説明

シート搬送装置、前記シート搬送装置に用いられる分離片、及び前記シート搬送装置を備える画像読取装置

【課題】小型で、且つシートへの負担を軽減したシート搬送装置、前記シート搬送装置に用いられる分離片、及び前記シート搬送装置を備えた画像読取装置を提供する。
【解決手段】分離片32は、ピックアップローラ31に向けて湾曲した板状の曲板部32Pを備える。曲板部32Pは、ピックアップローラ31に当接する曲面32Sを有する。曲板部32Pは、X軸方向において、曲面32Sとピックアップローラ31との当接部分PTからX軸方向における上流側、及び下流側の両側に延出している。押圧部33は、ばねの付勢力により、分離片32をピックアップローラ31に向かって押圧する。保持部34は、分離片32に係合することで分離片32を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを分離しながら搬送するシート搬送装置、及び前記シート搬送装置に用いられる分離片、及び前記シート搬送装置を備える画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シートを分離しながら搬送するシート搬送装置が種々提案されている。その一例として、特許文献1に開示されているシート搬送装置は、シートを搬送するための搬送部とシートを分離するための分離部とを備える。特許文献1に開示されているシート搬送装置において、分離部は、搬送部とシートを挟んで対向するように配置されている。
【0003】
特許文献1に開示されているシート搬送装置において、搬送部はゴムローラにより構成され、分離部は、スポンジローラにより構成されている。搬送部と分離部とがともに断面円形状のローラにより構成されていることにより、特許文献1に開示されているシート搬送装置は、シートと搬送部、及び分離部との擦れによるシートへの負担を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−117880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているシート搬送装置は、シートへの負担を更に軽減しようとすると、分離部を構成しているローラの表面の曲率を小さくする必要があった。分離部を構成しているローラの表面の曲率を小さくするには、分離部を構成しているローラのローラ半径を大きくする必要がある。しかし、ローラ半径を大きくすることは、シート搬送装置の大型化につながる。従って、特許文献1に開示されているシート搬送装置は、シート搬送装置を小型に構成しつつ、シートへの負担を軽減することができなかった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、小型で、且つシートへの負担を軽減したシート搬送装置、前記シート搬送装置に用いられる分離片、及び前記シート搬送装置を備えた画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、シートを分離しながら搬送するシート搬送装置であって、前記シートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラと前記シートを挟んで対向し、前記シートを分離する分離片と、前記分離片に係合することで前記分離片を保持する保持部と、前記分離片を前記搬送ローラに向かって押圧する押圧部と、を備え、前記分離片は、前記搬送ローラに当接する曲面を有し、前記シートの搬送方向において、前記曲面と前記搬送ローラとの当接部分から前記搬送方向における上流側、及び下流側の両側に延出し、前記搬送ローラに向けて湾曲した板状の曲板部と、前記保持部に係合する係合部と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、前記曲面は、前記搬送方向に平行な平行線、及び前記シートに直交する直交線を含む平面により切断した場合の断面が円弧形状であることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記シート搬送装置は、前記シートの搬送方向において、前記当接部分を挟んで対向する一対の前記保持部を備え、前記分離片は、前記シートの搬送方向において、前記当接部分を挟んで対向し、前記一対の保持部に係合する一対の前記係合部を備えることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の本発明は、請求項3記載の発明において、一対の前記係合部は、前記分離片を貫通するように形成された一対の開口部であり、前記保持部は、前記搬送ローラから離れる方向に延出し、一対の前記開口部に係合する一対の延出部と、前記延出部の延出方向において一対の前記開口部を挟んで対向し、前記延出方向に交差する方向に前記一対の延出部から延出する一対の規制部と、を備えることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の本発明は、請求項4記載の発明において、一対の前記規制部のうちの少なくとも一方は、前記上流側に延出することを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の本発明は、請求項4または5記載の発明において、一対の前記規制部のうちの少なくとも一方は、前記搬送方向に交差する方向に延出することを特徴とするものである。
【0013】
請求項7記載の本発明は、請求項1〜6に記載の発明において、前記押圧部は、前記保持部を備え、前記分離片に係合することで前記分離片を保持しながら、前記分離片を前記搬送ローラに向かって押圧することを特徴とするものである。
【0014】
請求項8記載の本発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明のシート搬送装置に用いられる分離片である。
【0015】
請求項9記載の本発明は、画像読取装置であって、請求項1〜7のいずれかに記載のシート搬送装置と、前記シート搬送装置により搬送される前記シートの画像を読み取る読取部と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載のシート搬送装置によれば、分離部である分離片を大きくせずとも、搬送ローラに当接する分離片の曲面の曲率を小さくすることができる。従って、分離部をローラにより構成する場合と比較して、分離片をローラに当接する方向において分離片を小さくできるため、シート搬送装置を小型に構成することができる。また、分離片は、曲面によりシートに当接してシートを分離するため、シートへの負担を軽減できる。従って、シート搬送装置を小型に構成しつつ、シートへの負担を軽減することが可能となる。
【0017】
請求項2記載のシート搬送装置によれば、搬送ローラに当接する曲面の断面が円弧形状である。従って、シートの先端を搬送ローラと分離片との当接部分に案内することができる。従って、シートの先端への負担を軽減することができる。
【0018】
請求項3記載のシート搬送装置によれば、分離片と搬送ローラとの間でジャムが発生した場合に、ジャムを起こしたシートを取り除くためにシートが引っ張られたとしても、保持部と係合部との係合により、シートの引っ張りにつられて分離片がめくれるおそれを低減できる。また、請求項3記載のシート搬送装置によれば、互いに係合する一対の保持部と、一対の係合部とが、シートの搬送方向において、曲板部と搬送ローラとの当接部分を挟んで対向している。従って、1つの保持部と1つの係合部とのみが係合するシート搬送装置と比較して、分離片がめくれるおそれを更に低減できる。
【0019】
請求項4記載のシート搬送装置によれば、一対の規制部により、延出部の延出方向への分離片の動きを規制できる。従って、分離片が保持部からはずれるおそれを低減できる。
【0020】
請求項5記載のシート搬送装置によれば、一対の規制部のうちの少なくとも一方は、上流側に延出している。規制部が下流側に延出している場合、分離片がローラの半径方向に離れる方向に大きく変位すると、分離片が保持部からはずれるおそれがある。しかし、請求項5記載のシート搬送装置によれば、一対の規制部のうちの少なくとも一方は、上流側に延出しているので、分離片が保持部からはずれるおそれを低減できる。
【0021】
請求項6記載のシート搬送装置によれば、一対の規制部のうちの少なくとも一方は、搬送方向に交差する方向に延出しているため、分離片の変位によって分離片が保持部からはずれるおそれを低減できる。
【0022】
請求項7記載のシート搬送装置によれば、押圧部と保持部とが別々に備えられるシート搬送装置と比較して、保持部と分離片との係合による押圧部の押圧に対する抵抗により、押圧部の押圧力が弱められる可能性を低減できる。従って、押圧部により分離片が確実に搬送ローラに向かって押圧されるため、確実にシートを分離することが可能となる。
【0023】
請求項8記載の分離片によれば、分離部である分離片を大きくせずとも、搬送ローラに当接する分離片の曲面の曲率を小さくすることができる。従って、分離部をローラにより構成する場合と比較して、シート搬送装置を小型に構成することができる。また、分離片は、曲面によりシートに当接してシートを分離するため、シートへの負担を軽減できる。従って、シート搬送装置を小型に構成しつつ、シートへの負担を軽減することが可能となる。
【0024】
請求項9記載の画像読取装置によれば、分離部である分離片を大きくせずとも、搬送ローラに当接する分離片の曲面の曲率を小さくすることができる。従って、分離部をローラにより構成する場合と比較して、分離片をローラに当接する方向に小さくできるため、シート搬送装置を小型に構成することができる。また、分離片は、曲面によりシートに当接してシートを分離するため、シートへの負担を軽減できる。従って、画像読取装置を小型に構成しつつ、シートへの負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置1を示す図である。
【図2】上記画像読取装置1の分離片32と、押圧部33と、保持部34と、を詳細に説明するための図である。
【図3】上記保持部34に取り付けられる前の上記分離片32を説明するための図である。
【図4】上記画像読取装置1の第1保持部34Aを示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る画像読取装置101における分離片132と、押圧部133と、保持部134と、を詳細に説明するための図である。
【図6】本発明の一変形例に係る画像読取装置201における分離片232と、押圧部233と、保持部34と、を詳細に説明するための図である。
【図7】本発明の一変形例に係る画像読取装置における規制部334RAの延出方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
[画像読取装置の外観]
図1は、本実施形態の画像読取装置1の内部構造を説明するための説明図である。画像読取装置1は、図1に示すように、給紙トレイ2と、搬送路30と、ピックアップローラ31と、分離片32と、押圧部33と、保持部34と、搬送ローラ35Aと、搬送用従動ローラ35Bと、排紙ローラ36Aと、排紙用従動ローラ36Bと、読取部4と、排紙トレイ5と、を備える。本実施形態に係る画像読取装置1は、ユーザにより給紙トレイ2に載置された複数のシートPPを搬送路30内において搬送しながら読み取るシートフィードスキャナである。搬送路30は、画像読取装置1の上側部材と下側部材との間に形成される。
【0028】
ピックアップローラ31は、摩擦力により、給紙トレイ2に載置された複数枚のシートPPを画像読取装置1の内部に引き込む。ピックアップローラ31は、図示しないモータにより矢印方向に回転駆動される。分離片32は、摩擦力により、複数枚のシートPPを分離する。押圧部33は、ばねの付勢力により、分離片32をピックアップローラ31に向かって押圧する。保持部34は、分離片32に係合することで分離片32を保持する。
【0029】
搬送ローラ35Aは、図示しないモータにより駆動されてシートPPを搬送する。搬送用従動ローラ35Bは、搬送ローラ35Aと対向して配置される。搬送ローラ35Aと搬送用従動ローラ35Bとは、搬送ローラ35Aと搬送用従動ローラ35Bとの間にシートPPを挟む。シートPPは、搬送ローラ35AとシートPPとの間の摩擦力により、搬送路30内を搬送される。
【0030】
読取部4は、搬送路30を挟んで対向する一対の密着イメージセンサ(Contact Image Sensor、以後「CIS」と記す)4A、4Bにより構成される。読取部4は、シートPPの表面、及び裏面の画像を読み取る。読み取られた画像は図示および詳細な説明を省略する周知のUSB又はネットワーク経由でパソコンやサーバに転送される。
【0031】
排紙ローラ36Aは、搬送路30内のシートPPの搬送方向において読取部4の下流側に配置される。排紙用従動ローラ36Bは、排出ローラ36Aと対向して配置される。排紙ローラ36Aと排紙用従動ローラ36Bとは、排紙ローラ36Aと排紙用従動ローラ36Bとの間にシートPPを挟む。シートPPは、排紙ローラ36AとシートPPとの間の摩擦力により、搬送路30内を搬送される。排紙ローラ36Aは、搬送路30内を搬送されたシートPPを排紙トレイ5に送る。排紙ローラ36Aは、図示しないモータにより矢印方向に回転駆動される。シートPPは、排紙トレイ5に排紙される。
【0032】
以後、図1に示すように、ピックアップローラ31と分離片32との間を搬送されるシートPPの搬送方向をX軸方向、ピックアップローラ31と分離片32との間を搬送されるシートPPの表面に平行な面上で、且つX軸方向に垂直な方向をY軸方向、ピックアップローラ31と分離片32との間を搬送されるシートPPの表面に垂直な方向をZ軸方向として定義する。なお、以後、「上」、または「表」と記した場合、図1に示す矢印が指すZ軸の正方向を意味し、「下」、または「裏」と記した場合、図1に示すZ軸の負方向を意味するものとする。「上流側」、及び「下流側」と記した場合、各々図1に示すX軸の負方向側、及び正方向側を意味するものとする。X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の定義は他の図面においても共通のものとする。
【0033】
[分離機構の詳細]
図2を用いて、分離片32と、押圧部33と、保持部34と、について詳細に説明する。分離片32は、図2に示すように、ピックアップローラ31に向けて湾曲した板状の曲板部32Pを備える。曲板部32Pは、ピックアップローラ31に当接する曲面32Sを有する。曲面32Sは、XZ平面により切断した場合の断面が円弧形状である。曲板部32Pは、X軸方向において、曲面32Sとピックアップローラ31との当接部分PTからX軸方向における上流側、及び下流側の両側に延出している。
【0034】
保持部34は、X軸方向において、当接部分PTを挟んで対向する第1保持部34A、及び第2保持部34Bを備える。分離片32は、X軸方向において、当接部分PTを挟んで対向し、第1保持部34A、及び第2保持部34Bに係合する第1係合部32A、及び第2係合部32Bを備える。第1係合部32A、及び第2係合部32Bは、分離片32を貫通するように形成された開口部である。
【0035】
分離片32は、図3に示すように弾性を有するものであれば、その材質等は問わないが、本実施形態においては、1枚のゴム製の板である。分離片32は、図3に示すように開口部である第1係合部32A、及び第2係合部32Bを備える。分離片32を保持部34に取り付ける際、この板を引き伸ばすなどして、第1係合部32A、及び第2係合部32Bを第1保持部34A、及び第2保持部34Bに係合させる。この係合により、分離片32が保持部34により保持される。この取り付け時に、分離片がピックアップローラ31に向けて湾曲される。この湾曲により、曲板部32P、及び曲面32Sが形成される。
【0036】
第1保持部34A、及び第2保持部34Bは、延出部34EA、34EBと、規制部34RA、34RBと、を備える。延出部34EA、34EBは、Z軸方向において、ピックアップローラ31から離れる方向に延出している。第1保持部34Aの延出部34EAは、開口部である第1係合部32Aに係合する。第1保持部34Bの延出部34EBは、開口部である第2係合部32Bに係合する。規制部34RA、34RBは、図4などに示すように、延出部34EA、34EBの延出方向であるZ軸方向に直交するY軸方向の両側に延出している。なお、図4において第1保持部34Aのみを示しているが、第3保持部34Bも同じ構造をしている。
【0037】
画像読取装置1によれば、例えば、押圧部33の押圧力を大きく設定することで、分離片32の曲面32Sの曲率を小さくすることができる。また、例えば、弾性を有する分離片32をX軸方向の両側に引き伸ばされた状態で保持部34により保持させることで、分離片32の曲面32Sの曲率を小さくすることができる。従って、分離部をローラにより構成する場合と比較して、分離片32をZ軸方向に大きくする必要なく、シートへの負担を軽減することが可能である。
【0038】
また、画像読取装置1によれば、曲面32Sは、XZ平面により切断した場合の断面が円弧形状である。従って、シートPPの先端をピックアップローラ31と分離片32との当接部分PTに案内することができる。従って、シートの先端への負担を軽減することができる。
【0039】
また、画像読取装置1によれば、X軸方向において、当接部分PTを挟んで対向する一対の保持部34A、34Bを備え、分離片32は、X軸方向において、当接部分PTを挟んで対向し、一対の保持部34A、34Bに係合する一対の係合部32A、32Bを備える。従って、分離片32とピックアップローラ31との間でジャムが発生した場合に、ジャムを起こしたシートPPを取り除くためにシートPPが引っ張られたとしても、一対の保持部34A、34Bと一対の係合部32A、32Bとの係合により、シートPPの引っ張りにつられて分離片32がめくれるおそれを低減できる。また、保持部と係合部とが各々一対ずつあるため、1つの保持部と1つの係合部とのみが係合する画像読取装置と比較して、分離片32がめくれるおそれを更に低減できる。
【0040】
また、画像読取装置1によれば、一対の係合部32A、32Bは、分離片32を貫通するように形成された一対の開口部である。一対の保持部34A、34Bは、Z軸方向においてピックアップローラ31から離れる方向に延出する。一対の保持部34A、34Bは、一対の係合部32A、32Bに係合する一対の延出部34EA、34EBを備える。一対の保持部34A、34Bは、延出部34EA、34EBの延出方向であるZ軸方向において一対の係合部32A、32Bを挟んでPPシートと対向し、Z軸方向に直交する方向に一対の延出部34EA、34EBから延出する一対の規制部34RA、34RBを備える。従って、一対の規制部34RA、34RBにより、Z軸方向への分離片32の動きを規制できる。従って、分離片32が保持部34からはずれるおそれを低減できる。
【0041】
また、画像読取装置1によれば、一対の規制部34RA、34RBは、搬送方向であるX軸方向に直交する方向であるY軸方向に延出しているため、分離片32の変位によって分離片32が保持部34からはずれるおそれを低減できる。
【0042】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。第2の実施形態において、画像読取装置101の内部構造は、ピックアップローラ、分離片、押圧部、及び保持部等を備える分離機構以外の部分において、図1において示した画像読取装置1と同様の構造である。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成は、同一の番号を付して説明する。
【0043】
図5を用いて、第2の実施形態における分離片132と、押圧部133と、保持部134と、について詳細に説明する。分離片132は、図5に示すように、ピックアップローラ131に向けて湾曲した板状の曲板部132Pを備える。曲板部132Pは、ピックアップローラ131に当接する曲面132Sを有する。曲面132Sは、XZ平面により切断した場合の断面が円弧形状である。曲板部132Pは、X軸方向において、曲面132Sとピックアップローラ131との当接部分PTからX軸方向における上流側、及び下流側の両側に延出している。
【0044】
押圧部133は、保持部134を備える。押圧部133は、保持部134により分離片132に係合する。この係合により、押圧部133は、分離片132を保持しながら、分離片132をピックアップローラ131に向かって押圧する。
【0045】
保持部134は、X軸方向において、当接部分PTを挟んで対向する第1保持部134A、及び第2保持部134Bを備える。分離片132は、X軸方向において、当接部分PTを挟んで対向し、第1保持部134A、及び第2保持部134Bに係合する第1係合部132A、及び第2係合部132Bを備える。第1係合部132A、及び第2係合部132Bは、分離片132を貫通するように形成された開口部である。
【0046】
第1保持部134A、及び第2保持部134Bは、延出部134EA、134EBと、規制部134RA、134RBと、を備える。第1保持部134Aの延出部134EAは、開口部である第1係合部132Aに係合する。第1保持部134Bの延出部134EBは、開口部である第2係合部132Bに係合する。規制部134RA、134RBは、延出部134EA、134EBの延出方向に直交する方向であるY軸方向の両側に延出している。
【0047】
画像読取装置101によれば、押圧部と保持部とが別々に備えられる装置と比較して、保持部と分離片との係合による押圧部の押圧に対する抵抗により、押圧部の押圧力が弱められるおそれを低減できる。従って、押圧部133により分離片132が確実にピックアップローラ131に向かって押圧されるため、確実にシートPPを分離することが可能となる。
【0048】
(変形例)
本発明は、今までに述べた実施形態に限定されることは無く、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形・変更が可能である。以下にその変形の一例を述べる。以下に示す変形例において、第1、及び第2の実施形態と同一の構成は、同一の番号を付して説明する。
【0049】
第1、及び第2の実施形態において、分離片32、132と接する押圧部33、133の表面は、図2、及び図5などにおいて示したように、分離片32、132と当接する曲面32S、132Sと同じ形状であった。しかし、これに限らず、例えば、図6において示すように、押圧部233の表面233Sは、分離片232の曲面232Sと異なる形状であってもよい。なお、図6において示す押圧部233は、直方体形状である。従って、押圧部233の表面233Sは、長方形である。一方、分離片232の曲面232Sは、曲面形状である。
【0050】
第1、及び第2の実施形態において、規制部34RA、34RB、134RA、134RBは、延出部34EA、34EB、134EA、134EBの延出方向に直交する方向の両側に延出していた。しかし、これに限らず、規制部は、例えば、延出部の延出方向に直交する方向の片側に延出していてもよい。また、規制部は、例えば、分離片が保持部からはずれない程度に、延出方向に交差する方向の少なくとも一方側に延出していてもよい。また、規制部は、例えば、シートの搬送方向に延出していてもよい。一対の規制部がシートの搬送方向に延出する場合、一対の規制部の少なくとも一方が、図7に示す規制部334RAのように、搬送方向の上流側に延出してもよい。規制部が下流側に延出している場合、分離片がローラの半径方向に離れる方向に大きく変位すると、分離片が保持部からはずれるおそれがある。従って、一対の規制部の少なくとも一方が上流側に延出することで、分離片が保持部からはずれるおそれを低減できる。
【0051】
第1、及び第2の実施形態において、曲面32S、132Sは、XZ平面により切断した場合の断面が円弧形状であった。しかし、これに限らず、曲面は、例えば、断面が楕円弧形状、放物線形状などになる形状であってもよい。また、第1、及び第2の実施形態において、曲面32S、132Sは、曲板部32P、132頂点を境に対称となる形状をしていた。しかし、これに限らず、曲面は、頂点を境に非対称となる形状をしていてもよい。
【0052】
第1、及び第2の実施形態において、シート搬送装置、及び画像読取装置の一例として、シートフィードスキャナを挙げたが、これに限らず、例えば、シートフィーダ、FAX、自動搬送機能付きの複合機、及び改札機などであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1、101、201 画像読取装置
2 給紙トレイ
31、131 ピックアップローラ
32、132、232 分離片
32P、132P 曲板部
32S、132S 曲面
32A、132A 第1係合部
32B、132B 第2係合部
33、133、233 押圧部
34、134 保持部
34A、134A 第1保持部
34B、134B 第2保持部
34EA、34EB、134EA、134EB 延出部
34RA、34RB、134RA、134RB、334RA 規制部
35A 搬送ローラ
4 読取部
PT 当接部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを分離しながら搬送するシート搬送装置であって、
前記シートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラと前記シートを挟んで対向し、前記シートを分離する分離片と、
前記分離片に係合することで前記分離片を保持する保持部と、
前記分離片を前記搬送ローラに向かって押圧する押圧部と、を備え、
前記分離片は、
前記搬送ローラに当接する曲面を有し、前記シートの搬送方向において、前記曲面と前記搬送ローラとの当接部分から前記搬送方向における上流側、及び下流側の両側に延出し、前記搬送ローラに向けて湾曲した板状の曲板部と、
前記保持部に係合する係合部と、を備えることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記曲面は、前記搬送方向に平行な平行線、及び前記シートに直交する直交線を含む平面により切断した場合の断面が円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シート搬送装置は、前記シートの搬送方向において、前記当接部分を挟んで対向する一対の前記保持部を備え、
前記分離片は、前記シートの搬送方向において、前記当接部分を挟んで対向し、前記一対の保持部に係合する一対の前記係合部を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
一対の前記係合部は、前記分離片を貫通するように形成された一対の開口部であり、
前記保持部は、前記搬送ローラから離れる方向に延出し、一対の前記開口部に係合する一対の延出部と、
前記延出部の延出方向において一対の前記開口部を挟んで対向し、前記延出方向に交差する方向に前記一対の延出部から延出する一対の規制部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
一対の前記規制部のうちの少なくとも一方は、前記上流側に延出することを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
一対の前記規制部のうちの少なくとも一方は、前記搬送方向に交差する方向に延出することを特徴とする請求項4または5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記押圧部は、前記保持部を備え、前記分離片に係合することで前記分離片を保持しながら、前記分離片を前記搬送ローラに向かって押圧することを特徴とする請求項1〜6に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のシート搬送装置に用いられる分離片。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置により搬送される前記シートの画像を読み取る読取部と、を備えることを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−71946(P2012−71946A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218433(P2010−218433)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】