説明

シート貼付装置および貼付方法

【課題】装置の構造が簡単化できかつ小型化できるとともに、貼付不良を防止して確実にシートを貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供すること。
【解決手段】接着シートSを吸着保持する吸着盤4の吸引孔43から吸引した気体を吹付管7に供給することで、吹付管7に気体を供給するコンプレッサを別途設置しなくてよくなることから、シート貼付装置1の構造を簡単化できるとともに、シート貼付装置1の小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被着体に接着シートを貼付するシート貼付装置および貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート貼付装置の一例として、コンベアなどで搬送される製品に品名やバーコードなどのラベルを貼付するラベル貼付装置が利用されている(例えば、特許文献1参照)。この貼付装置は、帯状台紙に仮着されたラベルを剥離する剥離板と、剥離されたラベルを吸着保持する吸着盤と、吸着盤に吸引力を付与する負圧発生器と、吸着盤に取り付けられることで吸着盤の移動に追従しつつラベルにエアを吹き付けてラベルの吸着保持を補完するエア吹出管と、エア吹出管のエア供給源としてのコンプレッサとを備えて構成されている。この貼付装置では、ラベルを帯状台紙から剥離しつつ吸着盤に吸着保持する際に、帯状台紙から剥離されるにつれて自重で撓むラベルにエアを吹き付けることで、吸着盤に受け渡すまでのラベルの撓みや落下を防止し、ラベルが撓んで吸着保持されることで当該ラベルが折り曲がって被着体に貼付されたり、ラベルが落下することでラベルが未貼付になったりといったラベル貼付不良を防止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−37112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のラベル貼付装置では、吸着盤に吸引力を付与する負圧発生器と、エア吹出管のエア供給源としてのコンプレッサとが別々に必要であるため、装置の構造が複雑になったり、大型化したりなどの不都合が生じる。また、複数台のラベル貼付装置を駆動すべく大型のコンプレッサを共通で利用する場合があるが、エアの吹き付けには多くのエアを消費するため、複数台のラベル貼付装置が同時に駆動されているときに、エアの容量不足が発生し、エアシリンダ等のエア駆動機器が正常のタイミングで駆動されなかったり、所定の出力が得られなかったりして、ラベルの貼付不良が多発してしまうという不都合が生じる。
【0005】
本発明の目的は、装置の構造が簡単化かつ小型化できるとともに、貼付不良を防止して確実にシートを貼付することができるシート貼付装置および貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のシート貼付装置は、基材シートの一方の面側に接着剤層を有する接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置であって、帯状の剥離シートに仮着された前記接着シートを前記剥離シートとともに繰り出す繰出手段と、前記剥離シートから前記接着シートを剥離しつつ当該接着シートを送り出す剥離手段と、前記剥離手段から送り出される前記接着シートに対して前記基材シートの他方の面側から吸引孔を介して吸着保持する保持手段と、前記吸引孔から気体を吸引することで当該吸引孔に吸引力を付与する吸引手段と、前記剥離手段から送り出される前記接着シートに対して前記接着材層の側に気体を吹き付ける吹付手段と、前記保持手段で吸着保持した接着シートを前記被着体に押圧して貼付する押圧手段と、前記吸引手段が前記吸引孔から吸引した気体を前記吹付手段に循環させる循環手段とを備える、という構成を採用している。
【0007】
この際、本発明のシート貼付装置では、前記保持手段から前記吸引手段への経路途中には、前記保持手段で前記接着シートを吸引した負圧状態を解除する負圧解除手段が設けられていることが好ましい。
また、本発明のシート貼付装置では、前記負圧解除手段には、前記保持手段で保持した前記接着シートを気体で押圧することで前記押圧手段として機能する加圧手段が接続されていることが好ましい。
さらに、本発明のシート貼付装置では、前記循環手段の途中には、前記吹付手段の圧力を調整する圧力調整手段が設けられていることが好ましい。
【0008】
一方、本発明のシート貼付方法は、基材シートの一方の面側に接着剤層を有する接着シートを被着体に貼付するシート貼付方法であって、帯状の剥離シートに仮着された前記接着シートを前記剥離シートとともに繰り出す工程と、前記剥離シートから前記接着シートを剥離しつつ当該接着シートを送り出す工程と、送り出される前記接着シートに対して前記基材シートの他方の面側から吸引孔を介して保持手段を介して吸着保持する工程と、前記吸引孔から気体を吸引することで当該吸引孔に吸引力を付与する工程と、前記吸引孔から吸引した気体を循環させ、送り出される前記接着シートに対して前記接着材層の側に気体を吹き付ける工程と、前記保持手段で吸着保持した接着シートを前記被着体に押圧して貼付する工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によれば、吸引手段で吸引した気体が循環手段を介して吹付手段に供給されるため、吹付手段に気体を供給するコンプレッサ等を別途設置しなくてよく、シート貼付装置の構造を簡単化できるとともに、装置の小型化を図ることができる上、他のエア駆動機器がエア容量不足となることがなくなるので、ラベルの貼付不良を防止することができる。
また、吸引手段で吸引した気体を吹付手段で使用するため、従来では捨てられていたエネルギーを再利用することができ、省エネ型のシート貼付装置を提供することができる。
また、負圧解除手段を有することで、保持手段で吸着保持した接着シートを被着体に押圧した後、保持手段の吸引力を解除して容易に保持手段が接着シートから離れることができる。
さらに、加圧手段によって保持手段を加圧して負圧状態から正圧状態とし、吸引孔から気体を吐出させることで、保持手段に保持されている接着シートを気体で押圧して被着体に貼付することができ、押圧手段が被着体に接触することなしに接着シートを被着体に貼付することができる。
また、吸引手段に吸引された気体の一部または全部が圧力調整手段を介して吹付手段に供給されることで、吹付手段から吹き付ける気体を所定の圧力に保つことができるとともに、吸引手段の吸引力に影響を与えないようにできることから、吸引力不足などを回避してシートの貼付不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態に係るシート貼付装置の概略構成図。
【図2】図1のシート貼付装置における吹付動作を示す斜視図。
【図3】(A)〜(C)は、図1のシート貼付装置の動作説明図。
【図4】第2実施形態に係るシート貼付装置の図。
【図5】第3実施形態に係るシート貼付装置の図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第2実施形態以降において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1において、シート貼付装置1は、接着シートSを被着体Wに貼付するものであって、帯状の剥離シートRLに仮着された接着シートSを剥離シートRLとともに繰り出す繰出手段としての繰出ユニット2と、剥離シートRLから接着シートSを剥離しつつこの接着シートSを送り出す剥離手段としてのピールプレート3と、接着シートSを吸着保持する保持手段としての吸着盤4と、吸着盤4で吸着保持した接着シートSを被着体Wに押圧して貼付する押圧手段としてのエアシリンダ5とを備えて構成されている。ここで、接着シートSは、基材シートの一方の面に接着剤層が設けられ、この接着剤層が表出した面が接着面S1とされ、基材シートの他方の面(接着剤層が設けられていない面)が非接着面S2とされ、接着面S1を介して剥離シートRLに仮着されている。
【0013】
さらに、シート貼付装置1は、吸着盤4の吸引孔43に吸引力を付与する吸引手段としての遠心ファン6と、ピールプレート3から吸着盤4に受け渡される途中の接着シートSに対して接着面S1の側に気体を吹き付ける吹付手段としての吹付管7と、遠心ファン6が吸着盤4から吸引した気体を吹付管7に循環させる循環手段(循環経路)としての配管8とを備えて構成されている。また、吸着盤4から遠心ファン6への経路である配管9の途中には、吸着盤4で接着シートSを吸引した負圧状態を解除する負圧解除手段としての三方弁10が設けられるとともに、遠心ファン6と配管8との間には、吹付管7の気体吹付け圧力を調整する圧力調整手段としての圧力調整器11が設けられている。
【0014】
繰出ユニット2は、図示しないフレームに支持され、このフレームには、剥離シートRLに仮着された接着シートSをロール状に巻回して支持する支持ローラ21と、剥離シートRLおよび接着シートSを案内する2個のガイドローラ22,23と、モータ24によって駆動する駆動ローラ25と、駆動ローラ25との間に剥離シートRLを挟み込むピンチローラ26と、図示しない駆動手段によって剥離シートRLを回収する回収ローラ27とが設けられている。
【0015】
ピールプレート3は、繰出ユニット2のモータ24で駆動ローラ25を駆動して剥離シートRLを引っ張ることで、駆動ローラ25側に折り返した剥離シートRLから接着シートSを剥離するとともに、剥離した接着シートSを面方向に押し出して片持ち状に突出させ、この接着シートSを吸着盤4側に送り出すようになっている。
【0016】
吸着盤4は、図3に示すように、複数の吸引孔43によって非接着面S2の側から接着シートSを吸着保持する保持面41と、この保持面41の反対側(上側)に設けられる上面部42と、吸着盤4内部に設けられるチャンバー部44とを有して形成されている。また、エアシリンダ5は、図示しないフレームに支持されるとともに、その出力軸51が吸着盤4の上面部42に固定され、エアシリンダ5を上下方向(押圧方向)に進退駆動することによって、吸着盤4が上下移動可能になっている。
【0017】
吸着盤4には、上面部42の孔を介して配管9Aが接続され、この配管9Aが三方弁10に接続されている。三方弁10には、配管9Bを介して遠心ファン6の吸入口が接続され、遠心ファン6を作動させることによって、吸着盤4の複数の吸引孔43から気体が吸引されるようになっている。また、三方弁10の3つの開口のうち、配管9A,9Bが接続された2つ以外の1つの開口には、大気に開放した配管12が接続されている。この三方弁10は、図示しない内部の弁を作動させることで、配管9Aと配管9Bとを連通させる吸引状態と、配管9Aと配管12とを連通させる負圧解除状態とが切り替え可能に構成されている。
【0018】
遠心ファン6の排気口には、圧力調整器11が接続され、圧力調整器11の2つの排出口のうちの一方には、配管8を介して吹付管7が接続されている。
吹付管7は、図2に示すように、一方の端が閉じた管状に形成されるとともに、他方の端には、圧力調整器11からの配管8が接続されている。この吹付管7は、配管8から供給された気体を吹き出す複数の吹付孔71を有して形成され、遠心ファン6で吸引した気体が圧力調整器11および配管8を介して複数の吹付孔71から図1中斜め上方に吹き出し、この気体が接着シートSに吹き付けられるようになっている。また、圧力調整器11の他方の排出口には、配管13が接続され、圧力調整器11のリリーフ弁を作動させることで、遠心ファン6で吸引した気体の一部が配管13を介して大気に開放され、吹付管7から吹き付ける気体を所定の圧力に保つようになっている。
【0019】
以下、被着体Wへの接着シートSの貼付方法として、シート貼付装置1の動作手順を図3も参照して説明する。
先ず、図2に示すように、コンベア等の搬送手段CVによって、図中A1で示す方向に被着体Wが搬送されて来ると、図示しないセンサによって検出されて吸着盤4の下方の所定位置で当該被着体Wの搬送が停止される。被着体Wの搬送停止が確認されると、図3(A)に示すように、繰出ユニット2によって剥離シートRLと接着シートSとを繰り出し、繰り出した剥離シートRLをピールプレート3で折り返し、接着シートSを剥離シートRLから剥離して吸着盤4の保持面41に沿って送り出す。一方、遠心ファン6は、吸着盤4の複数の吸引孔43から気体を吸引し、吸引した気体を圧力調整器11に送ることで、圧力調整器11、配管8を介して吹付管7に気体が送られ、複数の吹付孔71から接着シートSの送り出し方向斜め上方に向かって気体が吹き付けられる。このように接着シートSを送り出しつつ、その接着面S1側に下方から気体を吹き付けることで、接着シートSが自重で撓んだり、落下したりすることを防止することができる。
【0020】
すなわち、接着シートSがピールプレート3から吸着盤4に向かって送り出される途中において、当該接着シートSが複数の吸引孔43の全てを塞いで吸着保持されるまでの間は、塞がれていない吸引孔43から気体が吸引されることとなり、吸着盤4による吸引力が十分でないため、接着シートSが自重によって下方に垂れ下がったり、落下したりする可能性がある。このため、吸着盤4の全ての吸引孔43を塞いで接着シートSが吸着保持されるまで、吹付管7から接着シートSに気体を吹き付け、接着シートSの保持を下方から補助することによって、接着シートSの撓みや落下を防止して、適正な状態で吸着盤4に吸着保持させるようになっている。
【0021】
次に、図3(B)に示すように、接着シートSの非接着面S2全面が吸着盤4の保持面41に重なり、複数の吸引孔43の全てを塞ぐ所定の保持位置まで接着シートSが送り出されると、吸着盤4は、そのチャンバー部44内が負圧となって接着シートSを吸着保持する。この際、全ての吸引孔43が接着シートSで塞がれることで、吸引孔43からの気体の吸引が止まり、配管9の内部が負圧になるとともに、吹付管7にも気体が送られなくなることから、吹付管7からの気体の吹き付けも停止されることとなる。
【0022】
次に、図3(C)に示すように、シート貼付装置1は、エアシリンダ5を駆動して出力軸51を下方に移動させることで吸着盤4を下降させ、被着体Wに接着シートSを押圧する。このようにして被着体Wに接着シートSを貼付したら、三方弁10を作動させて配管12、配管9Aを介してチャンバー部44内に気体を導入し(チャンバー部44内を大気圧とし)、チャンバー部44内の負圧を解除する。そして、エアシリンダ5を駆動して吸着盤4を接着シートSから離隔させると、接着シートSが被着体Wに貼付される。
以上のように被着体Wに対する接着シートSの貼付が完了したら、接着シートSが貼付された被着体Wは、搬送手段CVによって搬送されるとともに、次の被着体Wが搬送されてくることで上記同様の動作が繰り返される。
【0023】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、吸着盤4の吸引孔43から遠心ファン6で吸引した気体が配管8を介して吹付管7に供給されるため、吹付管7に気体を供給するコンプレッサを別途設置しなくてよく、シート貼付装置1の構造を簡単化できるとともに、シート貼付装置1の小型化を図ることができる。また、エアシリンダ5に気体を供給するコンプレッサ等のエア供給源と吹付管7に気体を供給するエア供給源とを区別することができるため、エアの吹き付けによる大量のエア消費が原因で、エアシリンダ5が正常のタイミングで駆動されなかったり、所定の出力が得られなかったりして、接着シートSの貼付不良が発生してしまうという不都合は解消される。
【0024】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態を図4に基づいて説明する。
本実施形態のシート貼付装置1Aは、押圧手段の構成が第1実施形態のシート貼付装置1と相違しており、吸着盤4が被着体Wに接触することなく、非接触で接着シートSを被着体Wに貼付することができるものの、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
すなわち、図4(A)に示すように、三方弁10からの配管12に加圧手段としての遠心ファン15を備えて構成され、遠心ファン15からの加圧気体によって押圧手段が構成されている。
そして、第1実施形態と同様に、被着体Wが所定位置に停止されると、図4(B)に示すように、シート貼付装置1Aは、エアシリンダ5を駆動して吸着盤4を下降させ、被着体Wの上方に所定間隔を隔てて停止される。なお、このときエアシリンダ5は中間停止が可能なものを採用する方が好ましい。次いで、三方弁10の作動によって、遠心ファン15からの加圧気体が配管12、9Aを介してチャンバー部44内に導入され、吸着盤4によって吸着保持された接着シートSを被着体Wに向けて吹き飛ばして押圧し、被着体Wに貼付するようになっている。
【0025】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態を図5に基づいて説明する。
本実施形態のシート貼付装置1Bは、第2実施形態で用いた加圧手段としての遠心ファン15の代わりに、遠心ファン6からの加圧気体によって押圧手段として機能する加圧手段が構成され、三方弁10に代えて設けられた四方弁17と、配管8の途中に設けられた三方弁18と、四方弁17と三方弁18とを接続する配管19とを備えて構成されている。四方弁17は、図5(A)に示すように、配管9Aと配管9Bとを連通させる吸引状態と、図5(B)に示すように、大気に開放した配管20と配管9Bとを連通させかつ配管9Aと配管19とを連通させる加圧状態とが切り替え可能に構成されている。一方、三方弁18は、図5(A)に示すように、圧力調整器11からの配管8を吹付管7側に連通させる吹付状態と、圧力調整器11からの配管8を配管19側に連通させる加圧状態とが切り替え可能に構成されている。
【0026】
以上のシート貼付装置1Bでは、図5(A)に示すように、四方弁17を吸引状態とし、三方弁18を吹付状態とした上で、遠心ファン6を作動させることで、シート貼付装置1Aと同様に、吸着盤4で接着シートSを吸着保持する。
そして、第2実施形態と同様に、吸着盤4が停止中の被着体Wの上方に所定間隔を隔てて停止されると、図5(B)に示すように、四方弁17および三方弁18がそれぞれ加圧状態に切り替えられ、遠心ファン6からの加圧気体が配管8,19,9Aを介してチャンバー部44内に導入され、吸着盤4によって吸着保持された接着シートSを被着体Wに向けて吹き飛ばして押圧し、被着体Wに貼付するようになっている。
【0027】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。また、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0028】
例えば、前記実施形態では、吸着盤4の下面に設けた保持面41に沿って接着シートSを送り出し、送り出す途中の接着シートSの下面側(接着剤層側)に斜め下方から気体を吹き付けるように構成したが、接着シートの送り出し方向や、吹付手段による気体の吹き付け方向などは、前記実施形態に限られない。すなわち、接着シートを上下方向や適宜な斜め方向に送り出してもよく、あるいは、接着シートの面方向が水平ではなく、垂直または適宜に傾斜した状態の接着シートを任意の方向に送り出すようにしてもよい。また、吹付手段による気体の吹き付け方向としても、接着シートの送り出し方向に応じて適宜に設定すればよく、上下方向や適宜な斜め方向に気体が吹き出されるように構成してもよい。
また、前記実施形態では、吸着盤4の下方に被着体Wを位置させ、この被着体Wに向かって吸着盤4を下降させて接着シートを押圧したり、加圧手段による気体で接着シートを下方に押し出して押圧したりなど、接着シートの押圧方向が下向きの例を説明したが、押圧方向としては、下向きに限らず、上向きや横向き、あるいは適宜な斜め方向であってもよい。
【0029】
また、前記実施形態では、被着体Wおよび接着シートSを具体的に例示していないが、本発明のシート貼付装置(貼付方法)では、被着体および接着シートの種別や材質などは、特に限定されず、例えば、被着体が適宜な物品(例えば、段ボールケースや樹脂容器等)であって、接着シートがラベルであってもよく、被着体が半導体ウェハであって、接着シートが保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムなどであってもよい。この際、半導体ウェハは、シリコンウェハや化合物ウェハ等が例示でき、このようなウェハに貼付する接着シートは、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルムに限らず、その他の任意のシート、フィルム、テープ等、任意の用途、形状の接着シート等が適用できる。さらに、被着体が光ディスクの基板であって、接着シートが記録層を構成する樹脂層を有したものであってもよい。以上のように、被着体としては、ガラス板、鋼板、樹脂板等や、その他の板状部材のみならず、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。
さらに、吸引手段はシロッコファンやブロワ等が例示でき、負圧を発生させるにあたって正圧が発生するものであれば、当該吸引手段に採用することができる。
また、剥離手段は、ピールプレート3以外にローラを利用したものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1,1A,1B シート貼付装置
2 繰出ユニット(繰出手段)
3 ピールプレート(剥離手段)
4 吸着盤(保持手段)
5 エアシリンダ(押圧手段)
6 遠心ファン(吸引手段、加圧手段)
7 吹付管(吹付手段)
8 配管(循環手段)
9 配管(経路)
10 三方弁(負圧解除手段)
11 圧力調整器(圧力調整手段)
15 遠心ファン(加圧手段)
S 接着シート
W 被着体
RL 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの一方の面側に接着剤層を有する接着シートを被着体に貼付するシート貼付装置であって、
帯状の剥離シートに仮着された前記接着シートを前記剥離シートとともに繰り出す繰出手段と、
前記剥離シートから前記接着シートを剥離しつつ当該接着シートを送り出す剥離手段と、
前記剥離手段から送り出される前記接着シートに対して前記基材シートの他方の面側から吸引孔を介して吸着保持する保持手段と、
前記吸引孔から気体を吸引することで当該吸引孔に吸引力を付与する吸引手段と、
前記剥離手段から送り出される前記接着シートに対して前記接着材層の側に気体を吹き付ける吹付手段と、
前記保持手段で吸着保持した接着シートを前記被着体に押圧して貼付する押圧手段と、
前記吸引手段が前記吸引孔から吸引した気体を前記吹付手段に循環させる循環手段とを備えることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記保持手段から前記吸引手段への経路途中には、前記保持手段で前記接着シートを吸引した負圧状態を解除する負圧解除手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記負圧解除手段には、前記保持手段で保持した前記接着シートを気体で押圧することで前記押圧手段として機能する加圧手段が接続されていることを特徴とする請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
前記循環手段の途中には、前記吹付手段の圧力を調整する圧力調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート貼付装置。
【請求項5】
基材シートの一方の面側に接着剤層を有する接着シートを被着体に貼付するシート貼付方法であって、
帯状の剥離シートに仮着された前記接着シートを前記剥離シートとともに繰り出す工程と、
前記剥離シートから前記接着シートを剥離しつつ当該接着シートを送り出す工程と、
送り出される前記接着シートに対して前記基材シートの他方の面側から吸引孔を介して保持手段を介して吸着保持する工程と、
前記吸引孔から気体を吸引することで当該吸引孔に吸引力を付与する工程と、
前記吸引孔から吸引した気体を循環させ、送り出される前記接着シートに対して前記接着材層の側に気体を吹き付ける工程と、
前記保持手段で吸着保持した接着シートを前記被着体に押圧して貼付する工程とを有することを特徴とするシート貼付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate