説明

シート状物収納ケース

【課題】蓋体の開放時においても水滴やゴミの付着、飛散、脱落等を防止し、シート状物の取り出しを破れや割れ、皺寄り等を発生させることなく円滑確実に行うことができ、取り扱いも簡便なシート状物収納ケースを提供すること。
【解決手段】開口部5を有するケース本体6と、ケース本体6にヒンジ部7を介して連結された外蓋8とを備え、ケース本体6に積層状態に収納したシート状物2を一枚ずつ外蓋8に付着させて取り出すようにしたシート状物収納ケースにおいて、ケース本体6に収納したシート状物2の、外蓋8の遊端側に対応する端部を全幅に亘って露出させるように残してケース本体6の開口部5を塞ぐ中蓋9が、ケース本体6と外蓋8との間に設けられ、前記外蓋8を閉じたときに、中蓋9で塞がれずに露出しているシート状物2の端部を外蓋8に付着させるように、前記外蓋8の遊端側内面に粘着体13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙石鹸、化粧用脂とり紙、化粧拭き取りシート、レンズ用クリーンペーパー、葉書、メモ用紙、案内状等のシート状物を積層状態で収納し、該シート状物を1枚ずつ取り出せるようにしたシート状物収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記シート状物を積層状態で収納し、最上部から1枚ずつ取り出せるようにしたシート状物収納容器乃至ケースが種々公知である。それらのうち、本発明に近い発想のものとして、特許文献1及び2を代表公知例として説明する。
特許文献1のものは、シート状物を積層状態で収納するケース本体と、該ケース本体に開閉可能に枢着された蓋体と、該蓋体の内面中央部に下向きに突出状態で上下方向に弾性変形可能に取り付けられた弾性片と、該弾性片の下面に取り付けられた粘着体とからなり、蓋体をケース本体上に閉じることによって粘着体を弾性片により最上部のシート状物に圧接し、蓋体を開放することによって最上部のシート状物を粘着体に粘着させてケース本体から取り出すようにしている。
【0003】
また、特許文献2のものは、長方形の紙材を三つ折りしてカバー層、収納層及び底面層の三層からなる折り畳み方式の容器とし、シート状物を収納層と底面層との間に積層状態で収納し、カバー層の内面には粘着部を設け、収納層には該粘着部に対応して開口部を設け、カバー層の開閉により最上部のシート状物を粘着部に粘着させて収納層の開口部から取り出すようにしている。
【特許文献1】実公昭58−31819号公報
【特許文献2】登録実用新案第3006690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のものは、蓋体を開放した際、ケース本体内に積層状態で収納されているシート状物の上面はカバーがなく、脱落を規制する手段もないため、ケース本体内のシート状物に水滴やゴミが付着するのみならず、シート状物が風で吹き飛ばされたり、ケース本体から脱落する等の点で問題があった。
また、特許文献2のものは、収納されたシート状物の中央部に対応する位置に収納層の開口部を形成しているため、カバー層を開放して粘着部に粘着させたシート状物を取り出す際、シート状物の周辺部分を中央部に引き寄せて開口部から絞り出す様にしなければならず、シート状物に破れや割れ、皺寄り等が発生し易いという点で問題があった。なお、開口部を大きくすれば、上記問題点はある程度、改善されるが、カバー層を開放した際、水滴やゴミが付着し易いという問題点があった。さらに、特許文献2のものは、特許文献1における弾性片に相当するものがなく、カバー層を開閉しただけでは、シート状物を粘着部に確実に粘着させることができない。そのため、カバー層を開閉し直して手指でカバー層を収納層の開口部に向けて押し付ける手間がかかり、また、シート状物の収納枚数が減少してくると手指によるカバー層の押し付けを段々に大きくしなければならず、取り扱いが煩瑣となる問題点があった。また、特許文献2のものは、収納層及び底面層に耳部を設け、これらの耳部を折り重ねて袋状とするものであるから、収納層自体は自由に開閉できず、シート状物の充填・補充時、全体を一旦解体展開して折り畳み直す必要があり、この点においても、取り扱いが煩瑣となる問題点があった。
【0005】
本発明は、蓋体の開放時においても水滴やゴミの付着、飛散、脱落等を防止し、シート状物の取り出しを破れや割れ、皺寄り等を発生させることなく円滑確実に行うことができ、取り扱いも簡便なシート状物収納ケースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明は、開口部を有するケース本体と、該ケース本体の開口部を開閉自在に閉じるようにケース本体にヒンジ部を介して連結された外蓋とを備え、ケース本体に積層状態に収納したシート状物を一枚ずつ外蓋に付着させて外蓋の開放動作に伴って取り出すようにしたシート状物収納ケースにおいて、前記ケース本体に収納したシート状物の、外蓋の遊端側に対応する端部を全幅に亘って露出させるように残してケース本体の開口部を塞ぐ中蓋が、ケース本体と外蓋との間に設けられ、前記外蓋を閉じたときに、中蓋で塞がれずに露出しているシート状物の端部を外蓋に付着させるように、前記外蓋の遊端側内面に粘着体が設けられていることを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、外蓋の開放時においても中蓋によってケース本体の開口部が外蓋の遊端側の露出部分を除いて被覆されているため、ケース本体に収納されているシート状物に水滴やゴミ等が付着することが防止され、また、風等でシート状物が飛散することもなく、さらに、ケース本体の反転や傾斜時等でもシート状物がケース本体から脱落することも防止される。しかも、シート状物の取り出し時、ケース本体の最上部のシート状物の一端側を粘着体に粘着させて取り出すことができるため、シート状物の周辺を中央部に集めて絞り出すような無理な力が発生せず、シート状物の取り出しを破れや割れ、皺寄り等を発生させることなく円滑確実に行うことができる。
【0008】
前記ケース本体の底面には、前記外蓋の遊端側内面の粘着体に対応してシート状物の押し上げ部を備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、外蓋の閉鎖時、外蓋とケース本体底面とを指で上下から挟んで閉鎖することになり、この時にケース本体の底面の押し上げ部に下方から外蓋に向けて上向きの力が加わり、これによって、ケース本体に収納されたシート状物が押し上げ部で押し上げられ、最上部のシート状物が中蓋の一端で形成される露出部を通して外蓋の遊端側内面の粘着体に粘着し、次回の取り出しに備えさせることができる。
【0009】
前記中蓋は、ケース本体の開口部を開閉自在に塞ぐようにケース本体に設けられていることを特徴としている。この構成によれば、ケース本体にシート状物を充填したり、補充したりするとき、中蓋を開放して容易に行うことができ、取り扱いも簡便なシート状物収納ケースを提供することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、蓋体の開放時においても水滴やゴミの付着、飛散、脱落等を防止し、シート状物の取り出しを破れや割れ、皺寄り等を発生させることなく円滑確実に行うことができ、取り扱いも簡便なシート状物収納ケースを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係るシート状物収納ケース1は、図1〜図5に示すように、多数のシート状物2を積層状態で収納するために該シート状物2の平面形状と略同様な平面形状の底壁3及び該底壁3の周縁より起立する周壁4で囲繞され上面が開口部5とされたケース本体6と、該ケース本体6の開口部5の上部を被覆するべく前記ケース本体6にヒンジ部7を介して開閉可能に設置された外蓋8と、前記外蓋8の内側で前記ケース本体6の開口部5の上部を一端側、即ち、外蓋8の遊端(反ヒンジ部)側端部で全幅に亘って露出部分12を残して塞ぐ中蓋9とを有している。
【0012】
中蓋9は、前記ケース本体6にヒンジ部10を介して開閉可能に設置されていると共に、前記外蓋8の遊端側に対応する前記中蓋9の一端部11はケース本体6の開口部5の上部に露出部分12を形成するように短くされ、この露出部分12に対応する前記外蓋8の遊端側内面に粘着体13を設置し、前記外蓋8の開放時、ケース本体6の開口部5に収納された最上部のシート状物2の一端側を前記外蓋8の遊端側内面の前記粘着体13に粘着させて前記ケース本体6の開口部5の上部一端側から取り出すようにしている。
外蓋8の遊端側内面と、これに対応するケース本体6の開口部5の外面とには、係止用凹凸部14,15が形成されており、これらによって、外蓋8をケース本体6の開口部5の上面を被覆するように閉鎖させたとき、その閉鎖状態を保持させるようにしている。
【0013】
また、中蓋9の遊端(反ヒンジ部)側外面と、ケース本体6の開口部5の内面とには、係止用凹凸部16,17が形成されており、これらによって、中蓋9をケース本体6の開口部5の上面を被覆するように閉鎖させたとき、その閉鎖状態を保持させるようにしている。
外蓋8は、中蓋9の上からケース本体6の開口部5の上部を閉鎖するように構成されており、そのために、外蓋8は天板部8aと、天板部8aの周縁に一体的に起立形成された短い高さの周壁部8bとを備えている。また、中蓋9のヒンジ部10に対応する外蓋8の周壁部8bには該ヒンジ部10に嵌合する切り欠き部8cが形成され、外蓋8の閉鎖時の気密性を高めている。
【0014】
外蓋8のヒンジ部7及び中蓋9のヒンジ部10は、ポリプロピレンその他のプラスチック材料によりケース本体6と一体的に延長形成された部分を一部薄肉化して形成されている。
粘着体13は、両面粘着テープを貼り付けており、そのために、外蓋8の遊端側内面の該当部分には、凸部8dが形成されている。なお、粘着体13に使用される粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系や、ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の各種粘着剤に、微細球状のエラストマー重合体(天然ゴム等)を含有するものが挙げられる。
【0015】
前記ケース本体6の開口部5は、前記外蓋8の遊端側内面の粘着体13の設置位置に対応する位置の底面にシート状物2の押し上げ部18を備えている。この押し上げ部18は、基部18aを除く周縁が切り目状のスリット18bでケース本体6の底壁3から分離されており、基部18aには凹円弧状の薄肉部が形成されて弾性復元力が付与されている。
また、前記ケース本体6は、平面視で矩形状とされ、前記露出部分12は中蓋9の一端部11の全幅に亘って細幅状に形成されている。
本発明に係るシート状物収納ケース1の実施形態の構成は、以上からなり、次に、その使用状態を説明する。
【0016】
本発明の実施形態に係るシート状物収納ケース1は、外蓋8の開放時においても中蓋9によってケース本体6の開口部5の上部が外蓋8の遊端側端部の露出部分12を除いて被覆されるため、ケース本体6に収納されているシート状物2に水滴やゴミ等が付着することが防止され、また、風等でシート状物2が飛散することもなく、さらに、ケース本体6の反転や傾斜時等でもシート状物2がケース本体6から脱落することも防止される。しかも、シート状物2の取り出し時、外蓋8の遊端側に対応する中蓋9の一端部11で形成された露出部分12を通してケース本体6内の最上部のシート状物2をその端部で粘着体13に粘着させて取り出すことができるため、シート状物2の周辺を中央部に集めて絞り出すような無理な力が発生せず、シート状物2の取り出しを破れや割れ、皺寄り等を発生させることなく円滑確実に行うことができる。また、中蓋9はケース本体6に対して開閉可能としてあるため、ケース本体6にシート状物2を充填したり、補充したりするとき、中蓋9を開放して容易に行うことができ、取り扱いも簡便なシート状物収納ケース1を提供することができる。
【0017】
また、前記ケース本体6は、前記外蓋8の遊端側内面の粘着体13の設置位置に対応する位置の底面にシート状物2の押し上げ部18を備えているため、外蓋8の閉鎖時、外蓋8とケース本体6の底面とを指で上下から挟んで閉鎖することになり、この時にケース本体6の底面の押し上げ部18に下方から外蓋8に向けて上向きの力が加わり、これによって、ケース本体6内に収納されたシート状物2が押し上げ部18で押し上げられ、最上部のシート状物2が中蓋9で塞がれずに残っている露出部分12を通して外蓋8の遊端側内面の粘着体13に粘着し、次回の取り出しに備えさせることができる。
【0018】
また、前記ケース本体6は、平面視で矩形状とされ、前記中蓋9の一端部11で塞がずに残した露出部分12は中蓋9の一端部11の全幅に亘って細幅状に形成されているため、外蓋8の開放時、シート状物2を外蓋8の遊端側端部内面の粘着体13に粘着させてスムーズに取り出すことができる。これによって、シート状物2を破れや割れ、皺寄り等を発生させることなく円滑に取り出すことができる。
本発明の実施形態は以上からなるが、本発明は、上記実施形態にのみ制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載された意味と範囲内において種々改変して実施することができる。例えば、ケース本体6の平面形状は、矩形の場合を例示したが、矩形以外の円形や多角形としてもよく、この場合における露出部分12は外蓋8の遊端側における約半周分程度の範囲に形成するのが好ましい。また、ケース本体6に対して外蓋8及び中蓋9はプラスチック材料で一体成型し、ヒンジ部7,10を薄肉部として外蓋8及び中蓋9をケース本体6に対して開閉可能とした場合を例示しているが、それぞれ別体とし、ヒンジピンで接続するようにしてもよい。それぞれ別体とする場合、それぞれをプラスチック材料で構成する場合だけでなく、金属材料で構成したものと組み合わせてもよい。また、各部を異なる色彩としてもよく、外蓋8及び中蓋9の外面には、種々の凹凸模様や植物、動物、その他のプリント模様等の装飾を施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るシート状物収納ケースの外蓋及び中蓋開放状態における概略斜視図である。
【図2】(A)は本発明に係るシート状物収納ケースの外蓋及び中蓋開放状態における平面図、(B)はその正面図、(C)は(A)の中央縦断正面図である。
【図3】(A)は本発明に係るシート状物収納ケースの底面図、(B)は平面図、(C)は側面図、(D)は中央縦断側面図、(E)は部分拡大断面図である。
【図4】(A)は本発明に係るシート状物収納ケースの外蓋を省略した中蓋開放状態の側面図、(B)は中蓋閉鎖状態の一部破断側面図、(C)は部分拡大断面図である。
【図5】(A)(B)(C)(D)は本発明に係るシート状物収納ケースのシート状物取り出し時の動作順序説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 シート状物収納ケース
2 シート状物
6 ケース本体
7 ヒンジ部
8 外蓋
9 中蓋
10 ヒンジ部
12 露出部分
13 粘着体
18 押し上げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するケース本体と、該ケース本体の開口部を開閉自在に閉じるようにケース本体にヒンジ部を介して連結された外蓋とを備え、ケース本体に積層状態に収納したシート状物を一枚ずつ外蓋に付着させて外蓋の開放動作に伴って取り出すようにしたシート状物収納ケースにおいて、
前記ケース本体に収納したシート状物の、外蓋の遊端側に対応する端部を全幅に亘って露出させるように残してケース本体の開口部を塞ぐ中蓋が、ケース本体と外蓋との間に設けられ、前記外蓋を閉じたときに、中蓋で塞がれずに露出しているシート状物の端部を外蓋に付着させるように、前記外蓋の遊端側内面に粘着体が設けられていることを特徴とするシート状物収納ケース。
【請求項2】
前記ケース本体の底面には、前記外蓋の遊端側内面の粘着体に対応してシート状物の押し上げ部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート状物収納ケース。
【請求項3】
前記中蓋は、ケース本体の開口部を開閉自在に塞ぐようにケース本体に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状物収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−62706(P2006−62706A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247442(P2004−247442)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000241625)エム・エフ・ヴィ株式会社 (22)
【出願人】(000180807)資生堂ホネケーキ工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】