説明

シート材給送装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】シート材の供給に先立って検知部材の良否を判定し、昇降機構を駆動させるモーターの損傷を防ぐシート材給送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】給紙装置20は、リフト板33を給送位置側または離間位置側へと駆動させる昇降モーター55と、用紙積載板28の回動にともない上下方向に移動可能な突起片41aと、突起片41aが上側の所定位置に移動したときLO検知信号を出力することが可能である検知部材50と、LO検知信号に基づいて昇降モーター55の給送位置側への駆動のための通電を停止させる制御部100と、用紙積載板28を回動可能に支持するとともに搬送方向と直角方向に装置本体1aに対して着脱可能な給紙カセット22と、を備える。給紙カセット22は、装置本体1aに対する装着動作に連動して突起片41aに係合することにより突起片41aを前記所定位置に移動可能とする係合部22bを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いるシート材給送装置及びそれを備えた画像形成装置に関し、特に、積載されたシート材を昇降させる昇降機構を有するシート材給送装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、用紙が積載される給紙カセットが着脱可能に設けられている。そして給紙カセット内の用紙がなくなると、給紙カセットは使用者によって画像形成装置から引き出され、用紙が補充された後、再度画像形成装置に装着される。また画像形成装置は、用紙積載部材に積載された用紙の最上面をピックアップローラーに当接させるべく用紙をピックアップローラーに向けて上昇させる昇降機構を備えている。この昇降機構は、用紙が載置される用紙積載部材を昇降モーターの駆動力により上昇させられる。
【0003】
例えば、特許文献1の画像形成装置では、給紙カセットが画像形成装置に装着されることにより昇降モーターが駆動されて用紙積載部材が上昇する。用紙積載部材上の用紙の最上面が既定位置に到達したことが光センサーからなる検知部材によって検知されることにより昇降モーターが停止して用紙積載部材が停止する。これにより、ピックアップローラーと用紙積載部材上の用紙の最上面とが当接し、ピックアップローラーによって最上部の用紙を供給することが可能となる。
【0004】
上記の画像形成装置において、用紙積載部材の昇降が障害物等により妨げられ用紙積載部材の昇降が不可能になった場合、用紙積載部材が損傷するおそれがあり、また用紙積載部材上の用紙の最上面が既定位置に到達しないために、昇降モーターが駆動し続け、例えば昇降モーターがブラシモーターであると、モーターに高電流が流れてコイルが破損する等の問題が発生する。
【0005】
そこで特許文献2の画像形成装置は、シート積載手段が昇降範囲の端部に到達したことを検知する到達検知手段と、シート積載手段の昇降時にカウント手段に設定された所定時間内にシート積載手段が到達検知手段に検知されないとき、シート積載手段の昇降を緊急停止させる昇降手段と、を備えている。この構成により、シート積載手段の昇降が障害物等により妨げられた場合、シート積載手段の昇降を緊急停止させることで、シート積載手段の破損や障害物へのダメージを軽減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−46459号公報(段落[0018]〜[0026]、第4図、第5図)
【特許文献2】特開2006−111424号公報(特許請求項等、第13図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献2の画像形成装置は、シート積載手段の破損や障害物へのダメージを軽減させるために、所定時間内にシート積載手段が到達検知手段に検知されないとき、シート積載手段の昇降を停止させるように構成している。しかしながら特許文献2では、到達検知手段が破損し正常に作動しない場合、昇降手段を停止することができず、昇降手段のモーター等の駆動部材が駆動し続けるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、シート材の供給に先立って検知部材の良否を判定し、昇降手段の損傷を防ぐシート材給送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために第1の発明は、シート材を上下方向に移動可能とするシート材積載部材と、該シート材積載部材上に積載されたシート材の最上面に圧接され、圧接面を所定方向に移動させてシート材を送出する送出手段と、シート材の最上面が前記送出手段に当接する給送位置とシート材の最上面が前記送出手段から離間した離間位置との間で前記シート材積載部材を移動させる昇降手段と、前記シート材積載部材の移動にともない上下方向に移動可能な被検知部材と、該被検知部材が所定位置に移動したとき検知信号を出力することが可能である検知部材と、前記シート材積載部材を移動可能に支持するとともに装置本体に対して着脱可能なカセットと、を備えるシート材給送装置であって、前記カセットは、前記装置本体に対する装着動作において前記被検知部材を前記所定位置に移動可能とする係合部を有することを特徴としている。
【0010】
また、第2の発明では、上記のシート材給送装置において、前記被検知部材が所定位置にあるとき、シート材は給送位置にあることを特徴としている。
【0011】
また、第3の発明では、上記のシート材給送装置において、前記係合部は、装置本体に対して前記カセットの装着が完了したとき、前記被検知部材との係合が解除されることを特徴としている。
【0012】
また、第4の発明では、上記のシート材給送装置において、前記カセットが装置本体に装着されるとき、前記検知部材が前記被検知部材を検知しない場合に異常状態を報知する報知手段を更に備えることを特徴としている。
【0013】
また、第5の発明では、上記のシート材給送装置において、前記昇降手段は、給送位置と離間位置との間で前記シート材積載部材を昇降させる昇降機構と、該昇降機構を駆動させる昇降モーターと、を備え、前記被検知部材が前記所定位置に移動したとき、前記昇降モーターは駆動を停止することが可能となることを特徴としている。
【0014】
また、第6の発明では、上記のシート材給送装置において、前記送出手段を回転可能に支持するとともに前記被検知部材が固設され、装置本体に対して回動可能な支持部材を更に備えることを特徴としている。
【0015】
また、第7の発明では、上記のシート材給送装置において、前記カセットは、用紙搬送方向と直角方向に装置本体に対して着脱可能であることを特徴としている。
【0016】
また、第8の発明では、上記の構成のシート材給送装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、シート材の給送動作に先立って、カセットを装置本体に装着すると、カセットに設けた係合部が被検知部材を所定位置に移動させ、検知部材が検知信号を出力することが可能となる。検知部材から検知信号が出力される場合、検知部材は正常に作動していることになり、検知部材から検知信号が出力されない場合、検知部材が異常であることがわかり、シート材給送装置がシート材の給送を行う前に検知部材の良否を判定することができる。給送動作の前に検知部材の良否を把握することができるために、例えば、シート材積載部材が給送位置に到達しているにも係らず、昇降手段の昇降モーターが駆動し続けることによるモーターの損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る給紙装置を備えた画像形成装置を示す概略図
【図2】実施形態に係る給紙装置を示す斜視図
【図3】実施形態に係る給紙装置のピックアップローラーの周辺を示す概略図
【図4】実施形態に係る給紙装置のピックアップローラーの周辺を示す斜視図
【図5】実施形態に係る用紙積載部材上の用紙がピックアップローラーから離間した状態を示す概略図
【図6】実施形態に係る給紙カセットの装着動作を示す概略側面図
【図7】実施形態に係る検知部材の良否の判定及び昇降モーターの駆動制御を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0020】
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。画像形成装置1は、直方体状の装置本体1aを具備し、装置本体1a内の略中央部には画像形成部10が配設されている。画像形成部10は、像担持体である感光体11を備え、さらに感光体11の周辺にその回転方向(図中の矢印方向)に沿って順に、帯電部13と、露光ユニット12と、現像部2と、転写ローラー54と、クリーニング部14と、除電部15とを備える。現像部2へのトナーの供給は図示しないトナーコンテナから行われる。クリーニング部14は感光体11の表面に残留するトナーを回収し、除電部15は感光体11の表面の残留電荷を除去する。
【0021】
感光体11の表面が帯電部13によって所定の極性および電位で一様に帯電されると、 露光ユニット12は、図示しない原稿読取装置によって読み取られた原稿の画像データに基づいて、感光体11上に原稿画像の静電潜像を形成する。
【0022】
現像部2は、帯電したトナーを感光体11の表面に供給し、感光体11上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。トナー像は転写ローラー54によってシート材である用紙上に転写される。用紙にトナー像が転写された後、感光体11の表面に残留するトナーがクリーニング部14によってクリーニングされて回収され、さらに除電部15によって感光体11の表面の残留電荷が除去される。
【0023】
給紙装置20は給紙カセット22〜25等から構成される。給紙カセット22〜25が装置本体1aの底部に上下方向に並べて配設される。各給紙カセット22〜25は、装置本体1aの前面部において着脱可能に配置され、用紙を補充するために装置本体1aから引き出し、用紙を補充した後に押し込んで装置本体1a内へ挿入される。用紙が給紙カセット22の用紙積載板28上に載置され、用紙積載板28上の用紙がピックアップローラー29によって用紙搬送部70に送り出される。
【0024】
用紙搬送部70は、装置本体1a内で用紙を搬送するためのものであり、給紙搬送路71と、画像形成搬送路72と、定着後搬送路73と、分岐搬送路74と、反転排出搬送路77と、反転搬送路75と、再搬送路76と、を備える。
【0025】
給紙搬送路71は、給紙装置20からレジストローラー対53に至る搬送路であり、装置本体1aの右方で給紙装置20から上方に延び途中から左方に湾曲して形成される。レジストローラー対53は、転写ローラー54の右方に配置され、用紙にトナー像を転写するタイミングと同期をとって転写ローラー54に向けて用紙を送り出す。
【0026】
画像形成搬送路72は、レジストローラー対53から定着部18に至る搬送路であり、装置本体1aの略水平方向に延び途中から上方に湾曲して形成される。画像形成搬送路72には、画像形成部10と定着部18が配置され、画像形成部10にて用紙上にトナー像が転写され、用紙に転写されたトナー像が定着部18にて用紙上に定着される。
【0027】
定着後搬送路73は、定着部18から分岐搬送路74に至る上方に延びる搬送路であり、定着後搬送路73では、トナー像が定着された用紙が分岐搬送路74に搬送される。
【0028】
分岐搬送路74は、トナー像が定着された用紙を反転排出搬送路77、或いは第2排出トレイ67に搬送するための搬送路であり、搬送ローラー対61から右方向に湾曲し搬送ローラー対62を経由して反転排出搬送路77に至る搬送路と、搬送ローラー対61から左方向に湾曲し第2排出ローラー対63によって第2排出トレイ67に用紙を排出する搬送路と、搬送ローラー対62から第2排出ローラー対63に水平方向に延びて反転排出搬送路77の用紙を第2排出トレイ67に排出する搬送路とからなる。
【0029】
反転排出搬送路77は、第1排出トレイ66に用紙を排出させるか、或いは用紙の裏面にもトナー像を形成するために反転した用紙を搬送する搬送路である。
【0030】
反転搬送路75は、用紙の搬送方向を反転させ、搬送方向を反転させた用紙を反転排出搬送路77に搬送するものであり、定着後搬送路73から分岐して右方へ反転ローラー対57に向かって延び、更に反転ローラー対57からU字状に上方に延び反転排出搬送路77に合流して形成される。
【0031】
再搬送路76は、反転搬送路75によって反転された用紙を、反転排出搬送路77から画像形成搬送路72に搬送するものであり、反転排出搬送路77から下方に分岐して形成され給紙搬送路71に合流している。
【0032】
給紙装置20から供給される用紙は、給紙搬送路71を上方に向けて搬送され、さらにレジストローラー対53によって搬送のタイミングを取って転写ローラー54に搬送されると、転写ローラー54によりトナー像が用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は、画像形成搬送路72上で定着部18に搬送され、定着部18により加熱および加圧されると、トナー像が用紙に溶融定着される。トナー像が定着された用紙は、定着後搬送路73及び分岐搬送路74を通って搬送ローラー対62、第1排出ローラー対64によって第1排出トレイ66に排出される。或いは、トナー像が定着された用紙は、定着後搬送路73及び分岐搬送路74を通って第2排出ローラー対63によって第2排出トレイ67に排出される。
【0033】
両面印刷する場合には、定着部18で定着された用紙は、定着後搬送路73から反転搬送路75に搬送される。反転搬送路75にて用紙の先端が反転ローラー対57を通過した後、所定のタイミングで反転ローラー対57を逆回転させることで、用紙がスイッチバックされ、用紙の印刷面が表裏逆向きにされた状態で反転排出搬送路77に送られる。反転された用紙は、反転排出搬送路77から再搬送路76を介して再び給紙搬送路71に搬送される。給紙搬送路71を経由して画像形成搬送路72に搬送された用紙は、画像形成部10でその裏面にトナー像を転写され、定着部18によりトナー像を溶融定着されると、分岐搬送路74にて選択された搬送路を通って第1排出トレイ66または第2排出トレイ67に排出される。
【0034】
図2は給紙装置を示す斜視図である。なお、以下の説明では、図1に示す給紙カセット22及びその周辺の構成及び動作について説明するが、給紙カセット23〜25及びその周辺の構成及び動作については給紙カセット22及びその周辺と同様であり、説明を省略する。
【0035】
給紙カセット22は、上面が開口し、前面部22aと後面部22eと、それらの両側面部とによって平たい箱状に構成され、上面側から用紙を積載して収容する。給紙カセット22の両側面部に設けられたガイドリブ22f(他方のガイドリブ22fが不可視)を装置本体1a(図1参照)の図示しないレールに係合させ、矢印Aの方向に水平にスライドさせると、給紙カセット22は装置本体1aに装着される一方、ガイドリブ22fを矢印Bの方向に水平にスライドさせると、給紙カセット22は装置本体1aから引き出される。尚、給紙カセット22は搬送方向Cに着脱される構成であってもよい。
【0036】
給紙カセット22は、用紙積載部材である用紙積載板28と、一対の幅方向カーソル31、31と、リフト板33を備える。取り付けフレーム(装置本体1aに形成)には、送出手段であるピックアップローラー29と、給紙ローラー対30と、複数の搬送ローラー対26が配設される。
【0037】
用紙積載板28は、給紙カセット22内で用紙の搬送方向Cの上流側を図示しない回転軸の回りに上下方向に回動可能に支持される。この用紙積載板28上に用紙が載置される。一対の幅方向カーソル31、31は、用紙積載板28を挟むように給紙カセット22内に配置され、用紙の幅方向の両側から用紙束の側面に当接する。幅方向カーソル31、31と、給紙カセット22の底面に搬送方向Cに移動可能に設けられた後端規制カーソル34とによって、用紙積載板28に載置された用紙束が位置決めされる。
【0038】
リフト板33は用紙積載板28の下方に配設され、図示しない給紙カセット側ギアによって回動させられる。給紙カセット22が装置本体1aに装着され、給紙カセット側ギアが図示しない昇降モーターに連結された装置本体側ギアに噛み合う。昇降モーターの一方向の回転駆動により、リフト板33が徐々に上昇すると、リフト板33の先端に当接する用紙積載板28が上昇する。用紙積載板28が上昇すると、用紙積載板28上に載置された用紙は、ピックアップローラー29に押しつけられる。一方、昇降モーターの他方向の回転駆動により、リフト板33が徐々に下降すると、用紙積載板28が下降する。尚、リフト板33及びリフト板33を回動させるギアは昇降機構を構成する。
【0039】
ピックアップローラー29は、用紙積載板28上に載置された用紙束の上側の1枚或いは複数枚の用紙を給紙ローラー対30に送る。複数枚の用紙が送られた場合、給紙ローラー対30は、複数枚の用紙のうち最上の1枚の用紙のみを分離して搬送ローラー対26に搬送する。
【0040】
図3、図4を用いてピックアップローラー29の周辺を詳しく説明する。図3はピックアップローラー29の周辺の概略図であり、図4はピックアップローラー29の周辺の斜視図である。
【0041】
図3に示すように、ピックアップローラー29は、用紙積載板28に載置された用紙束の最上面の用紙Pに接触し、反時計回りに回転することで用紙Pを給紙ローラー対30へ送出する。
【0042】
給紙ローラー対30は、給紙ローラー30aと分離ローラー30bとを有する。分離ローラー30bは、コイル状の圧縮バネ42bによって給紙ローラー30aに圧接され、トルクリミッター43を内蔵する。給紙ローラー30aが回転駆動すると、分離ローラー30bが従動回転し、用紙Pを搬送ローラー対26へ搬送する。給紙ローラー30a及び分離ローラー30bのニップ部に複数枚の用紙が送られた場合、トルクリミッター43は分離ローラー30bの回転を制御し、トルクリミッター43によって、給紙ローラー対30は複数枚の用紙から最上面の用紙Pのみを分離して搬送ローラー対26に向けて搬送する。尚、トルクリミッター43を有する分離ローラー30bに換えて分離パッドを配置する構成も可能である。
【0043】
搬送ローラー対26は、搬送ローラー26aと、コイル状の圧縮バネ42cによって搬送ローラー26aに圧接される搬送コロ26bとを有する。搬送ローラー26aが回転駆動すると、搬送コロ26bが従動回転し、これによって用紙Pが給紙搬送路71(図1参照)に搬送される。
【0044】
ピックアップローラー29と給紙ローラー30aは、搬送用紙方向Cに対して互いに離間した位置にて支持部材41に回転可能に支持される。支持部材41は給紙ローラー30aの回転軸を中心として上下方向に回動可能に装置本体1aに支持される。また、支持部材41の上面のピックアップローラー29近傍にはコイル状の圧縮バネ42aの一端が連結されており、圧縮バネ42aの他端が装置本体1aに固定されている。これにより、支持部材41は用紙積載板28側に付勢される。
【0045】
さらに支持部材41のピックアップローラー29側の端部には、被検知部材である突起片41aが形成される。突起片41aは、支持部材41が給紙ローラー30aの回転軸を中心として回動することで、検知部材50に対向する位置と離間する位置との間を移動することができる。また、図4に示すように、突起片41aは、支持部材41から用紙の幅方向に突出する部分に屈曲して形成され、給紙カセット22の後面部22e(図2参照)側の位置に配置される。
【0046】
検知部材50は、ピックアップローラー29に対して給紙カセット22の後面部22e(図2参照)側の位置にて装置本体1aに固設される。検知部材50は、上面視コ字型の対向する内面に発光部及び受光部からなる検知部50aが設けられている。この検知部50aを支持部材41の突起片41aが通過し、突起片41aが発光部から受光部に照射される光を遮ることで、検知部材50は低レベルであるLO検知信号を出力可能である。一方、突起片41aが検知部50aの光を遮らないことで、検知部材50は高レベルであるHI検知信号を出力可能である。検知部材50がLO検知信号を出力することで、用紙積載板28に載置した用紙の上面が所定の給送位置まで上昇した状態にあることが検知される。尚、検知部材50は、反射型の光センサーで構成してもよい。反射型光センサーは、照射した光を遮るように通過する突起片41aからの反射光を受光することによりLO検知信号を出力可能とする。
【0047】
具体的には、図3に戻り、昇降モーター55が一方向へ回転駆動しギア32を介してリフト板33が上側へ回動することで、用紙積載板28が上昇し、用紙積載板28上の用紙の上面が圧縮バネ42aに抗してピックアップローラー29を押し上げる。ピックアップロー29の上昇により、支持部材41が給紙ローラー30aの回転軸を中心に上側に回動することで、支持部材41の突起片41aが検知部材50の検知部50aに対向し、検知部材50がLO検知信号を出力する。これによって、用紙積載板28の用紙の上面が給送位置にあることが検知され、このLO検知信号に基づいて昇降モーター55の駆動が停止される。尚、昇降モーター55と昇降機構は昇降手段を構成する。
【0048】
次に、ピックアップローラー29と、給紙ローラー30aと、搬送ローラー26aが回転駆動する。ピックアップローラー29によって、用紙積載板28の最上面の用紙Pが給紙ローラー対30に送出される。給紙ローラー対30では、そのニップ部に複数枚の用紙が送られた場合、最上面の用紙Pのみを分離して搬送ローラー対26に向けて用紙Pを搬送し、搬送ローラー対26によって、用紙Pは給紙搬送路71(図1参照)に搬送される。尚、昇降モーター55によって回転するギアは、セクターギア、またはウオームギアであってもよい。
【0049】
図5は用紙積載板28上の用紙がピックアップローラー29から離間した状態を示す概略図である。用紙積載板28上の用紙が搬送され用紙積載板28上の用紙が減少すると、用紙積載板28上の最上面の用紙Pがピックアップローラー29に接触していない状態となる。この状態では、支持部材41は下降した所定の位置で係止され、支持部材41の突起片41aが検知部材50の検知部50aの光路を遮ることがない。検知部材50からHI検知信号が出力され、用紙積載板28上の用紙の上面が給送位置に到達していないことが検知されるので、検知部材50からLO検知信号が出力されるまで、昇降モーター55が一方向へ回転駆動される。これによって、用紙積載板28が上昇し、用紙積載板28上の用紙の上面がピックアップローラー29に接触する給送位置に到着する。
【0050】
次に図6、図7を用いて検知部材50の作動の良否を判定する構成について説明する。図6は、給紙カセット22の装着動作を示す概略側面図であり、図6(a)は給紙カセット22の装着の開始を示し、図6(b)は給紙カセット22の装着の途中を示し、図6(c)は給紙カセット22の装着の完了を示す。図7は検知部材50の作動良否の判定及び昇降モーター55の駆動制御を示すブロック図である。
【0051】
図6に示すように、給紙カセット22には係合部22bが形成される。係合部22bは、給紙カセット22を装置本体1aに装着するとき、支持部材41の突起片41aに係合可能である位置に配置される。具体的には、係合部22bは、給紙カセット22における用紙搬送方向C(図2参照)の下流側の側面部であって、その後面部22e(図2参照)側の端部に配置される。また、係合部22bは、給紙カセット22の側面部から上側に突出し、給紙カセット22の後面部22e側の端部22cが装着方向A側に下る斜面で形成され、一方、その反対側の端部22dが引き出し方向B(図2参照)側に下る斜面で形成される。係合部22bに斜面を設けることで、係合部22bが突起片41aに係合或いは係合を解除するとき、突起片41aが上下方向に移動しやすくなる。
【0052】
図6(a)に示すように、給紙カセット22が矢印A方向にスライドされる前(装置本体1aへの給紙カセット22の装着開始時)には、突起片41aは検知部材50から離間した位置に配置されている。
【0053】
図6(b)に示すように、給紙カセット22をA方向にスライドさせると、係合部22bの端部22cが突起片41aを押し上げ、係合部22bの平端部によって、突起片41aは検知部材50の検知部50aに対向する位置に保持される。この状態では、検知部材50はLO検知信号を出力することが可能であり、検知部材50からLO検知信号が出力される場合、検知部材50は正常に作動していることになり、検知部材50からLO検知信号が出力されない場合、検知部材50が異常であることがわかる。
【0054】
次に、図6(c)に示すように、装着が完了する位置まで給紙カセット22をスライドさせると、突起片41aは、係合部22bの端部22cから滑り落ち、検知部材50の検知部50aから離間する。
【0055】
上記給紙カセット22の装着動作時における突起片41aの作動にともなって、制御部100は検知部材50の作動良否を判定し、良否判定後に昇降モーター55を駆動制御する。
【0056】
図7に示すように、制御部100は、マイクロコンピューターと、RAM、ROM等の記憶部と、RAM及びROMに記憶されたプログラム及びデータと、検知部材50と装着スイッチ98及び操作パネル99等から入力されるデータとに基づき各種演算を行い、また操作パネル99、昇降モーター55等を制御する。
【0057】
装着スイッチ98は、給紙カセット22の装置本体1aへの装着が完了したとき(図6(c)状態のとき)、制御部100にオン信号を出力する。制御部100は、装着スイッチ98からオン信号が出力され、且つ、検知部材50からHI検知信号が出力される場合、昇降モーター55を駆動させる。つまり、制御部100にオン信号が入力されていない場合(図6(a)、図6(b)の状態)、昇降モーター55は回転駆動しない。
【0058】
操作パネル99は、使用者が画像形成の開始を指示し、また、種々のモード、印刷枚数等を選択し、さらに使用者の指示に応じて選択したモード、印刷枚数、警告等を表示することが可能である。本実施形態では、検知部材50の異常状態を警告表示するモードを備える。
【0059】
この警告表示モードでは、例えば、用紙の補充が完了し給紙カセット22を装着するとき、図6(b)の装着途上において、給紙カセット22の係合部22bが突起片41aに係合する。係合部22bの突起片41aへの係合によって、突起片41aが検知部材50に対向した状態で、検知部材50からLO検知信号が出力されるか否かに基づいて、検知部材50の作動の良否が判定される。LO検知信号が制御部100に出力されると、操作パネル99には、検知部材50が良好である旨の表示が行われる一方、LO検知信号が制御部100に出力されない場合、操作パネル99には警告表示が行われる。このように給紙に先立って、検知部材50の良否を簡単に把握することができる。操作パネル99の警告表示に替えて、ブザー等で警告してもよい。
【0060】
給紙カセット22の装着が完了したとき(図6(c)の状態)、給紙カセット22の係合部22bは突起片41aから離間した位置に配置されるために、突起片41aは検知部材50の検知部50aから離間する。従って、検知部材50からHI検知信号が出力され、且つ装着スイッチ98からオン信号が出力されることで、制御部100が昇降モーター55を駆動させる。昇降モーター55の回転駆動によって、用紙積載板28が上昇し、用紙積載板28上の用紙の上面がピックアップローラー29に接触する給送位置に到着する。
【0061】
このように、給紙カセット22の装着が完了したとき、係合部22は突起片41aとの係合が解除されることで、給紙カセット22からの用紙の供給に支障をきたすことなく、検知部材50の作動の良否を判定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に用いる給紙装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができ、特に、給紙カセットに積載された用紙を昇降させる給紙装置及びこれを備えてなる画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 画像形成装置
1a 装置本体
10 画像形成部
20 給紙装置(シート材給送装置)
22〜25 給紙カセット(カセット)
22a 前面部
22b 係合部
22c、22d 端部
22e 後面部
22f ガイドリブ
26 搬送ローラー対
28 用紙積載板(シート材積載部材)
29 ピックアップローラー(送出手段)
30 給紙ローラー対
30a 給紙ローラー
30b 分離ローラー
31 幅方向カーソル
32 ギア(昇降機構、昇降手段)
33 リフト板(昇降機構、昇降手段)
34 後端規制カーソル
41 支持部材
41a 突起片(被検知部材)
42a〜42c 圧縮バネ
50 検知部材
50a 検知部
55 昇降モーター(昇降手段)
70 用紙搬送部
71 給紙搬送路
98 装着スイッチ
99 操作パネル(報知手段)
100 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を上下方向に移動可能とするシート材積載部材と、
該シート材積載部材上に積載されたシート材の最上面に圧接され、圧接面を所定方向に移動させてシート材を送出する送出手段と、
シート材の最上面が前記送出手段に当接する給送位置とシート材の最上面が前記送出手段から離間した離間位置との間で前記シート材積載部材を移動させる昇降手段と、
前記シート材積載部材の移動にともない上下方向に移動可能な被検知部材と、
該被検知部材が所定位置に移動したとき検知信号を出力することが可能である検知部材と、
前記シート材積載部材を移動可能に支持するとともに装置本体に対して着脱可能なカセットと、を備えるシート材給送装置であって、
前記カセットは、前記装置本体に対する装着動作において前記被検知部材を前記所定位置に移動可能とする係合部を有することを特徴とするシート材給送装置。
【請求項2】
前記被検知部材が所定位置にあるとき、シート材は給送位置にあることを特徴とする請求項1に記載のシート材給送装置。
【請求項3】
前記係合部は、装置本体に対して前記カセットの装着が完了したとき、前記被検知部材との係合が解除されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシート材給送装置。
【請求項4】
前記カセットが装置本体に装着されるとき、前記検知部材が前記被検知部材を検知しない場合に異常状態を報知する報知手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のシート材給送装置。
【請求項5】
前記昇降手段は、給送位置と離間位置との間で前記シート材積載部材を昇降させる昇降機構と、該昇降機構を駆動させる昇降モーターと、を備え、
前記被検知部材が前記所定位置に移動したとき、前記昇降モーターは駆動を停止することが可能となることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のシート材給送装置。
【請求項6】
前記送出手段を回転可能に支持するとともに前記被検知部材が固設され、装置本体に対して回動可能な支持部材を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のシート材給送装置。
【請求項7】
前記カセットは、用紙搬送方向と直角方向に装置本体に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のシート材給送装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載のシート材給送装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−1556(P2013−1556A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137510(P2011−137510)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】