説明

シールドケースおよびそれを備えた高周波ユニット

【課題】コネクタ部材の強度が低下するのを抑制しながら、シールド性が低下するのを抑制するとともに、小型化することが可能なシールドケースを提供する。
【解決手段】このシールドケース3は、凸部12aが設けられた複数の側面部12を含むシールド筐体10と、シールド筐体10の側面部12の凸部12aに係合する複数の係合部22を含み、シールド筐体10に取り付けられるシールド蓋20と、シールド筐体10の側面部12bに取り付けられ、複数の端子31aおよび31b、および、端子固定部材32を含むpinヘッダー30とを備え、シールド蓋20の係合部22bは、シールド筐体10の側面部12b(12)とpinヘッダー30の端子固定部材32との間に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シールドケースおよびそれを備えた高周波ユニットに関し、特に、シールド筐体とシールド筐体に取り付けられるコネクタ部材とを含むシールドケースおよびそれを備えた高周波ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器は小型化が要求されており、これらの機器に搭載する高周波ユニットのシールドケースも小型化が要求されている。このようなシールドケースとして、シールド筐体とシールド筐体に取り付けられるコネクタ部材とを備えたシールドケースが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、回路基板(基板)が内部に配置され、前面板(側面部)および2つの側面板(側面部)を含むシールド筐体と、シールド筐体の前面板に取り付けられ、複数の接続ピン(端子)、および、複数の接続ピンを固定するケーシング(端子固定部材)を含むピン型コネクタ(コネクタ部材)とを備えたシールドケースが開示されている。上記特許文献1のシールドケースでは、ピン型コネクタのケーシングは、所定の方向に延びる細長形状に形成されており、ピン型コネクタの複数の接続ピンは、所定の方向に等間隔で配置されている。そして、ピン型コネクタは、シールド筐体の前面板に形成された所定の方向に延びる嵌合孔(開口部)に取り付けられている。
【0004】
また、上記特許文献1のシールドケースと同様の構造を有するシールドケースを備えた従来の一例による高周波ユニットが知られている。図9は、従来の一例による高周波ユニットの構造を示した斜視図である。図10は、図9に示した従来の一例による高周波ユニットの構造を示した分解斜視図である。図11は、図9に示した従来の一例による高周波ユニットのシールド蓋およびpinヘッダー(コネクタ部材)をシールド筐体に取り付けた状態を示した断面図である。
【0005】
従来の一例による高周波ユニット101は、図9および図10に示すように、回路基板(基板)102(図10参照)と、回路基板102が内部に配置されるシールドケース103とによって構成されている。このシールドケース103は、図10に示すように、回路基板102が内部に配置されるシールド筐体110と、シールド筐体110の上部に取り付けられるシールド蓋120と、シールド筐体110に取り付けられるpinヘッダー(コネクタ部材)130とによって構成されている。
【0006】
この高周波ユニット101では、シールド筐体110は、下面部111と、下面部111に対して略垂直に折り曲げられた4つの側面部112とを含んでいる。また、4つの側面部112には、それぞれ、A方向またはB方向に延びる複数の凸部112aが形成されている。また、4つの側面部112のうちの1つの側面部112bには、pinヘッダー130を取り付けるための開口部112cがB方向に延びるように形成されている。
【0007】
シールド蓋120は、上面部121と、上面部121の外周部に設けられた複数の係合部122とによって構成されている。
【0008】
pinヘッダー130は、複数の端子131と、複数の端子131と一体的に形成された樹脂製の端子固定部材132とによって構成されている。複数の端子131は、B方向に沿って等間隔に配置されているとともに、図11に示すように、一方の端部が回路基板102の挿入孔102aに挿入される。端子固定部材132は、図10に示すように、B方向に延びる細長形状に形成されている。また、端子固定部材132のB方向の両端部には、シールド筐体110の開口部112cに挿入される挿入部132aが形成されている。そして、pinヘッダー130は、図9および図11に示すように、シールド筐体110の側面部112bの開口部112c(図11参照)に取り付けられる。
【0009】
上記高周波ユニット101では、シールド筐体110にpinヘッダー130とシールド蓋120とが取り付けられた状態(図9に示した状態)で、pinヘッダー130は、B方向の一方端から他方端にわたってシールド筐体110の側面部112bに当接しているとともに、シールド蓋120の係合部122は、pinヘッダー130の上方に、pinヘッダー130の端子固定部材132から所定の距離を隔てて配置されている。
【特許文献1】特開平8−7992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の一例による高周波ユニット101では、シールド筐体110にpinヘッダー(コネクタ部材)130とシールド蓋120とが取り付けられた状態で、シールド蓋120の係合部122が、pinヘッダー130の上方に、pinヘッダー130の端子固定部材132から所定の距離を隔てて配置されているので、その分、シールド蓋120を上方に配置する必要があるという問題点がある。すなわち、シールドケース103(高周波ユニット101)の厚み(高さ)を小さくするのが困難であるという問題点がある。
【0011】
この問題点を解決するために、シールド筐体110の側面部112bの凸部112aに対応するシールド蓋120の係合部122を無くすことも考えられるが、この場合、シールドケース103のシールド性が低下するという不都合が生じる。
【0012】
また、pinヘッダー130の端子固定部材132の高さを小さくすることも考えられるが、この場合、pinヘッダー(コネクタ部材)130の強度が低下するという不都合が生じる。
【0013】
なお、上記特許文献1のシールド筐体にシールド蓋を取り付ける場合にも、図9〜図11に示した従来の一例による高周波ユニット101(シールドケース103)と同様の問題点がある。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、コネクタ部材の強度が低下するのを抑制しながら、シールド性が低下するのを抑制するとともに、小型化することが可能なシールドケースおよび高周波ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるシールドケースは、基板が内部に配置され、第1係合部が設けられた複数の側面部を含むシールド筐体と、シールド筐体の複数の側面部の第1係合部に係合する複数の第2係合部を含み、シールド筐体に取り付けられるシールド蓋と、シールド筐体の複数の側面部のうちの少なくとも1つに取り付けられ、複数の端子、および、複数の端子を固定する端子固定部材を含むコネクタ部材とを備え、シールド蓋の複数の第2係合部のうちの少なくとも1つは、シールド筐体の側面部とコネクタ部材の端子固定部材との間に配置されている。
【0016】
この第1の局面によるシールドケースでは、上記のように、シールド蓋の複数の第2係合部のうちの少なくとも1つを、シールド筐体の側面部とコネクタ部材の端子固定部材との間に配置することによって、シールド蓋の第2係合部を、コネクタ部材の上方に、コネクタ部材の端子固定部材から所定の距離を隔てて配置する必要がないので、その分、シールド蓋を下側(シールド筐体側)に配置することができる。これにより、シールドケースの厚み(高さ)を小さくすることができるので、シールドケースを小型化することができる。この場合、シールド蓋の第2係合部を無くす必要がないので、シールドケースのシールド性が低下するのを抑制することができる。また、この場合、コネクタ部材の端子固定部材の高さを小さくする必要がないので、コネクタ部材の強度が低下するのを抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面によるシールドケースにおいて、好ましくは、コネクタ部材の端子固定部材は、シールド筐体の側面部に当接する当接部と、シールド筐体の側面部から所定の距離を隔てて配置される屈曲部とを含み、シールド蓋の複数の第2係合部のうちの少なくとも1つは、シールド筐体の側面部とコネクタ部材の屈曲部との間に配置されている。このように構成すれば、シールド蓋の複数の第2係合部のうちの少なくとも1つを、容易に、シールド筐体の側面部とコネクタ部材の端子固定部材との間に配置することができるので、シールド蓋を、容易に、下側(シールド筐体側)に配置することができる。
【0018】
上記コネクタ部材の端子固定部材が当接部および屈曲部を含むシールドケースにおいて、好ましくは、コネクタ部材の当接部は、複数からなり、コネクタ部材の屈曲部は、複数の当接部の間に配置され、コネクタ部材の複数の端子は、屈曲部には設けられておらず、複数の当接部に設けられている。このように構成すれば、屈曲部を、コネクタ部材の端子固定部材の中央部に配置することができるので、シールド蓋の第2係合部のうちの少なくとも1つを、コネクタ部材の端子固定部材の中央部近傍に配置することができる。これにより、コネクタ部材の中央部近傍において、シールドケースのシールド性が低下するのを抑制することができるので、コネクタ部材(端子固定部材)が、例えば細長形状に形成されている場合にも、シールドケースのシールド性が低下するのを、効果的に抑制することができる。また、コネクタ部材の屈曲部を、複数の当接部の間に配置し、コネクタ部材の複数の端子を、屈曲部には設けず、複数の当接部に設けることによって、コネクタ部材の複数の端子を、例えば機能毎に分離して配置することができる。
【0019】
上記コネクタ部材の屈曲部が複数の当接部の間に配置されているシールドケースにおいて、好ましくは、シールド筐体の複数の側面部のうちのコネクタ部材が取り付けられる側面部には、開口部が形成されており、コネクタ部材の端子固定部材の両端部、および、端子固定部材の屈曲部の両端部近傍には、シールド筐体の開口部に挿入される挿入部が形成されている。このように構成すれば、コネクタ部材の端子固定部材の両端部のみならず、端子固定部材の中央部近傍においても、コネクタ部材の挿入部をシールド筐体の開口部に挿入することができる。これにより、コネクタ部材(端子固定部材)が中央部で上下方向に撓むのを抑制することができる。すなわち、コネクタ部材の端子固定部材の両端部のみにおいてコネクタ部材の挿入部をシールド筐体の開口部に挿入する場合に比べて、コネクタ部材の強度を向上させることができる。
【0020】
上記第1の局面によるシールドケースにおいて、好ましくは、コネクタ部材が取り付けられる側面部の第1係合部に係合されるシールド蓋の第2係合部のうち、両端に位置する2つの第2係合部の間に、コネクタ部材が配置されている。このように構成すれば、コネクタ部材が取り付けられる側面部の第1係合部に係合されるシールド蓋の第2係合部のうち、両端に位置する2つの第2係合部に、コネクタ部材が当接するのを抑制することができるので、シールド蓋を、より容易に、下側(シールド筐体側)に配置することができる。また、コネクタ部材が取り付けられる側面部の第1係合部に係合されるシールド蓋の第2係合部のうち、両端に位置する2つの第2係合部の間に、コネクタ部材を配置することによって、コネクタ部材の両端部周辺において、シールド蓋の第2係合部を無くす必要がないので、シールドケースのシールド性が低下するのをより抑制することができる。
【0021】
この発明の第2の局面による高周波ユニットは、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシールドケースと、シールドケースのシールド筐体の内部に配置される基板とを備える。このように構成すれば、コネクタ部材の強度が低下するのを抑制しながら、シールド性が低下するのを抑制するとともに、小型化することが可能な高周波ユニットを得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、コネクタ部材の強度が低下するのを抑制しながら、シールド性が低下するのを抑制するとともに、小型化することが可能なシールドケースおよび高周波ユニットを容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の一実施形態によるシールドケースを備えた高周波ユニットの構造を示した斜視図である。図2および図3は、図1に示した本発明の一実施形態によるシールドケースを備えた高周波ユニットの構造を示した分解斜視図である。図4〜図8は、図1に示した本発明の一実施形態によるシールドケースの詳細構造を示した図である。図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態によるシールドケース3を備えた高周波ユニット1の構造について説明する。
【0024】
本発明の一実施形態によるシールドケース3を備えた高周波ユニット1は、地上波放送や衛星放送などを受信する放送受信用のチューナ(高周波受信装置)として用いられる。また、高周波ユニット1は、図1〜図3に示すように、回路基板2aおよび2b(図2および図3参照)と、回路基板2aおよび2bが内部に配置されるシールドケース3とによって構成されている。なお、回路基板2aおよび2bは、本発明の「基板」の一例である。
【0025】
回路基板2aおよび2b(図2および図3参照)には、それぞれ、例えばデジタル回路およびアナログ回路が形成されている。
【0026】
シールドケース3は、図2に示すように、回路基板2aおよび2bが内部に配置される板金製のシールド筐体10と、シールド筐体10の上部に取り付けられる板金製のシールド蓋20と、シールド筐体10に取り付けられるpinヘッダー30とによって構成されている。なお、pinヘッダー30は、本発明の「コネクタ部材」の一例である。
【0027】
シールド筐体10は、回路基板2aおよび2bのグランド(図示せず)に半田などにより接続されており、アースとしての機能を有する。
【0028】
また、シールド筐体10は、下面部11と、下面部11に対して略垂直に折り曲げられた4つの側面部12と、側面部12の内部に配置された仕切り板13aおよび13bとを含んでいる。
【0029】
4つの側面部12の上部には、それぞれ、A方向またはB方向に延びる複数の凸部12aが形成されている。この凸部12aは、図4に示すように、シールド筐体10の外側に突出するように形成されている。また、複数の凸部12aは、図2に示すように、A方向またはB方向に互いに所定の間隔を隔てて複数設けられている。なお、凸部12aは、本発明の「第1係合部」の一例である。
【0030】
ここで、本実施形態では、4つの側面部12のうちの1つの側面部12bには、pinヘッダー30を取り付けるための開口部12cがB方向に延びるように形成されている。また、側面部12bには、凸部12aが3つ設けられている。具体的には、2つの凸部12d(12a)は、側面部12bのB方向の両端部の上部に設けられており、1つの凸部12e(12a)は、側面部12bのB方向の中央部の上部に設けられている。なお、側面部12bは、本発明の「複数の側面部のうちの少なくとも1つ」の一例である。
【0031】
仕切り板13aは、A方向に延びるように配置されている。仕切り板13bは、複数からなるとともに、B方向に延びるように配置されている。また、仕切り板13bの上端部13cは、図5に示すように、水平方向(A方向)に折り曲げられている。
【0032】
シールド蓋20は、図2に示すように、上面部21と、上面部21の外周部に設けられた複数の係合部22とによって構成されている。なお、係合部22は、本発明の「第2係合部」の一例である。
【0033】
上面部21には、A方向およびB方向の端部から所定の距離を隔てて、上側に突出した突出面部21aが設けられている。この突出面部21aには、仕切り板13bの上方に配置されているとともに、仕切り板13bの上端部13cに接触する複数の接触部21bが形成されている。
【0034】
この複数の接触部21bの周囲には、図6に示すように、それぞれ、コの字形状のスリット部21cが設けられている。これにより、接触部21bは、上下方向のバネ性を有する。また、複数の接触部21bの所定の位置には、下方向に突出した半球面形状の突出部21dが形成されている。この突出部21dは、図5に示すように、仕切り板13bの上端部13cに当接するように形成されている。このように、接触部21bの突出部21dが仕切り板13bの上端部13cに接触することにより、シールド蓋20もアースとして機能する。
【0035】
複数の係合部22は、図4に示すように、くの字形状の断面を有しており、シールド筐体10の側面部12の上部に設けられた凸部12aに係合するように形成されている。
【0036】
また、複数の係合部22は、互いに独立した状態で、A方向またはB方向のバネ性を有する。なお、係合部22がシールド筐体10の側面部12の凸部12aに係合した状態では、バネ性を有する係合部22は、シールド筐体10の側面部12を内側に押圧した状態になっている。
【0037】
また、本実施形態では、図2に示すように、複数の係合部22は、シールド筐体10の側面部12bの凸部12dおよび12eにそれぞれ係合される係合部22aおよび22bを含んでいる。2つの係合部22aは、B方向の両端部に設けられており、1つの係合部22bは、B方向の中央部に設けられている。なお、係合部22aは、本発明の「両端に位置する2つの第2係合部」の一例であり、係合部22bは、本発明の「複数の第2係合部のうちの少なくとも1つ」の一例である。
【0038】
また、本実施形態では、pinヘッダー30は、図1に示すように、pinヘッダー30がシールド筐体10に取り付けられた状態で、シールド蓋20の2つ係合部22aの間に配置される。
【0039】
また、pinヘッダー30は、図7および図8に示すように、複数の端子31aおよび31bと、複数の端子31aおよび31bと一体的に形成された樹脂製の端子固定部材32とによって構成されている。
【0040】
また、本実施形態では、端子固定部材32は、B方向に延びる細長形状に形成されている。また、端子固定部材32は、シールド筐体10(図2参照)の側面部12bに当接する2つの当接部32aと、2つの当接部32aの間に配置された屈曲部32bとを含んでいる。
【0041】
また、本実施形態では、各当接部32aの両端部には、シールド筐体10(図2参照)の側面部12bの開口部12cに挿入される挿入部32cが形成されている。すなわち、端子固定部材32の両端部、および、屈曲部32bの両端部近傍に、挿入部32cが形成されている。そして、pinヘッダー30は、図3に示すように、挿入部32c(図7および図8参照)がシールド筐体10の側面部12bの開口部12c(図2参照)に挿入されることにより、シールド筐体10の側面部12bに取り付けられる。
【0042】
また、本実施形態では、屈曲部32bは、シールド筐体10の側面部12bから所定の距離を隔てて配置される。これにより、図1および図4に示すように、pinヘッダー30およびシールド蓋20がシールド筐体10に取り付けられた状態で、シールド蓋20の係合部22bが、シールド筐体10の側面部12bと、pinヘッダー30の端子固定部材32の屈曲部32bとの間に配置される。
【0043】
複数の端子31aおよび31bは、図7および図8に示すように、屈曲部32bには設けられておらず、2つの当接部32aに設けられている。具体的には、複数の端子31aは、一方の当接部32aに設けられており、複数の端子31bは、他方の当接部32aに設けられている。すなわち、複数の端子31aと複数の端子31bとは、B方向に所定の間隔を隔てて配置されている。また、複数の端子31aは、B方向に沿って等間隔に配置されているとともに、複数の端子31bも、B方向に沿って等間隔に配置されている。
【0044】
また、複数の端子31aは、図3に示すように、一方の端部が回路基板2aの挿入孔2cに挿入されて半田などにより固定されているとともに、複数の端子31bは、一方の端部が回路基板2bの挿入孔2cに挿入されて半田などにより固定されている。そして、複数の端子31aには、デジタル信号が流れるとともに、複数の端子31bには、アナログ信号が流れる。
【0045】
本実施形態では、上記のように、シールド蓋20の係合部22bを、シールド筐体10の側面部12bとpinヘッダー30の端子固定部材32との間に配置することによって、シールド蓋20の係合部22bを、pinヘッダー30の上方に、pinヘッダー30の端子固定部材32から所定の距離を隔てて配置する必要がないので、その分、シールド蓋20を下側(シールド筐体10側)に配置することができる。これにより、シールドケース3(シールド筐体10)の厚み(高さ)を小さくすることができるので、シールドケース3を小型化することができる。この場合、シールド蓋20の係合部22bを無くす必要がないので、シールドケース3のシールド性が低下するのを抑制することができる。また、この場合、pinヘッダー30の端子固定部材32の高さを小さくする必要がないので、pinヘッダー30の強度が低下するのを抑制することができる。
【0046】
また、本実施形態では、pinヘッダー30の端子固定部材32に、シールド筐体10の側面部12bに当接する当接部32aと、シールド筐体10の側面部12bから所定の距離を隔てて配置される屈曲部32bとを設けることによって、シールド蓋20の係合部22bを、容易に、シールド筐体10の側面部12bとpinヘッダー30の端子固定部材32との間に配置することができるので、シールド蓋20を、容易に、下側(シールド筐体10側)に配置することができる。
【0047】
また、本実施形態では、pinヘッダー30の屈曲部32bを、2つの当接部32aの間に配置することによって、屈曲部32bを、pinヘッダー30の端子固定部材32の中央部に配置することができるので、シールド蓋20の係合部22bを、pinヘッダー30の端子固定部材32の中央部近傍に配置することができる。これにより、pinヘッダー30の中央部近傍において、シールドケース3のシールド性が低下するのを抑制することができるので、pinヘッダー30の端子固定部材32が細長形状に形成されている場合にも、シールドケース3のシールド性が低下するのを、効果的に抑制することができる。また、pinヘッダー30の複数の端子31aおよび31bを、屈曲部32bには設けず、複数の端子31aを、一方の当接部32aに設けるとともに、複数の端子31bを、他方の当接部32aに設けている。これにより、複数の端子31aと複数の端子31bとを、B方向に所定の間隔を隔てて配置し、複数の端子31aを、回路基板2aに固定してデジタル信号を流すとともに、複数の端子31bを、回路基板2bに固定してアナログ信号を流すことができる。すなわち、複数の端子31aと複数の端子31bとを、機能毎に分離して配置することができる。
【0048】
また、本実施形態では、pinヘッダー30の端子固定部材32の両端部、および、端子固定部材32の屈曲部32bの両端部近傍に、シールド筐体10の開口部12cに挿入される挿入部32cを形成することによって、pinヘッダー30の端子固定部材32の両端部のみならず、端子固定部材32の中央部近傍においても、pinヘッダー30の挿入部32cをシールド筐体10の開口部12cに挿入することができる。これにより、pinヘッダー30(端子固定部材32)が中央部で上下方向に撓むのを抑制することができる。すなわち、pinヘッダー30の端子固定部材32の両端部のみにおいてpinヘッダー30の挿入部32cをシールド筐体10の開口部12cに挿入する場合に比べて、pinヘッダー30の強度を向上させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、pinヘッダー30を、2つの係合部22aの間に配置することによって、pinヘッダー30(端子固定部材32)が、2つの係合部22aに当接するのを抑制することができるので、シールド蓋20を、より容易に、下側(シールド筐体10側)に配置することができる。また、pinヘッダー30を、2つの係合部22aの間に配置することによって、pinヘッダー30の両端部周辺において、シールド蓋20の係合部22a(22)を無くす必要がないので、シールドケース3のシールド性が低下するのをより抑制することができる。
【0050】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0051】
たとえば、上記実施形態では、本発明の高周波ユニットを、地上波放送や衛星放送などを受信する放送受信用のチューナ(高周波受信装置)に適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、地上波放送や衛星放送以外の電波などを受信する高周波ユニットに適用してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、シールド筐体10の側面部12bとpinヘッダー30の端子固定部材32との間に配置される係合部22bを、シールド蓋20に1つだけ設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、シールド筐体10の側面部12bとpinヘッダー30の端子固定部材32との間に配置される係合部22bを、シールド蓋20に複数設けてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、pinヘッダー30の屈曲部32bを、1つだけ設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、屈曲部32bを、複数設けてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、pinヘッダー30の屈曲部32bを、2つの当接部32aの間に配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、当接部32aを、2つの屈曲部32bの間に配置してもよいし、当接部32aと屈曲部32bとを1つずつ設けてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、pinヘッダー30の挿入部32cを、端子固定部材32の両端部、および、屈曲部32bの両端部近傍に設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、pinヘッダー30の挿入部32cを、端子固定部材32の両端部のみに設けてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、pinヘッダー30を1つだけ設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、pinヘッダー30を2つ以上設けてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、シールド筐体10の上部のみに、シールド蓋20を取り付けた例について示したが、本発明はこれに限らず、シールド筐体10の上部および下部に、それぞれ、シールド蓋20を取り付けてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、シールド蓋20をシールド筐体10の仕切り板13bに接触させることにより、シールド蓋20をアースとして用いた例について示したが、本発明はこれに限らず、シールド蓋20を、シールド筐体10の側面部12などに接触させたり、回路基板2aおよび2bに接触させることにより、シールド蓋20をアースとして用いてもよい。また、シールド蓋20をアースとして用いなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態によるシールドケースを備えた高周波ユニットの構造を示した斜視図である。
【図2】図1に示した本発明の一実施形態によるシールドケースを備えた高周波ユニットの構造を示した分解斜視図である。
【図3】図1に示した本発明の一実施形態によるシールドケースを備えた高周波ユニットの構造を示した分解斜視図である。
【図4】図1に示した本発明の一実施形態によるシールドケースのシールド蓋およびpinヘッダーをシールド筐体に取り付けた状態を示した断面図である。
【図5】図1に示した本発明の一実施形態によるシールドケースのシールド蓋をシールド筐体に取り付けた状態を示した断面図である。
【図6】図1に示した本発明の一実施形態によるシールドケースのシールド蓋の接触部の構造を示した斜視図である。
【図7】図1に示した本発明の一実施形態によるシールドケースのpinヘッダーの構造を示した斜視図である。
【図8】図1に示した本発明の一実施形態によるシールドケースのpinヘッダーの構造を示した斜視図である。
【図9】従来の一例による高周波ユニットの構造を示した斜視図である。
【図10】図9に示した従来の一例による高周波ユニットの構造を示した分解斜視図である。
【図11】図9に示した従来の一例による高周波ユニットのシールド蓋およびpinヘッダーをシールド筐体に取り付けた状態を示した断面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 高周波ユニット
2a、2b 回路基板(基板)
3 シールドケース
10 シールド筐体
12 側面部
12a 凸部(第1係合部)
12b 側面部(複数の側面部のうちの少なくとも1つ)
12c 開口部
20 シールド蓋
22 係合部(第2係合部)
22a 係合部(両端に位置する2つの第2係合部)
22b 係合部(複数の第2係合部のうちの少なくとも1つ)
30 pinヘッダー(コネクタ部材)
31a、31b 端子
32 端子固定部材
32a 当接部
32b 屈曲部
32c 挿入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が内部に配置され、第1係合部が設けられた複数の側面部を含むシールド筐体と、
前記シールド筐体の複数の側面部の第1係合部に係合する複数の第2係合部を含み、前記シールド筐体に取り付けられるシールド蓋と、
前記シールド筐体の複数の側面部のうちの少なくとも1つに取り付けられ、複数の端子、および、前記複数の端子を固定する端子固定部材を含むコネクタ部材とを備え、
前記シールド蓋の複数の第2係合部のうちの少なくとも1つは、前記シールド筐体の側面部と前記コネクタ部材の端子固定部材との間に配置されていることを特徴とするシールドケース。
【請求項2】
前記コネクタ部材の端子固定部材は、前記シールド筐体の側面部に当接する当接部と、前記シールド筐体の側面部から所定の距離を隔てて配置される屈曲部とを含み、
前記シールド蓋の複数の第2係合部のうちの少なくとも1つは、前記シールド筐体の側面部と前記コネクタ部材の屈曲部との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシールドケース。
【請求項3】
前記コネクタ部材の当接部は、複数からなり、
前記コネクタ部材の屈曲部は、複数の前記当接部の間に配置され、
前記コネクタ部材の複数の端子は、前記屈曲部には設けられておらず、前記複数の当接部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシールドケース。
【請求項4】
前記シールド筐体の複数の側面部のうちの前記コネクタ部材が取り付けられる側面部には、開口部が形成されており、
前記コネクタ部材の端子固定部材の両端部、および、前記端子固定部材の屈曲部の両端部近傍には、前記シールド筐体の開口部に挿入される挿入部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のシールドケース。
【請求項5】
前記コネクタ部材が取り付けられる前記側面部の第1係合部に係合される前記シールド蓋の第2係合部のうち、両端に位置する2つの前記第2係合部の間に、前記コネクタ部材が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシールドケース。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のシールドケースと、
前記シールドケースのシールド筐体の内部に配置される基板とを備えることを特徴とする高周波ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−141245(P2009−141245A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318079(P2007−318079)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】