説明

シールドマシンの構造

【課題】地上部及び半地下から発進する場合にも土圧安定液の液面を一定に保持できるシールドマシンを提供する。
【解決手段】外殻1の前面にカッターヘッド2を備え、カッターヘッド2の後方に隔壁3を備えたシールドマシンの構造である。隔壁3のカッターヘッド2側に設けた回転翼4と、回転翼4に回転を与える、シールドマシンの中心軸に平行な回転軸42と、回転軸42にカッターヘッド2の回転方向と反対の方向への回転を与えことができる動力源とで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドマシンの構造に関するものであり、特に地上部および半地下から発進するシールドマシンの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土圧式シールドマシンでは、カッター面の裏に隔壁を備え、切羽と隔壁の間のカッターチャンバーに切削した土砂と土圧安定液との混練されたものを充満させて掘進を行う。
その際にカッターチャンバー内の土砂の圧力と切羽土圧をバランスさせて切羽の安定を図りながら、掘進量に見合う土砂をスクリューコンベアなどで排出して前進する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−46058号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
地中から発進するシールドマシンにおいては、掘削した土砂と土圧安定液との混練されたものは隔壁と切羽面との間のカッターチャンバー内に充満させておくことができる。
しかし一部が地下の状態から発進する場合には、シールドマシンの上部は地上に露出しているので、カッター面の上部には対象となる切羽が存在しない。
そのためにカッター面板やスポークの回転によって土砂と土圧安定液との混練されたものの液面の高さが一定でなく違いが生じてしまい、切羽の土圧を一定に保つことが困難となって切羽が崩壊する危険性がある。
そのような問題を解決するために揺動式のカッターを使用すれば液面を安定させることができる。
しかし、そのような構造ではカッターが同じ場所を往復するために、土圧安定液と土砂の攪拌を十分に行うことができず、土砂を塑性流動化して切羽の安定を図ることが困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記のような課題を解決するために、本発明のシールドマシンの構造は、前面にカッターヘッドを備え、カッターヘッドの後方に隔壁を備えたシールドマシンであって、隔壁のカッターヘッド側に設けた回転翼と、回転翼に回転を与える、シールドマシンの中心軸に平行な回転軸と、回転軸にカッターヘッドの回転方向と反対の方向への回転を与えることができる動力源とで構成したことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のシールドマシンの構造は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<1>上部が地表面から露出した位置における掘進時にも、液面高さが一定になって切羽に対して一定の土圧を与えることができるので、切羽の崩壊を防止することができる。
<2>カッターチャンバー内で回転翼をカッターヘッドと反対方向に向けて回転するので、カッターチャンバー内の土砂と土圧安定液を効率よく混合することができ、安定した掘進を行うことが可能となる。
<3>土圧安定液と掘削土砂の攪拌のために通常隔壁に配置してある固定翼の数を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のシールドマシンの構造の実施例の分解説明図。
【図2】その断面図。
【図3】作動状態の説明図。
【図4】他の実施例の作動状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照にしながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0009】
<1>全体の構成。
本発明のシールドマシンは、外殻1の前面にカッターヘッド2を備え、カッターヘッド2の後方に隔壁3を備えたシールドマシンに関するものである。
外殻1の形状は円筒形、角筒形のいずれでも採用することができる。
また、図の実施例ではカッターヘッド2がスポーク21型のシールドマシンについて説明するが、面板型のシールドマシンについても採用することができる。
【0010】
<2>回転翼。
カッターヘッド2と隔壁3との間には間隔がある。
この間隔内に回転翼4を位置させる。
回転翼4は回転軸42の周囲に複数枚の羽板41を放射状に配置して構成する。
この回転翼4の外径は、カッターヘッド2の外径よりも小さい。
羽板41面の隔壁3面に対する角度は、土砂や土質、施工条件により変化させることができる。
この回転翼4は、隔壁3の一か所、あるいは複数個所に配置する。
【0011】
<3>回転軸。
回転翼4は複数枚の羽板41を放射状に配置して構成するが、その羽板41群の中心には回転軸42を位置させる。
この回転軸42は、シールドマシンの中心軸に平行に配置した軸である。
この軸42の回転によって、複数枚の羽板41群に、回転軸42を中心とした回転を与える。また、この回転軸42は、羽板41群の中心より偏心した位置にあってもよい。
【0012】
<4>回転駆動源。
隔壁3の裏面、すなわち坑口側には回転駆動源43を配置する。
この駆動源43が回転軸42に回転を与える。
この駆動源43は、回転軸42に対してカッターヘッド2の回転方向と反対の方向への回転を与えことができる動力源である。
さらにこの駆動源43の回転速度は、土圧安定液の液面の変化に応じて変更が可能である。
【0013】
<5>他の実施例。(図4)
回転翼4の回転を、独自の駆動源43に求めず、カッターヘッド2のスポーク21の中心のセンターシャフト22から、ギヤ23を介して得ることもできる。
その場合にセンターシャフト22の回転をギヤ23を介して直接回転翼4に伝達すれば、両者の回転方向は逆方向となる。
また、減速機や歯車などのギアを介した構成により回転速度、トルクの変化を与える構造を採用することもできる。
【0014】
<6>作動。
本発明のシールドマシンは、前記したように一部が地上に露出している場合に有効である。
従来のシールドマシンと同様に、後方のセグメント群に反力を取ってジャッキを伸長してシールドマシンを前進させる。
その際に土圧安定液をカッターヘッド2の中心軸の周囲から切羽側へ吐出する。
同時に回転翼4に、カッターヘッド2の回転方向と反対方向に向けて回転を与える。
するとカッターの回転によって移動する土砂と土圧安定液との混練したものを、カッターチャンバー内で反対方向に移動させることができ、その結果液面を一定に保つことができる。
回転翼4の回転速度は、カッターチャンバーへ取り込んだ土砂面の傾斜の状況を見ながら調整することができる。
カッターチャンバー内で土圧安定液と混練した土砂は排泥部31から外殻1内へ取り込み、坑外へ搬出する。
【符号の説明】
【0015】
1:外殻
2:カッターヘッド
3:隔壁
4:回転翼
41:羽板
42:回転軸
43:行動源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外殻の前面にカッターヘッドを備え、カッターヘッドの後方に隔壁を備えたシールドマシンであって、
隔壁のカッターヘッド側に設けた回転翼と、
回転翼に回転を与える、シールドマシンの中心軸に平行な回転軸と、
回転軸にカッターヘッドの回転方向と反対の方向への回転を与えることができる駆動源とで構成した、
シールドマシンの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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