説明

シーリング組成物

本発明は、電子素子の製造においてシーリング用途に用いられうる組成物である。組成物は、空気中または不活性雰囲気中で低温焼成により除去されうる有機ビヒクルを含む。本発明は、さらに、該組成物を使用する方法である。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、全ての目的についてその一部として全体が組み込まれる2004年9月24日出願の米国仮特許出願第60/613,006号明細書および2004年10月19日出願の米国仮特許出願第60/620,266号明細書の恩典を請求するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、電子ディスプレイの製造においてシーリング用途に用いられる組成物に関する。組成物は、空気中または不活性雰囲気中で低温焼成により除去されうる有機ビヒクルを含む。
【背景技術】
【0003】
厚膜ペーストとして適用された組成物は、電子ディスプレイなどの装置の製造においてガラスのシーリングシートに用いられている。非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3などの出典に記載されているとおり、現在の組成物は、約350℃以上で空気中で焼成した後、10〜1000ppmの酸素、より一般的には500〜1000ppmの酸素を含有する窒素中で430℃以上でガラスフリットを焼結することにより燃焼した有機ビヒクルを必要とする。空気焼成では、一般的に、用いる有機ビヒクルの燃焼を必要としている。これらの組成物に用いる有機ビヒクルは、酸素なしでは機能的に変化したものとは考えられず、低温で酸素中燃焼することもできない。
【0004】
低温で焼成できるシーリング組成物が必要とされており、したがって、本発明は、空気または不活性雰囲気中で低温で除去されうる有機ビヒクルを含んでなるかかる組成物を提供するものである。焼成温度を下げたり、または不活性雰囲気を用いると、シーリング組成物と共に焼成サイクルを受ける素子の他のコンポーネントの酸化の可能性を減じることを見出した。
【0005】
【非特許文献1】「アルファ、ディスプレイ用ガラスシーリング技術(Alpha, Glass Sealing Technologies for Displays)」オプティックスおよびレーザー技術(Optics and Laser Technology)8、259−264頁(1976年)
【非特許文献2】クォンら(Kwon et al)、「泡減少フリットを用いるプラズマディスプレイパネル真空インラインシーリング技術(Plasma Display Panel Vacuum In−line Sealing Technology by Using Bubble−reduced Frit)」真空科学技術ジャーナル(J.Vacuum Sci. and Technology)、A,21、206−211頁(2003年)
【非特許文献3】コルツェンスキー(Korczynski)「放出ディスプレイの製造、固体状態技術(Manufacturing Emissive Displays, Solid State Technology)」51、54−56頁(1999年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、(a)ガラスフリットと、(b)溶剤と、(c)ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオール、ポリエーテル、ポリアセタールおよびポリアミドよりなる群の1つもしくはそれ以上のメンバーから選択される、分子量が約200〜約1000の範囲内にある有機ビヒクルとを混合物中に含んでなる組成物である。
【0007】
本発明の他の実施形態は、(a)請求項1に記載の組成物のビーズまたはパターン化層を基材に付着(deposit)する工程と、(b)溶剤および/または有機ビヒクルを蒸発する工程と、(c)ビーズまたはパターン化層を焼成する工程とを含んでなるシーリング方法である。
【0008】
本発明のさらなる実施形態は、(a)請求項1に記載の組成物のビーズまたはパターン化層を第1の基材に付着する工程と、(b)溶剤および/または有機ビヒクルを蒸発する工程と、(c)ビーズまたはパターン化層を第2の基材と接触する工程と、(d)ビーズまたはパターン化層を焼成する工程とを含んでなるシーリング方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、ガラスフリットと、溶剤と、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリレート(ポリメタクリレートを含む)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオール、ポリエーテル、ポリアセタールおよびポリアミドよりなる群の1つもしくはそれ以上のメンバーから選択される、分子量が約200〜約1000の範囲内にある有機ビヒクルとを含む組成物を提供する。
【0010】
組成物中の有機ビヒクルは、低温で熱変および/または熱分解する。熱分解は、通常、酸化なしで熱のみを適用することにより、材料の他の物質への変換を伴うが、ここで用いる有機ビヒクルは、430℃以下の温度で空気中で変化する。特に、酸素を排除した、窒素雰囲気や他の不活性雰囲気などの実施形態では、有機ビヒクルはまた430℃以下の温度でも変化する。組成物を加熱した後、ガラスフリットの粒子を共に焼結させて、シールされる基材との適切な接着接触を形成するとき、有機ビヒクルは熱変する。これは、ガラスフリットと基材との間の所望の接着接触を妨げないだけの、たとえあったとしても、十分に少量の有機ビヒクルが組成物中に残っているという理由による。
【0011】
具体的な当該の有機ビヒクルとしては、ポリ(アルファ−メチルスチレン)(「PAMS」)またはそのオリゴマー、ブチル化ポリ(アルファ−メチルスチレン)およびメチルメタクリレートから誘導されたオリゴマー等が挙げられる。本発明に有用な多数のヒドロキシル基を含有するポリオール、低分子量ポリマーおよびオリゴマー(例えば、多価アルコール)としては、一般的に、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリグリコール、ポリグリセロールおよび糖アルコールから誘導されたオリゴマーが挙げられる。しかしながら、シグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)(ミズーリ州、セントルイス(St.Louis MO))から得られるような市販のグリセロールを用いるときは、窒素中よりも空気中で組成物を焼成するのが好ましい。
【0012】
本発明の組成物において有機ビヒクルとして用いるのに好適な候補は、組成物の熱重量分析を実施することにより確認される。有機ビヒクルを組成物からほぼまたは完全に除去するのに必要な温度が低ければ低いほど、その有機ビヒクルはシーリング用途に好適な候補となる。この試験は完全な組成物で実施しなければならない。ただし、有機ビヒクル自身の対応の分析を指針のために用いることもできる。
【0013】
ガラスフリットは、一般的に、加熱によりガラスまたはエナメルへと変換される、フラックスと混合された微粉砕無機材料を含有している。好適なガラスフリットとしては、PbO、B、Al、SiOおよびZnOなどの材料を含有するものが挙げられ、バイオックス(Viox)、アサヒ(Asahi)およびデュポン(DuPont)などの供給業者より商業的に入手できる。ガラスフリットの中央粒径(d50)は、約1〜約100ミクロン(μm)、好ましくは約1〜約50ミクロン、より好ましくは約1〜約25ミクロンである。
【0014】
組成物は、好適な低沸点溶剤を含有し、その代表例としては、エステルアルコール、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、塩化メチレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトンおよびキシレンが挙げられる。
【0015】
シリカやアルミナなどの充填剤が、組成物の粘度の管理に役立ち、かつ/または所望の機能特性を提供するために、組成物中に場合により含まれていてもよい。
【0016】
組成物の成分は、組成物の総重量により次のような量で存在している。有機ビヒクル−約1〜約20重量部(pbw)または約5〜約15pbw、ガラスフリット−約60〜約100pbwまたは約65〜約95pbw、溶剤−約1〜約40pbwまたは約10〜約25pbw、および(任意の成分として存在するときは)充填剤約1〜約5pbwまたは約1.5〜約3pbwであり、pbwは、そうである必要はないが、加算すると100である。
【0017】
これらの組成物は、例えば、電界放出素子または点灯装置に用いるために、ガラス表面を互いに結合するのに用いることができる。例えば、電子電界エミッタなどの電子素子要素を含むフラットパネルディスプレイなどの電子ディスプレイ用途のための高信頼性のガラス同士のシールがなされる。一般的に、フラットパネルディスプレイの最終組み立て段階においては、ディスプレイの外側構造を作る前後ガラス基材板をシーリング組成物と共にシールする。ディスプレイの他の要素を含むガラス板間の密閉されたキャビティを低気圧まで排気する。
【0018】
電界放出ディスプレイにおいて、前後ガラス基材板はまたディスプレイのアノードとカソードでもある。一般的に、シーリング組成物は、印刷または押出し厚膜ペースト付着物(deposition)としてアノードおよびカソードガラス基材板の外側端部近傍に適用される。あるいは、シーリング組成物は、アノードまたはカソード基材のみに適用してから、2枚の基材板を接触させてもよい。所望の位置に厚膜ペーストとしての組成物の適切な付着を可能とするには、組成物中の有機ビヒクルの組み込みが必要である。基材板は、有機ビヒクルおよび/または溶剤の蒸発ならびにシーリング組成物の焼成前または後に接合してもよい。有機ビヒクルおよび/または溶剤の蒸発は、周囲温度での蒸発により、または約125℃といった低温での乾燥により実施してもよい。焼成組成物は再焼成してシーリングを行ってもよい。
【0019】
例えば、ビーズまたはペーストのパターン化層としての組成物の付着後、エミッタ素子としての針状カーボン、例えば、シングルウォールまたはマルチウォールカーボンナノチューブ(CNT)などの針状放出物質を含んでなる電界放出ディスプレイ(FED)の場合には、有機ビヒクルの低温除去が特に重要である。焼成温度は増加し、非常に低レベルの酸素の存在でも、酸化によりCNTおよびその電子放出性が低下する。ディスプレイまたはその他電子装置の他のコンポーネントはまた、特に酸素が存在すると、高温で劣化を受け易い。このように、低温で処理され、かつ/または有機ビヒクルの適切な除去に酸素を必要としないシーリング組成物は、ディスプレイ製造において強力な実用的利点を提供する。
【0020】
本発明の組成物は、ガラス板間に高真空シールを与えて、板間に得られるキャビティを約10−7トル以下の真空までポンプダウンできるようにするのが好ましい。さらに、組成物は、本明細書に記載したやり方で焼成したときに光沢面を有するのが好ましい。マットな表面外観で焼成された組成物は、ガラス板に許容されるシーリングを与える可能性が低い。
【0021】
本発明の効果を後述する一連の実施例により実証する。これらの実施例に基づく本発明の実施形態は例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0022】
以下の実施例で用いる有機ビヒクル(「OV」)を後述するとおりにして調製する。これらのOVは、表1に示す通り、PAMS、ブチル化PAMSおよびポリメタクル酸オリゴマー、主に、ダイマーおよびトリマーの異なる混合物である。
【0023】
【表1】

【0024】
OV1−1のいくつかの変形例を作製して評価する。それらは、表2に示すとおり、ダイマー対トリマーの比が異なる。
【0025】
【表2】

【0026】
デュポン(DuPont)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington DE))より入手したOV1−1、1−2、1−3、2−1、2−2および3は、以下の手順に従って、より具体的には米国特許第5,344,592号明細書および米国特許第5,397,383号明細書に記載されたとおりにして調製する。
【0027】
調製1
OV1−1、1−2および1−3
アルファ−メチルスチレンインダンとその他オリゴマー(AMSIDおよびPAMS)の調製
アルファ−メチルスチレン(AMS)(2.0L、15.4モル)を攪拌しながら、2〜3時間にわたって、AlCl3(0.7g、5.2mモル)とジクロロメタン(1.0L、3Åモレキュラーシーブで乾燥させたもの)の混合物に4Lビーカーに入れ、ドライボックス中で室温にて徐々に添加する。1LのAMS添加後、約0.2Lのジクロロメタンを添加して、反応発熱のために蒸発した溶剤を作製する。AMSを全て添加した後、0.3Lのメタノールで反応混合物を不活性化し、水で3回洗浄し、塩化カルシウムで乾燥し、ろ過して、まずロータリエバポレータ、次に高真空を用いて揮発物をストリッピングする。
【0028】
収量は、無色の透明油が1,685g(93%)である。オリゴマー混合物を、60.5%のダイマー、1,1,3−トリメチル−フェニルインダンイソマー(登録番号3910−35−8;GC/MS:Calc.354.905、Found354.234).1H NMR(CDCl):ppm0.8−2.7(m,br,aliph 13H);7.0−7.3(m,br,arom,11H)を含有するものとして分析する。化合物の混合物の26℃での粘度は782cpであり、クーゲルロール(Kugelrohr)にて57gのダイマーを蒸留することにより880cpまで調整する。混合物を蒸留すると、留出物の組成はダイマー56.4%、AMS41.8%である。
【0029】
調製2
OV2−1および2−2
t−ブチルおよびマルチ−t−ブチル−1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン(ブチル化AMSID)の調製
調製1からの反応生成物を分別蒸留して、ANSIDの二量体を与え、この調製については出発材料として用いるためにこれを集める。1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダン(53g、0.255モル)、2−クロロ−2−メチルプロパン(41.6g、0.449モル)、AlCl(0.5g、3.76mモル)およびジクロロメタン(60mL、3Åモレキュラーシーブで乾燥させたもの)の混合物を、ドライボックス中で室温で3日間攪拌する。10mLのメタノールで反応混合物を不活性化し、100mLのジクロロメタンで希釈し、水で4回洗浄し、塩化カルシウムで乾燥し、ろ過して、まずロータリエバポレータ、次に高真空を用いて揮発物をストリッピングする。
【0030】
収量は、黄色の透明の粘性油が53.5g(68%)である。材料を、14%の未反応ダイマー、43%のt−ブチル−1,1,3−トリメチル−フェニルインダンイソマー(登録番号100404−45−3;GC/MS:Calc.292.466、Found292.200)および33%ジ−t−ブチル−1,1,3−トリメチル−フェニルインダンイソマー(登録番号110528−60−4;GC/MS:Calc.384.574、Found384.279)を含有するものとして分析する。この調製では、約10%以下の不純物が反応の副生成物として形成される。10%の不純物のうち、副生成物化合物は約1−2%を超える。1H NMR(CDCl):ppm1.0−2.7(m,br,aliph19.7H);7.1−7.5(m,br,arom,7.0H)
【0031】
調製3
OV2−1および2−2−変形手順
1ポット/2工程プロセスを用いたt−ブチルおよびマルチ−t−ブチルPAMSオリゴマー(ブチル化PAMS)の調製
AMS(100mL、0.77モル)を、窒素下60−90℃で45分にわたって攪拌しながらAlCl(0.2g、1.50mモル)と1,2−ジクロロエタン(100mL)の混合物に徐々に添加する。1h後、GCによれば、未反応AMSはなく、反応系には79%のインダンダイマーと15%のインダントリマーイソマーがあった。混合物を室温まで冷やす。AlCl(0.5g、3.75mモル)と2−クロロ−2−メチルプロパン(10mL、0.119モル)を攪拌しながら添加する。3時間後、40mlのメタノールで反応混合物を不活性化し、水で3回洗浄し、塩化カルシウムで乾燥し、ろ過して、まずロータリエバポレータ、次に高真空を用いて揮発物をストリッピングする。
【0032】
収量は、無色の透明油が82g(84%)である。材料を分析すると、60%のインダンダイマー(未置換)、19%のt−ブチル−1,1,3−トリメチル−フェニルインダンイソマー(一置換)、11%のインダンAMSトリマーイソマーを含有している。粘度は、23℃1H NMR(CDCl):ppm0.8−2.5(m,br,aliph12.8H);6.9−7.3(m,br,arom,8.6H)で304cpである。
【0033】
調製4
OV3
メチルメタクリレートビニルインダントリマー(メタクリル酸オリゴマー)の調製
メチルメタクリレート(8g)とメチルエチルケトン(5g)を、窒素正圧下、攪拌器、還流凝縮器、熱電対を備えた反応器に入れ、80℃で加熱する。温度が80℃で安定したら、メチルエチルケトン(10g)中ジアクアビス(ブロンジフルオロジフェニルグリオキシマト)コバルト酸(II)、Co(DPG−BF2)2、(KG−10618)(0.1g)を添加する。次に、メチルエチルケトン(13g)中メチルメタクリレート(40g)およびバゾ(Vazo)52(4g)を、それぞれ、240および300分にわたって反応器に同時に供給する。バゾ(Vazo)52の添加完了後、反応器内容物をさらに30分間80℃で保持する。反応混合物をGC、SCFCおよび1H NMRにより分析する。メチルメタクリレート変換率は60%であり、GCによるビニルインダンオリゴマー配分は68%のダイマー、29%のトリマー、3%のテトラマーである。純度>90%のトリマー留分を、クーゲルロール(Kugelrohr)にて蒸留により分離する。1H NMR分析は、所望の構造(Polymer Prep.36(2),106−7頁(1995年))を示す。
【0034】
実施例1〜10
表3および4に、熱変OVを組み込むシーリング組成物の様々な処方として実施例1〜10について調製した組成物の内容をまとめてある。これらの組成物を厚膜ペーストへと作製し、ソーダ石灰ガラスの板間にシーリング特性について試験する。
【0035】
組成物は全て、PbO、B、Al、SiOおよびZnOを含有するバイオックスコーポレーション(Viox Corporation)(ワシントン州、シアトル)より入手したガラスフリットを用いる。バイオックス(Viox)フリット番号24935はさらにPbFを含有していた。PbO含量は50重量%を超える。実施例1、3、4および5で用いるバイオックス(Viox)フリット番号24927の中央粒径は5μmである。1.7μm、5μm、10μmの中央粒径のバイオックス(Viox)フリット番号24927はまた、対応の性能についても評価する。用いるCab−O−Sil M(登録商標)フュームドシリカはキャボットコーポレーション(Cabot Corporation)(マサチューセッツ州、ボストン)製である。
【0036】
5.50グラムのガラスフリットを、1.00グラムのテキサノール(登録商標)溶剤(ニューヨーク州、ロチェスターのイーストマンケミカルカンパニー(Eastman Chemical Company,Rochester,NY)製エステルアルコール)と共に0.50グラムのOVに添加する。混合物を厚膜ペーストミュラーで混練する。大量の厚膜ペーストを作製するには、3本ロールミルで混合、振とうおよび/またはロールミリングなどの他の分散手順を用いて、成分の均一な分布の厚膜ペーストを得てもよい。
【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【0039】
実施例11〜14
表5に、熱変OVを組み込むシーリング組成物の様々な処方として実施例11〜14について調製した組成物の内容をまとめてある。これらの組成物を厚膜ペーストへと作製し、ソーダ石灰ガラス板間のシーリング特性について試験する。
【0040】
これらの組成物は全て、77.0%のPbO、12.5%のB、1.4%のAlおよび9.1%のSiOを含有するデュポン(DuPont)(デラウェア州、ウィルミントン(Wilmington DE))より入手したガラスフリットを用いる。これらの組成物は、実施例1〜10について規定したのと同様の手順により作製される。
【0041】
【表5】

【0042】
実施例15〜18
表6に、熱変OVを組み込むシーリング組成物の様々な処方として実施例15〜18について調製した組成物の内容をまとめてある。これらの組成物を厚膜ペーストへと作製し、ソーダ石灰ガラス板間のシーリング特性について試験する。
【0043】
これらの組成物は全て、PbO、BおよびSiOを含有するアサヒコーポレーション(Asahi Corporation)(日本、東京(Tokyo,Japan))より入手したガラスフリットを用いる。アサヒ(Asahi)フリット番号DT430を用いる。これらの組成物は、実施例1〜10について規定したのと同様の手順により作製される。
【0044】
【表6】

【0045】
実施例19〜22
表7に、熱変OVを組み込むシーリング組成物の様々な処方として実施例19〜22について調製した組成物の内容をまとめてある。これらの組成物を厚膜ペーストへと作製し、ソーダ石灰ガラス板間のシーリング特性について試験する。
【0046】
これらの組成物は全て、PbO、BおよびSiOを含有するアサヒコーポレーション(Asahi Corporation)(日本、東京(Tokyo,Japan))より入手したガラスフリットを用いる。アサヒ(Asahi)フリット番号DT430を用いる。これらの組成物は、実施例1〜10について規定したのと同様の手順により作製される。
【0047】
【表7】

【0048】
上述したとおりに作製したシーリング組成物にそれぞれ、80メッシュのスクリーンを通して、2.0インチ×2.0インチソーダ石灰ガラス基材上に1.0インチ×1.0インチ「窓枠」パターンで印刷する。試料を約125℃で15分間空気中で乾燥する。乾燥した印刷の上で2回以上スクリーン印刷を繰り返すと、より厚い最終印刷が得られる。
【0049】
あるいは、シーリング組成物を、ソーダ石灰ガラス基材上で12ゲージのオリフィスを通して押出す。これらの試験のいくつかを5インチ×5インチのソーダ石灰ガラス基材で実施する。インジウムスズ酸化物(ITO)でコートしたガラス上に厚膜ペーストとして印刷または押出された組成物にさらなる試験を行う。印刷または押出された厚膜ペーストを備えた試料を全て約125℃で15分間空気中で乾燥する。
【0050】
各組成物を上述したとおりに付着し乾燥したガラス基材の焼成を以下の手順に従って実施する。
【0051】
第1の工程において、焼成は低温(280℃〜400℃)でなされて、低焼成有機ビヒクルのバルクを排除する。低温焼成は空気中で実施してよい。しかしながら、窒素などの不活性雰囲気中で焼成を実施して、製造している装置の他のコンポーネントの酸化を最小にするのが、かかるコンポーネントが共にシールしているガラス板の一体部分であるときには、好ましい形態である。
【0052】
次に、第2の工程において、焼成を不活性雰囲気(窒素などの)中で高めの温度(360℃〜480℃)で行って、ガラスフリットを焼成し、ガラス基材間に密封シールを形成する。焼結または高めの温度での焼成は、不活性雰囲気中で実施して、製造している装置の他のコンポーネントの酸化を、かかるコンポーネントが共にシールしているガラス板の一体部分であるときには、最小にする。この焼成工程における酸素の低レベル(1−1,000ppm)の許容度は、装置の他のコンポーネントの酸素に対する感度にのみ依存している。
【0053】
上述したとおりに評価した組成物は全てガラス基材上で良好な品質のシールを与えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ガラスフリットと、(b)溶剤と、(c)ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオール、ポリエーテル、ポリアセタールおよびポリアミドよりなる群の1つもしくはそれ以上のメンバーから選択される、分子量が約200〜約1000の範囲である有機ビヒクルとを混合物中に含んでなる組成物。
【請求項2】
前記有機ビヒクルがポリ(アルファ−メチルスチレン)である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記有機ビヒクルがブチル化ポリ(アルファ−メチルスチレン)である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記有機ビヒクルがメチルメタクリレートから誘導されている請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
充填剤をさらに含んでなる請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ガラスフリットの中央粒径が約1〜約100ミクロンの範囲にある請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の組成物を含んでなる電界放出素子。
【請求項8】
カーボンナノチューブを含んでなる請求項7に記載の電界放出素子。
【請求項9】
請求項7に記載の電界放出素子を含んでなる電界放出ディスプレイ。
【請求項10】
請求項7に記載の電界放出素子を含んでなる点灯装置。
【請求項11】
(a)請求項1に記載の組成物のビーズまたはパターン化層を基材に付着する工程と、(b)前記溶剤および/または有機ビヒクルを蒸発する工程と、(c)前記ビーズまたはパターン化層を焼成する工程とを含んでなるシーリング方法。
【請求項12】
(a)請求項1に記載の組成物のビーズまたはパターン化層を第1の基材に付着する工程と、(b)前記溶剤および/または有機ビヒクルを蒸発する工程と、(c)前記ビーズまたはパターン化層を第2の基材と接触する工程と、(d)前記ビーズまたはパターン化層を焼成する工程とを含んでなるシーリング方法。
【請求項13】
前記焼成が窒素または他の不活性雰囲気中である請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記焼成温度が約430℃以下である請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記焼成温度が約280℃〜約400℃以下の範囲内にある請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記焼成が窒素または他の不活性雰囲気中である請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記焼成温度が約430℃以下である請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記焼成温度が約280℃〜約400℃以下の範囲内にある請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記基材が電子素子要素を含んでなる請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記第1および/または第2の基材が電子素子要素を含んでなる請求項12に記載の方法。

【公表番号】特表2008−514762(P2008−514762A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533659(P2007−533659)
【出願日】平成17年9月23日(2005.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/034191
【国際公開番号】WO2006/044109
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】