説明

シート搬送装置および画像形成装置

【課題】簡単な構成で用紙にコルゲーションを形成できる用紙排出装置を提供する。
【解決手段】回転駆動される排出ロール42と、排出ロール42の軸方向に沿って複数設けられ、排出ロール42の外周面に当接して当該排出ロール42との間に用紙を挟んでこれを搬送するピンチロール43とを備えており、排出ロール42に対するピンチロール43の当接位置が用紙搬送方向で異なっている。また、排出ロール42の軸方向の両端に配置されたピンチロール43aは、このピンチロール43aの隣に配置されたピンチロール43bよりも高い位置で排出ロール42に当接している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ等の画像形成装置に設けられた用紙搬送装置(シート搬送装置)においては、排出される用紙(シート)に搬送方向とほぼ直交する方向に波打ち(コルゲーション)を作って走行安定性を向上させることが行われている。これは、定着装置のローラによってカールした用紙を排出しようとすると、用紙が先端から丸まって排出トレイから落下することを防止したり、カールした用紙の先端が排出口の近傍に着地してしまって後端が排出口に残った状態で次の用紙が排出されることによるページ狂いを防止したりするためのものである。
【0003】
そのため、用紙に搬送力を付与するローラとは別に、コルゲーションを作るためのコルゲーションローラを設けたり、フレームにリブを設けて、そのリブと駆動ローラとで用紙にコルゲーションくぼみを形成したり、駆動ローラ端部に突出した部分を設けてコルゲーションを形成するものが知られている(例えば、特許文献1,2)。
【特許文献1】特開平05−043110号公報
【特許文献2】特開2005−034486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コルゲーションを作るために別途コルゲーションローラを設ける技術では、コストアップを招くという問題があった。さらには、コルゲーションローラを設けることは、用紙と接する部品が多くなるので、用紙に汚れがつく恐れが増す。
【0005】
また、リブによってコルゲーションをつける技術では、リブは可動ではないため、用紙の腰の強さ次第によってはコルゲーションが強くつきすぎて用紙に筋がつく恐れがあり、逆に用紙によってはコルゲーションが形成されない(つまり、シートの走行が不安定となる)恐れがあるといった問題があった。
【0006】
さらに、ローラ端に突出した部分を設ける技術では、用紙をニップする位置とコルゲーションを形成するための部分が近接しすぎて、用紙の腰の強さ次第では用紙に折れ曲がった跡が残ることがあるといった問題があった。
【0007】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、簡単な構成でシートにコルゲーションを形成することのできるシート搬送装置ならびに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明のシート搬送装置は、回転駆動される搬送部材と、前記搬送部材の軸方向に沿って複数設けられ、前記搬送部材の外周面に当接して当該搬送部材との間にシートを挟んでこれを搬送する当接部材とを備え、前記搬送部材に対する前記当接部材の当接位置が、複数の前記当接部材の一部または全部についてシート搬送方向で相互に異なっている、ことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、前記当接部材は、前記搬送部材に従動して回転する円筒状部材である、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2に記載の発明において、前記搬送部材の軸方向の両端に配置された前記当接部材は、当該当接部材の隣に配置された前記当接部材よりも高い位置で前記搬送部材に当接する、ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項4に記載の本発明の画像形成装置は、装置本体と、シートを収容するシート収容手段と、前記シート収容手段から前記装置本体へシートを供給する供給手段と、前記供給手段から供給されたシートに像を形成する像形成手段と、前記像形成手段によって形成された像を前記シートに熱定着させる定着手段と、前記定着手段で熱定着された前記シートを前記装置本体外へ排出する請求項1〜3の何れかに記載のシート搬送装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、搬送部材に対する複数の当接部材の当接位置をシート搬送方向で相互に異ならせることにより搬送部材と当接部材とによってシートにコルゲーションが形成されるので、簡単な構成でシートにコルゲーションを形成することが可能になる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、当接部材が回転するために、当接部材がシートと摺動して搬送抵抗となることはないので、シートにスムーズにコルゲーションを形成することが可能になる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、シートの両端が上向きのコルゲーションとなるので、シートが下方へ曲がりにくくなって着地点が排出口から遠くなり、排出されたシートの積載安定性を向上させることが可能になる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、簡単な構成でシートにコルゲーションを形成できるシート搬送装置を用いることにより、良好なシート排出性能を備えた廉価な画像形成装置を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一例としての実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
図1は本発明の一実施の形態としての画像形成装置であるタンデム型のカラープリンタの概念図を示すものである。このカラープリンタは、例えば、パーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像データに基づいてプリント動作を実行するように構成されている。なお、画像形成装置としては、スキャナを備えた複写機やファクシミリ、あるいはこれらの機能を備えた複合機等として構成してもよいことはもちろんである。さらに、モノクロプリンタでもよく、タンデム型以外のカラープリンタでもよい。
【0018】
図1において、タンデム型のカラープリンタ本体(装置本体)1の内部には、その略中央部に、画像形成ユニット(像形成手段)2が上下方向に沿って配置されている。また、カラープリンタ本体1の内部には、画像形成ユニット2の一方側(図示する場合には左側)に、画像形成ユニット2で形成された複数色のトナー像が転写される用紙を吸着した状態で搬送する用紙搬送ベルトユニット3が配置されているともに、当該画像形成ユニット2の他方(図示する場合には右側)には、制御回路等を備えた制御ユニット4が、画像形成ユニット2の斜め上方に、高圧電源回路等を備えた電源回路ユニット5が、それぞれ配置されている。
【0019】
また、カラープリンタ本体1内の底部には、画像が転写形成されるシートとしての用紙18等を収容してこれを給紙する給紙カセット(シート収容手段)6が配置されている。
【0020】
画像形成ユニット2は、下から順に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Kを備えており、これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Kは、上下方向に沿って一定の間隔を隔てて直列的に配置されている。
【0021】
これらの4つの画像形成部7Y、7M、7C、7Kは、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、大別して、図1に示すように、所定の回転速度で回転する像保持体である感光体ドラム8(8Y、8M、8C、8K)と、この感光体ドラム8の表面を一様に所定電位に帯電する一次帯電用の帯電ロール9(9Y、9M、9C、9K)と、当該感光体ドラム8の表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置10(10Y、10M、10C、10K)と、感光体ドラム8上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像装置11(11Y、11M、11C、11K)と、現像後の感光体ドラム8上に残留した電荷を除去する除電装置21(21Y、21M、21C、21K)と、感光体ドラム8上に残留した転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置12(12Y、12M、12C、12K)と、現像装置11にトナーを供給するトナーカートリッジ13(13Y、13M、13C、13K)とから構成されている。
【0022】
現像装置11は、図1に示すように、内部に収容された二成分または一成分の現像剤を撹拌しながら現像ロール14(14Y、14M、14C、14K)へと供給し、当該現像ロール14に供給された現像剤の層厚を規制しながら、感光体ドラム8と対向する現像領域へと搬送し、当該感光体ドラム8の表面に形成された静電潜像を所定の色のトナーで現像するように構成されている。
【0023】
そして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の現像装置11Y、11M、11C、11Kに対応して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーを供給する現像剤収容容器としてのトナーカートリッジ13Y、13M、13C、13Kを備えている。
【0024】
また、除電装置21は、感光体ドラム8に光を照射することにより現像後の残留電荷を除去し、次の画像形成においてドラム表面が一様に帯電されるようにしている。
【0025】
さらに、クリーニング装置12は、図1に示すように、感光体ドラム8の表面に残留した転写残トナーをクリーニングブレード15(15Y、15M、15C、15K)によって除去し、除去された転写残トナーをクリーニング装置12の内部に搬送して収容するようになっている。
【0026】
カラープリンタ本体1の内部には、図1に示すように、制御ユニット4が配置されており、この制御ユニット4には、例えば、画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置16が設けられている。この画像処理装置16からは、露光装置10にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像データが順次出力され、この露光装置10から画像データに応じて出射される4本のレーザビームLBが、それぞれの感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に走査露光されて静電潜像が形成される。各感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に形成された静電潜像は、現像装置11Y、11M、11C、11Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像として現像される。
【0027】
また、用紙搬送ベルトユニット3は、図1に示すように、無端状ベルトとして、循環し移動する用紙搬送ベルト17を備えており、当該用紙搬送ベルト17は、各画像形成部7Y、7M、7C、7Kで形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が転写される転写材としての用紙18を静電的に吸着した状態で搬送するように構成されている。
【0028】
用紙搬送ベルト17は、図1に示すように、上下方向に沿って配置された張架ロールとしての駆動ロール19と従動ロール20との間に所定のテンションで張架されており、図示しない駆動モータによって回転駆動される駆動ロール19によって、所定の速度で図1においては反時計回りに循環移動するように構成されている。
【0029】
駆動ロール19と従動ロール20との距離は、例えば、A3サイズの用紙18の長さと略等しい長さに設定されているが、これに限らず、任意に設定してよいことはもちろんである。また、用紙搬送ベルト17としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを無端ベルト状に形成したものが用いられる。
【0030】
また、駆動ロール19の表面には、図1に示すように、用紙18を用紙搬送ベルト17の表面に静電的に吸着させるための吸着ロール22が、用紙搬送ベルト17を介して当接するように配置されている。この吸着ロール22は、例えば、画像形成部7Y、7M、7C、7Kの帯電ロール9と同様に、金属製芯金の表面に導電性ゴムを被覆して構成されており、金属製芯金に所定の吸着用のバイアス電圧が印加されるようになっている。そして、吸着ロール22は、給紙カセット6から送られてくる用紙18を静電的に帯電して、用紙搬送ベルト17の表面に吸着させるように構成されている。なお、吸着ロール22は、必ずしも設けなくともよい。
【0031】
各画像形成部7Y、7M、7C、7Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像は、図1に示すように、用紙搬送ベルト17の表面に吸着された状態で搬送される用紙18上に、転写ロール23Y、23M、23C、23Kによって互いに重ね合わされた状態で順次多重に転写される。なお、転写ロール23Y、23M、23C、23Kは、用紙搬送ベルトユニット3に一体的に取り付けられており、これらの転写ロール23Y、23M、23C、23Kが感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kにそれぞれ圧接されたニップ部が、トナー像が用紙18上に転写される画像転写領域となる。
【0032】
用紙18は、図1に示すように、プリンタ本体1の底部に配置された給紙カセット6から給紙されて、プリンタ本体1へと搬送される。この給紙カセット6は、所望のサイズや材質の用紙18が収容される用紙トレイ24を備えている。また、用紙トレイ24の直上には、最上部に位置する用紙18とニップするピックアップロール35が配置されている。これにより、当該用紙トレイ24からは、所望のサイズや材質の用紙18が一枚ずつピックアップロール35で取り出されて給送ロール(供給手段)25によって給送されるとともに、捌きロール26によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、給紙手段としてのレジストロール27を介して所定のタイミングで用紙搬送ベルト17上の吸着位置へと搬送されるようになっている。
【0033】
なお、給送ロール25およびピックアップロール35はカラープリンタ本体1側に設けられ、捌きロール26は給紙カセット6側に設けられている。
【0034】
ここで、ピックアップロール35の機能と給送ロール25の機能とを一つにしたロールを用いてもよい。また、捌きロール26ではなく、取り出される用紙18に対して所定の摩擦抵抗をもったパッドタイプの捌き手段でもよい。
【0035】
シートとしては、例えば、A4サイズやA3サイズ、あるいはB5サイズやB4サイズなど種々のサイズ、および、普通紙、コート紙等の厚紙やOHPシートなど、種々の材質のシート状のものが用いられる。
【0036】
そして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像が多重に転写された用紙18は、図1に示すように、用紙18自体が有する剛性(いわゆるコシ)によって用紙搬送ベルト17から分離された後、搬送経路28に沿って定着装置(定着手段)29へと搬送される。そして、定着装置29において用紙18に熱および圧力が加えられることによりトナー像が用紙18上に定着される。
【0037】
用紙搬送ベルト17と定着装置29は近接して配置されており、用紙搬送ベルト17から分離された用紙18は、用紙搬送ベルト17の搬送力によって定着装置29へと搬送される。この定着装置29は、加熱ロール30と加圧ベルト31とを互いに圧接した状態で回転駆動し、これら加熱ロール30と加圧ベルト31の間に形成されるニップ部に用紙18を通過させることにより、熱および圧力で定着処理を施すように構成されている。
【0038】
その後、各色のトナー像が定着された用紙18は、用紙排出装置(シート搬送装置)32によって、カラープリンタ本体1の上部に設けられた排紙トレイ33上にプリント面を下にした状態で排出口から排出され、プリント動作が終了する。
【0039】
なお、カラープリンタでは、カラーの画像に限らず、モノクロなど所望の色の画像をプリントすることが可能となっており、プリントする画像の色に応じて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の全てまたは一部の画像形成部7Y、7M、7C、7Kによってトナー像が形成される。
【0040】
なお、図1中、符号34はプリンタ本体1の正面に取り付けられた液晶パネル等の表示部を備えた操作パネルを示しており、当該操作パネル34では、プリンタの状態を表示したり、必要な操作等を行うように構成されている。
【0041】
次に、このような概略構成を有する画像形成装置の用紙排出装置32について図2〜図7を用いて説明する。ここで、図2は本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の用紙排出装置およびこれが取り付けられたハウジングを示す斜視図、図3は図2の正面図、図4は図3のA−A’線に沿った断面図、図5は用紙排出装置を構成する排出ロールとピンチロールとの位置関係を立体的に示す説明図、図6は用紙排出装置を構成する排出ロールとピンチロールとの位置関係を軸方向から示す説明図、図7はハウジングに取り付けられた用紙排出装置から排出される用紙を示す斜視図である。
【0042】
図2〜図4に示すように、用紙排出装置32は、定着装置29とともにハウジング50内に設けられている。
【0043】
ここで、定着装置29は、図示しない回転駆動手段の回転力で回転するとともに、内部に例えばハロゲンランプなどの発熱源30aが取り付けられた加熱ロール30と、この加熱ロール30と圧接して従動回転する加圧ベルト31とを備えている。
【0044】
そして、画像形成ユニット2の画像転写部位に送られてトナー像が転写された用紙18が加熱ロール30と加圧ベルト31とが圧接している定着部Pを用紙搬送方向(シート搬送方向)Dに向かって通過するときに熱と圧着力が加えられ、これによりトナー像が用紙18に定着される。
【0045】
そして、このような定着装置29における定着部Pよりも用紙搬送方向Dの下流側に、トナー像の定着された用紙18を、プリンタ本体1外である排紙トレイ33(図1)上に排出する用紙排出装置(シート搬送装置)32が配置されている。
【0046】
図5に詳しく示すように、用紙排出装置32は、例えばギア列で構成された駆動系41を介して伝達されたモータ(回転駆動源)40の回転力により回転する排出ロール(搬送部材)42と、この排出ロール42に圧接されて従動回転するピンチロール(当接部材)43とからなる。
【0047】
排出ロール42は、駆動系41と噛み合うギア42bが一方側の端部に取り付けられるとともに図示しない軸受けに回転可能に支持されたシャフト42aと、所定の間隔を開けてシャフト42aに装着されたゴム製で円筒形状のロール本体42cとからなる。この排出ロール42は、ハウジング50に開閉可能に取り付けられたメンテナンス等のための蓋部50aの内側に取り付けられており、蓋部50aが閉まることによりギア42bが駆動系41と噛み合うとともにその外周面(より正確には、ロール本体42cの外周面)がピンチロール43に当接する。
【0048】
図示するように、ピンチロール43は、排出ロール42のロール本体42cにそれぞれ対応して複数個が別体となっており、排出ロール42の軸方向に沿って交互に同軸上となる2つの軸S1,S2上に配列されている。
【0049】
すなわち、排出ロール42の軸方向に沿って5個配列されたピンチロール43において、両側と中央の計3個のピンチロール43aは軸S1上に位置し、これらのピンチロール43aの間にある計2個のピンチロール43bは、図5において排出ロール42の軸を中心にして軸S1から反時計回りに所定の回転角だけ移動した軸S2上に位置している。したがって、排出ロール42に対するピンチロール43の用紙搬送方向Dにおける当接位置は、ピンチロール43aとピンチロール43bとで異なっている。
【0050】
この点についてより具体的に説明すると、図6において、用紙搬送方向Dでのピンチロール43aの排出ロール42に対する当接位置をN1とした場合、用紙搬送方向Dでのピンチロール43bの排出ロール42に対する当接位置N2は当接位置N1よりも用紙搬送方向Dの上流側となっている。さらに、ピンチロール43aの当接位置N1はピンチロール43bの当接位置N2よりも高さHだけ高くなっている。
【0051】
例えばフッ素系樹脂で形成されたピンチロール43は、図5に示すように、排出ロール42のロール本体42cに当接する円筒状の胴部43−1と、この胴部の両端から突出した軸部43−2とからなる。そして、軸部43−2が、ハウジング50内に形成された一対の突起片である支持部50b(図2、図3)に回転可能に支持されることにより、ピンチロール43は自由回転できるようになっている。このようなピンチロール43は、排出ロール42に当接することにより排出ロール42の回転力が伝達されて従動回転し、排出ロール42と協働して用紙18を搬送する。
【0052】
なお、支持部50bには、ピンチロール43の軸部43−2を排出ロール42に向けて付勢することにより、ピンチロール43と排出ロール42との間に圧接力を発生させるトーションばね(図示せず)が装着されている。前述のように蓋部50aが閉まると排出ロール42がピンチロール43に圧接するが、これは、排出ロール42によりピンチロール43がトーションばね57の弾発力に抗して後退することによる。
【0053】
以上の構成の用紙排出装置32によれば、排出ロール42とピンチロール43とが圧接力により用紙18を挟み込んで回転することによりこれらのロール42,43の回転力が用紙18に伝達され、用紙18は用紙搬送方向Dに沿って移動し、排紙トレイ33上に排出される。
【0054】
そして、前述のように、排出ロール42に対するピンチロール43の用紙搬送方向Dにおける当接位置が、ピンチロール43aとピンチロール43bとで異なっているので、両者の当接位置N1,N2には、高さH(図6)だけの差が形成される。よって、このような排出ロール42とピンチロール43とから構成される用紙排出装置32に用紙18を通すと、図7に示すように、当該用紙18には、当接位置N1と当接位置N2との高さHの差に応じたコルゲーションが搬送方向とほぼ直交する方向に形成されることになる。
【0055】
したがって、本実施の形態によれば、排出ロール42とピンチロール43(ピンチロール43a・ピンチロール43b)との当接位置を複数形成するという簡単な構成で(つまり、コルゲーションを形成するための特別な部材や特別な形状を要することなく)、用紙18にコルゲーションを形成することが可能になる。
【0056】
また、排出ロール42の軸方向の両端に配置されたピンチロール43aの当接位置N1はその隣に配置されたピンチロール43bの当接位置N2よりも高さHだけ高くなっているので、図示するように、用紙18の両端が上向きのコルゲーションとなる。したがって、用紙18が下方へ曲がりにくくなって着地点が排出口から遠くなり、排出された用紙18の積載安定性が向上する。
【0057】
したがって、このように簡単な構成で用紙18にコルゲーションを形成できる構成の用紙排出装置32を画像形成装置に採用することにより、良好な用紙排出性能を備えた廉価な画像形成装置が得られる。
【0058】
なお、本実施の形態では、ピンチロール43が、排出ロール42の軸方向に沿って交互に同軸上となる2つの軸S1,S2上に配列されているが、つまり複数のピンチロール43の内の一部の当接位置が用紙搬送方向Dで相互に異なっているが、全部が異なっていてもよい。また、当接位置の異ならせ方については、交互ではなくてもよい。
【0059】
また、排出ロール42に従動して回転する円筒状部材であるピンチロール43を当接部材としているが、平坦なパッド状の部材を当接部材としてもよい。但し、本実施の形態の構成にすれば、ピンチロール43が回転するために、ピンチロール43が搬送される用紙18と摺動して搬送抵抗となることはない。したがって、用紙18にスムーズにコルゲーションを形成することができる。
【0060】
さらに、本実施の形態では、排出ロール42の軸方向の両端に配置されたピンチロール43aの当接位置N1をその隣に配置されたピンチロール43bの当接位置N2よりも高くしているが、前述のような用紙18の積載安定性を問題にしないのであれば、当接位置が同じあるいは低くてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上の説明では、本発明のシート搬送装置をトナー記録する画像形成装置に装着した場合が示されているが、例えば吐出されたインクで記録するインクジェット形式の画像形成装置やATM(自動現金預入払出機)など、シート搬送装置を装着可能な種々の装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態としての画像形成装置であるタンデム型のカラープリンタの概念図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の用紙排出装置およびこれが取り付けられたハウジングを示す斜視図である。
【図3】図2の正面図である。
【図4】図3のA−A’線に沿った断面図である。
【図5】用紙排出装置を構成する排出ロールとピンチロールとの位置関係を立体的に示す説明図である。
【図6】用紙排出装置を構成する排出ロールとピンチロールとの位置関係を軸方向から示す説明図である。
【図7】ハウジングに取り付けられた用紙排出装置から排出される用紙を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 カラープリンタ本体(装置本体)
2 画像形成ユニット(像形成手段)
6 給紙カセット(シート収容手段)
25 給送ロール(供給手段)
29 定着装置(定着手段)
32 用紙排出装置(シート搬送装置)
42 排出ロール(搬送部材)
43,43a、43b ピンチロール(当接部材)
43−1 胴部
43−2 軸部
D 用紙搬送方向(シート搬送方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される搬送部材と、
前記搬送部材の軸方向に沿って複数設けられ、前記搬送部材の外周面に当接して当該搬送部材との間にシートを挟んでこれを搬送する当接部材とを備え、
前記搬送部材に対する前記当接部材の当接位置が、複数の前記当接部材の一部または全部についてシート搬送方向で相互に異なっている、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記当接部材は、前記搬送部材に従動して回転する円筒状部材である、
ことを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記搬送部材の軸方向の両端に配置された前記当接部材は、当該当接部材の隣に配置された前記当接部材よりも高い位置で前記搬送部材に当接する、
ことを特徴とする請求項1または2記載のシート搬送装置。
【請求項4】
装置本体と、
シートを収容するシート収容手段と、
前記シート収容手段から前記装置本体へシートを供給する供給手段と、
前記供給手段から供給されたシートに像を形成する像形成手段と、
前記像形成手段によって形成された像を前記シートに熱定着させる定着手段と、
前記定着手段で熱定着された前記シートを前記装置本体外へ排出する請求項1〜3の何れかに記載のシート搬送装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−273697(P2008−273697A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119242(P2007−119242)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】