説明

シールド掘進機

【課題】
台車間に存在する空間を有効に利用して、台車群のコンパクト化、シールド掘進機のコンパクト化、製作コストの低減を図る。
【解決手段】
掘進機本体1と該掘進機本体に牽引されレール16を走行可能な台車群2とを具備し、該台車群を構成する複数の台車は連結バー15によって連結され、所要箇所の連結バーに前記レールを摺動して前記連結バーに作用する垂直荷重を前記レールに伝達する荷重受けを設け、前記連結バーに前記掘進機本体に付随する機器を載置可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネルを掘削する為のシールド掘進機に関し、特に牽引される台車群に於ける空間の有効利用を図ったシールド掘進機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、掘進機本体と該掘進機本体に牽引され複数の台車からなる台車群により構成されている。
【0003】
掘進機本体は、カッタが多数設けられた円盤状のカッタヘッドを回転させて地中を掘削し、掘削した土砂はスクリューコンベアにより後方に排出する。又、掘削機本体には前記台車群が連結手段を介して連結され、前記掘進機本体の掘進の進行と共に前記台車群が追従する様になっている。
【0004】
前記台車群はバルブユニット台車、操作台車、ポンプユニット台車等から構成され、台車には、掘進機本体が駆動される為に必要な機材、例えばバルブユニット、操作盤、油圧ポンプ、作動流体(作動油)を貯溜するタンク、潤滑剤としてグリースを供給するグリースポンプユニット等が搭載されている。又、各台車間は連結バーにより連結され、更に先頭の台車と前記掘進機本体とは、ワイヤ、ロッド等所要の連結手段によって連結されている。
【0005】
前記台車群に沿って土砂搬送ホース、各種ケーブル類が配設されており、斯かる土砂搬送ホース、各種ケーブル類の屈曲度には、強度、柔軟性等から制限がある。この為、前記台車群がカーブした際にも、土砂搬送ホース、各種ケーブル類に負担を掛けない様に、前記連結バーの長さは、前記台車間を所定の間隔以上に保つ様に決定されている。
【0006】
この為、従来より台車間には必要であるけれども、有効に利用されていない空間が形成されていた。
【0007】
【特許文献1】特開平11−107677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は斯かる実情に鑑み、台車間に存在する空間を有効に利用して、台車群のコンパクト化、シールド掘進機のコンパクト化、製作コストの低減を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、掘進機本体と該掘進機本体に牽引されレールを走行可能な台車群とを具備し、該台車群を構成する複数の台車は連結バーによって連結され、所要箇所の連結バーに前記レールを摺動して前記連結バーに作用する垂直荷重を前記レールに伝達する荷重受けを設け、前記連結バーに前記掘進機本体に付随する機器を載置可能としたシールド掘進機に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記付随する機器はグリースポンプユニットであるシールド掘進機に係り、更に又前記グリースポンプユニットは、前記台車群に沿って配設されるホース、ケーブル類との干渉を防止するケーブルガイドを具備するシールド掘進機に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、掘進機本体と該掘進機本体に牽引されレールを走行可能な台車群とを具備し、該台車群を構成する複数の台車は連結バーによって連結され、所要箇所の連結バーに前記レールを摺動して前記連結バーに作用する垂直荷重を前記レールに伝達する荷重受けを設け、前記連結バーに前記掘進機本体に付随する機器を載置可能としたので、空いている空間を有効利用でき、台車群のコンパクト化、シールド掘進機のコンパクト化、製作コストの低減が図り得る。
【0012】
更に又本発明によれば、前記グリースポンプユニットは、前記台車群に沿って配設されるホース、ケーブル類との干渉を防止するケーブルガイドを具備するので、台車群がカーブを移動する際にもホース、ケーブル類がグリースタンク、グリースポンプ等に当接してタンクが転倒することを防止し、台車間に掘進機本体に付随する機器を設けても不具合が生じることがない等の優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施する為の最良の形態を説明する。
【0014】
先ず図1、図2により本発明に係るシールド掘進機について概略を説明する。
【0015】
図中、1は掘進機本体、2は台車群、3はセグメント台車である。
【0016】
前記掘進機本体1について説明する。
【0017】
カッタ4が多数植設された円盤状のカッタヘッド5がカッタヘッド軸6を介して回転自在に支持され、前記カッタヘッド5は掘削モータ7によって回転され、又前記カッタヘッド5は推進シリンダ8によって推進力が与えられる。
【0018】
前記カッタヘッド軸6によって掘削された土砂は、泥水とされ、スクリューコンベア9によって排出され、更に搬送ホース10によって後方に搬送される。
【0019】
掘削後のトンネル壁面には、セグメント19が貼付けられ、該セグメント19はエレクタ11によって貼付け位置迄持上げられ移動される。
【0020】
前記台車群2について略述する。
【0021】
該台車群2は、先頭に位置するバルブユニット台車12、操作台車13、ポンプユニット、作動流体、例えばオイルが貯溜されたタンクを搭載するポンプユニット台車14等の台車によって構成されている。前記台車群2の各台車は、レール16に走行自在に軌乗し、該レール16は進行方向に対して所要間隔で設けられた枕木17によって支持されている。
【0022】
各台車間は長手方向で剛性を有する連結バー15によって連結され、前記操作台車13と前記ポンプユニット台車14との間を連結する連結バー15にはグリースポンプユニット18が載設されている。
【0023】
又、前記台車群2のレール16とは別にセグメント台車用レール(図示せず)が敷設されており、該セグメント台車用レールには前記セグメント台車3が走行自在に軌乗し、該セグメント台車3は前記セグメント19を運搬する。
【0024】
前記掘進機本体1と前記台車群2の先頭台車、即ち前記掘進機本体1と前記バルブユニット台車12とは連結手段である屈撓自在な線状部材、例えば牽引ワイヤ21によって連結され、該牽引ワイヤ21の前端は前記掘進機本体1の強度部材、例えば前記スクリューコンベア9の後端部に設けられたブラケット22に係着されている。又、前記掘進機本体1と前記バルブユニット台車12間には台車逸走防止装置23が設けられている。
【0025】
該台車逸走防止装置23について説明する。
【0026】
前記スクリューコンベア9等の固定部材に屈撓自在な線状部材、例えば逸走防止ワイヤ27の一端が係着され、該逸走防止ワイヤ27は前記バルブユニット台車12の前面に設けられた滑車26に掛回された後垂下されている。
【0027】
前記逸走防止ワイヤ27の垂下した下端には逸走防止ストッパ28が係着されている。該逸走防止ストッパ28は下端がテーパとなった棒状部材であり、該逸走防止ストッパ28は前記逸走防止ワイヤ27に常時所定の張力を発生させるだけの重量を有している。
【0028】
例えば、下り傾斜となり、前記バルブユニット台車12が前進して、該バルブユニット台車12と前記掘進機本体1間の距離が縮まると、前記逸走防止ストッパ28が降下して前記枕木17より下方に位置し、該枕木17と前記逸走防止ストッパ28が係合して前記バルブユニット台車12の逸走が防止される。
【0029】
又、前記掘進機本体1が前進し、前記バルブユニット台車12との間隔が広がると、前記逸走防止ストッパ28が持上げられ、前記枕木17との干渉が解除され、前記バルブユニット台車12の前進が可能となる。
【0030】
前記操作台車13と前記ポンプユニット台車14とを連結する連結バー15上に前記グリースポンプユニット18が載設され、前記操作台車13と前記ポンプユニット台車14間に形成される空間が利用される。
【0031】
図3〜図5に於いて、前記グリースポンプユニット18及び該グリースポンプユニット18が載置されている前記連結バー15について説明する。尚、図3に於いて、前方の操作台車13については図示を省略している。
【0032】
前記連結バー15の後端部は、前記ポンプユニット台車14の前面に突設した、連結器31に連結ピン32を介して連結されている。前記連結バー15の前端部についても、図示していないが、前記操作台車13の後面に設けられた連結器に連結ピンを介して連結されている。
【0033】
前記連結バー15の略中央の下面に荷重受け33が設けられ、該荷重受け33は前記レール16上を摺動する様になっており、前記連結バー15に作用する垂直荷重を前記レール16に伝達する様になっている。
【0034】
図4は、前記台車群2が2本のレール上を走行する場合を示している。
【0035】
前記荷重受け33は、前記レール16と直角方向に延びる補助ビーム34と、該補助ビーム34に取付けられ、前記レール16に対して摺動自在なレールスライド35とを有し、更に該レールスライド35は前記レール16上を摺動する摺動部材36及び該摺動部材36を支持するブラケット37で構成されている。
【0036】
図4の様に前記レール16が2条の場合は、各レール16毎に前記レールスライド35が2組設けられ、前記レール16が1条の場合は、前記レールスライド35は1組となる。又、1組の場合は、該レールスライド35は前記連結バー15に直接設けられ、前記補助ビーム34は省略される。
【0037】
前記連結バー15に前記掘進機本体1に付随する機器、例えば前記グリースポンプユニット18が載設され、前記操作台車13と前記ポンプユニット台車14間の空間が有効利用される。
【0038】
前記連結バー15に前記ポンプユニット台車14が載置されると、該ポンプユニット台車14の重量は、前記荷重受け33を介して前記レール16によって支持される。
【0039】
前記台車群2が移動する場合は、前記荷重受け33は前記レール16上を摺動して追従する。
【0040】
前記連結バー15に台座38が固着され、該台座38にはグリースタンク39が載置可能となっている。尚、図3中42はグリースタンクの蓋、46は蓋を開閉する開閉装置である。
【0041】
前記台座38の一側部、トンネルの壁側には、パイプを門型状に曲げ成形したケーブルガイド48が立設されている。該ケーブルガイド48は、前記台車群2がカーブし、前記操作台車13と前記ポンプユニット台車14とが屈曲した状態となった場合でも、前記搬送ホース10、ケーブル類を前記ケーブルガイド48で受け、前記搬送ホース10、ケーブル類が、前記グリースポンプユニット18に当接することを防止する。
【0042】
又、前記グリースポンプユニット18の周囲は空間であり、前記グリースタンク39を交換する作業は、充分余裕のある空間での作業となり、作業性はよい。
【0043】
尚、前記荷重受け33が設けられる、連結バー15は前記操作台車13と前記ポンプユニット台車14間に限らず、又前記連結バー15に載置されるのも、前記グリースポンプユニット18に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るシールド掘進機の概略側断面図である。
【図2】本発明に係るシールド掘進機の概略平断面図である。
【図3】本発明に係るシールド掘進機に於けるグリースポンプユニットの側面図である。
【図4】該グリースポンプユニットの正面図である。
【図5】該グリースポンプユニットの平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 掘進機本体
2 台車群
5 カッタヘッド
9 スクリューコンベア
12 バルブユニット台車
15 連結バー
16 レール
17 枕木
18 グリースポンプユニット
21 牽引ワイヤ
23 台車逸走防止装置
27 逸走防止ワイヤ
28 逸走防止ストッパ
33 荷重受け
34 補助ビーム
36 摺動部材
39 グリースタンク
48 ケーブルガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘進機本体と該掘進機本体に牽引されレールを走行可能な台車群とを具備し、該台車群を構成する複数の台車は連結バーによって連結され、所要箇所の連結バーに前記レールを摺動して前記連結バーに作用する垂直荷重を前記レールに伝達する荷重受けを設け、前記連結バーに前記掘進機本体に付随する機器を載置可能としたことを特徴とするシールド掘進機。
【請求項2】
前記付随する機器はグリースポンプユニットである請求項1のシールド掘進機。
【請求項3】
前記グリースポンプユニットは、前記台車群に沿って配設されるホース、ケーブル類との干渉を防止するケーブルガイドを具備する請求項2のシールド掘進機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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