説明

シート貼付装置

【課題】装置の構造の簡略化を図ることができ、装置設計の自由度を高めることができるようにすること。
【解決手段】シート貼付装置10は、帯状の剥離シートRLに仮着された接着シートS1に印字する第1の印字手段11と、ピールプレート12で剥離された接着シートS1を搬送する第1の搬送手段14と、帯状シートTSの一方の面に印字する第2の印字手段15と、第2の印字手段15で印字された帯状シートを切断して枚葉シートS2を形成する切断手段16と、枚葉シートS2を搬送する第2の搬送手段18と、接着シートS1の接着剤層が部分的に表出するように枚葉シートS2を貼り合わせる貼合手段19とを備えて構成されている。第2の搬送手段18は、枚葉シートS2の印字面側から保持し、第2の印字手段15での印字処理時に対し、枚葉シートS2の表裏の向きを反転して貼合手段19に搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置に係り、更に詳しくは、接着シートに枚葉シートを貼り合わせた状態で、当該枚葉シートを接着シートと被着体との間に挟み込んで貼付することができるシート貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配送商品等に貼付される配送伝票は、当該配送伝票を通じて商品に関する情報、例えば、商品名、商品価格等が漏洩し得ることとなる。これらの情報は、消費者が購入した商品が何であるか等を特定する秘匿情報となるため隠蔽する必要がある。
このような秘匿情報を隠蔽した状態で、配送伝票等の接着シートを配送商品となる被着体に貼付することのできる装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、接着シートの接着剤層側に、秘匿情報が印字された枚葉シートの非印字面を貼り合わせ、当該枚葉シートの外周側に接着シートの接着剤層を部分的に表出させて被着体に貼付することに適合した装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−181991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された装置にあっては、貼り合わせる各シートの印字時の向きや位置に応じて印字手段を設置することが不可欠となる。このため、既存のプリンタを使用できなくなり、装置の設計やレイアウトの自由度が損なわれる、という不都合を招来する。具体的には、例えば、接着剤層が下向きで搬送される接着シートに、枚葉シートを貼り合わせる場合、接着シートの印字面が上向き、枚葉シートの印字面が下向きとなって各印字面が逆向きになる。この結果、接着シートに印字する印字手段と、枚葉シートに印字する印字手段とを同一の装置を使用して複数設置できなくなったり、下向きとなる印字面に印字するために特殊なプリンタを使用することが必要になる、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、装置の構造の簡略化を図ることができ、装置設計の自由度を高めることができるシート貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、接着シートの接着剤層が部分的に表出するように枚葉シートの非印字面を貼り合わせ、表出した接着剤層を介して前記各シートを被着体に貼付するシート貼付装置において、
帯状の剥離シートに仮着された接着シートに印字する第1の印字手段と、前記剥離シートから接着シートを剥離する剥離手段と、この剥離手段で剥離された接着シートを搬送する第1の搬送手段と、接着剤層を有しない帯状シートの一方の面に印字する第2の印字手段と、この第2の印字手段で印字された帯状シートを切断して前記枚葉シートを形成する切断手段と、この切断手段で形成された枚葉シートを搬送する第2の搬送手段と、接着シートの接着剤層に枚葉シートを貼り合わせる貼合手段と、この貼合手段で枚葉シートが貼り合わされた接着シートを保持して被着体に貼付する貼付手段とを備え、
前記第2の搬送手段は、枚葉シートの印字面側から保持するとともに、前記第2の印字手段での印字処理時に対し、枚葉シートの表裏の向きを反転して前記貼合手段に搬送可能に設けられる、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記第2の搬送手段は、吸引手段を介して吸気を行うサクションチャンバと、所定のプーリに掛け回されて前記サクションチャンバの吸気面に沿って位置するサクションベルトとを備え、
前記サクションベルトは、サクションチャンバの吸気を介して外側表面で枚葉シートを吸着保持しつつ、各プーリを介して回動することで枚葉シートを前記貼合手段に搬送可能に設けられる、という構成を採ることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第2の搬送手段によって枚葉シートの表裏の向きを反転できるので、第1の印字手段による印字時の接着シートの向きと、第2の印字手段による印字時の帯状シートの向きとを同一に設定することができる。従って、印字時の各シートの向きをそれぞれ上向きとし、第1及び第2の印字手段の両方とも既存のプリンタを利用可能となる他、第1及び第2の印字手段をそれぞれ同一装置とすることができる。これにより、装置の設計やレイアウトの自由度を高めて多様の装置構成が採用できるばかりでなく、設備コストや製造コストを抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、特に明示しない限り、「上」、「下」、
「左」、「右」は、図1を基準として用いる。
【0010】
図1には、実施形態に係るシート貼付装置の概略正面図が示されている。この図において、シート貼付装置10は、帯状の剥離シートRLに仮着された接着シートS1に所定の印字情報を印字する第1の印字手段11と、前記剥離シートRLから接着シートS1を剥離する剥離手段としてのピールプレート12と、このピールプレート12で剥離された接着シートS1を搬送する第1の搬送手段14と、接着剤層を有しない帯状シートTSの一方の面に印字する第2の印字手段15と、この第2の印字手段15で印字された帯状シートTSを切断して枚葉シートS2を形成する切断手段16と、この切断手段16で形成された枚葉シートTSを搬送する第2の搬送手段18と、接着シートS1の接着剤層に枚葉シートTSを貼り合わせる貼合手段19と、この貼合手段19で枚葉シートS2が貼り合わされた後の接着シートS1を保持して被着体Wに貼付する貼付手段20とを備えて構成されている。
【0011】
前記第1の印字手段11及びピールプレート12は、フレームF1に支持されている。このフレームF1には、剥離シートRLに接着シートS1が仮着された原反R1を支持する支持軸22と、ピールプレート12で接着シートS1が剥離された後の剥離シートRLを図示しない駆動源によって所定のトルクで巻き取る巻取軸23とが支持されている。ピールプレート12を経た後の剥離シートRLは、モータ24を介して回転可能な駆動ローラ25に掛け回され、この駆動ローラ25とピンチローラ26との間に剥離シートRLが挟み込まれている。第1の印字手段11に対向する位置にはプラテンローラ28が設けられている。
【0012】
前記第1の搬送手段14は、図示しない駆動源を介して回転可能な左右一対のプーリ30と、これらプーリ30に掛け回される丸ベルト31と、丸ベルト31の下部で接着シートS1を挟みこみつつ、丸ベルト31の回動に沿って接着シートS1を移動させる複数の案内ローラ32とを備えている。なお、案内ローラ32は、接着シートS1が巻き付かないように非接着処理が施されている。
【0013】
前記第2の印字手段15及び切断手段16は、フレームF2に支持されている。このフレームF2には、前記帯状シートTSが巻回された原反R2を支持する支持軸35が設けられている。この支持軸35から繰り出される帯状シートTSは、第2の印字手段15を経る前に、モータ36を介して回転可能な駆動ローラ37を通過し、この駆動ローラ37とピンチローラ38との間に帯状シートTSが挟み込まれる。第2の印字手段15は、第1の印字手段11と同一構造をなす装置が用いられ、これらは、図1中左右対称となる向きに設置されている。第2の印字手段15に対向する位置にはプラテンローラ39が設けられている。切断手段16は、図示しないカッター刃及びそのダイを含み、予め設定されたタイミングで帯状シートTSを幅方向に切断し、これにより、所定長さとなる枚葉シートS2が形成されるようになっている。ここで、枚葉シートS2の幅は、前記接着シートS1より小さく設定され、これらを貼り合わせたときに、枚葉シートS2の外周側に接着シートS1の接着剤層が部分的に表出するようになっている。
【0014】
前記第2の搬送手段18は、吸引ポンプ等の吸引手段41を介して左面側で吸気を行うサクションチャンバ42と、このサクションチャンバ42の上下両側にそれぞれ設けられたプーリ44と、これらプーリ44に掛け回されるとともに、サクションチャンバ42の左面に沿って位置するサクションベルト45とを備えている。サクションベルト45は、サクションチャンバ42の吸気を介して外側表面で枚葉シートS2を吸着保持しつつ、各プーリ44を介して回動することで枚葉シートS2を貼合手段19に向かって搬送できるようになっている。下側のプーリ44は、切断手段16に隣接しており、当該プーリ44の下方には、切断して形成された枚葉シートS2をサクションベルト45に吸着されるよう案内する案内ローラ46が複数設けられている。
【0015】
前記貼合手段19は、上側のプーリ44の上方に位置するプレスローラ48と、このプレスローラ48を昇降させるシリンダ49とを備え、プレスローラ48とサクションベルト45との間に接着シートS1及び枚葉シートS2を挟み込んで貼り合わせることができるようになっている。ここで、貼合手段19の左側には、カメラ、バーコードリーダ、光電管、リミットスイッチ等からなる第1及び第2の検出手段51、52が設けられている。第1の検出手段51は、接着シートS1の位置や印字内容を検出可能とされ、第2の検出手段52は、枚葉シートS2の位置や印字内容を検出可能とされる。また、貼合手段19の右側には、カメラ、バーコードリーダ、光電管、リミットスイッチ等からなる検証手段53が設けられ、この検証手段53は、貼り合わされた接着シートS1及び枚葉シートS2の整合性(マッチング)や相対位置、印字品質等をチェック可能に設けられている。貼合手段19で積層された接着シートS1及び枚葉シートS2は、移動手段55を介して貼付手段20に搬送される。この移動手段55は、アーム56を左右に移動させる単軸ロボット57と、アーム56の先端側に設けられて貼り合わされた接着シートS1及び枚葉シートS2を吸着保持する保持体58とを備えている。
【0016】
前記貼付手段20は、被着体Wを搬送するコンベアCの上方に配置された吸着プレート60と、この吸着プレート60を被着体Wに向かって進退可能に支持するシリンダ61とを備えて構成されている。吸着プレート60は、下面側に図示しない多数の吸着孔を備えており、接着シートS1及び枚葉シートS2が貼り合わされた状態で吸着保持するように構成されている。
【0017】
次に、本実施形態の全体的な動作について説明する。ここで、説明の便宜上、被着体Wは、宅配商品であるとし、接着シートS1には、当該商品の配達先情報等が印字されるものとし、枚葉シートS2には、例えば、領収金額、商品名等の秘匿情報及び日付等が印字されるものとする。
【0018】
図示しない管理ラベルが貼付された被着体WがコンベアCによって搬送されて来ると、その管理ラベルの情報が図示しない読取装置によって読み取られる。この情報が読み込まれると、各モータ24、36がそれぞれ駆動し、各原反R1、R2が繰り出される。なお、読み込まれた情報には印字情報が含まれている。そして、原反R1は、その繰り出し中において、第1の印字手段11により、接着シートS1の基材面(上面)を印字面として管理ラベルの印字情報を基に所定の印字が行われる。この印字後、接着シートS1は、ピールプレート12で剥離シートRLから剥離され、丸ベルト31と案内ローラ32とで挟み込まれて搬送され、第1の検出手段51によって検知されて停止状態とされる。このとき、第1の検出手段51によって、接着シートS1に施された印字内容を確認するように構成してもよい。
【0019】
これと同時に、原反R2は、その繰り出し中に第2の印字手段15により、帯状シートTSの上面を印字面として管理ラベルの印字情報を基に所定の印字が行われる。この印字後、切断手段16により帯状シートTSが切断されて枚葉シートS2が形成される。枚葉シートS2は、案内ローラ46に案内されてサクションベルト45により印字面側を吸着保持されつつ、貼合手段19に向かって上方に搬送される。このとき、第2の印字手段15の印字処理時では、上向きとされた印字面がサクションベルト45の回動により枚葉シートS2の表裏の向きを反転する、すなわち、枚葉シートS2の印字面を下向き、非印字面を上向きとして貼合手段19に搬送される。
【0020】
第2の搬送手段18によって搬送される枚葉シートS2が第2の検出手段52によって検知されると、停止されていた丸ベルト31が所定のタイミングで再駆動され、サクションベルト45と同期して接着シートS1を貼合手段19へ搬送する。このとき、第2の検出手段52によって、枚葉シートS2に施された印字内容を確認するように構成してもよい。これにより、各シートS1、S2の位置合わせが行われて、シリンダ49を介してプレスローラ48が各シートS1、S2を押圧し、枚葉シートS2と接着シートS1とが貼り合わされる。このとき、枚葉シートS2の幅が接着シートS1より小さいので、接着シートS1の前記接着剤層が部分的に表出するように枚葉シートS2の非印字面が貼り合わせられる。
【0021】
貼り合わされた接着シートS1及び枚葉シートS2は、検証手段53によって整合性、相対位置、印字品質等が確認され、保持体58上に供給されて吸着保持される。なお、この検証手段53によって検証不適合と判定された場合、シート貼付装置10の動作が停止されるとともに、図示しないパイロットランプやブザー等に信号が出力され、オペレータ等に検証不適合である旨を告知するようになっている。検証適合と判定された場合は、単軸ロボット57を介して接着シートS1及び枚葉シートS2を吸着プレート60の下面に移送した後、吸着プレート60が貼り合わされた接着シートS1及び枚葉シートS2を吸着保持し、保持体58を元の位置に退避させる。そして、吸着プレート60がシリンダ61の作動によって被着体Wに向かって下降することで、枚葉シートS2が被着体Wとの間に隠蔽された状態で、当該枚葉シートS2の外側に表出した接着シートS1の接着剤層によって被着体Wに貼付されることとなる。
【0022】
従って、このような実施形態によれば、第2の搬送手段18において、サクションベルト45によって枚葉シートS2の印字面側を保持して搬送しながら表裏反転させることができる。これにより、第1及び第2の印字手段11、15の印字処理する向きを下向きとして共通化させることができ、これら印字手段11、15に既存のプリンタを使用できる他、同一構造のプリンタを用いることが可能となる。
【0023】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0024】
例えば、前記剥離手段12、第1の搬送手段14、切断手段16、貼合手段19、貼付手段20、移動手段55等、本発明に係る装置各部の構造は、前記実施形態と同様の機能を発揮する限りにおいて、種々の設計変更が可能である。また、第1、第2の印字手段11、15は、特に限定されるものでなく、サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザプリンタ、ドットインパクトプリンタ等を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るシート貼付装置の概略正面図。
【符号の説明】
【0026】
10 シート貼付装置
11 第1の印字手段
12 ピールプレート(剥離手段)
14 第1の搬送手段
15 第2の印字手段
16 切断手段
18 第2の搬送手段
19 貼合手段
20 貼付手段
RL 剥離シート
S1 接着シート
S2 枚葉シート
TS 帯状シート
W 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着シートの接着剤層が部分的に表出するように枚葉シートの非印字面を貼り合わせ、表出した接着剤層を介して前記各シートを被着体に貼付するシート貼付装置において、
帯状の剥離シートに仮着された接着シートに印字する第1の印字手段と、前記剥離シートから接着シートを剥離する剥離手段と、この剥離手段で剥離された接着シートを搬送する第1の搬送手段と、接着剤層を有しない帯状シートの一方の面に印字する第2の印字手段と、この第2の印字手段で印字された帯状シートを切断して前記枚葉シートを形成する切断手段と、この切断手段で形成された枚葉シートを搬送する第2の搬送手段と、接着シートの接着剤層に枚葉シートを貼り合わせる貼合手段と、この貼合手段で枚葉シートが貼り合わされた接着シートを保持して被着体に貼付する貼付手段とを備え、
前記第2の搬送手段は、枚葉シートの印字面側から保持するとともに、前記第2の印字手段での印字処理時に対し、枚葉シートの表裏の向きを反転して前記貼合手段に搬送可能に設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記第2の搬送手段は、吸引手段を介して吸気を行うサクションチャンバと、所定のプーリに掛け回されて前記サクションチャンバの吸気面に沿って位置するサクションベルトとを備え、
前記サクションベルトは、サクションチャンバの吸気を介して外側表面で枚葉シートを吸着保持しつつ、各プーリを介して回動することで枚葉シートを前記貼合手段に搬送可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のシート貼付装置。

【図1】
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【公開番号】特開2010−76778(P2010−76778A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−245168(P2008−245168)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】