説明

シールド電極を埋め込んだ絶縁物、及びこの絶縁物を用いた高電圧機器

【課題】シールド電極を埋め込んだ絶縁物において、注型樹脂とシールド電極との接着性を向上させ、信頼性の高い絶縁物を提供する。また、長期信頼性のある高電圧機器を提供する。
【解決手段】樹脂により注型され、高電圧導体1の周囲を取り囲むシールド電極5、6を埋め込んだ絶縁物4において、シールド電極5、6に、一個以上の、溝、スリット、または孔を設けた構成とする。また、そのサイズは、溝の場合、溝の深さと溝の幅との比が0.4以上、スリットの場合、スリット幅が12mm以下とする。孔が閉塞孔の場合は、閉塞孔の深さと閉塞孔の径との比が0.4以上であり、孔が貫通孔の場合は、貫通孔の径が12mm以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、絶縁ガスに充填された管路気中に配置される送電線路やガス開閉装置などの管路内に配置される導体を管路内に支持する絶縁スペーサ、あるいは上記送電線路や導体を受電側または配電側に接続する部分において用いられるブッシングなどの絶縁物に関するものであり、特に上記絶縁物に埋め込まれる電界緩和用シールド電極の構成に関するものである。
さらに、上記絶縁物を用いた高電圧機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
送電線路や導体が配置された管路内には通電や遮断や断路機能を果たすために外部との短絡を防ぐ役割として絶縁ガスが充填されており、管路毎にガス区分がなされている。絶縁物は管路気中に配置される送電線路や導体を絶縁支持すると同じに、各区分毎の接続部品としても用いられている。そのため短絡時の異常温度上昇に伴うガス圧力の上昇や、常時においてもガス区分用隔壁としてガス圧力に耐える必要があり、また季節や使用環境の違いによる温度差の変化(ヒートサイクル)に対しても長期にわたって耐える必要がある。さらにSF6などの地球温暖化ガスを用いる場合は特に密封性の確保が必須である。
従来の絶縁物は熱硬化性樹脂等からなる注型樹脂にアルミニウムなどの金属からなるシールド電極を埋め込んで作製されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の絶縁物はこのような構成であるため、上記のような使用目的、使用環境に対して、シールド電極と注型樹脂との線膨張率の差によりシールド電極と注型樹脂との間に剥離が生じ、その部分で部分放電が生じて電気的特性が低下するという問題があった。また、絶縁物製造時において、硬化反応時の収縮からなるストレスによりシールド電極と注型樹脂の界面に応力が発生し、クラックや剥離などの致命的故障が起こっていた。このような問題を解消するものとして、例えば特公昭63−33368号公報には、多孔性金属燒結体からなるシールド電極に注型樹脂を十分に含浸させ、注型樹脂とシールド電極とを一体に硬化形成するものが示されている。また特開昭57−206214号公報には、導電性プラスチック製シールド電極を分割成形し、分割成形品を接合組み立てして一体成形するものが示されている。しかしながら、上記のような使用目的、使用環境に対して、シールド電極と注型樹脂との界面における剥離の問題は十分に解消できなかった。
【0004】
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、注型樹脂とシールド電極との接着性を向上させ、注型樹脂とシールド電極とが剥離することを低減して信頼性の高い絶縁物を提供することを目的とする。
また、長期信頼性のある高電圧機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のシールド電極を埋め込んだ絶縁物は、高電圧導体の周囲を取り囲むシールド電極を埋め込み、樹脂により注型された絶縁物において、上記シールド電極は、上記樹脂と上記シールド電極との間の電極表面に、ボイドを取り込む一個以上の溝を有し、上記溝の深さと上記溝の幅との比(溝の深さ/溝の幅)が0.4以上であるものである。
【0006】
また、本発明のシールド電極を埋め込んだ絶縁物は、高電圧導体の周囲を取り囲むシールド電極を埋め込み、樹脂により注型された絶縁物において、上記シールド電極は、ボイドを上記シールド電極の外側に逃がす一個以上のスリットを有し、上記スリット幅が12mm以下であるものである。
【0007】
また、本発明のシールド電極を埋め込んだ絶縁物は、高電圧導体の周囲を取り囲むシールド電極を埋め込み、樹脂により注型された絶縁物において、上記シールド電極は、上記樹脂と上記シールド電極との間の電極表面に、ボイドを取り込む、あるいはボイドを上記シールド電極の外側に逃がす一個以上の孔を有し、上記孔が閉塞孔の場合は、上記閉塞孔の深さと上記閉塞孔の径との比が0.4以上であり、上記孔が貫通孔の場合は、上記貫通孔の径が12mm以下であるものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、シールド電極が溝やスリットや孔を持つので、注型樹脂とシールド電極との接着性が向上し、注型樹脂とシールド電極とが剥離し難く、信頼性の高い絶縁物が提供できる。
【0009】
また、溝または閉塞孔を有するものにおいて、溝の深さと溝の幅との比(溝の深さ/溝の幅)、または閉塞孔の深さと閉塞孔の径との比が0.4以上であるので、ボイドを上記溝または上記閉塞孔で取り込むことができるため、中心導体とシールド電極間で部分放電が発生し難くなり電気的な信頼性が向上する。
【0010】
また、スリットまたは貫通孔を有するものにおいて、スリット幅、または貫通孔の径が12mm以下であるので、ボイドをシールド電極の外側に逃がすことができ、中心導体とシールド電極間で部分放電が発生し難くなり電気的な信頼性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1を図を用いて説明する。
図1(a)(b)は本発明の実施の形態1による絶縁スペーサを示す縦断面図及び横断面図である。なお、図1(b)は図1(a)のB−B線に沿った横断面図である。図において、1a、1b(総称するときは1)は接地容器、2は絶縁ガス、3は中心導体、41は絶縁スペーサ、5は低圧側電界緩和シールド電極、6は高圧側電界緩和シールド電極である。
接地容器1内に所定の中心導体3を配置し、この中心導体3と接地容器1を絶縁し、かつ接地容器1aと接地容器1bとを接続すると共に、中心導体3を支持するために絶縁スペーサ41を用いる。さらに、接地容器1内には絶縁ガス2としてSF6ガスや窒素、乾燥空気、あるいはその混合ガスが充填されている。
【0012】
また、中心導体3を受電または配電側に接続する部分においては絶縁物としてブッシング等が用いられている。図2(a)(b)は本発明の実施の形態1によるブッシングを示す縦断面図及び横断面図であり、図2(b)は図2(a)のB−B線に沿った横断面図である。図において、42はブッシングである。
【0013】
絶縁スペーサ41及びブッシング42等の絶縁物4としては、一般に注型樹脂としてエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられている。また、絶縁物4は内部に低圧側電界緩和シールド電極5あるいは高圧側電界緩和シールド電極6を埋め込んで構成されており、高圧側電界緩和シールド電極6は高圧の中心導体3と絶縁ガス2および絶縁スペーサ41とのトリプルジャンクション部での電界集中を緩和する目的で、中心導体接続部の周囲を取り囲んで埋め込まれている。低圧側電界緩和シールド電極5は接地容器1のフランジ部でのトリプルジャンクション部の電界集中を緩和する目的で、フランジ近傍にフランジと接地されながら埋め込まれている。これらのシールド電極5、6の形成材料は、銅、錫、亜鉛、アルミニウム、鉄、マグネシウム、一般に用いられている合金など金属であれば何を用いてもよく、特に限定されない。本実施の形態1における電界緩和シールド電極5、6は、少なくとも一個以上の溝が施されているものである。
【0014】
図3(a)(b)及び図4(a)(b)は各々本実施の形態1によるブッシングにおけるシールド電極を示す斜視図と断面図であり、溝加工した例を示す。例えば図3のようにシールドの内面に溝を持たせたり、あるいは外面に溝を持たせたり、さらには図4のように内面と外面に溝を持たせることもできる。
【0015】
溝の機能としては、図5に示すように、樹脂の注型時に巻き込むボイドを溝の部分でトラップし、ボイドをシールド電極が取り囲むように機能する。これにより中心導体とシールド電極間で部分放電が発生し難くなり電気的な信頼性が向上する。また、溝加工することによりシールド電極と注型樹脂との接触面積が増加し接着性が向上するため、注型樹脂とシールド電極との剥離が低減され、信頼性の高い絶縁物が低コストで得られるという利点がある。
【0016】
次に本実施の形態1に係わる溝のサイズについて説明する。
図6は本実施の形態1によるブッシングの構成、及び形状を模式的に示す説明図である。シールド電極5として、アルミニウム製で電極部の厚さが5mmのものを用意し、このシールド電極5の表面に、溝の深さと溝の幅の比(アスペクト比:溝の深さ/溝の幅)を0(溝無し)から2まで変えて複数個試作し、これらをブッシングに注型したサンプルに関して部分放電試験を実施した。評価試験としては30kV電圧を印加して部分放電発生を調べた。試験結果を図7に示す。
図7の結果から、アスペクト比が0.4より小さいと部分放電が発生しており、アスペクト比が0.4以上、好ましくは0.5以上が適していることを見出した。また溝加工処理のないシールド電極(アスペクト比:0)は部分放電が発生した。
【0017】
なお、上記実施の形態1において、溝の方向は図6中のAからBにかけて平行に溝加工したシールド電極を示したが、溝方向はいずれの方向でもよく、A−Bに対して垂直であっても、両者が混ったものでもよい。また溝は特に直線的でなくともよく、螺旋形であっても溝同士が互いに交差していても良い。
【0018】
また、上記実施の形態1ではシールド電極に溝を施し、シールド電極が円周方向に連続的につながっているものを示したが、図8に示すように、軸方向の全てにわたって切断されている切断個所を有するものであってもよく、また複数個所が軸方向の全てにわたって切断された分割シールド電極としてもよい。これらのシールド電極は一部が絶縁物(注型樹脂)のフランジなどを通して外周部に配置され、外部より接地可能な設置電極を有した形で用いられる。
このようにすれば、絶縁物を製造する際に生じる注型樹脂の硬化収縮にシールド電極が追随できるため、注型樹脂とシールド電極とが剥離し難く、信頼性の高い絶縁物が提供できる。
【0019】
実施の形態2.
上記実施の形態1ではシールド電極に溝加工を施すものを示したが、少なくとも一個以上のスリットを有する構成としてもよい。
図9(a)〜(e)は本実施の形態2によるブッシングにおけるシールド電極を示す斜視図であり、(a)に示すように、同一方向にスリットを持たせたり、(b)に示すように交互にスリットを持たせたり、中抜き(c)(d)(e)、あるいはランダムにスリットを持たせることもできる。またスリット構造は特に直線的でなくともよく、螺旋形であっても途中のスリットの幅や長さなどのサイズが変化していても良い。
【0020】
スリットの機能としては、図10に示すように、樹脂の注型時に巻き込むボイドをスリットで逃がすことができ、これにより中心導体とシールド電極間で部分放電が発生し難くなり電気的な信頼性が向上する。また、スリット加工することによりシールド電極と注型樹脂との接触面積が増加し接着性が向上するため、注型樹脂とシールド電極との剥離が低減され、信頼性の高い絶縁物が低コストで得られるという利点がある。
【0021】
次に本実施の形態2に係わるスリット幅のサイズについて説明する。
シールド電極として、アルミニウム製で電極部の厚さが5mm、形状が図6に示すものを用意し、このシールド電極にスリット幅を0〜20mmまで変えて複数個試作し、これらを図2示すようなブッシングに注型したサンプルに関して部分放電試験を実施した。試験結果を図11に示す。
図11の結果から、スリット幅が10mmより大きいとブッシング取り付けフランジ端部から部分放電が開始しており、スリット幅は12mm以下、好ましくは10mm以下が適していることを見出した。ブッシング取り付けフランジ端部での部分放電を発生させないためには、フランジ端部と対向するフランジ表面の電位を200V以下にしなければならない。これは、図2に示すブッシングフランジ部を大気中で使用する場合、上記フランジ表面の電位を、最低火花開始電圧である235V以下にしておけば、この部分での部分放電の発生は生じない。図11に併記したカーブは図2に示す形状において計算されたブッシング表面電位とシールドのスリット幅の関係であり、スリット幅が12mmより大きいとスリットからの電位の漏れが大きくなり、それによって表面電位が増大し、表面電位が200Vを越えるとフランジ端部で部分放電が発生することが分かる。またスリット加工を施していないシールド電極(スリット幅:0)は部分放電が発生した。
【0022】
なお、上記実施の形態1に示した溝加工を施したシールド電極と本実施の形態2に示すスリット加工を施したシールド電極との併用は何ら支障なく、またひとつのシールド電極の中に溝とスリットを持たせたシールド電極を用いても問題ない。これらのシールド電極は一部が絶縁物(注型樹脂)のフランジなどを通して外周部に配置され、外部より接地可能な設置電極を有した形で用いられる。
【0023】
また、上記実施の形態2ではシールド電極にスリットを施し、シールド電極が円周方向に連続的につながっているものを示したが、実施の形態1と同様、図8に示すような切断個所を有するものであってもよく、また複数個所が軸方向の全てにわたって切断された分割シールド電極としてもよい。これらのシールド電極は一部が絶縁物(注型樹脂)のフランジなどを通して外周部に配置され、外部より接地可能な設置電極を有した形で用いられる。
【0024】
なお、説明するまでもないが、スリット端部、特にシールド電極の内面の端部は電界が高くなるので、端部のR加工をすることは当然であり、Rは0.5mm以上が好ましい。
【0025】
実施の形態3.
本実施の形態はシールド電極に少なくとも一個以上の孔(貫通または閉塞)を有するものである。
シールド電極に孔(貫通または閉塞)を持たせる場合の一例としては、たとえばシールド全面に孔を持たせたり、あるいは部分的に、あるいはランダムに持たせることもできる。また各孔のサイズが変化していても良い。
【0026】
孔の機能としては、注型樹脂による絶縁物の注型時に巻き込むボイドを孔(閉塞)でトラップ、あるいは孔(貫通)で逃がすことができ、これにより中心導体とシールド電極間で部分放電が発生し難くなり電気的な信頼性が向上する。また、孔を設けることによりシールド電極と注型樹脂との接触面積が増加し接着性が向上するため、注型樹脂とシールド電極との剥離が低減され、信頼性の高い絶縁物が低コストで得られるという利点がある。
【0027】
次に本実施の形態3に係わる孔について説明する。
孔(閉塞)の作製に関しては、例えば、硬質粉の打ち付け、たとえばアルミナや鉄粉をショットすることによるブラストなどの機械的加工、エッチング、クロム酸などを用いる化学的処理などで形成させることができる。このような方法によりシールド電極表面に孔(閉塞)を作製した。この際、処理方法を制御することにより、孔(閉塞)によりできるシールド電極表面の表面粗さを10〜100μmまで変えて複数個試作し、各シールド電極と注型樹脂との接着強度を測定した。測定結果を図12に示す。
図12の結果から、孔(閉塞)によりシールド電極表面にできる表面粗さは20μm以上好ましくは30μm以上であれば接着強度が大幅に向上することを見出した。また、接着強度が高いほど剥離しにくく、その結果、部分放電も抑制できることが判明した。
【0028】
なお、孔(閉塞)の作製方法は上記方法に限らない。
また、孔は閉塞孔に限らず、貫通孔であってもよく、同様の結果が得られた。
【0029】
部分放電と孔のサイズとの関連は、孔(閉塞)の場合は実施の形態1と同様に、孔(閉塞)の深さと孔(閉塞)の径との比が0.4以上が適しており、孔(貫通)の場合は実施の形態2と同様に、孔(貫通)の径が12mm以下が望ましい。
【0030】
また、本実施の形態3に示す孔(貫通または閉塞)を設けたシールド電極と、上記実施の形態1に示す溝加工を施したシールド電極や上記実施の形態2に示すスリット加工を施したシールド電極との併用は何ら支障なく、またひとつのシールド電極の中に溝、スリット、及び孔(貫通または閉塞)を持たせたシールド電極を用いても問題ない。
【0031】
また、シールド電極は円周方向に連続的につながっているものに限らず、実施の形態1、2と同様、図8に示すような切断個所を有するものであってもよく、また複数個所が軸方向の全てにわたって切断された分割シールド電極としてもよい。これらのシールド電極は一部が絶縁物(注型樹脂)のフランジなどを通して外周部に配置され、外部より接地可能な設置電極を有した形で用いられる。
【0032】
実施の形態4.
上記各実施の形態ではシールド電極の材質として、銅、錫、亜鉛、アルミニウム、鉄、マグネシウム、一般に用いられている合金など金属を用いたが、プラスチックあるいはゴムを用いることもできる。
【0033】
シールド電極を導電性のプラスチックを用いて作製する場合において、その導電性に関しては、図2に示すブッシングに注型したサンプルに関して、雷インパルス試験を実施した結果、図13に示すように体積抵抗率105Ωcm以下、好ましくは104Ωcm以下であればブッシング沿面でのフラシオーバ(F/O)電圧が低下しないことが分かった。これは、図2に示すブッシングにおいて、雷インパルス電圧を印加した場合に、フランジ端部の部分放電がトリガとなってF/O電圧が低下することが分かった。従って、フランジ端部と対向するフランジ表面の電位を200V以下にしなければならない。これは、図2に示すブッシングフランジ部を大気中で使用する場合、最低火花開始電圧である235V以下にしておけば、この部分での部分放電の発生は生じないからである。図13に併記したカーブは、図2に示す形状において計算されたブッシング表面電位と樹脂シールド電極の体積抵抗率の関係であり、表面電位が200Vを越えると雷インパルス電圧でF/Oすることが分かる。
【0034】
導電性を発現するプラスチック材料としてはカーボン、金属粉、金属酸化物など導電性発現材料であればよく、その表面の処理方法に特に限定はない。
また、導電性発現材料の形状に関しても破砕、球状、針状など特に限定されるものではない。
また、導電性プラスチックは、上記のように体積抵抗率が105Ωcm以下であれば良く、導電性発現材料のほかに通常の無機充填剤などが混合されて用いられても何ら問題ない。
さらに、上記導電性プラスチックのマトリクス樹脂として用いられる樹脂がポリエチレン、ポリスチレン、ポリエーテルスルフォン、ポリエチレンテレフラレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロンなどの熱可塑性樹脂であっても、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、BMC(Balk Molding Compound)といった不飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂であっても特にその材質には限定はない。
これらの樹脂において上記体積抵抗率以外の特性としては、熱膨張率が絶縁物(注型樹脂)に近いほど界面での発生応力が小さくできるため好ましい。また耐熱性に関してはガラス転移温度が80℃以上、好ましくは100℃以上あればよい。
【0035】
上記シールド電極を絶縁性のプラスチックを用いて作製する場合は、その表面に抵抗率105Ωcm以下、好ましくは104Ωcm以下の材料で被覆して用いられる。この被覆材料に関しては特に限定はなく体積低効率が105Ωcm以下であれば前述の導電性プラスチックや、シリコーン系、ブタジエン系、ウレタン系などの導電性ゴムや導電性塗料を用いてもよく、またこれらに限るものではなく体積低効率が105Ωcm以下の材料であれば用いることができる。
【0036】
シールド電極を形成する絶縁性のプラスチックとしては、熱硬化性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良くその材質には特に限定はない。これらの樹脂において必要とされる特性としては、熱膨張率が絶縁物(注型樹脂)に近いほど界面での発生応力が小さくできるため好ましい。また耐熱性に関してはガラス転移温度が80℃以上、好ましくは100℃以上あればよい。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、シールド電極を105Ωcm以下の体積抵抗率を有する導電性プラスチックで構成したので、熱膨張率が注型樹脂に近いものが選定でき、剥離し難い、信頼性の高い絶縁物が提供できる。
また、シールド電極を絶縁性プラスチックで構成し、上記絶縁性プラスチックの表面を105Ωcm以下の体積抵抗率を有する導電性材料で被覆したので、熱膨張率が注型樹脂に近いものが選定でき、剥離し難い、信頼性の高い絶縁物が提供できる。
【0038】
実施の形態5.
上記各実施の形態で示されたシールド電極を使用する際に、絶縁物(注型樹脂)とシールド電極との界面での接着性を向上させる目的で、シールド電極の表面に接着性を有するプライマ材料で被覆したり、カップリング剤で被覆するとよい。
【0039】
接着性を有するプライマ材料としては、エポキシ樹脂などが挙げられ、そのエポキシ樹脂としてはエピコート828(ジャパンエポキシ社製)などの液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピコート807(ジャパンエポキシ社製)などの液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エピコート1001(ジャパンエポキシ社製)などの固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂、EOCN−102S(日本化薬社製)などのオルトークレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エピコート152(ジャパンエポキシ社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、CY179(バンティコ社製)などの脂環式エポキシ樹脂、ELM100(住友化学工業製)などのグリシジルーアミノフェノール系エポキシ樹脂、EPPN501(日本化薬社製)などの特殊多官能エポキシ樹脂が挙げられるが、これに限ったものではない。
また、これらは単独で用いても2種類以上を併用して用いても良い。
【0040】
さらに、この硬化剤としてはメチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸などの脂環式酸無水物、ドデセニル無水コハク酸などの脂肪族酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸などの芳香族酸無水物、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジドなどの有機ジヒドラジド、トリス(ジメチルアミノメリツ)フェノール、ジメチルベンジルアミン、1、8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデカン、およびその誘導体、2−メチルイミダゾール、2−エチルー4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどのイミダゾール類があげられるが、これに限ったものではない。
また、これらは単独で用いても2種類以上を併用して用いても良い。
また、粘度調整材料としてアセトン、トルエンなどの有機溶媒を適宜用いることはなんら問題ない。
【0041】
カップリング剤としてはγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤やアルミニウム系カップリング剤、チタネート系カップリング剤を用いることができる。
これらは単独で用いても2種類以上を併用して用いても良い。
また、上記プライマとの併用も問題なく、さらに粘度調整材料としてアセトン、トルエンなどの有機溶媒を適宜用いることはなんら問題ない。
【0042】
実施の形態6.
図14は本実施の形態6による高電圧機器を示す構成図であり、上記各実施の形態に示すシールド電極を埋め込んだブッシングを用いてガス絶縁開閉装置を構成した例である。図14において、11は母線、12、15は断路器、13はガス区分スペーサ、14はエポキシブッシング、16は真空遮断器である。上記構成のガス絶縁開閉装置において、エポキシブッシング14に対して、上記各実施の形態のブッシングを適用すれば、信頼性の高いガス絶縁開閉装置を提供することが可能となる。
【実施例】
【0043】
実施例1〜3.
シールド電極として、溝幅0.5mm、深さ0.75mmの複数の溝(アスペクト比:1.5)を6mm間隔で図6中のAからBにかけて互いに平行に加工したもの(実施例1)、A−Bに対して垂直に加工したもの(実施例2)、実施例1と実施例2の両者を加工したもの(実施例3)を用いて試験をした。比較として溝のないアルミニウム電極(比較例1)に関しても試験を実施した。評価試験としては30kV電圧を印加して部分放電発生を調べた。さらに−30℃・3時間と90℃・3時間を交互に10サイクル実施するヒートサイクル(H/C)試験を実施し、その後の耐クラック性評価と30kV印加の部分放電試験も実施した。なお各実施例、比較例のサンプル数は5個とした。結果を表1に示す。その結果、実施例1〜3のいずれのシールド電極においても良好な部分放電特性を示し、さらにH/C試験後もクラック発生は無く、また部分放電特性も良好であった。比較例1はH/C試験前から部分放電が発生し、さらにH/C試験後にクラックが発生したため部分放電試験は実施しなかった。
【0044】
【表1】

【0045】
実施例4〜6.
シールド電極として、スリット構造を持つアルミニウム電極で、図6の形状寸法のシールド電極を用い、さらにそのスリット構造としては、スリット幅5mmのスリットを16mm間隔で6本、図6中のAからBに向けて、図9(a)に示すように同一方向に設けたもの(実施例4)、図9(b)に示すように交互方向に設けたもの(実施例5)、および実施例4のものとさらに図6中のAからBにかけて幅0.5mm、深さ0.5mmの溝加工を施したもの(実施例6)に関して試験をした。評価試験としては30kVの電圧を印加して部分放電試験をした。さらに−30℃・3時間と90℃・3時間を交互に10サイクル実施するヒートサイクル(H/C)試験を実施し、その後の耐クラック性評価と30kV印加の部分放電試験も実施した。なお各実施例のサンプル数は5個とした。結果を表2に示す。その結果、いずれのシールド電極においても良好な部分放電特性を示し、さらにH/C試験後もクラックの発生が無く、また部分放電特性も良好であった。
【0046】
【表2】

【0047】
実施例7〜10.
シールド電極として、溝やスリットがないアルミニウム電極で、図6の形状寸法のシールド電極を用い、さらにブラスト処理(表面粗さ50μm)をしたもの(実施例7)、重クロム酸カリウム処理(表面粗さ40μm)をしたもの(実施例8)、前述の実施例4のスリットを設けたものに実施例7のブラスト処理をしたもの(実施例9)、および実施例6の溝とスリットを設けたものに実施例7のブラスト処理をしたもの(実施例10)に関して試験をした。評価試験としては30kVの電圧を印加して部分放電特性を調べた。さらに−30℃・3時間と90℃・3時間を交互に10サイクル実施するヒートサイクル(H/C)試験を実施し、その後の耐クラック性評価と30kV印加の部分放電試験も実施した。なお各実施例のサンプル数は5個とした。結果を表3に示す。表3には各実施例及び前記比較例1の接着強度も合わせて記す。その結果、実施例7〜10のいずれのシールド電極においても良好な部分放電特性を示し、さらにH/C試験後もクラックの発生が無く、また部分放電特性も良好であった。比較例1は接着強度が実施例7〜10に比べ低く、H/C試験前から部分放電が発生し、さらにH/C試験後にクラックが発生したため部分放電試験は実施しなかった。
【0048】
【表3】

【0049】
実施例11〜19.
体積抵抗率104Ωcmの導電性プラスチック樹脂(ガラス転移温度102℃)を用いて実施例1、4、5、9、10と同様の加工を施したシールド電極(実施例11〜15)を作製し試験した。また比較例として上記導電性樹脂により溝やスリットや孔といった加工のない樹脂シールド電極(比較例2)を試作し試験した。また絶縁性のプラスチック樹脂(体積低効率1016Ωcm、ガラス転移温度106℃)を用いて実施例1、4と同様の加工を施したシールド電極を作製し、この表面をPOWERSIL402(WACKER製、体積低効率5Ωcm)でコーティングしたシ−ルド電極(実施例16、17)を作製し試験した。また比較例2のシールド電極表面に実施例7のブラスト処理を施し、さらにPOWERSIL402をコーティングしたシールド電極(実施例18)、絶縁性の樹脂により溝やスリットや孔といった加工のない樹脂シールド電極表面に実施例7のブラスト処理をした後、POWERSIL402をコーティングしたシールド電極(実施例19)を作製し試験した。評価試験としては30kVの電圧を印加して部分放電特性を調べた。さらに−30℃・3時間と90℃・3時間を交互に10サイクル実施するヒートサイクル(H/C)試験を実施し、その後の耐クラック性評価と30kV印加の部分放電試験も実施した。なお各実施例のサンプル数は5個とした。結果を表4に示す。その結果、いずれのシールド電極においても良好な部分放電特性を示し、さらにH/C試験後もクラックの発生が無く、また部分放電特性も良好であった。比較例2はH/C試験前から部分放電が発生し、さらにH/C試験後にクラックが発生した。
【0050】
【表4】

【0051】
実施例20〜26.
プライマとしてエピコート828とHN2200(日立化成製)と2−エチルー4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を100:80:1で混合した混合物(プライマ1)、エピコート1001(E−1001)と2E4MZを100:1で混合した混合物(プライマ2)、エピコート152と2E4MZを100:1で混合した混合物(プライマ3)、EPPN501と2E4MZを100:1で混合した混合物(プライマ4)、プライマ2とプライマ3を1:1で混合した混合物(プライマ4)、プライマ2とプライマ4を1:1で混合した混合物(プライマ5)をそれぞれアセトン溶液で調整した。
実施例1のシールド電極、実施例4のシールド電極、実施例7のシールド電極の表面に上記プライマ1を塗布したシールド電極(実施例20、21、22)、実施例7のシールド電極の表面に上記プライマ2、3、4、5を塗布したシールド電極(実施例23、24、25、26)を作製し試験した。評価試験としては30kVの電圧を印加して部分放電特性を調べた。さらに−30℃・3時間と90℃・3時間を交互に10サイクル実施するヒートサイクル(H/C)試験を実施し、その後の耐クラック性評価と30kV印加の部分放電試験も実施した。なお各実施例のサンプル数は5個とした。結果を表5に示す。その結果、いずれのシールド電極においても良好な部分放電特性を示し、さらにH/C試験後もクラックの発生が無く、また部分放電特性も良好であった。
【0052】
【表5】

【0053】
実施例27〜30.
カップリング剤としてチタネート系カップリング剤KR44(味の素製)、アルミニウム系カップリング剤としてAL−M(味の素製)、シランカップリング剤としてKBM403およびKBM603(信越シリコーン製)を用い、実施例4のシールド電極の表面に塗布したシ−ルド電極(実施例27、28、29、30)を作製し試験した。評価試験としては30kVの電圧を印加して部分放電特性を調べた。さらに−30℃・3時間と90℃・3時間を交互に10サイクル実施するヒートサイクル(H/C)試験を実施し、その後の耐クラック性評価と30kV印加の部分放電試験も実施した。なお各実施例のサンプル数は5個とした。結果を表6に示す。その結果、いずれのシールド電極においても良好な部分放電特性を示し、さらにH/C試験後もクラックの発生が無く、また部分放電特性も良好であった。
【0054】
【表6】

【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1による絶縁スペーサを示す縦断面図及び横断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるブッシングを示す縦断面図及び横断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1によるブッシングにおけるシールド電極を示す斜視図及び断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1によるブッシングにおける他のシールド電極を示す斜視図及び断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係わる溝の機能を説明する説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1によるブッシングの構成、及び形状を模式的に示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係わる溝のサイズと部分放電特性との関連を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1によるブッシングにおける他のシールド電極を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2によるブッシングにおけるシールド電極を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係わるスリットの機能を説明する説明図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係わるスリットのサイズと部分放電特性との関連を説明する説明図である。
【図12】本発明の実施の形態3に係わる孔によりシールド電極表面にできる表面粗さと接着強度との関係を説明する説明図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係わるシールド電極の体積抵抗率と耐圧特性との関係を説明する説明図である。
【図14】本発明の実施の形態6による高電圧機器を示す構成図である。
【符号の説明】
【0056】
1,1a,1b 接地容器、2 絶縁ガス、3 中心導体、4 絶縁物、41 絶縁スペーサ、42、ブッシング、5 低圧側電界緩和シールド電極、6 高圧側電界緩和シールド電極、11 母線、12,15 断路器、13 ガス区分スペーサ、14 エポキシブッシング、16 真空遮断器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧導体の周囲を取り囲むシールド電極を埋め込み、樹脂により注型された絶縁物において、上記シールド電極は、上記樹脂と上記シールド電極との間の電極表面に、ボイドを取り込む一個以上の溝を有し、上記溝の深さと上記溝の幅との比(溝の深さ/溝の幅)が0.4以上であることを特徴とするシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項2】
高電圧導体の周囲を取り囲むシールド電極を埋め込み、樹脂により注型された絶縁物において、上記シールド電極は、ボイドを上記シールド電極の外側に逃がす一個以上のスリットを有し、上記スリット幅が12mm以下であることを特徴とするシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項3】
高電圧導体の周囲を取り囲むシールド電極を埋め込み、樹脂により注型された絶縁物において、上記シールド電極は、上記樹脂と上記シールド電極との間の電極表面に、ボイドを取り込む、あるいはボイドを上記シールド電極の外側に逃がす一個以上の孔を有し、上記孔が閉塞孔の場合は、上記閉塞孔の深さと上記閉塞孔の径との比が0.4以上であり、上記孔が貫通孔の場合は、上記貫通孔の径が12mm以下であることを特徴とするシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項4】
シールド電極は円筒形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項5】
シールド電極は円筒形状であり、円周方向に長いスリットを有することを特徴とする請求項2記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項6】
溝の深さと溝の幅との比(溝の深さ/溝の幅)、または閉塞孔の深さと閉塞孔の径との比が0.4〜2であることを特徴とする請求項1または3記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項7】
スリット幅、または貫通孔の径が4〜12mmであることを特徴とする請求項2または3記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項8】
シールド電極は周方向に亘って一体成形されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項9】
シールド電極表面の表面粗度が20μm以上となるようにしたことを特徴とする請求項3記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項10】
シールド電極は、軸方向の全てにわたって切断されている切断個所を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項11】
シールド電極を105Ωcm以下の体積抵抗率を有する導電性プラスチックで構成したことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項12】
シールド電極を絶縁性プラスチックで構成し、上記絶縁性プラスチックの表面を105Ωcm以下の体積抵抗率を有する導電性材料で被覆したことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項13】
シールド電極の表面を接着性を有するプライマ材料で被覆したことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のシールド電極を埋め込んだ絶縁物を高電圧導体の周囲に配設し、上記高電圧導体を絶縁支持することを特徴とする高電圧機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2006−115691(P2006−115691A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335540(P2005−335540)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【分割の表示】特願2002−29584(P2002−29584)の分割
【原出願日】平成14年2月6日(2002.2.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】