シート収納装置及び画像形成装置
【課題】取り出し性、視認性を向上させることのできるシート収納装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】複数のトレイ330に、画像形成装置本体から順次搬送されるシートを、下方から受け入れて立てた状態で収納する。そして、この複数のトレイ330を、収納されたシートPの、シート搬送方向下流端部及びシート搬送方向と直交する方向の手前側の端部がトレイ330から突出するように構成する。
【解決手段】複数のトレイ330に、画像形成装置本体から順次搬送されるシートを、下方から受け入れて立てた状態で収納する。そして、この複数のトレイ330を、収納されたシートPの、シート搬送方向下流端部及びシート搬送方向と直交する方向の手前側の端部がトレイ330から突出するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収納装置及び画像形成装置に関し、特にシート収納装置を画像形成装置本体の上面に配置するようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、画像が形成された後、画像形成装置本体から排出されるシートを収納するシート収納装置を備え、このシート収納装置に、画像形成されたシートを順次排出するようにしたものがある。そして、このようなシート収納装置としては、画像が形成された後に排出されるシートを収容するビンを複数、上下方向に移動可能に設けたビン移動型のソータがある(特許文献1参照)。
【0003】
図24の(a)及び(b)は、このような従来のビン移動型のソータを説明する図であり、このソータ1002は、図24の(a)に示すように、上下方向に移動可能な複数のビントレイBnを備えている。なお、この複数のビントレイBnは、両側部に設けられた不図示の螺旋カムの1回転により1段ずつ上昇または下降するようになっている。
【0004】
そして、画像形成装置本体1000においてトナーにより画像が形成されたシートは、排紙ローラ対1001を経てソータ1002へ送られ、不図示の切換部材の切換により、ソートパスまたはノンソートパスの方向へ選択して送られる。ノンソートパスを通過したシートはノンソートトレイ1003上へ排出され、ソートパスを通過したシートは図24の(b)に示すように、排紙ローラ1004により排出され、その排出と同期して昇降する各ビントレイBn上に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−48458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来のシート収納装置は、略水平、又は緩傾斜状に配置されたビントレイ上にシートを順次平積み状に収納していくものである。また、排出シートの識別性を向上させるために、複数のビントレイを積層構造にし、排出シートのジョブごとにビントレイを変える構成である。したがって、ビントレイの位置には高低差があり、特に低いビントレイに収納されたシートの視認性・取り出し性が良好ではなかった。
【0007】
また、ビントレイ上に排出されたシート束は、ステイプル綴じ等を施した場合を除いては、シート束状態で拘束されていない。このため、ビントレイからの取り出し時、誤って他のシート束に触れたり、排出時のシートの状態(カール・表面摩擦等)によってビントレイ上でシートが乱れてしまったりする場合がある。このような場合、結果的に取り出し性の低下や、装置の排出エラー等の装置トラブルを発生させる可能性がある。また、従来のシート収納装置は、画像形成装置の側方に配置されるため、画像形成装置とシート収納装置を合わせたシステム全体の幅方向の長さが長くなる。
【0008】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、取り出し性、視認性を向上させることのできるシート収納装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像形成装置本体の上方に設けられ、前記画像形成装置本体から順次搬送されるシートを収納するシート収納装置であって、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されたシートを下方から受け入れて立てた状態で収納する複数のシート収納部と、を備え、前記複数のシート収納部は、シート搬送方向にはシートの通過を可能に、シート搬送方向と逆方向にはシートの移動を規制するよう、シートを保持するシート保持部を有し、前記シート保持部は、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及びシート搬送方向と直交する幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように保持することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のように、シートを立てた状態で収納する複数のシート収納部のシート保持部に、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように保持することにより、取り出し性、視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート収納装置を備えた画像形成装置の構成を示す図。
【図2】上記シート収納装置の構成を説明する第1の図。
【図3】上記シート収納装置の構成を説明する第2の図。
【図4】上記シート収納装置の構成を説明する第3の図。
【図5】上記シート収納装置に設けられたトレイの保持部の構成を示す図。
【図6】上記保持部にシートを保持する動作を説明する図。
【図7】上記トレイに保持されたシートの状態を示す斜視図。
【図8】画像形成装置本体及び上記シート収納装置を制御する制御ブロック図。
【図9】上記シート収納装置を制御するシート収納装置制御部の制御ブロック図。
【図10】上記シート収納装置のシート収納動作制御を示すフローチャート。
【図11】上記シート収納装置の収納対象トレイ番号確定処理を示すフローチャート。
【図12】上記シート収納装置の移動処理を示すフローチャート。
【図13】上記シート収納装置に設けられた別の保持部の構成を示す図。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する図。
【図15】上記シート収納装置の構成を説明する第2の図。
【図16】上記シート収納装置に設けられたトレイの保持部にシートを保持する動作を説明する図。
【図17】上記保持部のシートを取り出すときの状態を説明する図。
【図18】上記シート収納装置を制御するシート収納装置制御部の制御ブロック図。
【図19】上記シート収納装置のシート収納動作制御を示すフローチャート。
【図20】上記シート収納装置の先端ストッパ切替え処理を示すフローチャート。
【図21】上記シート収納装置のシート取り出し処理を説明するフローチャート。
【図22】本発明の第3の実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する図。
【図23】上記シート収納装置に設けられたトレイの保持部に保持されたシートの状態を示す斜視図。
【図24】従来のシート収納装置の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート収納装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。100は画像形成装置、100Aは画像形成装置本体(以下、装置本体という)、100Bはシートに画像を形成する画像形成部、300は装置本体100Aの上面(上方)に配置されたシート収納装置である。
【0013】
ここで、画像形成部100Bは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成する感光体ドラムa〜dと、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置106等を備えている。なお、この感光体ドラムa〜dは不図示のモータにより駆動されると共に、周囲には、それぞれ不図示の一次帯電器、現像器、転写帯電器が配置されており、これらはプロセスカートリッジ101a〜101dとしてユニット化されている。
【0014】
102は、矢印方向に回転駆動される中間転写ベルトであり、この中間転写ベルト102に転写帯電器102a〜102dによって転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト102に多重転写される。これにより、中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
【0015】
103は順次中間転写ベルト102に形成されたフルカラー画像をシートPに転写する2次転写部である。この2次転写部103は、中間転写ベルト102を支持する2次転写対向ローラ103b及び中間転写ベルト102を介して2次転写対向ローラ103bと当接する2次転写ローラ103aとから構成される。109はレジストレーションローラ、104は給紙カセット、108は給紙カセット104に収容されたシートPを給送するピックアップローラである。630は装置本体100A及びシート収納装置300の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
【0016】
次に、このように構成された画像形成装置100の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等からの画像情報に基づき露光装置106はレーザ光を照射し、表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラムa〜dの表面を順次露光して感光体ドラムa〜dに静電潜像を形成する。この後、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。
【0017】
例えば、まず感光体ドラムaに、原稿のイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を露光装置106のポリゴンミラー等を介して照射し、感光体ドラムa上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像器からのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。この後、このトナー像が感光体ドラムaの回転に伴って感光体ドラムaと中間転写ベルト102とが当接する1次転写部に到来する。ここで、このようにトナー像が1次転写部に到来すると、転写帯電器102aに印加した1次転写バイアスにより、感光体ドラムa上のイエロートナー像が中間転写ベルト102に転写される(1次転写)。
【0018】
次に、中間転写ベルト102のイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラムb上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト102に転写される。同様に、中間転写ベルト102が移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト102上にフルカラートナー画像が形成される。
【0019】
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット104に収容されたシートPは、ピックアップローラ108により1枚ずつ送り出される。そして、シートPは、レジストレーションローラ109に達し、レジストレーションローラ109によりタイミングを合わされた後、2次転写部103に搬送される。この後、この2次転写部103において、転写手段である2次転写ローラ103aに印加される2次転写バイアスによって中間転写ベルト102上の4色のトナー像がシートP上に一括して転写される(2次転写)。
【0020】
次に、トナー像が転写されたシートPは、2次転写部103から定着部105に搬送される。そして、この定着部105に設けられた加熱ローラ105a及び加圧ローラ105bにより、熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートPにフルカラーの画像として定着される。この後、このように画像が定着されたシートPは、定着部105の下流に設けられた排出ローラ対110によって排紙され、湾曲形状を有する搬送ガイド313を通って装置本体100Aの上面に配置されたシート収納装置300に搬送される。
【0021】
ここで、このシート収納装置300は、装置本体100Aから順次搬送されるシートを下方から受け入れて立てた状態で収納するものである。そして、このシート収納装置300は、図2に示すように、水平方向に沿って並べて配置され、シートを立てた状態で収納する複数、本実施の形態においては、5つのシート収納部であるトレイ330(330a〜330e)を備えている。なお、このように装置本体100Aの上部に5つのトレイ330を複数並列配置することにより、設置スペースを広くすることなく、収納量を増加することができる。また、シートを立てた状態で収納するようにすることにより、ラージサイズのシートを収納した場合においても、装置の設置スペースを広くすることがない。
【0022】
また、装置本体100Aから排出されたシートをトレイ330に搬送する搬送ガイド313を備えている。搬送ガイド313のシート搬送方向下流部には、搬送ローラ301及び搬送ローラ301に圧接する従動コロ302が設けられており、搬送部としての搬送ローラ301及び従動コロ302によってシートPを5つのトレイ330の一つに選択的に搬送する。
【0023】
なお、搬送ローラ301は、搬送モータM1により駆動される搬送ローラ駆動ギア307と駆動ベルト306によって回転駆動が付与される。また、シート収納装置300は、搬送ガイド313の入口部に設けられた入口センサS1を備えており、この入口センサS1により、装置本体100AからのシートPの搬送タイミングをモニターしている。
【0024】
トレイ330(330a〜330e)は、図3に示すように連結軸308により連結されると共に、保持板309によって保持されている。ここで、保持板309には、移動モータM2の同軸上に設けた移動プーリ311bと対向側に設けられた移動プーリ311aに掛けられているタイミングベルト312に固定された連結部材310が固定されている。
【0025】
これにより、タイミングベルト312が回転すると、連結部材310と共に保持板309が移動し、これに伴いトレイ330も一体的に図2に示す矢印X方向(左右方向)へと移動するようになっている。そして、このようにトレイ330が左右方向に移動することにより、搬送ローラ301に臨むトレイ330を変更することができ、これにより5つのトレイ330の各々に搬送ローラ301から搬送されるシートPを仕分けながら収納することができる。
【0026】
なお、このシート収納装置300には、図4に示すように、連結部材310のホームポジションを検知する検知センサS3が設けられている。そして、この検知センサS3により、トレイ330の図2に示すX方向(左右方向)中央のホームポジションと、ホームポジションからの移動モータM2の駆動パルス数によって、トレイ330の受け渡し位置を決定している。
【0027】
また、トレイ330には、図2に示すように、それぞれ紙有り無しを検知する検知センサS2(S2a〜S2e)が設けられている。そして、この検知センサS2により、トレイ330の各々にシートが収納されているかを検知し、未収納のトレイに次の排出シートPを収納するように、後述する図9に示すシート収納装置制御部636のCPU701はトレイ330の位置を制御する。
【0028】
図5は、トレイ330のシートを下方から受け入れて立てた状態で保持するシート保持部である保持部200の構成を示す図である。保持部200は、略垂直な収納ガイド304と、収納ガイド304に対向して設けられた搬送ガイド303と、収納ガイド304及び搬送ガイド303の間に収納され、収納ガイド304と共にシートを挟持する円柱形状の保持部材305とを備えている。ここで、本実施の形態では、保持部材305として円柱形状のものを使用しているが、球体形状、円筒形状、紡錘形状のものを用いても良い。
【0029】
さらに、トレイ330を、図13に示されるように、搬送ガイド303に固定軸404を固設し、この固定軸404にワンウェイクラッチ403を介して保持部材としてのスポンジローラ405を設けた構成としても良い。スポンジローラ405は、弾性を有する発泡体により構成され、収納ガイド304に当接して弾性変形した状態で設けられる。ワンウェイクラッチ403は、図13において時計周りにはフリーに回転可能(空転可能)であるが、反時計回りには固定軸404に追従するため回転できないようになっている。
【0030】
このため、ワンウェイクラッチ403が組み込まれたスポンジローラ405は、シート搬送部としての搬送ローラ301及び従動コロ302によりトレイ330に搬送されてきたシートに追従して回転する。一方、シート搬送方向と反対方向のシートの移動は、収納ガイド304との間で生ずるスポンジローラ405の押圧力により規制され、シートはその自重に抗して保持される。
【0031】
第1ガイド部材である収納ガイド304は、保持部200の側壁を形成し、下方から搬送されるシートを上方にガイドするものである。また、第2ガイド部材である搬送ガイド303は、上部に設けられた対向壁部303αと、下部に設けられ、収納ガイド304と共にシートを上方にガイドする下部ガイド部303γを備えている。さらに、搬送ガイド303は、下部ガイド部303γの上方、すなわち対向壁部303α及び下部ガイド部303γの間に設けられ、収納ガイド304から離れる方向に傾斜した傾斜部303βを有している。
【0032】
保持部材305は、収納ガイド304と、搬送ガイド303の対向壁部303α及び傾斜部303βとの間で移動自在に設けられている。この保持部材305は、シートが保持部200に搬送されるまでは、自重により収納ガイド304と、搬送ガイド303の傾斜部303βに当接した状態となっている。
【0033】
これにより、保持部材305はガイド間距離が大きくなる方向、すなわち上方向には自由に移動できるが、ガイド間距離が小さくなる方向、すなわち下方向には移動できない。上記構成により、保持部200は、シート搬送方向にはシートの通過を可能に、シート搬送方向と逆方向にはシートの移動を規制するよう、シートを保持する。また、搬送ガイド303又は収納ガイド304には、保持部材305がシート搬送方向と直交する前奥方向に移動して脱落することがないように、シートPの搬入を阻害しない範囲で不図示の係止部が設けられている。
【0034】
次に、シートPをトレイ330の保持部200に保持する動作について図6を用いて説明する。図6の(a)に示すように、搬送ローラ301よりシートPがトレイ330に搬送されると、保持部材305は、収納ガイド304とのニップ部を通過するシートPにより押圧されながら、シートPに沿って矢印B方向にシートPの厚さ分移動する。なお、本実施の形態において、保持部材305は、シートPが収納ガイド304と保持部材305とのニップ部を通過する際、搬送されるシートPにより、矢印B方向へ移動自在となるような軽い材質で形成されている。これにより、シートPを弱い力で保持部材305を矢印B方向へ上昇させながら保持部200に収納することができる。
【0035】
そして、シートPの後端が従動コロ302から抜けると、図6の(b)に示すように、傾斜部303βに位置している保持部材305に作用する重力Mにより、シートPには、収納ガイド304の方向への当接力F(=M/tanθ)が加わる。つまり、シートPの後端が従動コロ302から抜け、シートによる押圧が解除されると、保持部材305はシートPに対して楔効果を発生する。そして、この楔効果として作用する当接力FによりシートPは、保持部200に保持される。
【0036】
以後、後続のシートは、収納ガイド304と保持部材305とにより保持されている先行シートPと同様に、収納ガイド304と搬送ガイド303の間を搬送される。そして、この後、保持部材305と先行シートPのニップ部へ突入することにより、先行シートPを収納ガイド304内に保持しながら、後続のシートも当接力Fにより収納ガイド304と保持部材305とにより保持することができる。この一連の動作を順次搬送されてくるシートPに対して繰り返し行うことで、トレイ330に複数のシートを収納することができる。
【0037】
図7は、トレイ330に保持されたシートPの状態を示す斜視図であり、図7に示すように、保持部200は、搬送されてくるシートPに対して搬送ガイド313のシート搬送方向と直交する幅(取り出し)方向の奥側位置に配置されている。これにより、保持部200によってシートを保持した際、シートPのシート搬送方向と直交する幅方向の一端部がトレイ330から取り出す方向の手前側、すなわち装置本体手前側に突出した状態になる。
【0038】
また、トレイ330(の保持部200)の高さ方向の長さは、収納したシートPの上部が突出するような長さに設定されている。つまり、本実施の形態においては、トレイ330の高さ及び奥行き方向の幅を、収納されたシートのシート搬送方向下流側端部及び幅方向の一端部がトレイ330から突出するように設定している。これにより、トレイ330に収納されたシートPは、図7の角度θ(=90°)で示す装置本体手前側方向U、装置本体手前側斜め上方方向V、上方向Wの範囲で取り出しが可能となる。
【0039】
また、このようにトレイ330に収納された際、シートPはトレイ330の上方及び手前に突出しているため、この突出部分がシートPを取り出す時の掴み代として有効となっている。そして、シートPを装置本体手前側、装置本体手前側斜め上方及び図6の(a)の矢印Aで示す上方向にシート束を引き抜くようにすれば、保持部材305による楔効果が作用しない。したがって、片手で容易にトレイ330からシートP、あるいはシートの束を取り出すことができる。なお、シートのシート搬送方向下流側端部と幅方向の一端部の両方がトレイ330から突出する構成について説明したが、シートのシート搬送方向下流側端部と幅方向の一端部のうち少なくとも一方がトレイ330から突出すれば取り出し性、視認性は向上する。
【0040】
なお、図8は画像形成装置本体100A及びシート収納装置300を制御する制御ブロック図である。図8に示すように、CPU回路部630は、CPU629、ROM631、RAM650を有している。CPU回路部630は、画像信号制御部634、プリンタ制御部635、シート収納装置制御部636、外部のPC(パソコン)620とのインターフェイスである外部インターフェイス637を制御している。なお、CPU回路部630は、ROM631に格納されているプログラム及び図1に示すようにシート収納装置300の上面に設けられた操作部601の設定に従ってシート収納装置制御部636等を制御する。
【0041】
ここで、画像信号制御部634は外部のPC620から外部インターフェイス637を介して入力される画像データをプリンタ制御部635に入力し、プリンタ制御部635は、この画像データに基づき画像形成装置本体100Aを制御する。また、シート収納装置制御部636はシート収納装置300に搭載され、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってシート収納装置全体の駆動制御を行う。なお、本実施の形態において、シート収納装置制御部636をシート収納装置300に搭載しているが、本発明はこれに限定されるものではない。シート収納装置制御部636を、CPU回路部630と一体的に画像形成装置本体100Aに設け、画像形成装置本体側からシート収納装置300を制御するようにしてもよい。
【0042】
また、シート収納装置制御部636は、図9に示すように、CPU701、RAM702、ROM703と、収納部制御部708等で構成されている。このシート収納装置制御部636は、通信インターフェイス706を介して画像形成装置本体側に設けられたCPU回路部630と通信してデータ交換を行う。そして、このシート収納装置制御部636は、CPU回路部630からの指示に基づきROM703に格納されている各種プログラムを実行し、収納部制御部708を介してシート収納装置300の制御を行う。
【0043】
ここで、シート収納処理制御を行う際には、CPU701に、収納部制御部708からI/O705を介してシート収納装置300を制御するための各種センサからの検出信号が取り込まれる。なお、このような各種センサとしては、既述した入口センサS1、検知センサS2、検知センサS3がある。また、CPU701は、収納部制御部708を介して既述した搬送モータM1、移動モータM2を駆動する。
【0044】
次に、本実施の形態に係るシート収納装置300のシート収納動作制御について図10を用いて説明する。画像形成装置100にプリントJobが送られると、プリントJobがスタートされ、これに伴いシート収納装置制御部636は、まず収納対象トレイ番号確定処理を行う(S801)。
【0045】
そして、この収納対象トレイ番号確定処理として、図11に示すように、まずシートを収納するトレイを設定するためのトレイモニター番号iを0にリセットし(i=0)(S820)、次にトレイモニター番号iに1を加える処理を行う(S821)。次に、i(=1)番目のトレイをモニター(監視)し(S822)、検知センサS2によりi(=1)番目のトレイに保持シートが存在するかを判別する(S823)。
【0046】
ここで、i(=1)番目のトレイに保持シートがある場合は(S823のN)、iが5、すなわち最後のトレイであるかを判断する(S826)。そして、i=5でない場合には(S826のN)、トレイモニター番号iに1を加え(S821)、i(=2)番目のトレイに保持シートが存在するかを判別する(S823)。
【0047】
このように、トレイに保持シートがある場合は(S823のN)、5番目のトレイの監視が終了するまで、すなわちi=5となるまで繰り返し行う。そして、5番目のトレイに保持シートが存在する場合、すなわち全てのトレイに保持シートが存在する場合であるi=5の場合は(S826のY)、“スタックFULL”信号をCPU701からCPU回路部630に発信する(S827)。なお、この“スタックFULL”信号を受信すると、CPU回路部630は、操作部601に設けられた不図示の表示部に収納不能を表示する。
【0048】
一方、i番目のトレイで保持シートが存在しない(無し)場合(S823のY)、収納対象番号をi番目に確定する(S824)。そして、このように収納対象番号を確定することにより、収納対象番号がi番目のトレイへの搬送指令を出し、収納対象トレイ番号確定処理を完了する。
【0049】
次に、収納対象トレイ番号確定処理が完了すると、図10に示す移動処理に移行する(S802)。そして、この移動処理として、図12に示すように、まず移動モータM2を駆動し(S830)、連結部材310を、図2に示すホームポジションまで移動させる。そして、連結部材310がホームポジションに到達したことを検知センサS3が検知すると(S831)、すなわちトレイ330がホームポジションに到達すると、一旦、移動モータM2を停止させる(S832)。
【0050】
次に、このようにトレイ330がホームポジションに到達した後、移動モータM2を駆動し(S833)、移動モータM2のクロック数をカウント(監視)する(S834)。そして、移動モータM2のクロック数が、トレイ330が、既述した収納対象トレイ番号確定処理(S801)によって決定されたi番目のトレイが搬送ローラ301に一致する位置となるまでカウントする。そして、移動モータM2のクロック数がi番目のトレイが搬送ローラ301に一致する位置となる所定数(i×20)となると(S835のY)、移動モータM2を停止する(S836)。
【0051】
次に、このような移動処理が完了すると、画像形成装置本体側に設けられたCPU回路部630に、図10に示すようにプリントの排出可能信号を出力する(S803)。また、搬送モータM1を駆動させ(S804)、さらに画像形成装置100からのシート搬送に備え、入口センサS1によるシートの到達監視を行う(S805)。そして、入口センサS1がシート先端を検知すると(S806のY)、排紙モータクロックの監視を開始する(S807)。
【0052】
この後、入口センサS1がシート後端を検知すると(S808のY)、検知センサS2の信号を監視する(S809)。そして、検知センサS2がシートの先端を検知すると(S810のY)、選択されたi番目のトレイ330の保持部200に正常にシートが保持されたと判断し、シートの収納が正常に完了したと判断する(S811)。
【0053】
なお、入口センサS1がシート先端を検知せず(S806のN)、この状態が所定時間経過した場合には(S840のY)、ジャム信号を出力する(S850)。また、入口センサS1がシート後端を検知せず(S808のN)、この状態が所定時間経過した場合には(S841のY)、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には、ジャム信号を出力する(S850)。さらに、検知センサS2がシート先端を検知せず(S810のN)、この状態が所定時間経過した場合には(S842のY)、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には、ジャム信号を出力する(S850)。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態では、トレイ330にシートが収納された際、シートの、シート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部が保持部200から突出するように構成している。これにより、収納位置に高低差がなくなるので、5つのトレイのうちのどのトレイにシートが収納されていても、取り出し性を向上させることができると共に、視認性を向上させることができる。さらに、他の収納シートを乱すことなく取り出すことができる。つまり、本実施の形態のように、トレイ330を収納されたシートの、シート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部の少なくとも一方がトレイ330から突出するように構成することにより、取り出し性、視認性を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施の形態において、トレイ330に収納されたシートの幅方向の一端部が画像形成装置本体手前側に突出する向きにシート収納装置300を装着するようにしたが、これに限らない。例えば、トレイ330に収納されたシートの画像面が画像形成装置本体手前側から見えるように、本実施の形態における装着方向に対して90度回転した向きに装着するようにしても取り出し性、視認性を向上させることができる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図14及び図15は、本実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する図である。なお、図14及び図15において、既述した図2及び図7と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0057】
図14及び図15において、321(321a〜321e)はトレイ330の検知センサS2の上方に配置された下部先端ストッパ、320(320a〜320e)は下部先端ストッパ321の上方に配された上部先端ストッパである。ここで、この上部及び下部先端ストッパ320,321は、シートのシート搬送方向長さに応じて設けられている。
【0058】
そして、このように上下方向に複数設けられた上部及び下部先端ストッパ320,321の上端には、それぞれトレイ330内を下方から搬入されるシートの先端と当接してシートの先端を整合する当接部336,337が設けられている。そして、シートのシート搬送方向長さに応じて、このような上部及び下部先端ストッパ320,321を設けることにより、トレイ330に収納されるシートの先端位置を揃えることができ、収納性が向上する。
【0059】
また、この上部及び下部先端ストッパ320,321は、収納ガイド304の、シートの搬送の妨げとならない位置に設けられた軸Q1,Q2を支点として揺動可能となっている。そして、この上部及び下部先端ストッパ320,321は揺動して、当接部336,337が収納ガイド304と係合してシートの先端を整合する整合位置、及び後述する図16及び図17に示す収納ガイド304から離間する位置に移動するようになっている。
【0060】
332は上部先端ストッパ320の係止部334が係止された移動軸、333は下部先端ストッパ321の係止部335が係止された移動軸である。この移動軸332,333は移動部材322に固定されている。
【0061】
ここで、この移動部材322は、ラック部332aに噛み合うように配置された移動モータM3の平歯車332bによって上下方向に移動可能になっている。そして、この移動部材322を上下方向に移動させることにより、移動軸332,333が上下方向に移動し、上部及び下部先端ストッパ320,321の下端部を押圧する。
【0062】
これにより、上部及び下部先端ストッパ320,321が軸Q1,Q2を支点として揺動し、当接部336,337が収納ガイド304から離間する。このように、本実施の形態においては、上部及び下部先端ストッパ320,321を移動させる移動部は、移動軸332,333、移動部材322及び移動モータM3により構成される。なお、この移動部材322は、検知センサS3によって停止位置が制御される。
【0063】
ここで、下降した移動軸333が下部先端ストッパ321の下端部に突き当たるタイミングは、下降した移動軸332が上部先端ストッパ320の下端部に突き当たるタイミングよりも短くなっている。これにより、下部先端ストッパ321が上部先端ストッパ320よりも先に揺動し、下部先端ストッパ321の当接部336の方が、上部先端ストッパ320の当接部337よりも先に収納ガイド304から離間するようになる。この結果、後述するようにラージサイズのシートを収納する際、下部先端ストッパ321に邪魔されることなく、シートを上部先端ストッパ320に当接させることができる。
【0064】
なお、本実施の形態においても、シートは図15に示すように、装置本体手前側方向U、装置本体手前側斜め上方方向V、上方向Wの範囲で取り出しが可能となる。ここで、W方向にシートPを取り出す際には、上部及び下部先端ストッパ320,321は、後述する図17に示すように当接部336,337が収納ガイド304から離間した位置に移動しているため、シートPを上方側から取り出し可能となる。
【0065】
次に、シートPをトレイ330の保持部200に保持する動作について図16を用いて説明する。図16の(a)は、スモールサイズのシートを収納する時の状態を示す図であり、この時、下部先端ストッパ321の当接部337は、収納ガイド304と係合してシートの先端の位置決めをする位置となっている。そして、下部先端ストッパ321が、このような位置となるように移動部材322の移動高さを制御している。
【0066】
図16の(b)は、ラージサイズのシートを収納する時の状態を示す図である。この時、下降した移動軸333は下部先端ストッパ321の下端部に突き当たっているが、移動軸332は上部先端ストッパ320の下端部に突き当たっていない。このため、下部先端ストッパ321の当接部337は収納ガイド304から離間した位置に、上部先端ストッパ320の当接部336は収納ガイド304と係合した状態となっている。そして、上部及び下部先端ストッパ320,321が、このような位置となるように移動部材322の移動高さを制御している。
【0067】
図17は、トレイ330の保持部200に収納されたシートPを取り出す時の状態を示す図である。この場合、上部及び下部先端ストッパ320,321の当接部336,337が収納ガイド304から離間した位置となっている。そして、上部及び下部先端ストッパ320,321の全てが、このような位置になるように、移動部材322の移動高さを制御している。これにより、シートPを、上部先端ストッパ320を通過させながら取り出す(引き出す)ことができる。
【0068】
このように、本実施の形態においては、移動部材322の位置を制御することにより、上部及び下部先端ストッパ320,321の位置制御を行うことができる。なお、シートが引き出された後、移動部材322を上昇させると、移動軸332,333に、上部及び下部先端ストッパ320,321の係止部334,335が係止される。これにより、この後、さらに移動部材322を上昇させると、上部及び下部先端ストッパ320,321は、既述した図16の(a)に示すようにシートの先端を整合する整合位置に戻る。
【0069】
図18は本実施の形態に係るシート収納装置制御部636の制御ブロック図である。なお、図18において、既述した図9と同一符号、同一又は相当部分を示している。そして、図18に示すように、シート収納装置制御部636は、収納部制御部708を介してシート収納装置300の制御を行う。ここで、シート収納処理制御を行う際には、CPU701に、収納部制御部708からI/O705を介してシート収納装置300を制御するための各種センサからの検出信号が取り込まれる。
【0070】
なお、このような各種センサとしては、既述した入口センサS1、紙有り無しを検知する検知センサS2、収納部の移動を検知する検知センサS3及び先端ストッパの移動を検知する検知センサS4がある。また、CPU701は、収納部制御部708を介して既述した搬送モータM1、収納部を移動する移動モータM2及び先端ストッパを移動する移動モータM3を駆動する。
【0071】
次に、本実施の形態に係るシート収納装置300のシート収納動作制御について図19を用いて説明する。画像形成装置100にプリントJobが送られると、プリントJobがスタートされ、これに伴いシート収納装置制御部636は、まず既述した図11に示す収納対象トレイ番号確定処理を行う(S851)。この後、既述した図12に示す移動処理を行う(S852)。
【0072】
次に、搬送されるシートPのサイズに合わせて上部及び下部先端ストッパ320,321の位置を切り替えるよう先端ストッパ切替え処理を行う(S853)。そして、この先端ストッパ切替え処理として図20に示すように、まず移動部材322を、例えば図14に示すホームポジションに戻すように移動モータM3を駆動させる(S863)。
【0073】
次に、検知センサS4を監視し(S864)、検知センサS4によって移動部材322がホームポジションに移動したかを検知する(S865)。そして、検知センサS4からの信号により移動部材322がホームポジションに移動したことを検知すると(S865のY)、一旦移動モータM3を停止させる(S866)。
【0074】
次に、移動部材322を下降させて、上部及び下部先端ストッパ320,321を、収納するシートPのサイズに応じた位置に移動させるように移動モータM3を駆動させる(S867)。そして、移動モータM3のクロック数を監視し(S868)、クロック数が所定のクロック数(=50)に達すると(S869のY)、移動モータM3を停止させる(S870)。
【0075】
これにより、上部及び下部先端ストッパ320,321の位置は、スモールサイズのシートを収納する場合は、既述した図16の(a)に示す位置となり、ラージサイズのシートを収納するは、図16の(b)に示す位置となる。そして、上部及び下部先端ストッパ320,321の位置を、このような位置に切り替えることにより、先端ストッパを切り替える切替え処理が完了する。
【0076】
次に、このような移動処理が完了すると、画像形成装置本体側に設けられたCPU回路部630に、図19に示すようにプリントの排出可能信号を出力する(S854)。また、搬送モータM1を駆動させ(S855)、画像形成装置100からのシート搬送に備え、入口センサS1によるシートの到達監視を行う(S856)。そして、入口センサS1がシート先端を検知すると(S857のY)、排紙モータクロックの監視を開始する(S858)。
【0077】
この後、入口センサS1がシート後端を検知すると(S859のY)、検知センサS2の信号を監視する(S860)。そして、検知センサS2がシートの先端を検知すると(S861のY)、正常にトレイ330の保持部200にシートが保持されたと判断し、プリントJobは正常に完了したと判断する(S862)。
【0078】
なお、入口センサS1がシート先端を検知せず(S857のN)、この状態が所定時間経過した場合には(S891のY)、ジャム信号を出力する(S894)。また、入口センサS1がシート後端を検知せず(S859のN)、この状態が所定時間経過した場合、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には(S892のY)、ジャム信号を出力する(S894)。さらに、検知センサS2がシート先端を検知せず(S861のN)、この状態が所定時間経過した場合、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には(S893のY)、ジャム信号を出力する(S894)。
【0079】
次に、図21を用いて、このように正常にトレイ330の保持部200に保持されたシートを取り出すためのシート取り出し処理を説明する。この処理の場合、まず先端ストッパ離間処理を開始する(S881)。これにより、移動モータM3が駆動され(S882)、移動部材322が下降する。また、移動モータM3のクロックの監視を開始する(S883)。
【0080】
そして、この移動モータM3のクロック数が所定の値(=100)となると(S884のY)、移動モータM3を停止する(S885)。なお、このときに先端ストッパ移動モータクロック数は、既述した先端ストッパの切替え処理(S853)よりも大きくなっている。これにより、既述した図17に示すように上部及び下部先端ストッパ320,321の当接部336,337を、確実に収納ガイド304から離間する位置、すなわちシートの上方からの取り出しを可能とする取り出し位置に移動させることができる。
【0081】
次に、シートPがトレイ330から取り出されたかどうかを確認するため検知センサS2を監視し(S886)、検知センサS2がシートPの後端抜けを検知すると(S887のY)、シート取り出し処理が正常に完了したと判断する。
【0082】
以上のように、本実施の形態では、トレイ330に上部及び下部先端ストッパ320,321を設け、シート収納動作時と、シート取り出し動作時で、上部及び下部先端ストッパ320,321の位置を変えるようにしている。これにより、トレイ330に収納されるシートの先端位置を揃えることができ、収納性が向上すると共に、取り出し性も向上する。
【0083】
なお、本実施の形態では、移動モータM3によって、各トレイ330の移動軸332,333を上下方向に一括して移動させている。しかし、本実施の形態は、これに限らず、各トレイ330に移動モータM3を設け、移動軸332,333をそれぞれ独立で動作させるようにしても良い。
【0084】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図22は、本実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する図である。なお、図22において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0085】
図22において、FLはシート収容媒体であるシート収納ファイルであり、本実施の形態においては、このシート収納ファイルFLを、5つのトレイ330(330a〜330e)の上方から、トレイ330の上部を覆うように被せるようにしている。そして、トレイ330の保持部200で保持されたシートPは、このシート収納ファイルFL内に収納されるようになっている。
【0086】
ここで、このシート収納ファイルFLは、一般的にシート束を収納して、持ち運び移動可能な少なくとも二辺もしくは三辺が開口されている袋状の薄型樹脂製のファイルである。そして、シート収納ファイルFLをセットする場合は、図22で示すように収納ガイド304の上端部に、シート収納ファイルFLの閉塞側が位置するようにセットする。なお、本実施の形態において、このシート収納ファイルFLは半透明の材料で形成されている。そして、このようにシート収納ファイルFLを半透明の材料で形成することにより、検知センサS2は、シート収納ファイルFLを検知せず、シート収納ファイルFL内に搬送されたシートPを検知することができる。
【0087】
そして、本実施の形態においても、図23に示すように保持部200によってシートを保持した際には、シートPの幅方向一端部がトレイ330から突出した状態になる。これにより、トレイ330からシート収納ファイルFLを取り出す方向は、U、V、W方向を含む角度θ内の範囲となる。また、シート収納ファイルFLはセット状態でトレイ330に対して手前側に突出しているため、取り出す時の掴み代としても有効となっている。
【0088】
なお、本実施の形態では、特にシート収納ファイルFLをセットしたか否かを検知する検知センサを設けていないが、各トレイ330a〜330eに検知センサを設け、シート収納ファイルFLをセットしたトレイ330にシートPを排出するようにしても良い。また、排出されるシートPの機密性を高めたい場合であれば、透明度の低いシート収納ファイルFLをトレイ330にセットすれば、保持部200に保持されているシートPの画像内容が外部から視認させることはない。
【符号の説明】
【0089】
100…画像形成装置、100A…画像形成装置本体、100B…画像形成部、200…保持部、300…シート収納装置、301…搬送ローラ、302…従動コロ、303…搬送ガイド、303α…対向壁部と、303γ…下部ガイド部、303β…傾斜部、304…収納ガイド、305…保持部材、320…上部先端ストッパ、321…下部先端ストッパ、322…移動部材、330…トレイ、332…移動軸、333…移動軸、FL…シート収納ファイル、M3…移動モータ、P…シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収納装置及び画像形成装置に関し、特にシート収納装置を画像形成装置本体の上面に配置するようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においては、画像が形成された後、画像形成装置本体から排出されるシートを収納するシート収納装置を備え、このシート収納装置に、画像形成されたシートを順次排出するようにしたものがある。そして、このようなシート収納装置としては、画像が形成された後に排出されるシートを収容するビンを複数、上下方向に移動可能に設けたビン移動型のソータがある(特許文献1参照)。
【0003】
図24の(a)及び(b)は、このような従来のビン移動型のソータを説明する図であり、このソータ1002は、図24の(a)に示すように、上下方向に移動可能な複数のビントレイBnを備えている。なお、この複数のビントレイBnは、両側部に設けられた不図示の螺旋カムの1回転により1段ずつ上昇または下降するようになっている。
【0004】
そして、画像形成装置本体1000においてトナーにより画像が形成されたシートは、排紙ローラ対1001を経てソータ1002へ送られ、不図示の切換部材の切換により、ソートパスまたはノンソートパスの方向へ選択して送られる。ノンソートパスを通過したシートはノンソートトレイ1003上へ排出され、ソートパスを通過したシートは図24の(b)に示すように、排紙ローラ1004により排出され、その排出と同期して昇降する各ビントレイBn上に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−48458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来のシート収納装置は、略水平、又は緩傾斜状に配置されたビントレイ上にシートを順次平積み状に収納していくものである。また、排出シートの識別性を向上させるために、複数のビントレイを積層構造にし、排出シートのジョブごとにビントレイを変える構成である。したがって、ビントレイの位置には高低差があり、特に低いビントレイに収納されたシートの視認性・取り出し性が良好ではなかった。
【0007】
また、ビントレイ上に排出されたシート束は、ステイプル綴じ等を施した場合を除いては、シート束状態で拘束されていない。このため、ビントレイからの取り出し時、誤って他のシート束に触れたり、排出時のシートの状態(カール・表面摩擦等)によってビントレイ上でシートが乱れてしまったりする場合がある。このような場合、結果的に取り出し性の低下や、装置の排出エラー等の装置トラブルを発生させる可能性がある。また、従来のシート収納装置は、画像形成装置の側方に配置されるため、画像形成装置とシート収納装置を合わせたシステム全体の幅方向の長さが長くなる。
【0008】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、取り出し性、視認性を向上させることのできるシート収納装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像形成装置本体の上方に設けられ、前記画像形成装置本体から順次搬送されるシートを収納するシート収納装置であって、シートを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送されたシートを下方から受け入れて立てた状態で収納する複数のシート収納部と、を備え、前記複数のシート収納部は、シート搬送方向にはシートの通過を可能に、シート搬送方向と逆方向にはシートの移動を規制するよう、シートを保持するシート保持部を有し、前記シート保持部は、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及びシート搬送方向と直交する幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように保持することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のように、シートを立てた状態で収納する複数のシート収納部のシート保持部に、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように保持することにより、取り出し性、視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るシート収納装置を備えた画像形成装置の構成を示す図。
【図2】上記シート収納装置の構成を説明する第1の図。
【図3】上記シート収納装置の構成を説明する第2の図。
【図4】上記シート収納装置の構成を説明する第3の図。
【図5】上記シート収納装置に設けられたトレイの保持部の構成を示す図。
【図6】上記保持部にシートを保持する動作を説明する図。
【図7】上記トレイに保持されたシートの状態を示す斜視図。
【図8】画像形成装置本体及び上記シート収納装置を制御する制御ブロック図。
【図9】上記シート収納装置を制御するシート収納装置制御部の制御ブロック図。
【図10】上記シート収納装置のシート収納動作制御を示すフローチャート。
【図11】上記シート収納装置の収納対象トレイ番号確定処理を示すフローチャート。
【図12】上記シート収納装置の移動処理を示すフローチャート。
【図13】上記シート収納装置に設けられた別の保持部の構成を示す図。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する図。
【図15】上記シート収納装置の構成を説明する第2の図。
【図16】上記シート収納装置に設けられたトレイの保持部にシートを保持する動作を説明する図。
【図17】上記保持部のシートを取り出すときの状態を説明する図。
【図18】上記シート収納装置を制御するシート収納装置制御部の制御ブロック図。
【図19】上記シート収納装置のシート収納動作制御を示すフローチャート。
【図20】上記シート収納装置の先端ストッパ切替え処理を示すフローチャート。
【図21】上記シート収納装置のシート取り出し処理を説明するフローチャート。
【図22】本発明の第3の実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する図。
【図23】上記シート収納装置に設けられたトレイの保持部に保持されたシートの状態を示す斜視図。
【図24】従来のシート収納装置の構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート収納装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。100は画像形成装置、100Aは画像形成装置本体(以下、装置本体という)、100Bはシートに画像を形成する画像形成部、300は装置本体100Aの上面(上方)に配置されたシート収納装置である。
【0013】
ここで、画像形成部100Bは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成する感光体ドラムa〜dと、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置106等を備えている。なお、この感光体ドラムa〜dは不図示のモータにより駆動されると共に、周囲には、それぞれ不図示の一次帯電器、現像器、転写帯電器が配置されており、これらはプロセスカートリッジ101a〜101dとしてユニット化されている。
【0014】
102は、矢印方向に回転駆動される中間転写ベルトであり、この中間転写ベルト102に転写帯電器102a〜102dによって転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト102に多重転写される。これにより、中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
【0015】
103は順次中間転写ベルト102に形成されたフルカラー画像をシートPに転写する2次転写部である。この2次転写部103は、中間転写ベルト102を支持する2次転写対向ローラ103b及び中間転写ベルト102を介して2次転写対向ローラ103bと当接する2次転写ローラ103aとから構成される。109はレジストレーションローラ、104は給紙カセット、108は給紙カセット104に収容されたシートPを給送するピックアップローラである。630は装置本体100A及びシート収納装置300の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
【0016】
次に、このように構成された画像形成装置100の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等からの画像情報に基づき露光装置106はレーザ光を照射し、表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラムa〜dの表面を順次露光して感光体ドラムa〜dに静電潜像を形成する。この後、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。
【0017】
例えば、まず感光体ドラムaに、原稿のイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を露光装置106のポリゴンミラー等を介して照射し、感光体ドラムa上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像器からのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。この後、このトナー像が感光体ドラムaの回転に伴って感光体ドラムaと中間転写ベルト102とが当接する1次転写部に到来する。ここで、このようにトナー像が1次転写部に到来すると、転写帯電器102aに印加した1次転写バイアスにより、感光体ドラムa上のイエロートナー像が中間転写ベルト102に転写される(1次転写)。
【0018】
次に、中間転写ベルト102のイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラムb上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト102に転写される。同様に、中間転写ベルト102が移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト102上にフルカラートナー画像が形成される。
【0019】
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット104に収容されたシートPは、ピックアップローラ108により1枚ずつ送り出される。そして、シートPは、レジストレーションローラ109に達し、レジストレーションローラ109によりタイミングを合わされた後、2次転写部103に搬送される。この後、この2次転写部103において、転写手段である2次転写ローラ103aに印加される2次転写バイアスによって中間転写ベルト102上の4色のトナー像がシートP上に一括して転写される(2次転写)。
【0020】
次に、トナー像が転写されたシートPは、2次転写部103から定着部105に搬送される。そして、この定着部105に設けられた加熱ローラ105a及び加圧ローラ105bにより、熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートPにフルカラーの画像として定着される。この後、このように画像が定着されたシートPは、定着部105の下流に設けられた排出ローラ対110によって排紙され、湾曲形状を有する搬送ガイド313を通って装置本体100Aの上面に配置されたシート収納装置300に搬送される。
【0021】
ここで、このシート収納装置300は、装置本体100Aから順次搬送されるシートを下方から受け入れて立てた状態で収納するものである。そして、このシート収納装置300は、図2に示すように、水平方向に沿って並べて配置され、シートを立てた状態で収納する複数、本実施の形態においては、5つのシート収納部であるトレイ330(330a〜330e)を備えている。なお、このように装置本体100Aの上部に5つのトレイ330を複数並列配置することにより、設置スペースを広くすることなく、収納量を増加することができる。また、シートを立てた状態で収納するようにすることにより、ラージサイズのシートを収納した場合においても、装置の設置スペースを広くすることがない。
【0022】
また、装置本体100Aから排出されたシートをトレイ330に搬送する搬送ガイド313を備えている。搬送ガイド313のシート搬送方向下流部には、搬送ローラ301及び搬送ローラ301に圧接する従動コロ302が設けられており、搬送部としての搬送ローラ301及び従動コロ302によってシートPを5つのトレイ330の一つに選択的に搬送する。
【0023】
なお、搬送ローラ301は、搬送モータM1により駆動される搬送ローラ駆動ギア307と駆動ベルト306によって回転駆動が付与される。また、シート収納装置300は、搬送ガイド313の入口部に設けられた入口センサS1を備えており、この入口センサS1により、装置本体100AからのシートPの搬送タイミングをモニターしている。
【0024】
トレイ330(330a〜330e)は、図3に示すように連結軸308により連結されると共に、保持板309によって保持されている。ここで、保持板309には、移動モータM2の同軸上に設けた移動プーリ311bと対向側に設けられた移動プーリ311aに掛けられているタイミングベルト312に固定された連結部材310が固定されている。
【0025】
これにより、タイミングベルト312が回転すると、連結部材310と共に保持板309が移動し、これに伴いトレイ330も一体的に図2に示す矢印X方向(左右方向)へと移動するようになっている。そして、このようにトレイ330が左右方向に移動することにより、搬送ローラ301に臨むトレイ330を変更することができ、これにより5つのトレイ330の各々に搬送ローラ301から搬送されるシートPを仕分けながら収納することができる。
【0026】
なお、このシート収納装置300には、図4に示すように、連結部材310のホームポジションを検知する検知センサS3が設けられている。そして、この検知センサS3により、トレイ330の図2に示すX方向(左右方向)中央のホームポジションと、ホームポジションからの移動モータM2の駆動パルス数によって、トレイ330の受け渡し位置を決定している。
【0027】
また、トレイ330には、図2に示すように、それぞれ紙有り無しを検知する検知センサS2(S2a〜S2e)が設けられている。そして、この検知センサS2により、トレイ330の各々にシートが収納されているかを検知し、未収納のトレイに次の排出シートPを収納するように、後述する図9に示すシート収納装置制御部636のCPU701はトレイ330の位置を制御する。
【0028】
図5は、トレイ330のシートを下方から受け入れて立てた状態で保持するシート保持部である保持部200の構成を示す図である。保持部200は、略垂直な収納ガイド304と、収納ガイド304に対向して設けられた搬送ガイド303と、収納ガイド304及び搬送ガイド303の間に収納され、収納ガイド304と共にシートを挟持する円柱形状の保持部材305とを備えている。ここで、本実施の形態では、保持部材305として円柱形状のものを使用しているが、球体形状、円筒形状、紡錘形状のものを用いても良い。
【0029】
さらに、トレイ330を、図13に示されるように、搬送ガイド303に固定軸404を固設し、この固定軸404にワンウェイクラッチ403を介して保持部材としてのスポンジローラ405を設けた構成としても良い。スポンジローラ405は、弾性を有する発泡体により構成され、収納ガイド304に当接して弾性変形した状態で設けられる。ワンウェイクラッチ403は、図13において時計周りにはフリーに回転可能(空転可能)であるが、反時計回りには固定軸404に追従するため回転できないようになっている。
【0030】
このため、ワンウェイクラッチ403が組み込まれたスポンジローラ405は、シート搬送部としての搬送ローラ301及び従動コロ302によりトレイ330に搬送されてきたシートに追従して回転する。一方、シート搬送方向と反対方向のシートの移動は、収納ガイド304との間で生ずるスポンジローラ405の押圧力により規制され、シートはその自重に抗して保持される。
【0031】
第1ガイド部材である収納ガイド304は、保持部200の側壁を形成し、下方から搬送されるシートを上方にガイドするものである。また、第2ガイド部材である搬送ガイド303は、上部に設けられた対向壁部303αと、下部に設けられ、収納ガイド304と共にシートを上方にガイドする下部ガイド部303γを備えている。さらに、搬送ガイド303は、下部ガイド部303γの上方、すなわち対向壁部303α及び下部ガイド部303γの間に設けられ、収納ガイド304から離れる方向に傾斜した傾斜部303βを有している。
【0032】
保持部材305は、収納ガイド304と、搬送ガイド303の対向壁部303α及び傾斜部303βとの間で移動自在に設けられている。この保持部材305は、シートが保持部200に搬送されるまでは、自重により収納ガイド304と、搬送ガイド303の傾斜部303βに当接した状態となっている。
【0033】
これにより、保持部材305はガイド間距離が大きくなる方向、すなわち上方向には自由に移動できるが、ガイド間距離が小さくなる方向、すなわち下方向には移動できない。上記構成により、保持部200は、シート搬送方向にはシートの通過を可能に、シート搬送方向と逆方向にはシートの移動を規制するよう、シートを保持する。また、搬送ガイド303又は収納ガイド304には、保持部材305がシート搬送方向と直交する前奥方向に移動して脱落することがないように、シートPの搬入を阻害しない範囲で不図示の係止部が設けられている。
【0034】
次に、シートPをトレイ330の保持部200に保持する動作について図6を用いて説明する。図6の(a)に示すように、搬送ローラ301よりシートPがトレイ330に搬送されると、保持部材305は、収納ガイド304とのニップ部を通過するシートPにより押圧されながら、シートPに沿って矢印B方向にシートPの厚さ分移動する。なお、本実施の形態において、保持部材305は、シートPが収納ガイド304と保持部材305とのニップ部を通過する際、搬送されるシートPにより、矢印B方向へ移動自在となるような軽い材質で形成されている。これにより、シートPを弱い力で保持部材305を矢印B方向へ上昇させながら保持部200に収納することができる。
【0035】
そして、シートPの後端が従動コロ302から抜けると、図6の(b)に示すように、傾斜部303βに位置している保持部材305に作用する重力Mにより、シートPには、収納ガイド304の方向への当接力F(=M/tanθ)が加わる。つまり、シートPの後端が従動コロ302から抜け、シートによる押圧が解除されると、保持部材305はシートPに対して楔効果を発生する。そして、この楔効果として作用する当接力FによりシートPは、保持部200に保持される。
【0036】
以後、後続のシートは、収納ガイド304と保持部材305とにより保持されている先行シートPと同様に、収納ガイド304と搬送ガイド303の間を搬送される。そして、この後、保持部材305と先行シートPのニップ部へ突入することにより、先行シートPを収納ガイド304内に保持しながら、後続のシートも当接力Fにより収納ガイド304と保持部材305とにより保持することができる。この一連の動作を順次搬送されてくるシートPに対して繰り返し行うことで、トレイ330に複数のシートを収納することができる。
【0037】
図7は、トレイ330に保持されたシートPの状態を示す斜視図であり、図7に示すように、保持部200は、搬送されてくるシートPに対して搬送ガイド313のシート搬送方向と直交する幅(取り出し)方向の奥側位置に配置されている。これにより、保持部200によってシートを保持した際、シートPのシート搬送方向と直交する幅方向の一端部がトレイ330から取り出す方向の手前側、すなわち装置本体手前側に突出した状態になる。
【0038】
また、トレイ330(の保持部200)の高さ方向の長さは、収納したシートPの上部が突出するような長さに設定されている。つまり、本実施の形態においては、トレイ330の高さ及び奥行き方向の幅を、収納されたシートのシート搬送方向下流側端部及び幅方向の一端部がトレイ330から突出するように設定している。これにより、トレイ330に収納されたシートPは、図7の角度θ(=90°)で示す装置本体手前側方向U、装置本体手前側斜め上方方向V、上方向Wの範囲で取り出しが可能となる。
【0039】
また、このようにトレイ330に収納された際、シートPはトレイ330の上方及び手前に突出しているため、この突出部分がシートPを取り出す時の掴み代として有効となっている。そして、シートPを装置本体手前側、装置本体手前側斜め上方及び図6の(a)の矢印Aで示す上方向にシート束を引き抜くようにすれば、保持部材305による楔効果が作用しない。したがって、片手で容易にトレイ330からシートP、あるいはシートの束を取り出すことができる。なお、シートのシート搬送方向下流側端部と幅方向の一端部の両方がトレイ330から突出する構成について説明したが、シートのシート搬送方向下流側端部と幅方向の一端部のうち少なくとも一方がトレイ330から突出すれば取り出し性、視認性は向上する。
【0040】
なお、図8は画像形成装置本体100A及びシート収納装置300を制御する制御ブロック図である。図8に示すように、CPU回路部630は、CPU629、ROM631、RAM650を有している。CPU回路部630は、画像信号制御部634、プリンタ制御部635、シート収納装置制御部636、外部のPC(パソコン)620とのインターフェイスである外部インターフェイス637を制御している。なお、CPU回路部630は、ROM631に格納されているプログラム及び図1に示すようにシート収納装置300の上面に設けられた操作部601の設定に従ってシート収納装置制御部636等を制御する。
【0041】
ここで、画像信号制御部634は外部のPC620から外部インターフェイス637を介して入力される画像データをプリンタ制御部635に入力し、プリンタ制御部635は、この画像データに基づき画像形成装置本体100Aを制御する。また、シート収納装置制御部636はシート収納装置300に搭載され、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってシート収納装置全体の駆動制御を行う。なお、本実施の形態において、シート収納装置制御部636をシート収納装置300に搭載しているが、本発明はこれに限定されるものではない。シート収納装置制御部636を、CPU回路部630と一体的に画像形成装置本体100Aに設け、画像形成装置本体側からシート収納装置300を制御するようにしてもよい。
【0042】
また、シート収納装置制御部636は、図9に示すように、CPU701、RAM702、ROM703と、収納部制御部708等で構成されている。このシート収納装置制御部636は、通信インターフェイス706を介して画像形成装置本体側に設けられたCPU回路部630と通信してデータ交換を行う。そして、このシート収納装置制御部636は、CPU回路部630からの指示に基づきROM703に格納されている各種プログラムを実行し、収納部制御部708を介してシート収納装置300の制御を行う。
【0043】
ここで、シート収納処理制御を行う際には、CPU701に、収納部制御部708からI/O705を介してシート収納装置300を制御するための各種センサからの検出信号が取り込まれる。なお、このような各種センサとしては、既述した入口センサS1、検知センサS2、検知センサS3がある。また、CPU701は、収納部制御部708を介して既述した搬送モータM1、移動モータM2を駆動する。
【0044】
次に、本実施の形態に係るシート収納装置300のシート収納動作制御について図10を用いて説明する。画像形成装置100にプリントJobが送られると、プリントJobがスタートされ、これに伴いシート収納装置制御部636は、まず収納対象トレイ番号確定処理を行う(S801)。
【0045】
そして、この収納対象トレイ番号確定処理として、図11に示すように、まずシートを収納するトレイを設定するためのトレイモニター番号iを0にリセットし(i=0)(S820)、次にトレイモニター番号iに1を加える処理を行う(S821)。次に、i(=1)番目のトレイをモニター(監視)し(S822)、検知センサS2によりi(=1)番目のトレイに保持シートが存在するかを判別する(S823)。
【0046】
ここで、i(=1)番目のトレイに保持シートがある場合は(S823のN)、iが5、すなわち最後のトレイであるかを判断する(S826)。そして、i=5でない場合には(S826のN)、トレイモニター番号iに1を加え(S821)、i(=2)番目のトレイに保持シートが存在するかを判別する(S823)。
【0047】
このように、トレイに保持シートがある場合は(S823のN)、5番目のトレイの監視が終了するまで、すなわちi=5となるまで繰り返し行う。そして、5番目のトレイに保持シートが存在する場合、すなわち全てのトレイに保持シートが存在する場合であるi=5の場合は(S826のY)、“スタックFULL”信号をCPU701からCPU回路部630に発信する(S827)。なお、この“スタックFULL”信号を受信すると、CPU回路部630は、操作部601に設けられた不図示の表示部に収納不能を表示する。
【0048】
一方、i番目のトレイで保持シートが存在しない(無し)場合(S823のY)、収納対象番号をi番目に確定する(S824)。そして、このように収納対象番号を確定することにより、収納対象番号がi番目のトレイへの搬送指令を出し、収納対象トレイ番号確定処理を完了する。
【0049】
次に、収納対象トレイ番号確定処理が完了すると、図10に示す移動処理に移行する(S802)。そして、この移動処理として、図12に示すように、まず移動モータM2を駆動し(S830)、連結部材310を、図2に示すホームポジションまで移動させる。そして、連結部材310がホームポジションに到達したことを検知センサS3が検知すると(S831)、すなわちトレイ330がホームポジションに到達すると、一旦、移動モータM2を停止させる(S832)。
【0050】
次に、このようにトレイ330がホームポジションに到達した後、移動モータM2を駆動し(S833)、移動モータM2のクロック数をカウント(監視)する(S834)。そして、移動モータM2のクロック数が、トレイ330が、既述した収納対象トレイ番号確定処理(S801)によって決定されたi番目のトレイが搬送ローラ301に一致する位置となるまでカウントする。そして、移動モータM2のクロック数がi番目のトレイが搬送ローラ301に一致する位置となる所定数(i×20)となると(S835のY)、移動モータM2を停止する(S836)。
【0051】
次に、このような移動処理が完了すると、画像形成装置本体側に設けられたCPU回路部630に、図10に示すようにプリントの排出可能信号を出力する(S803)。また、搬送モータM1を駆動させ(S804)、さらに画像形成装置100からのシート搬送に備え、入口センサS1によるシートの到達監視を行う(S805)。そして、入口センサS1がシート先端を検知すると(S806のY)、排紙モータクロックの監視を開始する(S807)。
【0052】
この後、入口センサS1がシート後端を検知すると(S808のY)、検知センサS2の信号を監視する(S809)。そして、検知センサS2がシートの先端を検知すると(S810のY)、選択されたi番目のトレイ330の保持部200に正常にシートが保持されたと判断し、シートの収納が正常に完了したと判断する(S811)。
【0053】
なお、入口センサS1がシート先端を検知せず(S806のN)、この状態が所定時間経過した場合には(S840のY)、ジャム信号を出力する(S850)。また、入口センサS1がシート後端を検知せず(S808のN)、この状態が所定時間経過した場合には(S841のY)、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には、ジャム信号を出力する(S850)。さらに、検知センサS2がシート先端を検知せず(S810のN)、この状態が所定時間経過した場合には(S842のY)、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には、ジャム信号を出力する(S850)。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態では、トレイ330にシートが収納された際、シートの、シート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部が保持部200から突出するように構成している。これにより、収納位置に高低差がなくなるので、5つのトレイのうちのどのトレイにシートが収納されていても、取り出し性を向上させることができると共に、視認性を向上させることができる。さらに、他の収納シートを乱すことなく取り出すことができる。つまり、本実施の形態のように、トレイ330を収納されたシートの、シート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部の少なくとも一方がトレイ330から突出するように構成することにより、取り出し性、視認性を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施の形態において、トレイ330に収納されたシートの幅方向の一端部が画像形成装置本体手前側に突出する向きにシート収納装置300を装着するようにしたが、これに限らない。例えば、トレイ330に収納されたシートの画像面が画像形成装置本体手前側から見えるように、本実施の形態における装着方向に対して90度回転した向きに装着するようにしても取り出し性、視認性を向上させることができる。
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図14及び図15は、本実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する図である。なお、図14及び図15において、既述した図2及び図7と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0057】
図14及び図15において、321(321a〜321e)はトレイ330の検知センサS2の上方に配置された下部先端ストッパ、320(320a〜320e)は下部先端ストッパ321の上方に配された上部先端ストッパである。ここで、この上部及び下部先端ストッパ320,321は、シートのシート搬送方向長さに応じて設けられている。
【0058】
そして、このように上下方向に複数設けられた上部及び下部先端ストッパ320,321の上端には、それぞれトレイ330内を下方から搬入されるシートの先端と当接してシートの先端を整合する当接部336,337が設けられている。そして、シートのシート搬送方向長さに応じて、このような上部及び下部先端ストッパ320,321を設けることにより、トレイ330に収納されるシートの先端位置を揃えることができ、収納性が向上する。
【0059】
また、この上部及び下部先端ストッパ320,321は、収納ガイド304の、シートの搬送の妨げとならない位置に設けられた軸Q1,Q2を支点として揺動可能となっている。そして、この上部及び下部先端ストッパ320,321は揺動して、当接部336,337が収納ガイド304と係合してシートの先端を整合する整合位置、及び後述する図16及び図17に示す収納ガイド304から離間する位置に移動するようになっている。
【0060】
332は上部先端ストッパ320の係止部334が係止された移動軸、333は下部先端ストッパ321の係止部335が係止された移動軸である。この移動軸332,333は移動部材322に固定されている。
【0061】
ここで、この移動部材322は、ラック部332aに噛み合うように配置された移動モータM3の平歯車332bによって上下方向に移動可能になっている。そして、この移動部材322を上下方向に移動させることにより、移動軸332,333が上下方向に移動し、上部及び下部先端ストッパ320,321の下端部を押圧する。
【0062】
これにより、上部及び下部先端ストッパ320,321が軸Q1,Q2を支点として揺動し、当接部336,337が収納ガイド304から離間する。このように、本実施の形態においては、上部及び下部先端ストッパ320,321を移動させる移動部は、移動軸332,333、移動部材322及び移動モータM3により構成される。なお、この移動部材322は、検知センサS3によって停止位置が制御される。
【0063】
ここで、下降した移動軸333が下部先端ストッパ321の下端部に突き当たるタイミングは、下降した移動軸332が上部先端ストッパ320の下端部に突き当たるタイミングよりも短くなっている。これにより、下部先端ストッパ321が上部先端ストッパ320よりも先に揺動し、下部先端ストッパ321の当接部336の方が、上部先端ストッパ320の当接部337よりも先に収納ガイド304から離間するようになる。この結果、後述するようにラージサイズのシートを収納する際、下部先端ストッパ321に邪魔されることなく、シートを上部先端ストッパ320に当接させることができる。
【0064】
なお、本実施の形態においても、シートは図15に示すように、装置本体手前側方向U、装置本体手前側斜め上方方向V、上方向Wの範囲で取り出しが可能となる。ここで、W方向にシートPを取り出す際には、上部及び下部先端ストッパ320,321は、後述する図17に示すように当接部336,337が収納ガイド304から離間した位置に移動しているため、シートPを上方側から取り出し可能となる。
【0065】
次に、シートPをトレイ330の保持部200に保持する動作について図16を用いて説明する。図16の(a)は、スモールサイズのシートを収納する時の状態を示す図であり、この時、下部先端ストッパ321の当接部337は、収納ガイド304と係合してシートの先端の位置決めをする位置となっている。そして、下部先端ストッパ321が、このような位置となるように移動部材322の移動高さを制御している。
【0066】
図16の(b)は、ラージサイズのシートを収納する時の状態を示す図である。この時、下降した移動軸333は下部先端ストッパ321の下端部に突き当たっているが、移動軸332は上部先端ストッパ320の下端部に突き当たっていない。このため、下部先端ストッパ321の当接部337は収納ガイド304から離間した位置に、上部先端ストッパ320の当接部336は収納ガイド304と係合した状態となっている。そして、上部及び下部先端ストッパ320,321が、このような位置となるように移動部材322の移動高さを制御している。
【0067】
図17は、トレイ330の保持部200に収納されたシートPを取り出す時の状態を示す図である。この場合、上部及び下部先端ストッパ320,321の当接部336,337が収納ガイド304から離間した位置となっている。そして、上部及び下部先端ストッパ320,321の全てが、このような位置になるように、移動部材322の移動高さを制御している。これにより、シートPを、上部先端ストッパ320を通過させながら取り出す(引き出す)ことができる。
【0068】
このように、本実施の形態においては、移動部材322の位置を制御することにより、上部及び下部先端ストッパ320,321の位置制御を行うことができる。なお、シートが引き出された後、移動部材322を上昇させると、移動軸332,333に、上部及び下部先端ストッパ320,321の係止部334,335が係止される。これにより、この後、さらに移動部材322を上昇させると、上部及び下部先端ストッパ320,321は、既述した図16の(a)に示すようにシートの先端を整合する整合位置に戻る。
【0069】
図18は本実施の形態に係るシート収納装置制御部636の制御ブロック図である。なお、図18において、既述した図9と同一符号、同一又は相当部分を示している。そして、図18に示すように、シート収納装置制御部636は、収納部制御部708を介してシート収納装置300の制御を行う。ここで、シート収納処理制御を行う際には、CPU701に、収納部制御部708からI/O705を介してシート収納装置300を制御するための各種センサからの検出信号が取り込まれる。
【0070】
なお、このような各種センサとしては、既述した入口センサS1、紙有り無しを検知する検知センサS2、収納部の移動を検知する検知センサS3及び先端ストッパの移動を検知する検知センサS4がある。また、CPU701は、収納部制御部708を介して既述した搬送モータM1、収納部を移動する移動モータM2及び先端ストッパを移動する移動モータM3を駆動する。
【0071】
次に、本実施の形態に係るシート収納装置300のシート収納動作制御について図19を用いて説明する。画像形成装置100にプリントJobが送られると、プリントJobがスタートされ、これに伴いシート収納装置制御部636は、まず既述した図11に示す収納対象トレイ番号確定処理を行う(S851)。この後、既述した図12に示す移動処理を行う(S852)。
【0072】
次に、搬送されるシートPのサイズに合わせて上部及び下部先端ストッパ320,321の位置を切り替えるよう先端ストッパ切替え処理を行う(S853)。そして、この先端ストッパ切替え処理として図20に示すように、まず移動部材322を、例えば図14に示すホームポジションに戻すように移動モータM3を駆動させる(S863)。
【0073】
次に、検知センサS4を監視し(S864)、検知センサS4によって移動部材322がホームポジションに移動したかを検知する(S865)。そして、検知センサS4からの信号により移動部材322がホームポジションに移動したことを検知すると(S865のY)、一旦移動モータM3を停止させる(S866)。
【0074】
次に、移動部材322を下降させて、上部及び下部先端ストッパ320,321を、収納するシートPのサイズに応じた位置に移動させるように移動モータM3を駆動させる(S867)。そして、移動モータM3のクロック数を監視し(S868)、クロック数が所定のクロック数(=50)に達すると(S869のY)、移動モータM3を停止させる(S870)。
【0075】
これにより、上部及び下部先端ストッパ320,321の位置は、スモールサイズのシートを収納する場合は、既述した図16の(a)に示す位置となり、ラージサイズのシートを収納するは、図16の(b)に示す位置となる。そして、上部及び下部先端ストッパ320,321の位置を、このような位置に切り替えることにより、先端ストッパを切り替える切替え処理が完了する。
【0076】
次に、このような移動処理が完了すると、画像形成装置本体側に設けられたCPU回路部630に、図19に示すようにプリントの排出可能信号を出力する(S854)。また、搬送モータM1を駆動させ(S855)、画像形成装置100からのシート搬送に備え、入口センサS1によるシートの到達監視を行う(S856)。そして、入口センサS1がシート先端を検知すると(S857のY)、排紙モータクロックの監視を開始する(S858)。
【0077】
この後、入口センサS1がシート後端を検知すると(S859のY)、検知センサS2の信号を監視する(S860)。そして、検知センサS2がシートの先端を検知すると(S861のY)、正常にトレイ330の保持部200にシートが保持されたと判断し、プリントJobは正常に完了したと判断する(S862)。
【0078】
なお、入口センサS1がシート先端を検知せず(S857のN)、この状態が所定時間経過した場合には(S891のY)、ジャム信号を出力する(S894)。また、入口センサS1がシート後端を検知せず(S859のN)、この状態が所定時間経過した場合、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には(S892のY)、ジャム信号を出力する(S894)。さらに、検知センサS2がシート先端を検知せず(S861のN)、この状態が所定時間経過した場合、すなわちモータクロック数が所定の値となった場合には(S893のY)、ジャム信号を出力する(S894)。
【0079】
次に、図21を用いて、このように正常にトレイ330の保持部200に保持されたシートを取り出すためのシート取り出し処理を説明する。この処理の場合、まず先端ストッパ離間処理を開始する(S881)。これにより、移動モータM3が駆動され(S882)、移動部材322が下降する。また、移動モータM3のクロックの監視を開始する(S883)。
【0080】
そして、この移動モータM3のクロック数が所定の値(=100)となると(S884のY)、移動モータM3を停止する(S885)。なお、このときに先端ストッパ移動モータクロック数は、既述した先端ストッパの切替え処理(S853)よりも大きくなっている。これにより、既述した図17に示すように上部及び下部先端ストッパ320,321の当接部336,337を、確実に収納ガイド304から離間する位置、すなわちシートの上方からの取り出しを可能とする取り出し位置に移動させることができる。
【0081】
次に、シートPがトレイ330から取り出されたかどうかを確認するため検知センサS2を監視し(S886)、検知センサS2がシートPの後端抜けを検知すると(S887のY)、シート取り出し処理が正常に完了したと判断する。
【0082】
以上のように、本実施の形態では、トレイ330に上部及び下部先端ストッパ320,321を設け、シート収納動作時と、シート取り出し動作時で、上部及び下部先端ストッパ320,321の位置を変えるようにしている。これにより、トレイ330に収納されるシートの先端位置を揃えることができ、収納性が向上すると共に、取り出し性も向上する。
【0083】
なお、本実施の形態では、移動モータM3によって、各トレイ330の移動軸332,333を上下方向に一括して移動させている。しかし、本実施の形態は、これに限らず、各トレイ330に移動モータM3を設け、移動軸332,333をそれぞれ独立で動作させるようにしても良い。
【0084】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図22は、本実施の形態に係るシート収納装置の構成を説明する図である。なお、図22において、既述した図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0085】
図22において、FLはシート収容媒体であるシート収納ファイルであり、本実施の形態においては、このシート収納ファイルFLを、5つのトレイ330(330a〜330e)の上方から、トレイ330の上部を覆うように被せるようにしている。そして、トレイ330の保持部200で保持されたシートPは、このシート収納ファイルFL内に収納されるようになっている。
【0086】
ここで、このシート収納ファイルFLは、一般的にシート束を収納して、持ち運び移動可能な少なくとも二辺もしくは三辺が開口されている袋状の薄型樹脂製のファイルである。そして、シート収納ファイルFLをセットする場合は、図22で示すように収納ガイド304の上端部に、シート収納ファイルFLの閉塞側が位置するようにセットする。なお、本実施の形態において、このシート収納ファイルFLは半透明の材料で形成されている。そして、このようにシート収納ファイルFLを半透明の材料で形成することにより、検知センサS2は、シート収納ファイルFLを検知せず、シート収納ファイルFL内に搬送されたシートPを検知することができる。
【0087】
そして、本実施の形態においても、図23に示すように保持部200によってシートを保持した際には、シートPの幅方向一端部がトレイ330から突出した状態になる。これにより、トレイ330からシート収納ファイルFLを取り出す方向は、U、V、W方向を含む角度θ内の範囲となる。また、シート収納ファイルFLはセット状態でトレイ330に対して手前側に突出しているため、取り出す時の掴み代としても有効となっている。
【0088】
なお、本実施の形態では、特にシート収納ファイルFLをセットしたか否かを検知する検知センサを設けていないが、各トレイ330a〜330eに検知センサを設け、シート収納ファイルFLをセットしたトレイ330にシートPを排出するようにしても良い。また、排出されるシートPの機密性を高めたい場合であれば、透明度の低いシート収納ファイルFLをトレイ330にセットすれば、保持部200に保持されているシートPの画像内容が外部から視認させることはない。
【符号の説明】
【0089】
100…画像形成装置、100A…画像形成装置本体、100B…画像形成部、200…保持部、300…シート収納装置、301…搬送ローラ、302…従動コロ、303…搬送ガイド、303α…対向壁部と、303γ…下部ガイド部、303β…傾斜部、304…収納ガイド、305…保持部材、320…上部先端ストッパ、321…下部先端ストッパ、322…移動部材、330…トレイ、332…移動軸、333…移動軸、FL…シート収納ファイル、M3…移動モータ、P…シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体の上方に設けられ、前記画像形成装置本体から順次搬送されるシートを収納するシート収納装置であって、
シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されたシートを下方から受け入れて立てた状態で収納する複数のシート収納部と、を備え、
前記複数のシート収納部は、シート搬送方向にはシートの通過を可能に、シート搬送方向と逆方向にはシートの移動を規制するよう、シートを保持するシート保持部を有し、前記シート保持部は、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及びシート搬送方向と直交する幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように保持することを特徴とするシート収納装置。
【請求項2】
前記シート保持部は、
前記シート収納部の側壁を形成し、下方から搬送されるシートをガイドする第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材と対向して設けられ、前記第1ガイド部材と共に下方から搬送されるシートをガイドする下部ガイド部及び前記下部ガイド部の上方に位置し、前記第1ガイド部材から離れる方向に傾斜した傾斜部を有する第2ガイド部材と、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の間に設けられ、自重により前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の傾斜部に当接し、シートが収納される際には、前記第1ガイド部材との当接部を通過するシートにより押圧されて上昇し、シートの収納が終了してシートの押圧が解除されると下降して前記第1ガイド部材とでシートを挟持して保持する保持部材と、を備え、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の、高さ及び幅方向の一端部の位置を、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように設定したことを特徴とする請求項1記載のシート収納装置。
【請求項3】
前記シート保持部は、
前記シート収納部の側壁を形成し、下方から搬送されるシートをガイドする第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材と対向して設けられ、前記第1ガイド部材と共に下方から搬送されるシートをガイドする第2ガイド部材と、
前記第1ガイド部材と当接すると共に、上方に向かうシートの搬送に従動する方向には前記第2ガイド部材に固設された固定軸に対して空転し、逆方向には前記固定軸に係合するワンウェイクラッチを介して設けられた保持部材と、を備え、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の、高さ及び幅方向の一端部の位置を、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように設定したことを特徴とする請求項1記載のシート収納装置。
【請求項4】
前記シート収納部の上部に設けられ、搬送されたシートのシート搬送方向下流端と当接してシートのシート搬送方向下流端の位置を整合する整合位置と、収納されたシートの上方からの取り出しを可能とする取り出し位置に移動可能なストッパと、
前記ストッパを前記整合位置又は前記取り出し位置に移動させる移動部と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート収納装置。
【請求項5】
収納されるシートのシート搬送方向長さに応じて前記ストッパを上下方向に複数設け、前記移動部は、シートを上方から取り出す際は、複数の前記ストッパを全て前記取り出し位置に移動させることを特徴とする請求項4記載のシート収納装置。
【請求項6】
前記シート収納部の上方から前記シート収納部の上部を覆うようにシート収容媒体を被せ、収納されたシートを前記シート収容媒体の中に収容された状態で取り出すようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体の上方に設けられ、前記画像形成装置本体から順次搬送されるシートを収納する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート収納装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
画像形成装置本体の上方に設けられ、前記画像形成装置本体から順次搬送されるシートを収納するシート収納装置であって、
シートを搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送されたシートを下方から受け入れて立てた状態で収納する複数のシート収納部と、を備え、
前記複数のシート収納部は、シート搬送方向にはシートの通過を可能に、シート搬送方向と逆方向にはシートの移動を規制するよう、シートを保持するシート保持部を有し、前記シート保持部は、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及びシート搬送方向と直交する幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように保持することを特徴とするシート収納装置。
【請求項2】
前記シート保持部は、
前記シート収納部の側壁を形成し、下方から搬送されるシートをガイドする第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材と対向して設けられ、前記第1ガイド部材と共に下方から搬送されるシートをガイドする下部ガイド部及び前記下部ガイド部の上方に位置し、前記第1ガイド部材から離れる方向に傾斜した傾斜部を有する第2ガイド部材と、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の間に設けられ、自重により前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の傾斜部に当接し、シートが収納される際には、前記第1ガイド部材との当接部を通過するシートにより押圧されて上昇し、シートの収納が終了してシートの押圧が解除されると下降して前記第1ガイド部材とでシートを挟持して保持する保持部材と、を備え、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の、高さ及び幅方向の一端部の位置を、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように設定したことを特徴とする請求項1記載のシート収納装置。
【請求項3】
前記シート保持部は、
前記シート収納部の側壁を形成し、下方から搬送されるシートをガイドする第1ガイド部材と、
前記第1ガイド部材と対向して設けられ、前記第1ガイド部材と共に下方から搬送されるシートをガイドする第2ガイド部材と、
前記第1ガイド部材と当接すると共に、上方に向かうシートの搬送に従動する方向には前記第2ガイド部材に固設された固定軸に対して空転し、逆方向には前記固定軸に係合するワンウェイクラッチを介して設けられた保持部材と、を備え、
前記第1ガイド部材及び前記第2ガイド部材の、高さ及び幅方向の一端部の位置を、収納されたシートのシート搬送方向下流端部及び幅方向の一端部のうち少なくとも一方が突出するように設定したことを特徴とする請求項1記載のシート収納装置。
【請求項4】
前記シート収納部の上部に設けられ、搬送されたシートのシート搬送方向下流端と当接してシートのシート搬送方向下流端の位置を整合する整合位置と、収納されたシートの上方からの取り出しを可能とする取り出し位置に移動可能なストッパと、
前記ストッパを前記整合位置又は前記取り出し位置に移動させる移動部と、を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート収納装置。
【請求項5】
収納されるシートのシート搬送方向長さに応じて前記ストッパを上下方向に複数設け、前記移動部は、シートを上方から取り出す際は、複数の前記ストッパを全て前記取り出し位置に移動させることを特徴とする請求項4記載のシート収納装置。
【請求項6】
前記シート収納部の上方から前記シート収納部の上部を覆うようにシート収容媒体を被せ、収納されたシートを前記シート収容媒体の中に収容された状態で取り出すようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシート収納装置。
【請求項7】
シートに画像を形成する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体の上方に設けられ、前記画像形成装置本体から順次搬送されるシートを収納する請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート収納装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−236717(P2012−236717A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−103018(P2012−103018)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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