説明

シート搬送装置、画像形成装置及び画像読取装置

【課題】 本発明は、搬送方向が異なる2つのシート搬送路の合流部において発生する音を低減させ、かつシートの搬送性を安定させたシート搬送装置を提供する。
【解決手段】 第一シート搬送路101が、第ニシート搬送路102に合流する合流部103に、シートが第一の搬送路から第二の搬送路に搬送された際に、シートの先端、及び、シート後端を接触させる弾性を有したスポンジローラ37を設ける。さらに、スポンジローラ37をワンウェイクラッチ50を介して駆動と連結させる。このように構成することによって、合流部において発生する音を低減させ、かつ、シート先端がスポンジローラ37に衝突したときの先端の折れを防止してシートの搬送性も安定させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録紙や原稿等のシートを搬送するためのシート搬送装置、及びこれを備える画像形成装置及び画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機の動作音は様々な騒音対策により小さくなってきている。このことにより、今までは複写機の画像形成部などの動作音にかき消されて聞こえなかった音、つまり、シート搬送時にシートが搬送ガイド等に当接することで発生する音が聞こえるようになってきている。このような音として、搬送パスが他の搬送パスと合流する合流部において、図16(a)のようにシートSの先端が搬送ガイド400に衝突する際に発生する音がある。また、他に、図16(b)のようにシートSの後端が湾曲した搬送パスを案内されて合流部に達したときに、撓んでいたシートがシートの弾性力により元に戻り、シートの後端が搬送ガイド400に当たって発する音がある。
【0003】
また、この部分では、搬送路が交差していることによって紙に大きなストレスがかかるため、シート搬送路とシートの間に大きな摺擦力が働く。このため厚紙などの剛性の高い紙の搬送性も課題となっている。
【0004】
以上の課題を解決するために、第一の搬送路と第二の搬送路の合流部を有するものにおいて、第二のシート搬送手段にシートを移動・案内する手段としてベルトを設け、シート先端や後端をベルトに接触させるものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−037587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の合流部に搬送ベルトを用いた装置は、搬送ベルトは衝突の緩和だけでなくシートを搬送するための役割も持っているため、高い硬度(例えば60°Hs JIS A程度)の高摩擦部材を使用するのが望ましい。これは、搬送ベルトの材質として硬度の低いものを用いると、搬送ローラとのニップ部においてベルトが潰れてしまい、搬送中のシートに変形等や先端折れ等のダメージを与えてしまうためである。
【0007】
しかし、シートの衝突時の音を効果的に低減させるためには搬送ベルトの硬度を低く設定する必要がある。また、上流側のローラ対により搬送速度V1で搬送されているシートが、交差するパスに侵入し搬送ベルトに衝突して搬送方向が変更されると、シートの先端は、搬送速度V1よりも速い速度V2(V1<V2)で移動する。これは、シートの先端が搬送ベルトに衝突してシートの搬送方向が搬送ベルトのベルト面に沿う方向に変更されたとき、シートの剛度(剛性)が高いと湾曲が生じにくい。そして、シートがあまり湾曲しない状態で搬送されることによってシートの先端の移動速度V2が搬送速度V1よりも速く進むことになる。特に剛度の大きいシートほど、搬送方向の変更でのシート先端の移動速度の増加は大きくなる。
【0008】
このように搬送ベルトの搬送速度はV1であるため、V1より速い移動速度のシート先端は搬送ベルトにひっかかり、シートの先端折れやジャムが発生するおそれがある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、搬送方向が異なる2つのシート搬送路の合流部において発生する音を低減させ、かつシートの搬送性も安定させたシート搬送装置、これを備えた画像形成装置及び画像読取装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、第一シート搬送路が第二シート搬送路に合流することにより構成される合流部と、前記合流部の上流側に設けられ、前記第一シート搬送路のシートを搬送する第一シート搬送部と、前記合流部の下流側に設けられ、前記第一シート搬送路から搬送されるシート及び前記第二シート搬送路に搬送されるシートを搬送する第二シート搬送部と、を有し、前記合流部にシート先端が接触する搬送回転体を配置し、前記搬送回転体に駆動を伝達するための駆動伝達手段を接続し、前記駆動伝達手段にワンウェイクラッチを配置し、前記ワンウェイクラッチにより、前記搬送回転体にシートの先端が衝突した後のシート先端の移動速度の変化に前記搬送回転体が追従するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明にあっては、第一のシート搬送路と第二のシート搬送路との合流部に、第一のシート搬送路から搬送されたシートの先端が接触する搬送回転体を配置し、搬送回転体をワンウェイクラッチを介して駆動連結させている。したがって、搬送回転体はシート先端に接触したときにシート先端に追従することができるため、シートの先端折れなどを発生させることがない。また、シートが下流の搬送部に突入する際は、搬送回転体は下流の搬送手段と同じ搬送速度と同じであるためシートが下流の搬送手段に突入する音が生じることもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の断面図
【図2】本発明の構成を示す断面図
【図3】本発明のスポンジローラの配置を示した断面図
【図4】搬送コロの支持方法を示した断面図
【図5】シートの動きを表す断面図
【図6】スポンジローラの駆動構成を示した斜視図
【図7】駆動源を示した斜視図
【図8】実施形態1のワンウェイクラッチのロック方向を示した図
【図9】実施形態2のワンウェイクラッチのロック方向を示した図
【図10】実施形態2の構成を示す断面図
【図11】実施形態2のベルト構成を示した斜視図
【図12】実施形態2の駆動源を示した斜視図
【図13】実施形態2のシートの動きを表す断面図
【図14】その他実施形態のベルト構成を示した図
【図15】その他実施形態の駆動源を示した図
【図16】従来の課題を示した図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
図1に、本発明のシート搬送装置を備えた画像形成装置900の断面図を示す。図1に示す画像形成装置900には、原稿を読み込むリーダー部1、読み込んだ原稿に基づいて画像(トナー像)を形成する画像形成部2が備えられている。さらに、画像形成装置900には、画像形成部2にシートを供給する給送部3、画像形成部2においてシート上に形成されたトナー像を定着させる定着部4、定着後のシートを排出する外排出ローラ対5、定着後のシートを表裏反転する反転部6が設けられている。以下、リーダー部1から順に説明する。
【0014】
<リーダー部1>
原稿台ガラス11に載置された原稿は、光源及び反射ミラー群を有する走査光学系12により光照射され、その反射光は縮小レンズ13を介してCCD14に結像され光電変換がなされ、A/D変換される。
【0015】
<画像形成部2>
リーダー部1によって読み取られた画像情報をもとに、レーザー発光部21は、レーザー光をポリゴンミラー20の回転によって感光ドラム23に走査させて、予め帯電器24によって帯電させた感光ドラム23に潜像を形成する。現像器25はこの潜像を現像し、感光ドラム23にトナー像を形成する。転写帯電器26は、感光ドラム23に形成されたトナー像をシートSに転写する。そして、トナー像が転写された後、クリーニング部27はドラム面に残留するトナーを除去する。
【0016】
<給送部3>
画像形成装置900の下部にはシートSを積載収納した給紙カセット31が着脱可能に装着されている。給紙カセット31の上方にはピックアップローラ32が配置されており、給紙カセット31の下流側には、シートを送り出す方向に回転されるフィードローラ33と、トルクリミッタを介してシートを戻す方向に回転されるリタードローラ34が配置されている。ピックアップローラ32によって給紙されたシートSはフィードローラ33及びリタードローラ34によって分離され搬送される。その後、シートSはレジストレーション部9で斜行補正されてから画像形成部2へと搬送される。
【0017】
<定着部4>
画像形成部2においてトナー像を転写されたシートSは、搬送ベルト8によって定着部4に搬送される。定着部4は、図示しないハロゲンヒータを内側に持った加熱ローラと、図示しないバネによって所定の加圧力で加熱ローラに加圧されている加圧ローラとを備えたローラ対42により構成されている。未定着のトナーが載ったシートSは加熱ローラと加圧ローラのローラ対42のニップを通過することによって熱と圧が加えられトナー像が融着される。片面複写モードの場合、定着処理後のシートSは、外排出ローラ対5により装置本体外に排出され、排紙トレイ7に積載される。
【0018】
<反転部6>
両面複写モードの場合には、定着部4を通過した後、シートSはスイッチバックローラ対61により反転部6に搬送させる。そして、シートSは、スイッチバックローラ対61の逆転により両面搬送パス62に搬送され、再給送ローラ63により再び画像形成のためにレジストレーション部9に搬送され、以後片面複写モードと同一のプロセスを経て装置本体外に排出される。
【0019】
<搬送部構成>
次に、図2を用いて、本発明が適用されるシート搬送装置について説明する。本発明は、給紙カセット31から第一シート搬送部を構成するフィードローラ33とリタードローラ34とで1枚に分離されたシートSを案内する第一シート搬送路101と、下方から上方に搬送されてくるシートSを案内する第二シート搬送路102とを備えている。そして、第一シート搬送路101と第二シート搬送路102が合流する合流部103が構成されている。
【0020】
第一シート搬送路101から搬送されてきたシートSは、合流部103を通過し、第二シート搬送路102に案内される。この合流部103は、搬送ガイド38の搬送ガイド面38a、搬送ガイド39の搬送ガイド面39a、搬送ガイド40の搬送ガイド面40a及び搬送ガイド41の搬送ガイド面41aに囲まれるようして形成されている。なお、搬送ガイド面38aは、第二シート搬送路102を形成する搬送ガイド面であり、第一シート搬送路101を延長したときに交差するように位置している。
【0021】
搬送ガイド面39aは、合流部103に対して第二シート搬送路102の上流を形成している。搬送ガイド面40aは第一シート搬送路101の下流と、合流部103に対して第二シート搬送路102の下流とを形成している。搬送ガイド面41aは第一シート搬送路101の下流を形成している。また、搬送ガイド面39a及び搬送ガイド面41aは合流部103の一部を形成し、第二シート搬送路102に搬送されるシートSのシート搬送方向において、搬送ガイド面40aの上流に位置している。
【0022】
第二シート搬送部を構成する搬送ローラ36及び搬送コロ35は、合流部103に対しシート搬送方向の下流側に設けられ、第一シート搬送路101から搬送されるシートS及び第二シート搬送路102に搬送されるシートSを搬送する。なお、搬送ローラ36は、図7に示すように、駆動源であるモータMから駆動伝達手段を構成するモータギアG1、軸ギアG2、搬送ローラ軸36aに接続されて駆動力が伝達され回転する。搬送コロ35は、搬送ローラ36に圧接して設けられ、搬送ローラ36又は、搬送ローラ36との間に搬送されるシートに従動回転する。
【0023】
第二シート搬送路102上には、搬送ローラ36及び搬送コロ35のシート搬送方向上流側に、第一シート搬送路101から搬送されるシートSの先端が当接する搬送回転体としての弾性体のスポンジローラ37(弾性ローラ)が回転可能に配置されている。
【0024】
このスポンジローラ37の回転中心Oである回転軸線は、第二シート搬送路102におけるシート搬送方向に対して直交するように位置しており、また、第二シート搬送路102とで搬送ガイド面38aを挟むように位置している。スポンジローラ37のスポンジの材質は、ポリエーテル系ウレタンであり、硬度はアスカーFで65°程度のものである。搬送ローラ36の材質はシリコンであり、硬度は60°Hs JIS A程度のものである。搬送コロ35の材質は、POM(ポリアセタール樹脂)等の合成樹脂であり、硬度はスポンジローラ37のスポンジの材質の硬度よりも高いものを用いている。
【0025】
図3に示すように、スポンジローラ37の回転中心Oは、フィードローラ33とリタードローラ34のニップ点を通り搬送ガイド面41aに接する線Lよりも、第二シート搬送路102におけるシート搬送方向の上流側に位置されている。つまり、スポンジローラ37は、第一シート搬送路101から搬送されてきたシートSの先端がスポンジローラ37の左上部(図3に示す一点鎖線領域X部)に接触するように配置されている。
【0026】
図3において、線Lに平行で回転中心Oを通る線をY、線Lに垂直で回転中心Oを通る線をZとする。X部は、線Yと線Zとでスポンジローラ37を4等分した領域の中で、シートSの先端接触することによりスポンジローラ37がシートSの先端を搬送コロ35と搬送ローラ36とのニップ部の方向に導くように回転する領域である。
【0027】
図6に示すように、スポンジローラ37は、駆動伝達手段を構成する、スポンジローラ軸37a、ワンウェイクラッチ50、スポンジローラ軸プーリ51、タイミングベルト52、搬送コロ軸プーリ53を介して、搬送ローラ軸36aに連結されている。ワンウェイクラッチ50は、スポンジローラ軸37aとスポンジローラ軸プーリ51の間に設けられている。そして、搬送コロ35が搬送ローラ36の回転に従動すると、タイミングベルト52とワンウェイクラッチ50を介して搬送コロ35の回転がスポンジローラ37に伝達される。ワンウェイクラッチ50とスポンジローラ軸37aの回転ロック方向は、図8に示すように、ワンウェイクラッチ50を固定したとするとスポンジローラ軸37aが後述する矢印C方向に回転自在になる方向である。すなわち、ワンウェイクラッチ50は、スポンジローラ37がスポンジローラ軸37aから伝達される回転速度よりも速く回転する場合には、その回転を許容する。
【0028】
搬送コロ35は図4に示すようにスポンジローラ37の中心Oを回動中心として回動支持され、図示しないバネによって搬送ローラ36の方向に加圧されている。このように構成することによって、搬送ローラ36及び搬送コロ35は、シートSを狭持して搬送することができる。さらには、スポンジローラ37にも搬送ローラ36の駆動源であるモータMから駆動力が伝達される。このとき、搬送コロ軸プーリ53とスポンジローラ軸プーリ51の伝達比は、搬送ローラ36、搬送コロ35の搬送速度とスポンジローラ37の搬送速度が同じ搬送速度V1となるように設定されている。なおフィードローラ33も搬送速度はV1になるように設定されている。
【0029】
次に、本実施形態1の作用について図5(a)〜(c)を用いて説明する。図5(a)に示すようにシートSが第一シート搬送路101から第ニシート搬送路102に搬送され合流部103に搬送されてくると、シートSの先端はスポンジローラ37に衝突する。このとき、搬送ローラ36の材質及び搬送コロ35の材質の硬度よりも低い硬度であるスポンジローラ37の弾性によって、シートSの先端の衝突による衝撃を和らげることができるので、衝突時の音の発生を効果的に抑えることができる。
【0030】
スポンジローラ37の回転中心Oは、フィードローラ33とリタードローラ34のニップ点から搬送ガイド面39aに引いた線Lよりも、第二シート搬送路102におけるシート搬送方向の上流側に位置している(図3参照)。したがって、シートSの先端が接触して、スポンジローラ37は時計周り方向(矢印C方向)に回転する力を受ける。そして、スポンジローラ37に衝突したシートはスポンジローラ37の周面に沿って移動方向が変更される。
【0031】
このとき、フィードローラ33とリタードローラ34とによって搬送速度V1で搬送されるシートの先端は、スポンジローラ37に衝突して搬送方向が変更されると、搬送速度V1より速いV2(V1<V2)の速度に変化して上方に移動する。これは、シートの先端がスポンジローラ37に衝突して搬送方向がスポンジローラ37の周面に沿う方向に変更したとき、シートの剛性が大きいとあまりシートは湾曲されない。そのため、シートの先端の移動速度が搬送速度V1よりも速く進むことになる。シートの剛度(剛性)が大きくなるほど、シートに湾曲が生じにくくなるため、シートの先端がスポンジローラ37に衝突した後のシート先端の移動速度は速くなる。
【0032】
このとき、図5(b)に示すように、スポンジローラ37はワンウェイクラッチ50によって矢印C方向には回転自在なので、シートの先端がスポンジローラ37に衝突した後のシートの先端の移動速度であるV2に追従して、搬送速度V2となって回転する。このように、スポンジローラ37にシートが衝突してシートの先端の移動速度がフィードローラ33とリタードローラ34によって搬送されるときの速度よりも速くなってもスポンジローラ37が追従できるようにしている。そのため、シート先端のスポンジローラ37への衝突時に先端が折れることがなくなる。
【0033】
その後、図5(c)に示すようにシートSの先端は搬送ローラ36と搬送コロ35の方向へと搬送される。このときのスポンジローラ37の搬送速度はV1であり、搬送ローラ36と搬送コロ35のシート搬送速度を同じなので、シートがニップへ突入するのショックなどが発生することなく搬送される。その後、シートSは搬送ローラ36と搬送コロ35にニップされて搬送下流方向へと搬送される。
【0034】
(実施形態2)
<搬送部構成>
次に図10を用いて、本発明の実施形態2が適用されるシート搬送装置について説明する。なお、実施形態1と異なる箇所を詳細に説明し、共通の構成については説明を省略する。
【0035】
本実施形態は、第二シート搬送部を構成する搬送ローラ36及びベルト55は、合流部103に対しシート搬送方向下流側に設けられ、第一シート搬送路101から搬送されるシートS及び第二シート搬送路102に搬送されるシートSを搬送する。図11に示すように、搬送回転体としての弾性体のベルト55は、一方が搬送ローラ36の対向する駆動側コロ56と、搬送上流に配置された従動側コロ57との間に懸架されている。なお、搬送ローラ36は、図12に示すように、駆動源であるモータMから駆動伝達手段を構成するモータギアG1、軸ギアG2、搬送ローラ軸36aに接続されて駆動力が伝達されて回転する。そして、軸ギアG2と搬送ローラ軸36aとの間にワンウェイクラッチ54が設けられている。ワンウェイクラッチ54と搬送ローラ軸36aの回転ロック方向は、図9に示すように、ワンウェイクラッチ54を固定したとすると搬送ローラ軸36aが矢印D方向に回転自在になる方向である。すなわち、ワンウェイクラッチ54は、ベルト55が搬送ローラ36の回転速度(軸ギアG2の回転速度)よりも速く回転する場合には、その回転を許容する。
【0036】
駆動側コロ56は図10に示すように従動側コロ57の中心Oを回動中心として回動支持され、図示しないバネによって搬送ローラ36の方向に加圧されている。このように構成することによって、搬送ローラ36及びベルト55は、シートSを狭持して搬送することができる。このとき、ベルトと搬送ローラの搬送速度V1となるように設定されている。なおフィードローラ33も搬送速度はV1に設定されている。
【0037】
ベルト55を懸架している従動側コロ57の回転中心Oは、フィードローラ33とリタードローラ34のニップ点から搬送ガイド面39aに引いた線Lよりも、第二シート搬送路102におけるシート搬送方向の上流側に位置している(図10参照)。これによって第一シート搬送路101から搬送されるシートSの先端がベルトのテンション部X2に当接するように配置されている。なお、ベルト55の材質はEPDM系のゴムである。
【0038】
次に、本実施形態の作用について図13(a)〜(c)を用いて説明する。
図13(a)に示すようにシートSが第一シート搬送路101から第ニシート搬送路102に搬送され合流部103に搬送されてくると、シートSの先端はベルト55に衝突する。このベルト55のテンションの弾性によってシートSの先端の衝突による衝撃を和らげることができるので、衝突時の音の発生を抑えることができる。
【0039】
また、シートはフィードローラ33とリタードローラ34とによって搬送速度V1で搬送されると、実施形態1で説明したように、シートの先端はV2の速度で上方に移動する。搬送コロ軸35aがワンウェイクラッチ54を介して駆動源であるモータMに駆動連結されているため、搬送ローラ36はモータMに対して矢印F方向に回動自在になっている。したがって、ベルト55も矢印D方向に回転自在になっている。
【0040】
そのため、図13(b)に示すように、シートの先端がV2の速度に変化して上方に移動すると、ベルト55と搬送ローラ36は、シート先端の移動速度V2に追従してV2で回転する。このように、ベルト55が、衝突したシート先端に追従できるようにしているため、シート先端のベルト55への衝突時に先端が折れたりすることがなくなる。
【0041】
図13(c)に示すように、シートSの先端は搬送ローラ36とベルト55のニップ方向へと搬送される。このときベルト55の搬送速度はV1である。その後、シートは搬送ローラ36とベルト55にニップされて下流へ搬送される。このとき、ベルト55とシート先端との速度が同じであるため、シートがニップへ突入するのショックなどが発生することない。
【0042】
(その他の実施形態)
実施形態2では、ベルト55を搬送ローラ36に対向させて設けたが、この構成でなくても良い。例えば、図14及び図15に示すように、左右に配置される搬送ローラ36に対向させて搬送コロ35が設けられている。そして、搬送回転体としての弾性体のベルト55は、搬送ローラ36と搬送コロ軸35aから構成される複数のローラ対の間に配置させる構成を採用してもよい。
【0043】
この構成は、ベルト55が、駆動側コロ56と従動側コロ57との間に懸架されている。駆動側コロ56と搬送コロ35は回動軸59を回動中心として回動可能に支持され、図示しないバネによって搬送コロ35が搬送ローラ36に加圧される。また、ベルト55は、ワンウェイクラッチ58を介して搬送コロ軸35aに駆動伝達されている。そのため、ワンウェイクラッチ58のロック方向は、図8に示すように、ワンウェイクラッチ58を固定したとすると搬送コロ軸35aが矢印C方向に回転自在になる方向である(実施形態1と同じ方向)。
【0044】
駆動源であるモータMからモータギアG1と軸ギアG2とを介して搬送ローラ36に駆動力が伝達されて回転し、搬送コロ35、搬送コロ軸35a、ワンウェイクラッチ58を介してベルト55を回転させる。
【0045】
この構成においては、ベルト55が搬送ローラ36に圧接していないため、シート先端の衝突時に搬送ローラ36からの負荷が実施形態1及び2よりも小さく、シート先端に対するベルト55の追従性を上げることができる。なお、動作及び効果は実施の形態1及び2と同じであるため、説明を省略する。
【0046】
以上説明した実施形態では、シートに画像を形成する画像形成装置に本発明を適用した例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、画像読取装置において、画像読取部に原稿を自動的に搬送するシート(原稿)搬送装置(Auto Document Feeder)に本発明を適用してもよい。この画像読取装置のシート搬送装置では、原稿の両面を読取る構成において、セットされた原稿を給送する搬送路と反転させて再度読取部に送る搬送路との合流部などに本発明の構成が設けられる。
【符号の説明】
【0047】
33 フィードローラ
34 リタードローラ
35 搬送コロ
36 搬送ローラ
37、67、72、320 スポンジローラ
38、39、40 搬送ガイド
50、54、58 ワンウェイクラッチ
55 ベルト
56 駆動側コロ
57 従動側コロ
101 第一シート搬送路
102 第ニシート搬送路
103 合流部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一シート搬送路が第二シート搬送路に合流することにより構成される合流部と、
前記合流部の上流側に設けられ、前記第一シート搬送路のシートを搬送する第一シート搬送部と、
前記合流部の下流側に設けられ、前記第一シート搬送路から搬送されるシート及び前記第二シート搬送路に搬送されるシートを搬送する第二シート搬送部と、を有し、
前記合流部にシート先端が接触する搬送回転体を配置し、前記搬送回転体に駆動を伝達するための駆動伝達手段を接続し、前記駆動伝達手段にワンウェイクラッチを配置し、
前記ワンウェイクラッチにより、前記搬送回転体にシートの先端が衝突した後のシート先端の移動速度の変化に前記搬送回転体が追従するようにしたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記第二シート搬送部の駆動源の駆動力を前記駆動伝達手段により前記搬送回転体に伝達することを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記搬送回転体はスポンジローラであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第二シート搬送部は、駆動される搬送ローラと、前記搬送ローラに圧接する搬送コロとを備え、前記搬送回転体は前記搬送コロから駆動が伝達されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記搬送回転体は、駆動側コロと従動側コロとの間に懸架されたベルトであることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記第二シート搬送部は、駆動される搬送ローラを備え、前記ベルトは前記搬送ローラに圧接して設けられていることを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記第二シート搬送部は、駆動される搬送ローラと、前記搬送ローラに圧接する搬送コロとから構成されるローラ対を備え、前記搬送回転体を、駆動側コロと従動側コロとの間に懸架されたベルトで構成し、前記複数のローラ対の間に前記ベルトを配置したことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
画像形成部と、前記画像形成部にシートを搬送する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート搬送装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
シートの画像を読み取る画像読取部と、前記画像読取部にシートを搬送する請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート搬送装置とを備えたことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−121666(P2011−121666A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278964(P2009−278964)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】