説明

シート斜行補正装置及び画像形成装置

【課題】シートの種類に応じて確実にシートの斜行を補正する装置を提供する。
【解決手段】一対のシート搬送回転体を含んだレジストローラ116、前記一対のシート搬送回転体のニップ部よりも上流側、且つ、ニップ部の近傍で、シート先端に当接する第1の姿勢とシートを通過させ得る第2の姿勢とに揺動可能なシャッタ部材、シャッタ部材を第1の姿勢を維持するように付勢するバネ64、レジストローラを駆動するためのモータ42、使用するシートの種類に応じて、モータの回転方向を制御する制御手段、前記モータとレジストローラを駆動連結する第1の駆動列43及び第1の駆動列と減速比が異なる第2の駆動列44と、モータの回転方向に応じ、モータの駆動力を第1の駆動列又は第2の駆動列に切り替えて伝達する手段、モータの回転方向に応じて、バネ64のシャッタ部材に対する付勢力を切り替える手段、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるシート等の搬送方向に対する傾き、いわゆる斜行を補正するシート斜行補正装置及びこのシート斜行補正装置を備えた、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを収納したカセット等から給送されたシートは、搬送ローラの形状がテーパ状であったり、搬送ローラのアライメントが作像部や転写部に対してずれている等様々な原因により、給送、搬送中に斜行することがある。
【0003】
特にカセットからシートをピックアップする際や、複数枚のシートが同時に搬送されないようにシートを分離する際は、ローラ幅が狭いことや、旋回に対するシートの保持が十分にできていないこともあり、シートに斜行が発生しやすい。
【0004】
従って、良好な出力画像を得るためには、画像形成部にてシートに画像を転写する前に、シートの斜行を補正することが必要である。また、その補正位置は画像形成部に近い方が効果的である。
【0005】
特許文献1には、シートの先端を搬送方向上流側に向かってバネ等により付勢されたシャッタに当接させる構成の画像形成装置が開示されている。これは斜行してきたシートの一部がシャッタに当接してもシャッタは動くことができないため、シートの先端全域がシャッタの母線に倣うように当接する。つまり、シャッタの母線に倣うことにより、シートの斜行が補正されることになる。そして、シートの先端がシャッタの母線に倣うと、シートのコシにより、シャッタを付勢しているバネに抗してシャッタを回動させることが可能となり、シートはシャッタ部を通過することができる。
【0006】
また、特許文献2には、シャッタを付勢しているバネ力を可変にできるようにした構成が提案されている。シャッタの付勢力が一定であると、コシのない薄紙ではシャッタに当接した際にシャッタの付勢力に負けてシートが座屈してしまう。一方、コシの強い厚紙ではシートの一部がシャッタに当接した状態でシャッタが回動してしまい、シートの先端がシャッタの母線に倣わない、つまりは斜行補正が十分に行われない。使用するシートの種類に応じてシャッタの付勢力を可変にすることで、これらの問題を解決することが可能であり、使用する紙種によらず斜行補正を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−183539
【特許文献2】特許3554145
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2に示される従来技術では、使用するシートを変更した際には、ユーザがシャッタを付勢するバネの引掛け位置を変更し、シャッタの付勢力を変更する必要がある。
【0009】
電子写真方式の画像形成装置では、画像が転写されたシートに必要十分な熱量を加え、定着性を確保する必要がある。そのため、普通紙と比較して熱容量の大きい厚紙の場合には、通常多くの装置では、画像形成部におけるシートの搬送速度(プロセススピード)を普通紙の場合の半分程度に設定し、定着性を確保している。
【0010】
つまり、厚紙を使用する場合には、ユーザが操作部から使用するシートが厚紙であることを設定することでプロセススピードを変更した上で、さらにシャッタを付勢するバネの引掛け位置を変更する必要があった。このため、操作性が悪くなってしまう。
【0011】
また、ユーザがシャッタの付勢力を使用する紙種に応じた適正な値にしなかった場合には、シートが座屈したり、斜行が十分に補正されないといった不具合が生じるという問題がある。
【0012】
本発明はこれら従来の問題を解決するものである。本発明の目的は、ユーザが使用するシートの種類に応じてシャッタを付勢するバネ等の引掛け位置を変更する必要なく、座屈や斜行が十分に補正されないといった不具合を防ぐことが可能なシート斜行補正装置及びこれを備えた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、シートを搬送する第1のシート搬送手段と、前記第1のシート搬送手段よりもシート搬送方向下流側に配置され、シートを搬送する一対のシート搬送回転体を含んだ第2のシート搬送手段と、前記一対のシート搬送回転体のニップ部よりもシート搬送方向上流側であって、且つ、前記ニップ部の近傍で、シート先端に当接して該シート先端を係止するシート係止部を有し、前記シート係止部が前記第1のシート搬送手段により搬送されるシートの先端を係止する第1の姿勢と、シートを通過させ得る第2の姿勢とに揺動可能なシャッタ部材と、前記シャッタ部材に対し前記第1の姿勢を維持するように付勢する付勢手段と、前記第2のシート搬送手段を回転駆動するためのモータと、使用するシートの種類に応じて、前記モータの回転方向を制御する制御手段と、前記モータと前記第2のシート搬送手段を駆動連結する第1の駆動列及び前記第1の駆動列と減速比が異なる第2の駆動列と、前記モータの回転方向に応じ、前記モータの駆動力を前記第1の駆動列又は前記第2の駆動列に切り替えて伝達する駆動列切り替え手段と、前記モータの回転方向に応じて、前記付勢手段の前記シャッタ部材に対する付勢力を切り替える付勢力切り替え手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、モータの回転方向を変更することによりシャッタ部材に対する付勢力を変更することができる。このため、シートの種類に応じて前記モータの回転方向を変更することで、シートの種類に応じてシャッタ部材による斜行補正を的確に行うことが可能となる。また、シャッタ部材の付勢力の切り替えにソレノイド等のアクチュエータを用いていないために、低コストで的確な斜行補正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置全体を表す概略断面図
【図2】本発明の実施形態に係るシート斜行補正装置の斜視図
【図3】本発明の実施形態に係るシート斜行補正装置の断面図
【図4】本発明の第1の実施形態に係るシート斜行補正装置の駆動部を表す側面図
【図5】本発明の第1の実施形態に係るシート斜行補正装置の駆動部を表す模式図
【図6】シート斜行補正装置の補正動作開始直後の状態を示す説明図
【図7】シート斜行補正装置の補正動作終了時の状態を示す説明図
【図8】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置のプリントジョブの概略を示すフローチャート
【図9】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置のブロック図
【図10】本発明の第2の実施形態に係るシート斜行補正装置の駆動部の、普通紙選択時の状態を表す側面図
【図11】本発明の第2の実施形態に係るシート斜行補正装置の駆動部の、厚紙選択時の状態を表す側面図
【図12】本発明の第2の実施形態に係るシート斜行補正装置の駆動部を表す模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための一形態に係るシート斜行補正装置及びこれを用いた画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0017】
〔第1実施形態〕
<画像形成装置>
図1は第1実施形態に係るシート斜行補正装置を備えた画像形成装置の概略断面図である。
【0018】
本実施形態の画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー像を形成する4個の画像形成部を並列配置した電子写真方式のカラー画像形成装置である。それぞれの画像形成部は形成するトナー像の色が異なるのみで構成は同一である。
【0019】
各画像形成部において、各感光体ドラム101a〜101dは帯電ローラ102a〜102dによって一様に帯電され、レーザスキャナ103a〜103dからの各色の画像信号に応じた露光がされて静電潜像を形成される。この静電潜像が現像器104a〜104dによって、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーで現像される。各感光体ドラム上に現像されたトナーは一次転写ローラ105a〜105dによって無端ベルト状の中間転写体ベルト106に順に転写され、中間転写体ベルト106上にフルカラーのトナー像が形成される。感光体ドラム上の転写残トナーは、ドラムクリーナ107a〜107dによって回収される。
【0020】
一方、前記画像形成動作に同期して給送カセット111,112又は手差し給送部113のいずれかからシートSが給送される。シートSは搬送ローラ114で搬送され、さらに第1のシート搬送手段としてのレジスト前ローラ115で第2のシート搬送手段としてのレジストローラ116に向けて搬送される。この時のシートの搬送速度は、画像形成部、すなわち感光体ドラムや中間転写ベルトの周速(プロセススピード)よりも速い速度である。本実施形態では一例として普通紙の場合のプロセススピードを150mm/s、シート搬送速度を200mm/sとする。
【0021】
シートがレジストローラ116へ搬送される際に、シート斜行補正装置によって斜行が補正される。そのための構成及び動作については後述する。
【0022】
シート斜行補正装置により斜行を補正されたシートは、レジストローラ116を通過後、レジストセンサ117により、シートの先端を検知される。すると、制御手段により二次転写部118にて中間転写体ベルト106上に形成された画像の先端と、シートの先端が合うように、レジストローラ116によるシートの搬送速度をプロセススピードである150mm/sに減速するタイミングが演算される。
【0023】
中間転写体ベルト106上のトナー像は二次転写外ローラ109を介したバイアス印加によってシートSに転写され、定着器110で加熱及び加圧してシート上に定着される。その後、シートは排出部119a又は119bから装置本体の機外へと排出される。また、二次転写部118において転写されなかった中間転写体ベルト106上の転写残トナーは中間転写体クリーナ108によって回収される。
【0024】
<シート斜行補正装置>
次にシートの斜行を補正するシート斜行補正装置の構成について説明する。図2は本実施形態に係るシート斜行補正装置を構成するレジストローラ116部分のの斜視図、図3は図2にB-Bで示す部分の断面図である。
【0025】
図に示すように、第2のシート搬送手段としてのレジストローラ116は、両端近傍を軸受11及び21により、回転可能に支持されたレジスト下ローラ10及びレジスト上ローラ20の一対のシート搬送回転体により構成されている。レジスト下ローラ10及びレジスト上ローラ20は対向配置されており、また両端の軸受部には、バネ12が掛けられており、レジスト下ローラ10とレジスト上ローラ20を加圧し、ニップ部を形成している。このレジストローラ116は、第1のシート搬送手段であるレジスト前ローラ115よりもシート搬送方向下流側であって、二次転写部118よりもシート搬送方向上流側に配置されている。
【0026】
レジスト下ローラ10は、金属軸10aの長手方向に複数のゴムローラ10bが一体に形成されている。ここで本実施形態のゴムローラ10bの外径はφ16である。
【0027】
レジスト上ローラ20は、金属軸20aの周りに、レジスト下ローラに形成されたゴムローラ10bと対向するようにポリアセタール製のコロ20bが一体に形成されている。本実施形態のコロ20bの外径もφ16である。
【0028】
レジストローラ116には、レジスト上ローラ20の回転中心を中心にして揺動可能なシャッタアーム(シャッタ部材)30が設けられている。このシャッタアーム30には、レジスト上下ローラ10,20の長手方向(シート搬送方向と直交するシートSの幅方向)に沿って複数(本実施形態では6個)の半円弧状の規制片31(31a〜31f)が一体に形成されている。
【0029】
各規制片31の下部側の先端には搬送されるシート先端が当接係止するシート当接部(シート係止部)32(32a〜32f)がそれぞれ形成されている。各規制片31は、レジスト下ローラ10に一体形成された複数のゴムローラ10bの隣接する間及び両側にそれぞれ位置している。つまり、各規制片31はレジストローラ116の長手方向において、ゴムローラ10bとコロ20bにより形成される複数のニップ部の間及び両端に位置している。
【0030】
また、両端の各規制片31a,31fには軸受33a,33bがそれぞれ一体に形成され、レジスト上ローラ20の金属軸20aに回動自在に支持されている。
【0031】
なお、各規制片31は、上下ローラ10,20のシート通過経路のローラ長手方向中心に対して対称な位置に配置されている。また、規制片31を複数配置したのは、様々な幅を持つシートSに対応するためである。
【0032】
そして、規制片31は、シート当接部32がレジストローラ116のニップ部よりもシート搬送方向上流側であって、且つ前記ニップ部の近傍で、搬送されるシート先端に当接して該シート先端を係止する第1の姿勢と、シートを通過させ得る第2の姿勢とに揺動可能である。
【0033】
(レジストローラの駆動機構)
図4はレジストローラ116の駆動機構を示す側面図であり、図5は駆動機構の模式図である。
【0034】
レジスト下ローラ10の軸10aにはレジスト駆動ギア41が取り付けられている。レジスト下ローラ10を回転駆動するためのモータ42にはモータギア42aが取り付けられている。
【0035】
前記レジスト駆動ギア41とモータギア42aの間は、第1の駆動列43と第2の駆動列44の2つのギア列により駆動連結されている。ここで第2の駆動列44はその減速比が、第1の駆動列43の減速比の2倍に設定されている。具体的には本実施形態では第1の駆動列の減速比は4、第2の駆動列の減速比は8である。
【0036】
モータギア42aからレジスト駆動ギア41への駆動伝達は、駆動列切り替え手段によりモータ42の回転方向に応じ、モータ42の駆動力を第1の駆動列43又は第2の駆動列44に切り替えて伝達される。
【0037】
ここで、駆動列切り替え手段の構成について具体的に説明する。モータギア42aと噛み合う第1の駆動列の初段ギア43aの内径部には駆動列切り替え手段としてのワンウェイクラッチ43bが配置されている。そして、モータ42が図4の破線矢印に示すように、反時計回りに回転する際にワンウェイクラッチ43bがロックし、軸43c及び同軸上のギア43dを介してレジスト駆動ギア41に回転を伝達する。逆にモータ42が図4において時計回りに回転する際には、ワンウェイクラッチ43bはフリー状態となり、初段ギア43aはモータにより回転させられるが、軸43c及び同軸上のギア43dには回転を伝達しない。なお、モータギア42a、初段ギア43a、同軸上のギア43dの歯数比は1:2:1である。
【0038】
同様にモータギア42aと噛み合う第2の駆動列の初段ギア44aの内径部にも駆動列切り替え手段としてのワンウェイクラッチ44bが配置されている。そして、モータ42が図4の実線矢印に示すように、時計回りに回転する際にワンウェイクラッチ44bがロックし、軸44c及び同軸上のギア44dに回転を伝達する。逆にモータ42が図4において反時計回りに回転する際には、ワンウェイクラッチ44bはフリー状態となり、初段ギア44aはモータにより回転させられるが、軸44c及び同軸上のギア44dには回転を伝達しない。なお、モータギア42a、初段ギア44a、同軸上のギア44dの歯数比も1:2:1である。
【0039】
また、第2の駆動列44の最終段のレジスト駆動ギア41と噛み合うギア44eの内径部にもワンウェイクラッチ44fが配置されており、内径に嵌合する軸が図4において時計回りに回転する場合にロックし、反時計回りに回転する場合にはフリーになる。
【0040】
従って、制御手段50により、モータ42が反時計回りに回転された場合には、レジスト下ローラ10は第1の駆動列43により駆動を伝達され、モータ42が時計回りに回転された場合には、レジスト下ローラ10は第2の駆動列44により駆動を伝達される。
【0041】
また、第2の駆動列44の、ワンウェイクラッチ44bより駆動伝達方向下流側かつワンウェイクラッチ44fより駆動伝達方向上流側において、付勢力切り替え手段としてのギア列60が連結されている。
【0042】
ギア列60の最下流のギアと同軸上には、内径部にトルクリミッタ61が取り付けられた付勢力切り替えアーム62が配置されている。付勢力切り替えアーム62は画像形成装置本体に設けられたストッパ63a,63bにより、その回転移動量を規制されている。
【0043】
(シャッタ部材の付勢構成)
シャッタアーム30は第1の姿勢を維持するように付勢手段によって付勢されている。次にシャッタアーム30の付勢構成について説明する。
【0044】
図2及び図4に示すように、シャッタアーム30の長手方向一端側には、バネ掛部34とストッパ部35が形成されており、バネ掛部34と付勢力切り替えアーム62の間には付勢手段としての引張りコイルバネ64が引っ掛けられている。
【0045】
シャッタアーム30は、引張りコイルバネ64のバネ力によって、図4において反時計回り方向(矢印B方向)に付勢されている。これにより、シートがレジストローラ116により搬送されていない状態においては、シャッタアーム30のストッパ部35が画像形成装置本体に設けた突起片36(図2参照)に当接している。そして、各規制片31のシート当接部32が、シート通過経路に対し垂直な状態で、レジストローラ116のニップ部よりわずかにシート搬送方向上流側に位置するように構成されている(図3に示す、シャッタ部材の第1の姿勢)。
【0046】
(斜行補正動作)
次にシャッタ部材によるシートの斜行補正について説明する。まず、シートの基本的な斜行補正動作について説明する。
【0047】
図6及び図7は、レジスト前ローラ115によりレジストローラ116に搬送されてくるシートSを、搬送パス上側から見た図である。なお、図6及び図7においては説明のため、レジスト下ローラ10のゴムローラ10b及びレジスト上ローラ20のコロ20bは省略している。レジストローラ116及びレジスト前ローラ115の駆動部は省略しているが、同一のモータで駆動されている。
【0048】
レジスト前ローラ115とレジストローラ116のシート搬送速度は、レジスト前ローラ115の方が1%程度速くなるように設定されている。これは、部品公差により、レジストローラ116のシート搬送速度の方がレジスト前ローラ115のシート搬送速度より遅くならないようにするためのものであり、理想的には2つのローラは同一の搬送速度で良い。
【0049】
図6に示すようにレジストローラ116に対し、シートSがシート幅方向(シート搬送方向Aと直交する方向)に斜行した状態でシートSが搬送されてくると、まず図6の右側の規制片31fのシート当接部32fにシートSの幅方向右側の先端が当接する。
【0050】
この際、規制片31fを保持しているシャッタアーム30には引張りコイルバネ64が掛けられているので、シートSは引張りコイルバネ64の付勢力に抗して規制片31及びシャッタアーム30を回動させることはできない。従って、この状態ではシートSは規制片31fに当接した部分でその進行を妨げられ、ループを作ることになる。
【0051】
一方、このとき、シートSは斜行しているため、図6の左側の規制片31aのシート当接部32aにはシートSは当接するに至っていない。
【0052】
従って、シートSのうち規制片31aに当接していない一方側(図の左側)は、第1のシート搬送手段としてのレジスト前ローラ115により搬送を続けられる。その結果、図7に示すように、シートSと当接していなかった図の左側の規制片31aのシート当接部32aにもシートSが当接する状態に至る。
【0053】
この状態では、シートSの両端近傍に設けられた各規制片31a,31fのシート当接部32a,32fが共にシートSに当接する。そして、シートSによる押圧力が引張りコイルバネ64の付勢力に打ち勝つことにより、すべての規制片31を押す。この状態になって初めて規制片31及びシャッタアーム30は、シャッタアームの回動中心であるレジスト上ローラ20の軸20aを中心とし回動する(シャッタ部材の第2の姿勢)。
【0054】
この状態では、シートSの先端位置は、シート幅方向両端とも各規制片31のシート当接部32に当接した状態なのでシート搬送方向に対し同位置であり、すなわち斜行が補正された状態である。規制片31及びシャッタアーム30が回動すると、シートSは障害物がなくなるので再び搬送され、斜行が補正された状態のまま直後にいるレジスト下ローラのゴムローラ10bと、レジスト上ローラのコロ20bのニップ部に入る。
【0055】
レジスト下ローラ10のゴムローラ10bとレジスト上ローラ20のコロ20bのニップ部に入ったシートSは、斜行が補正された状態を保ちながら二次転写部へと搬送されていく。なお、斜行補正されたシートはその状態でレジストローラ116で搬送されるようにするために、シャッタ部材が第1の姿勢にあるとき、シート先端が当接するシート当接部32がレジストローラ116のニップ部近傍に位置するように配置することが好ましい。
【0056】
(プリントジョブとシャッタ付勢力切り替え動作の説明)
次にシートの種類(以下「紙種」)に応じたシャッタ部材の付勢力切り替えについて説明する。
【0057】
前述したように、シートSが規制片31及びシャッタアーム30を回動させる動作はシートSのコシにより行われるので、坪量の異なるシートSではその挙動が異なる。
【0058】
すなわち、坪量の小さい薄紙のシートSでは、規制片31及びシャッタアーム30を回動させる力が相対的に小さい。そのため、シャッタアーム30の付勢力が強すぎると、シートが座屈したり、角折れしてしまう場合がある。そこで、薄紙のシートの場合はシャッタアーム30の付勢力が2〜3N程度に設定されるのが好ましい。
【0059】
一方、坪量の大きい厚紙のシートSでは、規制片31及びシャッタアーム30を回動させる力が相対的に大きい。そのため、シャッタアーム30の付勢力が弱すぎると、斜行してきたシートの一部が規制片に当接しただけで、規制片31及びシャッタアーム30を回動させてしまい、斜行補正が十分に行えない場合がある。そこで、厚紙のシートの場合はシャッタアーム30の付勢力が薄紙の場合よりも大きく、4〜5N程度に設定されるのが好ましい。
【0060】
図8は本実施形態に係る画像形成装置のプリントジョブの概略を示すフローチャートであり、図9はブロック図である。図8及び図9に従って画像形成装置の動作を説明する。
【0061】
なお、前述のように本画像形成装置ではシートが普通紙の時のプロセススピードは150mm/sであり、二次転写部手前でプロセススピードに減速されるまでのシートの搬送速度は200mm/sである。また、シートが厚紙の時のプロセススピード及び二次転写部手前でプロセススピードに減速されるまでのシートの搬送速度はそれぞれ普通紙の時の1/2である、75mm/s、100mm/sである。
【0062】
画像形成装置には操作部51等を用いてユーザにより、あらかじめセットしている紙種が登録されている。
【0063】
例えば、図1の上段カセット111及び下段カセット112には坪量が80g/m2の普通紙がセットされており、手差し給送部113には坪量が209g/m2の厚紙がセットされているとする。
【0064】
画像形成装置と直接、又はネットワークを介して接続されたコンピュータ52からプリントのジョブを実行する。この際、プリント部数等と共に、使用するシートを上段カセット111、下段カセット112、手差し給送部113の中から選択する(S1)。
【0065】
画像形成装置は予め登録されている情報により、選択されたカセット等の給送部に設定されている紙種が普通紙であるか厚紙であるかを判断する(S2)。
【0066】
制御手段50は、使用する紙種が普通紙である場合、モータ42が図4における反時計回りに回転するように指示し(S3)、厚紙である場合には、モータ42が時計回りに回転するように指示する(S5)。なお、本実施形態のモータ42の回転数は共に15.9rpsである。
【0067】
(普通紙の場合)
普通紙がセットされた給送部を選択した場合、モータ42は図4において反時計回りに回転する。このため、第1の駆動列43の中のワンウェイクラッチ43bがロックし、第1の駆動列43によりレジスト駆動ギア41まで回転が伝達される。一方、第2の駆動列44に関しては、初段ギア44aはモータギアとの歯数比により、15.9/2=7.95rpsで回転する。しかし、ワンウェイクラッチ44bがロックしないため、ワンウェイクラッチ44bより下流側はモータ42から回転を伝達されない。このとき、レジスト駆動ギア41の回転数はモータ42の回転数を第1の駆動列43の減速比で除した値、すなわち15.9/4=3.975rpsとなる。なお、ゴムローラ10bのローラ径はφ16であるため、レジストローラ116の周速は3.975×16π=200mm/sとなる。
【0068】
ところで第2の駆動列44の最終段のギア44eはレジスト駆動ギア41と噛み合っている。このため、ギア44eは第1の駆動列43からの駆動伝達によるレジスト駆動ギア41の回転によって図4の時計回りに回転する。しかし、最終段のギア44eの内径部に配置されたワンウェイクラッチ44fは、前述のとおり内径に嵌合する軸が時計回りに回転する際にロックするものである。従って、ギア44eが時計回りに回転させられる場合には、内径に嵌合する軸は相対的に反時計回りに回転することになり、フリー状態となる。このため、ワンウェイクラッチ44fより第2の駆動列のモータ側へは回転が伝達されない。
【0069】
このとき、付勢力切り替えアーム62は引張りコイルバネ64に引かれてストッパ63aに当接している(図4の実線の状態)。
【0070】
(厚紙の場合)
次に厚紙がセットされた給送部を選択した場合、モータ42は、普通紙の場合とは逆に図4において時計回りに回転する。このため、第2の駆動列44の中のワンウェイクラッチ44bがロックし、第2の駆動列44によりレジスト駆動ギア41まで回転が伝達される。一方、第1の駆動列43に関しては、初段ギア43aはモータギアとの歯数比により、15.9/2=7.95rpsで回転するが、ワンウェイクラッチ43bはロックしないため、ワンウェイクラッチ43bより下流側はモータから回転を伝達されない。このとき、レジスト駆動ギア41の回転数はモータギア42aの回転数を第2の駆動列44の減速比で除した値、すなわち15.9/8=1.9875rpsとなる。なお、前述したように、ゴムローラ10bのローラ径はφ16であるため、レジストローラ116の周速は、1.9875×16π=100mm/sとなり、普通紙のときの半分の速度となる。
【0071】
ところで、第1の駆動列43の初段ギア43aと同軸のギア43dもレジスト駆動ギア41と噛み合っている。このため、ギア43dは第2の駆動列44からの駆動伝達によるレジスト駆動ギア41の回転によって図4の時計回りに回転する。このギア43dの回転数はレジスト駆動ギア41の回転数1.9875rpsに第1の駆動列43の減速比4のうち、モータギア42aと初段ギア43aの歯数比1:2による減速比2の分を除いた減速比2を乗じた、1.9875×2=3.975rpsで時計回りに回転する。
【0072】
一方、前述のとおり、初段ギア43aはモータギア42aと噛合っているために、時計回りに回転するモータ42により7.95rpsで反時計回りに回転している。これは相対的にみると初段ギア43aが7.95+3.975=11.925rpsで反時計回りに回転していることになる。このため、トルクリミッタがフリー状態になり、初段ギア43a、同軸上のギア43dはそれぞれの速度で回転することができ、矛盾は生じない。
【0073】
制御手段50は、レジストモータ42の回転方向を決定すると同時に、感光体ドラムや中間転写ベルト、現像スリーブ等作像部を駆動する各モータ53の速度を、それらの周速が所定のプロセススピードとなるようにに設定する(S4、S6)。つまり、本実施形態においては、普通紙がセットされた給送部が選択された場合は、感光体ドラム、中間転写ベルト、現像スリーブ等作像部は周速150mm/sで駆動される(S4)。一方、厚紙がセットされた給送部が選択された場合は、これら作像部は普通紙の場合の半分の速度である周速75mm/sで駆動される(S6)。
【0074】
そして、前記モータ42の回転方向に応じて、付勢力切り替え手段により引張りコイルバネ64のシャッタアーム30に対する付勢力を切り替えられる。これを具体的に説明sる。
【0075】
普通紙がセットされた給送部が選択され、レジストモータ42が図4において反時計方向に回転した場合は、前述のとおり第2の駆動列のワンウェイクラッチ44b及び44fは共にロックしないため、付勢力切り替え手段としてのギア列60は回転しない。そのため、前述したように付勢力切り替えアーム62は引張りコイルバネ64により引っ張られているため、ストッパ63aに当接した状態となる。この時、引張りコイルバネ64の作動長は相対的に短くなるため、シャッタアーム30の付勢力は普通紙の斜行補正のために適切な、2〜3N程度となるように設定されている。
【0076】
一方、厚紙がセットされた給送部が選択され、レジストモータ42が図4において時計方向に回転した場合は、前述のように第2の駆動列のワンウェイクラッチ44bはロックする。このため、付勢力切り替え手段としてのギア列60は第2の駆動列44により駆動され、回転する。すると付勢力切り替えアーム62は図4において反時計回りに回転し、ストッパ63bに当接する。なお、付勢力切り替えアーム62がストッパ63bに当接した状態でギア列60が回転を続けても、付勢力切り替えアーム62に設けられたトルクリミッタ61が滑り、付勢力切り替えアーム62は、ストッパ63bに当接した状態を続ける。この時、引張りコイルバネ64の作動長は相対的に長くなるため、シャッタアーム30の付勢力は普通紙の場合よりも付勢力が強くなる。このときの付勢力は、厚紙の斜行補正のために適切な、4〜5N程度となるように設定されている。
【0077】
このようにしてレジストモータ42及び作像部を駆動するモータの速度が設定され、紙種に対応して引張りコイルバネ64の作動長が変更され、シャッタアーム30の付勢力が紙種に対して適切な値に設定され、作像動作が開始される(S7)。
【0078】
また、二次転写部で中間転写ベルト上のトナー像と、被転写材であるシートの先端位置が合うように所定のタイミングで給送モータ54が駆動を開始され、選択された給送部からシート給送が開始される(S8)。
【0079】
シート給送後、シートは作像部の速度より速い搬送速度(普通紙の場合200mm/s、厚紙の場合100mm/s)で搬送される。
【0080】
シートがシャッタ部材に到達すると、前述の動作により搬送中に生じた斜行が補正される(S9)。このとき、引張りコイルバネ64による付勢力が紙種に対応して適切な値となっているために、シートは斜行が確実に補正される。
【0081】
斜行が補正された状態でレジストローラにより搬送される(S10)シートは、レジストセンサ117により先端を検知される(S11)。すると制御手段50は、二次転写部で中間転写ベルト上のトナー像の先端とシートの先端が一致するように、シートの速度を搬送速度からプロセススピードへと減速するタイミングを演算し(S12)、そのタイミングでレジストモータ42を減速する(S13)。つまり、シートが遅れてレジストセンサ117に到達した場合は、減速タイミングを遅らせる。逆にシートが早くレジストセンサ117に到達した場合は、減速タイミングを早めることにより、二次転写部においてシートと中間転写ベルト上のトナー像の先端が合うようにする。
【0082】
その後、二次転写部で中間転写ベルト上のトナー像がシートに転写され(S14)、定着器110にて熱及び圧力によりシートにトナー像が定着され(S15)、排出部切り替え手段55により選択された排出部から排出され(S16)、プリントジョブは終了する。
【0083】
以上説明したように、ユーザは使用する紙種がセットされた給送部を選択するのみで、その紙種を定着するために必要な作像速度が選択されると共に、その紙種の斜行を補正するに適切なシャッタアームの付勢力が自動的に選択される。従って、ユーザの操作性を格段に向上させることが可能となる。
【0084】
また、シャッタアーム30の付勢力の切り替えにアクチュエータを用いていないため、低コストで本機能を実現可能である。
【0085】
なお、本実施形態では、図6に示すように、シート幅方向の左方向にシートSが斜行している場合に関して説明したが、シートSが本実施形態とは逆方向(右方向)に斜行している場合に関しても同様に斜行補正を行うことができることは明らかである。
【0086】
また、本実施形態の中で、普通紙と厚紙のプロセススピードや、シャッタアーム30の付勢力、レジストローラの駆動列の減速比等の具体的な値をあげて説明を行ったが、本発明がこれらの数値に限定されるものではないことは明らかである。
【0087】
また、電子写真方式の画像形成装置を例にあげて説明を行ったが、例えばインクジェット方式等、他の画像形成装置でも、同様に斜行補正動作が行えることは明らかである。
【0088】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成は前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施形態と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
【0089】
本実施形態では、レジスト下ローラ10の駆動機構の構成が第1実施形態と異なる。そこで、前記駆動機構について図10乃至図12を参照して説明する。なお、図10及び図11は第2実施形態に係るシート斜行補正装置を構成するレジストローラの駆動機構を示す側面図であり、図12は駆動機構の模式図である。
【0090】
レジスト下ローラ10にはレジスト駆動ギア41が取り付けられている。モータ42に取り付けられたモータギア42aとレジスト駆動ギア41の間には第1の駆動列70と、第2の駆動列71が配置されている。ここで第2の駆動列71は、その減速比が第1の駆動列70の減速比の2倍に設定されている。
【0091】
また、モータギア42aは入力側ギアとしての揺動中心ギア72と噛み合っている。この揺動中心ギア72は支持部材としての揺動アーム73に回転可能に支持された、出力側ギアとしての揺動ギア74に噛み合っている。ここで揺動アーム73は揺動中心ギア72と同軸上を支点に回転可能となっている。
【0092】
揺動ギア74は、その軸受との間に所定の摩擦力が作用するように構成されている。これにより、揺動中心ギア72が回転すると、揺動中心ギア72と揺動ギア74とが噛み合っており、且つ、前記摩擦力によって揺動アーム73が揺動中心ギア72の回転方向に揺動するようになっている。この揺動ギア74は、第1の駆動列70又は第2の駆動列71のギアと噛み合った後は、揺動アーム73の揺動が規制されるため、前記摩擦力に抗して揺動中心ギア72の回転力が伝達されて回転する。
【0093】
従って、図10において、モータ42が反時計回りに回転すると、揺動中心ギア72は時計回りに回転する。すると、揺動中心ギア72から受ける力により揺動アーム73が時計回りに揺動し、これに支持された揺動ギア74は、図10に示すように、第1の駆動列70を構成するギアと噛み合う。
【0094】
逆にモータ42が時計回りに回転すると、揺動中心ギア72は反時計回りに回転するので、揺動中心ギア72から受ける力により揺動アーム73が反時計回りに揺動する。これにより、揺動アーム73に支持された揺動ギア74は、図11に示すように、第2の駆動列71を構成するギアと噛み合う。
【0095】
つまり、制御手段50により、モータが反時計回りに回転された場合には、図10に示すように、レジスト下ローラ10は第1の駆動列70により駆動を伝達される。一方、モータ42が時計回りに回転された場合には、図11に示すように、レジスト下ローラ10は第2の駆動列71により駆動を伝達されることになる。
【0096】
また、揺動アーム73とシャッタアーム30の間には、付勢手段としての引張りコイルバネ64が掛けられている。従って、揺動アーム73の位置により、引張りコイルバネ64の作動長が変化し、つまりはシャッタアーム30の付勢力が変化する。
【0097】
普通紙がセットされた給送部が選択された場合、制御手段50はレジストモータ42を反時計回りに回転させる。すると、前述の通り揺動アーム73は図10に示す状態となり、シャッタアーム30を付勢する引張りコイルバネ64の作動長は相対的に短くなり、シャッタアーム30の付勢力は普通紙の斜行補正に適切な、約2〜3N程度となるように設定されている。
【0098】
一方、厚紙がセットされた給送部が選択された場合、制御手段50はレジストモータ42を時計回りに回転させる。すると、揺動アーム73は、図11に示す状態となり、シャッタアーム30を付勢する引張りコイルバネ64の作動長は相対的に長くなり、シャッタアーム30の付勢力は厚紙の斜行補正に適切な、約4〜5N程度となるように設定されている。
【0099】
以上説明したように、本実施形態においてもユーザは使用する紙種がセットされた給送部を選択するのみで、その紙種を定着するために必要な作像速度が選択されると共に、その紙種の斜行を補正するに適切なシャッタアームの付勢力が自動的に選択される。従ってユーザの操作性を格段に向上させることが可能となる。
【0100】
また、シャッタアームの付勢力の切り替えにアクチュエータを用いていないため、低コストで本機能を実現可能である。
【0101】
さらに第1実施形態の場合と比較して、ワンウェイクラッチやトルクリミッタを必要としないため、さらに低コストで本機能を実現可能である。
【符号の説明】
【0102】
S …シート
10 …レジスト下ローラ
20 …レジスト上ローラ
30 …シャッタアーム
31 …規制片
32 …シート当接部
36 …突起片
41 …レジスト駆動ギア
42 …モータ
43 …第1の駆動列
44 …第2の駆動列
50 …制御手段
51 …操作部
60 …ギア列
62 …付勢力切り替えアーム
64 …引張りコイルバネ
70 …第1の駆動列
71 …第2の駆動列
72 …揺動中心ギア
73 …揺動アーム
74 …揺動ギア
115 …レジスト前ローラ
116 …レジストローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する第1のシート搬送手段と、
前記第1のシート搬送手段よりもシート搬送方向下流側に配置され、シートを搬送する一対のシート搬送回転体を含んだ第2のシート搬送手段と、
前記一対のシート搬送回転体のニップ部よりもシート搬送方向上流側であって、且つ、前記ニップ部の近傍で、シート先端に当接して該シート先端を係止するシート係止部を有し、前記シート係止部が前記第1のシート搬送手段により搬送されるシートの先端を係止する第1の姿勢と、シートを通過させ得る第2の姿勢とに揺動可能なシャッタ部材と、
前記シャッタ部材に対し前記第1の姿勢を維持するように付勢する付勢手段と、
前記第2のシート搬送手段を回転駆動するためのモータと、
使用するシートの種類に応じて、前記モータの回転方向を制御する制御手段と、
前記モータと前記第2のシート搬送手段を駆動連結する第1の駆動列及び前記第1の駆動列と減速比が異なる第2の駆動列と、
前記モータの回転方向に応じ、前記モータの駆動力を前記第1の駆動列又は前記第2の駆動列に切り替えて伝達する駆動列切り替え手段と、
前記モータの回転方向に応じて、前記付勢手段の前記シャッタ部材に対する付勢力を切り替える付勢力切り替え手段と、
を有することを特徴とするシート斜行補正装置。
【請求項2】
前記付勢力切り替え手段は、前記第1の駆動列又は前記第2の駆動列のうち、減速比の大きい方の駆動列が選択された際に、前記シャッタ部材の付勢力が大きくなるように動作することを特徴とする請求項1に記載のシート斜行補正装置。
【請求項3】
前記付勢手段はバネにより構成され、前記付勢力切り替え手段は、バネの作動長を変化させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート斜行補正装置。
【請求項4】
前記駆動列切り替え手段は、前記第1の駆動列及び前記第2の駆動列に配置されたワンウェイクラッチであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート斜行補正装置。
【請求項5】
前記第1の駆動列及び前記第2の駆動列は、ギア列により構成されており、
前記駆動列切り替え手段は、支持部材に、前記モータからの駆動力を受ける入力側ギアと、前記第1の駆動列又は前記第2の駆動列に駆動力を伝達する出力側ギアとを有し、
前記支持部材は、前記入力側ギアの回転中心を支点に揺動可能であり、前記入力側ギアの回転方向に揺動して前記出力側ギアが前記第1の駆動列又は前記第2の駆動列のギアと噛合うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシート斜行補正装置。
【請求項6】
前記シャッタ部材は、前記一対のシート搬送回転体の一方のシート搬送回転体の回転中心を中心にして揺動可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシート斜行補正装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシート斜行補正装置を備え、
前記シート斜行補正装置により斜行が補正され、搬送されたシートに画像を形成する画像形成手段を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−190026(P2011−190026A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56945(P2010−56945)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】