説明

シート給送装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】シート材の幅方向端面から幅規制ガイド部材に付着する粘着剤を簡単に除去可能なシート給送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙積載板28の幅方向両側には、用紙積載板28に積載される用紙26の幅方向の位置決めを行う一対の幅規制ガイド部材40a、40bが、カセットベース25に形成された案内溝に沿ってそれぞれ用紙幅方向に往復移動可能に設けられている。幅規制ガイド部材40aのガイド面(内側面)には、用紙給送方向に略垂直な2本のリブ43が形成されている。用紙給送方向に対し各リブ43の下流側には、リブ43の突出量よりも厚みが小さい粘着剤補集シート45がリブ43に隣接して貼り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル複写機、レーザープリンター等の画像形成装置に用いられる、シート状の記録媒体を収納して給送するシート給送装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の用紙(記録媒体)を複数枚積層して収納するとともに、画像形成動作に応じて画像形成装置本体の画像形成部へ用紙を1枚ずつ分離して搬送する給紙カセットが広く用いられている。
【0003】
このような給紙カセットにおいて、用紙の裏面に粘着層が形成され、粘着層を剥離紙で被覆したラベル紙を用いる場合がある。従来はパーソナルユースを想定して、手差しトレイから少量のラベル紙を給送する構成であったが、大量のラベル紙に印刷を行う場合は給紙カセットに大量のラベル紙の束を収納して給送する必要がある。
【0004】
その場合、ラベル紙の端部や剥離紙の切れ目などから粘着剤が漏出し、ラベル紙の送り動作に伴って給紙カセットの収容面に付着する。特に、ラベル紙との密着性が高い幅規制ガイド部材に粘着剤が付着した場合、用紙の給送を妨げて用紙の不送りや斜行(スキュー)が発生することがあった。
【0005】
また、幅規制ガイド部材に堆積した粘着剤がガイド面に沿って給送方向下流側へ搬送され、用紙搬送経路やレジストローラー対を含む搬送ローラー対に付着すると、用紙搬送経路や搬送ローラー対が粘着性を持つようになり、紙詰まり(ジャム)が発生する。さらに、粘着剤が感光体等の像担持体に付着した場合、粘着剤をバインダーとして紙粉等の異物が像担持体表面に付着し、画像に縦筋が発生するおそれもあった。
【0006】
そこで、積層されたシート部材の端面から漏出する粘着剤を除去して円滑に給送する方法が種々提案されており、例えば特許文献1には、シート材の側面に回転しつつ圧接してシート側面に付着した粘着物質を除去するクリーニングロールを備えたシート材のストッカーが開示されている。また、特許文献2には、粘着物質を溶解するアルコールを含浸させたスポンジ等から成る除去部材をシートの幅方向端面に接触させて粘着物質を除去するシート給送装置が開示されている。
【0007】
さらに特許文献3には、用紙が接触し得る部位に粘着剤付着防止シートを貼り付けた給紙カセットが開示されており、粘着剤付着防止シートを複数枚重ねて取り替え可能とした構成も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−54295号公報
【特許文献2】特開2010−89845号公報
【特許文献3】特開2007−217099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の方法では、クリーニングロール及びクリーニグロールを回転させる機構が必要となるため、部材点数が増加するとともに構成が複雑になる。また、特許文献2の方法においても除去部材の移動やクリーニング機構を設けるため複雑な構成となる。さらに、除去部材にアルコール等の溶剤を含浸させているため、ラベル紙と剥離紙との剥離性能に影響を及ぼすおそれがあった。また、ラベル紙に予め印刷が施されている場合は印刷の滲み等の不具合が発生するおそれもあった。
【0010】
また、特許文献3の方法では、粘着剤付着防止シート上を移動した粘着剤が給送方向下流側へ搬送され、用紙搬送経路やレジストローラー対等に付着するおそれがあった。さらに、一対の幅規制ガイド部材は、それぞれが一つのギアに連結されており、互いに逆方向に同じ量だけ往復移動する構成が多い。そのため、幅規制ガイド部材に貼り付けられた粘着剤付着防止シートを取り換え可能とした場合、各幅規制ガイド部材においてシートの剥離枚数が異なると幅規制ガイド部材のガイド面から用紙幅方向の中心位置までの距離が変化し、用紙の積載位置が幅方向にずれてしまうという問題点もあった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み、シート材の幅方向端面から幅規制ガイド部材に付着する粘着剤を簡単に除去可能なシート給送装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、シート状の記録媒体を積載するトレイと、該トレイの底面に設けられ、前記トレイに積載される記録媒体の幅方向の端部を整合して記録媒体の搬送方向と直交する方向の収納位置を規制する一対の幅規制ガイド部材と、を備えたシート給送装置において、前記幅規制ガイド部材は、前記幅規制ガイド部材の高さ方向に連続して突設され記録媒体の幅方向端面に当接可能な凸部と、記録媒体の搬送方向に対し前記凸部の下流側に隣接して貼り付けられ、前記凸部の突出量よりも厚みの小さい粘着剤補集シートと、を有することを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成のシート給送装置において、前記トレイに対し上下方向に一定の範囲で回動する記録媒体積載板を備え、前記粘着剤補集シートは、前記幅規制ガイド部材の高さ方向において、前記記録媒体積載板上の記録媒体が満載状態から残量無し状態になる直前までの、記録媒体の上面位置と重なる範囲に貼り付けられることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成のシート給送装置において、前記粘着剤補集シートは、剥離可能な多層シートで構成されることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成のシート給送装置が搭載された画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の構成によれば、幅規制ガイド部材の高さ方向に連続して突設された凸部の上流側に堆積する粘着剤は、凸部の下流側に隣接して貼り付けられる粘着剤補集シートで捕集される。従って、ラベル紙を給送する際の幅規制ガイド部材、及びシート給送装置の下流側の搬送経路への粘着剤の付着を効果的に抑制することができる。また、粘着剤補集シートの厚みが凸部の突出量よりも小さいため、記録媒体の幅方向端面が粘着剤補集シートに接触せず、粘着剤補集シートが記録媒体の搬送を妨げるおそれもない。
【0017】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成のシート給送装置において、記録媒体積載板上の記録媒体が満載状態から残量無し状態になる直前までの記録媒体の上面位置と重なる範囲に粘着剤補集シートを貼り付けることにより、記録媒体積載板上のラベル紙の積載量に関係なく凸部の下流側で粘着剤を捕集することができる。
【0018】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成のシート給送装置において、粘着剤補集シートを剥離可能な多層シートで構成することにより、粘着剤補集シートを上層から順に剥離するだけで捕集された粘着剤を除去することができるため、粘着剤補集シートを貼り替える必要がなくなる。
【0019】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1乃至第3のいずれかの構成のシート給送装置を搭載することにより、幅規制ガイド部材に堆積した粘着剤が給送方向下流側へ搬送され、用紙搬送経路やレジストローラー対を含む搬送ローラー対に付着することによる紙詰まりや画像不良の発生を効果的に抑制できる画像形成装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の給紙カセット10が搭載される画像形成装置100の内部構成を示す概略断面図
【図2】本発明の一実施形態に係る給紙カセット10を画像形成装置100本体から引き出した状態を示す斜視図
【図3】本実施形態の給紙カセット10の側面断面図
【図4】幅規制ガイド部材40aのリブ43及び粘着剤捕集シート45付近を上方から見た部分断面図
【図5】用紙積載板28上にラベル紙26が満載されているときの幅規制ガイド部材40aとラベル紙26の上面位置との関係を示す側面図
【図6】用紙積載板28上のラベル紙26が無くなる直前の幅規制ガイド部材40aとラベル紙26の上面位置との関係を示す側面図
【図7】幅規制ガイド部材40aに多層シートから成る粘着剤捕集シート45を貼り付けた構成を上方から見た部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の給紙カセットが搭載される画像形成装置の内部構成を示す概略図である。画像形成装置100はタンデム式のカラー複写機であり、画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、図1では左側から順に配設されている。画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0022】
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに図1において反時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写されて重畳された後、二次転写ローラー9の作用によって記録媒体の一例としての用紙26上に転写され、さらに、定着装置7において用紙26上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0023】
トナー像が転写される記録媒体としての用紙26は、装置下部の給紙カセット10内に収容されている。用紙26は給紙カセット10の用紙積載板28上に積載されており、ピックアップローラー29に用紙26の上面が所定の圧力で圧接された状態でピックアップローラー29を回転させることで用紙26の給送が開始される。そして、フィードローラー30aとリタードローラー30bとで構成される給紙ローラー対30により複数枚の用紙26のうち最上の1枚のみが分離され、用紙搬送路11に向けて搬送される。用紙搬送路11を通過した用紙26はレジストローラー対14に到達し、画像形成タイミングに合わせて二次転写ローラー9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラー13との間のニップへと搬送される。
【0024】
中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、主として継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、二次転写ローラー9から見て中間転写ベルト8の移動方向の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのブレード状のベルトクリーナー17が配置されている。
【0025】
画像読取部20は、複写時に原稿を照明するスキャナーランプや原稿からの反射光の光路を変更するミラーが搭載された走査光学系、原稿からの反射光を集光して結像する集光レンズ、及び結像された画像光を電気信号に変換するCCDセンサー等(いずれも図示せず)から構成されており、原稿画像を読み取って画像データに変換する。
【0026】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング装置5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0027】
画像読取部20から画像データが入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置4によって画像データに応じて光ビームを照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像読取部20からの画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラー(現像剤担持体)を備え、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dの現像ローラーにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0028】
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置5a〜5dにより除去される。
【0029】
中間転写ベルト8は、従動ローラー12及び駆動ローラー13に掛け渡されており、ベルト駆動モータ(図示せず)による駆動ローラー13の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回りに回転を開始すると、用紙26がレジストローラー対14から所定のタイミングで中間転写ベルト8に近接して設けられた二次転写ローラー9と中間転写ベルト8のニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、ニップ部において用紙26上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙26は定着装置7へと搬送される。
【0030】
定着装置7に搬送された用紙26は、定着ローラー対15のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が用紙26の表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙26は、搬送ローラー対16を経て用紙搬送路19の分岐部に配置された搬送ガイド部材21によって搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、反転搬送路23に送られて両面コピーされた後に)、排出ローラー対24を介して排出トレイ18に排出される。
【0031】
用紙搬送路19は、具体的には、搬送ローラー対16の下流側において左右二股に分岐し、一方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は排出トレイ18に連通するように構成されている。そして、他方の経路(図1では右方向に分岐する経路)は反転搬送路23に連通するように構成されている。
【0032】
次に、本発明の給紙カセット10の構成について説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る給紙カセット10を画像形成装置100本体から引き出した状態を示す斜視図であり、図3は、本実施形態の給紙カセット10の側面断面図(図2のXX′矢視断面図)である。なお、図2において、画像形成装置100本体に対する給紙カセット10の挿入方向を矢印A、引き出し方向を矢印A′で示し、給紙カセット10の給紙方向を矢印Bで示す。カセットベース25の四方の周縁部には壁部25a〜25dが立設されている。カセットベース25及び壁部25a〜25dは、給紙カセット10のハウジング(筐体)を構成している。
【0033】
給紙カセット10の挿入方向に対し下流側の壁部25cにはカセットカバー33が装着されている。カセットカバー33は、その表面側(図2の左側)が外部に露出して画像形成装置100(図1参照)本体の外装面の一部を構成する。また、カセットカバー33の中央部には、給紙カセット10を着脱する際の把持部35が設けられている。
【0034】
給紙カセット10の挿入または引き出し方向(矢印AA′方向)に対し平行な壁部25a、25dの外側にはガイドレール36a、36bが付設されている。画像形成装置100本体側にはガイドレール36a、36bを摺動可能に支持するレール支持部(図示せず)が設けられており、ガイドレール36a、36bをレール支持部に沿って摺動させることで、給紙カセット10は画像形成装置100本体に対し挿入及び引き出し可能となっている。
【0035】
用紙26が積載される用紙積載板28は、左右の揺動軸28aを支点として給紙方向下流側(図2の矢印B方向)がカセットベース25に対し上下に昇降可能に設けられている。用紙積載板28の揺動側端部(図3の右端部)の下方にはリフト板37が設けられている。リフト板37にはギア及びモーター(図示せず)が連結されており、カセットベース25に支持される下端部を支点として揺動することにより用紙積載板28を昇降させる。
【0036】
また、用紙積載板28の幅方向両側には、用紙積載板28に積載される用紙26の幅方向の位置決めを行う一対の幅規制ガイド部材40a、40bが、カセットベース25に形成された案内溝に沿ってそれぞれ用紙幅方向(図の矢印AA′方向)に往復移動可能に設けられている。各幅規制ガイド部材40a、40bは、それぞれが一つのギア(図示せず)に連結されており、互いに逆方向に同じ量だけ往復移動される。
【0037】
また、用紙搬送路11(図1参照)に向けて用紙が矢印B方向に送出されるため、用紙の後端を揃える後端規制ガイド部材41は、カセットベース25に形成された案内溝に沿って用紙搬送方向(図の矢印B方向)と平行に往復移動可能に設けられている。この幅規制ガイド部材40a、40b、及び後端規制ガイド部材41を、積載される用紙サイズに合わせて移動させることにより、用紙26を給紙カセット10内の所定位置に収納して用紙の搬送を安定化する。
【0038】
図3に示すように、幅規制ガイド部材40aのガイド面(内側面)には、用紙給送方向(矢印B方向)に略垂直な2本のリブ43が形成されている。リブ43は、突出面で用紙の幅方向端面を支持するための部分であって、用紙26を用紙積載板28に載置した際に一対の幅規制ガイド部材40a、40bのガイド面から用紙26に向かって突出する部分である。リブ43は、幅規制ガイド部材40a、40bの高さ方向全体に形成されており、ガイド面からの突出量は高さ位置によらず一定である。
【0039】
また、用紙給送方向に対し各リブ43の下流側には、リブ43に隣接して粘着剤補集シート45が貼り付けられている。なお、図3では粘着剤補集シート45を図示するために、用紙26の一部を切り欠いた状態を示している。以下、幅規制ガイド部材40aを例に挙げて説明するが、反対側の幅規制ガイド部材40bについても全く同様の構成であるため説明を省略する。
【0040】
図4は、幅規制ガイド部材40aのリブ43及び粘着剤補集シート45付近を上方から見た断面図である。図2、図3を参照しながら、図4を用いて幅規制ガイド部材40aのガイド面から粘着剤が除去されるメカニズムについて説明する。図3に示すように、用紙積載板28上に用紙(以下、ラベル紙という)26の束が載置された状態では、幅規制ガイド部材40aには粘着剤は付着しない。
【0041】
この状態からピックアップローラー29及び給紙ローラー対30によって最上位のラベル紙26が用紙給送方向(矢印B方向)下流側へ順送りに移動すると、ラベル紙26の幅方向端面26aから漏出した粘着剤50がリブ43の上流側エッジ部分43aに付着する。ラベル紙26の上面位置はピックアップローラー29によって規制されているため、ラベル紙26の給送を繰り返すことで粘着剤50はリブ43の上流側エッジ部分43aに堆積していく。
【0042】
リブ43の上流側エッジ部分43aに堆積した粘着剤50は、ラベル紙26の移動に伴い新たに付着する粘着剤50によって押され、上流側エッジ部分43aを乗り越えて用紙給送方向下流側へ移動する。そして、リブ43の下流側エッジ部分43bから脱落し、リブ43の下流側に隣接して貼り付けられた粘着剤補集シート45に捕集される。粘着剤補集シート45は、所定量の粘着剤50が付着した後、新たなシートに貼り替えられる。
【0043】
粘着剤補集シート45の材質は特に制限はなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリル等の樹脂フィルムや、紙、フェルト、不織布等が挙げられるが、粘着剤が付着し易いように幅規制ガイド部材40aよりも表面摩擦係数の大きいシートを用いることが好ましい。なお、図4に示すように、粘着剤補集シート45の厚みはリブ43の突出量よりも小さいため、ラベル紙(用紙)26の幅方向端面26aは粘着剤補集シート45に接触しない。従って、粘着剤補集シート45の材質として表面摩擦係数の大きいシートを用いてもラベル紙(用紙)26の給送の妨げとなるおそれはない。また、粘着剤が所定量付着した後に交換を促す表示を粘着剤補集シート45の表面に印刷したり、粘着剤補集シート45を所定の形状に打ち抜いたりする等の二次加工を施すこともできる。
【0044】
なお、ラベル紙26の給送に伴い用紙積載板28の傾斜が変化するため、ラベル紙26の上面の傾斜も変化する。例えば、用紙積載板28上にラベル紙26が満載されているときは、図5に示すようにラベル紙26の上面の傾斜は緩やかである。一方、用紙積載板28上のラベル紙26が無くなる直前であるときは、図6に示すようにラベル紙26の上面の傾斜は急角度となる。そのため、幅規制ガイド部材40aとラベル紙26の上面位置(図5、図6の一点鎖線で表示)が接触する位置も変化する。
【0045】
そこで、本実施形態では、幅規制ガイド部材40aの高さ方向において、用紙積載板28上のラベル紙26が満載状態(図5の状態)から残量無し状態になる直前(図6の状態)までの、ラベル紙26の上面位置と重なる範囲に粘着剤補集シート45を貼り付けている。この構成により、用紙積載板28上のラベル紙26の積載状態に関係なく粘着剤補集シート45を用いて粘着剤50を捕集することができる。
【0046】
図7は、本発明の給紙カセット10に用いられる幅規制ガイド部材40aの他の構成例を上方から見た断面図である。図7においては、粘着剤補集シート45を剥離可能な多層シートで構成している。この構成により、粘着剤補集シート45を上層から順に剥離するだけで捕集された粘着剤50を除去することができるため、粘着剤補集シート45を貼り替える必要がなくなる。
【0047】
また、粘着剤補集シート45はリブ43の表面(ラベル紙26との接触面)には貼り付けられていないため、左右の幅規制ガイド部材40a、40bにおいて剥離される粘着剤補集シート45の枚数が異なる場合でも用紙の幅方向の規制位置、即ち、幅規制ガイド部材40a、40bのガイド面から用紙幅方向の中心位置までの距離が変化しない。従って、用紙の積載位置が幅方向にずれるおそれもなくなる。
【0048】
その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態においては、幅規制ガイド部材40a、40bに2本のリブ43を形成したが、リブ43は1本、或いは3本以上形成しても良く、粘着剤補集シート45も用紙給送方向に対し各リブ43の下流側に隣接して貼り付ければ良い。
【0049】
また、上記実施形態では、シート給送装置として給紙カセット10を例に挙げて説明したが、本発明は幅規制ガイド部材を備えた手差しトレイや両面搬送ユニットにも適用可能である。また、本発明のシート給送装置は。図1に示したようなタンデム型のカラープリンターに限らず、モノクロ及びカラー複写機、デジタル複合機、モノクロプリンター、インクジェットプリンター等の他のタイプの画像形成装置にも搭載できるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、シート状の記録媒体を収納して給送するシート給送装置に利用可能である。
本発明の利用により、シート材の幅方向端面から幅規制ガイド部材に付着する粘着剤を簡単に除去可能なシート給送装置を簡易且つ低コストで提供可能となる。
【符号の説明】
【0051】
10 給紙カセット(シート給送装置)
25 カセットベース(トレイ)
25a〜25d 壁部
26 用紙(ラベル紙)
28 用紙積載板(記録媒体積載板)
29 ピックアップローラー
30 給紙ローラー対
40a、40b 幅規制ガイド部材
41 後端規制ガイド部材
43 リブ(凸部)
45 粘着剤補集シート
50 粘着剤
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録媒体を積載するトレイと、
該トレイの底面に設けられ、前記トレイに積載される記録媒体の幅方向の端部を整合して記録媒体の搬送方向と直交する方向の収納位置を規制する一対の幅規制ガイド部材と、
を備えたシート給送装置において、
前記幅規制ガイド部材は、前記幅規制ガイド部材の高さ方向に連続して突設され記録媒体の幅方向端面に当接可能な凸部と、記録媒体の搬送方向に対し前記凸部の下流側に隣接して貼り付けられ、前記凸部の突出量よりも厚みの小さい粘着剤補集シートと、を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記トレイに対し上下方向に一定の範囲で回動する記録媒体積載板を備え、前記粘着剤補集シートは、前記幅規制ガイド部材の高さ方向において、前記記録媒体積載板上の記録媒体が満載状態から残量無し状態になる直前までの、記録媒体の上面位置と重なる範囲に貼り付けられることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記粘着剤補集シートは、剥離可能な多層シートで構成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシート給送装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−250800(P2012−250800A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123902(P2011−123902)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】