、シート原反保持装置15Aで保持しているシート原反5Aが、本体カバー17の内側に位置している。さらに、シート原反補充装置23の回動中心軸C3は水平方向に延びており、シート原反保持装置15Aで保持しているシート原反5Aの中心軸C1が回動中心軸C3とほぼ同じ高さのところに位置している。
【0036】
また、シート原反保持装置15Bで保持しているシート原反5Bの中心軸C1も同様にして、シート原反補充装置23の回動中心軸C3と平行に延びている。本体カバー17の開口部21の幅方向および縦方向では、シート原反保持装置15Bで保持しているシート原反5Bが、本体カバー17の開口部21の外側に位置している。また、シート原反保持装置15Bで保持しているシート原反5Bとシート原反保持装置15Aで保持しているシート原反5Aとは、シート原反補充装置23の回動中心軸C3に対して対称なところに位置している。なお、軸C3と2つの軸C1とが、必ずしも同じ高さのところに位置していなくてもよく、斜めに配置されていてもよいが、省スペースの点では、軸C3と2つの軸C1とが、同じ高さのところに位置しているほうがよい。
【0037】
シート原反補充装置23の回動中心軸C3は、本体カバー17の開口部21の貫通方向(図1や図2の左右方向)では開口部21を形成している平面内でもしくはこの近くに位置し、開口部21の縦方向(図1〜図3の上下方向)では開口部21の中間部に位置し、本体カバー17の開口部21の横方向(図3の左右方向)に延びている。
【0038】
また、シート原反補充装置23は、開口部21の内側に位置しているシート原反保持装置15Aおよびこのシート原反保持装置15Aで保持しているシート原反5Aと、開口部21の外側に位置しているシート原反保持装置15Bおよびこのシート原反保持装置15Bで保持しているシート原反5Bとを、シート原反5Aが巻き替え作業を行うことで残り少なくなりシート残余原反となったときに、シート巻替装置1でのシート7の巻き替え作業を停止して、シート原反5のシート(フィルム)が開閉カバ−19に触れないようにして(非接触な状態を保って)、回動中心軸C3を中心にして回動し、シート原反保持装置15A,15Bおよびこれらの各シート原反保持装置15A,15Bが保持しているシート残余原反5Aやシート原反5Bを本体カバー17の開口部21を通過させて位置交換するようになっている。開口部21の外側に来たシート残余原反5Aは、開口部21の内側になったシート原反5Bの巻き替え作業が行われている間に、新しいシート原反5に交換されるようになっている。
【0039】
すなわち、シート原反補充装置23は、各シート原反保持装置15A,15Bが保持しているシート残余原反5やシート原反5を、各シート原反保持装置15A,15Bと共に180°回動し、本体カバー17の内側に位置している一方のシート原反保持装置15とこの一方のシート原反保持装置15で保持しているシート残余原反5とを本体カバー17の外側に位置させると同時に、本体カバー17の外側に位置している他方のシート原反保持装置15とこの他方のシート原反保持装置15で保持しているシート原反5とを本体カバー17の内側に位置させ、各シート原反5の入れ替えをする装置(インデックス装置;タレット方式の装置)である。
【0040】
なお、開口部21の外側から内側に回転したシート原反5はその幅方向に貼られた両面テープあるいは自身の粘着力により先に内側にあったシート残余原反5のシートに貼り付き、次の巻き替え作業が行われると巻き替え側に引取られる。開口部21の外側に回転したシート残余原反5にはブレーキがかけられるため、巻き替え作業が始まると残っていたシート5は引きちぎられシート残余原反5として独立したものとなり、新しいシート原反5に付け替えることができるようになっている。
【0041】
すなわち、シート原反補充装置23によるシート原反5の入れ替えが完了することにより、本体カバー17(開口部21)の内側に位置したシート原反5は、シート原反5の幅方向に予め貼り付けておいた両面テープあるいは自身の粘着力でシート(フィルム)残余原反のシート(フィルム)に貼り付き自動的に連続して巻き替えを行うことができるようになっている。また、本体カバー17の外側に位置した残余原反の芯材にはブレーキがかかり回転しないようになるため、巻き替えを開始すると残余原反のシートは巻き出されないため引きちぎられるようになっている。これにより、ほぼ連続的にシートの巻き替え作業が行われるようになっている。
【0042】
シート原反補充装置23は、回動中心軸C3を中心軸として回動する柱状(たとえば円柱状)の中心部材25を備えている。中心部材25の中心軸は、回動中心軸C3と一致しており、中心部材25は、本体カバー17の開口部21を二分している。
【0043】
また、中心部材25は、シート原反補充装置23が稼動するときに各シート原反保持装置15A,15Bと共に回動するようになっている。
【0044】
すなわち、中心部材25の軸方向の両端部は、円板状の回動部材27に固定されている。回動部材27の外径は、中心部材25の外径に比べて十分に大きくなっており、また、回動部材27の中心軸も、回動中心軸C3と一致している。また、中心部材25の両端に位置している各回動部材27は、本体カバー17の開口部21の横方向の両端部で、開口部21の外側に位置していると共に、シート巻替装置1の筐体(図示せず)に、回動自在に支持されており、図示しないモータ等のアクチュエータで回動位置決めされるようになっている。
【0045】
一方のシート原反保持装置15A(本体カバー17の内側に位置しているシート原反保持装置15)は、円筒状に形成されているシート原反5Aの芯材11に巻き付けられているシート7を繰り出すことができるようにするために、芯材11を回転自在に保持するように構成されている。たとえば、シート原反保持装置15Aは、円柱状の保持部材29をシート原反5Aの芯材11に係合させてシート原反5Aを保持している。円柱状の保持部材29は、たとえば、2つの部材29A,29Bで構成されており、一方の部材29Aがシート原反5Aの軸方向の一方の側でシート原反5Aを支持し、他方の部材29Bがシート原反5Aの軸方向の他方の側でシート原反5Aを支持している。すなわち、各部材29A,29Bでシート原反5Aの心材11を挟み込んでシート原反5Aを支持している(シート原反の取り外しのときに、部材29A及び29Bはスイッチにより、開閉するようになっている)。なお、シート原反5Aの支持は、エアーシリンダー等で部材29A、29Bを軸方向に動かし芯材11を挟み込む等の方法で行われるようになっている。また、シート原反5Aの回転中心軸C1と各部材29A,29Bの中心軸とは、お互いに一致している。
【0046】
また、第1のシート原反保持装置15Aの一方の円柱状の部材29Aには、この円柱状の部材29Aよりも径が大きな円板状のハンドル(位置調整ハンドル)31が設けられている。このハンドル31は、一方の円柱状の部材29Aの軸方向の中間部で一方の円柱状の部材29Aと同軸になっている。ハンドル31を回転することにより、一方の円柱状の部材29Aがこの軸方向で移動し(部材29Bも同方向に移動し)、シート原反5Aの位置調整がなされるようになっている。他方のシート原反保持装置15Bも同様に構成されている。
【0047】
各シート原反保持装置15の保持部材29の軸C1方向の両端部が、各回動部材27に回転自在(軸C1を中心に自転自在)に支持されていることにより、シート原反5Aがシート7を繰り出すように自転すると共に、シート原反補充装置23が回動中心軸C3を中心にして、各シート原反保持装置15A,15Bおよびこれらのシート原反保持装置15A,15Bで保持しているシート原反やシート残余原反5を、シート原反補充装置23が回動できるようになっている。
【0048】
また、シート原反補充装置23の中心部材25は、本体カバー17の開口部21を二分している。開閉カバー19は、二分された開口部21の一方の部位である第1の開口部21Aを開閉する第1の開閉カバー19Aと、二分された開口部21の他方の部位である第2の開口部21Bを開閉する第2の開閉カバー19Bとで構成されている。
【0049】
開閉カバー19Aは、平板状であって開口部21Aとほぼ同じ矩形な形状に形成されており、中心部材25とは反対側に位置している端部が、本体カバー17に回動自在に係合して、本体カバー17に対して回動することによって開口部21Aを開閉するようになっている。また、開閉カバー19Aには、矩形状の覗き窓18が設けられている。覗き窓18は、アクリル樹脂板等の透明な材料で塞がれている。
【0050】
開閉カバー19Bも、平板状であって開口部21Bとほぼ同じ矩形な形状に形成されており、中心部材25とは反対側に位置している端部が、本体カバー17に回動自在に係合して、本体カバー17に対して回動することによって開口部21Bを開閉するようになっている。
【0051】
なお、本体カバー17や開閉カバー19(19A,19B)は、たとえば、図4(a)で示すように、薄い金属板20の内側に、シート状の吸音部材22を、両面テープや接着剤で貼り付けて構成されている。
【0052】
シート原反補充装置23の回動中心軸C3が、上述したように、水平方向に延びており、開閉カバー19Aは、上側に位置している開口部21Aを開閉するようになっている。上側開閉カバー19Aの上端(上辺)がたとえば蝶番33Aを介して本体カバー17の矩形な開口部21の上辺に支持されており、開閉カバー19Aが本体カバー17に対して回動自在になっている。
【0053】
開閉カバー19Aが開口部21Aを閉じている状態では、平板状の開閉カバー19A(開閉カバー19Aの厚さ方向の両面)が、鉛直方向(図2の上下方向)と水平方向(図2の紙面に直交する方向)とに展開している。そして、開閉カバー19Aの下辺が、シート原反補充装置23の中心部材25の近傍に位置しており、開閉カバー19Aの下辺とシート原反補充装置23の中心部材25との間には、ごく僅かな隙間が形成されている。このわずかな隙間を塞ぐようにカバー19Aの下辺に中心部材25と接触するように、摺動性の良いゴム(シール材)CVが取り付けてある(図2参照)。なお、シール部材としてゴム以外の材料(たとえば、軟らかい合成樹脂)を採用してもよい。また、場合によっては、シール材が無くてもよい。
【0054】
また、開閉カバー19Aは、付勢手段(付勢機構;たとえば、ドアクローザ)35Aによって、開口部21Aを緩やかに閉じるように付勢されていると共に、開閉カバー19Aが回動するときには、ドアクローザ35Aによって、回動抵抗が付与されるようになっている。すなわち、上側の開閉カバー19Aには付勢機構が設けられており、この付勢機構により、上側の開閉カバー19Aが開いた後に閉まる場合、上側のカバー19Aに重力がかかっても上側のカバー19Aが急速に閉まらず緩やかに閉まるように構成されている。
【0055】
開閉カバー19Bは、下側に位置している開口部21Bを開閉するようになっている。開閉カバー19Bの下端(下辺)がたとえば蝶番33Bを介して本体カバー17の矩形な開口部21の下辺に支持されて回動自在になっている。
【0056】
開閉カバー19Bが開口部21Bを閉じている状態では、平板状の開閉カバー19B(開閉カバー19Bの厚さ方向の両面)が、水平方向に展開していると共に、鉛直方向に対して僅かに斜めな方向に展開している。
【0057】
すなわち、開閉カバー19Bの上辺が、シート原反補充装置23の中心部材25の近傍に位置しており、開閉カバー19Bの上辺とシート原反補充装置23の中心部材25との間には、ごく僅かな隙間が形成されており、開閉カバー19Bの下辺が、開閉カバー19Bの上辺よりも、本体カバー17の内側に位置している(図2参照)。なお、開閉カバー19Bがたとえば図示しない支持機構で支持されて反対側に倒れ込む恐れが無い場合には、開閉カバー19Bの上辺と下辺とが、同一垂直面に位置するようにしてもよい。
【0058】
また、開閉カバー19Bの上辺のわずかな隙間を塞ぐようにカバー19Bの上辺に中心部材25と接触するように、摺動性の良いゴム(シール材)CVが取り付けてある(図2参照)。なお、前述したように、シール部材としてゴム以外の材料を採用してもよい。また、場合によっては、シール材が無くてもよい。
【0059】
さらに、開閉カバー19A,19Bの左右方向の端部と、本体カバー17との間の僅かな隙間を塞ぐために、開閉カバー19A,19Bの左右の端部に、摺動性の良いゴム(シール材)CVが取り付けてある(図3参照)。なお、この場合も同様にして、シール部材としてゴム以外の材料を採用してもよい。また、場合によっては、シール材が無くてもよい。
【0060】
また、開閉カバー19Bは、付勢手段(付勢機構;たとえば、ドアクローザ)35Bによって、開口部21Bを緩やかに閉じるように付勢されていると共に、開閉カバー19Bが回動するときには、ドアクローザ35Bによって、回動抵抗が付与されるようになっている。すなわち、下側のカバー19Bには付勢機構が設けられており、この付勢機構で、下側カバー19Bが開くときに下側カバー19Bにかかる重力を支え、シート原反補充装置23の動きによって下側カバー19Bが開いた後に閉まるときには下側カバー19Bにかかる重力に逆らって下側カバー19Bを元の位置まで戻すように構成されている。
【0061】
シート原反補充装置23は、各シート原反保持装置15やこれらの各シート原反保持装置15で保持している各シート原反5を、回動中心軸C3を中心にして回動する場合、一方向(図1や図2で示す矢印A6の方向)に回動するように構成されている。
【0062】
そして、シート原反補充装置23によって各シート原反保持装置15等が回動する場合、本体カバー17の外側に存在していたシート原反保持装置15が、図1や図2で示す位置P3に存在している開閉カバー19Aに接触し、開閉カバー19Aが押されて本体カバー17の内側に回動し(図1や図2で示す軸C4を中心にして矢印A7の方向に回動して破線や二点鎖線で示す位置P4に位置し)、開口部21Aが開くようになっている。
【0063】
また、シート原反補充装置23によって各シート原反保持装置15等が回動する場合、本体カバーの内側に存在していたシート原反保持装置15が、図1や図2で示す位置P5に存在している第2の開閉カバー19Bに接触し、第2の開閉カバー19Bが押されて本体カバー17の外側に回動し(図1や図2で示す軸C5を中心にして矢印A8の方向に回動して破線や二点鎖線で示す位置P6に位置し)、第2の開口部21Bが開くようになっている。
【0064】
ドアクローザ35Aは、本体部37Aと腕部39Aとを備えて構成されている。腕部39Aは本体部37Aから延出していると共に、腕部39Aの基端部(本体部37A側部位)を回動中心にして、腕部39Aが本体部37Aに対し付勢力(回動トルク)や抵抗力(回動抵抗)をもって回動するようになっている。
【0065】
ドアクローザ35Aの本体部37Aは、本体カバー17の内側であって開口部21の上方で、本体カバー17に一体的に設けられている。ドアクローザ35Aの腕部39Aは、本体カバー17の内側で基端部が上方に位置し先端部が下方に位置するようにしてドアクローザ35Aの本体部37Aから延出している。
【0066】
また、開閉カバー19Aには、ガイド体41(図4(a)参照)が一体的に設けられている。ガイド体41には、上下方向に延びた細長い貫通孔であるガイド孔43が形成されている。ドアクローザ35Aの腕部39Aの先端部には、ガイド孔43に係合する係合体45が一体的に設けられている。
【0067】
係合体45がガイド孔43に係合している状態では、係合体45がガイド孔43を通り抜けて係合体45の先端部が、開閉カバー19A(本体カバー17)の外側に位置している。また、係合体45の先端部の近傍には、貫通孔47が設けられており、係合体45がガイド孔43に係合している状態で、貫通孔47に、係止部材49を挿入して設置することにより、係合体45がガイド孔43から抜け出ないようになっている。すなわち、本体カバー17およびドアクローザ35Aの本体部37Aと、開閉カバー19Aと、ドアクローザ35Aの腕部39Aおよび係合体45とで、回転すべり子機構が構成されている。
【0068】
そして、シート原反補充装置23によって各シート原反保持装置15等が回動する場合、係合体45がガイド孔43の長手方向に沿ってスライドし、開閉カバー19Aに押されて腕部39Aが図2に示す軸C6を中心にして矢印A10の方向に回動するようになっている。なお、ドアクローザ35Aの腕部39Aは、開閉カバー19Aが開口部21Aを閉じるように、開閉カバー19Aに回転トルクを付与するようになっている。すなわち、開閉カバー19Aになんら外力が作用していない状態では、重力に加え、ドアクローザ35Aにより、開閉カバー19Aが、図2に実線で示すP3に位置するように緩やかに回動して開口部21Aを閉じた状態とする。
【0069】
また、係止部材49を貫通孔47から取り外すことによって、開閉カバー19Aがドアクローザ35Aから離れ、開閉カバー19Aの回動領域が広がる。そして、図2に矢印A9の方向に開閉カバー19Aを手動で回動させて、開閉カバー19AをP7に位置させる(開閉カバー19Aを本体カバー17の外側方向に回転させて開口部21Aを開く)ことができるようになっている。開閉カバー19AをP7に位置させた状態で、図示しないフック等の係止機器を用いて開閉カバー19Aを本体カバー17固定すれば、開口部21Aが開口したままになり、シート巻替装置1のメンテナンス等がしやすくなる。
【0070】
また、開閉カバー19Aには、複数のキャスタ51Aが、たとえば、スペーサ57Aを介して設けられている。キャスタ51Aは台座53Aとこの台座53Aに対しては、回転自在になっている円柱状のローラ55Aとで構成されている。また、キャスタ51Aのローラ55Aの回転中心軸は、開閉カバー19Aの横方向(図2の紙面に直交する方向)に延びている。複数のキャスタ51Aは、開閉カバー19Aの外側で開閉カバー19Aの縦方向(図2の上下方向)でお互いが近接して直線状に並んで設けられている。
【0071】
そして、シート原反補充装置23によって、シート原反保持装置15等が回動する場合、本体カバー17の外側に存在していたシート原反保持装置15Bのハンドル31が、各キャスタ51Aのいずれかのキャスタ51A(ローラ55A)に順に接触して、開閉カバー19Aが回動するようになっている。すなわち、各シート原反保持装置15で保持されるシート原反5の位置を調整するための位置調整ハンドル31が、シート原反補充装置23で各シート原反保持装置15を回動させたときに、開閉カバー19Aに設けたキャスタ51Aに接触する位置に設けられており、シート原反5を補充するために各シート原反保持装置15を回動させたときに、位置調整ハンドル31が開閉カバー19Aに設けたキャスタ51Aに接触して開閉カバー19Aを押し開けるように構成されている。
【0072】
一方、図3の例では、キャスタ51Bは、キャスタ51Aと反対側(図の左側)に取り付けられている。この場合、シート原反5が残余原反でありその径が小さくなっているので、シート原反補充装置23で各シート原反保持装置15を回動させたときに、残余原反5に当たることなく開閉カバー19Bに設けたキャスタ51Bにシート保持部材29が接触し、開閉カバー19Bは押し開くように構成されている。
【0073】
なお、図3で示すように、開閉カバー19Aの横方向では、各キャスタ51Aとドアクローザ35Aの腕部39Aとはお互いが近接している。これにより、開閉カバー19Aが回動するときに、開閉カバー19Aに発生するモーメントを小さくすることができる。すなわち、図3で、仮に、各キャスタ51Aが開閉カバー19Aの右端に位置し、ドアクローザ35Aの腕部39Aとが開閉カバー19Aの左端に位置しているとすると、開閉カバー19Aが回動するときに開閉カバー19Aに大きな捩れの力が加わってしまい、開閉カバー19Aが変形するおそれがあるが、実際には、各キャスタ51Aとドアクローザ35Aの腕部39Aとはお互いが近接しているので、上記捩れの力を小さくすることができる。
【0074】
第2の付勢手段を構成しているドアクローザ35Bは、第1の付勢手段を構成しているドアクローザ35Aと同様に構成されて、本体部37Bと腕部39Bとを備えている。
【0075】
ドアクローザ35Bの本体部37Bは、本体カバー17の外側であって開口部21Bの下方で、本体カバー17に一体的に設けられている。ドアクローザ35Bの腕部39Bは、本体カバー17の外側で基端部が下方に位置し先端部が上方に位置するようにしてドアクローザ35Bの本体部37Bから延出している。
【0076】
ドアクローザ35Bの腕部39Bの先端部には、円板状のローラ59が回転自在に設けられており、このローラ59が、開閉カバー19B(開閉カバー19Bの外側の面)にころがり対偶をなして接触している。
【0077】
そして、シート原反補充装置23によってたとえばシート原反保持装置15等が回動する場合、開閉カバー19Bに押されて、腕部39Bが図2に示す軸C7を中心にして矢印A11の方向に回動するようになっている。
【0078】
なお、ドアクローザ35Bの腕部39Bは、開閉カバー19Bが緩やかに回動して開口部21Bを閉じるように、開閉カバー19Bに回転トルクを付与するようになっている。すなわち、開閉カバー19Bになんら外力が作用していない状態では、重力によって倒れようとする開閉カバー19Bを、ドアクローザ35Bの腕部39Bが支えて、開閉カバー19Bが、図2に実線で示すように斜めの位置P5に存在して開口部21Bを閉じるようになっている。
【0079】
また、開閉カバー19Bには、キャスタ51Aと同様な複数のキャスタ(台座53Bとローラ55Bとで構成されたキャスタ)51Bが、たとえば、スペーサ57Bを介して設けられている。キャスタ51Bのローラ55Bの回転中心軸は、キャスタ51Aの場合と同様にして、開閉カバー19Bの横方向に延びている。複数のキャスタ51Bは、開閉カバー19Bの内側で開閉カバー19Bの縦方向でお互いが近接して直線状に並んで設けられている。
【0080】
そして、シート原反補充装置23によってたとえばシート原反保持装置15A等が回動する場合、本体カバー17の内側に存在していたシート原反保持装置15Aの円柱状の保持部材29が、各キャスタ51Bのいずれかのキャスタ51B(ローラ55B)に順に接触して、開閉カバー19Bが、回動するようになっている。すなわち、各シート原反保持装置15で保持されるシート原反5の位置を調整するための位置調整ハンドル31が、シート原反補充装置23で各シート原反保持装置15を回動させたときに、開閉カバー19Bに設けたキャスタ51Bに接触する位置に設けられており、シート原反5を補充するために各シート原反保持装置15を回動させたときに、位置調整ハンドル31が開閉カバー19Bに設けたキャスタ51Bに接触して開閉カバー19Bを押し開けるように構成されている。
【0081】
なお、ドアクローザ35Bは、2つ設けられており、図3で示すように、開閉カバー19Bの横方向では、各キャスタ51Bと各ドアクローザ35Bの各腕部39Bとがお互いが近接していると共に、各ドアクローザ35Bの各腕部39Bの間に、各キャスタ51Bが位置している。これにより、開閉カバー19Bを各ドアクローザ35Bで安定した状態で支持することができると共に、開閉カバー19Bが回動するときに、開閉カバー19Bに発生するモーメントを小さくすることができる。
【0082】
ここで、防音装置3の動作について説明する。
【0083】
まず、初期状態として、図示しない制御装置の制御の下、シート巻替装置1が稼動しており、各開口部21A,21Bは各開閉カバー19A,19Bで閉じられているものとする。また、本体カバー17の外側に位置しているシート原反保持装置15Bには、シート原反5Bが設置されているものとする。
【0084】
上記初期状態において、図1で示すシート原反(本体カバー17の内側に位置しシート巻替装置1にシート7を供給しているシート原反)5Aのシートが残り少なくなったことが図示しないセンサーで検出されると、シート原反補充装置23で、各シート原反保持装置15を入れ替えるべく、回動中心軸C3を回動中心にして、各シート原反保持装置15をシート原反5Bおよびシート残余原反5Aと共に回動する。この回動をするときに、各開閉カバー19A,19Bが開き、各シート原反保持装置15の入れ替えが終了すると、各開閉カバー19A,19Bが再び閉じる。
【0085】
次に、防音装置3を設けた場合の騒音策定結果について説明する。
【0086】
図6は騒音測定結果を示す図であり、図6の横軸は、騒音の周波数を示し、縦軸は騒音の強さを示している。
【0087】
図6で示すグラフG1,G2は、防音装置3の開閉カバー19A,19Bを閉じたときにおける測定値である。なお、グラフG1,G2に係る測定場所は、防音装置3の外側であって、開閉カバー19に近く(作業者の作業領域)である。また、グラフG1に係る測定位置とグラフG1に係る測定位置とは、若干異なっている。
【0088】
グラフG3は、防音装置3の開閉カバー19A,19Bを設けていない場合における測定値である。グラフG3に係る測定場所は、グラフG1の測定場所と同じにしてある。
【0089】
グラフG4は、暗騒音(たとえば、防音装置3を備えたシート巻替装置1の稼動を停止しさらにシート巻替装置1の近くに位置している装置や機械を停止したときに騒音)を示すものである。
【0090】
図6の各グラフから理解できるように、防音装置3を設けたことにより、300Hz〜8kHzの周波数帯域で、騒音が低減されている。
【0091】
防音装置3によれば、シート巻替装置1が本体カバー17と開閉カバー19とで覆われているので、シート処置装置1が発する騒音を遮断して小さくすることができる。また、シート原反補充装置23で回動するシート原反保持装置15によって、開閉カバー19が自動的に開閉するので、シート原反5の補充作業における作業効率が低下することを防ぐことができると共に、開閉カバー19の開閉機構を簡素化することができ、開閉カバー19の開閉機構の小型化、省スペース化、低コスト化を実現することができる。
【0092】
なお、シート原反5の交換作業時、開閉カバー19が一時的に開放されるが、このときには、シート巻替機1による巻き替え作業(特にシート原反5からのシート7の繰り出し動作)を高速では行わないようにすれば(多くの場合、このとき、高速で行わないか、その作業を停止状態にする)、騒音が激しいという問題はおこらず、このようにすることが好ましい。
【0093】
すなわち、以上の防音装置3において、シート原反巻替装置1で巻替作業が高速で行われているときには開閉カバー19が閉じられており、一方、シート原反補充装置23が回動してシート原反5Bとシート残余原反5Aの交換作業が行われて開閉カバー19が開くときには巻替作業が(特にシート原反5からのシート7の繰り出し動作)が高速で行われていないかあるいは全く行われていなければ騒音の発生はほとんどない状態であるので、そのようにすることが好ましい。
【0094】
また、防音装置3によれば、シート原反補充装置23により、各シート原反保持装置15が回動中心軸C3を回動中心にして回動し、各シート原反保持装置15で保持しているシート原反5Bとシート残余原反5Aとが相互に入れ替わるので、各シート原反保持装置15で保持しているシート原反5Bとシート残余原反5Aとの入れ替えを迅速かつ正確に行うことができ、これにより、開閉カバー19が開いている時間を短縮することができ、シート巻替装置1の稼働率が向上する。
【0095】
また、防音装置3によれば、開閉カバー19を上下2つに分割してあり、上側に位置している開閉カバー19Aが、一方のシート原反保持装置15の回動により回動して上側の開口部21Aが開くと同時に、下側に位置している開閉カバー19Bが、他方のシート原反保持装置15の回動により回動して下側の開口部21Bが開くので、各開閉カバー19A,19Bの構成が簡素になっていると共に、本体カバー17の開口部21を正確に閉じることができ、シート巻替装置1が発生する騒音を的確に遮断することができる。
【0096】
また、スペーサ57Aを介して設けられているキャスタ51Aが、シート原反保持装置15のハンドル31に接触するので、開閉カバー19Aが開く度合い(開閉カバー19Aにおける最大の開き量)を大きくすることができ、さらに、スペーサ57Aの高さを適宜調整することにより、開閉カバー19Aが開く度合いを適宜調整することができる。なお、これに関しては、開閉カバー19Bについても同様である。なお、開閉カバー19Bの場合には、すでにシートが(ほとんど)無いため、たとえば、保持部材29Bが直接キャスタ51Bに接触するようになっている。さらに、図3では、キャスタ51Aとキャスタ51Bとが、原反5に対して点対称の位置に存在しているように描かれているが、シート原反保持装置15の回動中心軸C3に対して線対称の位置にあってもよい。
【0097】
ところで、上側の開閉カバー19Aとドアクローザ35Aとの係合部を、図5で示すように変形してもよい。
【0098】
図5は、上側の開閉カバー19Aとドアクローザ35Aとの係合部を示す図であり、図4に対応した図である。
【0099】
図5で示す構成では、ドアクローザ35Aの腕部39Aの先端部に磁石61を一体的に設け、この磁石61に、リニアガイドベアリングのベアリング(磁性体で構成されたベアリング)63が着脱自在に設けられている。リニアガイドベアリングのレール65は、図4で示すガイド体41のガイド孔43と同様にして開口部21Bの縦方向に延びており、ベアリング63が、レール65長手方向で移動するようになっている。そして磁石61からベアリング63を離せば、開閉カバー19Aを図2で示すP7の位置まで回動させることができる。なお、ベアリング63に磁石61を一体的に設け、磁石61に対して腕部(磁性体で構成された腕部)39Aの先端部が着脱自在になっていてもよい。
【0100】
ところで、上記説明では、シート巻替装置1のシート原反5を供給する側について説明したが、巻き替えが終わったロール状のシートを本体カバー17から取り出す側に関して、防音装置3を同様に使用してもよい。
【0101】
また、上記説明では、シート原反を少量の巻物に巻き替えるシート巻替装置を例に掲げて説明したが、シートにミシン目を入れる等の加工を施すシート加工装置等のシート処置装置に、防音装置3を適用してもよい。このような加工においても、シートを加工した上で巻き替える場合には、本発明における巻き替えに含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1 シート処置装置(シート巻替装置)
3 防音装置
5、5A、5B シート原反、シート残余原反
7 シート
9、11 芯材
15、15A、15B シート原反保持装置
17 本体カバー
19、19A、19B 開閉カバー
21、21A、21B 開口部
23 シート原反補充装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート処置装置の防音装置において、
開口部を具備し、前記シート処置装置の騒音発生部を覆うように設けられている本体カバーと;
前記本体カバーの開口部に開閉自在に設けられ、第1のシート原反保持装置で保持されて前記本体カバーの外側に位置しているシート原反と第2のシート原反保持装置で保持されて前記本体カバーの内側に位置しているシート残余原反とを、シート原反補充装置を用いて前記本体カバーの開口部を通過させ相互に交換してシート原反を補充するときに、前記シート原反補充装置の構成部材、前記各シート原反保持装置の構成部材、前記シートを支持している支持部材のうちの少なくともいずれかにより、前記本体カバーの開口部を開くように構成されている開閉カバーと;
を有し、前記本体カバーの開口部を開くときには、前記シート原反のシートが前記開閉カバーに振れないように構成されていることを特徴とするシート処置装置の防音装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート処置装置の防音装置において、
前記シート処置装置は、ロール状になっているシート原反のシートを、他の芯材に巻き替えて小巻のロール状にするシート巻替装置であり、
前記本体カバーの開口部は、前記シート原反が前記シート巻替装置に供給される側に設けられており、
前記シート原反補充装置は、前記各シート原反保持装置のうちの一方のシート原反保持装置とこの一方のシート原反保持装置で保持しているシート原反とが前記本体カバーの内側に位置し、前記各シート原反保持装置のうちの他方のシート原反保持装置とこの他方のシート原反保持装置で保持しているシート原反とが前記本体カバーの外側に位置するように、前記各シート原反保持装置を支持していると共に、前記本体カバーの開口部の横方向に延びた軸である回動中心軸を回動中心にして、前記一方のシート原反保持装置およびこのシート原反保持装置で保持しているシート残余原反と、前記他方のシート原反保持装置およびこのシート原反保持装置で保持しているシート原反とを回動して、前記各シート原反保持装置およびこれらの各シート原反保持装置が保持しているシート原反とシート残余原反とを前記本体カバーの開口部を通過させて前記シート原反と前記シート残余原反とを入れ替えてシート原反を補充する装置であることを特徴とするシート処置装置の防音装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート処置装置の防音装置において、
前記シート原反補充装置は、前記回動中心軸を中心軸とし、前記本体カバーの開口部を二分する柱状の中心部材を備えており、
前記開閉カバーは、前記二分された開口部の一方の部位である第1の開口部を開閉する第1の開閉カバーと、前記二分された開口部の他方の部位である第2の開口部を開閉する第2の開閉カバーとで構成されており、
前記第1の開閉カバーは、平板状であって前記第1の開口部とほぼ同じ形状に形成されており、前記中心部材とは反対側に位置している端部が、前記本体カバーに回動自在に係合しており、前記本体カバーに対し回動して前記第1の開口部を開閉するように構成されており、
前記第2の開閉カバーは、平板状であって前記第2の開口部とほぼ同じ形状に形成されており、前記中心部材とは反対側に位置している端部が、前記本体カバーに回動自在に係合しており、前記本体カバーに対し回動して前記第2の開口部を開閉するように構成されていることを特徴とするシート処置装置の防音装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシート処置装置の防音装置において、
前記第1の開閉カバーは、上方に位置している第1の開口部を開閉する上側カバーであり、前記第2の開閉カバーは、下方に位置している第2の開口部を開閉する下側カバーであり、
前記上側のカバーには第1の付勢機構が設けられており、前記第1の付勢機構により、前記上側のカバーが開いた後に閉まる場合、前記上側のカバーに重力がかかっても前記上側のカバーが急速に閉まらず緩やかに閉まるように構成されており、
前記下側のカバーには第2の付勢機構が設けられており、前記第2の付勢機構で、前記下側カバーが開くときに前記下側カバーにかかる重力を支え、前記シート原反補充装置の動きによって前記下側カバーが開いた後に閉まるときには前記下側カバーにかかる重力に逆らって前記下側カバーを元の位置まで戻すように構成されていることを特徴とするシート処置装置の防音装置。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載のシート処置装置の防音装置において、
前記各シート原反保持装置で保持されるシート原反の位置を調整するための位置調整ハンドルが、前記シート原反補充装置で前記各シート原反保持装置を回動させたときに、前記各開閉カバーに設けたキャスタに接触する位置に設けられており、前記シート原反を補充するために前記各シート原反保持装置を回動させたときに、前記位置調整ハンドルが前記各開閉カバーに設けたキャスタに接触して前記開閉カバーを押し開けるように構成されていることを特徴とするシート処置装置の防音装置。
【請求項6】
シート処置装置の防音装置において、
開口部を具備し、前記シート処置装置の騒音発生部を覆うように設けられている本体カバーと;
前記本体カバーの開口部に開閉自在に設けられ、第1のシート原反保持装置で保持されて前記本体カバーの外側に位置しているシート原反と第2のシート原反保持装置で保持されて前記本体カバーの内側に位置しているシート残余原反とを、シート原反補充装置を用いて前記本体カバーの開口部を通過させ相互に交換してシート原反を補充するときに、前記シート原反補充装置に連動して前記本体カバーの開口部を開くように構成されている開閉カバーと;
を有することを特徴とするシート処置装置の防音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−254446(P2010−254446A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−107634(P2009−107634)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(591204388)日立化成フィルテック株式会社 (5)
【Fターム(参考)】