説明

シールドの固定具

【課題】シールドの振れや飛散を防止するシールドの固定具を提供する。
【解決手段】本発明のシールド200の固定具400は、オープンフェイス型のヘルメット100に装着されるシールドの固定具であって、固定具400は、一方の端部がシールド200の側部に連結され、他方の端部はヘルメット100の前方側部に着脱可能に連結される。これにより、オートバイ等の搭乗中にシールド200の内側に風の巻き込みが生じても、シールド200が振れたり、飛散したりすることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドの固定具に関し、特にオートバイ等に搭乗する際に用いる、オープンフェイス型のヘルメットに装着されるシールドの固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
オートバイ等に搭乗する際に用いるヘルメットとして、従来からオープンフェイス型のヘルメットが販売されている。このようなヘルメットに所謂コンペティションシールドやバブルシールド等のシールドが装着されることが多い。このとき、特許文献1に開示されているように、開閉機構を介してシールドをヘルメットに装着することで、開閉可能にシールドをヘルメットに装着する技術が開発されている。
ちなみに、特許文献2には、伸縮性のベルトをシールドの両端に設け、当該ベルトをヘルメットの後半側で抱持させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3128447号公報
【特許文献2】実用新案登録第3049207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにオープンシールド型のヘルメットにシールドを装着する場合、当該ヘルメットのオープンシールド部に沿って予め設けられたスナップボタンの係止片を用いてシールドをヘルメットに装着することが一般的である。
【0005】
つまり、局部的にシールドをヘルメットに固定することになり、オートバイ等の搭乗中に振り向いたりしてシールドの内部に風の巻き込みが生じると、シールドが振れたり、シールドが飛散したりする可能性がある。特に特許文献1の技術のように、開閉機構を介してシールドをヘルメットに装着する場合、シールドの振れは当該開閉機構の摩耗を誘引する。
【0006】
本発明の目的は、このような問題を解決するためになされたものであり、シールドの振れや飛散を防止するシールドの固定具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシールドの固定具は、オープンフェイス型のヘルメットに装着されるシールドの固定具であって、前記固定具は、一方の端部が前記シールドの側部に連結され、他方の端部は前記ヘルメットの前方側部に着脱可能に連結されることを特徴とする。
【0008】
前記固定具は帯状部を備え、前記帯状部の端部にスナップボタンの一方の係止片が設けられており、前記一方の係止片は、予め前記ヘルメットのオープンフェイス部に沿って設けられたスナップボタンの他方の係止片に連結されること、が好ましい。
【0009】
前記帯状部における前記スナップボタンの一方の係止片が設けられる部位周辺に補強部が設けられていること、が好ましい。
【0010】
伸縮部を備えること、が好ましい。
長さ調整部を備えること、が好ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上、説明したように、本発明によると、シールドの振れや飛散を防止するシールドの固定具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施の形態の固定具と、ヘルメットと、シールドと、開閉機構と、を概略的に示す構造図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の固定具の使用形態を示す図である。
【図3】本発明に係る実施の形態の固定具を概略的に示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の固定具を概略的に示す部分拡大図である。
【図5】本発明に係る実施の形態の固定具の異なる使用形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0014】
本実施の形態に係るシールドの固定具は、図1に示すヘルメット100に装着されるシールド200を固定するために用いられる。ちなみに、本実施の形態のシールド200は、開閉機構300を介してヘルメット100に装着されている。
【0015】
ヘルメット100は、オートバイや乗用車、飛行機等の風圧や振動を受ける乗り物に搭乗する際に用いられるオープンフェイス型ヘルメットである。すなわち、ヘルメット100は、顔面部分がオープンフェイス部110から露出するように当該オープンフェイス部110が形成されている。ヘルメット100の外表部には、オープンフェイス部110に沿ってスナップボタンの一方の係止片(例えば雄型片)120(120a、120b)が複数設けられている。本実施の形態では、オープンフェイス部110の上方に3個の係止片120aが配置されている。そして、オープンフェイス部110の左右の側方に1個ずつ係止片120bが配置されている。これらの係止片120は、一般的なオープンフェイス型ヘルメットであれば、従来からの慣習でコンペティションシールドを直接装着するために設けられている。
【0016】
シールド200は、例えばコンペティションシールドやバブルシールド等である。本実施の形態のシールド200は、バブルシールドとして説明する。シールド200の上縁部には、ヘルメット100のオープンフェイス部110の上方に設けられた係止片120に対応するように、スナップボタンの他方側の係止片(例えば雌型片)210が設けられている。これにより、シールド200の係止片210をヘルメット100の係止片120に嵌め合わせることで、シールド200をヘルメット100に直接装着することができる。又は後述するように、シールド200側の係止片210を、開閉機構300の係止片に嵌め合わせることで、シールド200をヘルメット100に開閉機構300を介して装着することができる。
【0017】
開閉機構300は、図1に示すように、第1の湾曲片310と、第2の湾曲片320と、を備える。第1の湾曲片310は、オープンフェイス部110の上方位置における外表面の形状に略沿うように湾曲する円弧部材である。第1の湾曲片310の内側面には、ヘルメット100のオープンフェイス部110の上方に設けられた係止片120aに対応するように、スナップボタンの他方側の係止片(例えば雌型片)311が設けられている。第1の湾曲片310の内側面における左右両端部には、それぞれ吸盤312が設けられている。第1の湾曲片310の外側面における上辺近傍には、外方に向かって突出する凸部313が形成されている。
【0018】
第2の湾曲片320は、第1の湾曲片310の外側面に沿うように湾曲する円弧部材である。すなわち、第2の湾曲片320は、第1の湾曲片310と同一平面上に配置することができる。このとき、第1の湾曲片310の上方に第2の湾曲片320が配置されることになる。第2の湾曲片320の左右両端部は、それぞれ第1の湾曲片310の端部に回転可能にピン連結されている。第2の湾曲片320の外側面には、シールド200の係止片210に対応するように、一方の係止片(例えば雄型片)321が設けられている。第2の湾曲片320の内側面における上辺近傍には、内方に向かって突出する凸部322が形成されている。この第2の湾曲片320の凸部322が第1の湾曲片310の凸部313に載置されることで、図2に示すように、第1の湾曲片310と第2の湾曲片320とが位置固定され、シールド200が閉じられた状態、即ちオープンフェイス部110を覆う状態に配置される。
【0019】
このような開閉機構300は、第1の湾曲片310の係止片311をヘルメット100の係止片120に嵌め合わせることで、開閉機構300をヘルメット100に装着する。このとき、第1の湾曲片310の端部に設けられた吸盤312がヘルメット100の外表面に吸着するので、開閉機構300をより強固にヘルメット100に装着することができる。
【0020】
しかし、上述の構成では、オートバイ等に搭乗中にシールドの内側に風の巻き込みが生じると、シールド200が振れたり、飛散したりする可能性がある。そこで、本実施の形態では、図2に示すように、ヘルメット100とシールド200とを固定具400を介して連結する。
【0021】
固定具400は、図3に示すように、第1のベルト部410と、第2のベルト部420と、を備える。第1のベルト部410は、例えばナイロン繊維等から成る切断可能なベルト部材411を備える。このベルト部材411の一方の面(シールド200に接合される側の面)に両面接着テープ等の接合部材412が設けられている。ちなみに、本実施の形態の第1のベルト部410は、二枚のベルト部材411を備え、二枚のベルト部材411が重なるように配置されている。そして、二枚のベルト部材411の向かい合う面にそれぞれ接合部材412が設けられている。二枚のベルト部材411の一方の端部は、第2のベルト部420に接合されている。
【0022】
第2のベルト部420は、例えばゴム等から成る伸縮可能なベルト部材421を備える。このベルト部材421は、図3及び4に示すように、折り返されている。そして、ベルト部材421の解放端側で第1のベルト部410の二枚のベルト部材411が挟み込まれ、相互に接合されている。第2のベルト部420は、スナップボタンの他方側の係止片(例えば雌型片)422を備える。ここで、図4に示すように、二枚のベルト部材421の間に布等の補強部材423を挿入して固定し、当該補強部材423で補強された部位に係止片422を設けることが好ましい。その結果、係止片422が設けられる部位周辺が補強され、容易に係止片422が外れたりしない。
【0023】
このような固定具400は、使用する際に以下に説明するように、事前に準備される。先ず、図2に示すように、シールド200が閉じた状態で、例えば固定具400の係止片422をヘルメット100の係止片120bに嵌め合わせて、固定具400をヘルメット100に連結する。そして、固定具400の第1のベルト部410の端部をシールド200の側部の適当な部位に連結した際に、固定具400の第2のベルト部420に収縮力が作用するように、第1のベルト部410を切断して当該第1のベルト部410の長さを調整する。ここで、当該適当な部位は、シールド200における、固定具400の係止片422を嵌め合わせたヘルメット100の係止片120bが設けられている側の側部に設定される。つまり、固定具400の係止片422をヘルメット100の左側下方位置に設けられた係止片120bに嵌め合わせた場合、当該適当な部位はシールド200の左側の側部下方領域に設定される。逆に、固定具400の係止片422をヘルメット100の右側下方位置に設けられた係止片120bに嵌め合わせた場合、当該適当な部位はシールド200の右側の側部下方領域に設定される。
【0024】
次に、第1のベルト部410の長さの調整が終了すると、固定具400の係止片422をヘルメット100の係止片120bから取り外し、上述した適当な部位を第1のベルト部410の二枚のベルト部材411で挟み込み、当該適当な部材に接合部材412を介して固定具400を連結する。これにより、固定具400のシールド200への連結が終了する。
【0025】
このようにシールド200に一方の端部が連結された固定具400は、図2に示すように、シールド200を閉じた状態で、利用者が若干固定具400を引っ張って第2のベルト部420を伸張させて、固定具400の係止片422をヘルメット100の係止片120bに嵌め込み、固定具400の他方の端部をヘルメット100に連結する。これにより、オートバイ等の搭乗中にシールド200の内側に風の巻き込みが生じても、シールド200が振れたり、飛散したりすることを防止することができる。特に、本実施の形態の固定具400における第2のベルト部420は、伸縮可能なベルト部材を備え、伸張した状態でヘルメット100に連結される。そのため、ベルト部材に収縮力が作用した状態でシールド200を固定することができ、シールド200の振れをより確実に防止することができる。これにより、開閉機構300におけるシールド200の振れに起因する摩耗を低減することができる。
【0026】
一方、シールド200を、図5に示すように、開いた状態とする際には、固定具400の係止片422をヘルメット100の係止片120bから取り外す。このように固定具400の他方の端部は、ヘルメット100に着脱可能に連結されるので、シールド200の開閉動作を妨げない。
【0027】
本実施の形態では、ヘルメット100に予め設けられている係止片120bを用いて、固定具400の他方の端部を着脱可能に連結する。そのため、ヘルメットにスナップボタンの新たな係止片を設ける必要がなく、特に大掛かりな作業を必要とせずに、固定具400を利用することができ、しかも効率的である。
【0028】
また、固定具400は、シールド200の側部とヘルメット100のオープンフェイス部110の右側下方位置又は左側下方位置とを連結するので、オートバイ等に搭乗する際に視界を妨げない。また、固定具400は比較的小さい部材であるので、目立ち難く、ヘルメット全体の意匠性を妨げない。ちなみに、固定具400の係止片422の皿部分に模様等の装飾を施すと、固定具400の意匠性を向上させることができる。
【0029】
以上、本発明に係るシールドの固定具の実施の形態を説明したが、上記の構成に限らず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、変更することが可能である。
【0030】
上記実施の形態では、開閉機構300を介してシールド200をヘルメット100に装着したが、ヘルメット100の係止片120aに直接にシールド200の係止片210を嵌め合わせて、シールド200をヘルメット100に装着する場合も、同様に用いることができる。
【0031】
上記実施の形態では、第1のベルト部410を両面接着テープ等の接合部材412を用いてシールド200に接合したが、この限りでない。例えば、接着剤やリベット等を用いて接合しても良い。
【0032】
上記実施の形態では、第1のベルト部410を切断して長さを調整しているが、この限りでない。例えば第1のベルト部410と第2のベルト部420との連結部にスライド機構等の長さ調整機構を設けて、第1のベルト部410の第2のベルト部420への連結部が、第2のベルト部420に対して移動可能な構成とされていても良い。
【0033】
上記実施の形態では、固定具400の係止片422をヘルメット100に予め設けられている係止片120bに連結したが、この限りでない。固定具400の係止片422を連結する係止片を別途、ヘルメット100に設けても良い。
【0034】
上記実施の形態では、スナップボタンを用いて第2のベルト部420をヘルメット100に連結したが、この限りでない。例えば第2のベルト部420は、所謂面ファスナを用いてヘルメット100に連結しても良い。
【0035】
上記実施の形態では、第2のベルト部420のベルト部材421をゴム等の伸縮可能な部材で構成したが、この限りでない。例えば第2のベルト部420のベルト部材421は革製等でも良く、この場合、表面に装飾を施すことで固定具400の意匠性を向上させることができる。
【0036】
本実施の形態では、第1のベルト部410と、第2のベルト部420と、を備えるが、一つのベルト部だけでも良く、要するに、ベルト状の固定具400の一方の端部をシールド200に連結でき、他方の端部をヘルメット100に着脱可能に連結できれば良い。
【符号の説明】
【0037】
100 ヘルメット、110 オープンフェイス部
120(120a、120b) 係止片
200 シールド、210 係止片
300 開閉機構
310 第1の湾曲片、311 係止片、312 吸盤、313 凸部
320 第2の湾曲片、321 係止片、322 凸部
400 固定具
410 第1のベルト部、411 ベルト部材、412 接合部材
420 第2のベルト部、421 ベルト部材、422 係止片、423 補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンフェイス型のヘルメットに装着されるシールドの固定具であって、
前記固定具は、一方の端部が前記シールドの側部に連結され、他方の端部は前記ヘルメットの前方側部に着脱可能に連結されることを特徴とするシールドの固定具。
【請求項2】
前記固定具は帯状部を備え、
前記帯状部の端部にスナップボタンの一方の係止片が設けられており、前記一方の係止片は、予め前記ヘルメットのオープンフェイス部に沿って設けられたスナップボタンの他方の係止片に連結されることを特徴とする請求項1に記載のシールドの固定具。
【請求項3】
前記帯状部における前記スナップボタンの一方の係止片が設けられる部位周辺に補強部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシールドの固定具。
【請求項4】
伸縮部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシールドの固定具。
【請求項5】
長さ調整部を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシールドの固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−122143(P2012−122143A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271188(P2010−271188)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(510321170)株式会社アルファテック (1)
【Fターム(参考)】