説明

シート載置装置、画像形成装置、及び画像読取装置

【課題】シートサイズ検知手段を用いることなく記録シートを位置合わせし、且つ、記録シートを大きく撓ませた状態で底板610から送り出すことによる重度の皺や破れの発生を回避する。
【解決手段】移動中のサイドフェンス(611、612)に対して所定の閾値を超える負荷がかかった場合に駆動モータからサイドフェンスへの駆動伝達を切ってサイドフェンスを停止させる移動停止手段と、底板610上に載置された記録シートの撓みによる表面の位置変位を検知する表面位置変位検知手段(692、693)と、これによる検知結果に基づいて記録シートの撓みの有無を判定する判定手段とを設け、撓み無し判定された場合にだけ、記録シートの送り出しを開始させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置面の上に載置されたシート部材を所定の位置に位置合わせするシート位置合わせ手段を具備するシート載置装置、並びにこれを備える画像形成装置及び画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置、スキャナ等の画像読取装置、原稿自動搬送装置(以下、ADFという)など、シート状のシート部材を用いるものにおいて、シート位置合わせ手段を具備するシート載置装置を搭載したものが知られている。この種のシート載置装置は、シート位置合わせ手段により、記録紙、OHPフィルム等の記録シートや、原稿シートなどのシート部材を、載置面上におけるシート搬送方向と直交する搬送直交方向の所定位置に位置合わせすることができる。画像形成装置では、給紙カセットや手差し給紙トレイなどのシート載置装置に、かかる構成を採用したものが知られている。また、スキャナやADFでは、原稿シートを載置する原稿載置台などのシート載置装置に、かかる構成を採用したものが知られている。
【0003】
従来のシート載置装置においては、載置面上に載置されたシート部材の位置を規制部材によって規制することで、シート部材を位置合わせするのが一般的である。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、シート位置合わせ手段を具備するシート載置装置として、シート整合装置を備えている。そして、このシート整合装置は、載置面上で搬送直交方向にスライド移動するように配設された2枚のサイドフェンスを規制部材として有している。これら2枚のサイドフェンスは、互いに大きく離間した位置をそれぞれホームポジションとしている。シート載置装置の載置面にシート部材としての記録シートがセットされる際には、まず、2枚のサイドフェンスが駆動モータの駆動によってそれぞれホームポジションまで移動される。この状態で、複数の記録シートの束が載置面上にセットされると、駆動モータが先とは逆方向に回転駆動されて、2枚のサイドフェンスが互いに近づく方向に移動し始める。そして、シート束の中で搬送直交方向の端側に片寄った位置にある記録シートに当接して、その記録シートを中央に向けて押す。このように、2枚のサイドフェンスがそれぞれ片寄った位置にある記録シートをシート載置面の中央に向けて押しながら、互いの距離を記録シートの幅寸法とほぼ同じ値にするまで近づくことで、シート載置面上に無造作に載置された複数の記録シートを、シート載置面の中央に位置合わせすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このシート整合装置においては、記録シートのサイズを検知するサイズ検知手段を設ける必要があった。具体的には、このシート整合装置は、記録シートの位置合わせを行う載置面に対して、位置合わせ対象となる記録シートを搬送手段によって搬送するようになっている。そして、記録シートを載置面まで搬送するまでの過程で、その記録シートのサイズをサイズ検知手段によって検知する。記録シートを載置面まで搬送すると、ホームポジションに位置させていた2枚のサイドフェンスを記録シートのサイズに応じた時間だけモータ駆動によって載置面の中央に向けて移動させる。これにより、2枚のサイドフェンスを記録シートのサイズとほぼ同じ距離まで近づけることで、フェンス間に載置された記録シートを載置面の中央に位置合わせする。かかる構成においては、記録シートのサイズをサイズ検知手段によって予め検知しておかないと、サイドフェンスをどの程度の時間だけ駆動すればよいのかが解らない。このため、サイズ検知手段を設けなければならず、このことが、レイアウト自由度を低下させる原因になっていた。
【0005】
そこで、本発明者らは、次のような新規なシート載置装置を開発中である。即ち、駆動モータからサイドフェンスに至るまでの駆動系に所定の閾値を超える負荷が発生した場合、あるいは、サイドフェンスに対して所定の閾値を超える圧力が加わった場合に、サイドフェンスの移動を自動停止させる移動停止手段を設けたシート位置合わせ装置である。移動停止手段としては、駆動伝達系内のクラッチにかかるトルクが所定の閾値を超えた場合にクラッチによる駆動の伝達を切るトルクリミッターが挙げられる。また、サイドフェンスに加わる圧力を検知する圧力センサーによる検知結果が所定の閾値を超えた場合に駆動モータを停止させるものでもよい。移動中の2枚のサイドフェンスが互いの距離を記録シートのサイズとほぼ同じ寸法まで近づけると、両者間に記録シートが突っ掛かるので、トルクリミッターにかかるトルクや、サイドフェンスにかかる圧力が閾値を超える。このときに、2枚のサイドフェンスの移動を停止させることで、記録シートのサイズが予め判明していないくても、それらサイドフェンスを適切な位置で停止させることが可能になる。かかる構成においては、記録シートのサイズを予め把握していなくても、2枚のサイドフェンスを記録シートの寸法に見合った位置にそれぞれ自動停止させることが可能なので、サイズ検知手段を省くことができる。
【0006】
ところが、このシート載置装置においては、記録シートに重度の皺や破れを発生させるおそれがあった。具体的には、記録シートに僅かな反りなどがあると、2枚のサイドフェンスに挟み込まれた記録シートがサイドフェンスを十分な力で押し返す代わりに、徐々に撓んでいくことがある。すると、図1に示すように、記録シート6が大きく撓んでサイドフェンス(611、612)を十分な力で押し返すようになるまで、サイドフェンスの移動が継続されてしまう。このように大きく撓んだ状態の記録シート6を載置面から送り出すと、ガイド部材などに引っ掛けて、記録シート6に重度の皺や破れなどを発生させるおそれがある。
【0007】
これまで、画像形成装置に搭載されたシート載置装置における問題点について説明したが、ADF、スキャナ、後処理装置(整合処理装置やステープル処理装置など)等に搭載されたシート載置装置でも、同様の問題が生じ得る。
【0008】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のようなシート載置装置、並びに、これを用いる画像形成装置及び画像読取装置を提供することである。即ち、シートサイズ検知手段を用いることなくシート部材を位置合わせし、且つ、シート部材を大きく撓ませた状態で載置面から送り出すことによる重度の皺や破れの発生を回避することができるシート載置装置等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、シート状のシート部材を載置するための載置面と、前記載置面に沿った方向であり且つ前記載置面上でのシート搬送方向と直交する方向である搬送直交方向に移動するように前記載置面上に配設され、前記載置面上に載置されたシート部材の前記搬送直交方向の一端に当接することで前記一端の位置を規制する第1規制部材と、前記シート部材の前記搬送直交方向の他端に当接することで前記他端の位置を規制する第2規制部材と、駆動源によって発揮される駆動力を、前記第1規制部材及び前記第2規制部材のうち、少なくとも前記第1規制部材に伝達して、前記第1規制部材を前記搬送直交方向に移動させる駆動伝達手段と、前記載置面に載置されたシート部材を前記載置面から送り出す送り出し手段とを備え、前記第1規制部材によって前記一端の位置を規制しつつ、前記第2規制部材によって前記他端の位置を規制することで、前記載置面上に載置されたシート部材の前記搬送直交方向における位置を所定位置に合わせるシート載置装置において、前記駆動源の駆動力によって前記載置面上のシート部材に向けて移動している前記第1規制部材に対してその移動を阻止しようとする力が所定の閾値を超えてかかったことに基づいて前記第1規制部材の移動を停止させる移動停止手段と、前記載置面上に載置されたシート部材の撓みによる表面の位置変位を検知する表面位置変位検知手段と、前記表面位置変位検知手段による検知結果に基づいて、前記載置面上に載置されたシート部材について撓みの有無を判定する判定手段とを設けるとともに、前記判定手段によって撓み無しと判定された場合にだけ、前記載置面からのシート部材の送り出しを開始する処理を実施するように、前記送り出し手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1のシート載置装置において、前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に配設され、揺動軸を中心にした揺動によって前記載置面に接触する位置と前記載置面から離間する位置との間を自由に往復移動し、且つ前記載置面に載置されたシート部材の上に載った状態でそのシート部材を自重によって前記載置面に向けて押さえ付ける押さえ部材を設けるとともに、前記押さえ部材の揺動方向の変位によってシート部材の撓みによる表面の位置変位を検知させるように、前記表面位置変位検知手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2のシート載置装置において、前記押さえ部材における前記載置面との対向部に、前記載置面の前記搬送直交方向における中心から前記第1規制部材に向けて近づくにつれて前記載置面から遠ざかるテーパー面を設け、前記駆動源の駆動によって移動する前記第1規制部材に押されながら前記押さえ部材に近づいていく複数枚のシート部材の束における上端エッジに前記テーパー面を摺擦させるのに伴って、前記揺動軸を中心にして前記押さえ部材を前記載置面から遠ざかる方向に移動させて前記束の上に乗り上げさせるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3のシート載置装置において、前記第2規制部材を前記載置面上でスライド移動可能に配設し、前記駆動源の駆動力を、前記第1規制部材と前記第2規制部材とに対して、前記搬送直交方向に沿って互いに逆方向の力を伝達するように前記駆動伝達機構を構成し、前記第1規制部材と前記第2規制部材とを互いに同じタイミングで停止させるように前記移動停止手段を構成し、前記テーパー面としての第1テーパー面の他に、前記載置面の前記搬送直交方向における中心から前記第2規制部材に向けて近づくにつれて前記載置面から遠ざかる第2テーパー面を前記押さえ部材に設け、且つ、前記駆動源の駆動によって移動する前記第2規制部材に押されながら前記押さえ部材に近づいていく複数枚のシート部材の束における上端エッジに前記第2テーパー面を摺擦させるのに伴って、前記揺動軸を中心にして前記押さえ部材を前記載置面から遠ざかる方向に移動させて前記束の上に乗り上げさせるようにしたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項3又は4のシート載置装置において、前記判定手段によって撓み有りと判定された場合に前記駆動源の駆動を停止させる駆動停止手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5のシート載置装置において、前記表面位置変位検知手段による検知結果と、所定の閾値との比較に基づいて、シート部材の撓みの有無を判定する処理を実行するように、前記判定手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6のシート載置装置において、前記第1規制部材と前記第2規制部材との前記搬送直交方向における離間距離が、設計規格として定められた最小サイズシートの短辺寸法よりも小さな所定の限界接近距離よりも近づいた場合には、前記載置面からのシート部材の送り出しを開始しない処理を実施するように、前記送り出し手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項2乃至7の何れかのシート載置装置であって、前記載置面の全域のうち、シート部材の搬送方向の後端側を載置するための後端側載置面が、シート部材の先端側を載置するための先端側載置面に対して所定の屈折角をもって屈折する姿勢をとるように設けられたものであり、前記第1規制部材及び前記第2規制部材が、前記載置面上に載置されているシート部材の全域のうち、少なくとも前記屈折角に沿って屈折している屈折部に当接し得る位置で、前記搬送直交方向に沿って移動可能に配設されたものであり、且つ、前記押さえ部材が、前記載置面上に載置されているシート部材の全域のうち、少なくとも前記屈折部を前記載置面に向けて押さえ付けるものであることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、シート部材としての記録シートの表面に画像を記録する画像記録手段と、前記画像記録手段に向けて送り出すための記録シート、あるいは、前記画像記録手段を経由した後の記録シート、を載置する載置面上における記録シートの位置を所定の位置に合わせるシート載置装置とを備える画像形成装置において、前記シート載置装置として、請求項1乃至8の何れかのシート載置装置を用いたことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、原稿シートに記録されている画像を読み取る読取手段と、前記読取手段に向けて送り出すための記録シート、あるいは、前記読取手段を経由した後の記録シート、を載置する載置面上における記録シートの位置を所定の位置に合わせるシート載置装置とを備える画像読取装置において、前記シート載置装置として、請求項1乃至8の何れかのシート載置装置を用いたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
これらの発明においては、第1規制部材を搬送直交方向に移動させているときに、第1規制部材に対してその移動を阻止しようとする力が所定の閾値を超えてかかったことに基づいて、移動停止手段が第1規制部材の移動を自動的に停止させることで、第1規制部材をシート部材のサイズに見合った位置で停止させる。これにより、シートサイズ検知手段を用いることなく、シート部材を位置合わせすることができる。
また、これらの発明においては、載置面上のシート部材の撓みを検出すると、送り出し手段によるシート部材の送り出しを行わないようにするので、シート部材を大きく撓ませた状態で送り出すことによる重度の皺や破れの発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】開発中の手差しトレイと、大きく撓んだ状態の記録シートとを示す側面図。
【図2】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
【図3】同複写機のスキャナ及びADFを示す拡大斜視図。
【図4】同ADF及びスキャナを示す拡大構成図。
【図5】同複写機の手差しトレイを示す拡大斜視図。
【図6】同手差しトレイの第1載置部を示す分解斜視図。
【図7】同第1載置部の駆動伝達機構を2つのサイドフェンスとともに示す分解斜視図。
【図8】同第1載置部の駆動制限機構を拡大して示す拡大構成図。
【図9】同第1載置部の回転検知センサから出力されるパルス信号の波形を示す波形図。
【図10】同手差しトレイを横から示す側面図。
【図11】同複写機の電気回路の一部を示すブロック図。
【図12】複写機の制御部によって実施されるシート位置合わせ処理の各処理工程を示すフローチャート。
【図13】同手差しトレイの一部を正面から示す部分正面図。
【図14】シート束を載置した状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図15】シート束を押さえ部材との摺擦位置まで移動させた状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図16】シート束の上に押さえ部材を乗り上げさせた状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図17】シート束の位置合わせを終了した状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図18】底板の中央付近にシート束が載置されている状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図19】同シート束を位置合わせした状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図20】図18に示される状態から図19に示される状態になるまでのシート変位カウンタ値Cmの経時変化を示すグラフ。
【図21】底板の中央付近に記録シートが1枚だけ載置されている状態の同手差しトレイ60を示す部分正面図。
【図22】同記録シートを位置合わせした状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図23】図21に示される状態から図22に示される状態になるまでのシート変位カウンタ値Cmの経時変化を示すグラフ。
【図24】底板における第2サイドフェンス寄りの領域に最大積載枚数のシート束が載置されている状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図25】同シート束に押さえ部材を乗り上げさせた状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図26】図24に示される状態から図25に示される状態になるまでのシート変位カウンタ値Cmの経時変化を示すグラフ。
【図27】シート位置合わせ処理によって大きく撓んだ状態で位置合わせされてしまった1枚の記録シートを同手差しトレイとともに示す部分正面図。
【図28】シート位置合わせ処理の開始直後から、図27に示される状態になるまでのシート変位カウンタ値Cmの経時変化を示すグラフ。
【図29】同制御部によって実施される位置合わせ及びパルスカウント処理における各処理工程を示すフローチャート。
【図30】最小サイズの記録シートを比較的軽度の撓み量で撓ませた状態の同手差しトレイを示す部分正面図。
【図31】同複写機の給紙カセットを示す拡大斜視図。
【図32】変形例に係る手差しトレイにおける第1サイドフェンス及び第2サイドフェンスと、記録シートとを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した画像形成装置や画像読取装置を具備する複写機の一実施形態について説明する。なお、実施形態に係る複写機は、あくまでも本発明を適用した形態の一例であって、本発明の適用範囲がこの複写機に限られるものではない。
【0013】
まず、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。図2は、実施形態に係る複写機1を示す概略構成図である。この複写機1は、画像形成部4や給紙部5を具備する画像形成装置と、原稿自動搬送装置(ADF)2やスキャナ3を具備する画像読取装置とを備えている。
【0014】
画像形成装置の給紙部5は、画像が形成されるシート部材としての記録シート6を収納する給紙カセット41を具備している。また、画像形成装置の画像形成部4は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を作像する4つのプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kや、転写装置30を具備する画像形成装置としての画像形成部4を備えている。また、画像読取装置は、原稿シートの画像を読み取るスキャナ3と、原稿シートをスキャナ3の原稿読取位置に自動的に搬送するADF2とを備えている。なお、同図においては、実施形態に係る複写機をその正面側から示しており、図紙面に直交する方向の手前側が複写機の前方、奥側が複写機の後方に相当する。また、複写機を主体にすると、図中左方向は、複写機の右方向に相当し、図中右方向は複写機の左方向に相当する。
【0015】
画像形成部4は、鉛直方向におけるほぼ中央部に、転写装置30を備えている。この転写装置30は、中間転写体としての無端状の中間転写ベルト32と、これのループ内側に配設された複数のローラとを具備しており、それらローラによって中間転写ベルト32を逆三角形の形状で張架している。逆三角形の形状における3つの頂点位置では、それぞれ支持ローラが中間転写ベルト32をローラ周面に大きな巻き付き角で巻き掛けている。そして、それら3つの支持ローラの何れか1つが、自らの回転駆動によって中間転写ベルト32を図中時計回り方向に無端移動せしめる。
【0016】
3つの支持ローラのうち、図中で最も左側に配設されている支持ローラに対するベルト掛け回し箇所には、ベルトクリーニング装置がループ外側から当接している。このベルトクリーニング装置は、後述する2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト32表面に付着している転写残トナーを、ベルト表面から除去するものである。
【0017】
図中で最も左側に配設された支持ローラとの接触位置を通過してから、図中で最も右側に配設された支持ローラとの接触位置に進入する前のベルト領域は、ほぼ水平方向に沿って真っ直ぐに進む水平進行領域になっている。この水平進行領域の上方には、Y,M,C,K用の4つのプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kがベルト移動方向に沿って順に並ぶように配設されている。プロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kは、中間転写ベルト32に重ね合わせて転写するためのY,M,C,Kトナー像を作像するためのものである。実施形態に係る複写機は、プロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kにより、Y,M,C,Kトナー像をそれぞれ並行して作像するいわゆるタンデム型の構成になっている。なお、実施形態に係る複写機では、Y,M,C,Kという色の並び順を採用しているが、色の並び順はこの順序に限定されるものではない。
【0018】
画像形成部4において、プロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kはそれぞれ、像担持体としてのドラム状の感光体21Y,21M,21C,21Kを具備している。感光体の周りには、帯電ローラ(22Y,22M,22C,22K)を具備する帯電装置、現像装置(24Y,24M,24C,24K)、感光体クリーニング装置(23Y,23M,23C,23K)、図示しない除電装置などが配設されている。帯電装置は、感光体21Y,21M,21C,21Kに対向配置された帯電部材である帯電ローラ22Y,22M,22C,22Kには、それぞれ図示しない電源によって1次転写バイアスが印加される。これにより、帯電ローラ22Y,22M,22C,22Kと、感光体21Y,21M,21C,21Kとの間で放電が発生することにより、感光体21Y,21M,21C,21Kの表面が一様に帯電せしめられる。実施形態に係る複写機では、帯電ローラ22Y,22M,22C,22Kにより、感光体21Y,21M,21C,21Kの表面をトナーの正規帯電極性と同極性であるマイナス極性に一様帯電させるようになっている。
【0019】
なお、Y,M,C,K用の帯電装置として、帯電ローラを用いる方式のものに代えて、タングステン等のワイヤを用いるコロナ帯電方式や、導電性ブラシを用いるブラシ帯電方式のものを採用してもよい。また、帯電ローラなどの帯電部材については、感光体21Y,21M,21C,21Kに対して、接触させる接触方式で配設してもよいし、非接触の状態とする非接触方式で配設してもよい。非接触方式は、帯電ローラ等の帯電部材と感光体との間における空隙が感光体の偏心等によって変動することによって帯電ムラを引き起こし易いというデメリットがある反面、接触方式に比べて、帯電部材へのトナー付着による帯電ムラが発生し難いという利点がある。帯電ローラ等の帯電部材に印加する1次転写バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳した重畳バイアスを採用することが好ましい。これにより、直流電圧のみを印加する場合に比べて、感光体の表面を均一に帯電させることが可能となる。
【0020】
4つのプロセスカートリッジ20Y,20M,20C,20Kの上方には、露光装置10が配設されている。この露光装置10と、Y,M,C,K用の帯電装置とにより、感光体21Y,21M,21C,21Kに静電潜像を形成する潜像形成手段が構成されている。露光装置10は、スキャナ3による画像読み取りで得られた画像情報、あるいは、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる画像情報に基づいて生成したY,M,C,K用の書込光により、図中反時計回り方向に回転駆動される感光体21Y,21M,21C,21Kにおける一様帯電後の表面を光走査するものである。感光体21Y,21M,21C,21Kの表面全域のうち、光走査を受けた露光部は、光走査を受けていない地肌部に比べて電位を減衰させる。これにより、露光部には静電潜像が担持されることになる。露光装置10としては、レーザーダイオードによって書込光を生成するものや、LEDアレイによって書込光を生成するものを例示することができる。
【0021】
感光体21Y,21M,21C,21Kの表面に担持されたY,M,C,K用の静電潜像は、現像装置24Y,24M,24C,24KによってY,M,C,Kトナーが付着せしめられることで、Y,M,C,Kトナー像になって可視化する。感光体21Y,21M,21C,21Kは、中間転写ベルト32に当接して1次転写ニップを形成している。そして、Y,M,C,K用の1次転写ニップの裏側では、中間転写ベルト32のループ内側に配設されたY,M,C,K用の1次転写ローラが、感光体21Y,21M,21C,21Kとの間に中間転写ベルト32を挟み込んでいる。それらY,M,C,K用の1次転写ローラには、それぞれトナーの正規帯電極性とは逆極性であるプラス極性の1次転写バイアスが印加されている。そして、Y用の1次転写ニップにおいては、感光体21Y上に形成されたYトナー像が中間転写ベルト32のおもて面に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写されたベルト表面は、その後、M,C,K用の1次転写ニップを順に通過していく。そして、その過程で、感光体21M,21C,21K上のM,C,Kトナー像が順次重ね合わせて1次転写されることで、ベルト表面にはカラートナー像が形成される。
【0022】
Y,M,C,K用の1次転写ニップを通過した後の感光体21Y,21M,21C,21Kの表面は、感光体クリーニング装置23Y,23M,23C,23Kにより、転写残トナーがクリーニングされる。その後、図示しない除電装置によって除電されて再度の画像形成に備える。
【0023】
中間転写ベルト32のループ内に配設された3つの支持ローラのうち、最も下方に配設された支持ローラに対するベルト巻き付き箇所には、2次転写手段としての2次転写ローラ33がループ外側から当接して2次転写ニップを形成している。この2次転写ローラ33、あるいは、前記支持ローラには、図示しない電源によって2次転写バイアスが印加される。これにより、前記支持ローラと2次転写ローラ33との間には、中間転写ベルト32上のカラートナー像を2次転写ローラ33に向けて静電移動させる2次転写電界が形成される。
【0024】
2次転写ニップの図中右側方には、互いに当接してレジストニップを形成しながら互いに順方向に回転するローラ対からなるレジストローラ対45が配設されている。後述する給紙部5から送り出された記録シート6は、レジストローラ対45のレジストニップに挟み込まれる。そして、レジストローラ対45により、中間転写ベルト32上のカラートナー像に同期するタイミングで2次転写ニップに向けて送り出される。2次転写ニップに挟み込まれた記録シート6には、2次転写電界やニップ圧の作用によって中間転写ベルト32上のカラートナー像が2次転写される。このようにしてカラートナー像が2次転写された記録シート6は、2次転写ニップから、無端移動する搬送ベルト34を経由した後、定着装置50内に送られる。定着装置50は、定着部材としての定着ローラ51と、加圧ローラ52との当接によって形成している定着ニップ内に挟み込んだ記録シート6に対し、加熱や加圧によるトナー像の定着処理を施す。
【0025】
定着装置50から送り出された記録シート6は、搬送路繰り替え爪47が配設された搬送路分岐点にさしかかる。この搬送路切換爪47は、自らよりも下流側におけるシート搬送路を、排出路と反転搬送路87とで切り替えるものである。プリント動作モードとして片面プリントモードが選択されている場合には、搬送路切換爪47がシート搬送路として排出路を選択する。また、両面プリントモードが選択され、且つ、2次転写ニップから送り出された記録シート6が両面にそれぞれトナー像を担持している場合にも、搬送路切換爪47がシート搬送路として排出路を選択する。排出路に進入した記録シート6は、排出ローラ対46の排出ニップを経由した後、機外に排出される。そして、筺体外側面に固定された排紙トレイ80上にスタックされる。
【0026】
一方、両面プリントモードが選択され、且つ2次転写ニップから送り出された記録シート6が両面のうちの第1面だけにトナー像を担持している場合には、搬送路切換爪47がシート搬送路として反転搬送路87を選択する。このため、両面プリントモードにおいて、第1面だけにトナー像を担持している記録シート6は、定着装置50から送り出された後、反転搬送路87に進入する。反転搬送路87には、反転搬送装置89が配設されている。この反転搬送装置89は、定着装置50から送られてくる記録シート6の上下を反転させながら、中継トレイ88内に一時的にスタックしたり、上述したレジストローラ対45のレジストニップに再搬送したりするものである。反転搬送装置89によって給紙路46に戻された記録シート6は、レジストローラ対45から2次転写ニップを再び経由することで、第2面にもトナー像が2次転写される。そして、定着装置50、搬送路切換爪47、排紙路、排紙ローラ対46を順次経た後、排紙トレイ80上にスタックされる。
【0027】
なお、両面プリントモードであって且つ連続プリントモードである場合には、複数の記録シート6に対してそれぞれ両面プリントを行うことになる。本複写機では、記録シート6の第1面に対するプリントと、第2面に対するプリントとをそれぞれまとめて行うようになっている。例えば、12枚の記録シート6に対してそれぞれ両面プリントを行う場合、まず、第1面にトナー像を定着させた1枚目の記録シート6を上下反転させて中継トレイ88内にスタックする。次に、第1面にトナー像を定着させた2枚目の記録シート6を上下反転させて中継トレイ88内の1枚目の記録シート6の上にスタックする。同様の動作を12枚目の記録シート6まで繰り返す。これにより、それぞれ第1面だけにトナー像を定着させた1、2、3・・・・12枚目の記録シート6の束を中継トレイ88内に収納する。次いで、12枚目の記録シート6を中継トレイ88内から給紙路46に送り出した後、その記録シート6の第2面にもトナー像を形成する。そして、その記録シート6を排紙トレイ80上に排紙する。同様にして、11、10、9・・・1枚目の記録シート6に対しても、第2面に対するトナー像のプリントと、排紙処理とを順次施していく。
【0028】
画像形成部4の真下に配設された給紙部5は、上下に多段配設された2つの給紙カセット41、給紙路48、複数の搬送ローラ対44などを有している。シート載置装置としての給紙カセット41は、給紙部4の筺体に対して前後方向(図紙面に直交する方向)へのスライド移動によって着脱されるようになっている。給紙部4の筺体にセットされた給紙カセット41内の記録シート束には、筺体内の支持手段によって支持される給紙ローラ42が押し当てられる。この状態で給紙ローラ42が回転駆動すると、記録シート束の最上部の記録シート6が給紙路48に向けて送り出される。送り出された記録シート6は、給紙路48に至る前に、搬送ローラと分離ローラ43との当接による搬送分離ニップに進入する。それら2つのローラのうち、搬送ローラは、記録シート6を給紙カセット41側から給紙路48側に向けて送る方向に回転駆動される。これに対し、分離ローラ43は、記録シート6を給紙路48側から給紙カセット41側に送る方向に回転駆動される。但し、分離ローラ43に対して回転駆動力を伝達する駆動伝達系には、トルクリミッターが設けられており、分離ローラ43が搬送ローラに直接当接している状態ではトルクリミッターに上限を超えるトルクが働く。これにより、回転駆動力が分離ローラ43に繋がれずに、分離ローラ43は搬送ローラに連れ回る。これに対し、複数の記録シート6が重なった状態で搬送分離ニップに進入すると、シート間でスリップが発生することにより、トルクリミッターに働くトルクが上限を下回る。これにより、分離ローラ43が回転駆動して複数の記録シート6のうち、自らに直接接触している記録シート6を給紙カセット41に向けて逆搬送する。この逆搬送は、搬送分離ニップ内の記録シート6が1枚になってシート間のスリップが発生しなくなるまで続く。これにより、記録シート6が最終的に1枚に分離された状態で給紙路48に送られる。そして、給複数の搬送ローラ対44それぞれにおける搬送ニップを経由した後、画像形成部4のレジストローラ対45のレジストニップに至る。
【0029】
画像形成部4の筺体の図中右側側面は、シート載置装置としての手差しトレイ60を支持している。手差しトレイ60は、そのシート載置面上に載置された記録シート6の束における最上位の記録シート6に手差し給紙ローラ601を押し当てている。そして、手差し給紙ローラ601の回転駆動により、最上位の記録シート6をレジストローラ対45に向けて送り出す。送り出された記録シート6は、レジストローラ対45に至る前に、搬送ローラ603と分離ローラ602との当接による搬送分離ニップを通過する。このとき、給紙トレイ41の側方に配設された搬送分離ニップと同じ原理により、記録シートPが1枚だけに分離される。
【0030】
図3は、実施形態に係る複写機のスキャナ3及びADF2を示す拡大斜視図である。図示のように、スキャナ3とこれの上に搭載されるADF2とは、ヒンジ399によって接続されており、ADF2はこのヒンジ399によって図中矢印方向に揺動可能するようにスキャナ3に支持されている。その揺動により、ADF2は、スキャナ3の上面を形成している第1コンタクトガラス300や第2コンタクトガラス301を露出させる位置まで移動したり(開いた状態)、それらコンタクトガラスの真上に乗る位置まで移動したり(閉じた状態)する。実施形態に係る複写機において、厚紙原稿や片綴じ原稿など、後述するADF2にセットすることが困難な原稿のコピーをとるときは、図示のように、ADF2を開いてスキャナ3の上面を露出させる。そして、第1コンタクトガラス300の上に原稿をセットした後、ADF2を閉じて、原稿をADF2によって押さえる。そして、スキャナ3に固定されている操作表示部9のコピースタートボタン900を押すことで、複写機にコピー動作を開始させる。
【0031】
図4は、ADF2及びスキャナ3を示す拡大構成図である。ADF2による自動搬送が可能な原稿シートPのコピーをとる場合には、図示のように、ADF2をスキャナ3に対して閉じた状態で、1枚の原稿シートP、あるいは、原稿シート束、をADF2の原稿トレイ200の上にセットする。そして、上述したコピースタートボタン900を押してコピー動作を開始させる。なお、コピー動作は、スキャナ3による原稿読み取り動作と、画像形成部(4)による画像形成動作とから主に構成され、コピースタートボタンが押された直後は、まず、原稿読み取り動作が開始される。
【0032】
スキャナ3は、第1コンタクトガラス300や第2コンタクトガラス301の下に、走行体302、結像レンズ310、画像読取センサ320などを有している。また、第2走行体302は、走査ランプ303や複数の反射ミラーを具備しており、図示しない駆動機構によって図中左右方向に走行することが可能である。走査ランプ303から発せられた光は、第1コンタクトガラス300上にセットされた原稿、あるいは、第2コンタクトガラス301上で搬送されている最中の原稿、の画像面で反射して、画像読取光となる。この画像読取光は、走行体302に搭載された複数の反射ミラーでそれぞれ反射した後、スキャナ本体に固定された結像レンズ310を介してCCD等からなる画像読取センサ320に至ってセンサ内の焦点位置で像を結ぶ。これにより、原稿の画像が読み取られる。
【0033】
スキャナ3は、第1コンタクトガラス300上にセットされた原稿の画像を読み取る場合には、走行体302を図示の位置から図中右方向に向けて走行させながら、原稿を走査する。これにより、原稿の画像を図中の左側領域から右側領域に向けて順次読み取っていく。一方、ADF2にセットされた原稿シートPの画像を読み取る場合には、走行体302を図示の位置で停止させたまま、走査ランプ303を点灯させて、走査ランプ303からの光を第2コンタクトガラス301に向けて照射する。このとき、ADF2は、原稿トレイ200上にセットされた原稿シートPの搬送を開始して、原稿シートPをスキャナ3の第2コンタクトガラス301の真上に通す。これにより、走行体302が停止したままの状態で、原稿シートPの画像が搬送方向の先端側から後端側に向けて順次読み取られていく。
【0034】
ADF2の原稿トレイ200上には、原稿シートPが原稿読み取り面を上方に向けた姿勢でセットされる。原稿トレイ200の上にセットされた原稿シート束の上方には、図示しないカム機構によって上下方向に移動可能に支持される給紙ローラ202が配設されている。給紙ローラ202が下降移動によって原稿シート束の最上位の原稿シートPに当接した状態で回転駆動することにより、原稿シートPが原稿トレイ200上から送り出される。送り出された原稿シートPは、無端状の搬送ベルト203aとリバースローラ203bとの当接による搬送分離ニップに進入する。搬送ベルト203aは、従動ローラと、回転駆動する駆動ローラとによって張架された状態で、図示しない給紙モータの正転に伴う駆動ローラの正転によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。この搬送ベルト203aの張架面には、前記給紙モータの正転に伴って図中時計回りに回転駆動されるリバースローラ203bが当接して搬送分離ニップを形成している。搬送分離ニップにおいては、搬送ベルト203aの表面が給紙方向に移動する。リバースローラ203bが搬送ベルト203aに直接当接しているときや、搬送分離ニップに原稿シートPが1枚だけ挟み込まれているときには、前記給紙モータからリバースローラ203bに至るまでの駆動伝達経路に配設されたトルクリミッターが働いて、給紙モータからの駆動力をリバースローラ203bに対して断ち切る。これにより、リバースローラ203bは搬送ベルト203aに連れ回って、原稿シートPを給紙方向に搬送する。これに対し、搬送分離ニップに複数の原稿シートPが重なった状態で進入したときには、シート間でスリップが発生することで、前述のトルクリミッターに働くトルクが閾値を下回るようになる。これにより、前記給紙モータからの駆動力がリバースローラ203bに繋がれて、リバースローラ203bが図中時計回り方向に回転駆動する。そして、複数の原稿シートPのうち、自らに直接接触している原稿シートPを原稿トレイ200に向けて搬送する。この逆搬送は、搬送分離ニップ内の記録シートPが1枚だけになるまで続く。これにより、最終的に記録シートPが1枚だけに分離された状態で、搬送分離ニップを通過する。
【0035】
搬送分離ニップよりもシート搬送方向の下流側には、アルファベットのU字状に大きく湾曲している湾曲搬送路が配設されている。搬送分離ニップを通過した原稿シートPは、この湾曲搬送路内に配設されている搬送ローラ対204の搬送ニップに挟み込まれた状態で、湾曲搬送路に沿って大きく湾曲しながら搬送される。これにより、その上下を反転させて、それまで鉛直方向の上方に向けていた原稿読み取り面を下方に向けるようになる。そして、その原稿読み取り面をスキャナ3の第2コンタクトガラス301に押し付けながら、第2コンタクトガラス301の真上を通過することで原稿が読み取られる。第2コンタクトガラス301の真上を通過した原稿シートPは、読取後第1搬送ローラ対205と、読取後第2搬送ローラ対206とを順次通過する。
【0036】
読取動作モードとして、片面読取モードが選択されているときには、揺動軸を中心にして揺動可能な切替爪207が図示のような姿勢で揺動を停止させている。この姿勢では、読取後第2搬送ローラ対206を通過した原稿シートPが切替爪207に接触することなく、排紙トレイ209a上に移動してそこにスタックされる。これに対し、両面読取モードが選択され、且つ読取後第2搬送ローラ対206から送り出される原稿シートPが両面のうちの片面しか画像の読み取りがなされていないものであるときには、切替爪207が図示の状態よりも自由端を下方に向ける姿勢をとる。すると、読取後搬送ローラ対206を通過した原稿シートPが、切替爪207を乗り越えて、中継ローラ対210のローラ間に挟み込まれる。このとき、中継ローラ対210の2つのローラは、それぞれ原稿シートPを自らの図中右側方に存在している中継トレイ209bに向けて搬送する方向に回転駆動している。このため、原稿シートPは中継トレイ209b上に移動するが、シート後端部が中継ローラ対210を抜ける直前で、中継ローラ対210の回転駆動が停止する。そして、中継ローラ対210の2つのローラがそれまでとは逆方向に回転駆動し始める。これとほぼ同時に、切替爪207が図示の姿勢の位置まで再び移動する。このようにして、原稿シートPのスイッチバックが行われて、原稿シートPが中継ローラ対210から、読取後搬送ローラ対206のほぼ真上に配設されている再送ローラ対208に向けて搬送される。
【0037】
再送ローラ対208のローラ間に挟み込まれた原稿シートPは、両面のうち、まだ画像の読み取りがなされていない方の面を鉛直方向の上方に向けた状態になっている。この状態で、再送ローラ対208の回転駆動によって上述した湾曲搬送路に送り込まれることで、まだ画像の読み取りがなされていない方の面を下方に向けながら、第2コンタクトガラス301の真上を通過して、その面の画像が読み取られる。このようにしてもう一方の面の画像も読み取られた原稿シートPが読取後第2搬送ローラ対206を通過するときには、切替爪207が図示の姿勢をとっている。これにより、原稿シートPは、排紙トレイ209a上にスタックされる。
【0038】
次に、実施形態に係る複写機の特徴的な構成について説明する。
図5は、実施形態に係る複写機の手差しトレイ60を示す拡大斜視図である。同図において、手差しトレイ60は、第1載置部61と第2載置部62と押さえ部材604とを有している。図中の矢印Cは、手差しトレイ60上に載置された図示しない記録シートが手差しトレイ60上から送り出される方向、即ち、シート送り出し方向を示している。第1載置部61は、手差しトレイ60上に載置される記録シートにおける送り出し方向の全領域のうち、先端側の領域を受けるものである。また、第2載置部62は、記録シートにおけるシート送り出し方向の全領域のうち、後端側の領域を受けるものであり、揺動軸を中心にして所定の範囲内で揺動するように第1載置部61に支持されている。手差しトレイ60においては、第1載置部61の底板610によるシート受け面と、厚板状の第2載置部62によるシート受け面621とにより、記録シートを載置するための載置面が構成されている。底板610によって構成されている前者のシート受け面は、載置面の全領域のうち、記録シートの先端側を載置する先端側載置面として機能している。また、第2載置部62のシート受け面621は、載置面の全領域のうち、記録シートの後端側を載置する後端側載置面として機能している。
【0039】
同図において、矢印Bは、手差しトレイ60の載置面上における搬送直交方向を示している。また、一点鎖線L1は、手差しトレイ60の搬送方向における中心線を示している。第1載置部61の底板610には、矢印Bで示される搬送直交方向に延在するスリットが設けられている。そして、底板610上には、スリットに沿ってスライド移動可能な第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612が配設されている。それらサイドフェンスは、何れも底板610のスリットを通じて底板610の下まで延びる足部を具備しており、この足部が駆動伝達機構に支持されている。
【0040】
第1規制部材としての第1サイドフェンス611は、載置面上に載置された図示しない記録シートの搬送直交方向における一端の位置を規制するためのものである。また、第2規制部材としての第2サイドフェンス612は、載置面上に載置された図示しない記録シートの搬送直交方向における他端の位置を規制するためのものである。これら2枚のサイドフェンスは、矢印Cで示される送り出し方向に延在する姿勢を保ったまま、互いに中心線L1に近づくようにスライド移動したり、互いに中心線L1から遠ざかるようにスライド移動したりする。図示の状態では、2つのサイドフェンスは何れも移動可能範囲において中心線L1から最も遠ざかった位置で停止している。その位置が、それぞれのサイドフェンスにおけるホームポジションである。
【0041】
第2載置部62の後端部には、延長ガイド63を出し入れ可能に収容するためのガイド収容部が形成されている。同図では、延長ガイド63が第2載置部62の中に収容されている状態が示されているが、この状態から、延長ガイド63を図中矢印A方向に引き出すことで、延長ガイド63を第2載置部62の後方に向けて延伸させることができる。長さの大きな記録シートを載置するときには、このようにして延長ガイド63を延伸させる。
【0042】
図6は、手差しトレイ60の第1載置部61を示す分解斜視図である。同図においては、図5に示した底板610を撤去した状態の第1載置部61を示している。第1載置部61は、底板の下に、第1ラックギヤ613、第2ラックギヤ614、連結ピニオンギヤ615、駆動制限機構616などを具備する駆動伝達機構が配設されており、図示しない駆動モータの回転駆動力がこの駆動伝達機構を介して第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612に伝えられることにより、それらサイドフェンスが底板上で搬送直交方向に沿ってスライド移動する。
【0043】
図7は、第1載置部61の駆動伝達機構を2つのサイドフェンスとともに示す分解斜視図である。同図において、第1ラックギヤ613は、第1サイドフェンス611の足部と一体形成されており、その足部から、図示しない底板(図5の610)の搬送直交方向(矢印B方向)における中心線L1に向けて搬送直交方向に沿って真っ直ぐに延在するように、その足部によって片持ち支持されている。また、第2ラックギヤ614は、第2サイドフェンス612の足部と一体形成されており、その足部から中心線L1に向けて搬送直交方向に沿って真っ直ぐに延在するように、その足部に片持ち支持されている。
【0044】
円盤状の連結ピニオンギヤ615は、中心線L1の位置で鉛直方向に沿って延在している回動軸に支持されながら、その回動軸を中心にして回動する。この連結ピニオンギヤ615に対しては、板状の第1ラックギヤ613が噛み合っている。また、連結ピニオンギヤ615の全周のうち、第1ラックギヤ613に噛み合っている領域とは180[°]の点対称の位置にある領域に対しては、板状の第2ラックギヤ614が噛み合っている。
【0045】
板状の第1ラックギヤ613における2つの長辺のうち、一方には、連結ピニオンギヤ615に噛み合わせるための歯部が形成されている。また、他方の長辺には、後述する駆動制限機構616の従動側駆動伝達部材のギヤ部に噛み合わせるための歯部が形成されている。第1ラックギヤ613においては、後者の歯部が原動側の歯部になっているのに対し、前者の歯部が従動側の歯部になっている。
【0046】
駆動制限機構616の側方には、駆動モータ617が配設されており、この駆動モータ617のモータギヤには、無端状のタイミングベルト618が巻き掛けられている。このタイミングベルト618は、駆動制限機構616の後述するタイミングプーリーにも巻き掛けられることで、所定のテンションで張架されている。駆動モータ617が正転方向に回転駆動すると、その回転駆動力が、タイミングベルト618と駆動制限機構616とに伝達された後、駆動制限機構616の従動側駆動伝達部材のギヤ部と第1ラックギヤ613との噛み合い部で回転方向の力が搬送直交方向の力に変換される。そして、第1ラックギヤ613に一体形成されている第1サイドフェンス611が図示の位置から中心線L1に向けてスライド移動する。同時に、第1サイドフェンス611の搬送直交方向の力が、第1サイドフェンス611と連結ピニオンギヤ615との噛み合い部で回転方向に力に変換されて、連結ピニオンギヤ615が正回転方向に回転する。この回転力は、連結ピニオンギヤ615と第2ラックギヤ614との噛み合い部で搬送直交方向の力に変換されて、第2ラックギヤ614に一体形成されている第2サイドフェンス612が図示の位置から中心線L1に向けてスライド移動する。
【0047】
一方、駆動モータ617が逆転方向に回転駆動すると、その回転駆動力が、タイミングベルト618と駆動制限機構616とに順次伝わった後、第1サイドフェンス611を中心線L1側から搬送直交方向の一端側(第1サイドフェンス611が同図で位置している側)に向けてスライド移動する。同時に、第1サイドフェンス611に一体形成された第1ラックギヤ613が連結ピニオンギヤ615を逆転させながらスライド移動する。そして、連結ピニオンギヤ615の逆転方向の回転力が、第2ラックギヤ614に伝わって、第2サイドフェンス612を中心線L1側から搬送直交方向の他端側(第2サイドフェンス612が同図で位置している側)に向けてスライド移動する。
【0048】
このように、駆動モータ617が正転方向に回転駆動すると、2つのサイドフェンスが搬送直交方向の端側から中心線L1側に向けて互いに近づくようにスライド移動する。これにより、2つのサイドフェンス間の距離が徐々に短くなっていく。一方、駆動モータ617が逆転方向に回転駆動すると、2つのサイドフェンスが搬送直交方向(矢印B方向)の中心線L1側から端側に向けて互いに遠ざかるようにスライド移動する。これにより、2つのサイドフェンス間の距離が徐々に遠ざかっている。なお、2つのサイドフェンスの移動位置にかかわらず、中心線L1から第1サイドフェンス611までの距離と、第2サイドフェンス612から中心線L1までの距離とは互いに等しくなる。よって、2つのサイドフェンスの移動位置にかかわらず、フェンス間の中心は、中心線L1の位置になる。
【0049】
駆動モータ617の側方には、透過型フォトセンサからなるホームポジションセンサ650が配設されている。同図では、第1サイドフェンス611、第2サイドフェンス612がそれぞれホームポジションに位置している状態を示している。この状態では、図示のように、第1サイドフェンス611が、自らの足部から下方に向けて突出させている被検部を、ホームポジションセンサ650の発光素子と受光素子との間に介在させる。これにより、ホームポジションセンサ650は、第1サイドフェンス611がホームポジションに位置していることを検知する。なお、このホームポジションセンサ650のように、第1サイドフェンス611がホームポジションに位置したことを光学的に検知する方式のものに代えて、磁気的な検知など、他の方式による検知を行うものを採用してもよい。
【0050】
作業者は、先に図5に示した手差しトレイ60に記録シートを1枚だけ、あるいはシート束の状態で載置する際には、まず、シートの載置に先立って複写機の操作表示部に設けられた図示しない手差し実行ボタンを押す。すると、画像形成部(4)に設けられたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などからなる駆動制御手段としての制御部は、ホームポジションセンサ650によって第1サイドフェンス611のホームポジションへの移動が検知されるまで、駆動モータ617を逆転方向に駆動する。これにより、第1サイドフェンス611、第2サイドフェンス612がそれぞれ、ホームポジションの位置で停止する。なお、第1載置部61は、底板610に設けられた図示しない開口部の下に、図示しない紙検知センサを具備している。この紙検知センサは、反射型フォトセンサ等からなり、底板610の上に記録シートが載置されると、図示しない開口部を通してその記録シートを検知する。
【0051】
図8は、第1載置部(61)の駆動制限機構616を拡大して示す拡大構成図である。駆動制限機構616は、原動側駆動伝達部材616aと、従動側駆動伝達部材616dとを有している。従動側駆動伝達部材616dは、自らよりも従動側に存在している第1ラックギヤ(図7の613)と噛み合うギヤ部616eと、回転方向に所定のピッチで並ぶ複数の図示しないスリットを具備するスリット円盤616fとが一体に形成されたものである。また、原動側駆動伝達部材616aは、自らよりも駆動側に存在しているタイミングベルト(図7の618)が掛け回されるタイミングプーリー616bを具備している。これら原動側駆動伝達部材616a及び従動側駆動伝達部材616dは、何れもそれらに貫通している支持軸616hによって回動自在に支持されている。また、原動側駆動伝達部材616aは、図示しない付勢手段によって従動側駆動伝達部材616dに向けて付勢されている。これにより、原動側駆動伝達部材616aが従動側駆動伝達部材616dに圧接している。
【0052】
タイミングベルト(図7の618)の無端移動によって原動側駆動伝達部材616aが回転すると、従動側駆動伝達部材616dが原動側駆動伝達部材616aに連れ回る。そして、従動側駆動伝達部材616dのギヤ部616eが、図示しない第1ラックギヤ(図7の613)をスライド移動させる。但し、従動側駆動伝達部材616dに所定の閾値を超える負荷がかかると、その負荷によって従動側駆動伝達部材616dの回転を妨げようとする力が、従動側駆動伝達部材616dと原動側駆動伝達部材616aとの圧接部における両者間の摩擦力を上回る。すると、圧接部において、原動側駆動伝達部材616aが従動側駆動伝達部材616aの表面上でスリップするようになることから、原動側駆動伝達部材616aの回転駆動力が従動側駆動伝達部材616dに伝わらなくなる。これにより、それまでスライド移動していた図示しない第1サイドフェンス(図7の611)や第2サイドフェンス(図7の612)のスライド移動が停止する。このように、駆動制限機構616は、従動側駆動伝達部材616dにかかる負荷が所定の閾値を超えた場合に、原動側駆動伝達部材616aから従動側駆動伝達部材616dへの駆動力の伝達を断つことで、移動中の第1サイドフェンスの移動を停止させる移動停止手段として機能している。
【0053】
先に示した図5において、第1載置部61の底板610や、第2載置部62のシート受け面621からなる載置面の上に図示しない記録シートをセットした作業者は、操作表示部(図3の9)の位置合わせボタンを押す。すると、制御部が駆動モータ(図7の617)の正転方向の駆動を開始する。これにより、ホームポジションに位置していた第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612がそれぞれ中心線L1に向けてスライド移動し始める。このとき、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との距離は、両者間に載置された図示しない記録シートの搬送直交方向(矢印B方向)の寸法よりも大きくなっている。この状態では、図示しない記録シートが、搬送直交方向において2つのサイドフェンスの間を自由に移動することが可能である。このため、スライド移動を開始した第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612が記録シートに当接したとしても、その記録シートを中心線L1に向けて押しながらスムーズにスライド移動する。その後、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612は、両者間に記録シートを挟み込む位置、即ち、両者間の距離を記録シートの搬送直交方向の寸法と等しくする位置、まで移動する。このとき、それらサイドフェンスが互いに記録シートを介して押し合うようになることから、それらサイドフェンスに加わる圧力が急激に上昇して所定の閾値を超えるようになる。同時に、上述した駆動制限機構(616)の従動側駆動伝達部材(616d)に対して所定の閾値を超える負荷がかかるようになって、原動側駆動伝達部材(616a)が従動側駆動伝達部材(616d)の表面上でスリップする。これにより、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612の中心線L1に向けてのスライド移動を停止させる。そして、手差しトレイ60の上に無造作におかれた記録シートが、中心線L1の位置に位置合わせされるとともに、搬送方向(矢印C方向)に真っ直ぐに沿った姿勢に矯正される。
【0054】
かかる構成においては、第1サイドフェンス611、第2サイドフェンス612、駆動モータ617、駆動伝達機構などにより、手差しトレイ60のシート載置面上で記録シートの搬送直交方向の位置を所定位置である中心線L1の位置に合わせるシート位置合わせ装置が構成されている。そして、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との距離を両者間にセットされた記録シートの搬送直交方向の寸法とほぼ同じにした位置でそれらサイドフェンスのスライド移動を停止させる。これにより、記録シートを載置面上の搬送方向(矢印C方向)に沿った真っ直ぐな姿勢に確実に矯正することができる。よって、記録シートのジャムやスキューの発生を従来よりも抑えることができる。また、不定型サイズの記録シートを用いても、その記録シートの寸法を操作表示部に入力することなく、中心線L1の位置にその記録シートを自動で位置合わせすることができる。
【0055】
なお、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との間に記録シートが挟み込まれた瞬間に従動側駆動伝達部材616dにかかる負荷を閾値として、原動側駆動伝達部材616aを従動側駆動伝達部材616d上でスリップさせるには、次のようにすればよい。即ち、従動側駆動伝達部材616dに前述の負荷がかかったときに発揮される、従動側駆動伝達部材616dの回転を止めようとする力よりも、僅かに弱い摩擦力を原動側駆動伝達部材616aと従動側駆動伝達部材616dとの圧接部で発生させるようにすればよい。また、前記摩擦力については、原動側駆動伝達部材616aの圧接領域の表面摩擦抵抗や、従動側駆動伝達部616dの圧接領域の表面摩擦抵抗を適切に設定することで、任意の値に調整することが可能である。駆動制限機構616として、一般市場に出回っているトルクリミッターを使用してもよい。
【0056】
本複写機においては、センター基準方式で各色の感光体(21Y,M,C,K)にトナー像を形成するようになっている。センター基準方式は、使用される記録シートのサイズにかかわらず、感光体の回転軸線方向の中心を基準にして画像を形成する方式である。かかるセンター基準方式では、記録シートのサイズにかかわらず、画像形成部4内において感光体の軸線方向中心の位置で記録シートを搬送する必要がある。このため、図5において、手差しトレイ60上で中心線L1の位置に記録シートを位置合わせするようになっている。そして、記録シートのサイズにかかわらず、記録シートを中心線L1の位置に位置合わせすることを可能にするために、次のような構成を採用している。即ち、第1サイドフェンス611だけでなく、第2サイドフェンス612も載置面上でスライド移動可能に配設し、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612とに対して、搬送直交方向に沿って互いに逆方向の力を伝達するように駆動伝達機構を構成している。更に、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612とを互いに同じタイミングで停止させるように、駆動制限機構616等を具備する移動停止手段たる駆動伝達機構を構成している。
【0057】
画像の基準位置を定める方式としては、センター基準方式の他に、サイド基準方式がある。サイド基準方式は、使用される記録シートのサイズにかかわらず、感光体の回転軸線方向の一端位置を基準にして画像を形成する方式である。かかるサイド基準方式では、記録シートのサイズにかかわらず、画像形成部4内において感光体の軸線方向の一端位置で記録シートを搬送する必要がある。このため、サイド基準方式を採用する場合には、2枚のサイドフェンスをスライド移動させる構成の代わりに、次のような構成を採用することが望ましい。即ち、搬送直交方向において、第2サイドフェンス612を感光体の回転軸線方向の一端位置の延長線上に固定配置する。そして、第1サイドフェンス611だけをスライド移動させて、載置面上にセットされた記録シートを第2サイドフェンス612の位置に位置合わせする。なお、サイド基準方式においては、スライド移動可能なサイドフェンスを1つだけ設け、もう一方のサイドフェンスの役割については、トレイ側壁に担わせてもよい。
【0058】
実施形態に係る複写機のように、原動側からの駆動力の従動側への伝達を断つことで第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612のスライド移動を停止させるものにおいては、駆動モータ617を駆動させたままの状態で、それらサイドフェンスを停止させることができる。このため、サイドフェンスを停止させるときに駆動モータ617の駆動を停止させることは必須ではないが、いつもまでも駆動モータ617を駆動し続けることは、無駄なエネルギー消費や、機器消耗による低寿命化などを招くため好ましくない。よって、サイドフェンス停止後、それほど時間をおかずに、駆動モータ617を停止させることが望ましい。そこで、実施形態に係る複写機においては、従動側駆動伝達部材616dについて、動作しているか否かを検知する動作検知手段を設けている。そして、その動作検知手段によって従動側駆動伝達部材616dの動作を検知しなくなったことに基づいて駆動モータ617の正回転方向の駆動を停止させる処理を実施するように、駆動制御手段たる制御部を構成している。動作検知手段としては、従動側駆動伝達部材616dのスリット円盤616fの回転を検知する回転検知センサ619を用いている。図7に示したように、この回転検知センサ619は、スリット円盤616fの上面に対向するように配設された発光素子と、スリット円盤616fの下面に対向するように配設された受光素子との間に、スリット円盤616fを挟み込んでいる。回転方向に所定のピッチで並ぶようにスリット円盤616fに設けられた複数のスリットが、スリット円盤616fの回転に伴って前記発光素子との対向位置を通過する度に、前記受光素子が前記発光素子からの光を受光する。これにより、従動側駆動伝達部材616dが一定の角速度で回転しているときには、回転検知センサ619から、図9に示すようなパルス信号が一定の周期(△t)で繰り返し出力される。これに対し、従動側駆動伝達部材616dの回転が停止すると、回転検知センサ619からパルス信号が一定の周期(△t)で出力されなくなる。このときの出力は、スリット円盤616fの回転停止姿勢によって異なってくる。具体的には、スリット円盤616fがそのスリット間箇所を回転検知センサ619の発光素子との対向領域に位置させる姿勢で回転を停止させている場合には、回転検知センサ619の受光素子に対して発光素子からの光が入射しなくなる。このため、回転検知センサ619の出力はOFFの状態が続く。一方、スリット円盤616fがそのスリットを回転検知センサ619の発光素子との対向領域に位置させる姿勢で回転を停止させている場合には、回転検知センサ619の受光素子に対して発光素子からの光が入射し続ける。このため、回転検知センサ619の出力はONの状態が続く。何れの場合であっても、OFFあるいはONの状態が、パルス信号の発生周期(△t)を超えて継続することになる。そこで、制御部は、回転検知センサ619からのパルス信号が一定の周期で出力されている状態から、出力のOFF状態やON状態が「周期△t+定数α」を超えて継続する状態に変化したときに、従動側駆動伝達部材616dについて回転が停止したと判断する。そして、この判断を行うと直ちに、駆動モータ617の正転方向への駆動を停止させる。
【0059】
2枚のサイドフェンスの駆動開始から駆動停止までの駆動量は、それらサイドフェンスにおけるホームポジションから停止位置までの移動量の合計と相関する。また、前記合計は、フェンス間にセットされた記録シートの搬送直交方向の寸法(以下、シート幅寸法という)と相関する。このため、前記駆動量に基づいてシート幅寸法を求めるための関数式又はデータテーブルを構築することが可能である。そこで、本複写機の制御部は、図13に示したように、前記駆動量として、駆動開始から駆動停止までのパルス数積算値を計数する処理を実施する。また、データ記憶手段たるROMに、パルス数積算値に基づいてシート幅寸法を求めるための関数式又はデータテーブルを記憶している。そして、パルス数積算値の計数結果を関数式に代入してシート幅寸法を求める処理、あるいは、計数結果に対応するシート幅寸法をデータテーブルから特定する処理を実施する。これにより、手差しトレイ60の載置面上にセットされた記録シートのシート幅寸法を特定する。かかる構成では、手差しトレイ60の載置面上にセットした記録シートのシート幅寸法を、操作表示部に入力することなく、制御部に自動で特定させることができる。
【0060】
なお、2枚のサイドフェンスの位置にかかわらず、駆動モータ617を一定の駆動速度で駆動してそれらフェンスをスライド移動させる場合には、駆動開始から駆動停止までの駆動量として、パルス数積算値に代えて、駆動開始から駆動停止までに要した時間である駆動時間を採用してもよい。この場合、シート幅寸法Lは、「L=L−t×2V」という関数式で求められる。この関数式において、Lは、2枚のサイドフェンスがそれぞれホームポジションにあるときの初期フェンス間距離[cm]を表している。また、tは、フェンス移動時間[s]を表している。また、Vは、それぞれのサイドフェンスにおける移動速度[cm/s]を表しており、搬送直交方向に沿って一端側に向かうのか、あるいは他端側に向かうのかという移動方向を示すための正負の符号をもたない値をとるものである。
【0061】
既に説明したように、図8において、移動停止手段としての駆動制限機構616は、従動側駆動伝達部材616dにかかる負荷が所定の閾値を超えた場合に、原動側駆動伝達部材616aから従動側駆動伝達部材616dへの駆動力の伝達を断つことで、移動中の第1サイドフェンスを停止させる。本複写機では、負荷が所定の閾値を超えた場合に原動側駆動伝達部材616aから従動側駆動伝達部材616dへの駆動力の伝達を断つことを実現するための方式として、回転する原動側駆動伝達部材616aとの圧接によって従動側駆動伝達部材616dを回転させる方式を採用している。かかる方式に代えて、直線的に移動する原動側駆動伝達部材との圧接によって従動側駆動伝達部材を同じ方向に直線的に移動させる方式を採用してもよい。
【0062】
従動側駆動伝達部材616dにかかる負荷の閾値としては、スライド移動している2枚のサイドフェンスの間に1枚の薄紙が挟み込まれたときに発生する負荷(以下、薄紙挟み込み時負荷という)よりも小さくすることが望ましい。こうすることで、1枚の薄紙がセットされた場合であっても、それを2枚のサイドフェンス間に挟み込んだ瞬間に、2枚のサイドフェンスに対する駆動伝達を切ることが可能になるからである。この一方で、閾値としては、手差しトレイ60上に載置可能な最大積載量の記録シート束が載置された場合に、その記録シート束をスライド移動させるときに発生する負荷(以下、最大積載束移動時負荷という)よりも大きくすることが望ましい。このようにしないと、最大積載量の記録シート束をサイドフェンスでスライド移動させることができずに、位置合わせが行えなくなるからである。よって、「最大積載束移動時負荷<閾値<薄紙挟み込み時負荷」という関係を満足させることが望ましい。そのためには、薄紙挟み込み時負荷が最大積載束移動時負荷よりも大きくなければならないが、その逆の大小関係になってしまうのが一般的である。
【0063】
そこで、実施形態に係る複写機においては、次のような構成を採用している。即ち、先に図5に示したように、手差しトレイ60において、後端側載置面として機能しているシート受け面621は、先端側載置面として機能している底板610に対して、屈折角θをもって屈折した姿勢をとるように設けられている。屈折角θは、先端側載置面のシート搬送方向(矢印C方向)の延長線と、後端側載置面のシート搬送方向の延長線とのなす角であり、図示の例では180[°]未満の値になっている。このように、先端側載置面(底板610)と、後端側載置面(シート受け面621)とが互いに屈折していると、載置面の上におかれた記録シートが、屈折角θに沿って屈折した姿勢をとる。そして、第2サイドフェンス612は、図10に示すように、記録シート6の屈折部に当接し得る位置でスライド移動するように配設されている。また、第1サイドフェンス611も同様に、記録シート6の屈折部に当接し得る位置でスライド移動するように配設されている。そのために、それらサイドフェンスは、第1載置部61の後端部から第2載置部62の先端部にかけての領域に延在しており、第1載置部61と第2載置部62との境界の屈折角θにならって屈折するように構成されている。記録シート6において、第1載置部61と第2載置部62との境界の上で屈折した屈折部は、2枚のサイドフェンスに挟み込まれたときに、屈折していないシート箇所に比べて大きな負荷を従動側駆動伝達部材616dにかける。これにより、薄紙挟み込み時負荷を最大積載束移動時負荷よりも大きくすることで、「最大積載束移動時負荷<閾値<薄紙挟み込み時負荷」という関係を実現する閾値の設定を行うことが可能になった。閾値の調整については、前述の関係が実現されるように、従動側駆動伝達部材616dの圧接部の表面摩擦抵抗や、原動側駆動伝達部材616aの圧接部の表面摩擦抵抗を調整することで行っている。このようにすることで、手差しトレイ60の載置面の上に薄紙を1枚だけセットした場合であっても、スライド移動中のサイドフェンスを途中で停止させてしまうことなく、その普通紙を中心線L1の位置に良好に位置合わせすることができる。また、1枚の普通紙がフェンス間に挟み込まれた瞬間に、閾値を超える負荷を確実に従動側駆動伝達部材616dにかける。これにより、フェンス間距離をシート幅寸法よりも狭くしない適切なタイミングで、サイドフェンスのスライド移動を停止させることができる。
【0064】
図11は、実施形態に係る複写機の電気回路の一部を示すブロック図である。同図においては、駆動制御手段としての制御部400は、複写機に搭載されている各種機器の駆動を制御するものである。この制御部400には、様々な機器が接続されているが、同図においては、手差しトレイ(60)上での記録シートの位置合わせに関連する機器だけを示している。制御部400には、既に説明した、駆動モータ617、ホームポジションセンサ650、回転検知センサ619、紙検知センサ66、スリットセンサ68操作表示部900などが接続されている。また、給紙昇降モータ67も接続されている。紙検知センサ66は、図5に示した底板610の図示しない開口部を通して、底板610上の記録シートを検知するものである。また、給紙昇降モータ67は、図2に示した給紙ローラ601を手差しトレイ60に対して昇降させるためのモータである。なお、スリットセンサ68の役割については後述する。
【0065】
図12は、制御部400によって実施されるシート位置合わせ処理の各処理工程を示すフローチャートである。制御部(400)は、作業者によって操作表示部(900)の手差し実行ボタンが押下されると(ステップ1でY:以下、ステップをSと記す)、給紙ローラ上昇処理(S2)、及び、フェンスホーム合わせ処理(S3)を順に実行する。給紙ローラ上昇処理(S3)は、給紙昇降モータ(68)を所定のタイミングになるまで逆転駆動することで、給紙ローラ(601)を載置面上のシート束に接触させない位置まで上昇させる処理である。また、フェンスホーム合わせ処理(S3)は、ホームポジションセンサ(610)によって第1サイドフェンス(611)が検知されるようになるまで、駆動モータ(617)を逆転駆動する処理である。これにより、第1サイドフェンス(611)及び第2サイドフェンス(612)がそれぞれ、ホームポジションまでスライド移動する。
【0066】
制御部(400)は、フェンスホーム合わせ処理(S3)を終えると、次に、操作表示部(900)の位置合わせボタンが作業者によって押下されるまで待機する。そして、位置合わせボタンが押下されると(S4でY)、紙検知センサ(66)によって載置面上の記録シートが検知されているか否かを判断する(S5)。そして、検知されていない場合には(S5でN)、操作表示部(900)の液晶画面に記録シートがセットされていない旨のエラーメッセージを表示させた後(S6)、処理フローをS4にループさせる。これにより、位置合わせボタンの押下がなされるまで再び待機する。一方、載置面上の記録シートが紙検知センサによって検知されている場合には(S5でY)、位置合わせ及びパルスカウント処理(S7)を実行する。位置合わせ及びパルスカウント処理(S7)は、2枚のサイドフェンスのスライド移動によって記録シートを中止線L1の位置に位置合わせしたり、回転検知センサ(619)から出力される回転パルス信号の数を計数したりする処理である。その後、得られた回転パルス計数値に基づいて、手差しトレイ(60)上に載置された記録シートのシート幅寸法を特定するサイズ特定処理(S9)を実行する。
【0067】
サイズ特定処理(S9)によって記録シートのシート幅寸法を特定した制御部(400)は、その値をRAM(400b)に記憶した後(S10)、給紙ローラ下降処理(S11)を実行する。この給紙ローラ下降処理(S11)は、給紙昇降モータ(68)を所定のタイミングになるまで正転駆動することで、給紙ローラ(601)を載置面上のシート束の最上位の記録シートに接触させる位置まで下降させる処理である。その後、制御部は、ユーザーから発せられるプリント命令の待機を開始する。この後、プリント命令がなされると、適切なタイミングで記録シートを手差しトレイ(60)から送り出す。なお、図12におけるS8、S13、S14、及びS15の工程については、後に詳述する。
【0068】
先に図5に示したように、手差しトレイ60は、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との間に配設された押さえ部材604を有している。この押さえ部材604は、揺動軸697に揺動可能に支持されるアーム部604a、アーム部604aの自由端側に接続された第1テーパー部604b及び第2テーパー部604cなどを具備している。そして、揺動軸617を中心にした揺動によって載置面としての底板610に接触する位置と、底板610から離間する位置との間を自由に往復移動する。底板610上に記録シートが載置されると、その記録シートの上に載った状態でその記録シートを自重によって底板610に向けて押さえ付ける。これにより、記録シート6を第1載置部61と第2載置部62との境界で確実に屈折角θで屈折させる。
【0069】
図13は、手差しトレイ60の一部を正面から示す部分正面図である。同図において、押さえ部材604の第1テーパー部604bは、底板610との対向部に、中心線(図5のL1)から第1サイドフェンス611に向けて近づくにつれて底板610から遠ざかるテーパー面を具備している。また、第2テーパー部604cは、底板610との対向部に、中心線(図5のL1)から第2サイドフェンス612に向けて近づくにつれて底板610から遠ざかるテーパー面を具備している。図示の状態では、第1サイドフェンス611や第2サイドフェンス612がそれぞれホームポジションに位置している。この状態で、図14に示すように、複数の記録シート6からなるシート束がトレイ中央よりも第1サイドフェンス611側に載置されて、サイドフェンスの駆動が開始されたとする。すると、図15に示すように、第1サイドフェンス611によってトレイ中央に向けて押されていくシート束の上端エッジが、押さえ部材604の第1テーパー部604bのテーパー面に摺擦するようになる。そして、その摺擦部において、押さえ部材604に対して底板610から遠ざける方向の力をシート束によって付与することで、シート束をトレイ中央に向けて押しながら、押さえ部材604を底板610から遠ざける方向に押し上げていく。この押し上げにより、シート束を押さえ部材604に引っ掛けることなく、図16に示すように、押さえ部材604をシート束の上に乗り上げさせて、図17に示すように、シート束をトレイ中央まで移動させる。このようにして、シート束を押さえ部材604に引っ掛けることなく位置合わせすることができる。
【0070】
トレイ中央よりも第1サイドフェンス611側に載置されたシート束を位置合わせする例について説明したが、トレイ中央よりも第2サイドフェンス612側に載置されたシート束についても、同様にして、シート束を押さえ部材604に引っ掛けることなく位置合わせすることができる。
【0071】
先に示した図5において、押さえ部材604のアーム部604aには、引っ張りコイルバネ691の一端部が固定されている。そして、この引っ張りコイルバネ691の他端部は、第1載置部61のケースに固定されている。これにより、押さえ部材604に対して揺動軸617を中心にして底板610から離れる方向の力を僅かに加えていることで、押さえ部材604をその荷重よりも弱い力で底板604に押さえ付けている。
【0072】
アーム部604aには、揺動軸617を中心にして放射状に延びる複数のスリットが形成されたスリット板692が固定されている。また、第1載置部61のケースには、スリット板692のスリットを検知する透過型フォトセンサからなるスリットセンサ693が固定されている。押さえ部材604が揺動軸617を中心にして揺動すると、スリット板692のスリットがスリットセンサ693のスリット検知部を通過する。スリットセンサ693は、スリットを検知する毎に、スリットの移動方向に応じた検知信号を出力する。具体的には、押さえ部材604が底板610から離れる方向に移動することに伴って、スリットが上方から下方に向けて移動する場合、そのスリットを検知したスリットセンサ693は、立ち上がりパルスを出力する。また、押さえ部材604が底板610に近づく方向に移動することに伴って、スリットが下方から上方に向けて移動する場合、そのスリットを検知したスリットセンサ693は、立ち下がりパルスを出力する。
【0073】
第1載置部61には、図示しない紙検知センサ(図11の66)が設けられており、底板610上に記録シートが載置されると、その記録シートが紙検知センサによって検知される。底板610上に載置された記録シートによって押さえ部材604が押し上げられると、スリットセンサ68はその押し上げ量に応じた数の立ち上がりパルスを出力する。制御部(図11の400)は、紙検知センサ66によって記録シートが検知されていない状態が所定時間を超えて持続すると、制御パラメータであるシート変位カウンタ値Cmをゼロにリセットする。その後、スリットセンサ693から立ち上がりパルスが出力されてくると、シート変位カウンタ値Cmを1つカウントアップする。また、スリットセンサ693から立ち下がりパルスが出力されてくると、シート変位カウンタ値Cmを1つカウントダウンする。このようにして増減されるシート変位カウンタ値Cmは、押さえ部材604の初期状態(底板610に接触している状態)からの押し上げ量を反映しており、その押し上げ量は記録シートの表面位置を反映している。記録シートが図1に示したように大きく撓むと、記録シートの表面位置が大きく上昇するとともに、その上昇分だけ押さえ部材604を押し上げられる。そして、その押し上げ量に応じた数だけ、シート変位カウンタ値Cmがカウントアップされる。つまり、本複写機においては、スリット板692、スリットセンサ693、及び制御部(400)の組み合わせが、載置面たる底板610表面に載置された記録シートの撓みによる表面の位置変位を検知する表面位置変位検知手段として機能している。
【0074】
押さえ部材604は、テーパー部として、第1テーパー部604b及び第2テーパー部604cの他に、後端テーパー部604dを具備している。この後端テーパー部604dは、第1載置部61側(トレイ先端側)から第2載置部62側(トレイ後端側)に向かうにつれて、シート受け面621から遠ざかるテーパー面を有している。ユーザーは、手差しトレイ60上にシート束を載置する場合、まず、シート束の後端部を把持しながら、シート束の先端部を第2載置部62のシート受け面621に載せる。そして、シート束を第1載置部61に向けて第2載置部62側から押していき、シート束を第1載置部61の先端壁に突き当てた後に、シート束の後端部から手を離す。シート束を先端壁に突き当てる位置まで押していく過程で、シート束の先端を押さえ部材604の後端テーパー部604dに摺擦させながら、押さえ部材604にシート束を乗り上げさせる。
【0075】
図18は、底板610の中央付近にシート束が載置されている状態の手差しトレイ60を示す部分正面図である。なお、図示のシート束は、設計規格で定められた最大積載枚数の記録シート6からなっている。装置の取り扱い説明書により、その最大積載枚数を超える枚数のシート束を載置しないように、ユーザーに対して注意がなされている。底板610の中央付近にシート束が載置されると、図示のように、押さえ部材604がシート束に乗り上げた状態になる。このとき、上述したシート変位カウンタ値Cmは、ゼロからh(h>0)という最大積載枚数のシート束の厚みに応じた値に変化する。その後、シート位置合わせ処理が行われると、図19に示すように、シート束がトレイ中央に位置合わせされるが、シート束の表面の高さ位置は位置合わせ前と同じである。このため、図20に示すように、シート位置合わせ処理の開始時点tから、終了時点tに至るまでの間、シート変位カウンタ値Cmはhのまま一定に維持される。
【0076】
図21は、底板610の中央付近に記録シート6が1枚だけ載置されている状態の手差しトレイ60を示す部分正面図である。底板610の中央付近に記録シート6が1枚だけ載置される際、押さえ部材604はその記録シート6によって殆ど押し上げられない。このため、シート変位カウンタ値Cmはゼロのままである。その後、シート位置合わせ処理が行われて、図22に示すように、記録シート6が撓むことなくトレイ中央に位置合わせされた場合には、押さえ部材604の高さ位置はシート位置合わせ前と同じである。このため、図23に示すように、シート位置合わせ処理の開始時点tから、終了時点tに至るまでの間、シート変位カウンタ値Cmはゼロのまま一定に維持される。
【0077】
図24は、底板610における第2サイドフェンス612寄りの領域に最大積載枚数のシート束が載置されている状態の手差しトレイ60を示す部分正面図である。この状態では、押さえ部材604がシート束の上に乗り上げていない。このため、シート変位カウンタ値Cmはゼロのままである。その後、シート位置合わせ処理が開始されると、図25に示すように、やがて押さえ部材604がシート束に乗り上がる。このように乗り上がる過程においては、図26に示すように、シート変位カウンタ値Cmが徐々に増加していき、やがて、h(h>0)という最大積載枚数のシート束の厚みに応じた値に落ち着く。
【0078】
図27は、シート位置合わせ処理によって大きく撓んだ状態で位置合わせされてしまった1枚の記録シート6を手差しトレイ60とともに示す部分正面図である。このように記録シート6が大きく撓んだ状態で位置合わせされた際には、図28に示すように、処理開始時tからしばらくすると、シート変位カウンタ値Cmが増加し始める。2枚のサイドフェンスの間に挟み込まれた記録シート6が撓んで押さえ部材604を押し上げ始めるからである。シート変位カウンタ値Cmの増加は、駆動モータの駆動が停止される時点tまで続く。このときのパルスカウンタの値はh(h>0)である。なお、記録シート6が撓むことによって駆動制限機構(616)が作動しなくなることから、2枚のサイドフェンス(611、612)は、駆動モータが停止されるまで中心線に向かう移動を継続する。このため、時点tまでシート変位カウンタ値Cmが増加し続けるのである。
【0079】
図28に示したグラフと、図26に示したグラフとは、互いに挙動が似通っているが、シート変位カウンタ値Cmが互いに異なっている。図28における記録シート6の撓み量に応じたhという値は、図26における最大積載枚数のシート束の厚みに対応しているhという値よりも大きい(h>h)。シート変位カウンタ値Cmがhという値になる前の段階では、シート変位カウンタ値Cmの増加について、押さえ部材604がシート束に乗り上げようとしていることによるものなのか、サイドフェンス間に挟み込まれた記録シート6が撓みを大きくしていることによるものなのかを区別することができない。しかし、前者の場合には、シート変位カウンタ値Cmは最大でもhまでしか増加しないことから、それよりも大きいhになった段階で、後者であると判断できるようになる。つまり、シート位置合わせ処理の実行中にシート変位カウンタ値Cmが増加してhに到達した場合には、記録シート6の大きな撓みが発生していると判断して差し支えない。
【0080】
図29は、図12に示した位置合わせ及びパルスカウント処理(S7)における各処理工程を示すフローチャートである。制御部(400)は、位置合わせ及びパルスカウント処理(S7)を開始すると、まず、シート変位カウンタ値Cmについて、h以下であるか否かを判定する(S7a)。ここで、シート変位カウンタ値Cmがh以下でない場合には(S7aでN)、最大積載枚数を超える記録シートからなるシート束が載置されたことになる。このような場合、制御部は、シート枚数が最大積載枚数を超えている旨を表示するなどのエラー処理(S7b)を実行した後、制御フローを図12のエンドにループさせる。一方、シート変位カウンタ値Cmがh以下である場合には(S7aでY)、制御部は、駆動モータ(617)の正転駆動を開始して(S7c)、2枚のサイドフェンスをそれぞれホームポジションから中心線L1に向けてスライド移動させ始める。この直後に、回転検知センサ(図7の619)から出力される回転パルス信号の計数を開始する(S7d)。
【0081】
その後、制御部は、シート変位カウンタ値Cmについて、h以上であるか否かを判定する(S7e)。ここで、シート変位カウンタ値Cmがh以上である場合には(S7eでY)、シート位置合わせ処理の実行中にシート変位カウンタ値Cmが増加してhに到達したことになる。これは、2枚のサイドフェンスに挟み込まれた記録シートが大きく撓んで、その表面の高さ位置を最大積載枚数のシート束における表面高さ位置よりも上に移動させたことを意味している。そこで、制御部は、シート撓みフラグをセットした後(S7k)、制御フローをS7iにループさせて駆動モータを停止させる。その後、S7jの工程を経て、図12に示したフローのS8に進んで、フラグについてセット中であると判定する(S8でY)。以降の流れについては、後に詳述する。
【0082】
一方、制御部は、S7eの工程でシート変位カウンタ値Cmについてh以上でないと判定した場合(S7eでN)、回転パルス計数値Mkについて、所定の閾値を超えているか否かを判定する(S7f)。ここで、回転パルス計数値Mkが閾値を超えている場合、2枚のサイドフェンスが設計規格で定められた最小サイズの記録シートの短辺寸法よりも小さな限界接近距離まで近づいたことになる。このように2枚のサイドフェンスが近づいてしまう理由としては、図30に示すように、最小サイズの記録シートがシート変位カウンタ値Cmをhに到達させない量で撓んでいる場合が挙げられる(以下、ケース1という)。また、設計規格で定められた最小サイズよりも小さな記録シートがセットされている場合もあり得る(以下、ケース2という)。ケース1の場合には、その後に記録シートをトレイから送り出すと、重度の皺や破れを発生させるおそれがある。また、ケース2の場合には、2次転写ニップにおいて、記録シートのサイズよりも外側にはみ出る画像箇所を2次転写ローラ(図2の33)に逆転写してしまうおそれがある。よって、何れのケースであっても、プリントジョブを行うことは望ましくない。そこで、制御部は、回転パルス計数値Mkについて閾値を超えていると判定した場合(S7fでY)、フェンス接近エラーフラグをセットした後(S7k)、制御フローをS7iにループさせて駆動モータを停止させる。その後、S7jの工程を経て、図12に示したフローのS8に進んで、フラグについてセット中であると判定する(S8でY)。以降の流れについては、後に詳述する。なお、設計規格として定められた最小サイズシートは、本複写機の取り扱い説明書において、例えば「○○サイズ以上の用紙を使用して下さい」などといった具合に、使用可能な最小サイズのシートとして明記されているシートである。
【0083】
S7fの工程で回転パルス計数値Mkが閾値を超えていない場合(S7fでN)には、位置合わせが正常に実行されている最中である。そこで、制御部は、回転検知センサ(619)における出力ON時間(立ち上がりパルスが持続している時間)について「パルス周期△t+定数α」を上回ったか否かを判定したり(S7g)、出力OFF時間(立ち上がりパルスが発生していない時間)について「パルス周期△t+定数α」を上回ったか否かを判定したり(S7h)する。出力ON時間あるいは出力OFF時間の何れかが「パルス周期△t+定数α」を上回っていない場合には(S7g又はS7hでN)、駆動制限機構(616)の従動側駆動伝達部材(616d)の回転によってサイドフェンスへの駆動伝達が続いていることになる。そこで、制御部は、制御フローを上述したS7eにループさせて、各種の判断処理を再実行する。これに対し、出力ON時間あるいは出力OFF時間の何れかが「パルス周期△t+定数α」を上回った場合には(S7g又はS7hでY)駆動制限機構(616)の従動側駆動伝達部材(616d)の回転が停止して、サイドフェンスの移動が停止したことになる。そこで、制御部は、駆動モータの駆動を停止させた後(S7i)、パルス数積算値をRAM(400b)に記憶して、位置合わせ及びパルスカウント処理を終了する。
【0084】
上述したように、位置合わせ及びパルスカウント処理の実行中に、2枚のサイドフェンスに挟み込まれた記録シートが大きく撓むと、シート撓みフラグがセットされた後に(S7k)、位置合わせ及びパルスカウント処理が終了する。また、位置合わせ及びパルスカウント処理の実行中に、2枚のサイドフェンスが最小サイズの記録シートの短辺寸法よりも近づくと、フェンス接近エラーフラグがセットされた後に(S7m)、位置合わせ及びパルスカウント処理が終了する。そして、シート撓みフラグやフェンス接近エラーフラグがセットされると、先に図12に示したS8の工程において、フラグについてセット中であると判定される(S8でY)。制御部は、かかる判定を行うと、「撓んでしまった記録シートを除去してください。」、「記録シートのサイズが小さすぎるか、記録シートが撓んでいる可能性があります。トレイ上の記録シートのサイズや状態を確認してください」などのエラーメッセージを液晶画面に表示させた後(S13)、トレイ上から記録シートが取り除かれるまで待機する(S14)。トレイ上から記録シートが取り除かれると(S14でN)、シート撓みフラグ又はフェンス接近エラーフラグを解除した後(S15)、制御フローをS1にループさせる。
【0085】
以上の制御フローにおいては、判定手段たる制御部により、トレイ上の記録シートについて撓み無し判定された場合にだけ(S7eでN)、図12の一連の制御フローが正常に終了して、プリントジョブ命令に基づく記録シートの送り出しが開始される。かかる構成では、トレイ上の記録シートを大きく撓ませた状態で送り出すことによる重度の皺や破れの発生を回避することができる。
【0086】
先に示した図2において、実施形態に係る複写機は、手差しトレイ60だけでなく、画像形成部4の給紙トレイ41、画像形成部4の排紙トレイ80、スキャナ3の原稿トレイ200、スキャナ3の中継トレイ209bにもそれぞれ、本発明に係るシート載置装置を搭載している。それらシート載置装置の構成は、手差しトレイ60と同様である。
【0087】
図31は、給紙カセット41を示す拡大斜視図である。シート載置装置としての給紙カセット41は、図示しない記録シートを載置する載置面の全域のうち、先端側載置面として機能する底板413を有している。また、底板413の表面上を搬送直交方向(図中矢印B方向)にスライド移動するように配設された第1サイドフェンス411及び第2サイドフェンス412、図示しない記録シートの給紙カセット41内における先端位置を規制するためのエンドフェンス414なども有している。図中でL2という符号が付された一点鎖線は、給紙カセット41の搬送直交方向における中心線を示しており、これは、搬送直交方向において、手差しトレイの中心線(L1)や、感光体の回転軸線方向の中心線と同じ位置に延在している。
【0088】
同図では示されていないが、底板413の下には、手差しトレイ(60)のシート位置合わせ装置と同様に、駆動制限機構、第1ラックギヤ、第2ラックギヤ、連結ピニオンギヤ、駆動モータ、タイミングベルト、ホームポジションセンサ、回転検知センサ、紙検知センサなどが配設されている。そして、第1サイドフェンス411及び第2サイドフェンス412は、手差しトレイ(60)のシート位置合わせ装置と同様の原理で、フェンス間に載置された記録シートの位置を中心線L2の位置に合わせるようにスライド移動する。なお、給紙カセット41に搭載された駆動モータや各種センサは、給紙カセット41が画像形成部の所定の位置にセットされたときに、画像形成部の筺体内の制御部との電気接点が繋がるようになっている。
【0089】
先に図2に示したように、給紙カセット41内に収納された記録シートの束には、給紙ローラ42が当接している。この給紙ローラ42は、給紙カセット41ではなく、画像形成部4の筺体内に支持されている。給紙カセット41が画像形成部4の筺体内にセットされている状態で、作業者が操作表示部の紙補充ボタンを押すと、制御部(400)が筺体内の給紙ローラ昇降モータを所定のタイミングまで逆転駆動する。これにより、2つの給紙カセット41においてそれぞれ、給紙ローラ42をカセットから大きく離間させる。また、制御部は、2つの給紙カセット41にそれぞれ個別に搭載されている駆動モータを逆転駆動して、給紙カセット41におけるサイドフェンスをそれぞれホームポジションまで移動させる。この状態の給紙カセット41を画像形成部4の筺体から引き抜いた作業者は、給紙カセット41の底板(413)の上に記録シートの束をセットした後、給紙カセット41を筺体内に戻す。そして、操作表示部のカセット内シート位置合わせボタンを押下する。すると、制御部(400)が、給紙カセット41の駆動モータの正転駆動を開始して、手差しトレイ(60)における位置合わせ及びカウント処理と同様の処理を行う。これにより、給紙カセット41にセットされた記録シートの束を、中心線L2の位置に位置合わせする。
【0090】
なお、2枚のサイドフェンスを駆動モータの駆動によって搬送直交方向スライド移動させて記録シートの搬送直交方向の位置を自動で位置合わせするのに代えて、次のような位置合わせを行うようにしてもよい。即ち、エンドフェンス414を記録シートの搬送方向(矢印E方向やそれと正反対の方向)にスライド移動可能にしたエンドフェンス414を、実施形態に係る複写機の給紙カセット41のサイドフェンスと同様の構成で駆動するのである。カセット上に載置された記録シートの後端に当接させたエンドフェンス414を、先端側に向けてスライド移動させながら、記録シートをカセット先端側に向けてスライド移動させる。そして、記録シートの先端をカセットの先端側壁に突き当てた瞬間にエンドフェンス414に対する駆動伝達を切ることで、記録シートを先端側壁との突き当たり位置に位置合わせするのである。この場合、記録シートの搬送直交方向の全域のうち、中央部の領域に屈折部ができるように、給紙カセット41の底板を屈折させて、その記録シートの屈折部にエンドフェンス414を接触させるようにすることが望ましい。
【0091】
先に示した図4において、ADF2のシート載置装置としての原稿トレイ200には、手差しトレイ(60)と同様の構成のシート位置合わせ装置を備えている。そして、このシート位置合わせ装置は、シート載置面としてのトレイ上面200aの上で、搬送直交方向(図紙面に直交する方向)にスライド移動可能な第1サイドフェンス211及び第2サイドフェンス212を有している。また、手差しトレイ(60)と同様に、それらサイドフェンスをスライド移動させるための、第1ラックギヤ213、第2ラックギヤ214、連結ピニオンギヤ215、駆動制限機構216、駆動モータ217なども有している。そして、手差しトレイ(60)のシート位置合わせ装置と同様の原理により、第1サイドフェンス211及び第2サイドフェンス212を搬送直交方向の中心線に向けてスライド移動させて、トレイ上面200aの上に載置された原稿シートPを中心線の位置に位置合わせする。
【0092】
AFD2は、原稿シートPをトレイ上面200a上から送り出すための給紙ローラ202をトレイ上面200aから大きく離間させ、且つ、トレイ上面200a上の2枚のサイドフェンスをそれぞれホームポジションに位置させた状態で、作業者からの命令を待機している。そして、トレイ上面200aに原稿シートPをセットした作業者によってコピースタートボタンが押下されると、まず、2枚のサイドフェンスをスライド移動させて原稿シートPを中心線の位置に位置合わせする。そして、給紙ローラ202を下降させて原稿シートPに接触させてから、原稿シートPの送り出しを開始する。
【0093】
実施形態に係る複写機においては、ADF2におけるシート載置装置としての中継トレイ209bにも、手差しトレイ(60)と同様のシート位置合わせ装置を搭載している。ADF2は、通常時には、中継トレイ209b上で搬送直交方向にスライド移動可能に配設された図示しない中継第1サイドフェンス、中継第2サイドフェンスをそれぞれ、ホームポジションに待避させている。そして、第2コンタクトガラス301上を通過して片面の画像が読み取られた原稿シートPを上下反転させて再び第2コンタクトガラス301の上に通す際には、次のような処理を行う。即ち、まず、切替爪の自由端側を図示の状態よりも下降させるように切替爪の姿勢を変化させた後、中継ローラ対210の2つのローラを所定時間だけ正回転させる。これにより、読取後第2搬送ローラ対206の搬送ニップを通過した後の原稿シートPを、中継トレイ209b上に送り込む。次に、中継ローラ対210の回転駆動を停止させた状態で、中継ローラ対210の2つのローラのうち、上側のローラを上昇移動させて下側のローラから離間させる。これにより、それまで中継ローラ対210の搬送ニップに挟み込んでいた原稿シートPをフリーな状態にする。この状態で、中継トレイ209b上の図示しない中継第1サイドフェンスや中継第2サイドフェンスの中心線に向けてのスライド移動を開始して、中継トレイ209b上の原稿シートPを中心線の位置に位置合わせする。その後、搬送ニップを形成する位置まで中継ローラ対210における上側のローラを下降移動させた後、中継ローラ対210の逆転を開始して、原稿シートPの再送を開始する。
【0094】
また、実施形態に係る複写機においては、反転搬送装置89のシート載置装置としての中継トレイ88にも、手差しトレイ60と同様のシート位置合わせ装置を搭載している。中継トレイ88は、通常時には、自らのシート載置面上で搬送直交方向にスライド移動可能に配設された図示しない中継第1サイドフェンス、中継第2サイドフェンスをそれぞれ、ホームポジションに待避させている。また、給紙ローラ42を、中継トレイ88のシート載置面から大きく離間させる位置に待避させている。両面プリントモードにおいて、片面プリント済みの全ての記録シート6が中継トレイ88内に収納されると、中継トレイ88は、中継第1サイドフェンス及び中継第2サイドフェンスを搬送直交方向の中心線に向けてスライド移動させて、中継トレイ88内に収納された記録シート6を中心線の位置に位置合わせする。その後、給紙ローラ42を下降移動させて中継トレイ88内の記録シート6に当接させてから、給紙ローラ42を回転駆動させて、中継トレイ88からレジストローラ対45に向けての記録シート6の再送を開始する中継トレイ88内の記録シート6を位置合わせしてから再送することで、ジャムやスキュー搬送の発生を抑えることができる。
【0095】
また、実施形態に係る複写機においては、画像形成部4におけるシート載置装置としての排紙トレイ80にも、手差しトレイ60と同様のシート位置合わせ装置を搭載している。排紙トレイ80は、通常時には、自らのシート載置面上で搬送直交方向にスライド移動可能に配設された図示しない排紙第1サイドフェンス、排紙第2サイドフェンスをそれぞれ、ホームポジションに待避させている。画像形成部4による連続プリントジョブが終了して連続プリントにおける全ての記録シート6が排紙トレイ80上にスタックされると、排紙第1サイドフェンス及び排紙第2サイドフェンスを搬送直交方向の中心線に向けてスライド移動させて、排紙トレイ80上にスタックされた記録シート6を中心線の位置に位置合わせする。
【0096】
なお、排紙トレイ80には、後処理装置を接続することが可能である。後処理装置は、次に列記する処理の少なくとも何れか1つを実施するものである。即ち、画像形成部4によって画像が形成された記録シートPを綴じるステイプル処理、画像が形成された記録シートPを仕向け先毎に仕分けする仕分け処理、シート先端を揃えたりシートのスキューを矯正したりする整合処理、複数の原稿シートPをページ順に並べ替えるソート処理などである。かかる処理を実施する後処理装置にも、本発明に係るシート位置合わせ装置を搭載することが可能である。ステイプル処理では、綴じる前の複数の記録シート6の位置合わせを行うようにしてもよいし、複数の記録シート6の綴じた後の綴じ束を複数重ねた後に、それら綴じた場の位置合わせを行うようにしてもよい。前者の場合には、複数の記録シート6を位置合わせによってずれのない状態にしてから綴じるので、シートずれのない綴じ束を得ることができる。また、後者の場合には、複数の綴じ束をずれなく積み重ねることができる。
【0097】
手差しトレイ60として、実施形態のものに変更を加えた次のような変形例のものを使用してもよい。この手差しトレイ60は、図8に示される駆動制限機構616の代わりに、従動側駆動伝達部材616dと原動側駆動伝達部材616aとを摺擦不能に一体形成した駆動伝達機構を備えている。かかる構成においては、従動側駆動伝達部材616dにかかる負荷が所定の閾値を超えたとしても、原動側駆動伝達部材616aから従動側駆動伝達部材616dへの駆動力の伝達を断つことはできない。図32は、変形例に係る手差しトレイ(60)における第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612と、記録シート6とを示す平面図である。第1サイドフェンス611は、互いに搬送直交方向に並ぶベースフェンス611bと遊動フェンス611aとを具備する2枚構造になっている。遊動フェンス611aは、ベースフェンス611bよりも中心線(L1)の側に位置しており、搬送直交方向にある程度の範囲で遊動するようにベースフェンス611bに保持されている。遊動フェンス611aとベースフェンス611bとの間には、中心線(L1)の側から遊動フェンス611aの表面に加わる圧力を検知する第1圧力検知センサ68が配設されている。遊動フェンス611aの表面に加わる圧力を、第1圧力検知センサ68に対して遊動フェンス611aを介して裏面側で検知させるようにしたことで、遊動フェンス611aの表面の局所位置に加わる圧力ではなく、表面全体に加わる圧力を検知させることができる。第2サイドフェンス612も、その遊動フェンス612aの表面全体に加わる圧力を、遊動フェンス612aの裏側の第2圧力検知センサ69によって検知する。
【0098】
制御部(400)によって位置合わせ及びパルスカウント処理(図12のS7)が開始されると、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612がそれぞれホームポジションから中心線(L1)に向けてスライド移動を開始する。このとき、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との距離は、両者間に載置された記録シート6の搬送直交方向の寸法よりも大きくなっている。この状態では、記録シート6は搬送直交方向においてフェンス間スペース内を自由に移動することが可能である。このため、2枚のサイドフェンスは何れも、たとえ記録シート6に当接したとしても、その記録シート6を中心線(L1)に向けて押しながらスムーズにスライド移動する。その過程で、第1サイドフェンス611の遊動フェンス611aに記録シート6が当接すると、第1圧力検知センサ68によって検知される圧力が僅かに上昇するが、大きく上昇することはない。また、第2サイドフェンス612の遊動フェンス612aに記録シート6が当接した場合も同様であり、当接によって第2圧力検知センサ69によって検出される圧上昇は僅かである。
【0099】
その後、2枚のサイドフェンスは、両者間に記録シート6を挟み込む位置まで移動する。このとき、2枚のサイドフェンスが互いに記録シート6を介して押し合うようになることから、第1圧力検知センサ68によって検知される圧力や、第2圧力検知センサ69によって検知される圧力が、何れも所定の閾値を超える。制御部(400)は、第1圧力検知センサ68によって検知される圧力が閾値を超え、且つ、第2圧力検知センサ69によって検知される圧力も閾値を超えると、直ちに駆動モータ617の正転駆動を停止させる。これにより、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との距離を記録シート6の搬送直交方向の寸法とほぼ同じにした位置でそれらサイドフェンスのスライド移動を停止させる。このようにしてサイドフェンスを適切な位置で停止させることで、記録シート6を搬送方向に沿った真っ直ぐな姿勢に確実に矯正することができる。しかも、フェンス間距離をシート幅寸法よりも狭くしてしまうことによる記録シート6の撓みを殆ど発生させ無くなる。よって、記録シート6のジャムやスキューの発生を従来よりも抑えることができる。
【0100】
なお、圧力検知センサ68、69としては、圧検知部の変形量の程度によって圧力換算用の入力値を変化させる方式のものを用いることが好ましい。
【0101】
以上、実施形態に係る複写機においては、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との間に配設され、揺動軸617を中心にした揺動によって底板610表面に接触する位置と底板610表面から離間する位置との間を自由に往復移動し、且つ底板610表面に載置された記録シート6の上に載った状態でその記録シート6を自重によって底板610表面に向けて押さえ付ける押さえ部材604を設けている。そして、押さえ部材604の揺動方向の変位によって記録シート6の撓みによる表面の位置変位を検知させるように、スリット板692、スリットセンサ693、及び制御部400等からなる表面位置変位検知手段を構成している。かかる構成においては、底板610表面の対向位置にセンサを配設しなくても、底板610表面上の記録シート6の撓みによる表面の位置変位を検知することが可能なので、レイアウト自由度を向上させることができる。
【0102】
また、実施形態に係る複写機においては、記押さえ部材604における底板610表面との対向部に、中心線L1から第1サイドフェンス611に向けて近づくにつれて底板610表面から遠ざかるテーパー面を具備する第1テーパー部604bを設けている。そして、駆動モータ617の駆動によって移動する第1サイドフェンス611に押されながら押さえ部材604に近づいていくシート束における上端エッジに前記テーパー面を摺擦させるのに伴って、揺動軸617を中心にして押さえ部材604を底板610表面から遠ざかる方向に移動させてシート束の上に乗り上げさせるようにしている。かかる構成においては、第1サイドフェンス611によって中心線L1に向けて押されているシート束を押さえ部材604に引っ掛けることなく、中心線L1まで移動させて位置合わせすることができる。
【0103】
また、実施形態に係る複写機においては、駆動モータ617の駆動力を、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612とに対して、搬送直交方向に沿って互いに逆方向の力を伝達するように駆動伝達機構を構成している。また、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612とを互いに同じタイミングで停止させるように駆動制限機構616等からなる移動停止手段を構成している。また、第1テーパー部604bによる第1テーパー面の他に、第2サイドフェンス612に近づくにつれて底板610から遠ざかる第2テーパー面を第2テーパー部604cによって設けている。更には、駆動モータ617の駆動力によって移動する第2サイドフェンス612に押されながら押さえ部材604に近づいていくシート束における上端エッジに前記第2テーパー面を摺擦させるのに伴って、揺動軸697を中心にして押さえ部材604を底板610から遠ざかる方向に移動させてシート束の上に乗り上げさせるようにしている。かかる構成では、既に説明したように、トレイ上の記録シートをセンター基準で位置合わせすることができる。また、シート束を押さえ部材604に引っ掛けることなく位置合わせすることができる。
【0104】
また、実施形態に係る複写機においては、判定手段たる制御部400によって記録シート6の撓み有りと判定された場合に、駆動モータ617の駆動を停止させる駆動停止手段として、制御部400を機能させている。かかる構成では、記録シート6の撓みを検知したときに、駆動モータ617を迅速に停止させることで、無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
【0105】
また、実施形態に係る複写機においては、スリットセンサ693等からなる表面位置変位検知手段による検知結果と、所定の閾値たるhとの比較に基づいて、記録シート6の撓みの有無を判定する処理を実行するように、判定手段たる制御部400を構成している。かかる構成では、図25に示したような、位置合わせ中のシート束に押さえ部材604を乗り上げさせた現象を記録シート6の撓みであると誤検知することを回避することができる。
【0106】
また、実施形態に係る複写機においては、第1サイドフェンス611と第2サイドフェンス612との前記搬送直交方向における離間距離が、設計規格として定められた最小サイズシートの短辺寸法よりも小さな所定の限界接近距離よりも近づいた場合には、トレイからの記録シート6の送り出しを開始しない処理を実施するように、手差し給紙ローラ601及び制御部400の組み合わせからなる送り出し手段を構成している。かかる構成では、図30に示すように比較的小さな撓み量で撓んでいる記録シート6を送り出してしまうことによる重度の皺や破れの発生を抑えたり、最小サイズよりも小さな記録シートの外側にはみ出る画像箇所の2次転写ローラ33への逆転写を防止したりすることができる。
【0107】
また、実施形態に係る複写機においては、手差しトレイ60の載置面の全域のうち、記録シート6の搬送方向の後端側を載置するための後端側載置面であるシート受け面621を、次のように構成している。即ち、記録シート6の先端側を載置するための先端側載置面である底板610面に対して所定の屈折角θをもって屈折する姿勢をとるように構成している。また、第1サイドフェンス611及び第2サイドフェンス612を、次のように構成している。即ち、載置面上に載置されている記録シート6の全域のうち、少なくとも屈折角θに沿って屈折している屈折部に当接し得る位置で、搬送直交方向に沿って移動させるようにしている。また、押さえ部材604を次のように構成している。即ち、載置面上に載置されている記録シート6の全域のうち、少なくとも前記屈折部を載置面に向けて押さえ付けるようにしている。かかる構成では、押さえ部材604での押さえ付けにより、記録シート6を確実に屈折させて、記録シート6に腰を与えることができる。
【符号の説明】
【0108】
2:ADF(画像読取装置の一部)
3:スキャナ(画像読取装置の一部)
4:画像形成部(画像形成装置の一部)
5:給紙部(画像形成装置の一部)
6:記録シート(シート部材)
60:手差しトレイ(シート載置装置)
66:紙検知センサ(シート検知手段)
80:排紙トレイ(シート載置装置)
88:中継トレイ(シート載置装置)
200:原稿トレイ(シート載置装置)
209b:中継トレイ(シート載置装置)
400:制御部(判定手段、駆動停止手段、表面位置変位検知手段の一部、送り出し手段の一部)
601:手差し給紙ローラ(送り出し手段の一部)
604:押さえ部材
604a:アーム部(本体部)
604b:第1テーパー部
604c:第2テーパー部
610:底板(載置面、先端側載置面)
611:第1サイドフェンス(第1規制部材)
612:第2サイドフェンス(第2規制部材)
613:第1ラックギヤ(駆動伝達手段や移動停止手段の一部)
614:第2ラックギヤ(駆動伝達手段や移動停止手段の一部)
615:連結ピニオンギヤ(駆動伝達手段や移動停止手段の一部)
616:駆動制限機構(駆動伝達手段や移動停止手段の一部)
617:駆動モータ(駆動源)
618:タイミングベルト(駆動伝達手段や移動停止手段の一部)
619:回転検知センサ(動作検知手段)
621:シート受け面(載置面、後端側載置面)
650:ホームポジションセンサ
692:スリット板(表面位置変位検知手段の一部)
693:スリットセンサ(表面位置変位検知手段の一部)
B:搬送直交方向
C:搬送方向
θ:屈折角
P:原稿シート(シート部材)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特開平7−267474号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状のシート部材を載置するための載置面と、
前記載置面に沿った方向であり且つ前記載置面上でのシート搬送方向と直交する方向である搬送直交方向に移動するように前記載置面上に配設され、前記載置面上に載置されたシート部材の前記搬送直交方向の一端に当接することで前記一端の位置を規制する第1規制部材と、
前記シート部材の前記搬送直交方向の他端に当接することで前記他端の位置を規制する第2規制部材と、
駆動源によって発揮される駆動力を、前記第1規制部材及び前記第2規制部材のうち、少なくとも前記第1規制部材に伝達して、前記第1規制部材を前記搬送直交方向に移動させる駆動伝達手段と、
前記載置面に載置されたシート部材を前記載置面から送り出す送り出し手段とを備え、
前記第1規制部材によって前記一端の位置を規制しつつ、前記第2規制部材によって前記他端の位置を規制することで、前記載置面上に載置されたシート部材の前記搬送直交方向における位置を所定位置に合わせるシート載置装置において、
前記駆動源の駆動力によって前記載置面上のシート部材に向けて移動している前記第1規制部材に対してその移動を阻止しようとする力が所定の閾値を超えてかかったことに基づいて前記第1規制部材の移動を停止させる移動停止手段と、
前記載置面上に載置されたシート部材の撓みによる表面の位置変位を検知する表面位置変位検知手段と、
前記表面位置変位検知手段による検知結果に基づいて、前記載置面上に載置されたシート部材について撓みの有無を判定する判定手段とを設けるとともに、
前記判定手段によって撓み無しと判定された場合にだけ、前記載置面からのシート部材の送り出しを開始する処理を実施するように、前記送り出し手段を構成したことを特徴とするシート載置装置。
【請求項2】
請求項1のシート載置装置において、
前記第1規制部材と前記第2規制部材との間に配設され、揺動軸を中心にした揺動によって前記載置面に接触する位置と前記載置面から離間する位置との間を自由に往復移動し、且つ前記載置面に載置されたシート部材の上に載った状態でそのシート部材を自重によって前記載置面に向けて押さえ付ける押さえ部材を設けるとともに、
前記押さえ部材の揺動方向の変位によってシート部材の撓みによる表面の位置変位を検知させるように、前記表面位置変位検知手段を構成したことを特徴とするシート載置装置。
【請求項3】
請求項2のシート載置装置において、
前記押さえ部材における前記載置面との対向部に、前記載置面の前記搬送直交方向における中心から前記第1規制部材に向けて近づくにつれて前記載置面から遠ざかるテーパー面を設け、
前記駆動源の駆動によって移動する前記第1規制部材に押されながら前記押さえ部材に近づいていく複数枚のシート部材の束における上端エッジに前記テーパー面を摺擦させるのに伴って、前記揺動軸を中心にして前記押さえ部材を前記載置面から遠ざかる方向に移動させて前記束の上に乗り上げさせるようにしたことを特徴とするシート載置装置。
【請求項4】
請求項3のシート載置装置において、
前記第2規制部材を前記載置面上でスライド移動可能に配設し、
前記駆動源の駆動力を、前記第1規制部材と前記第2規制部材とに対して、前記搬送直交方向に沿って互いに逆方向の力を伝達するように前記駆動伝達機構を構成し、
前記第1規制部材と前記第2規制部材とを互いに同じタイミングで停止させるように前記移動停止手段を構成し、
前記テーパー面としての第1テーパー面の他に、前記載置面の前記搬送直交方向における中心から前記第2規制部材に向けて近づくにつれて前記載置面から遠ざかる第2テーパー面を前記押さえ部材に設け、
且つ、前記駆動源の駆動によって移動する前記第2規制部材に押されながら前記押さえ部材に近づいていく複数枚のシート部材の束における上端エッジに前記第2テーパー面を摺擦させるのに伴って、前記揺動軸を中心にして前記押さえ部材を前記載置面から遠ざかる方向に移動させて前記束の上に乗り上げさせるようにしたことを特徴とするシート載置装置。
【請求項5】
請求項3又は4のシート載置装置において、
前記判定手段によって撓み有りと判定された場合に前記駆動源の駆動を停止させる駆動停止手段を設けたことを特徴とするシート載置装置。
【請求項6】
請求項5のシート載置装置において、
前記表面位置変位検知手段による検知結果と、所定の閾値との比較に基づいて、シート部材の撓みの有無を判定する処理を実行するように、前記判定手段を構成したことを特徴とするシート載置装置。
【請求項7】
請求項6のシート載置装置において、
前記第1規制部材と前記第2規制部材との前記搬送直交方向における離間距離が、設計規格として定められた最小サイズシートの短辺寸法よりも小さな所定の限界接近距離よりも近づいた場合には、前記載置面からのシート部材の送り出しを開始しない処理を実施するように、前記送り出し手段を構成したことを特徴とするシート載置装置。
【請求項8】
請求項2乃至7の何れかのシート載置装置であって、
前記載置面の全域のうち、シート部材の搬送方向の後端側を載置するための後端側載置面が、シート部材の先端側を載置するための先端側載置面に対して所定の屈折角をもって屈折する姿勢をとるように設けられたものであり、
前記第1規制部材及び前記第2規制部材が、前記載置面上に載置されているシート部材の全域のうち、少なくとも前記屈折角に沿って屈折している屈折部に当接し得る位置で、前記搬送直交方向に沿って移動可能に配設されたものであり、
且つ、前記押さえ部材が、前記載置面上に載置されているシート部材の全域のうち、少なくとも前記屈折部を前記載置面に向けて押さえ付けるものであることを特徴とするシート載置装置。
【請求項9】
シート部材としての記録シートの表面に画像を記録する画像記録手段と、
前記画像記録手段に向けて送り出すための記録シート、あるいは、前記画像記録手段を経由した後の記録シート、を載置する載置面上における記録シートの位置を所定の位置に合わせるシート載置装置とを備える画像形成装置において、
前記シート載置装置として、請求項1乃至8の何れかのシート載置装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
原稿シートに記録されている画像を読み取る読取手段と、
前記読取手段に向けて送り出すための記録シート、あるいは、前記読取手段を経由した後の記録シート、を載置する載置面上における記録シートの位置を所定の位置に合わせるシート載置装置とを備える画像読取装置において、
前記シート載置装置として、請求項1乃至8の何れかのシート載置装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2012−193013(P2012−193013A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57812(P2011−57812)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】