説明

シート積載装置及び画像形成装置

【課題】高速で、かつ高精度でシートを安定して積載することのできるシート積載装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート排出手段132によりシート積載部112に向けて排出されたシートSを、移送ユニット115により、シート積載部上の所定位置に移送する。そして、所定位置に移送されたシートを、移送ユニット115の移送動作の継続によって所定位置を保持しながら、押圧部材122a〜122cによりシート積載部側に押え付けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート積載装置及び画像形成装置に関し、特に画像形成装置本体から高速で排出されるシートを高精度に積載するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、シートに画像を形成する画像形成装置においては、技術の進歩により画像形成の高速化が図られている。そして、このような画像形成の高速化に伴い画像形成装置本体から排出されるシートも高速化しており、この結果、排出されたシートを積載する大容量のシート積載装置においても大容量だけでなく高精度なシートの積載が求められるようになって来ている。
【0003】
そこで、このようなシート積載装置においては、排出されたシートを押圧部材によってシート積載台側に押し付けることにより、シートを素早く落下させるようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0004】
図10は、このような従来の大容量のシート積載装置の構成を示すものである。このシート積載装置は、時計回りに回転する搬送ベルト508に取り付けられ、シート先端部を保持しながら搬送ベルト508と一体に移動することにより、シートを搬送するグリッパ503を備えている。また、シート積載台505に積載されたシートの先端部及び後端部を押圧する先端押圧部材506及び後端押圧部材507を備えている。
【0005】
このような構成のシート積載装置において、不図示の画像形成装置から排紙されたシートは、入口ローラ501により受け取られた後、搬送ローラ502によりシート先端がグリッパ503に受け渡される。この後、搬送ベルト508が回転し、これに伴いグリッパ503は、搬送ベルト508と共にシート先端部を保持しながら搬送ベルト508と一体に移動し、これによりシートはシート積載台505の上方に沿って搬送される。
【0006】
この後、シート先端が先端ストッパ504に衝突すると、グリッパ503による保持が解除され、シートはシート積載台505の上に落下し、所定枚数のシートが積載されていく。なお、このようにシートが積載される毎に、不図示の整合手段により、シート搬送方向と直交する方向(以下、幅方向という)のシート端部を揃える様にジョギング処理することでシートの整列性を向上させている。
【0007】
なお、高速にシートを積載しようとした場合、次のシートの先端部とシート積載台505に積載されるシートの後端部が干渉してジャムを発生するおそれがある。このため、シート積載中は、先端押圧部材506と後端押圧部材507によってシートの先端部及び後端部をシート積載台側に押し付けることにより、排紙されたシートがシート積載台505に素早く落下するようにしていた。
【0008】
つまり、高速にシートを積載する場合、先端押圧部材506と後端押圧部材507とによってシート積載台505に落下中のシートの先端部及び後端部をシート積載台505に押し付けることにより、次のシートが排出された際の邪魔にならない様にしている。
【0009】
【特許文献1】特開2006−124052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来のシート積載装置及びこれを備えた画像形成装置において、先端及び後端押圧部材506,507によりシートをシート積載台側に押し付ける場合、シートがシート積載台505まで落下する間は、落下軌跡が定められていない。このため、落下した後のシートの積載位置精度が著しく悪くなる。
【0011】
特に、シートの積載を高速化しようとして後端押圧部材507による押圧を優先すると、シートが積載壁Yにもたれた状態でシートが押えられる場合があり、このような場合、シートにダメージを与えるだけでなく、積載精度も悪くする。
【0012】
また、先端押圧部材506によりシート先端部を押える構成として予め先端押圧部材506を符号506’に示す位置に待機させ、回動中心Xを中心に反時計回りに回動させる構成の場合、シートを押える際、シートには図中右方向に押える力も働くことになる。
【0013】
このように、先端押圧部材506によりシートの先端部を押える場合、シートにはシート積載台505に押える力だけでなく、図中右方向に押える力も働くことから、シート先端部が捲られるようになる。この結果、積載精度を悪化させるばかりでなく、シートに不要なカールが生じる。
【0014】
つまり、シート積載台505まで落下するシートを、単に先端及び後端押圧部材506,507で押えるようにすると、高精度でシートを安定して積載することができない。
【0015】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、高速で、かつ高精度でシートを安定して積載することのできるシート積載装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、シートを排出するシート排出手段と、前記シート排出手段から排出されたシートを積載するシート積載部と、シートをシート積載部上の所定位置に移送する移送手段と、前記移送手段により前記所定位置に移送されたシートを前記シート積載部のシート積載面に向かって押し付ける押圧部材と、を備え、前記移送手段の移送動作の継続により、シートを前記所定位置に保持しながら、前記押圧部材によりシートを前記シート積載面に向かって押し付けることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のように、シート排出手段により排出されたシートを、移送手段の移送動作の継続によって整合状態を保持しながら、押圧部材によってシート積載面に押し付けるようにすることにより、高速で、かつ高精度でシートを安定して積載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るシート積載装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。
【0020】
図1において、900は画像形成装置、901は画像形成装置本体である。画像形成装置本体901には、スキャナユニット955及びイメージセンサ954を備えた画像読取装置951、シートに画像を形成する画像形成部902、両面装置953、プラテンガラス952等が設けられている。また、画像形成装置本体901の上面には、原稿をプラテンガラス952に給送する原稿給送装置950が設けられている。
【0021】
画像形成部902には、円筒状の感光ドラム906、帯電器907、現像器909、クリーニング装置913等がそれぞれ備えられており、さらに画像形成部902の下流側には定着装置912、排出ローラ対914等が配設されている。また、この画像形成装置本体901には、画像形成装置本体901から、画像形成後、排出される画像形成済みのシートを積載するシート積載装置であるスタッカ100が接続されている。なお、960は画像形成装置本体901及びスタッカ100の制御を司る制御部である。
【0022】
次に、このような構成の画像形成装置本体901の画像形成動作について説明する。
【0023】
制御部960から画像形成信号が出力されると、まず原稿給送装置950によりプラテンガラス952上に原稿が載置され、この原稿画像が画像読取装置951により読み取られ、読み取られたデジタルデータは露光手段908に入力される。そして、露光手段908により、このデジタルデータに応じた光が感光ドラム906に照射される。
【0024】
このとき、感光ドラム906の表面は帯電器907により一様に帯電されており、このように光が照射されると、感光ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像器909により現像することにより、感光ドラム表面にトナー像が形成される。
【0025】
一方、制御部960から給紙信号が出力されると、まずカセット902a〜902eにセットされたシートSが給紙ローラ903a〜903e、搬送ローラ対904によってレジストローラ910まで搬送される。
【0026】
次に、シートSは、レジストローラ910によってシート先端と感光ドラム906のトナー像の先端を合わせるようなタイミングで帯電器905を備えた転写部まで搬送される。そして、この転写部において、シートSに転写バイアスが帯電器905により印加されることにより、感光ドラム906上のトナー像がシート側に転写される。
【0027】
次に、トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト911によって定着装置912まで搬送された後、定着装置912の加熱ローラと加圧ローラに挟持搬送される際に、トナー像が熱定着される。この時、感光ドラム906上ではシートに転写されずに付着している残存トナー等の異物がクリーニング装置913のブレードにより掻き落とされており、この結果、感光ドラム906の表面がクリアーとなり、次の画像形成に備えることができる。
【0028】
定着されたシートは、そのまま排出ローラ対914によりスタッカ100に搬送されるか、フラッパ915により両面装置953に搬送され、画像形成される面を反転して再度画像形成が行われることになる。
【0029】
図2は、制御部960の構成を示すブロック図である。制御部960は、CPU回路部206を有し、CPU回路部206は、不図示のCPU、ROM207、RAM208を内蔵している。そして、ROM207に格納されている制御プログラムによりDF(原稿給紙)制御部202、操作部209、イメージリーダ制御部203、画像信号制御部204、プリンタ制御部205、スタッカ制御部210を総括的に制御する。RAM208は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
【0030】
DF(原稿給紙)制御部202は、原稿給送装置950をCPU回路部206からの指示に基づき駆動制御するものである。イメージリーダ制御部203は、画像読取装置951に設けられたスキャナユニット955及びイメージセンサ954等に対する駆動制御を行い、イメージセンサ954から出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部204に転送するものである。
【0031】
画像信号制御部204は、イメージセンサ954からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部205に出力するものである。
【0032】
また、コンピュータ200、或は外部から外部I/F201を介して入力されたデジタル画像信号に対して各種処理を施すと共に、デジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部205に出力するものである。なお、この画像信号制御部204による処理動作は、CPU回路部206により制御される。
【0033】
プリンタ制御部205は、入力されたビデオ信号に基づいて不図示の露光制御部を介して露光手段908を駆動するものである。操作部209は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを有している。そして、各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部206に出力すると共に、CPU回路部206からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示するものである。
【0034】
スタッカ制御部210はスタッカ100に搭載され、CPU回路部206と情報のやり取りを行うことによってスタッカ全体の駆動制御を行う。この制御内容については後述する。なお、スタッカ制御部210を画像形成装置本体901側のCPU回路部206に一体的に組み込み、画像形成装置本体901から直接スタッカ100を制御するようにしてもよい。
【0035】
図3は、スタッカ100の構成を示す図である。スタッカ100は、その上面に画像形成装置本体901から排出されたシートを積載するためのトップトレイ106を備えている。また、シートを積載するためのシート積載部であるスタッカトレイ112を備えたスタック部130と、スタッカ100内に搬送されたシートSを、トップトレイ106又はスタック部130に向かわせる切換えフラッパ103とを備えている。
【0036】
なお、図3において、108は出口切換えフラッパであり、シート排出先が下流の不図示のシート処理装置の場合は、不図示のソレノイドにより駆動され、破線の位置に移動する。
【0037】
次に、スタッカ100のスタッカ制御部210における基本制御について図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0038】
画像形成装置本体901から排紙されたシートSは、スタッカ100の入口ローラ対101により内部に搬送され、搬送ローラ対102により切換えフラッパ103まで搬送される。
【0039】
なお、スタッカ制御部210にはシートが搬送される前に、画像形成装置本体901の制御部960(のCPU回路部206)から予めシートの情報、例えばシートサイズ、紙種及びシートの排出先の情報等が送られて来ている。
【0040】
ここで、スタッカ制御部210は制御部960から送られてきたシートの排出先を判断する(S101)。シートの排出先がトップトレイ106の場合は(S110)、不図示のソレノイドを介して切換えフラッパ103を駆動し(S111)、図3に示す破線の位置に移動する。これにより、シートSは搬送ローラ対104に導かれ、この後、トップトレイ排紙ローラ105によりトップトレイ106へ排紙され(S112)、積載される。
【0041】
排出先がスタッカトレイ112(スタック部130)の場合は(S120)、搬送ローラ対102により搬送されたシートは、搬送ローラ対107及び排出ローラ110によりスタッカトレイ112へ排紙され(S121)、積載される。
【0042】
シート排出先が下流のシート処理装置の場合は(S130)、出口切換えフラッパ108を不図示のソレノイドにより駆動し(S131)、図3に示す破線の位置に移動する。これにより、搬送ローラ対102により搬送されてきたシートは、搬送ローラ対107により搬送され、出口ローラ対109に導かれた後で、下流のシート処理装置に搬送される。
【0043】
ここで、スタック部130のスタッカトレイ112は、図3に示すように、不図示の駆動手段により矢印C及びDに示す上下方向に独立で移動可能に配置されている。
【0044】
また、図3において、115はシートをシート排出方向下流側に移送する移送手段としての移送ユニットである。この移送ユニット115は、不図示の駆動手段により反時計回りに回転し、排出されたシートをスタッカトレイ112のシート排出方向(シート移送方向)下流側に移送するためのローレットベルト116を具備している。
【0045】
また、この移送ユニット115には、排出されたシートをローレットベルト116に案内するようテーパ面115bが形成され、移送されたシートのシート排出方向下流端を所定位置に位置決めする突当て部である先端ストッパ121を具備している。
【0046】
そして、このローレットベルト116により、シートを、シートのシート排出方向下流端(移送方向下流側端)を先端ストッパ121に突き当てるまで移送するようになっている。つまり、ローレットベルト116により、シートをスタッカトレイ上(シート積載部上)の所定位置である先端ストッパ121に突き当たる位置まで移送するようにしている。なお、移送ユニット115は摺動軸118に沿って矢印A・B方向に移動可能に取付けられており、シートサイズ(シートの排出方向の長さ)に応じた位置まで不図示の駆動手段により移動することができる。
【0047】
117は、移送ユニット115とシート上面との距離を一定に保つために設けられた紙面検知センサである。なお、スタッカトレイ112上の積載シートの紙面検知は、この紙面検知センサ117のみで行うことは無く、スタック部130の拡大図である図5に示す紙面検知センサ113により検知する場合もある。
【0048】
この紙面検知センサ113は、初期動作時にはスタッカトレイ112のホームポジション検知センサとして用いられ、積載動作中はスタッカトレイ112の紙面検知センサの役目を果たすことになる。なお、図5において、スタッカトレイ112は、紙面検知センサ113によりシートを積載するためのホームポジションに位置している。
【0049】
図5において、131は駆動ローラ131aと、従動ローラ131bに巻き付けられ、不図示の駆動手段により反時計回り方向に回転移動可能になっている駆動ベルトである。114a、114bは、駆動ベルト上に取付けられ、シートのシート排出方向上流側端部である先端部を挟持(保持)して搬送するグリッパである。このグリッパ114a,114bと駆動ベルト131は、スタッカトレイ112から離間して設けられ、シートをスタッカトレイ112に沿って搬送し、スタッカトレイ112上に排出するシート排出手段132が構成される。
【0050】
このグリッパ114a,114bは、不図示の捩りコイルばねにより時計回り方向に付勢された状態で駆動ベルト上に取付けられている。なお、このグリッパ114a,114bは、不図示の駆動手段により駆動され、シートを保持する位置と、シートの保持を解除する位置に移動可能となっている。
【0051】
さらに、スタッカトレイ112の上方には、スタッカトレイ112に排紙されたシートを押し付けるための上下方向に移動可能な複数の押圧部材122a〜122cを備えた押圧部122が配置されている。また、図5において、111は排出ローラ110の上流に配置されているタイミングセンサであり、このタイミングセンサ111によりシート先端部の通過タイミングが検知される。119は、シートのシート排出方向と直交する方向の端部を整合する整合手段としての整合板である。
【0052】
このような構成のスタック部130において、画像形成装置本体901からのシートSが既述したシート搬送制御動作により、排出ローラ110まで搬送されると、タイミングセンサ111によりシート先端部の通過が検知される。このタイミングセンサ111によるシート先端部通過検知タイミングに応じて、停止待機しているグリッパ114a,114bのうちの一方、例えばグリッパ114aが不図示の駆動手段により駆動され、シート先端部を挟持(保持)する。
【0053】
この後、駆動ベルト131が反時計方向に駆動され、これに伴いグリッパ114aがシート先端部を挟持しながら駆動ベルト131と一体に移動し、これによりシートがスタッカトレイ上方をスタッカトレイ112に沿って搬送される。
【0054】
やがて、図6に示すように、グリッパ114aが移送ユニット115のグリッパ側に形成されたテーパ面115bを通過すると、グリッパ114aはシートの挟持を解除するように駆動される。これにより、シートSはテーパ面115bにより先端がスタッカトレイ112側に案内されながら搬送され、ローレットベルト116に導かれる。
【0055】
なお、このときシートは、搬送される際の慣性力により、ローレットベルト116に当接する。この後、ローレットベルト116により、図7に示すようにシートSの先端部が先端ストッパ121に突き当たるまで搬送され、シートのシート排出方向下流端が整列された状態で積載される。
【0056】
なお、この状態でもローレットベルト116はシートSを移送する方向に回転を継続しており、これによりシートSには、常に先端ストッパ121に押し付けられる力が加えられている。ここで、ローレットベルト116は、このようにシートSを移送する動作が継続されていても、シートSの先端部が先端ストッパ121に突き当たった状態ではスリップし、シートに対して過度の引込み力が生じないように構成されている。このため、ローレットベルト116が駆動されていても、シートが捲られることはない。
【0057】
次に、図8に示すように、この状態で押圧部材122a〜122cが同時に不図示のソレノイド等の駆動手段によりスタッカトレイ112のシート積載面112aに向かって略垂直方向に一旦下降し、シートSを既積載シート側に押し付ける。
【0058】
これにより、シート積載領域の全域においてシートSと既積載紙間にあったエアを抜く効果が得られ、高速で、かつシートSを安定して積載することができ、スタッカトレイ112上のシート束の積載状態が良好なものとなる。また、カールした状態で排出されたシートSのカールも矯正され、積載性が向上する。
【0059】
なお、このように押圧部材122a〜122cによりシートSが一旦であっても押し付けられた場合、あるいは押圧状態を解除した場合、その衝撃によりシートSが先端ストッパ121から離間する方向に移動する場合がある。しかし、この場合でも、ローレットベルト116が回転しているので、その回転力によりシートSは所定位置に保持され、良好な積載状態が維持される。
【0060】
なお、良好な積載状態を維持するために先端ストッパ121に突き当てられるのはシート排出方向の先端に限定されない。例えば、排出されたシートをシート排出方向と異なる、シート排出方向に対して逆方向、あるいはシート排出方向に対して直交する方向に移送するように構成した場合は、シートのシート排出方向の後端や、側端を付き当て部に付き当てるようにする。
【0061】
また、ローレットベルト116がシートSを移送する方向に回転を継続しているので、例え衝撃が大きく、整合状態が乱れるような事があってもシートはすぐに元の所定の整合位置に戻ることができる。なお、ローレットベルト116の回転力(移送力)は、ローレットベルト116により所定位置に保持された状態となったとき、シートを変形させない程度に設定される。
【0062】
この後、押圧部材122a〜122cは駆動手段により上方のホームポジションに戻り、このように押圧部材122a〜122cがホームポジションに戻った後、整合板119によりシート束のシート排出方向と直交する幅方向端部の整合が行われる。なお、整合板119は、シート束を整合した後、所定量退避し、新たなシートが搬送されてくるのを待つ。これにより、後続シートのシート排出方向下流端は、先行して排出されたシートのシート排出方向上流端と衝突することなく、スタッカトレイ112上に排出される。
【0063】
ここで、スタッカ制御部210は、紙面検知センサ117,113を介して積載されたシートの上面を常時監視している。そして、移送ユニット115と積載シート上面との間隔が所定量よりも狭くなった場合には、不図示のスタッカトレイ駆動手段によりスタッカトレイ112を所定量下降させ、移送ユニット115と紙面距離が一定になる様に制御する。この動作を繰り返すことにより、スタッカトレイ112に順次シートを積載して行くことができる。
【0064】
なお、この後、排出ローラ110から排紙されたシートSの排紙枚数、あるいはスタッカトレイ112に積載されたシートの積載高さを検知する不図示の検知手段等によりスタッカトレイ112上のシートの満載が検知される。
【0065】
枚数カウントにより満載と検知されても、シートSと既積載紙間にあったエアを抜く、又はカールを矯正することによりシートの積載高さを低く抑え、次に排紙されるシートと既積載シートとの衝突を防止する。あるいはエア抜き、カール矯正により低くなったシートの上面が検知手段に検知されるまでスタッカトレイ112を上昇させる。このようにしてエア、カールの影響により積載されるシートの積載許容枚数が減少するのを防止できる。
【0066】
スタッカトレイ112上のシートが満載になった場合には、スタッカ制御部210はスタッカトレイ112を下降させ、スタッカトレイ112ごと積載されたシートを運搬するドリー120上に固定する。この後、オペレータによりスタッカ100から画像が形成されたシート束が搬出されることになる。
【0067】
なお、スタッカトレイ112上のシート束が取除かれた後で再びドリー120とスタッカトレイ112がスタッカ100に取付けられると、スタッカトレイ112は上昇して図3の状態に再び戻り、新たなシートを受入れる。
【0068】
このように、シートを先端ストッパ121に突き当てた状態で、移送ユニット115により移送動作を継続しながら、押圧部材122a〜122cによりシート積載面112aに押し付けることにより、高速、かつ高精度でシートを安定して積載することができる。
【0069】
なお、本実施の形態では、シートSがローレットベルト116により先端ストッパ121に突き当てられてから、押圧部材122a〜122cによりシートを押し付けた後、整合板119によりシートSを整合する場合について説明を行った。
【0070】
しかし、本発明は、このシーケンスに限定されるものではない。例えば、ローレットベルト116によりシートSを先端ストッパ121に突き当て、整合板119によりシート排出方向と直交する幅方向の整合をした後、押圧部材122a〜122cによりシートSを押し付けても同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、シートSをローレットベルト116により先端ストッパ121の方向に移送しながらシートを押圧部材122a〜122cにより一旦押え付けるようにしても同様の効果を得ることができる。
【0072】
さらに、シートSの先端部が先端ストッパ121に突き当たった後、移送方向に複数設けられた押圧部材122a〜122cを、図9に示すようにストッパ側(突き当て部側)の押圧部材122cから順次スタッカトレイ側に下降させるようにしても良い。
【0073】
即ち、不図示のソレノイド等の駆動手段により押圧部材122c→押圧部材122b→押圧部材122aの順にタイミングをずらしながら下降させ、シートSを既積載紙側に順次押し付けるようにしても良い。なお、これは複数の押圧部材122a〜122cを同時に作動させた場合、シートSと既積載紙間のエアの逃げ場がなくなり、エアが抜けにくくなる可能性があるからである。
【0074】
このように構成することにより、シートSの整合状態を保ったままシートSと既積載紙間にあったエアを先端ストッパ121側から反対側の端部に向かって順に抜くことができ、スタッカトレイ112上のシート束の積載状態が良好なものとなる。
【0075】
この後、押圧部材122a〜122cを上方のホームポジションまで退避させた後、整合板119によりシートのシート排出方向と直交する幅方向端部の整合が行われる。これにより、後続シートの先端は、先行して排出されたシートの後端と衝突することなく、スタッカトレイ112上に排出される。
【0076】
なお、本実施の形態では、シート排出手段132としてグリッパ114a,114bによりシート先端部を挟持搬送するものを例に上げたが、本発明は、これに限らない。例えば、エア吸着手段を用いたエア吸着搬送や静電吸着手段を用いた静電吸着搬送等、シート先端部を保持しながら搬送、排出する構成であれば同様の効果を得ることができる。
【0077】
なお、これまでの説明においては、スタッカトレイ112が1つの場合について述べてきたが、本発明は、これに限らない。例えば、複数のスタッカトレイをシート排出方向に並設した場合でも、それぞれのスタッカトレイに、既述した構成の移送ユニット及び押圧部材を設けるようにしても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係るシート積載装置を備えた画像形成装置の構成を示す図。
【図2】上記画像形成装置に設けられた制御部の制御ブロック図。
【図3】上記画像形成装置の画像形成装置本体に接続されたスタッカの構成を示す図。
【図4】上記スタッカにおける基本制御を説明するフローチャート。
【図5】上記スタッカに設けられたスタック部の拡大図。
【図6】上記スタッカにおけるシート積載動作を説明する第1の図。
【図7】上記スタッカにおけるシート積載動作を説明する第2の図。
【図8】上記スタッカにおけるシート積載動作を説明する第3の図。
【図9】上記スタッカに設けられたスタック部の他の構成を説明する図。
【図10】従来の大容量のシート積載装置の構成を示す図。
【符号の説明】
【0079】
100 スタッカ
106 トップトレイ
112 スタッカトレイ
114a,114b グリッパ
115 移送ユニット
115b テーパ面
116 ローレットベルト
121 先端ストッパ
122a〜122c 押圧部材
131 駆動ベルト
132 シート排出手段
210 スタッカ制御部
900 画像形成装置
902 画像形成部
960 制御部
S シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出するシート排出手段と、
前記シート排出手段から排出されたシートを積載するシート積載部と、
シートをシート積載部上の所定位置に移送する移送手段と、
前記移送手段により前記所定位置に移送されたシートを前記シート積載部のシート積載面に向かって押し付ける押圧部材と、を備え、
前記移送手段の移送動作の継続により、シートを前記所定位置に保持しながら、前記押圧部材によりシートを前記シート積載面に向かって押し付けることを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記移送手段により移送されたシートと突き当たり、シートを前記所定位置に位置決めする突当て部を備え、
前記移送手段により移送されたシートを前記突当て部に突き当てた後、前記移送手段によるシートの移送動作を継続しながら、前記押圧部材によりシートを前記シート積載面に向かって押し付けることを特徴とする請求項1記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記シート積載面に対し略垂直方向にシートを押し付けることを特徴とする請求項1又は2記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記押圧部材を前記移送手段の移送方向に複数設け、複数の前記押圧部材により、シートを突当て部側から順次押し付けることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記移送手段は、シートを前記突当て部に突き当てた後、シートに対して変形が生じないように構成されたものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項6】
シートの移送方向と直交する方向の端部を整合する整合手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記シート排出手段は、グリッパを備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項8】
前記シート排出手段は、エア吸着手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項9】
前記シート排出手段は、静電吸着手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシート積載装置。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成部と、画像形成後、排出されるシートを積載するシート積載部を備えた請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシート積載装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−87966(P2008−87966A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−214887(P2007−214887)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】