説明

シート材料及び合成画像の形成方法

【課題】シート材料の上または下に浮かんで現れる合成画像を有するマイクロレンズシート材料を提供する。
【解決手段】合成画像を持つマイクロレンズシート材料であって、合成画像が中でシート材料の上または下、あるいは両方に浮遊するものが開示される。合成画像は2次元または3次元であってもよい。マイクロレンズに近接する感光材料層への光の照射の適用によることを含む、こうした画像化シート材料を提供するための方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察者がシート材料に対して空間に浮かんでいると感じ、合成画像の遠近が見る角度により変化する1以上の合成画像を提供するシート材料に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフィック画像または他の指標を有するシート材料は、特に論文または文献を認証するための標識として幅広く用いられてきた。例えば、特許文献1〜4に記載されているようなシート材料は、車両ナンバープレート用確認ステッカーとして、および運転免許証、公文書、カセットテープ、トランプおよび飲料用容器のための防護フィルムとして用いられてきた。他の用途には、広告宣伝用表示およびブランド高揚に供するための独特の標識でのパトカー、消防自動車または他の緊急用車両上などの識別目的用のグラフィック用途が挙げられる。
【0003】
画像化シート材料の別の形態は、特許文献5(ガラノス)に開示されている。ガラノスは、画像が中でマスクまたはパターンを通してシート材料のレーザー照射により形成される、特に「レンズ露出型の高利得な再帰反射シート材料」の使用を開示している。そのシート材料は、複数の微小球のそれぞれの埋め込み表面上に被覆された金属反射層を持ち、部分的に結合剤層中に埋められ、部分的に結合剤上に露出された複数の透明ガラス微小球を含む。結合剤層は、画像化されている間にシート材料に侵入するあらゆるストレイ・ライトを最小化すると言われるカーボンブラックを含有する。レーザー光のエネルギーは、結合剤層中に埋め込まれたマイクロレンズの収束効果により、さらに集中化される。
【0004】
ガラノスの再帰反射シート材料中に形成される画像は、レーザー照射がシート材料に向けられたのと同じ角度からシート材料を見る場合に、その場合のみに、見ることができる。それは、換言すれば、画像は極めて限定された観察角度でのみ見ることができることを意味する。そういうおよび他の理由により、こうしたシート材料のある種の特性を改善しようとする願望があり続けている。
【0005】
早くも1908年にガブリエルリップマン(Gabriel Lippman)は、1以上の感光性層を有するレンズ媒体中に、一つの情景の真の3次元画像を生成するための方法を発明した。積分撮影術として知られるその方法は、非特許文献1にも記載されている。リップマンの方法において、写真乾板はレンズ(または「小型レンズ」)のアレーを通して露光され、その結果、アレーの各小型レンズは、その小型レンズにより占拠されたシートの視点から見られるように再生しようとする情景のミニチュア画像を写真乾板に伝達する。写真乾板が現像された後、小型レンズアレーを通しての乾板上の合成画像を見ている観察者は撮影された情景の3次元表示を見ることになる。画像は、用いられる感光性材料に応じて、黒および白またはカラーであることが可能である。
【0006】
乾板の露光の間に小型レンズにより形成される画像は各ミニチュア画像の単一反転のみを受けるので、得られる3次元表示は偽影鏡性である。すなわち、画像の感知深さは反転されるので、対象は「裏返し」に見える。これは、画像を直すために2回の光学反転を行うことが必要になるので、大きな不利である。これらの方法は、同じ対象物の複数の光景を記録するために、単一カメラ、または多くのカメラ、または多レンズカメラによる多露光を含んで複雑であり、単一3次元画像を提供するために多画像の極めて正確な登録を必要とする。さらに、従来のカメラに依存するあらゆる方法は、カメラの前での実際の対象物の存在を必要とする。これは、さらに、仮想対象物(実質的には存在するがしかし現実には存在しない対象物を意味する)の3次元画像を生成するために悪く選択された方法を提供する。積分撮影術のさらなる不利益には、見ることが可能である実際の画像を形成するために合成画像は見る側から光を当てねばならないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,154,872号明細書
【特許文献2】米国特許第3,801,183号明細書
【特許文献3】米国特許第4,082,426号明細書
【特許文献4】米国特許第4,099,838号明細書
【特許文献5】米国特許第4,200,875号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】De Motebello,「Processing and Display of Three−Dimensional Data II」in Proceedings of SPIE,San Diego,1984
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はシート材料の上または下に浮かんで現れる合成画像を有するマイクロレンズシート材料を提供する。これらの浮かんだ画像は便宜上浮遊画像と呼ばれ、それらはシート材料の上または下に位置することができる(2次元または3次元画像のいずれかとして)か、またはシート材料の上、平面中、または下に現れる3次元画像であることができる。画像は黒および白またはカラーであり得て、観察者と共に動くように出現することができる。いくつかのホログラフィックシート材料とは違って、本発明の画像化シート材料はそれ自体の複製を創造することはできない。さらに、浮遊画像(複数も含む)は見る人の肉眼により観察することができる。
【0010】
記載したような合成画像を有する本発明のシート材料は、パスポート、IDバッジ、イベント許可証、アフィニティ・カード、製品識別形式、および検証および認証用広告宣伝における安全で不正操作のできない画像、ブランドの浮遊性または沈下性または浮遊性および沈下性画像を提供するブランド高揚画像、パトカー、消防自動車または他の緊急用車両のための紋章などのグラフィック用途における識別表示画像;キオスク、夜間電光表示および自動車ダッシュボード表示などのグラフィック用途における情報表示画像;およびビジネスカード、下げ札、美術品、靴およびビン製品などの製品上の合成画像の使用を通しての新規性強調などの多様な用途において用いることが可能である。
【0011】
本発明は、さらに、記載した合成画像を含有する画像化シート材料を形成する新規な手段を提供する。一つの実施形態において、単一合成画像が形成される。2以上でそれらがシート材料の上および下両方に現れる合成画像が中で形成される実施形態も開示される。他の実施形態は、従来の印刷画像と本発明により形成される合成画像の組合せから成ることができるであろう。
【0012】
なお、本発明は、本願明細書において、以下に説明する添付の図面を参照して説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】「レンズ露出」マイクロレンズシート材料の拡大断面図である。
【図2】「レンズ埋め込み」マイクロレンズシート材料の拡大断面図である。
【図3】平凸系シートを含むマイクロレンズシート材料の拡大断面図である。
【図4】微小球から構築されたマイクロレンズシート材料に侵入する分散エネルギーのグラフ表示を示した模式図である。
【図5】個々の微小球に近接する材料層中に記録された標本画像を示し、さらに、記録された画像が合成画像の完全複製から部分複製の範囲にあることを示すマイクロレンズシート材料部の平面図である。
【図6】本発明によりシート材料の上に浮いて現れる合成画像を提供するために画像化されたアルミニウムフィルムから成る感光材料層を持つマイクロレンズシート材料の光学顕微鏡写真である。
【図7】本発明によりシート材料の下に浮いて現れる合成画像を提供するために画像化されたアルミニウムフィルムから成る感光材料層を持つマイクロレンズシート材料の光学顕微鏡写真である。
【図8】マイクロレンズシート材料の上に浮いて現れる合成画像形成の幾何光学的表示を示した模式図である。
【図9】シート材料を反射光の方向において見る場合に本発明のシート材料の上に浮いて現れる合成画像を有するシート材料の模式図である。
【図10】シート材料を透過光線の方向において見る場合に本発明のシート材料の上に浮いて現れる合成画像を有するシート材料の模式図である。
【図11】見る場合にマイクロレンズシート材料の下に浮いて現れる合成画像形成の幾何光学的表示を示した模式図である。
【図12】シート材料を反射光の方向において見る場合に本発明のシート材料の下に浮いて現れる合成画像を有するシート材料の模式図である。
【図13】シート材料を透過光線の方向において見る場合に本発明のシート材料の下に浮いて現れる合成画像を有するシート材料の模式図である。
【図14】本発明の合成画像を形成するために用いられた分散エネルギーを生み出すための光学系の模式図である。
【図15】本発明の合成画像を形成するために用いられた分散エネルギーを生み出すための第2光学系の模式図である。
【図16】本発明の合成画像を形成するために用いられた分散エネルギーを生み出すための第3光学系の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のマイクロレンズシート材料は、シート材料の上、平面中、および/または下に浮かぶか、または浮遊して現れ、多くのマイクロレンズと結びついた個々の画像により供給される合成画像を提供する。
【0015】
本発明の完全な説明を提供するために、マイクロレンズシート材料を以下のパートIで説明し、次にこうしたシート材料の材料層(好ましくは、感光材料層)をパートIIで、照射源をパートIIIで、画像化法をパートIVで説明する。いくつかの実施例も、本発明の種々の実施形態をさらに説明するために提供される。
【0016】
I.マイクロレンズシート材料
本発明の画像を形成することができるマイクロレンズシート材料は、マイクロレンズ層またはそれらの複数層の一つの側面に近接して配置される材料層(以下に記載するように、好ましくは感光材料または皮膜)を持つマイクロレンズの1以上の個別層を含む。例えば、図1は、一般的に高分子材料である結合剤層14中に部分的に埋め込まれた透明微小球12の単層を含む「レンズ露出」型マイクロレンズシート材料10を示す。微小球は、材料層を画像化するために用いることが可能である照射波長、および合成画像が中で見られる波長の両方に対して透過性である。材料層16は各微小球の後部表面で処置され、また、説明のための実施形態において、一般に、微小球12のそれぞれの表面の一部分のみに接触する。この型のシート材料は米国特許第2,326,634号においてより詳細に記載されており、現在、3M社からScotchlite8910シリーズ反射性布帛のブランド表示の下で市販されている。
【0017】
図2は別の適する型のマイクロレンズシート材料を示す。このマイクロレンズシート材料20は、微小球レンズ22が中で一般に高分子材料である透明な保護膜24中に埋め込まれる「レンズ埋め込み」型シート材料である。材料26の層は、また一般に高分子材料である透明なスペーサ層28の裏側の微小球の後ろに配置される。この型のシート材料は米国特許第3,801,183号においてより詳細に記載されており、現在、3M社からScotchlite3290シリーズエンジニアグレード再帰反射性シート材料のブランド表示の下で市販されている。別の適する型のマイクロレンズシート材料はカプセル化レンズシート材料と呼ばれ、この例は米国特許第5,064,272号に記載されており、現在、3M社からScotchlite3870シリーズ高輝度グレード再帰反射性シート材料のブランド表示の下で市販されている。
【0018】
図3はなお別の適する型のマイクロレンズシート材料を示す。このシート材料は、第1および第2の広い面を有する透明な平凸または非球面下地材20を含み、第2面32は実質的に平面であり第1面は実質的に半球状または半非球状マイクロレンズ34のアレーを有する。マイクロレンズの形状および下地材の厚さは、アレーに入射する平行光線がほぼ第2面で収束するように選択される。材料層36は第2面上に供給される。この種類のシート材料は、例えば、米国特許第5,254,390号に記載されており、現在、3M社から2600シリーズ3Mセキュアーカードレセプターのブランド表示の下で市販されている。
【0019】
シート材料のマイクロレンズは、好ましくは、画像形成が起こるように画像形成屈折性表面を有し、一般に、これは曲線状のマイクロレンズ表面により提供される。曲線状表面のために、マイクロレンズは、好ましくは、均一な屈折率を有する。勾配屈折率(GRIN)を提供する他の有用な材料は、光を屈折させるために曲線状表面を必ずしも必要としない。マイクロレンズ表面は、好ましくは、本来球状であるが、しかし、非球状表面も許容可能である。マイクロレンズは、実際の画像が屈折表面により形成されるならば、円柱状または球状のようなあらゆる対称性を有することが可能である。マイクロレンズそれら自体は、円形の平凸小型レンズ、円形の二重凸状小型レンズ、ロッド、微小球、ビーズ、または円柱形小型レンズなどの独立した形態から成ることができる。マイクロレンズを形成することができる材料には、ガラス、ポリマー、無機物、結晶、半導体およびこれらおよび他の材料の組合せが挙げられる。非独立的なマイクロレンズ要素も用いることが可能である。従って、複製または浮き彫り加工から形成されるマイクロレンズ(そこではシート材料の表面が形状変更されて画像化特性を持つくりかえし型プロフィールを生成する)も用いることができる。
【0020】
可視光線および赤外線の波長にわたり1.5〜3.0間の均一な屈折率を持つマイクロレンズは、最も有用である。適するマイクロレンズ材料は、可視光線の最小吸収を有し、エネルギー源が感光層を画像化するために用いられる実施形態において、材料はまたエネルギー源の最小吸収を示すことが望ましい。マイクロレンズが独立的であろうがくりかえし型であろうが、且つマイクロレンズが作製される材料にかかわらず、マイクロレンズの屈折力は、好ましくは、屈折性表面上に入射する光線が屈折し、マイクロレンズの反対側上に収束するようなものである。さらに詳細には、光線はマイクロレンズの裏側表面上またはマイクロレンズに近接する材料上のいずれかに収束する。材料層が感光性である実施形態において、マイクロレンズは、好ましくは、その層上の適切な位置で縮小された実際の画像を形成する。約100〜800倍での画像の縮小は、特に、良好な解像度を有する画像を形成するために有用である。マイクロレンズシート材料の前表面に入射するエネルギーが、好ましくは感光性である材料層上に収束するように必要な収束条件を提供するためのマイクロレンズシート材料の構築は、この節の初めに参照した米国特許において記載されている。
【0021】
15マイクロメートル〜275マイクロメートルの範囲の直径を持つ微小球が好ましいが、しかし、他サイズの微小球も用いることが可能である。良好な合成画像解像度は、比較的短い間隔で微小球層から空間的に離れて現れるようになる合成画像用の前述の範囲のより小さい側の直径を有する微小球を用いること、およびより大きな間隔で微小球層から空間的に離れて現れるようになる合成画像用のより大きな微小球を用いることにより得ることができる。微小球用に示されたものに比肩できる小型レンズ寸法を有する、平凸状、円柱状、球状または非球状マイクロレンズなどの他のマイクロレンズは、類似の光学的効果を生み出すと期待することができる。
【0022】
II.材料層
上述のように、材料層はマイクロレンズに近接して提供される。観察者により反射または透過光下で見られる場合、複数のマイクロレンズと結びついた材料中に形成される個々の画像は、シート材料の上、平面上、および/または下に現れる合成画像を提供する。他の方法も用いることが可能であるが、こうした画像を提供するための好ましい方法は感光材料を材料層として提供し、光照射を用いてその材料を望ましいやり方において画像を提供するように変更することである。従って、本発明はそれによって限定されないが、マイクロレンズに近接する材料層の残っている課題は感光材料層に大きく関連して提示される。
【0023】
本発明に有用な感光材料には、金属、高分子および半導体材料およびこれらの混合物の皮膜およびフィルムが挙げられる。本発明に関連して用いられるように、所定レベルの可視光線または他の光の照射にさらされると露出された材料の様子が変化してその照射にさらされなかった材料とのコントラストを提供する場合に、材料は「感光性」である。従って、それによって創造された画像は、組成的変化、材料の除去またはアブレーション、相変化、または感光皮膜の重合の結果であり得る。いくつかの感光金属フィルム材料の例には、アルミニウム、銀、銅、金、チタン、亜鉛、錫、クロム、バナジウム、タンタル、およびこれら金属の合金が挙げられる。これらの金属は、一般に、金属本来の色と光への露出後の金属変性色間の差異によるコントラストを提供する。画像は、また、上述のようにアブレーションによるか、または画像が材料の光学的変性により提供されるまで材料を加熱する照射によって提供することが可能である。例えば、米国特許第4,743,526号には金属合金を加熱して色変化を提供することが記載されている。
【0024】
金属合金に加えて、金属酸化物および金属亜酸化物も感光材料として用いることができる。このクラスの材料には、アルミニウム、鉄、銅、錫およびクロムから形成される酸化物化合物が挙げられる。硫化亜鉛、セレン化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化錫インジウム、酸化亜鉛、フッ化マグネシウムおよびケイ素などの非金属材料も、本発明に有用である色または対照を提供することができる。
【0025】
多層の薄膜材料も独特の感光材料を提供するために用いることができる。これらの多層材料は、色またはコントラスト剤の出現または除去により対比変化を提供するように設定することができる。代表的な構築物には、特定の照射波長により画像化するように(例えば色の変化により)設計される光学的スタックまたは同調キャビティが挙げられる。一つの特定例が、誘電ミラーとしての氷晶石/亜鉛硫化物(Na3AlF6/ZnS)の使用を開示している米国特許第3,801,183号に記載されている。別の例は、クロム/ポリマー(プラズマ重合ブタジエンなど)/二酸化ケイ素/アルミニウムから成る光学的スタックであり、これらの層の厚さは、クロムに対して4nm、ポリマーに対して20nm〜60nmの間、二酸化ケイ素に対して20nm〜60nmの間、およびアルミニウムに対して80nm〜100nmの間の範囲であり、およびそこでの個々の層厚さは可視スペクトルにおける特定の色反射率を提供するために選択される。薄膜同調キャビティは前に検討した単一層薄膜のいずれとも一緒に用いることができるであろう。例えば、約4nm厚さのクロム層および約100nm〜300nmの間の二酸化ケイ素層を持つ同調キャビティであって、二酸化ケイ素層の厚さは照射光の特定の照射波長に反応して色画像化されて提供するように調整される。
【0026】
本発明に有用な感光材料には、サーモクロミック材料も挙げられる。「サーモクロミック」は温度変化にさらされる場合に色を変える材料のことを指す。本発明において有用なサーモクロミック材料の例は米国特許第4,424,990号に記載されており、炭酸銅、チオ尿素を伴う硝酸銅、およびチオール、チオエーテル、スルホキシド、およびスルホンなどの硫黄含有化合物を伴う炭酸銅が例として挙げられる。他の適するサーモクロミック化合物の例には、水和硫酸塩およびホウ素の窒化物、アルミニウム、およびビスマス、およびホウ素、鉄、および燐の酸化物および水和酸化物が挙げられ、米国特許第4,121,011号に記載されている。
【0027】
当然なこととして、材料層が照射源を用いて画像化されようとしていない場合、次に材料層は感光性であり得るがそれを必要とはしない。しかし、感光材料は製造の容易さが好ましく、そして、好ましくは適する照射源も用いられる。
【0028】
III.照射源
上述のように、マイクロレンズに近接する材料層上に画像パターンを提供する好ましいやり方は、感光材料を画像化するために照射源を用いることである。望ましい輝度および波長の照射を提供するあらゆるエネルギー源が、本発明の方法により用いることができる。200nm〜11マイクロメートルの間の波長を有する照射を提供することができる素子は特に好ましいと信じられる。本発明に有用な高ピーク電力照射源の例には、エキシマーフラッシュランプ、無抵抗Q−スイッチ型マイクロチップレーザー、およびQ−スイッチ型ネオジムドープ−イットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAGと短縮される)、ネオジムドープ−イットリウムリチウムフッ化物(Nd:YLFと短縮される)およびチタンドープ−サファイア(Ti:サファイアと短縮される)レーザーが挙げられる。これらの高ピーク電力源は、アブレーション−材料の除去を通して、または多光子吸収工程において画像を形成する感光材料により最も有用となる。有用な照射源の他の例には、半導体レーザー、イオンレーザー、非Q−スイッチ型固体レーザー、金属蒸気レーザー、ガスレーザー、アーク灯などの低ピーク電力および高電力白熱光源を与える素子が挙げられる。これらの供給源は、感光媒体が非アブレーション的方法により画像化される場合に特に有用である。
【0029】
すべての有用な照射源に対して、照射源からのエネルギーはマイクロレンズシート材料に向けて当てられ、エネルギーの高度分散光を与えるように制御される。電磁スペクトルの紫外線、可視、および赤外線部分におけるエネルギー源のために、光線は適切な光学的要素により制御され、これらの例は図14、図15、および図16に示されると共に、以下により詳細に説明される。一つの実施形態において、通常光学系列と呼ばれる光学的要素のこの配列の要求事項は、光学系列が所期の角度でマイクロレンズおよび結果として材料層を照射するように適切な発散または散らばりを伴ってシート材料に向け光線を当てることである。本発明の合成画像は、好ましくは、0.3以上の開口数(最大分散光の半角のサインとして定義される)を持つ光発散素子を用いることにより得られる。より大きな開口数を持つ光発散素子は、より大きな視角、およびより大きな範囲の画像仮現運動を有する合成画像を生成する。
【0030】
IV.画像化法
本発明による代表的な画像化法は、レンズを通してのレーザーからの平行光線をマイクロレンズシート材料に向けて方向付けることから成る。さらに以下に説明するように、浮遊画像を有するシート材料を創造するために、光線は高開口数(NA)を持つ分散レンズを通して透過されて高度に分散された光の円錐体を生成する。高NAレンズとは0.3以上のNAを有するレンズである。微小球の照射感光皮膜側は、光円錐体の軸(光学軸)がマイクロレンズシート材料の平面に垂直であるように、レンズからの位置を合わせる。
【0031】
個々のマイクロレンズはそれぞれ光学軸に対して独特な位置を占めるので、各マイクロレンズに侵入する光線は互いのマイクロレンズ上に入射する光に比べて独特の入射角を有する。従って、光は各マイクロレンズにより材料層上の独特な位置に透過され、独特の画像を生成する。さらに正確には、単一光パルスは材料層上に単一の画像化ドットしか生成しないので、そこで隣接する各マイクロレンズの画像を提供するために、多パルス光を用いて多画像化ドットからの画像を創造する。各パルスに対して、光学軸は前パルス間の光学軸の位置に比べて新しい所に位置付けられる。これらのマイクロレンズに対する光学軸位置の連続的な変化は、対応した各マイクロレンズ上への入射角、および、従ってそのパルスにより材料層中に創造された画像化ドットの位置の変化をもたらす。結果として、微小球の裏側に収束する入射光は、感光層中の選択されたパターンを画像化する。各微小球の位置がすべての光学軸に対して独特であるので、各微小球に対して感光材料中に形成される画像はすべての他の微小球に関係する画像とは異なる。
【0032】
浮遊合成画像を形成するための別の方法は、レンズアレーを用いて高度に分散された光を生成してマイクロレンズ化材料を画像化することである。レンズアレーは、すべてが平面空間に整列された高開口数を持つ多数の小レンズから成る。アレーが光源により照射される場合、アレーは多錐体の高度に分散された光を生成し、それぞれ個々の錐体はアレー中のその対応レンズに集中する。アレーの物理的寸法は合成画像の最大の横サイズを収容できるように選択される。アレーサイズによって、小型レンズにより形成される個々のエネルギー錐体は、あたかも個々のレンズが光パルスを受けている間アレーのすべての点で順次位置付けられているかのようにマイクロレンズ化材料を露光する。どのレンズが入射光を受け取るかの選択は反射マスクの使用によって生じる。このマスクは、露光されようとする合成画像部分に対応する透過面および画像が露光されるべきでない反射面を有する。レンズアレーの横方向範囲のせいで、画像を追跡するために多光パルスを用いることは必要ない。
【0033】
マスクを入射エネルギーで十分に照射させることにより、エネルギーが通過することを可能とするマスクの部分は、あたかも画像が単一レンズにより追跡されたかのように浮遊画像の輪郭を描く高度に分散された光の多くの個別の錐体を形成する。結果として、単一光パルスのみがマイクロレンズシート材料中の全体合成画像を形成するために必要とされる。あるいは、反射マスクの代わりに、電流測定xyスキャナーなどの光線位置付けシステムが局部的にレンズアレーを照射しアレー上に合成画像をなぞることができる。この技術によりエネルギーが空間的に局限されるので、アレー中の少しの小型レンズのみがいかなる所定の時間においても照射される。照射される小型レンズは、マイクロレンズ化材料を露光してシート材料中に合成画像を形成するために必要とされる高度に分散した光の円錐体を提供する。
【0034】
レンズアレーそれ自体は個別小型レンズから、またはエッチング法によりレンズのモノリシックアレーを生成することにより製作することができる。レンズに適する材料は、入射エネルギーの波長において非吸収性であるものである。アレー中の個々のレンズは、好ましくは、0.3より大きい開口数および30マイクロメートルより大きく10mmより小さい直径を有する。これらのアレーは、反射防止皮膜を有してレンズ材料への内部損傷を引き起こし得る背面反射の影響を減少させることが可能である。加えて、有効な負の焦点距離およびレンズアレーに相当する寸法を有する単一レンズも、アレーを離れる光の発散を増大するために用いることが可能である。モノリシックアレー中の個々の小型レンズの形状は、高開口数を有し、約60%を超える大きな充填比を提供するために選択される。
【0035】
図4はマイクロレンズシート材料に侵入する発散エネルギーの図式的な略図である。画像Iが上または中で形成される材料層の部分は、各マイクロレンズが異なる視界から入射エネルギーを「見る」ので、各マイクロレンズに対して異なる。従って、独特の画像は各マイクロレンズと結びつく材料層中に形成される。
【0036】
画像化後、拡大対象物の寸法に応じて、対象物の完全なまたは部分的な画像が各微小球の後ろの感光材料中に存在する。実際の対象物が微小球の後ろで画像として再生産される程度は、微小球上に入射するエネルギー密度に応じて決まる。拡大対象物の部分は、それらの微小球上に入射するエネルギーがその材料を修正するために必要とされる照射レベルよりも低いエネルギー密度を有するようにマイクロレンズの領域から十分な距離を取ることが可能である。さらに、空間的に拡大された画像に対して、固定NAレンズにより画像化する場合、シート材料のすべての部分が拡大対象物のすべての部分に対する入射光にさらされるとは限らない。結果として、対象物のそれらの部分は感光媒体中では修正されなくて、対象物の部分画像のみが微小球の後ろに現れる。図5は個々の微小球に近接する感光層中に形成される標本画像を表すマイクロレンズシート材料の断面透視図であり、さらに、記録された画像は合成画像の完全な複製から部分的な複製までの範囲にあることを示す。図6および図7は本発明により画像化されたマイクロレンズシート材料の光学顕微鏡写真であり、感光層はアルミニウム層である。その中に示されるようにいくつかの画像は完全であり、他は不完全である。
【0037】
これらの合成画像は、不完全および完全の両方であり、すべて実際の対象物から異なる視界を持つ多くの画像を一緒に総合化した結果と考えることもできる。多くの独特の画像は、それらのすべてが対象物を「見る」かまたは異なる視界から画像化するミニチュアレンズのアレーを通して形成される。個々のミニチュアレンズの後ろで、画像の形状およびそこから画像化エネルギー源を受け取る方向に依存する画像の透視図が材料層中に創造される。しかし、レンズの見るすべてのものが感光材料中に記録されるわけではない。レンズにより見られる画像または対象物の内、感光材料を修正するために十分なエネルギーを有する部分のみが、記録される。
【0038】
画像化しようとする「対象物」は、「対象物」の外形を描くことかまたはマスクの使用のいずれかにより強い光源の使用を通して形成される。こうして記録されて合成態様を有する画像のために、対象物からの光は広範囲の角度にわたり照射されねばならない。対象物から照射される光が対象物の単一点から来ると共に、広範囲の角度にわたり照射する場合、すべての光線は対象物についての情報を運んでいるが、しかし、情報は光線の視角からのものであるが、その単一点からのみのものである。今、光線により運ばれる通りの対象物に関する比較的完全な情報を得るために、光は対象物を構成する点の収集から広範囲の角度にわたり照射しなければならないことを考察する。本発明において、対象物から発散する光線の角度の範囲は、対象物とマイクロレンズ材料の間に置かれた光学要素により制御される。これらの光学要素は合成画像を生成するために必要な最適範囲の角度を与えるように選択される。光学要素の最善の選択は光の円錐体をもたらし、それによって円錐体の頂点は対象物の位置で止まる。最適円錐角度は約40度より大きい。
【0039】
対象物はミニチュアレンズにより縮小され、対象物からの光はミニチュアレンズの裏側に接触するエネルギー感光皮膜上に収束される。収束点またはレンズの裏側での画像の実際の位置は、対象物から生じる入射光線の方向に応じて決まる。対象物上の点から発散する光の各円錐体はミニチュアレンズの一部を照射し、十分なエネルギーにより照射されたミニチュアレンズのみが対象物のその点の恒久的な画像を記録する。
【0040】
幾何光学は、本発明による種々の合成画像の形成を説明するために用いられる。前述のように、以下に記載される画像化法が本発明の好ましいが排他的ではない実施形態である。
【0041】
A.シート材料の上に浮遊する合成画像を創造すること
図8に関して、入射エネルギー100(本例においては光)は、光源中のあらゆる非均一性を均質化するために光拡散器101上に導かれる。拡散的に散乱された光100aは光コリメータ102により捕捉され平行化され、光コリメータ102は均一に分布した光100bを分散レンズ105aに導く。分散レンズから、光線100cがマイクロレンズシート材料106に向けて分散していく。
【0042】
マイクロレンズシート材料106に侵入する光線のエネルギーは個々のマイクロレンズ111により材料層(説明のための実施形態中の感光皮膜112)上に収束される。この収束されたエネルギーは感光皮膜112を修正して、光線と感光皮膜間の相互作用に応じて決まる画像、サイズ、形状、および外見を提供する。
【0043】
図8に示す配置は、レンズを通して後ろ側に延長する場合に分散光100cが分散レンズの焦点108aで交差するであろうから、以下に説明するようにシート材料の上に浮遊するように観察者には見える合成画像を有するシート材料を提供するであろう。つまり、仮定の「画像線」が各微小球を通して材料層から描かれ分散レンズを通して逆行させられるならば、それらは合成画像が現れる場である108aで収束するであろう。
【0044】
B.シート材料の上に浮遊する合成画像を見ること
合成画像を有するシート材料は、観察者と同じ側(反射光)、または観察者とはシート材料の反対側(透過光)、または両方からシート材料に侵入する光を用いて見ることが可能である。図9は、反射光下で見る場合観察者Aの肉眼にシート材料の上に浮いて見える合成画像の略図である。肉眼は正常な視覚に直すことが可能であるが、しかし、例えば拡大または特別のビュアによって助けてもらえるものではない。画像化シート材料が平行化または拡散することが可能である反射光により照射される場合、光線は、光線が衝突した材料層により決定されるやり方で画像化シート材料から逆反射される。定義により、材料層中に形成される画像は材料層の非画像化部分とは違って見え、従って画像は認知することができる。
【0045】
例えば、光L1は材料層により反射されて観察者に向かって戻ってくることが可能である。しかし、材料層は光L2をそれらの画像化部分から観察者に向けて反射して戻すことはうまくできないか、または全くできない。従って、観察者は、108aでのそれらの集積が108aでシート材料の上に浮くように見える合成画像を創造する光線がないことを認知することが可能である。簡単に言えば、光は画像化部分を除く全体シート材料から反射することが可能であり、このことは比較的暗い合成画像が108aで現れることを意味する。
【0046】
非画像化材料が入射光を吸収するかまたは透過させること、および画像化材料が合成画像を提供するために必要とされる対照効果を提供するために入射光をそれぞれ反射するかまたは部分的に吸収することもまた可能である。それらの環境下での合成画像は、比較的暗く見えるであろうシート材料の残分と比較して比較的明るい合成画像として見られるであろう。焦点108aで画像を創造するものが実際の光であり、光の不在ではないので、この合成画像は「実際の画像(リアルイメージ)」と呼ぶことが可能である。これら可能性をもった種々の組合せは要望通りに選択することができる。
【0047】
ある種の画像化シート材料は、また、図10に見られるように透過光により見ることができる。例えば、材料層の画像化部分が半透明であり、非画像化部分がそうでない場合、次に大部分の光L3は材料層により吸収されるかまたは反射されるが、一方で透過光L4は材料層の画像化部分を通過し、マイクロレンズにより焦点108aに向けて進む。合成画像は焦点で見られ、それは本実施例においてシート材料の残分よりも明るく見られる。焦点108aで画像を創造するものが実際の光であり、光の不在ではないので、この合成画像は「実際の画像」と呼ぶことが可能である。
【0048】
あるいは、材料層の画像化部分が半透明でないがしかし材料層の残分がそうである場合、次に、画像部分における透過光の不在はシート材料の残分よりも暗く見える合成画像を提供する。
【0049】
C.シート材料の下に浮遊する合成画像を創造すること
観察者から反対側のシート材料上に浮遊するように見える合成画像も提供することが可能である。シート材料の下に浮くこの浮遊画像は、図8に示す発散レンズ105の代わりに収束レンズを用いることにより創造することができる。図11に関して、入射エネルギー100(本例においては光)は、光源中のあらゆる非均一性を均質化するために光拡散器101上に導かれる。散乱光100aは次に光コリメータ102中に収集、平行化され、光コリメータ102は光100bを集束レンズ105bに導く。集束レンズから、光線100dが収束レンズと収束レンズの焦点108bの間に置かれるマイクロレンズシート材料106上に入射する。
【0050】
マイクロレンズシート材料106に侵入する光線のエネルギーは個々のマイクロレンズ111により材料層(説明のための実施形態中の感光皮膜112)上に収束される。この収束されたエネルギーは感光皮膜112を修正して、光線と感光皮膜間の相互作用に応じて決まる画像、サイズ、形状、および外見を提供する。図11に示す配置は、シート材料を通して延長する場合に収束光100dが集束レンズの焦点108bで交差するであろうから、観察者には以下に説明するようにシート材料の下に浮遊するように見える合成画像を有するシート材料を提供するであろう。つまり、仮定の「画像線」が各微小球を通しておよび各マイクロレンズと結びつく材料層中の画像を通して収束レンズ105bから描かれるならば、それらは合成画像が現れる場である108bで収束するであろう。
【0051】
D.シート材料の下に浮遊する合成画像を見ること
シート材料の下に浮いて見える合成画像を有するシート材料は、また、反射光、透過光、または両方から見ることができる。図12は、反射光下で見る場合シート材料の下に浮いて見える合成画像の略図である。例えば、光L5は材料層により反射されて観察者に向かって戻ってくることが可能である。しかし、材料層は光L6をそれらの画像化部分から観察者に向けて反射して戻すことはうまくできないか、または全くできない。従って、観察者は、108bでそれらの集積が108bでシート材料の下に浮くように見える合成画像を創造する光線がないことを認知することが可能である。簡単に言えば、光は画像化部分を除く全体シート材料から反射することが可能であり、このことは比較的暗い合成画像が108bで見られることを意味する。
【0052】
非画像化材料が入射光を吸収するかまたは透過させること、および画像化材料が合成画像を提供するために必要とされる対照効果を提供するために入射光をそれぞれ反射するかまたは部分的に吸収することもまた可能である。それらの環境下での合成画像は、比較的暗く見えるであろうシート材料の残分と比較して比較的明るい合成画像として見られるであろう。これら可能性の種々の組合せは要望通りに選択することができる。
【0053】
ある種の画像化シート材料は、また、図13に見られるように透過光により見ることができる。例えば、材料層の画像化部分が半透明であり、非画像化部分がそうでない場合、次に大部分の光L7は材料層により吸収されるかまたは反射されるが、一方で透過光L8は材料層の画像化部分を通過する。入射光の方向に戻る本明細書において「画像線」と呼ばれる光線の延長は、108bでの合成画像の形成をもたらす。合成画像は焦点で視覚的にはっきりと理解でき、それは本実施例においてシート材料の残分よりも明るく見られる。
【0054】
あるいは、材料層の画像化部分が半透明でないがしかし材料層の残分がそうである場合、次に、画像部分における透過光の不在はシート材料の残分よりも暗く見える合成画像を提供する。
【0055】
E.複合画像
本発明の原理により作製される合成画像は、それらが長さおよび幅を有し、シート材料の下か、平面中か、または上のいずれかに現れることを意味する2次元か、またはそれらが長さ、幅、および高さを有することを意味する3次元的に現れることが可能である。3次元合成画像は、シート材料の下または上のみに現れるか、または要望通りのシート材料の下、平面中、および上の組合せにおいて現れることが可能である。用語「シート材料の平面中」は、一般に、シート材料が平らに置かれる場合のシート材料の平面のみを意味する。すなわち、平らでないシート材料は、また、少なくとも部分的にその用語が本明細書において用いられる通りの「シート材料の平面中」に現れる合成画像を有することができる。
【0056】
3次元合成画像は単一焦点で現れるのではなく、むしろシート材料の片側からまたはシート材料を通して他端のポイントまでの範囲に及ぶ焦点を持つ焦点の連続体を有する画像の合成物として現れる。これは、好ましくは、多焦点で材料層を画像化するためにシート材料またはエネルギー源のいずれかを他の一方に対して連続的に動かすことにより(多数の各種レンズを提供することよりも)達成される。得られる空間複合画像は本質的に多くの個々のドットから成る。この画像はシート材料の平面に対して3デカルト座標のいずれにおいても空間的広がりを有することができる。
【0057】
別の型の効果において、合成画像は、それが消えるマイクロレンズ化シート材料の領域中に移動させることができる。この型の画像は、一応は、不透明マスクをマイクロレンズ化材料と接触させて置きマイクロレンズ化材料の一部に対して部分的に画像化光を遮断することを追加することにより、空中浮遊例に類似したやり方で作製される。こうした画像を見る場合、画像化光が接触マスクにより減少されるか排除されるかのいずれかである領域中に移動するように画像を作製することができる。画像はその領域中に「消える」ように見える。
【0058】
本発明により形成される合成画像は、観察者がシート材料の平面から視点軸間の広範囲の角度にわたり合成画像を見ることができることを意味する極めて広範囲な視角を有することができる。開口数0.64を持つ非球面レンズを用いる場合、平均直径約70〜80マイクロメートルを有する単層のガラス微小球から成るマイクロレンズシート材料中に形成される合成画像は、その中心軸が入射エネルギーの光学軸により決定される円錐視界内で見ることができる。周辺光下で、そのように形成される合成画像は約80〜90度角度一杯の円錐体にわたり見ることが可能である。発散性が少なくより低いNAを持つ画像化レンズを利用すると、より小さな半角円錐体を形成することができる。
【0059】
本発明の方法により形成される画像は、限定された視角を有するものも構築することができる。換言すれば、画像は、特定の方向、またはその方向の微小角度変更から見る場合にのみ見られる。こうした画像は、最終非球面レンズ上に入射する光がレンズの一部分のみをレーザー照射により放射するように調整することを除いて、以下の実施例1に記載される方法と同様に形成される。入射エネルギーによるレンズの部分的充填は、マイクロレンズ化シート材料上に入射する分散光の限定された円錐体をもたらす。アルミニウム被覆マイクロレンズシート材料に対して、合成画像は明るいグレーの背景上に暗いグレーの画像として限定された視角円錐体内にのみ現れる。画像はマイクロレンズシート材料に比べて浮いているように見える。
【実施例】
【0060】
本発明は、便宜的に特定の図面を参照できる以下の実施例によりさらに説明される。
【0061】
実施例1
この実施例は、アルミニウム材料層を持つレンズ埋め込みシート材料、およびシート材料の上に浮いて見える合成画像を説明する。浮遊画像を形成するために図14に示す型の光学系を用いた。光学系は、その基本波長1.06マイクロメートルでQ−スイッチ様式において操作するSpectra Physics Quanta−Ray(商標)DCR−2(10)Nd:YAGレーザー300から成る。このレーザーのパルス幅は一般に10〜30nsの間である。レーザー後、99%反射型反射鏡302、すりガラス拡散器304、5Xビーム拡大望遠鏡306、および開口数0.64および焦点距離39.0mmを持つ非球面レンズ308によりエネルギーを再方向付けした。非球面レンズ308からの光をXYZ試料台310に向けて導入した。試料台は三つの線形台から成り、ペンシルバニア州、ピッツバーグのAerotech Inc.からATS50060のブランドで市販されている。一つの線形台は非球面焦点とマイクロレンズシート材料間の軸(z軸)に沿って非球面レンズを動かすために用い、他の二つの台は光学軸に対して互いに直交する二つの水平軸においてシート材料を動かすことを可能とした。
【0062】
レーザー光をすりガラス拡散器304に向けて導入して熱レンズ化により生じるあらゆるビーム不均質性を排除した。拡散器に密接した5Xビーム拡大望遠鏡306により拡散器からの分散光を平行化し、光線を拡大して非球面レンズ308を充填した。
【0063】
この実施例において、レンズの焦点がマイクロレンズシート材料312の上1cmであるように、XYZ試料台のXY平面上に非球面レンズを置いた。シート材料の平面でのエネルギー密度を制御するために、カナダ、ケベック州、セント−フェイのGentec,Inc.から機械式マスクを有しED500のブランドで市販されている開口部を備えた電力計を用いた。非球面レンズの焦点から1cmの電力計の照射面にわたり約8ミリジュール/平方センチメートル(8mJ/cm2)を得るように、レーザー出力を調整した。80nm厚さのアルミニウム感光層を持つレンズ埋め込みシート材料312の試料を、アルミニウム被覆側が非球面レンズ308から顔をそらせるようにXYZ試料台310に貼った。
【0064】
ペンシルバニア州、ピッツバーグのAerotech Inc.からU21のブランドで市販されている制御器は、XYZ試料台312の動きに対する必要な制御信号およびレーザー300のパルス化用制御電圧を提供した。x−y−z調整情報、移動命令、および画像生成のために必要なレーザー発射命令を有する制御器中にCADファイルを導入することにより台を動かした。マイクロレンズ化材料の上の空間中に画像を描くためにレーザーのパルス化によってX、YおよびZ台の動きを調整することにより、不規則な複合合成画像を形成した。レーザーパルス繰返し数10Hzのために、台速度を50.8センチメートル/分に調整した。これによりマイクロレンズに近接するアルミニウム層中に連続複合線が形成された。
【0065】
マイクロレンズ化シート材料を周辺光の中で見る場合、画像は明るいグレー背景に対して暗いグレーであった。焦点とビーズ状シート材料表面間の固定された1cm間隔に対して、得られた画像はシート材料の上約1cmに浮いて見える平面的な合成画像であった。さらに、合成画像は観察者の視野に関して合理的に大きな動きを示すので、そこで観察者は視角に応じて合成画像の異なる態様を容易に見ることができた。
【0066】
実施例2
この実施例において、マイクロレンズシート材料の下に浮いて見える合成画像を形成するために、透過性ミラー感光層を持つレンズ露出シート材料構造物を用いた。実施例1において用いた光学系をこの実施例においても用いた。レンズがほとんどマイクロレンズシート材料と接触するように、マイクロレンズ化シート材料を非球面レンズ308に対して位置付けた。レーザー出力を非球面レンズ直下で約14mJ/cm2を達成するように調整した。レンズ露出シート材料は、微小球の片側上に蒸着した硫化亜鉛(ZnS)誘電ミラーを伴う、米国特許第3,801,183号に記載されているような部分的に埋め込まれた微小球から成った。ZnS層の厚さは名目上60nmであった。実施例1にあるように、レーザーを10Hzで操作し、シート材料を50.8cm/分で動かすことにより、マイクロレンズ化シート材料中に連続複合線の形成を生じた。「球」パターン(4内接円弧を持つ円)を台システムにより描いた。
【0067】
周辺光下で、球は白/黄背景に対して暗い画像として現れた。暗い合成画像はシート材料の下約39mmに浮いて見えた。合成画像の位置は、この実施例ではレンズの後ろ約39mmに関連する非球面レンズの焦点位置に対応した。
【0068】
実施例3
この実施例は、単一非球面レンズの代わりにレンズアレーを用いて、アルミニウム感光層を持つレンズ露出シート材料中に合成画像を形成することを説明する。浮遊合成画像を形成するために、図15に示す型の光学系を用いた。光学系は、Q−スイッチ型レーザー300、99%反射型ミラー302、光学拡散器304、およびビーム拡大望遠鏡306から成った。この実施例において用いた光学系のこれらの構成要素は実施例1に記載されているものと同じである。また、この実施例の光学系中に含まれるものには、2次元レンズアレー407、反射マスク409および負の双凹レンズ411があった。反射マスク409の面は、レーザー照射にさらされようとするマイクロレンズ化材料412の面と合致するように透過性であり、一方残りのマスクの表面は半透過性または反射性であった。
【0069】
レンズアレー407は、アラバマ州、ハンツビルのMEMS Optical,LLCから3038のブランドで市販されている石英ガラス反射型マイクロレンズアレーから成った。この密に充填された球面レンズアレーを、直径75mmおよび焦点距離マイナス150mmを有する負の双凹レンズ411とほとんど接触するように置いた。80nm厚さのアルミニウム感光層を持つレンズ露出シート材料412を、負の双凹レンズ411の25mm内に置いた。マイクロレンズ化材料を、マイクロレンズアレーおよび負の双凹レンズの組合せ光学通路の焦点距離から約1cmに置いた。レーザーからの出力を、マイクロレンズ化シート材料の露出レンズ表面の界面で約4mJ/cm2が生成されるように調整した。単一レーザーパルスを活性化して全体画像に露光した。
【0070】
周辺光下で見る場合、得られた画像化マイクロレンズ化シート材料は、シート材料の上約1cmに浮いて見える画像を示した。画像は明るいグレー背景に対して暗いグレーに見えた。
【0071】
実施例4
この実施例において、分散光源は散乱源からの反射により得た。散乱反射器は約5mm直径のセラミックビーズから成った。図16に示す型の光学系をこの実施例において用いた。それは、実施例1に記載されたものと同じQ−スイッチ型Nd:YAGレーザー500、次に入射レーザービームのサイズを約1mm直径に減少させる望遠鏡502から成った。次に、マイクロレンズシート材料512に面するセラミックビーズの半球504の約1/4を照射するために、光を通常から十分に外れた角度でセラッミックビーズ504上に侵入させた。これは赤外線カメラを通して散乱照射を見ることにより確認された。
【0072】
セラミックビーズ504をXY試料台510の上約25mmの距離に位置付けた。レーザーからの入射光が試料台に平行になるように調整した。80nmアルミニウム感光層を持つ埋め込みレンズシート材料512をXY試料台510に貼り、制御器は試料台およびレーザーへの制御信号を提供した。マイクロレンズシート材料の表面で約8mJ/cm2が生成されるようにレーザー出力を調整した。マイクロレンズ化シート材料512の表面に対して最も均質な光を得るためにセラミックビーズ504の光照射を調整した。XY試料台510を10Hzのレーザーパルスにより50.8cm/分で動かした。複合画像を試料台により描く一方でマイクロレンズ化シート材料をセラミック反射器からの散乱照射にさらした。
【0073】
周辺光において、合成画像はシート材料の上約25mmに浮き、明るいグレー背景に対して暗いグレーに見えた。観察者の視点を基準にして画像は大きな動きを持った。透過光下、発光合成画像はシート材料の上約25mmに浮いた。
【0074】
実施例5
この実施例において、レンズ埋め込みシート材料の材料層は、可視スペクトルにおける特定色に同調させた多層光学スタックから成った。マイクロレンズ化基板の一つの面上に、薄膜層が真空蒸発およびプラズマ重合により蒸着して、クロム/プラズマ重合ブタジエン/二酸化ケイ素/アルミニウムから成る層配列が得られ、クロム層は埋め込みレンズに近接していた。可視スペクトルの赤、緑、および青部分の色を得るために個々の材料の厚さを調整した。第1表は調製された個々の材料の特定の厚さを示す。
【0075】
【表1】

【0076】
次に、被覆マイクロレンズ下地材を積層材料と接触している多層構造のバッキングに積層した。次に、マイクロレンズシート材料のライナーを除去して上記表により与えられる色を有する埋め込みレンズの前表面にさらした。
【0077】
実施例1に記載された光学系を用いてこの実施例の試料を画像化した。この実施例において、非球面レンズの焦点をマイクロレンズシート材料の1cm上に位置付けた。マイクロレンズシート材料の表面で5mJ/cm2のエネルギー密度が得られるようにレーザー出力を調整した。多層スタックの光学特性を光照射領域において修正した。実施例1において記載したものと同じやり方で多層スタック中に画像を提供するために球パターンを描いた。
【0078】
周辺光において、照射領域はマイクロレンズ化シート材料の背景色に対して明るい黄からオレンジの色に見えた。すべての合成画像はシート材料の上に浮き、観察者を基準にして動いて見えた。
【0079】
実施例6
この実施例はカラー合成画像を生成するための感光層としての多層同調スタックの第2タイプを説明する。レンズ埋め込みシート材料から成るマイクロレンズ化下地材上に光学スタックを調製した。マイクロレンズ化下地材の一つの面上に薄膜層を真空蒸発により蒸着させて、以下の第2表に示すようなクロム/氷晶石/アルミニウム(Cr/Na3AlF6/Al)、クロム/二酸化ケイ素/アルミニウム(Cr/SiO2/Al)、またはクロム/フッ化マグネシウム/アルミニウム(Cr/MgF2/Al)から成る層配列を得た。可視スペクトル中の多様な色を得るために誘電体、SiO2、Na3AlF6およびMgF2の厚さを調整した。第2表は種々の試料中に調製された個々の材料の特定厚さを示す。
【0080】
【表2】

【0081】
次に、多層が積層材料と接触するように、被覆マイクロレンズ下地材をバッキングに積層した。次に、マイクロレンズシート材料のライナーを除去して上記表により与えられる色を有する埋め込みレンズの前表面にさらした。
【0082】
実施例1に記載された光学系を用いてこれらの試料を画像化した。この実施例において、最終非球面レンズの位置をほとんど試料に接触するように位置付けしてシート材料の下に浮いて見える合成画像を提供した。第2表に示すように、それぞれの多層スタックの光学特性を恒久的に変えるであろうエネルギー密度が得られるようにレーザーエネルギーを調整した。実施例1において記載したものと同じやり方でこの材料中に画像用として英数字文字「SAMPLE」を描いた。周辺光において、マイクロレンズ化シート材料の背景色に対して白/黄輪郭を伴い暗く見えた。すべての合成画像はシート材料の下約39mmに浮き、シート材料を見る観察者を基準にして動いて見えた。
【0083】
実施例7
この実施例において、50原子%銀および50原子%亜鉛(Ag50Zn50)の相変化合金および感光層としてのクロムおよび二酸化ケイ素から成る同調二分子層スタックを用いて、カラー合成画像をレンズ埋め込みシート材料中に形成した。相変化合金は適用した光によっては除去されなかったが、一方で同調二分子層は可視電磁スペクトルの青部分におけるスペクトル反射率を増大させる。実施例5において多層スタックの薄膜層をマイクロレンズ化下地材上に蒸着させるために用いた手順と同様のやり方で、レンズ閉鎖型シート材料のスペーサ層上に感光層を蒸着させた。最初に、クロムおよび二酸化ケイ素層を、高分子スペーサ層上にそれぞれ40nmおよび260nmの厚さに真空蒸着させた。次に、80nm厚さのAg50Zn50合金層を二酸化ケイ素層上にスパッタ蒸着させた。次に、試料を積層し剥ぎ取ってマイクロレンズシート材料のクリア部分を露出させた。
【0084】
周辺(反射)光下で見る場合、シート材料はスミレ−青であるように見えた。実施例1と同じ光学系を用いてAg50Zn50感光層を画像化した。Q−スイッチ型レーザーの代わりに、波長1.06umで操作する連続波Nd:YAGレーザーをエネルギー源として用いた。光学系中の音響光学変調器の使用によりパルス幅を制御した。図14に示される型の光学系を通して一次回折ビームを送った。レンズ閉鎖型シート材料の試料をXYZ試料台に貼った。音響光学変調器中へのレーザー出力をマイクロレンズ化材料で810mWの出力を与えるように調節した。100マイクロ秒パルス幅で20Hzパルスを達成するように音響光学変調器を設定した。実施例1に記載したように、正の非球面レンズをマイクロレンズ化材料の表面の上12mmに置いた。XYZ試料台により画像を描き出し、一方でレーザー照射は感光層を露光した。
【0085】
シート材料を周辺光において見る場合、画像化領域は淡青色に見え、マイクロレンズシート材料の上約12mmに浮いた。
【0086】
実施例8
この実施例において、銅感光層を持つ複製レンズ構造物をマイクロレンズシート材料として用いた。米国特許第5,254,390号に記載されている型の複製シート材料をマイクロレンズシート材料として用いた。銅感光層をシート材料の平らな表面上に厚さ80nmに真空蒸着させた。マイクロ複製化マイクロレンズ化材料を実施例1に記載した光学系からのレーザー照射にさらした。最終非球面レンズをマイクロレンズ化材料の表面から6.5mm離れた焦点距離に位置付けた。シート材料の表面で約7mJ/cm2が得られるようにレーザー出力を調整した。レーザーを10Hzパルスに設定し、XYZ試料台の方は50.8cm/分の速度で動かした。「球」パターン(4内接円弧を持つ円)を試料の上に描いた。
【0087】
シート材料を周辺光において見る時、感光層の銅色に対して浮遊球の白い画像を見ることができた。この合成画像はシート材料の上約6mmに浮いて見えた。
【0088】
実施例9
この実施例は平面合成画像とシート材料の下に浮いて見える合成画像との組合せを説明する。80mm厚さのアルミニウム感光層を持つレンズ露出型マイクロレンズシート材料を、実施例1に記載した光学系を用いて画像化した。非球面レンズをほとんどマイクロレンズシート材料に接触させて位置決めし、試料表面で4mJ/cm2が得られるようにレーザー出力を調整した。英数字文字「SAMPLE」を描くように制御器をプログラム化した。吸収マスクを開放シート材料の上に置いた。このマスクは従来のコピー機を用いて透明シート上に英数字文字「3M」の列を印刷して作製した。英数字文字は照射を吸収するが、一方で周囲の面はレーザー照射を透過するであろう。この吸収性マスクを持つ露出レンズシート材料を、「SAMPLE」文字がマスク位置の上にわたって形成されるように位置決めした。
【0089】
周辺光において見る時、文字「SAMPLE」はシート材料の下約39mmに浮いて見えたが、一方で非露出文字「3M」はシート材料の平面中にあるように見えた。「SAMPLE」文字からの暗い文字に対して「3M」文字はただ観察できるだけだった。
【0090】
実施例10
この実施例は複合3次元画像を持つシート材料を説明する。80mm厚さのアルミニウム感光層を持つレンズ埋め込み型マイクロレンズシート材料をこの実施例に用いた。実施例1に用いた光学系を用いた。マイクロレンズ化シート材料をXYZ並進試料台のXY平面に貼り付け、一方で非球面レンズをz軸に取り付けた。非球面レンズはNA0.64および焦点距離39mmを有した。5cm長の立方体対角線(立方体の反対側の2角間の距離)を持つ等尺性立方体の外形を描くように制御器をプログラム化した。制御器にプログラム化された立方体の相対位置および方向は、合成立方体画像の一端をシート材料表面の上約5mmに置き、合成立方体画像の他端をその表面の上5.5cmに置くものであった。立方体画像は立方体の角を最も観察者に近づけて置くように方向を合わせた。
【0091】
等尺性立方体の描写の間、発散レンズとシート材料間の間隔には関係なく試料表面で8mJ/cm2の一定エネルギー密度が得られるように、レーザーからのパルス当りのエネルギーを制御した。レーザーを10Hzで操作し、X、YおよびZ試料台を50.8cm/分の速度で動かした。等尺性立方体の画像を、制御器によりマイクロレンズ化シート材料の上の空間中に連続的に描き出した。
【0092】
周辺光において見る時、等尺性合成立方画像は、表面の上5mm〜5.5cmの間に浮き、明るいグレー背景に対して暗いグレーに見えた。さらに、観察者がその視点を変えるにつれて、等尺性立方体はマイクロレンズシート材料の上の空間中に回転して見え、前には異なる視角で見えなくなっていた立方体の側面を浮き彫りにした。
【0093】
実施例11
この実施例は消失させ得る浮遊画像を説明する。すなわち、合成画像は、視角を変えることにより、視界から消えるかまたは視界に再出現するように作製することができる。80mm厚さのアルミニウム感光層を持つレンズ埋め込みシート材料を用いた。画像形成のために実施例1と同じ光学系を用い、シート材料からの非球面レンズの距離をマイクロレンズ化シート材料の上1cmの焦点距離に位置付けるように調整した。「球」パターン(4内接円弧を持つ円)を生成するように制御器をプログラム化し、試料表面で8mJ/cm2を提供するようにレーザー出力を調整した。試料それ自体の上で、半透明テープの四角断面をレンズ埋め込みシート材料の表面に貼り付けた。球画像化の間にレーザーにより画像化された面積部分が半透明テープにより覆われた部分に重なるであろうように、テープの四角断面を位置取りした。
【0094】
画像化シート材料を周辺光下で見る時、浮遊球パターンは、シート材料の上1cmに浮き、明るいグレー背景に対して暗いグレー画像として観察された。視角を変えることにより、「球」は半透明テープによりマスクされた領域中にまたはそこから移動した。球がマスクされた領域中に移動する時に、その領域に入る球の部分は消える。球がマスクされた領域から出る時に、その領域での球の部分は再度現れた。合成画像はそれが単にマスクされた領域中に入って行くにつれて次第に消えて行くというのではなく、むしろ、それがその領域に入った時に正確に完全に消えるものであった。
【0095】
本発明の合成画像を含有する画像化シート材料は独特のものであり、通常の装置で複製することは不可能である。合成画像は、パスポート、識別バッジ、識別グラフィック、およびアフィニティ・カードなどの用途に特別に挙げられるシート材料中に形成することができる。検定を必要とする書類は、識別、信憑性、および高揚のために、積層シート材料上に形成されるこれらの画像を有することができる。接着剤ありまたはなしでの積層などの従来の結合手段は、用いることが可能である。箱型電子製品、コンパクトディスク、運転免許証、文書表題、パスポートまたはブランド製品などの価値品目の供給業者は、単に本発明の多層フィルムを彼らの製品に貼り、彼らの顧客に対してそう表示された信憑性のある価値品目として承認するだけであると指示することが可能である。これらの保護を必要とする製品に対して、合成画像を含有するシート材料をそれらの構成物中に封入すること、またはこうしたシート材料を製品に付着させることによりそれらのアピール度を高めることが可能である。合成画像は、広告用、ナンバープレート用、および独特の画像の視覚表示が望ましい多くの他用途用の表示材料として用いることが可能である。
【0096】
多合成画像は同じシート材料上に形成することが可能であり、それらの合成画像は同じかまたは異なることが可能である。合成画像は、また、印刷画像、ホログラム、アイソグラム、回折格子、カイングラム、および写真などの他の従来画像と一緒に用いることが可能である。
【0097】
開示された実施形態の種々の修正および組合せは当業者に明白であり、それらの修正は特許請求の範囲に規定される本発明の範囲内にあるものと意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.第一および第二側面を有する少なくとも一つのマイクロレンズ層、
b.マイクロレンズ層の第一側面に近接して配置される材料層、
c.複数のマイクロレンズのそれぞれと結びついた材料中に形成された、材料とともにコントラストを有する少なくとも部分的に完全な画像、および
d.肉眼にシート材料の上または下、あるいは両方に浮いていると見える、個々の画像により提供される合成画像、
を含むシート材料。
【請求項2】
前記合成画像が、反射光下でシート材料の上に浮いて見える請求項1に記載のシート材料。
【請求項3】
前記合成画像が、透過光においてシート材料の上に浮いて見える請求項1に記載のシート材料。
【請求項4】
前記合成画像が、反射光下でシート材料の下に浮いて見える請求項1に記載のシート材料。
【請求項5】
前記合成画像が、透過光においてシート材料の下に浮いて見える請求項1に記載のシート材料。
【請求項6】
前記合成画像が、肉眼に対してシート材料の平面中に少なくとも部分としても見える請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート材料。
【請求項7】
前記材料が感光材料である請求項1に記載のシート材料。
【請求項8】
前記材料が金属の感光材料である請求項1に記載のシート材料。
【請求項9】
前記金属の感光材料が、アルミニウム、銀、銅、金、チタン、亜鉛、錫、クロム、バナジウム、タンタル、およびこれら金属の合金から選択される請求項8に記載のシート材料。
【請求項10】
前記材料が非金属の感光材料である請求項1に記載のシート材料。
【請求項11】
前記非金属の感光材料が、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化錫インジウム、酸化亜鉛、フッ化マグネシウムおよびケイ素から選択される請求項10に記載のシート材料。
【請求項12】
前記材料が感光性金属酸化物化合物材料である請求項1に記載のシート材料。
【請求項13】
前記感光性金属酸化物化合物材料が、アルミニウム、鉄、銅、錫およびクロムから形成される酸化物化合物から選択される請求項12に記載のシート材料。
【請求項14】
前記材料がサーモクロミック感光材料である請求項1に記載のシート材料。
【請求項15】
前記サーモクロミック材料が、炭酸銅、チオ尿素を伴う硝酸銅、チオール、チオエーテル、スルホキシド、およびスルホンの硫黄含有化合物を伴う炭酸銅、水和硫酸塩、ホウ素の窒化物、アルミニウムおよびビスマスから選択される請求項14に記載のシート材料。
【請求項16】
前記材料が多層薄膜感光材料である請求項1に記載のシート材料。
【請求項17】
材料層とマイクロレンズ間に配置されたスペース層をさらに含む請求項1に記載のシート材料。
【請求項18】
前記シート材料がレンズ露出シート材料である請求項1に記載のシート材料。
【請求項19】
前記シート材料がレンズ埋め込みシート材料である請求項1に記載のシート材料。
【請求項20】
マイクロレンズが、平凸小型レンズ、円形の二重凸状小型レンズ、ロッド、微小球、ビーズ、または円柱形小型レンズから選択される請求項1に記載のシート材料。
【請求項21】
合成画像が、100度未満の視角にわたり認知できる請求項1に記載のシート材料。
【請求項22】
合成画像が、シート材料に対して視点を変えるにつれてシート材料に対して動いているように見える請求項1に記載のシート材料。
【請求項23】
合成画像が、シート材料を見る角度を変える時に消失および再出現する請求項1に記載のシート材料。
【請求項24】
シート材料が、1より多い合成画像を含む請求項1に記載のシート材料。
【請求項25】
a.マイクロレンズのアレーおよびマイクロレンズ層の一つの側面に近接した感光材料層を有するシート材料を提供し、
b.照射源を提供し、そして
c.それによってシート材料が肉眼にシート材料の上または下、あるいは両方に浮いて見える個々の画像により提供される合成画像を示し、照射源を用いて複数のマイクロレンズのそれぞれと結びついた感光材料中に少なくとも部分的に完全な画像を形成する、
工程を含むマイクロレンズシート材料上に合成画像を形成する方法。
【請求項26】
各画像が照射源の多重パターン化露出により形成され、シート材料が各露出の間照射源に対して異なる位置にある請求項25に記載の方法。
【請求項27】
各画像がレンズアレーを通して少なくとも一つの照射源の露出により形成される請求項25に記載の方法。
【請求項28】
シート材料上に1より多い合成画像を提供するために方法が繰返される請求項25に記載の方法。
【請求項29】
画像が照射源の多重露出により形成され、シート材料が各露出の間照射源から異なる距離を取る請求項25に記載の方法。
【請求項30】
照射源が200nm〜11μmの間の波長の光を提供する請求項25に記載の方法。
【請求項31】
請求項25の方法により作製される請求項1に記載のシート材料。
【請求項32】
シート材料がさらにシート材料を基板に塗布するための接着層を含む請求項1に記載のシート材料。
【請求項33】
シート材料が基板に付着する請求項31に記載のシート材料。
【請求項34】
基板が文書である請求項32に記載の物品。
【請求項35】
基板が標識である請求項32に記載の物品。
【請求項36】
シート材料が広告用の情報を表示するために用いられる請求項1に記載の物品。
【請求項37】
基板が識別カードの構成要素である請求項32に記載のシート材料。
【請求項38】
基板が容器である請求項32に記載の方法。
【請求項39】
合成画像が、また、肉眼にシート材料の平面中に少なくとも一部分として現れる請求項25の方法。
【請求項40】
合成画像が2次元画像である請求項1に記載のシート材料。
【請求項41】
合成画像が3次元画像である請求項1に記載のシート材料。
【請求項42】
合成画像が2次元画像である請求項25に記載の方法。
【請求項43】
合成画像が3次元画像である請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−211237(P2010−211237A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−132227(P2010−132227)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【分割の表示】特願2001−562245(P2001−562245)の分割
【原出願日】平成12年6月20日(2000.6.20)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】