シールド導電体
【課題】本発明は電食が抑制されたシールド導電体を提供する。
【解決手段】シールド導電体10は、金属パイプ11と、金属パイプ11とは異種の金属からなる金属素線16を網目状に編んでなると共に、金属パイプ11の端部に外側から被せられて金属パイプ11に電気的に接続された可撓性筒状部材12と、金属パイプ11及び可撓性筒状部材12の内部に挿通された電線13と、を備え、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間には、金属素線16と同種の金属からなるリング18が金属パイプ11に外嵌された状態で配されており、リング18及び金属パイプ11には、リング18の外周面と金属パイプ11の外周面との境界部分を覆う筒状被覆20が配されており、リング18にはリング18の外周面が筒状被覆20から露出した露出部21が形成されており、リング18の外周面は露出部21において金属素線16と接触している。
【解決手段】シールド導電体10は、金属パイプ11と、金属パイプ11とは異種の金属からなる金属素線16を網目状に編んでなると共に、金属パイプ11の端部に外側から被せられて金属パイプ11に電気的に接続された可撓性筒状部材12と、金属パイプ11及び可撓性筒状部材12の内部に挿通された電線13と、を備え、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間には、金属素線16と同種の金属からなるリング18が金属パイプ11に外嵌された状態で配されており、リング18及び金属パイプ11には、リング18の外周面と金属パイプ11の外周面との境界部分を覆う筒状被覆20が配されており、リング18にはリング18の外周面が筒状被覆20から露出した露出部21が形成されており、リング18の外周面は露出部21において金属素線16と接触している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド導電体としては、特許文献1に記載のものが知られている。このシールド導電体は、金属パイプと、金属パイプの端部に接続されると共に、金属素線を網目状に編んだ編組線からなる可撓性筒状部材と、前記金属パイプの内部及び前記可撓性筒状部材の内部に挿通された電線と、を備える。シールド導電体は、例えば電気自動車、ハイブリッド車等の車両に搭載されて、バッテリー、インバータ、モータなどの機器間を接続する。
【0003】
上記の金属パイプ及び可撓性筒状部材によって電線が包囲されることにより、電線から発生する電磁波がシールドされる。また、金属パイプにより、電線に異物が衝突することを抑制できる。また、可撓性筒状部材は容易に屈曲可能なので、車両内においてシールド導電体を容易に配索することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−171952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の可撓性筒状部材には可撓性が求められる。このため、可撓性筒状部材を構成する金属素線としては、例えば比較的に軟らかな銅又は銅合金を用いることが考えられる。
【0006】
一方、金属パイプを構成する金属としては、電線に異物が衝突することを抑制するという観点から、例えば、強度に比較的に優れた鉄、ステンレス等を用いることが考えられる。また、車両においては軽量化が求められるので、軽量化の観点からは、例えば、金属パイプを構成する金属としてアルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが考えられる。
【0007】
このように、可撓性筒状部材を構成する金属と、金属パイプを構成する金属とが、異種の金属から構成される場合がある。このような場合において、可撓性筒状部材と金属パイプとの接続部分に水が付着すると、可撓性筒状部材と金属パイプとの間に電食が発生することが懸念される。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電食が抑制されたシールド導電体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シールド導電体であって、金属パイプと、前記金属パイプとは異種の金属からなる金属素線を網目状に編んだ編組線からなると共に、前記金属パイプの端部に外側から被せられて前記金属パイプに電気的に接続された可撓性筒状部材と、前記金属パイプの内部及び前記可撓性筒状部材の内部に挿通された電線と、を備え、前記金属パイプと前記可撓性筒状部材との間には、前記金属素線と同種の金属からなるリングが前記金属パイプに外嵌されると共に前記リングの内周面が前記金属パイプと接触した状態で配されており、前記リング及び前記金属パイプには、前記リングの外周面と前記金属パイプの外周面との境界部分を覆う筒状被覆が配されており、前記リングには前記リングの外周面が前記筒状被覆から露出した露出部が形成されており、前記リングの外周面は前記露出部において前記金属素線と接触している。
【0010】
本発明によれば、金属パイプと可撓性筒状部材との間にはリングが配されているので、金属パイプと可撓性筒状部材とは直接に接触しない。このため、可撓性筒状部材と金属パイプとが異なる金属からなる場合において、金属パイプと可撓性筒状部材との間における電食を抑制できる。
【0011】
また、可撓性筒状部材を構成する金属素線は、露出部においてリングの外周面と接触している。金属素線は、リングと同種の金属からなるので、金属素線とリングとの双方に跨って水が付着した場合でも、金属素線とリングとの間における電食を抑制することができる。
【0012】
上記の構成によると、金属素線と同種の金属からなるリングの外周面と、金属素線と異種の金属からなる金属パイプの外周面との境界部分に水が付着すると、リングと金属パイプとの間に電食が発生することが懸念される。
【0013】
上記の点に鑑み、本発明においては、リングの外周面と金属パイプの外周面との境界部分は、筒状被覆によって覆われる構成とした。これにより、リングの外周面と金属パイプの外周面との境界部分に水が付着することを抑制できるので、リングと金属パイプとの間における電食を抑制できる。
【0014】
以上のように、本発明によれば、可撓性筒状部材と金属パイプとが異なる金属からなる場合においても、シールド導電体を構成する可撓性筒状部材、リング、及び金属パイプの間における電食を抑制することができる。
【0015】
なお、同種の金属とは、電気化学的な腐食、すなわち電食が生じない、または、生じるとしても特に車両等に使用して実用上問題がない程度である金属の組み合わせをいい、異種の金属とは、電食が実用上問題となる程度に発生する金属の組み合わせをいう。
【0016】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記筒状被覆は、前記金属パイプのうち前記可撓性筒状部材が接続された側の端部まで覆っていることが好ましい。
【0017】
上記の態様によれば、可撓性筒状部材が縮径変形した場合でも、可撓性筒状部材が金属パイプの端部に直接に接触しないようになっている。これにより、金属パイプと可撓性筒状部材との間の電食を確実に抑制できる。
【0018】
前記筒状被覆は、前記リングの一方の端部を覆う第1筒状被覆と、前記リングの他方の端部を覆う第2筒状被覆とからなり、前記露出部は、前記第1筒状被覆と前記第2筒状被覆との間の領域において前記リングの周方向に帯状に形成されていることが好ましい。
【0019】
上記の態様によれば、リングの外周面と可撓性筒状部材とは、リングの周方向に帯状に形成された露出部において接触する。これにより、リングと可撓性筒状部材との接触面積を大きくすることができるので、シールド性能を向上させることができる。
【0020】
前記可撓性筒状部材には、前記露出部に対応する領域においてリング状をなす締め付けバンドが外嵌されており、前記締め付けバンドは、金属製のバンド部材の両端が重ね合わされてリング状に形成されており、前記バンド部材のうち、前記バンド部材が重ね合わされた領域において外側に位置する外側バンド部には前記外側バンド部を貫通する貫通孔が形成されており、前記バンド部材のうち、前記バンド部材が重ね合わされた領域において下側に位置する下側バンド部には前記貫通孔内に挿通されて前記貫通孔の口縁に係止する係止爪が切り起こされており、前記バンド部材には外方に門形状に折り曲げ形成された締め付け耳が形成されており、前記締め付け耳が締め付けられて潰されることにより前記バンド部材が縮径されて前記可撓性筒状部材が前記リングの前記露出部にかしめ付けられていることが好ましい。
【0021】
上記の態様によれば、締め付け耳を潰すことにより、可撓性筒状部材を、リングの露出部に対して容易にかしめ付けることができる。
【0022】
前記締め付け耳は、塑性変形して潰されることにより前記可撓性筒状部材をかしめつける第1締め付け耳と、弾性変形可能に潰された第2締め付け耳とからなることが好ましい。
【0023】
上記の態様によれば、第1締め付け耳を塑性変形させて潰すことにより、可撓性筒状部材がリングに確実にかしめつけられる。一方、第2締め付け耳は弾性変形可能に潰されている。このため、例えば温度変化によって金属パイプ、リング、可撓性筒状部材、及び締め付けバンドが膨張及び収縮を繰り返した場合でも、第2締め付け耳の弾発力によって、締め付けバンドの締め付け力が低下することを抑制できる。
【0024】
前記金属パイプはアルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましい。
【0025】
上記の態様によれば、金属パイプは比較的に比重の小さなアルミニウム又はアルミニウム合金からなるので、シールド導電体を軽量化できる。
【0026】
前記金属素線は銅又は銅合金からなることが好ましい。
【0027】
上記の態様によれば、金属素線は比較的に軟らかい銅又は銅合金からなるので、金属素線を編んで形成された可撓性筒状部材の可撓性を向上させることができる。
【0028】
前記金属素線の表面には素線側めっき層が形成されており、前記リングの外周面には前記素線側めっき層と同種の金属からなるリング側めっき層が形成されていることが好ましい。
【0029】
上記の態様によれば、可撓性筒状部材とリングとの電食を更に抑制できる。
【0030】
前記素線側めっき層及び前記リング側めっき層は錫めっき層であることが好ましい。
【0031】
錫めっき層の表面には酸化膜が形成される。この酸化膜は比較的に軟らかいので、可撓性筒状部材とリングとを接触させることにより容易に剥がれる。すると、可撓性筒状部材を構成する金属素線の錫めっき層と、リングの錫めっき層との新生面が露出し、この新生面同士が接触する。これにより、可撓性筒状部材とリングとの接触抵抗を低減させることができる。
【0032】
リングの厚さ寸法は、例えば2μm以上200μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下、特に好ましくは20μm以上80μm以下である。この範囲よりもリング厚さ寸法が薄くなると、リングが破れやすくなる傾向がある。一方、上記の範囲よりもリング厚さが厚くなると、かしめ付けにくくなる傾向がある。リングの厚さ寸法が10μm以上100μm以下であれば、締め付けバンドによってかしめ付けることが可能であり、且つ、締め付けバンドによるかしめ付け作業時にリングが破れにくいので、好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、可撓性筒状部材と金属パイプとが異なる金属からなる場合において、金属パイプと可撓性筒状部材との間における電食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態1に係るシールド導電体を示す断面図
【図2】図1におけるII−II線断面図
【図3】可撓性筒状部材、リング、及び金属パイプの接続構造を示す要部拡大断面図
【図4】シールド導電体を示す分解側面図
【図5】金属パイプに筒状被覆を取り付けた状態を示す側面図
【図6】係止爪が貫通孔内に挿通される前の状態を示す締め付けバンドの断面図
【図7】可撓性筒状部材に外嵌された締め付けバンドの締め付け耳を潰す前の状態を示す断面図
【図8】シールド導電体を示す側面図
【図9】本発明の実施形態2に係るシールド部材を示す断面図
【図10】本発明の実施形態3に係るシールド導電体を示す分解側面図
【図11】シールド導電体の製造工程を示す要部拡大側面図
【図12】シールド導電体の製造工程を示す要部拡大側面図
【図13】本発明の実施形態4に係るシールド導電体を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図8を参照しつつ説明する。本実施形態に係るシールド導電体10は、金属パイプ11と、この金属パイプ11の端部に電気的に接続された可撓性筒状部材12と、金属パイプ11の内部及び可撓性筒状部材12の内部に挿通された電線13と、を備える。電線13は、金属パイプ11及び可撓性筒状部材12に包囲されることにより、電磁的にシールドされるようになっている。シールド導電体10は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて、バッテリー(図示せず)、インバータ(図示せず)、モータ(図示せず)等の間を接続する。
【0036】
(金属パイプ11)
図2に示すように、金属パイプ11は、断面形状が円形状をなしており、厚さも全周に亘って一定となっている。つまり、金属パイプ11の内周と外周は同心円形をなしている。金属パイプ11の外周面は滑らかな円弧面となっている。
【0037】
金属パイプ11の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、金属パイプ11としてアルミニウム又はアルミニウム合金が使用されている。なお、金属パイプ11の材料が鉄である場合には、金属パイプ11の内周面及び外周面に防錆手段を施してもよい。防錆手段としては、例えば、亜鉛メッキ、塗膜等、必要に応じて任意の手段を用いることができる。
【0038】
(電線13)
図2に示すように、金属パイプ11の内部及び可撓性筒状部材12の内部には、3本の電線13が挿通されている。3本の電線13は、俵積み状に(各電線13の中心を結んだ線が略正三角形をなすように)配置された状態で挿通されている。電線13は、断面形状が円形をなす金属製(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)の芯線14と、芯線14の外周を覆う絶縁被覆15とによって構成される。芯線14としては、棒状の単芯線でもよく、また、複数の金属細線を撚り合せた撚り線でもよい。本実施形態においては、芯線14として、銅又は銅合金製の金属細線を撚り合せた撚り線が用いられている。
【0039】
(可撓性筒状部材12)
図1に示すように、金属パイプ11の端部には、金属パイプ11とは異種の金属からなる金属素線16を網目状に編んだ編組線からなる可撓性筒状部材12が、金属パイプ11の外側から被せられて、金属パイプ11と電気的に接続されている。可撓性筒状部材12は、金属パイプ11の両端部に接続されていてもよく、また、一方の端部にのみ接続されていてもよい。可撓性筒状部材12は、編組線からなるので、湾曲させるような曲げ変形、長さ方向の伸縮変形、径寸法を増減させる変形のいずれもが自在な高い可撓性を有する。
【0040】
可撓性筒状部材12を構成する金属素線16の材料は、金属パイプ11とは異種の金属からなり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、銅又は銅合金が用いられる。また、図3に示すように、金属素線16の表面には素線側めっき層17が形成されている。素線側めっき層17を構成する金属としては、錫、ニッケル、クロム等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、素線側めっき層17は錫めっきからなる。
【0041】
(リング18)
図1に示すように、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間には、金属パイプ11に外嵌された状態で、可撓性筒状部材12と同種の金属からなるリング18が配されている。リング18の断面形状は円形をなしている。リング18の厚さは全周に亘って一定となっている。つまり、リング18の内周と外周は同心円形をなしている。リング18の内周面は滑らかな円弧面となっており、このリング18の内周面は、滑らかな円弧面をなす金属パイプ11の外周面と接触している。リング18は、金属パイプ11の端縁よりも、やや引っ込んだ位置に取り付けられている。これにより、金属パイプ11の端縁において、金属パイプ11の外周面がリング18から露出している。
【0042】
リング18を構成する材料は、可撓性筒状部材12と同種の金属からなり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、銅又は銅合金が用いられる。また、図3に示すように、本実施形態においては、リング18内周面及び外周面には、金属素線16に形成された素線側めっき層17と同種の金属からなるリング側めっき層19が形成されている。リング側めっき層19を構成する金属としては、錫、ニッケル、クロム等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、リング側めっき層19は錫めっきからなる。
【0043】
リング18の厚さ寸法は、例えば2μm以上200μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下、特に好ましくは20μm以上80μm以下である。この範囲よりもリング18の厚さ寸法が薄くなると、リング18が破れやすくなる傾向がある。一方、上記の範囲よりもリングの18厚さ寸法が厚くなると、かしめ付けにくくなる傾向がある。リング18の厚さ寸法が10μm以上100μm以下であれば、後述する締め付けバンド22によってかしめ付けることが可能であり、且つ、締め付けバンド22によるかしめ付け作業時にリング18が破れにくいので、好ましい。
【0044】
なお、上記した同種の金属とは、電気化学的な腐食、すなわち電食が生じない、または、生じるとしても特に車両等に使用して事実上問題がない程度である金属の組み合わせをいい、異種の金属とは、電食が実用上問題となる程度に発生する金属の組み合わせをいう。
【0045】
(筒状被覆20)
図1に示すように、金属パイプ11の外周面と、リング18の外周面との境界部分には、金属パイプ11及びリング18の双方を外側から覆う合成樹脂製の筒状被覆20が配されている。本実施形態においては、筒状被覆20は熱収縮チューブからなる。この筒状被覆20は、リング18の端縁と、リング18の端縁から露出する金属パイプ11とに跨って配されている。筒状被覆20は、リング18の端縁における外周面と、リング18の端面と、金属パイプ11の外周面とに密着している。これにより、リング18の端縁における外周面、リング18の端面、及び金属パイプ11の外周面へ水が付着することが、抑制されるようになっている。
【0046】
筒状被覆20は、金属パイプ11の端部側に配された第1筒状被覆20Aと、金属パイプ11の端部と反対側の位置に配された第2筒状被覆20Bとからなる。第1筒状被覆20Aは、リング18の端縁から露出した金属パイプ11の端部まで覆うようになっている。
【0047】
第1筒状被覆20Aと、第2筒状被覆20Bとは、金属パイプ11の長手方向について間隔を空けて配されている。これにより、第1筒状被覆20Aと、第2筒状被覆20Bとの間には、リング18の外表面が露出する露出部21が形成されている。この露出部21は、リング18の周方向について帯状に延びて形成されている。この露出部21を外側から覆うようにして可撓性筒状部材12の端部が被せられており、金属素線16がリング18の外表面と接触している。
【0048】
なお、図中、金属パイプ11の厚さ寸法、リング18の厚さ寸法、金属素線16の径寸法、筒状被覆20の厚さ寸法、素線側めっき層17の厚さ寸法、及びリング側めっき層19の厚さ寸法は、理解のしやすさのために誇張して記載してある。
【0049】
(締め付けバンド22)
露出部21の外側に被せられた可撓性筒状部材12の外周であって、露出に対応する領域には、金属製の締め付けバンド22が外嵌されている。この締め付けバンド22によってかしめ付けられることにより、可撓性筒状部材12の金属素線16が、露出部21から露出したリング18の外表面に固着されると共に、リング18の内周面が金属パイプ11の外周面に固着されるようになっている。
【0050】
締め付けバンド22は、帯状の金属板材からなるバンド部材23の両端を重ね合わせてリング状に形成してなる。バンド部材23のうち、バンド部材23が重ね合わされた領域において、径方向外側に位置する外側バンド部24には、この外側バンド部24を貫通する貫通孔25が形成されている。また、バンド部材23のうち、バンド部材23が重ね合わされた領域において、径方向内側に位置する内側バンド部26には、径方向外方に切り起こされた係止爪27が形成されている。この係止爪27が外側バンド部24の貫通孔25内に挿通されて、貫通孔25の孔縁に係止することにより、締め付けバンド22がリング状に保持されるようになっている。
【0051】
バンド部材23には、外方に門形状に折り曲げ形成された締め付け耳28が形成されている。この締め付け耳28を公知の治具によって締め付けて潰すことにより、バンド部材23が縮径されるようになっている。バンド部材23が縮径変形することにより、締め付けバンド22の内周側に位置する可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が固着されるようになっている。
【0052】
本実施形態においては、バンド部材23に2つの締め付け耳28が形成されている。2つの締め付け耳28は、バンド部材23の概ね直径位置に形成されている。
【0053】
なお、金属パイプ11の他の端部における構造は、上記した構造と同じであるので、説明及び図示は省略する。
【0054】
(製造工程)
続いて、本実施形態に係るシールド導電体10の製造工程の一例を説明する。なお、製造工程については、以下に説明する製造工程に限定されない。まず、図4に示すように、金属パイプ11、第1筒状被覆20A、リング18、第2筒状被覆20B、締め付けバンド22、及び可撓性筒状部材12の内部に電線13を挿通させる。
【0055】
次いで、金属パイプ11の外周面にリング18を外嵌する。続いて、リング18の両端部にそれぞれ、第1筒状被覆20A、及び第2筒状被覆20Bを被せる。その後、第1筒状被覆20A及び第2筒状被覆20Bを加熱することにより、収縮させる。これにより、第1筒状被覆20A及び第2筒状被覆20Bが金属パイプ11の外周面及びリング18の外周面に密着する(図5参照)。
【0056】
続いて、可撓性筒状部材12を金属パイプ11の端部に外側から被せ、リング18の露出部21を覆う。可撓性筒状部材12の外側から、露出部21に対応する領域に、締め付けバンド22を外嵌する。まず、締め付けバンド22は、図6に示すように、バンド部材23の両端部が離間した状態にしておく。これにより、可撓性筒状部材12の外側に締め付けバンド22を外嵌する際の作業性を向上させることができる。次いで、バンド部材23を可撓性筒状部材12の外周に配した後、バンド部材23の両端部を重ね合わせ、内側バンド部26の係止爪27を外側バンド部24の貫通孔25内に挿通させる。すると、図7に示すように、係止爪27が貫通孔25の孔縁に係止することにより、バンド部材23がリング状に保持される。
【0057】
続いて、締め付け耳28部を公知の治具によって潰すことによりバンド部材23が縮径されて、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が締め付けバンド22によって固着される(図2参照)。この状態において、金属パイプ11の外周面はリング18の内周面と接触し、リング18の外周面は可撓性筒状部材12の金属素線16と接触している。これにより、金属パイプ11と可撓性筒状部材12とは電気的に接続される。
【0058】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間にはリング18が配されているので、金属パイプ11と可撓性筒状部材12とは直接に接触しない。このため、可撓性筒状部材12と金属パイプ11とが異なる金属からなる場合において、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間における電食を抑制できる。
【0059】
また、可撓性筒状部材12を構成する金属素線16は、露出部21においてリング18の外周面と接触している。この金属素線16は、リング18と同種の金属からなるので、金属素線16とリング18との双方に跨って水が付着した場合でも、金属素線16とリング18との間における電食を抑制することができる。
【0060】
上記の構成によると、金属素線16と同種の金属からなるリング18の外周面と、金属素線16と異種の金属からなる金属パイプ11の外周面との境界部分に水が付着すると、リング18と金属パイプ11との間に電食が発生することが懸念される。
【0061】
上記の点に鑑み、本実施形態においては、リング18の外周面と金属パイプ11の外周面との境界部分は、筒状被覆20によって覆われる構成とした。これにより、リング18の外周面と金属パイプ11の外周面との境界部分に水が付着することを抑制できるので、リング18と金属パイプ11との間における電食を抑制できる。
【0062】
以上のように、本発明によれば、可撓性筒状部材12と金属パイプ11とが異なる金属からなる場合においても、シールド導電体10を構成する可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11の間における電食を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、筒状被覆20は、金属パイプ11のうち可撓性筒状部材12が接続された側の端部まで覆っている。これにより、可撓性筒状部材12が縮径変形した場合でも、可撓性筒状部材12が金属パイプ11の端部に直接に接触しないようになっている。これにより、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間の電食を確実に抑制できる。
【0064】
また、本実施形態によれば、筒状被覆20は、リング18の一方の端部を覆う第1筒状被覆20Aと、リング18の他方の端部を覆う第2筒状被覆20Bとからなり、露出部21は、第1筒状被覆20Aと第2筒状被覆20Bとの間の領域においてリング18の周方向に帯状に形成されている。これにより、リング18の外周面と可撓性筒状部材12とは、リング18の周方向に帯状に形成された露出部21において接触する。この結果、リング18と可撓性筒状部材12との接触面積を大きくすることができるので、シールド性能を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、締め付けバンド22の締め付け耳28を潰すことにより、可撓性筒状部材12を、リング18の露出部21に対して容易にかしめ付けることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、金属パイプ11は比較的に比重の小さなアルミニウム又はアルミニウム合金からなるので、シールド導電体10を軽量化できる。
【0067】
また、本実施形態によれば、金属素線16は比較的に軟らかい銅又は銅合金からなるので、金属素線16を編んで形成された可撓性筒状部材12の可撓性を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、金属素線16の表面には素線側めっき層17が形成されており、リング18の外周面には素線側めっき層17と同種の金属からなるリング側めっき層19が形成されている。これにより、可撓性筒状部材12とリング18との電食を確実に抑制できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、素線側めっき層17及びリング側めっき層19は錫めっき層である。この錫めっき層の表面には酸化膜が形成される。この酸化膜は比較的に軟らかいので、可撓性筒状部材12とリング18とを接触させることにより容易に剥がれる。すると、可撓性筒状部材12を構成する金属素線16の錫めっき層と、リング18の錫めっき層との新生面が露出し、この新生面同士が接触する。これにより、可撓性筒状部材12とリング18との接触抵抗を低減させることができる。
【0070】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図9を参照しつつ説明する。本実施形態においては、バンド部材23には、外側バンド部24に近い位置(図9における上側の位置)に形成された第1締め付け耳28Aと、下側バンド部に近い位置(図9における下側の位置)に形成された第2締め付け耳28Bと、が形成されている。
【0071】
第1締め付け耳28Aは、治具によって潰されることにより、塑性変形される。これにより、締め付けバンド22によって可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が固着される。
【0072】
一方、第2締め付け耳28Bは、治具によって、弾性変形可能な程度に潰される。この結果、第2締め付け耳28Bは、可撓性筒状部材12の外周に外嵌された状態で、弾性変形可能になっている。
【0073】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。まず、本実施形態においては、第1締め付け耳28Aは、塑性変形されているので、締め付けバンド22によって可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が確実に固着される。
【0075】
更に、本実施形態によれば、シールド導電体10の配設された領域の環境温度が変化しても、締め付けバンド22の締め付け力が低下することを抑制できるという効果を奏する。この効果について以下に説明する。
【0076】
まず、シールド導電体10の配設された領域の環境温度が上昇すると、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が膨張する。すると、これらに外嵌された締め付けリング18も膨張する。
【0077】
続いて、シールド導電体10の配設された領域の環境温度が下降すると、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11は収縮する。また、これらに外嵌された締め付けリング18も収縮する。しかしながら、温度変化に伴う膨張率は金属材料によって異なるため、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が収縮した状態において、締め付けリング18が可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11と同じ程度に収縮しなかった場合、締め付けリング18が緩んでしまうことが懸念される。
【0078】
上記の点に鑑み、本実施形態においては、第2締め付け耳28Bを弾性変形可能に潰す構成とした、これにより、環境温度の変化に伴って、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が膨張、収縮した場合でも、第2締め付け耳28Bの弾発力により、締め付けリング18の締め付け力が低下することを抑制できる。
【0079】
<実施形態3>
続いて、実施形態3について、図10ないし図12を参照しつつ説明する。本実施形態においては、筒状被覆20Cの内面には接着剤が塗布されることにより接着剤層(図示せず)が形成されている。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
続いて、本実施形態に係るシールド導電体10の製造工程の一例を示す。図10に示すように、筒状被覆20Cには、周方向に沿って間隔を空けて2つのミシン目41が並んで形成されている。このミシン目41に沿って筒状被覆20Cを帯状に切断可能になっている。
【0081】
金属パイプ11にリング18を外嵌する。このリング18の外周面には、筒状被覆20Cの内面に形成された接着剤層と接着されないようにするためのマスキング部40が形成されている。マスキング部40は、公知のマスキングテープを貼付することにより形成してもよい。マスキング部40の、リング40の軸方向についての幅寸法は、2つのミシン目41の間隔と同じか、又は狭く形成されている。
【0082】
続いて、筒状被覆20Cを、リング18を径方向外方から覆うようにして、金属パイプ11に外嵌する。このとき、筒状被覆20Cのうち、2つのミシン目41,41に挟まれた領域が、リング18に形成されたマスキング部40に整合するようにして筒状被覆20Cを配する。その後、筒状被覆20Cを加熱することにより収縮させる。これにより、筒状被覆20Cの内面が、金属パイプ11の外周面及びリング18の外周面と密着する。このとき、リング18のうち、マスキング部40が形成された領域においては、接着剤層はリング18の外周面と接着されないようになっている。
【0083】
続いて、筒状被覆20Cのミシン目41,41に沿って筒状被覆20Cを帯状に切断する。すると、筒状被覆20Cは、第1筒状被覆20Aと、第2筒状被覆20Bとに分断される。
【0084】
また、第1筒状被覆20Aと第2筒状被覆20Bとの間からは、リング18の外周面に形成されたマスキング部40が露出する。マスキング部40の、リング部18の軸方向についての幅寸法は、筒状被覆20Cに形成された2つのミシン目41,41の間隔と同じか、又は小さく設定されているので、2つのミシン目41,41に挟まれた領域を切断することにより、マスキング部40を完全に露出させることができるようになっている。
【0085】
続いて、マスキング部40をリング18の外周面から剥離する。すると、リング18の外周面が露出する露出部21が形成される。以降の製造工程は実施形態1と同様なので、重複する説明を省略する。
【0086】
本実施形態によれば、内面に接着剤層が形成された筒状被覆20Cを用いることにより、筒状被覆20Cとリング18との密着性を向上させることができる。
【0087】
また、リング18の外周面にマスキング部40が形成されていることにより、露出部21を形成するために筒状被覆20Cを容易に切断することができる。
【0088】
本実施形態においては、筒状被覆20Cにミシン目41が形成される構成としたが、ミシン目41は省略してもよい。
【0089】
<実施形態4>
続いて、本発明の実施形態4について、図13を参照しつつ説明する。本実施形態においては、バンド部材23には、締め付け耳28Aと直径位置に、バネ部50が形成されている。バネ部50は、バンド部材23を複数回折り曲げ形成することにより屈曲状に形成されてなる。この構成により、バネ部50は弾性変形可能になっている。
【0090】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
本実施形態によれば、バネ部50の弾発力により、環境温度の変化に伴って、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が膨張、収縮した場合でも、締め付けリング18の締め付け力が低下することを抑制できる。
【0092】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、筒状被覆20として熱収縮チューブを用いたが、これに限られず、粘着テープ、自己融着テープ等、必要に応じて任意のテープを巻回することにより筒状被覆20を形成してもよい。
(2)本実施形態では、露出部21はリング18の周方向に沿って帯状に形成される構成としたが、これに限られず、複数の露出部21が筒状被覆20において離散的に開口する構成としてもよく、また、1つの露出部21が筒状被覆20において開口する構成としてもよく、必要に応じて任意の形状とすることができる。
(3)本実施形態においては、金属素線16及びリング18には素線側めっき層17及びリング側めっき層19として錫めっき層が形成される構成としたが、これに限られず、素線側めっき層17及びリング側めっき層19としては、ニッケルめっき、半田めっき等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。また、素線側めっき層17及びリング側めっき層19は必要に応じて省略してもよい。
(4)本実施形態においては、締め付けバンド22によって可撓性筒状部材12がリング18にかしめられる構成としたが、これに限られず、可撓性筒状部材12は公知のかしめリングによりリング18にかしめられる構成としてもよい。
(5)本実施形態においては、締め付けバンド22には第1締め付け耳28A及び第2締め付け耳28Bが形成される構成としたが、これに限られず、締め付けバンド22の締め付け耳28は1つでもよい。また、3つ以上の複数でもよい。
(6)本実施形態においては、金属パイプ11の断面形状は円形状としたが、これに限られず、三角形状、四角形状等の多角形状でもよく、また、長円形状、楕円形状でもよく、必要に応じて任意の形状としうる。
(7)本実施形態においては、金属パイプ11の内部及び可撓性筒状部材12の内部に挿通される電線13は3本であったが、これに限られず、1本、2本又は4本以上であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10…シールド導電体
11…金属パイプ
12…可撓性筒状部材
13…電線
16…金属素線
17…素線側めっき層
18…リング
19…リング側めっき層
20…筒状被覆
20A…第1筒状被覆
20B…第2筒状被覆
21…露出部
22…締め付けバンド
23…バンド部材
24…外側バンド部
25…貫通孔
26…内側バンド部
27…係止爪
28…締め付け耳
28A…第1締め付け耳
28B…第2締め付け耳
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド導電体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シールド導電体としては、特許文献1に記載のものが知られている。このシールド導電体は、金属パイプと、金属パイプの端部に接続されると共に、金属素線を網目状に編んだ編組線からなる可撓性筒状部材と、前記金属パイプの内部及び前記可撓性筒状部材の内部に挿通された電線と、を備える。シールド導電体は、例えば電気自動車、ハイブリッド車等の車両に搭載されて、バッテリー、インバータ、モータなどの機器間を接続する。
【0003】
上記の金属パイプ及び可撓性筒状部材によって電線が包囲されることにより、電線から発生する電磁波がシールドされる。また、金属パイプにより、電線に異物が衝突することを抑制できる。また、可撓性筒状部材は容易に屈曲可能なので、車両内においてシールド導電体を容易に配索することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−171952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の可撓性筒状部材には可撓性が求められる。このため、可撓性筒状部材を構成する金属素線としては、例えば比較的に軟らかな銅又は銅合金を用いることが考えられる。
【0006】
一方、金属パイプを構成する金属としては、電線に異物が衝突することを抑制するという観点から、例えば、強度に比較的に優れた鉄、ステンレス等を用いることが考えられる。また、車両においては軽量化が求められるので、軽量化の観点からは、例えば、金属パイプを構成する金属としてアルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが考えられる。
【0007】
このように、可撓性筒状部材を構成する金属と、金属パイプを構成する金属とが、異種の金属から構成される場合がある。このような場合において、可撓性筒状部材と金属パイプとの接続部分に水が付着すると、可撓性筒状部材と金属パイプとの間に電食が発生することが懸念される。
【0008】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電食が抑制されたシールド導電体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シールド導電体であって、金属パイプと、前記金属パイプとは異種の金属からなる金属素線を網目状に編んだ編組線からなると共に、前記金属パイプの端部に外側から被せられて前記金属パイプに電気的に接続された可撓性筒状部材と、前記金属パイプの内部及び前記可撓性筒状部材の内部に挿通された電線と、を備え、前記金属パイプと前記可撓性筒状部材との間には、前記金属素線と同種の金属からなるリングが前記金属パイプに外嵌されると共に前記リングの内周面が前記金属パイプと接触した状態で配されており、前記リング及び前記金属パイプには、前記リングの外周面と前記金属パイプの外周面との境界部分を覆う筒状被覆が配されており、前記リングには前記リングの外周面が前記筒状被覆から露出した露出部が形成されており、前記リングの外周面は前記露出部において前記金属素線と接触している。
【0010】
本発明によれば、金属パイプと可撓性筒状部材との間にはリングが配されているので、金属パイプと可撓性筒状部材とは直接に接触しない。このため、可撓性筒状部材と金属パイプとが異なる金属からなる場合において、金属パイプと可撓性筒状部材との間における電食を抑制できる。
【0011】
また、可撓性筒状部材を構成する金属素線は、露出部においてリングの外周面と接触している。金属素線は、リングと同種の金属からなるので、金属素線とリングとの双方に跨って水が付着した場合でも、金属素線とリングとの間における電食を抑制することができる。
【0012】
上記の構成によると、金属素線と同種の金属からなるリングの外周面と、金属素線と異種の金属からなる金属パイプの外周面との境界部分に水が付着すると、リングと金属パイプとの間に電食が発生することが懸念される。
【0013】
上記の点に鑑み、本発明においては、リングの外周面と金属パイプの外周面との境界部分は、筒状被覆によって覆われる構成とした。これにより、リングの外周面と金属パイプの外周面との境界部分に水が付着することを抑制できるので、リングと金属パイプとの間における電食を抑制できる。
【0014】
以上のように、本発明によれば、可撓性筒状部材と金属パイプとが異なる金属からなる場合においても、シールド導電体を構成する可撓性筒状部材、リング、及び金属パイプの間における電食を抑制することができる。
【0015】
なお、同種の金属とは、電気化学的な腐食、すなわち電食が生じない、または、生じるとしても特に車両等に使用して実用上問題がない程度である金属の組み合わせをいい、異種の金属とは、電食が実用上問題となる程度に発生する金属の組み合わせをいう。
【0016】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記筒状被覆は、前記金属パイプのうち前記可撓性筒状部材が接続された側の端部まで覆っていることが好ましい。
【0017】
上記の態様によれば、可撓性筒状部材が縮径変形した場合でも、可撓性筒状部材が金属パイプの端部に直接に接触しないようになっている。これにより、金属パイプと可撓性筒状部材との間の電食を確実に抑制できる。
【0018】
前記筒状被覆は、前記リングの一方の端部を覆う第1筒状被覆と、前記リングの他方の端部を覆う第2筒状被覆とからなり、前記露出部は、前記第1筒状被覆と前記第2筒状被覆との間の領域において前記リングの周方向に帯状に形成されていることが好ましい。
【0019】
上記の態様によれば、リングの外周面と可撓性筒状部材とは、リングの周方向に帯状に形成された露出部において接触する。これにより、リングと可撓性筒状部材との接触面積を大きくすることができるので、シールド性能を向上させることができる。
【0020】
前記可撓性筒状部材には、前記露出部に対応する領域においてリング状をなす締め付けバンドが外嵌されており、前記締め付けバンドは、金属製のバンド部材の両端が重ね合わされてリング状に形成されており、前記バンド部材のうち、前記バンド部材が重ね合わされた領域において外側に位置する外側バンド部には前記外側バンド部を貫通する貫通孔が形成されており、前記バンド部材のうち、前記バンド部材が重ね合わされた領域において下側に位置する下側バンド部には前記貫通孔内に挿通されて前記貫通孔の口縁に係止する係止爪が切り起こされており、前記バンド部材には外方に門形状に折り曲げ形成された締め付け耳が形成されており、前記締め付け耳が締め付けられて潰されることにより前記バンド部材が縮径されて前記可撓性筒状部材が前記リングの前記露出部にかしめ付けられていることが好ましい。
【0021】
上記の態様によれば、締め付け耳を潰すことにより、可撓性筒状部材を、リングの露出部に対して容易にかしめ付けることができる。
【0022】
前記締め付け耳は、塑性変形して潰されることにより前記可撓性筒状部材をかしめつける第1締め付け耳と、弾性変形可能に潰された第2締め付け耳とからなることが好ましい。
【0023】
上記の態様によれば、第1締め付け耳を塑性変形させて潰すことにより、可撓性筒状部材がリングに確実にかしめつけられる。一方、第2締め付け耳は弾性変形可能に潰されている。このため、例えば温度変化によって金属パイプ、リング、可撓性筒状部材、及び締め付けバンドが膨張及び収縮を繰り返した場合でも、第2締め付け耳の弾発力によって、締め付けバンドの締め付け力が低下することを抑制できる。
【0024】
前記金属パイプはアルミニウム又はアルミニウム合金からなることが好ましい。
【0025】
上記の態様によれば、金属パイプは比較的に比重の小さなアルミニウム又はアルミニウム合金からなるので、シールド導電体を軽量化できる。
【0026】
前記金属素線は銅又は銅合金からなることが好ましい。
【0027】
上記の態様によれば、金属素線は比較的に軟らかい銅又は銅合金からなるので、金属素線を編んで形成された可撓性筒状部材の可撓性を向上させることができる。
【0028】
前記金属素線の表面には素線側めっき層が形成されており、前記リングの外周面には前記素線側めっき層と同種の金属からなるリング側めっき層が形成されていることが好ましい。
【0029】
上記の態様によれば、可撓性筒状部材とリングとの電食を更に抑制できる。
【0030】
前記素線側めっき層及び前記リング側めっき層は錫めっき層であることが好ましい。
【0031】
錫めっき層の表面には酸化膜が形成される。この酸化膜は比較的に軟らかいので、可撓性筒状部材とリングとを接触させることにより容易に剥がれる。すると、可撓性筒状部材を構成する金属素線の錫めっき層と、リングの錫めっき層との新生面が露出し、この新生面同士が接触する。これにより、可撓性筒状部材とリングとの接触抵抗を低減させることができる。
【0032】
リングの厚さ寸法は、例えば2μm以上200μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下、特に好ましくは20μm以上80μm以下である。この範囲よりもリング厚さ寸法が薄くなると、リングが破れやすくなる傾向がある。一方、上記の範囲よりもリング厚さが厚くなると、かしめ付けにくくなる傾向がある。リングの厚さ寸法が10μm以上100μm以下であれば、締め付けバンドによってかしめ付けることが可能であり、且つ、締め付けバンドによるかしめ付け作業時にリングが破れにくいので、好ましい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、可撓性筒状部材と金属パイプとが異なる金属からなる場合において、金属パイプと可撓性筒状部材との間における電食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態1に係るシールド導電体を示す断面図
【図2】図1におけるII−II線断面図
【図3】可撓性筒状部材、リング、及び金属パイプの接続構造を示す要部拡大断面図
【図4】シールド導電体を示す分解側面図
【図5】金属パイプに筒状被覆を取り付けた状態を示す側面図
【図6】係止爪が貫通孔内に挿通される前の状態を示す締め付けバンドの断面図
【図7】可撓性筒状部材に外嵌された締め付けバンドの締め付け耳を潰す前の状態を示す断面図
【図8】シールド導電体を示す側面図
【図9】本発明の実施形態2に係るシールド部材を示す断面図
【図10】本発明の実施形態3に係るシールド導電体を示す分解側面図
【図11】シールド導電体の製造工程を示す要部拡大側面図
【図12】シールド導電体の製造工程を示す要部拡大側面図
【図13】本発明の実施形態4に係るシールド導電体を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図8を参照しつつ説明する。本実施形態に係るシールド導電体10は、金属パイプ11と、この金属パイプ11の端部に電気的に接続された可撓性筒状部材12と、金属パイプ11の内部及び可撓性筒状部材12の内部に挿通された電線13と、を備える。電線13は、金属パイプ11及び可撓性筒状部材12に包囲されることにより、電磁的にシールドされるようになっている。シールド導電体10は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車等の車両(図示せず)に搭載されて、バッテリー(図示せず)、インバータ(図示せず)、モータ(図示せず)等の間を接続する。
【0036】
(金属パイプ11)
図2に示すように、金属パイプ11は、断面形状が円形状をなしており、厚さも全周に亘って一定となっている。つまり、金属パイプ11の内周と外周は同心円形をなしている。金属パイプ11の外周面は滑らかな円弧面となっている。
【0037】
金属パイプ11の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、金属パイプ11としてアルミニウム又はアルミニウム合金が使用されている。なお、金属パイプ11の材料が鉄である場合には、金属パイプ11の内周面及び外周面に防錆手段を施してもよい。防錆手段としては、例えば、亜鉛メッキ、塗膜等、必要に応じて任意の手段を用いることができる。
【0038】
(電線13)
図2に示すように、金属パイプ11の内部及び可撓性筒状部材12の内部には、3本の電線13が挿通されている。3本の電線13は、俵積み状に(各電線13の中心を結んだ線が略正三角形をなすように)配置された状態で挿通されている。電線13は、断面形状が円形をなす金属製(例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等)の芯線14と、芯線14の外周を覆う絶縁被覆15とによって構成される。芯線14としては、棒状の単芯線でもよく、また、複数の金属細線を撚り合せた撚り線でもよい。本実施形態においては、芯線14として、銅又は銅合金製の金属細線を撚り合せた撚り線が用いられている。
【0039】
(可撓性筒状部材12)
図1に示すように、金属パイプ11の端部には、金属パイプ11とは異種の金属からなる金属素線16を網目状に編んだ編組線からなる可撓性筒状部材12が、金属パイプ11の外側から被せられて、金属パイプ11と電気的に接続されている。可撓性筒状部材12は、金属パイプ11の両端部に接続されていてもよく、また、一方の端部にのみ接続されていてもよい。可撓性筒状部材12は、編組線からなるので、湾曲させるような曲げ変形、長さ方向の伸縮変形、径寸法を増減させる変形のいずれもが自在な高い可撓性を有する。
【0040】
可撓性筒状部材12を構成する金属素線16の材料は、金属パイプ11とは異種の金属からなり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、銅又は銅合金が用いられる。また、図3に示すように、金属素線16の表面には素線側めっき層17が形成されている。素線側めっき層17を構成する金属としては、錫、ニッケル、クロム等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、素線側めっき層17は錫めっきからなる。
【0041】
(リング18)
図1に示すように、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間には、金属パイプ11に外嵌された状態で、可撓性筒状部材12と同種の金属からなるリング18が配されている。リング18の断面形状は円形をなしている。リング18の厚さは全周に亘って一定となっている。つまり、リング18の内周と外周は同心円形をなしている。リング18の内周面は滑らかな円弧面となっており、このリング18の内周面は、滑らかな円弧面をなす金属パイプ11の外周面と接触している。リング18は、金属パイプ11の端縁よりも、やや引っ込んだ位置に取り付けられている。これにより、金属パイプ11の端縁において、金属パイプ11の外周面がリング18から露出している。
【0042】
リング18を構成する材料は、可撓性筒状部材12と同種の金属からなり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレス、銅、銅合金等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、銅又は銅合金が用いられる。また、図3に示すように、本実施形態においては、リング18内周面及び外周面には、金属素線16に形成された素線側めっき層17と同種の金属からなるリング側めっき層19が形成されている。リング側めっき層19を構成する金属としては、錫、ニッケル、クロム等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。本実施形態においては、リング側めっき層19は錫めっきからなる。
【0043】
リング18の厚さ寸法は、例えば2μm以上200μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下、特に好ましくは20μm以上80μm以下である。この範囲よりもリング18の厚さ寸法が薄くなると、リング18が破れやすくなる傾向がある。一方、上記の範囲よりもリングの18厚さ寸法が厚くなると、かしめ付けにくくなる傾向がある。リング18の厚さ寸法が10μm以上100μm以下であれば、後述する締め付けバンド22によってかしめ付けることが可能であり、且つ、締め付けバンド22によるかしめ付け作業時にリング18が破れにくいので、好ましい。
【0044】
なお、上記した同種の金属とは、電気化学的な腐食、すなわち電食が生じない、または、生じるとしても特に車両等に使用して事実上問題がない程度である金属の組み合わせをいい、異種の金属とは、電食が実用上問題となる程度に発生する金属の組み合わせをいう。
【0045】
(筒状被覆20)
図1に示すように、金属パイプ11の外周面と、リング18の外周面との境界部分には、金属パイプ11及びリング18の双方を外側から覆う合成樹脂製の筒状被覆20が配されている。本実施形態においては、筒状被覆20は熱収縮チューブからなる。この筒状被覆20は、リング18の端縁と、リング18の端縁から露出する金属パイプ11とに跨って配されている。筒状被覆20は、リング18の端縁における外周面と、リング18の端面と、金属パイプ11の外周面とに密着している。これにより、リング18の端縁における外周面、リング18の端面、及び金属パイプ11の外周面へ水が付着することが、抑制されるようになっている。
【0046】
筒状被覆20は、金属パイプ11の端部側に配された第1筒状被覆20Aと、金属パイプ11の端部と反対側の位置に配された第2筒状被覆20Bとからなる。第1筒状被覆20Aは、リング18の端縁から露出した金属パイプ11の端部まで覆うようになっている。
【0047】
第1筒状被覆20Aと、第2筒状被覆20Bとは、金属パイプ11の長手方向について間隔を空けて配されている。これにより、第1筒状被覆20Aと、第2筒状被覆20Bとの間には、リング18の外表面が露出する露出部21が形成されている。この露出部21は、リング18の周方向について帯状に延びて形成されている。この露出部21を外側から覆うようにして可撓性筒状部材12の端部が被せられており、金属素線16がリング18の外表面と接触している。
【0048】
なお、図中、金属パイプ11の厚さ寸法、リング18の厚さ寸法、金属素線16の径寸法、筒状被覆20の厚さ寸法、素線側めっき層17の厚さ寸法、及びリング側めっき層19の厚さ寸法は、理解のしやすさのために誇張して記載してある。
【0049】
(締め付けバンド22)
露出部21の外側に被せられた可撓性筒状部材12の外周であって、露出に対応する領域には、金属製の締め付けバンド22が外嵌されている。この締め付けバンド22によってかしめ付けられることにより、可撓性筒状部材12の金属素線16が、露出部21から露出したリング18の外表面に固着されると共に、リング18の内周面が金属パイプ11の外周面に固着されるようになっている。
【0050】
締め付けバンド22は、帯状の金属板材からなるバンド部材23の両端を重ね合わせてリング状に形成してなる。バンド部材23のうち、バンド部材23が重ね合わされた領域において、径方向外側に位置する外側バンド部24には、この外側バンド部24を貫通する貫通孔25が形成されている。また、バンド部材23のうち、バンド部材23が重ね合わされた領域において、径方向内側に位置する内側バンド部26には、径方向外方に切り起こされた係止爪27が形成されている。この係止爪27が外側バンド部24の貫通孔25内に挿通されて、貫通孔25の孔縁に係止することにより、締め付けバンド22がリング状に保持されるようになっている。
【0051】
バンド部材23には、外方に門形状に折り曲げ形成された締め付け耳28が形成されている。この締め付け耳28を公知の治具によって締め付けて潰すことにより、バンド部材23が縮径されるようになっている。バンド部材23が縮径変形することにより、締め付けバンド22の内周側に位置する可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が固着されるようになっている。
【0052】
本実施形態においては、バンド部材23に2つの締め付け耳28が形成されている。2つの締め付け耳28は、バンド部材23の概ね直径位置に形成されている。
【0053】
なお、金属パイプ11の他の端部における構造は、上記した構造と同じであるので、説明及び図示は省略する。
【0054】
(製造工程)
続いて、本実施形態に係るシールド導電体10の製造工程の一例を説明する。なお、製造工程については、以下に説明する製造工程に限定されない。まず、図4に示すように、金属パイプ11、第1筒状被覆20A、リング18、第2筒状被覆20B、締め付けバンド22、及び可撓性筒状部材12の内部に電線13を挿通させる。
【0055】
次いで、金属パイプ11の外周面にリング18を外嵌する。続いて、リング18の両端部にそれぞれ、第1筒状被覆20A、及び第2筒状被覆20Bを被せる。その後、第1筒状被覆20A及び第2筒状被覆20Bを加熱することにより、収縮させる。これにより、第1筒状被覆20A及び第2筒状被覆20Bが金属パイプ11の外周面及びリング18の外周面に密着する(図5参照)。
【0056】
続いて、可撓性筒状部材12を金属パイプ11の端部に外側から被せ、リング18の露出部21を覆う。可撓性筒状部材12の外側から、露出部21に対応する領域に、締め付けバンド22を外嵌する。まず、締め付けバンド22は、図6に示すように、バンド部材23の両端部が離間した状態にしておく。これにより、可撓性筒状部材12の外側に締め付けバンド22を外嵌する際の作業性を向上させることができる。次いで、バンド部材23を可撓性筒状部材12の外周に配した後、バンド部材23の両端部を重ね合わせ、内側バンド部26の係止爪27を外側バンド部24の貫通孔25内に挿通させる。すると、図7に示すように、係止爪27が貫通孔25の孔縁に係止することにより、バンド部材23がリング状に保持される。
【0057】
続いて、締め付け耳28部を公知の治具によって潰すことによりバンド部材23が縮径されて、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が締め付けバンド22によって固着される(図2参照)。この状態において、金属パイプ11の外周面はリング18の内周面と接触し、リング18の外周面は可撓性筒状部材12の金属素線16と接触している。これにより、金属パイプ11と可撓性筒状部材12とは電気的に接続される。
【0058】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間にはリング18が配されているので、金属パイプ11と可撓性筒状部材12とは直接に接触しない。このため、可撓性筒状部材12と金属パイプ11とが異なる金属からなる場合において、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間における電食を抑制できる。
【0059】
また、可撓性筒状部材12を構成する金属素線16は、露出部21においてリング18の外周面と接触している。この金属素線16は、リング18と同種の金属からなるので、金属素線16とリング18との双方に跨って水が付着した場合でも、金属素線16とリング18との間における電食を抑制することができる。
【0060】
上記の構成によると、金属素線16と同種の金属からなるリング18の外周面と、金属素線16と異種の金属からなる金属パイプ11の外周面との境界部分に水が付着すると、リング18と金属パイプ11との間に電食が発生することが懸念される。
【0061】
上記の点に鑑み、本実施形態においては、リング18の外周面と金属パイプ11の外周面との境界部分は、筒状被覆20によって覆われる構成とした。これにより、リング18の外周面と金属パイプ11の外周面との境界部分に水が付着することを抑制できるので、リング18と金属パイプ11との間における電食を抑制できる。
【0062】
以上のように、本発明によれば、可撓性筒状部材12と金属パイプ11とが異なる金属からなる場合においても、シールド導電体10を構成する可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11の間における電食を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、筒状被覆20は、金属パイプ11のうち可撓性筒状部材12が接続された側の端部まで覆っている。これにより、可撓性筒状部材12が縮径変形した場合でも、可撓性筒状部材12が金属パイプ11の端部に直接に接触しないようになっている。これにより、金属パイプ11と可撓性筒状部材12との間の電食を確実に抑制できる。
【0064】
また、本実施形態によれば、筒状被覆20は、リング18の一方の端部を覆う第1筒状被覆20Aと、リング18の他方の端部を覆う第2筒状被覆20Bとからなり、露出部21は、第1筒状被覆20Aと第2筒状被覆20Bとの間の領域においてリング18の周方向に帯状に形成されている。これにより、リング18の外周面と可撓性筒状部材12とは、リング18の周方向に帯状に形成された露出部21において接触する。この結果、リング18と可撓性筒状部材12との接触面積を大きくすることができるので、シールド性能を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態によれば、締め付けバンド22の締め付け耳28を潰すことにより、可撓性筒状部材12を、リング18の露出部21に対して容易にかしめ付けることができる。
【0066】
また、本実施形態によれば、金属パイプ11は比較的に比重の小さなアルミニウム又はアルミニウム合金からなるので、シールド導電体10を軽量化できる。
【0067】
また、本実施形態によれば、金属素線16は比較的に軟らかい銅又は銅合金からなるので、金属素線16を編んで形成された可撓性筒状部材12の可撓性を向上させることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、金属素線16の表面には素線側めっき層17が形成されており、リング18の外周面には素線側めっき層17と同種の金属からなるリング側めっき層19が形成されている。これにより、可撓性筒状部材12とリング18との電食を確実に抑制できる。
【0069】
また、本実施形態によれば、素線側めっき層17及びリング側めっき層19は錫めっき層である。この錫めっき層の表面には酸化膜が形成される。この酸化膜は比較的に軟らかいので、可撓性筒状部材12とリング18とを接触させることにより容易に剥がれる。すると、可撓性筒状部材12を構成する金属素線16の錫めっき層と、リング18の錫めっき層との新生面が露出し、この新生面同士が接触する。これにより、可撓性筒状部材12とリング18との接触抵抗を低減させることができる。
【0070】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図9を参照しつつ説明する。本実施形態においては、バンド部材23には、外側バンド部24に近い位置(図9における上側の位置)に形成された第1締め付け耳28Aと、下側バンド部に近い位置(図9における下側の位置)に形成された第2締め付け耳28Bと、が形成されている。
【0071】
第1締め付け耳28Aは、治具によって潰されることにより、塑性変形される。これにより、締め付けバンド22によって可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が固着される。
【0072】
一方、第2締め付け耳28Bは、治具によって、弾性変形可能な程度に潰される。この結果、第2締め付け耳28Bは、可撓性筒状部材12の外周に外嵌された状態で、弾性変形可能になっている。
【0073】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0074】
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。まず、本実施形態においては、第1締め付け耳28Aは、塑性変形されているので、締め付けバンド22によって可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が確実に固着される。
【0075】
更に、本実施形態によれば、シールド導電体10の配設された領域の環境温度が変化しても、締め付けバンド22の締め付け力が低下することを抑制できるという効果を奏する。この効果について以下に説明する。
【0076】
まず、シールド導電体10の配設された領域の環境温度が上昇すると、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が膨張する。すると、これらに外嵌された締め付けリング18も膨張する。
【0077】
続いて、シールド導電体10の配設された領域の環境温度が下降すると、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11は収縮する。また、これらに外嵌された締め付けリング18も収縮する。しかしながら、温度変化に伴う膨張率は金属材料によって異なるため、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が収縮した状態において、締め付けリング18が可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11と同じ程度に収縮しなかった場合、締め付けリング18が緩んでしまうことが懸念される。
【0078】
上記の点に鑑み、本実施形態においては、第2締め付け耳28Bを弾性変形可能に潰す構成とした、これにより、環境温度の変化に伴って、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が膨張、収縮した場合でも、第2締め付け耳28Bの弾発力により、締め付けリング18の締め付け力が低下することを抑制できる。
【0079】
<実施形態3>
続いて、実施形態3について、図10ないし図12を参照しつつ説明する。本実施形態においては、筒状被覆20Cの内面には接着剤が塗布されることにより接着剤層(図示せず)が形成されている。上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0080】
続いて、本実施形態に係るシールド導電体10の製造工程の一例を示す。図10に示すように、筒状被覆20Cには、周方向に沿って間隔を空けて2つのミシン目41が並んで形成されている。このミシン目41に沿って筒状被覆20Cを帯状に切断可能になっている。
【0081】
金属パイプ11にリング18を外嵌する。このリング18の外周面には、筒状被覆20Cの内面に形成された接着剤層と接着されないようにするためのマスキング部40が形成されている。マスキング部40は、公知のマスキングテープを貼付することにより形成してもよい。マスキング部40の、リング40の軸方向についての幅寸法は、2つのミシン目41の間隔と同じか、又は狭く形成されている。
【0082】
続いて、筒状被覆20Cを、リング18を径方向外方から覆うようにして、金属パイプ11に外嵌する。このとき、筒状被覆20Cのうち、2つのミシン目41,41に挟まれた領域が、リング18に形成されたマスキング部40に整合するようにして筒状被覆20Cを配する。その後、筒状被覆20Cを加熱することにより収縮させる。これにより、筒状被覆20Cの内面が、金属パイプ11の外周面及びリング18の外周面と密着する。このとき、リング18のうち、マスキング部40が形成された領域においては、接着剤層はリング18の外周面と接着されないようになっている。
【0083】
続いて、筒状被覆20Cのミシン目41,41に沿って筒状被覆20Cを帯状に切断する。すると、筒状被覆20Cは、第1筒状被覆20Aと、第2筒状被覆20Bとに分断される。
【0084】
また、第1筒状被覆20Aと第2筒状被覆20Bとの間からは、リング18の外周面に形成されたマスキング部40が露出する。マスキング部40の、リング部18の軸方向についての幅寸法は、筒状被覆20Cに形成された2つのミシン目41,41の間隔と同じか、又は小さく設定されているので、2つのミシン目41,41に挟まれた領域を切断することにより、マスキング部40を完全に露出させることができるようになっている。
【0085】
続いて、マスキング部40をリング18の外周面から剥離する。すると、リング18の外周面が露出する露出部21が形成される。以降の製造工程は実施形態1と同様なので、重複する説明を省略する。
【0086】
本実施形態によれば、内面に接着剤層が形成された筒状被覆20Cを用いることにより、筒状被覆20Cとリング18との密着性を向上させることができる。
【0087】
また、リング18の外周面にマスキング部40が形成されていることにより、露出部21を形成するために筒状被覆20Cを容易に切断することができる。
【0088】
本実施形態においては、筒状被覆20Cにミシン目41が形成される構成としたが、ミシン目41は省略してもよい。
【0089】
<実施形態4>
続いて、本発明の実施形態4について、図13を参照しつつ説明する。本実施形態においては、バンド部材23には、締め付け耳28Aと直径位置に、バネ部50が形成されている。バネ部50は、バンド部材23を複数回折り曲げ形成することにより屈曲状に形成されてなる。この構成により、バネ部50は弾性変形可能になっている。
【0090】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
本実施形態によれば、バネ部50の弾発力により、環境温度の変化に伴って、可撓性筒状部材12、リング18、及び金属パイプ11が膨張、収縮した場合でも、締め付けリング18の締め付け力が低下することを抑制できる。
【0092】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態においては、筒状被覆20として熱収縮チューブを用いたが、これに限られず、粘着テープ、自己融着テープ等、必要に応じて任意のテープを巻回することにより筒状被覆20を形成してもよい。
(2)本実施形態では、露出部21はリング18の周方向に沿って帯状に形成される構成としたが、これに限られず、複数の露出部21が筒状被覆20において離散的に開口する構成としてもよく、また、1つの露出部21が筒状被覆20において開口する構成としてもよく、必要に応じて任意の形状とすることができる。
(3)本実施形態においては、金属素線16及びリング18には素線側めっき層17及びリング側めっき層19として錫めっき層が形成される構成としたが、これに限られず、素線側めっき層17及びリング側めっき層19としては、ニッケルめっき、半田めっき等、必要に応じて任意の金属を用いることができる。また、素線側めっき層17及びリング側めっき層19は必要に応じて省略してもよい。
(4)本実施形態においては、締め付けバンド22によって可撓性筒状部材12がリング18にかしめられる構成としたが、これに限られず、可撓性筒状部材12は公知のかしめリングによりリング18にかしめられる構成としてもよい。
(5)本実施形態においては、締め付けバンド22には第1締め付け耳28A及び第2締め付け耳28Bが形成される構成としたが、これに限られず、締め付けバンド22の締め付け耳28は1つでもよい。また、3つ以上の複数でもよい。
(6)本実施形態においては、金属パイプ11の断面形状は円形状としたが、これに限られず、三角形状、四角形状等の多角形状でもよく、また、長円形状、楕円形状でもよく、必要に応じて任意の形状としうる。
(7)本実施形態においては、金属パイプ11の内部及び可撓性筒状部材12の内部に挿通される電線13は3本であったが、これに限られず、1本、2本又は4本以上であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10…シールド導電体
11…金属パイプ
12…可撓性筒状部材
13…電線
16…金属素線
17…素線側めっき層
18…リング
19…リング側めっき層
20…筒状被覆
20A…第1筒状被覆
20B…第2筒状被覆
21…露出部
22…締め付けバンド
23…バンド部材
24…外側バンド部
25…貫通孔
26…内側バンド部
27…係止爪
28…締め付け耳
28A…第1締め付け耳
28B…第2締め付け耳
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属パイプと、前記金属パイプとは異種の金属からなる金属素線を網目状に編んだ編組線からなると共に、前記金属パイプの端部に外側から被せられて前記金属パイプに電気的に接続された可撓性筒状部材と、前記金属パイプの内部及び前記可撓性筒状部材の内部に挿通された電線と、を備え、
前記金属パイプと前記可撓性筒状部材との間には、前記金属素線と同種の金属からなるリングが前記金属パイプに外嵌されると共に前記リングの内周面が前記金属パイプと接触した状態で配されており、
前記リング及び前記金属パイプには、前記リングの外周面と前記金属パイプの外周面との境界部分を覆う筒状被覆が配されており、
前記リングには前記リングの外周面が前記筒状被覆から露出した露出部が形成されており、
前記リングの外周面は前記露出部において前記金属素線と接触しているシールド導電体。
【請求項2】
前記筒状被覆は、前記金属パイプのうち前記可撓性筒状部材が接続された側の端部まで覆っている請求項1に記載のシールド導電体。
【請求項3】
前記筒状被覆は、前記リングの一方の端部を覆う第1筒状被覆と、前記リングの他方の端部を覆う第2筒状被覆とからなり、
前記露出部は、前記第1筒状被覆と前記第2筒状被覆との間の領域において前記リングの周方向に帯状に形成されている請求項1または請求項2に記載のシールド導電体。
【請求項4】
前記可撓性筒状部材には、前記露出部に対応する領域においてリング状をなす締め付けバンドが外嵌されており、
前記締め付けバンドは、金属製のバンド部材の両端が重ね合わされてリング状に形成されており、前記バンド部材のうち、前記バンド部材が重ね合わされた領域において外側に位置する外側バンド部には前記外側バンド部を貫通する貫通孔が形成されており、
前記バンド部材のうち、前記バンド部材が重ね合わされた領域において下側に位置する下側バンド部には前記貫通孔内に挿通されて前記貫通孔の口縁に係止する係止爪が切り起こされており、
前記バンド部材には外方に門形状に折り曲げ形成された締め付け耳が形成されており、
前記締め付け耳が締め付けられて潰されることにより前記バンド部材が縮径されて前記可撓性筒状部材が前記リングの前記露出部にかしめ付けられている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【請求項5】
前記締め付け耳は、塑性変形して潰されることにより前記可撓性筒状部材をかしめつける第1締め付け耳と、弾性変形可能に潰された第2締め付け耳とからなる請求項4に記載のシールド導電体。
【請求項6】
前記金属パイプはアルミニウム又はアルミニウム合金からなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【請求項7】
前記金属素線は銅又は銅合金からなる請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【請求項8】
前記金属素線の表面には素線側めっき層が形成されており、前記リングの外周面には前記素線側めっき層と同種の金属からなるリング側めっき層が形成されている請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【請求項9】
前記素線側めっき層及び前記リング側めっき層は錫めっき層である請求項8に記載のシールド導電体。
【請求項1】
金属パイプと、前記金属パイプとは異種の金属からなる金属素線を網目状に編んだ編組線からなると共に、前記金属パイプの端部に外側から被せられて前記金属パイプに電気的に接続された可撓性筒状部材と、前記金属パイプの内部及び前記可撓性筒状部材の内部に挿通された電線と、を備え、
前記金属パイプと前記可撓性筒状部材との間には、前記金属素線と同種の金属からなるリングが前記金属パイプに外嵌されると共に前記リングの内周面が前記金属パイプと接触した状態で配されており、
前記リング及び前記金属パイプには、前記リングの外周面と前記金属パイプの外周面との境界部分を覆う筒状被覆が配されており、
前記リングには前記リングの外周面が前記筒状被覆から露出した露出部が形成されており、
前記リングの外周面は前記露出部において前記金属素線と接触しているシールド導電体。
【請求項2】
前記筒状被覆は、前記金属パイプのうち前記可撓性筒状部材が接続された側の端部まで覆っている請求項1に記載のシールド導電体。
【請求項3】
前記筒状被覆は、前記リングの一方の端部を覆う第1筒状被覆と、前記リングの他方の端部を覆う第2筒状被覆とからなり、
前記露出部は、前記第1筒状被覆と前記第2筒状被覆との間の領域において前記リングの周方向に帯状に形成されている請求項1または請求項2に記載のシールド導電体。
【請求項4】
前記可撓性筒状部材には、前記露出部に対応する領域においてリング状をなす締め付けバンドが外嵌されており、
前記締め付けバンドは、金属製のバンド部材の両端が重ね合わされてリング状に形成されており、前記バンド部材のうち、前記バンド部材が重ね合わされた領域において外側に位置する外側バンド部には前記外側バンド部を貫通する貫通孔が形成されており、
前記バンド部材のうち、前記バンド部材が重ね合わされた領域において下側に位置する下側バンド部には前記貫通孔内に挿通されて前記貫通孔の口縁に係止する係止爪が切り起こされており、
前記バンド部材には外方に門形状に折り曲げ形成された締め付け耳が形成されており、
前記締め付け耳が締め付けられて潰されることにより前記バンド部材が縮径されて前記可撓性筒状部材が前記リングの前記露出部にかしめ付けられている請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【請求項5】
前記締め付け耳は、塑性変形して潰されることにより前記可撓性筒状部材をかしめつける第1締め付け耳と、弾性変形可能に潰された第2締め付け耳とからなる請求項4に記載のシールド導電体。
【請求項6】
前記金属パイプはアルミニウム又はアルミニウム合金からなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【請求項7】
前記金属素線は銅又は銅合金からなる請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【請求項8】
前記金属素線の表面には素線側めっき層が形成されており、前記リングの外周面には前記素線側めっき層と同種の金属からなるリング側めっき層が形成されている請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のシールド導電体。
【請求項9】
前記素線側めっき層及び前記リング側めっき層は錫めっき層である請求項8に記載のシールド導電体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−113949(P2012−113949A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261580(P2010−261580)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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