説明

シート切断装置およびシート切断方法

【課題】 切断されるシートの長さが多様であっても、長さに応じて搬送手段を作動させることができるシート切断装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 第1の搬送手段と第2の搬送手段は停止し、上流側搬送手段はシートを第1の搬送速度で搬送している状態で第1の搬送手段と第2の搬送手段の間でシートを切断し、シート切断後に、前記第1の搬送手段は前記第1の搬送速度より速い第2の搬送速度で搬送することによって停止中に形成されたシートの弛みを減少させ、シート切断後に、前記第2の搬送手段は前記第1の搬送速度より速い第3の搬送速度で切断された下流側のシートを搬送し、前記第3の搬送手段はシート切断中にシートを挟持している場合は前記第3の搬送速度で、シートを挟持していない場合は前記検知手段がシートを検知した後に前記第3の搬送速度、又は第4の搬送速度でシートを搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続シートを供給して切断された単葉の成果物を得ることができる画像形成装置に用いられる、シート切断装置および切断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、連続シートから単葉の画像成果物を得ることができる画像形成装置においては、装置内部においてシート供給から完成まで画像形成や切断を含む複数の工程が行われる。シートは搬送されながら各工程の処理がなされるが、工程毎にシートの搬送速度に変化を与える必要があった。
【0003】
特に切断手段を含む前後工程では切断時のシート一旦停止および前後工程で要求される工程処理速度の差などのため、状況に応じた搬送の速度変更や停止を制御実行する必要がある。
【0004】
特許文献1に開示されている写真焼付装置では、焼付工程の次に切断してから現像工程にシートを搬送する流れにおいて、現像工程では低速一定の搬送速度であるのに対し、焼付工程では高速で間欠的であるという理由があった。特許文献1では従来一般的であったループ状貯留に代えて、切断手段の後方にシートの狭持と離間が制御可能な搬送速度調整部を設けて、搬送速度差に対処する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−99049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の画像形成装置においては装置の高速化、小型化といった性能向上への要求は常に課題として存在し、また、装置仕様への要求として各種切断長さの異なる成果物の混在にも容易に対応して搬送速度の制御を行なうことも要求課題として存在する。
【0007】
本発明は切断時のシート停止中に発生するシートの弛みを速やかに解消し、切断されるシートの長さが多様であっても、長さに応じて搬送手段を作動させることができるシート切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のような課題を解決するための本発明は、シートを搬送する第1の搬送手段と、前記第1の搬送手段の搬送方向上流側に配置され第1の搬送速度でシートを搬送する上流側搬送手段と、前記第1の搬送手段の搬送方向下流側に配置されシートを切断する切断手段と、前記切断手段の搬送方向下流側に配置され、シートを搬送する第2の搬送手段と、前記第2の搬送手段の下流側に配置され、シートを搬送する第3の搬送手段と、前記第2の搬送手段と前記第3の搬送手段の間に配置されシートを検知する検知手段とを有し、前記第1の搬送手段と第2の搬送手段は停止し、前記上流側搬送手段はシートを前記第1の搬送速度で搬送している状態で前記切断手段がシートを切断し、シート切断後に、前記第1の搬送手段は前記第1の搬送速度より速い第2の搬送速度で搬送することによって停止中に前記上流側搬送手段と前記第1の搬送手段との間に形成されたシートの弛みを減少させ、シート切断後に、前記第2の搬送手段は前記第1の搬送速度より速い第3の搬送速度で搬送することによって切断された下流側のシートを搬送し、シート切断後に、前記第3の搬送手段はシート切断中にシートを挟持している場合は前記第3の搬送速度でシートを搬送し、シート切断中にシートを挟持していない場合は前記検知手段がシートを検知した後に前記第3の搬送速度、又は第4の搬送速度でシートを搬送するように駆動されることを特徴とするシート切断装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、切断時のシート停止中に発生するシートの弛みを速やかに解消し、切断されるシートの長さが多様であっても、長さに応じて搬送手段を作動させることができるシート切断装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のシート切断搬送機構を内蔵したプリンタの内部構成を示す断面の概略図。
【図2】制御部13の概念を示すブロック図。
【図3】本発明のシート切断搬送機構を内蔵したプリンタの動作を説明するための概略図。
【図4】本発明のシート切断搬送機構に含まれるカッタの構成を示す概略図。
【図5】実施形態1のシート切断搬送機構の構成を示す概略図。
【図6】本発明のシート切断搬送機構の制御構成を示すブロック図。
【図7】実施形態1のシート切断搬送機構に対応した切断前連続シート上の画像形成例。
【図8】実施形態1のシート切断搬送機構によりシートを切断搬送する様子を段階的に示した概略図。
【図9】実施形態1のシート切断搬送機構によりシートを切断搬送する時のダイアグラムを示す線図。
【図10】本発明のシート切断搬送機構の動作を示すフローチャート。
【図11】実施形態1のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R1の動作を示すフローチャート。
【図12】実施形態1のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R2の動作を示すフローチャート。
【図13】実施形態1のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R3の動作を示すフローチャート。
【図14】実施形態1のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R4の動作を示すフローチャート。
【図15】実施形態1のシート切断搬送機構における5番目以降のN番目の搬送ローラ対R(N)の動作を示すフローチャート。
【図16】実施形態2のシート切断搬送機構の構成を示す概略図。
【図17】実施形態2のシート切断搬送機構に対応した切断前連続シート上の画像形成例。
【図18】実施形態2のシート切断装置の動作を示した概略図。
【図19】実施形態2のシート切断装置の動作を示した概略図。
【図20】実施形態2のシート切断搬送機構によりシートを切断搬送する時のダイアグラムを示す線図。
【図21】実施形態2のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R3の動作を示すフローチャート。
【図22】実施形態2のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R4の動作を示すフローチャート。
【図23】実施形態2のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R5の動作を示すフローチャート。
【図24】実施形態2のシート切断搬送機構における6番目以降のN番目の搬送ローラ対R(N)の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、インクジェット方式を用いたプリンタにおける実施形態を説明する。本例のプリンタは、ロール状に巻かれた連続シートを使用した高速ラインプリンタである。例えば、プリントラボ等で用いられる大量の枚数のプリントを行う装置の分野に適している。
【0012】
(実施形態1)
図1は本発明のシート切断搬送機構を内蔵したプリンタの内部構成を示す断面の概略図である。プリンタ内部には、大きくは、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、プリント部4、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、排出搬送部10、ソータ部11、排出トレイ12、制御部13の各ユニットを備える。シートは、図中の実線で示したシート搬送経路に沿ってローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0013】
シート供給部1は、ロール状に巻かれた連続シートを収納して供給するユニットである。シート供給部1は、2つのロールP1、P2を収納することが可能であり、択一的にシートを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上を収納するものであってもよい。
【0014】
デカール部2は、シート供給部1から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを用いて、カールの逆向きの反りを与えるようにシートを湾曲させてしごくことでカールを軽減させる。
【0015】
斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートの斜行が矯正される。
【0016】
プリント部4は、搬送されるシートに対してプリントヘッド14によりシートの上に画像を形成するユニットである。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラも備えている。プリントヘッド14は、使用が想定されるシートの最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型プリントヘッドを有する。プリントヘッド14は、複数のプリントヘッドが搬送方向に沿って平行に並べられている。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介してプリントヘッド14に供給される。
【0017】
検査部5は、プリント部4でシートにプリントされた検査パターンや画像を光学的に読み取って、プリントヘッドのノズルの状態、シート搬送状態、画像位置等を検査するユニットである。
【0018】
カッタ部6は、プリント後のシートを所定長さにカットする機械的なカッタを備えたユニットである。カッタ部6は、シートを次工程に送り出すための複数の搬送ローラ、およびカットによって生じたゴミを貯留する空間も備えている。
【0019】
乾燥部8は、プリント部4でプリントされたシートを加熱して、付与されたインクを短時間に乾燥させるユニットである。乾燥部8は、ヒーターとシートを次工程に送り出すための搬送ベルト及び搬送ローラも備えている。
【0020】
排出搬送部10は、カッタ部6でカットされ乾燥部8で乾燥させられたシートを搬送して、ソータ部11までシートを受け渡すためのユニットである。ソータ部11は必要に応じてプリント済みシートをグループ毎に排出トレイ12の異なるトレイに振り分けて排出するユニットである。
【0021】
制御部13は、プリンタ全体の各部の制御を司るユニットである。制御部13は、CPU601601、メモリ、各種I/Oインターフェースを備えたコントローラ15及び電源を有する。プリンタの動作は、コントローラ15又はコントローラ15にI/Oインターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等の外部機器16からの指令に基づいて制御される。
【0022】
図2に制御部13の概念を示すブロック図である。制御部13に含まれるコントローラ15(破線で囲んだ範囲)は、CPU201、ROM202、RAM203、HDD204、画像処理部207、エンジン制御部208、個別ユニット制御部209から構成される。CPU201(中央演算処理部)はプリント装置の各ユニットの動作を統合的に制御する。ROM202はCPU201が実行するためのプログラムや画像形成装置の各種動作に必要な固定データを格納する。RAM203はCPU201のワークエリアとして用いられたり、種々の受信データの一時格納領域として用いられたり、各種設定データを記憶させたりする。HDD204(ハードディスク)はCPU201が実行するためのプログラム、プリントデータ、画像形成装置の各種動作に必要な設定情報を記憶読出することが可能である。操作部206はユーザーとの入出力インターフェースであり、ハードキーやタッチパネルの入力部、および情報を提示するディスプレイや音声発生器などの出力部を含む。
【0023】
高速なデータ処理が要求されるユニットについては専用の処理部が設けられている。画像処理部207は、画像形成装置で扱うプリントデータの画像処理を行う。入力された画像データの色空間(たとえばYCbCr)を、標準的なRGB色空間(たとえばsRGB)に変換する。また、画像データに対し解像度変換、画像解析、画像補正等、様々な画像処理が必要に応じて施される。これらの画像処理によって得られたプリントデータは、RAM203またはHDD204に格納される。エンジン制御部208は、CPU201等から受信した制御コマンドに基づいてプリントデータに応じてプリント部4のプリントヘッド14の駆動制御を行なう。エンジン制御部208は更に画像形成装置内の各部の搬送機構の制御も行なう。個別ユニット制御部209は、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、反転部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出部12の各ユニットを個別に制御するためのサブコントローラである。CPU201による指令に基づいて個別ユニット制御部209によりそれぞれのユニットの動作が制御される。外部インターフェース205は、コントローラをホスト装置16に接続するためのインターフェース(I/F)であり、ローカルI/FまたはネットワークI/Fである。以上の構成要素はシステムバス210によって接続されている。
【0024】
ホスト装置16は、画像形成装置にプリントを行わせるための画像データの供給源となる装置である。ホスト装置16は、汎用または専用のコンピュータであってもよいし、画像リーダ部を有する画像キャプチャ、デジタルカメラ、フォトストレージ等の専用の画像機器であってもよい。ホスト装置16がコンピュータの場合は、コンピュータに含まれる記憶装置にOS、画像データを生成するアプリケーションソフトウェア、画像形成装置用のプリンタドライバがインストールされる。なお、以上の処理の全てをソフトウェアで実現することは必須ではなく、一部または全部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。
【0025】
図3は本発明のシート切断搬送機構を内蔵したプリンタの動作を説明するための概略図である。シート供給部1から供給されたシートがプリントされて排出部12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4において表面(第1面)のプリントがなされる。長尺の連続シートに対して、搬送方向における所定の単位長さの画像(単位画像)を順次プリントして複数の画像を並べて形成していく。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において単位画像ごとに切断される。画像毎に切断されたカットシートは、必要に応じて情報記録部7でシートの裏面にプリント情報が記録される。そして、カットシートは1枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行なわれる。その後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11の排出部12に順次排出され積載されていく。一方、最後の単位画像の切断でプリント部4の側に残されたシートはシート供給部1に送り戻されて、シートがロールP1またはP2に巻き取られる。
【0026】
シート供給部1から供給されたシートがプリントされて排出トレイ12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4において表面のプリントがなされる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎にカットされる。そして、カットシートは一枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行なわれる。その後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11のトレイ12に順次排出され積載されていく。
【0027】
上述の構成のプリンタにおける、本発明のシート切断搬送機構であるカッタ部について、さらに詳しく説明する。
【0028】
実施形態1では一つのカッタのみ使用する例を説明する。
【0029】
図4は本発明のシート切断搬送機構に含まれる切断手段であるカッタの構成を示す概略図である。一般にスライド式と言われる方式であり、固定刃401と可動刃402で構成される。可動刃402は駆動源のカッタ用モータ403によって、カム404と駆動側リンク405、従動側リンク406を介して駆動され、固定刃401に対し斜めに当接しつつ上下移動する。切断時の負荷が大きいため、カッタ用モータ403にはDCモータが使用される。カッタ用センサ407は可動刃402の上死点位置を検知し、検知タイミングに応じてDCモータの両端子を直結させるショートブレーキによって停止させることで高速上下往復移動を実現する。
【0030】
図5は実施形態1のシート切断搬送機構の構成を示す概略図である。図5においてシートは矢印Aに示すように、図5の右から左に搬送される。シートの切断手段であるカッタC1は図4によって説明したスライド式カッタであり、シートの搬送手段は不図示のモータから動力を得て回転する駆動ローラと該駆動ローラに圧接され自在に回転する従動ローラで構成される搬送ローラ対である。搬送補助手段としてシートのガイド材がローラ間に配置されるが、本発明の説明には不要であるため図5では不図示である。
【0031】
最上流の上流側搬送手段である搬送ローラ対RCはカッタC1に対し連続シートを上流側定速度Vp(第1の搬送速度)で送り込む。搬送ローラ対RCはカッタC1の切断動作に関連して速度を変更することはないものであり、シート切断搬送機構に含まず前工程である検査部に含まれる構成でも良い。カッタC1に対し搬送方向上流側には第1の搬送手段である搬送ローラ対R1が配置され、カッタC1に対し搬送方向下流側には第2の搬送手段である搬送ローラ対R2が配置されている。さらに搬送ローラ対R2の下流側にはローラ対R3が配置され、その下流側には第3の搬送手段である搬送ローラ対R4が配置されている。さらに、搬送ローラ対R4の下流側には複数の搬送手段であるローラ対R5・・・RNが装置において対応可能な最短切断長よりさらに短いピッチで配置される。各搬送ローラ対R2、R3、R4、R5・・・RNの上流側には搬送するシートの先端または後端のエッジを検出可能な検知手段であるエッジセンサSE2、SE3、SE4、SE5・・・SENが配置される。各搬送ローラ対は各々個別に専用の駆動源を持っており、速度変更および停止などを独立して制御可能である。搬送ローラ対の駆動源にはステッピングモータ、またはエンコーダを採用して搬送長さが計測できるようにしたモータが用いられる。切断するシート成果物の長さが大きくなる場合はエッジセンサSE(N)と搬送ローラ対R(N)を下流側に追加していく。後述する制御方法において各搬送ローラ対、各エッジセンサの位置情報が必要になってくるため、図5においてはカッタC1の切断位置を基準に各搬送ローラ対、各エッジセンサの位置をあらわす。
【0032】
図6は本発明のシート切断搬送機構の制御構成を示すブロック図である。エッジセンサSE2、SE3・・・SENなどの出力はCPU601に入力される。CPU601は搬送ローラ対R1、R2、R3・・・RNなどを駆動する専用の駆動源である各モータM1、M2、M3・・・・MNなどを各ドライバを介して駆動制御する。また、カッタC1の構成に含まれるカッタ用モータ403、カッタ用センサ407もCPU601に接続されており、カッタC1の動作は制御される。CPU601が行なうべき制御プログラムはROM603に記憶されており、CPU601が制御を行なうに当たってのデータはRAM602に記憶されている。制御データのうち切断後の成果物である切断された下流側のシートの長さ、切断位置に関するデータは外部機器16から本体コントローラ15に入力され、コントローラ15内の画像情報処理部604によって加工されCPU601に入力される。
【0033】
図7は実施形態1のシート切断搬送機構に対応した切断前連続シート上の画像形成例を示す。切断前連続シートSHr上には画像成果物SHcが連続して印刷されており、カッタの切断によって捨てる部分が発生する事はない。
【0034】
図8は実施形態1のシート切断搬送機構によりシートを切断搬送する様子を段階的に示した概略図である。
【0035】
図8(a)は印刷済のシートが切断位置に達するまでを表す。上流から第1の搬送速度である搬送速度Vpで連続的に搬送される切断前連続シートSHrは同じ搬送速度Vpで動作するカッタ前後の搬送ローラ対R1、R2、R3を通過し切断位置に至る。切断位置を決めるためには、例えば、切断前連続シートSHrの先端を搬送ローラ対R1通過後にエッジセンサSE2で検知し、検知後の搬送ローラ対R1の搬送量でカッタC1の刃間を通過してからの長さ、すなわち切断位置を決めることができる。また、エッジセンサSE2とは別にイメージセンサを用いて形成された画像を検知して切断位置を決めることも可能である。
【0036】
図8(b)は切断時の状態を表す。切断前連続シートSHrを狭持している搬送ローラ対R1、R2、R3は停止し、カッタC1動作中にシート切断前連続シートSHrを保持する。カッタC1で停止されている間も画像が印刷された切断前連続シートSHrは上流から搬送されてくるため搬送ローラ対R1の上流に切断前連続シートSHrは弛んでループ状に貯留される。カッタC1が動作する切断時間Tcはシートの幅や厚さといった要因でばらつくが、搬送ローラ対の停止時間Twは一定にしたほうが、以降の搬送速度変更のタイミングは制御しやすいため、Tw>Tcとした上でTwは定数と設定する。
【0037】
図8(c)は切断完了直後、搬送ローラ対の停止時間Tw経過後の状態を表す。切断完了後には停止中に形成されたシートの弛みの減少と切断前連続シートSHrと成果物SHcの重なり防止のために、切断後の画像成果物SHcをVh>VpであるVhの第2の搬送速度で搬送する必要がある。シート切断後に連続シート側の搬送ローラ対R1は停止させたまま、搬送ローラ対R2、R3、R4を搬送速度Vhで駆動し切断後の成果物SHcをカッタから規定長Laだけ搬送する。このとき切断されたシートと後続の連続シートとの間隙を確保する。このときカッタからエッジセンサSE3までの長さLse3をLaより小さくLse3<Laとすることで、後述する下流側ローラ対の制御タイミングを正確に管理することが出来る。
【0038】
図8(d)は成果物をVhで搬送した直後、更に微少時間Td経過後の状態を表す。連続シート側は搬送ローラ対R1が停止していた時間(Tw+Td)の間に貯留していたループを解消するため、搬送ローラ対R1、R2で協働しVl>VpであるVlの速度でカッタから規定長Lcだけ搬送する。このとき成果物は連続シート先端に先んじて動作させているので、更にLa>Lcの関係にすれば重なることはない。
【0039】
図8(e)はVh、Vl搬送終了時の状態を表す。成果物は搬送ローラ対R3、R4によって乾燥部8で必要な第3の搬送速度Vdで搬送される。成果物間に間隔を設けるためにはVd>Vpが必要である。連続シート側の搬送ローラ対R1、R2は速度Vpで次の切断位置までの連続シートの搬送を行い、以下搬送ローラ対R3の速度はVdからVpへと変化し図8(a)の状態に戻り搬送を繰り返す。
【0040】
図9は図8で説明した実施形態1のシート切断搬送機構によりシートを切断搬送する時のダイアグラムを示す線図である。縦軸はカッタC1からの距離、横軸は時間を表し、図8で示す各状態に対応して印がつけてある。シート切断直後からの成果物SHcの後端部SH1と後続の切断前連続シートSHrの先端部SH2との間隔を表す。後続の切断前連続シートSHrも停止切断されるため後端部SH1と先端部SH2の間隔は一旦広がることもあるが後続成果物完成後は定間隔の状態になり下流搬送速度Vdで搬送される。
【0041】
シートの搬送速度は成果物SHcの切断長さLnによらず図9のように変化させることで実施形態1の構成のシート切断搬送機構は用紙を重ねることなく切断搬送することが可能である。
【0042】
成果物SHcの切断長さ変化に対応するには、成果物切断長Lnの情報をあらかじめ入手し各搬送ローラ対に速度切換の動作条件を割り当てつつ同時に独立して制御する必要がある。
【0043】
図10は本発明のシート切断搬送機構の動作を示すフローチャートを示す。印刷作業開始とともにステップS1001において各搬送ローラ対は独立したサブルーチンで並行処理される。カッタの切断は搬送ローラ対R1の停止と同期するためR1動作のサブルーチンに含まれる。
【0044】
次に各搬送ローラ対の動作サブルーチンを説明する。
【0045】
図11は実施形態1のシート切断搬送機構における第1の搬送手段である搬送ローラ対R1の動作を示すフローチャートを示す。搬送ローラ対R1はステップS1101において上流搬送速度と同じ搬送速度Vpで搬送し、ステップS1102でカット位置に到達したらカット動作開始とともにステップS1104とステップS1106で規定時間(Tw+Td)停止する。次に停止中に形成されたループを減少させるために規定送り量の高速搬送VlをステップS1107で施することを繰り返す。
【0046】
図12は実施形態1のシート切断搬送機構における第2の搬送手段である搬送ローラ対R2の動作を示すフローチャートを示す。搬送ローラ対R2も上流の搬送ローラ対R1と同様にステップS1202のタイミングで搬送ローラ対R1と同期して停止する。ステップS1203で規定時間Tw停止後、搬送ローラ対R1よりTdだけ早く動き始める。ステップS1204ではまず成果物をVhで規定送り量搬送する。Vhによる送り量はカッタから搬送ローラ対R2のニップまでの距離Lr2に実機に応じたマージンを加えて設定し、切断成果物が離間するまで確実に搬送する。
【0047】
次にステップS1205で上流の搬送ローラ対R1から送られてくる連続シートSHrの先端をVlで搬送ローラ対R1と協働搬送する。規定送り量の搬送によりループ解消後にステップS1201に戻り、上流搬送ローラ対R1とタイミングを合わせて上流搬送速度と同じ搬送速度Vpに移行する。
【0048】
Vl=VhとすることでステップS1204とステップS1205は統合することも可能である。
【0049】
図13は実施形態1のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R3の動作を示すフローチャートを示す。搬送ローラ対R3もステップS1302でカット位置において搬送ローラ対R1、R2に同期して停止する。
【0050】
カッタから搬送ローラ対R3のニップまでの距離Lr3はLaよりも大きいためステップS1303で規定時間Tw経過後、ステップS1304で成果物SHcをVhで規定送り量La搬送する。次のステップS1305で切断成果物SHcを下流搬送速度Vdで規定送り量搬送する。Vdによる送り量はカッタから搬送ローラ対R3のニップまでの距離Lr3からLaを減じてから、実機に応じたマージンxを加えた(Lr3−La+x)に設定し、切断成果物SHcが搬送ローラ対R3から離間するまで確実に搬送する。
【0051】
Vd搬送後は再度上流搬送速度と同じ搬送速度Vpに移行する。
【0052】
図14は実施形態1のシート切断搬送機構における第3の搬送手段である搬送ローラ対R4の動作を示すフローチャートを示す。搬送ローラ対R4は切断成果物長Lnの条件によって速度プロセスが変化する。まず、ステップS1401において、搬送ローラ対R4の上流に配置されているエッジセンサSE4で次に搬送されるシートの先端を検知する。検知タイミングで切断成果物長さLnを取得し、その長さを定数と比較することで場合分けしていく。
【0053】
ステップS1403ではシート切断中にローラ対R4がシートを挟持しているか否かを判別する。ステップS1403に示すようにLnがカッタC1から搬送ローラ対R4のニップまでの距離Lr4より長い場合は、搬送ローラ対R4は切断前の連続シート状態の物から搬送するのでステップS1405に移行し上流搬送速度Vpで駆動される。ステップS1406でシートがカット位置まで搬送されたらステップS1407において規定時間Tw停止する。このときシートの切断が行われるが搬送ローラ対R4はシート切断中にシートを挟持している。切断が終わり、時間Twが経過するとステップS1408に移行して高速逃げ速度Vhで搬送される。
【0054】
Lnが(Lr4−La)より小さい場合は搬送ローラ対R4は切断成果物を第4の搬送速度である下流側搬送速度Vdの状態から搬送するのでステップS1404を経てステップS1411に移行する。
【0055】
その中間のLr4≧Ln≧(Lr4−La)の場合、搬送ローラ対R4は切断成果物SHcをステップS1408の高速逃げ速度Vhから搬送する。Vhでの送り量はステップS1409でエッジセンサSE3が成果物の後端を検知したタイミングを利用し、検知後ステップS1410で(La−Lse3)だけ搬送してステップS1411から下流側搬送速度Vdに移行する。このときSE4による用紙先端検知タイミングがSE3による用紙後端検知タイミングに必ず先んじるようにする。そのために、エッジセンサSE3を後端が通過後のVh送り量が搬送ローラ対R4とエッジセンサSEの距離よりも小さいという(La−Lse3)<(Lr4−Lse4)の条件が必要になる。
【0056】
図15は実施形態1のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R(N)の動作を示すフローチャートを示す。切断するシート成果物SHcの長さが大きくなる場合はエッジセンサと搬送ローラ対を下流側に追加する。エッジセンサと搬送ローラ対を等ピッチで配置し、(La−Lse3)<(Lr(n)−Lse(n))の条件を満足すればステップS1501、S1503、S1504、S1513を変えただけで図14同様のシーケンスが適用できる。
【0057】
本実施形態では、連続シートにインクジェット記録手段で画像形成を行い、画像形成後に切断して単葉成果物として乾燥工程に搬送するプリンタにおいて、高速化、小型化およびシート切断長さ対応といった効果を奏する。
【0058】
(実施形態2)
実施形態2では二つの切断手段を使用する例を説明する。
【0059】
図16は実施形態2のシート切断搬送機構の構成を示す概略図を示す。図16においてシートは矢印Aに示すように、右から左に搬送する。切断手段として実施形態1と同様に1対の固定刃と可動刃で構成されるスライド式カッタを第1のカッタC1と第2の切断手段である第2のカッタC2の2セット有する。シートの搬送手段は実施形態1同様の独立駆動可能な搬送ローラ対であり、駆動源などの機能も実施形態1同様である。搬送補助手段としてシートのガイド材がローラ間に配置されるが、本発明の説明には不要であるため図16でも不図示である。
【0060】
最上流の上流側搬送手段である搬送ローラ対RCは第1のカッタC1に対し連続シートを第1の搬送速度である定速度Vpで送り込み、第1のカッタC1の切断動作に関連して速度を変更することはない。搬送ローラ対RCは、シート切断搬送機構に含まず前工程である検査部に含まれる構成でも良い。第1のカッタC1に対し上流側には第1の搬送手段である搬送ローラ対R1が配置され、第1のカッタC1と第2のカッタC2の間には搬送ローラ対R2、R3、第2のカッタC2の下流には搬送ローラ対R4、R5、R6、R7が配置される。夫々の搬送ローラ対R2、R3、R4、R5、R6、R7の上流側には搬送するシートの先端または後端のエッジを検出可能なエッジセンサSE2、SE3、SE4、SE5、SE6、SE7が配置される。切断するシート成果物の長さが大きくなる場合はエッジセンサSE(N)と搬送ローラ対R(N)を下流側に追加していく。後述する制御方法において各搬送ローラ対、各エッジセンサの位置情報が必要になってくるため、図16においては第1のカッタC1の切断位置を基準に各搬送ローラ対、各エッジセンサの位置をあらわす。
【0061】
図17は実施形態2のシート切断搬送機構に対応した切断前連続シート上の画像形成例を示す。切断前連続シートSHr上には画像が形成されて切断後に印刷物となる成果物SHcの部分と、非成果物として捨てられる部分SHwが交互に連続するように画像が印刷されている。第1のカッタC1および第2のカッタC2印刷物と捨てられる部分を分離する。捨て部分SHwは切断成果物SHcを得るために必要となるものであり、切断位置の精密検知の為のマーク配置や余白のないふちなし画像成果物を得る場合のはみ出し印刷、および印字ヘッドのメンテナンスなどに使用するものである。第1のカッタC1で切断する位置はシートの先端から2番目の画像の搬送方向の先端側の境界SH1である。切断により先端の画像とそれに続く日成果物の部分SHwを備えた半成果物が作成される。第1のカッタC1によって切断されたシートの下流側の部分は上流側に非成果物の部分SHwを有したまま搬送され、次に第2のカッタC2によって切断される。第2のカッタC2で切断する位置は画像の後端側の境界SH2であり、画像部分から非成果物の部分SHwが切り離され成果物となる。
【0062】
図18、図19は実施形態2のシート切断搬送機構によりシートを切断搬送する様子を段階的に示した概略図である。
【0063】
図18(a)は印刷済のシートが切断位置に達するまでを表し、実施形態1と同様の動作である。上流から搬送速度Vpで連続的に搬送される切断前連続シートSHrは同じ搬送速度で動作する第1のカッタC1前後の搬送ローラ対R1、R2、R3を通過し切断位置に至る。切断位置を決めるためには例えば、シートの先端を搬送ローラ対R1通過後にエッジセンサSE2で検知し、検知後の搬送ローラ対R1の搬送量でカッタの刃間を通過してからの長さ、すなわち切断位置を決めることができる。また、エッジセンサSE2とは別にイメージセンサを用いて形成された画像を検知して切断位置を決めることも可能である。
【0064】
図18(b)は第1のカッタC1による切断時の状態を表し、実施形態1と同様の動作である。連続シートを狭持しているローラ対R1、R2、R3は停止し、第1のカッタC1動作中にシートを保持する。第1のカッタC1部でシートが停止されている間も画像が印刷された切断前連続シートSHrは上流から搬送されてくるため搬送ローラ対R1の上流に切断前連続シートSHrはループ状に貯留される。このとき第1のカッタC1が動作する切断時間Tcはシートの幅や厚さといった要因でばらつくが、搬送ローラ対の停止時間Twは一定にしたほうが、以降の搬送速度変更のタイミングは制御しやすいため、Tw>TcかつTwは定数と設定する。
【0065】
図18(c)は第1のカッタC1切断完了直後の状態を表す。切断完了後にはループ状貯留の解消と切断前連続シートSHrと成果物SHcの重なり防止のために、切断後の下流側のシートである成果物SHc側を、連続シート搬送速度Vpよりも速い第3の搬送速度Vhで搬送する。連続シート側の搬送ローラ対R1は停止させたまま、搬送ローラ対R2、R3、R4を搬送速度Vhで駆動し切断後の捨て部SHwの付いた半成果物SHcを第2のカッタC2による切断位置まで搬送開始する。
【0066】
図18(d)は捨て部SHwの付いた半成果物SWcをVhで搬送した直後、更に微少時間Td経過後の状態を表す。連続シート側は搬送ローラ対R1が停止していた時間(Tw+Td)の間に貯留していたループを解消するため、搬送ローラ対R1、R2で協働しVl>Vpである第2の搬送速度Vlでカッタから規定長Lcだけ搬送する。このとき成果物と連続シート先端が重ならないような条件を設定する。
【0067】
図19(a)は第1のカッタC1で切断済みの捨て部SHwの付いた成果物SWcが第2のカッタC2切断位置に達した状態を表す。第1のカッタC1で切断後に搬送速度Vhで搬送される連続シートの先端はエッジセンサSE4で検知され、検知後の搬送ローラ対R4の回転量で第2のカッタC2の刃間を通過してからの長さ、すなわち切断位置を決めることができる。また、エッジセンサSE4とは別にイメージセンサを用いて形成された画像を検知して切断位置を決めることも第1のカッタC1部同様に可能である。
【0068】
図19(b)は第2のカッタC2切断時の状態を表す。第1のカッタC1で切断済みの捨て部SHwの付いた成果物SWcは第2のカッタC2の下流ローラ対R4、R5により狭持され停止し、第2のカッタC2動作中にシートを保持する。第2のカッタC2の上流側に当たる捨て部SHwは切断とともに切り離されて、自由落下等によりシート搬送路内から排除される。
【0069】
図19(c)は第2のカッタC2切断完了直後の状態を表す。第2のカッタC2による切断完了後の成果物SHcは上流から高速逃げ速度Vhで搬送される。第1のカッタC1切断完了後の新たな成果物SWcとの重なりを防止するため、搬送ローラ対R4、R5、R6により連続シート搬送速度Vpよりも早い速度Vhで規定長La2搬送する。このとき第2のカッタからエッジセンサSE5までの長さ(Lse5−Lc2)をLa2より小さく(Lse5−Lc2)<La2とすることで、後述する下流側ローラ対の制御タイミングを正確に管理することが出来る。
【0070】
図19(d)は図19(c)に続く状態を表す。成果物SHcは搬送ローラ対R5、R6によって乾燥部8で必要な速度Vdで搬送され、成果物SHcが離間した搬送ローラ対R4は図1(a)の状態に戻り搬送を繰り返す。このとき成果物間に間隔を設けるためにはVd>VpまたはVd=Vpであればよい。
【0071】
図20は実施形態2のシート切断搬送機構によりシートを切断搬送する時のダイアグラムを示す線図を示す。縦軸は第1のカッタC1からの距離、横軸は時間を表し、シート切断直後からの成果物SHcの後端部SH1と後続シートSHrの先端部SH2との間隔を表す。後続シートも停止切断されるため後端部SH1と先端部SH2の間隔は一旦広がることもあるが後続シートの後端切断後は定間隔になり下流搬送速度Vdで搬送される。
【0072】
成果物SHcの切断長さLnによらずシートの搬送速度を図20のように変化させることで実施形態2の構成のシート切断搬送機構は実施形態1同様に用紙を重ねることなく切断搬送することが可能である。成果物SHcの切断長さLn変化に対応するには、実施形態1同様に成果物切断長Lnの情報をあらかじめ入手し、各搬送ローラ対に速度切換の動作条件を割り当てつつ同時に独立して制御しなければならない。
【0073】
以下、実施形態2のシート切断搬送機構の動作を示すフローチャートを示すが、機構全体のフローチャートは実施形態1の図10と同じであり、印刷作業開始とともに各搬送ローラ対は独立したサブルーチンで並行処理される。カッタの切断は搬送ローラの停止と同期するため、第1のカッタC1の動作はR1動作のサブルーチン、第2のカッタC2の動作はR4動作のサブルーチンに含まれる。
【0074】
また第1の搬送手段である搬送ローラ対R1、第2の搬送手段であるR2のサブルーチンは実施形態1と同様であるため省略し、搬送ローラ対R3の動作サブルーチンから説明をする。
【0075】
図21は実施形態2のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R3の動作を示すフローチャートを示す。搬送ローラ対R3も上流の搬送ローラ対R1、R2同様にカット位置停止タイミングで同期してステップS1902で停止する。ステップS1903で規定時間Tw経過後、ステップS1904で成果物をVhで規定送り量搬送して、ステップS1901に戻る。Vhによる送り量は第1のカッタC1から搬送ローラ対R3のニップまでの距離Lr3に対し、実機に応じたマージンxを加えた(Lr3+x)に設定し、切断成果物が搬送ローラ対R3のニップから離間するまで確実に搬送する。
【0076】
図22は実施形態2のシート切断搬送機構における第3の搬送手段である搬送ローラ対R4の動作を示すフローチャートを示す。搬送ローラ対R4は切断成果物の長さLnの条件によって速度プロセスが変化する。まず、ステップS2001において、搬送ローラ対R4の上流に配置されているエッジセンサSE4で次に搬送されるシートの先端を検知する。検知タイミングで切断成果物長さLnを取得し、その長さを定数と比較することで場合分けしていく。
【0077】
ステップS2003に示すようにLnが第1のカッタC1から搬送ローラ対R4のニップまでの距離Lr4より長い場合は、搬送ローラ対R4は切断前の連続シート状態の物から搬送するのでステップS2004に移行し、上流搬送速度Vpで駆動される。
【0078】
LnがLr4以下の場合には搬送ローラ対R4は切断中にシートを挟持しており、切断後はステップS2007に移行して切断成果物を高速逃げ速度Vhの状態から搬送する。ステップS2009で第2のカッタC2における切断位置での停止後にステップS2010で高速逃げ速度Vhで規定送り量搬送する。ステップS2010におけるVhによる送り量は第2のカッタから搬送ローラ対R4のニップまでの距離(Lr4−Lc2)に実機に応じたマージンxを加えた(Lr4−Lc2+x)に設定し、切断成果物がR4から離間するまで確実に搬送する。
【0079】
Vh搬送後は再度上流エッジセンサSE4の検知待ちステップS2001に移行する。
【0080】
図23は実施形態2のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R5の動作を示すフローチャートを示す。搬送ローラ対R5も切断成果物の長さLnの条件によって速度プロセスが変化する。まず、ステップS2101において、搬送ローラ対R5の上流に配置されているエッジセンサSE5で次に搬送されるシートの先端を検知する。検知タイミングのステップS2102で切断成果物長さLnを取得し、その長さを定数と比較することで場合分けしていく。
【0081】
ステップS2103ではLnと第1のカッタC1から搬送ローラ対R5のニップまでの距離Lr5とを比較する。Lnが第1のカッタC1から搬送ローラ対R5のニップまでの距離Lr5より長い場合は、ステップS2106に移行して搬送ローラ対R5を上流搬送速度Vpで駆動し、切断前の連続シート状態の物から狭持搬送する。
【0082】
Lnが第2のカッタC2から搬送ローラ対R5のニップまでの距離(Lr5−Lc2)から高速逃げ速度Vhによる送り量(La2)を減じた値、すなわち{(Lr5−Lc2)−La2}より小さい場合にはステップS2115に移行する。この場合、搬送ローラ対R5は切断成果物を下流搬送速度Vdの状態から搬送する。
【0083】
Lnが第1のカッタC1から搬送ローラ対R5のニップまでの距離Lr5以下であり、かつ第2のカッタC2から搬送ローラ対R5のニップまでの距離(Lr5−Lc2)より大きい場合にはステップS2109に移行する。ステップS2109では搬送ローラ対R5は第1のカッタC1で切断後に第2のカッタC2で送るまでの高速逃げ速度Vhの状態から搬送する。
【0084】
Lnが{(Lr5−Lc2)−(La2)}以上で、かつ第2のカッタC2から搬送ローラ対R5のニップまでの距離(Lr5−Lc2)以下の場合にはステップS2112に移行する。ステップS2112では、搬送ローラ対R5は第2のカッタC2で切断後の高速逃げ速度Vhの状態から搬送する。Vhでの送り量はエッジセンサSE5が成果物の後端を検知したタイミングを利用し、検知後(La2−Lse5)だけ搬送して下流側定速度Vdに移行する。
【0085】
図24は実施形態2のシート切断搬送機構における搬送ローラ対R(N)の動作を示すフローチャートを示す。切断するシート成果物の長さが大きくなる場合はエッジセンサと搬送ローラを等ピッチで下流側に追加していくことになり、ステップS2201、S2203、S2204、S2205、S2214を変えただけで図23同様のシーケンスが適用できる。
【0086】
実施形態1、実施形態2ともシートの搬送路にはシートを案内するガイド部材も配置されるが本説明内では不図示としている。また図中では搬送路は直線であるが曲がった形であっても良く、成果物の対応切断長に応じて独立駆動する搬送ローラ対の数が増加させることも可能である。
【符号の説明】
【0087】
RC、R1〜R7 搬送ローラ対
SE2〜SE8 エッジセンサ
C1 カッタ
C2 第2のカッタ
SHr 切断前連続シート
SHc 切断後成果物
SHw 捨て部
SH1 成果物の後端
SH2 SH1に連続するシートの先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する第1の搬送手段と、
前記第1の搬送手段の搬送方向上流側に配置され第1の搬送速度でシートを搬送する上流側搬送手段と、
前記第1の搬送手段の搬送方向下流側に配置されシートを切断する切断手段と、
前記切断手段の搬送方向下流側に配置され、シートを搬送する第2の搬送手段と、
前記第2の搬送手段の下流側に配置され、シートを搬送する第3の搬送手段と、
前記第2の搬送手段と前記第3の搬送手段の間に配置されシートを検知する検知手段とを有し、
前記第1の搬送手段と第2の搬送手段は停止し、前記上流側搬送手段はシートを前記第1の搬送速度で搬送している状態で前記切断手段がシートを切断し、
シート切断後に、前記第1の搬送手段は前記第1の搬送速度より速い第2の搬送速度で搬送することによって停止中に前記上流側搬送手段と前記第1の搬送手段との間に形成されたシートの弛みを減少させ、
シート切断後に、前記第2の搬送手段は前記第1の搬送速度より速い第3の搬送速度で搬送することによって切断された下流側のシートを搬送し、
シート切断後に、前記第3の搬送手段はシート切断中にシートを挟持している場合は前記第3の搬送速度でシートを搬送し、シート切断中にシートを挟持していない場合は前記検知手段がシートを検知した後に前記第3の搬送速度、又は第4の搬送速度でシートを搬送するように駆動されることを特徴とするシート切断装置。
【請求項2】
前記第3の搬送手段を制御する制御手段を有し、前記制御手段は前記切断手段によって下流側に切り離されるシートの搬送方向の長さ情報を取得し、該長さ情報によって前記第3の搬送手段がシート切断中にシートを挟持しているか否かを判別する請求項1に記載のシート切断装置。
【請求項3】
前記第3の搬送手段の搬送方向下流側に1又は複数の搬送手段が搬送方向に並ぶように配置され、各搬送手段の上流側にシートを検知する検知手段が配置され、前記第3の搬送手段の下流側のそれぞれの搬送手段は、シート切断中にシートを挟持している場合はシート切断後に前記第3の搬送速度でシートを搬送し、シート切断中にシートを挟持していない場合は当該搬送手段の上流側の前記検知手段がシートを検知した後に前記第3の搬送速度、または第4の搬送速度でシートを搬送するように駆動されることを特徴とする請求項1に記載のシート切断装置。
【請求項4】
前記第3の搬送手段およびその搬送方向下流側に配置された前記1又は複数の搬送手段を制御する制御手段を有し、前記制御手段は前記切断手段によって下流側に切り離されるシートの搬送方向の長さ情報を取得し、該長さ情報によって前記第3の搬送手段の下流側の各搬送手段がシート切断中にシートを挟持しているか否かを判別する請求項3に記載のシート切断装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記上流側搬送手段と前記第1の搬送手段との間に形成されたシートの弛みが解消された後に、前記第3の搬送手段およびその搬送方向下流側に配置された前記1又は複数の搬送手段を前記第1の搬送速度よりも速い第4の搬送速度で搬送する請求項4に記載のシート切断装置。
【請求項6】
前記第3の搬送手段の専用の駆動源を有する請求項1乃至5のいずれか1項記載のシート切断装置。
【請求項7】
前記第3の搬送手段および前記第3の搬送手段の下流側の搬送手段はそれぞれ専用の駆動源によって駆動される請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のシート切断装置。
【請求項8】
前記第2の搬送手段と前記第3の搬送手段との間に第2の切断手段を有し、前記切断手段によって切断された下流側のシートの後端部を前記第2の切断手段によって切断する請求項1に記載のシート切断装置。
【請求項9】
連続的に搬送される連続シートを切断し次工程に送る機構であり、
切断手段の上流側と下流側には、搬送されるシートの先端および後端を検知するセンサと個別の駆動源で個別に制御可能な搬送手段が並び、
連続する切断成果物長さをあらかじめ取得し各搬送手段に割り当てた動作を並行に実施することにより、
第1の搬送速度で連続的に搬送される連続シートを切断する時には停止させ、停止時間に応じたたわみを切断手段の上流側に形成し、切断完了後には前記第1の搬送速度より速い第2の搬送速度で搬送してたわみを解消してから前記第1の搬送速度に戻ることを繰り返し、
切断された成果物は、切断直後に第2の搬送速度での搬送を行なって後続する連続シートとの間隙を確保してから、次工程に応じた第3の搬送速度で搬送することを繰り返す動作を行なう事を特徴とするシート切断方法。
【請求項10】
切断後の次工程の搬送速度である第3の搬送速度は前記第1の搬送速度よりも速い事を特徴とする請求項9に記載のシート切断方法。
【請求項11】
前記切断手段の下流側に第2の切断手段を持ち、
搬送される連続シートには画像が形成された成果物の部分と非成果物の部分が交互に形成され、
前記切断手段は成果物の先端側の境界を切断することで、成果物の後端に非成果物が連続した半成果物を作成し、
前記第2の切断手段は前記半成果物における画像の後端側の境界を切断することで、成果物を完成させる事を特徴とする請求項9に記載のシート切断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−219199(P2011−219199A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87892(P2010−87892)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】