説明

シート給送装置

【課題】 上方位置まで上昇された後で原稿が追加されたことが原因で発生する原稿の重送や搬送JAMを防止することを目的とする。
【解決手段】 原稿読取装置10では、ピックアップロール54に一体的に設けられた回転部材132の回転がフォトセンサ134によって検知されると、フォトセンサ134から出力される波形信号から、回転部材132の回転が、ピックアップロール54によって給送される原稿P´によるものか否かを判定し、判定が否定されると、載置台50を一旦下降させて再び上昇させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートが載置される載置台が、給送ロールがシートを給送する上方位置と下方位置との間で昇降されるシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿読取装置等に用いられているシート給送装置において、シートが載置される載置台を、給送ロールがシートを給送する上方位置と下方位置との間で昇降させることが行われている(例えば、特許文献1、2参照)。このシート給送装置では、シートの給送が終了すると載置台が下降されて待機する。そして、下方位置で待機している載置台にシートが載置されると載置台が上方位置まで上昇される。
【0003】
ここで、載置台上の最上位のシートの高さが重送や搬送JAM等を防止可能な所定高さまで上昇したことがセンサによって検知されて、載置台の上昇が停止されるようになっている。このため、載置台が上方位置まで上昇された後で、載置台上にシートが追加されると、最上位のシートの高さが上記所定高さを超えてしまい、重送や搬送JAMが発生し易くなる。
【0004】
なお、上方位置まで上昇された載置台にシートが追加されたことを検知し、シートが追加された場合には載置台の高さの再調整を行うことで、上方位置まで上昇された載置台にシートが追加されたことが原因で発生する重送や搬送JAMを防止することが可能となる。しかし、シートと共に昇降する部材を、所定高さに設置された透過型のフォトセンサによって検知することで、載置台上の最上位のシートが所定高さまで上昇したこと検知しており、追加されたシートが少量の場合には、上記した部材の変位が微小でフォトセンサの出力が変化しないので、シートが追加されたことを検知することができないという問題があった。
【特許文献1】特開平9−100036号公報
【特許文献2】特開2001−139160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、上方位置まで上昇された後でシートが追加されたことが原因で発生するシートの重送や搬送JAMを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のシート給送装置は、シートが載置される載置台と、前記載置台を上方位置と下方位置との間で昇降させる昇降手段と、前記昇降によって前記上方位置まで上昇された前記載置台からシートを給送する給送ロールと、を備えるシート給送装置であって、前記昇降手段によって前記上方位置まで上昇された前記載置台上でシートが給送方向へ移動すると回転する回転部材と、前記回転部材の回転を検知して信号を出力する回転検知手段と、前記回転検知手段によって出力された信号に応じて、前記回転部材の回転が前記給送ロールがシートを給送する動作によるものか否かを判定する判定手段と、前記回転部材の回転は前記給送ロールがシートを給送する動作によるものではないと前記判定手段が判定した場合、前記昇降手段に、前記載置台を一旦前記下方位置まで下降させて再び前記上方位置まで上昇させる昇降制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載のシート給送装置では、シートが載置される載置台が、昇降手段によって、上方位置と下方位置との間で昇降され、上方位置まで上昇された載置台に載置されたシートが給送ロールによって給送される。
【0008】
また、昇降手段によって上方位置まで上昇された載置台上でシートが給送方向へ移動すると回転部材が回転し、回転検知手段が回転部材の回転を検知して信号を出力する。ここで、上方位置まで上昇した載置台上に追加されるシートは、最上位のシート上で給送方向へ滑らされてセットされる。このため、上方位置まで上昇した載置台上にシートが追加される際には、回転部材が回転する。また、給送ロールによってシートが給送される際にも、回転部材が回転する。
【0009】
このため、給送ロールによってシートが給送された場合と、上方位置まで上昇された載置台上にシートが追加された場合に、回転検知手段から信号が出力されるが、判定手段が、回転検知手段によって出力された信号に応じて、回転部材の回転が給送ロールがシートを給送する動作によるものか否かを判定する。例えば、給送ロールによってシートが給送される際に回転検知手段から出力される波形信号の波長を予め記憶しておき、実際に回転検知手段から出力された波形信号の波長と比較し、一致するか否かを判定する。これによって、上方位置まで上昇された載置台上にシートが追加されたことを、追加されるシートの量に関わらず検知できる。
【0010】
そして、回転部材の回転は給送ロールがシートを給送する動作によるものではないと判定手段が判定した場合、昇降制御手段が、昇降手段に、載置台を一旦下方位置まで下降させて再び上方位置まで上昇させる。即ち、上方位置まで上昇された載置台にシートが追加された場合に、載置台の高さを再調整する。従って、上方位置まで上昇された載置台にシートが追加されたことが原因で発生する重送や搬送JAMを防止できる。
【0011】
請求項2に記載のシート給送装置は、請求項1に記載のシート給送装置であって、前記回転検知手段が、前記回転部材の回転方向に所定の間隔で配列された複数の被検知部と、前記被検知部を検出し波形信号を出力するセンサと、を有し、前記判定手段は、前記センサから出力された波形信号と、予め記憶された前記給送ロールによってシートが給送される際に前記センサから出力される波形信号とが一致すると、前記回転部材の回転が前記給送ロールによって給送されるシートによるものと判定することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載のシート給送装置では、複数の被検知部が回転部材の回転方向に所定の間隔で配列されており、回転部材が回転するとセンサによって被検知部が順次検知され、センサから波形信号が出力される。センサから出力された波形信号と、予め記憶された給送ロールによってシートが給送される際にセンサから出力される波形信号とが一致すると、判定手段が、回転部材の回転が給送手段がシートを給送する動作によるものと判定する。
【0013】
一方、センサから出力された波形信号と、予め記憶された給送ロールによってシートが給送される際にセンサから出力される波形信号とが一致しなければ、判定手段が、回転部材の回転が給送手段がシートを給送する動作によるものではないと判定し、昇降制御手段が、昇降手段に、載置台の高さの再調整を実施させる。
【0014】
請求項3に記載のシート給送装置は、請求項1又は2に記載のシート給送装置であって、前記給送ロールが、給送方向へ移動するシートに従動回転し、前記回転部材が、前記給送ロールと一体的に設けられたことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載のシート給送装置では、給送ロールが、給送方向へ移動するシートに従動回転し、また、回転部材が給送ロールと一体的に設けられている。ここで、上方位置まで上昇された載置台上に追加されるシートは、最上位のシート上を給送方向へ滑ってセットされるので、上方位置まで上昇された載置台にシートが追加される際、給送ロールと回転部材が回転する。
【0016】
即ち、本発明では、給送ロールの回転を回転検知手段によって検知し、給送ロールの回転が、シートを給送する動作によるものであるのか、シートが追加されたためのものであるのかを判定手段によって判定する。
【0017】
請求項4に記載のシート給送装置は、請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート給送装置であって、前記載置台に載置されたシートが所定高さまで上昇されたことを検知するシート高さ検知手段を有し、前記昇降制御手段は、前記シート高さ検知手段が、前記載置台に載置されたシートが前記所定高さまで上昇されたことを検知した時点で、前記昇降手段による前記載置台の上昇を停止させることを特徴とする。
【0018】
請求項4に記載のシート給送装置では、昇降手段によって載置台が上昇され、載置台に載置されたシートが所定高さまで上昇されたことが、シート高さ検知手段によって検知されると、この時点で、昇降制御手段が、昇降手段による載置台の上昇を停止させる。
【0019】
ここで、上方位置まで上昇された載置台にシートが追加されると、回転検知手段によって検知され、昇降制御手段によって載置台が一旦下方位置へ下降され、再び上方位置へ上昇される。この再度の上昇時にも、載置台に載置されたシートが所定高さまで上昇された時点で、載置台の上昇が昇降制御手段によって停止されるので、給送開始時には、必ずシートの高さが所定高さに合わされる。従って、重送や搬送JAMを防止できる。
【0020】
請求項5に記載のシート給送装置は、前記給送によって給送されたシートの画像を読取る画像読取手段と、を有することを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載のシート給送装置では、給送ロールによって給送されたシートの画像が画像読取手段によって読取られる。ここで、上方位置まで上昇した載置台上にシートが追加された場合、載置台の高さの再調整が行われるので、給送時には必ずシートの高さが所望の高さになる。従って、シートを画像読取手段の読取位置へ1枚ずつ良好に搬送できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記構成にしたので、上方位置まで上昇された後でシートが追加されたことが原因で発生するシートの重送や搬送JAMを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態のレーザビームプリンタ11の概略構成を示している。レーザビームプリンタ11は、公知の電子写真プロセスを適用して記録紙Pに画像を形成する。なお、公知の電子写真プロセスとは、感光体ドラム12に対する帯電、感光体ドラム12への露光による静電潜像の形成、トナーによる静電潜像の現像を経て、感光体ドラム12上に形成されたトナー像を記録紙Pに転写し、そして、トナー像を記録紙Pに定着することで、画像を記録する一連のプロセスを言う。
【0025】
また、レーザビームプリンタ11は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色トナーを用いて記録紙Pにカラー画像の形成が可能とされたものである。
【0026】
図1に示すように、レーザビームプリンタ11は、下部に給紙部20が配置されている。給紙部20には、記録紙Pが収容された給紙カセット21が備えられている。
【0027】
給紙部20の上部には、画像形成部30が配置されている。画像形成部30は、前述した公知の電子写真プロセスにより、給紙部20から送られてきた記録紙Pにカラー画像を形成する。
【0028】
画像形成部30の上部は、記録紙Pが排出される排紙トレイ40となっており、排紙トレイ40の左側には、搬送部100が設けられている。搬送部100は、画像形成部30で画像が形成された記録紙Pを、排紙トレイ40へ搬送し排紙する。
【0029】
また、排紙トレイ40の上部には、原稿読取装置10が配置されている。原稿読取装置10は、載置台50にセットされた原稿P´を搬送しながら読取部52で読取り、読取った画像情報を画像形成部30のコントロール部(図示省略)へ出力する。
【0030】
つぎに、画像形成部30の構成の概要と記録紙Pにカラー画像の形成を行うプロセスの概要とを説明する。
【0031】
図1に示すように、画像形成部30には、4つの感光体ドラム12が並んで回転可能に配設されている。各感光体ドラム12は駆動手段(図示省略)により、矢印Kの方向に回転する。
【0032】
各感光体ドラム12の左斜め下部には帯電ローラ14が感光体ドラム12に接触するように配設されており、帯電ローラ14に帯電バイアスVcを印加し、感光体ドラム12の表面を所定の電位に帯電する。帯電後、各感光体ドラム12の下方に配置された各露光ヘッド16から出射された光によって露光が行われ、画像情報に応じた潜像が感光体ドラム12の表面に形成される。各色の現像器18の現像ローラ19には、所定の極性に帯電した各色トナーが担持されている。各感光体ドラム12の表面に形成された潜像は、現像ローラ19に現像バイアスVdを印加することで現像され各色のトナー像となる。
【0033】
4個の各感光体ドラム12にそれぞれ形成された各色のトナー像は、各感光体ドラム12の上方に配置された中間転写ベルト13上に第1転写ローラ15で転写され、中間転写ベルト13上に重畳されてフルカラーのトナー像となる。
【0034】
一方、給紙カセット21に収容された記録紙Pが、ピックアップローラ26により送り出され、搬送ローラ28によって画像形成部30に送られる。
【0035】
画像形成部30に送られた記録紙Pは搬送ローラ64で搬送され、レジストローラ68により所定のタイミングで第2転写ローラ32と中間転写ローラ34とのニップ部に送られ、フルカラーのトナー像が記録紙Pに転写される。なお、中間転写ローラ34側の記録紙Pの面にトナー像は転写される。
【0036】
フルカラーのトナー像が転写された記録紙Pは定着器36に送られる。定着器36は熱と圧力とで記録紙Pにトナー像を定着する。トナー像が定着した記録紙Pは、排出ローラ42によって排紙トレイ40へ排出される。
【0037】
一方、中間転写ベルト13と記録紙Pとにトナー像は全て転写されずに、一部は感光体ドラム12及び中間転写ベルト13に残留トナーとして残る。この残留トナーは、感光体ドラム12上でクリーニングロール44、又は中間転写ベルト上でクリーニング装置38によって除去される。
【0038】
次に、原稿読取装置10について説明する。
【0039】
図1に示すように、原稿読取装置10は、原稿P´が載置される載置台50と、載置台50から原稿P´を送り出すピックアップロール54と、ピックアップロール54によって送り出された原稿P´を搬送する搬送部56と、搬送部56によって搬送される原稿P´の画像を読取る読取部52と、読取部52で画像を読取られた原稿P´が排出される排出台58とを備えている。
【0040】
載置台50は、原稿読取装置10のハウジング62の上面に設けられている。また、図1、図2に示すように、ピックアップロール54は、載置台50の搬送方向下流端部且つ幅方向(搬送方向と直交する方向)の中央部に配設されており、載置台50に載置された最上位の原稿P´に当接して図中時計回り方向に回転することで、原稿P´をハウジング62内へ送り込む。
【0041】
図1に示すように、搬送部56は、搬送方向に順に配列された給紙ロール64、搬送ロール66、68、70、72、74、排出ロール76で構成されている。給紙ロール64、搬送ロール66、68は、ピックアップロール54から図中左方向へ延びる搬送路77に沿って配列されており、ピックアップロール54によって載置台50から送り出された原稿P´を、図中左方向へ搬送する。
【0042】
給紙ロール64は、搬送路77の上側に配設された駆動ロール64Aと、搬送路77の下側に配設された従動ロール64Bとで構成されており、ピックアップロール54に近接されている。また、搬送ロール66、68はそれぞれ、搬送路77の上側に配設された駆動ロール66B、68Bと、搬送路77の下側に配設された従動ロール66A、68Aとで構成されている。
【0043】
そして、搬送ロール68の搬送方向下流側には、原稿Pの搬送方向を反転させるR状の搬送路78が設けられており、搬送ロール70は、搬送路78の搬送方向下流側且つ搬送ロール68の下方に配設されている。また、搬送ロール72、74、排出ロール76は、搬送ロール70の図中右方向に延びる搬送路79に沿って配列されており、搬送ロール70によって搬送された原稿P´を図中右方向へ搬送し、排出台58へ排出する。
【0044】
搬送ロール70、74、排出ロール76はそれぞれ、搬送路79の上側に配設された駆動ロール70A、74A、76Aと、搬送路79の下側に配設された従動ロール70B、74B、76Bとで構成されている。また、搬送ロール72は、搬送路79に設けられた透明なガラス板80に近接した駆動ロールである。
【0045】
また、ガラス板80の下方には、読取部52が設けられている。読取部52は、ガラス板80に面して配設されたミラー82と、ミラー82に対して略水平に配列された複数のレンズ等の光学素子84と、CCD等の撮像素子86とで構成されている。ミラー82は、ガラス板80を透過した原稿P´の像を、撮像素子86に向けて略直角に折返す。ミラー82によって折返された像は、光学素子84によって撮像素子86に結像され、撮像素子86によってデジタルデータに変換される。そして、レーザビームプリンタ11の本体側で、撮像素子86から出力されたデジタルデータに基づいたプリント動作が実行される。
【0046】
また、図2乃至図4に示すように、原稿読取装置10は、載置台50を昇降させる昇降機構88、ピックアップロール54を載置台50の昇降に追従するように支持する支持機構90、ピックアップロール54の回転を検知する回転検知部92、ピックアップロール54の高さを検知する高さ検知部94を備えている。
【0047】
載置台50は、搬送方向上流端部に設けられ幅方向(搬送方向と直交する方向)に延びる回転軸50Aを支点としてハウジング62に回動可能に支持されており、昇降機構88によって昇降される。昇降機構88は、ロール部96と、ロール部96を、載置台50の幅方向の一端部且つ搬送方向の下流端部の下側に支持する支持部材98とを備えている。支持部材98は、ハウジング62に回転可能に支持され幅方向へ延びる回転軸98Aと、長手方向一端部を回転軸98Aに固定され回転軸98Aの径方向へ延びるアーム部材98Bと、アーム部材98Bの長手方向他端部に固定されて幅方向へ延びロール部96を回転可能に支持する回転軸98Cとで構成されている。即ち、ロール部96は、回転軸98Aの回りに回動可能となっている。
【0048】
また、昇降機構88は、回転軸98Aに固定されたギア102と、ギア102に回転力を付与するモータ104とを備えている。モータ104は制御部130(図6参照)によって制御されており、モータ104が駆動されると、ギア102、回転軸98Aが回転し、ロール部96が回転軸98A回りに回動される。
【0049】
載置台50の搬送方向下流端部は、自重で下がってロール部96に当接するようになっており、モータ104の駆動でロール部96が図中時計回り方向へ回動すると、載置台50の搬送方向下流端部が上昇し、モータ104の駆動でロール部96が図中反時計回り方向へ回動すると、載置台50の搬送方向下流端部が下降する。
【0050】
また、支持機構90は、ピックアップロール54の回転軸108と駆動ロール64Aの回転軸110を支持する支持フレーム106と、ピックアップロール54と駆動ロール64Aとを回転駆動する駆動機構112と、ピックアップロール54を載置台50側に付勢する付勢部材114とを備えている。
【0051】
支持フレーム106は、軸受116を介して回転軸108、110を回転可能に支持する側板106A、106Bを備えている。回転軸110は、ハウジング62の幅方向一端側から他端側まで延びており、軸方向両端部をハウジング62に回転可能に支持されている。ここで、支持フレーム106は、ハウジング62に直に取付けられているわけではなく、回転軸110によってハウジング62に支持されている。このため、支持フレーム106は、回転軸110回りに回動可能となっており、ピックアップロール54は、自重で下降する。
【0052】
また、付勢部材114は、引張りコイルバネで、側板106Aに立設された軸107と、ハウジング62に形成された引掛け部109に引掛けられている。軸107と引掛け部109とは、回転軸110を間に置いた両側に設けられ、それぞれ幅方向へ延びている。このため、軸107は、付勢部材114によって搬送方向上流側に引寄せられており、支持フレーム106が、ピックアップロール54が下降する方向(図中時計回り方向)へ付勢され、ピックアップロール54が載置台50側に付勢される。
【0053】
また、駆動機構112は、ピックアップロール54の回転軸108に固定されたギア118と、側板106Bに立設された軸(図示省略)に回転可能に支持され、ギア118と噛合ったギア120と、回転軸110に固定されギア120と噛合ったギア122と、回転軸110の軸方向の一端部(図中奥側)に取付けられたギア124と、で構成されている。ギア124は、ハウジング62の幅方向一端側(図中奥側)に設けられたモータ(図示省略)に連結されており、このモータが駆動されると、ギア124、122、120、118を介して駆動が伝達され、回転軸108、110が同じ方向へ回転する。
【0054】
ここで、駆動ロール64Aは、回転軸110に固定されているが、ピックアップロール54は、ワンウェイクラッチ(図示省略)を介して回転軸108に取付けられている。このワンウェイクラッチは、ピックアップロール54が回転軸108に対して給紙方向(図中時計回り方向)へ回転されると空転し、ピックアップロール54が回転軸108に対して給紙方向の逆方向(図中反時計回り方向)へ回転されると噛合う。また、ワンウェイクラッチは、回転軸108が給紙方向へ回転されると噛合い、回転軸108が逆方向へ回転されると空転する。
【0055】
即ち、モータの駆動により、回転軸108、110が図中時計回り方向へ回転されると、駆動ロール64A及びピックアップロール54が図中時計回り方向へ回転し、原稿P´が載置台50から送り出される。
【0056】
また、高さ検知部94は、透過型のフォトセンサ126と、側板106Bに設けられ、フォトセンサ126によって検知される被検知部128とで構成されている。被検知部128とピックアップロール54とは、側板106Bの回転中心を間に置いた両側に設けられており、ピックアップロール54が下降すると被検知部128が上昇し、ピックアップロール54が上昇すると被検知部128が下降する。
【0057】
ここで、原稿読取装置10には載置台50上にセットされた原稿P´を検知する原稿検知部133(図6参照)が設けられており、制御部130は、この原稿検知部133によって載置台50上の原稿P´が検知されると、モータ104を駆動して載置台50を上昇させ、そして、フォトセンサ126によって被検知部128が検知されると、モータ104の駆動を停止させる。また、制御部130は、原稿検知部134によって載置台50上の原稿P´が検知されなくなると、モータ104を駆動して載置台50を下降させる。
【0058】
ここで、図3に示すように、ピックアップロール54と原稿P´との接線Lが、給紙ロール64のニップ部Nの僅かに下側の所定高さを通過する位置まで、ピックアップロール54が上昇した時点で、被検知部128がフォトセンサ126によって検知されるように、フォトセンサ126の高さが設定されている。また、ハウジング62には、下降した載置台50上の原稿P´の先端部の位置を規制する壁面62Aが形成されている。この壁面62Aは、高くなるにつれて次第に搬送方向下流側へ傾斜している。また、載置台50の搬送方向下流側は下側へ傾斜しており、下降した載置台50上の原稿P´は、搬送方向下流側へ滑り落ちて壁面62Aに突き当たる。このため、載置台50上に積載された複数枚の原稿P´は、高くなるにつれて次第に搬送方向下流側へ傾斜する。
【0059】
これによって、複数枚の原稿P´が、ピックアップロール54によって載置台50から同時に送り出されたとしても、上側から順に給紙ロール64のニップ部Nに到達し、1枚ずつ捌かれる。
【0060】
また、図2、図3に示すように、回転検知部92は、ピックアップロール54の軸方向一端側(図中手前側)に設けられピックアップロール54と共に回転する回転部材132と、側板106Aに取付けられた透過型のフォトセンサ134とで構成されている。ピックアップロール54は、ロール部54Aと、ロール部54Aとワンウェイクラッチとの間に介在する円筒状のスリーブ54Bとで構成されている。このスリーブ54Bは、ロール部54Aよりも軸長が長くなっており、ロール部54Aから軸方向一端側(図中手前側)へ延びている。回転部材132は、スリーブ54Bのロール部54Aから食み出た部分に設けられており、回転軸108の同軸上に設けられた大小の円環状の部材132A、132Bと、小径の部材132Bから大径の部材132Aへ放射状に延びる複数本の部材132Cとで構成されている。複数本の部材132Cは回転方向に所定の間隔で並んでいる。また、小径の部材132Bは回転軸108より大径とされ、大径の部材132Aはロール部54Aより小径とされている。このため、回転部材132は、回転軸108や載置台50又は載置台50上の原稿P´と干渉することなく回転可能である。
【0061】
また、フォトセンサ134は、光路が大径の部材132Aと小径の部材132Bとの間を通るように配設されている。このため、回転部材132が回転すると、フォトセンサ134の光路が部材132Cによって所定周期で遮蔽され、フォトセンサ134から図7に示すような波形信号が出力される。
【0062】
ところで、図4に示すように、載置台50が下方の停止位置に位置する時は、ピックアップロール54が載置台50から離間するようになっており、原稿P´を載置台50にセットする際、ピックアップロール54及び回転部材132は回転しないようになっている。一方、図3、図5に示すように、載置台50が上方の停止位置に位置する時は、ピックアップロール54が載置台50上の原稿P´に当接するようになっており、図5に示すように、さらに原稿P´をセットすると、ピックアップロール54及び回転部材132が回転する。
【0063】
ここで、上述したように、ピックアップロール54と原稿P´との接線Lの高さが所定高さになった時点で載置台50の上昇が停止されるようになっているが、その後、さらに原稿P´をセットしてしまうと、ピックアップロール54と原稿P´との接線Lの高さが所定高さを超えてしまい、重送や搬送JAMを防止することが困難になる。
【0064】
このため、本実施形態では、載置台50が上方の停止位置に位置する時に原稿P´がセットされた場合には、ピックアップロール54と原稿P´との接線Lの高さが所定高さになるように、載置台50の停止位置を再調整する。
【0065】
以下、制御部130による載置台50の昇降の制御について図8のフローチャートを参照して説明する。
【0066】
まず、レーザビームプリンタ11の電源がオンになると処理ルーチンが開始され、ステップ100へ進む。ステップ100では、原稿P´が載置台50にセットされたことが原稿検知部133によって検知されたか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ102へ移行する。ステップ102では、モータ104が駆動されて載置台50が上昇され、ステップ104へ移行する。
【0067】
ステップ104では、フォトセンサ126によって被検知部128が検知されたか否か、即ち、原稿P´が所定高さまで上昇されたか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ106へ移行する。ステップ106では、フォトセンサ134から波形信号が出力されたか否か、即ち、ピックアップロール54が回転したか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ108へ移行する。
【0068】
ステップ108では、フォトセンサ134から出力された波形信号の波長が所定値T1±α(αはピックアップロール54の回転速度の誤差を考慮した値)と一致するか否かが判定され、肯定されるとステップ112へ、否定されるとステップ110へ移行する。
【0069】
ここで、給紙時のピックアップロール54の回転速度と、原稿P´を載置台50上にセットする時のピックアップロール54の回転速度とは異なり、図7のグラフに示すように、給紙時にフォトセンサ134から出力される波形信号の波長T1と、原稿P´セット時にフォトセンサセンサ134から出力される波形信号の波長T2とは異なる。このため、フォトセンサ134から出力された波形信号の波長が波長T1±αと一致した場合には、ピックアップロール54が、給紙するために回転駆動されたと判定でき、一致しなかった場合には、ピックアップロール54が、原稿P´をセットしたために回転されたと判定できる。
【0070】
次に、ステップ110では、モータ104が駆動されて載置台50が下方の所定位置まで下降され、ステップ102へ移行する。一方、ステップ112では、フォトセンサ134からの波形信号の出力が途切れたか否か、即ち、ピックアップロール54の回転が停止されたか否かが判定され、判定が肯定されるとステップ114へ移行する。ステップ114では、モータ104が駆動されて載置台50が下方の所定位置まで下降される。次に、ステップ116では、レーザビームプリンタ11の電源がオフにされたか否かが判定され、判定が否定されるとステップ100へ移行し、判定が肯定されると処理ルーチンを終了する。
【0071】
以上、説明したように、本実施形態では、上方の停止位置まで上昇した載置台50に原稿P´がセットされたことを検知可能とし、上方の停止位置まで上昇した載置台50に原稿P´がセットされた場合には、載置台50を一旦下降させ、再び上方の停止位置まで上昇させるようにした。これによって、給紙時には必ず、載置台50にセットされた原稿P´とピックアップロール54との接線Lの高さが、上述した所定高さになるので、確実に重送や搬送JAMを防止できる。
【0072】
なお、本実施形態では、回転部材132をピックアップロール54と一体的に形成し、回転部材132の回転を検知すると共にピックアップロール54の回転を検知したが、ピックアップロール54の回転を検知することは必須ではない。図9に示すように、回転部材132を、回転軸108に給紙方向へ回転可能且つ載置台50上の原稿P´に接触可能に設け、原稿P´による回転部材132の回転を検知しても良い。
【0073】
また、本実施形態では、原稿読取装置11を例に取って本発明を説明したが、画像形成装置の画像形成部等へシートを給送するシート給送装置にも本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施形態の原稿読取装置を備えるレーザビームプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態の原稿読取装置を示す斜視図である。
【図3】本実施形態の原稿読取装置を示す側断面図である。
【図4】本実施形態の原稿読取装置を示す側断面図である。
【図5】本実施形態の原稿読取装置を示す側断面図である。
【図6】本実施形態の原稿読取装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図7】本実施形態の原稿読取装置に備えられたフォトセンサから出力される波形信号を示す波形図である。
【図8】本実施形態の原稿読取装置における載置台の昇降の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】本実施形態の原稿読取装置の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
10 原稿読取装置(シート給送装置)
11 レーザビームプリンタ(画像形成装置)
50 載置台
54 ピックアップロール(給送ロール)
88 昇降機構(昇降手段)
94 高さ検知部(シート高さ検知手段)
130 制御部(昇降制御手段)
132 回転部材
132C 部材(回転検知手段、被検知部材)
134 フォトセンサ(回転検知手段、センサ)
135 判定部(判定手段)
P´ 原稿(シート)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが載置される載置台と、
前記載置台を上方位置と下方位置との間で昇降させる昇降手段と、
前記昇降によって前記上方位置まで上昇された前記載置台からシートを給送する給送ロールと、
を備えるシート給送装置であって、
前記昇降手段によって前記上方位置まで上昇された前記載置台上でシートが給送方向へ移動すると回転する回転部材と、
前記回転部材の回転を検知して信号を出力する回転検知手段と、
前記回転検知手段によって出力された信号に応じて、前記回転部材の回転が前記給送ロールがシートを給送する動作によるものか否かを判定する判定手段と、
前記回転部材の回転は前記給送ロールがシートを給送する動作によるものではないと前記判定手段が判定した場合、前記昇降手段に、前記載置台を一旦前記下方位置まで下降させて再び前記上方位置まで上昇させる昇降制御手段と、
を有することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記回転検知手段が、
前記回転部材の回転方向に所定の間隔で配列された複数の被検知部と、
前記被検知部を検出し波形信号を出力するセンサと、を有し、
前記判定手段は、前記センサから出力された波形信号と、予め記憶された前記給送ロールによってシートが給送される際に前記センサから出力される波形信号とが一致すると、前記回転部材の回転が前記給送ロールがシートを給送する動作によるものと判定することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記給送ロールが、給送方向へ移動するシートに従動回転し、
前記回転部材が、前記給送ロールと一体的に設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記載置台に載置されたシートが所定高さまで上昇されたことを検知するシート高さ検知手段を有し、
前記昇降制御手段は、前記シート高さ検知手段が、前記載置台に載置されたシートが前記所定高さまで上昇されたことを検知した時点で、前記昇降手段による前記載置台の上昇を停止させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記給送ロールによって給送されたシートの画像を読取る画像読取手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のシート給送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−106568(P2007−106568A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300559(P2005−300559)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】