説明

シールド電線の固定構造

【課題】構造を簡素にでき、部品コストを低減できるとともに、組み付け時に使用する設備を削減でき、接続安定性を向上させることができるシールド電線の固定構造を得る。
【解決手段】シールド電線11の固定構造において、電線19、電線19を覆う編組15、編組15を覆うシース21を含んで構成されるシールド電線11と、電線19に接続された端子金具25を収容する絶縁ハウジング27と、絶縁ハウジング27が内部に装着される一対の分割シールドシェル43と、電線19が導出される絶縁ハウジング27の電線導出口を覆う部分の分割シールドシェル43にそれぞれプレス成型され、貫通する電線19に沿った外面に凹設された溝形状部67と、合わせ固定された一対の分割シールドシェル43の溝形状部67により構成された環状装着溝65との間に編組15の終端部17が位置する状態で環状装着溝65に締め付け固着される固定バンド71と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド電線をシールドシェルに取り付けるためのシールド電線の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車等の各種車両の給電や配線等に用いるシールド電線において、その終端部に取り付けるシールドコネクタとして、例えば特許文献1等に記載のものが知られている。
図6に示すように、このシールドコネクタ501は、シールド電線503によって貫通されるシールドリング505を備える。また、編組507及びシース509が剥離されたシールド電線503のうちの芯線及び絶縁被覆511によって貫通されるとともに剥離された編組507の終端部によって外周が覆われる中空筒状の小径部513と、小径部513から延設され、芯線及び絶縁被覆511によって貫通される中空形状の本体部515と、を有するシールドシェル517を備える。更に、シールドシェル517の本体部515の内部に、シールド電線503の芯線及び絶縁被覆511によって貫通された状態で固定されるインナーホルダー519を備える。
【0003】
そして、シールドコネクタ501をシールド電線503に固定する際には、図7に示すように、シールド電線503の一端から所要の長さだけシース509を切除して編組507を露出させる。次に、シールドシェル517の小径部513、シールド電線503の編組507の折返部521(図6参照)、シールドリング505が積層された部分に対して、加締めダイス523,525を上下から挟持するようにセットする。
【0004】
そして、シールドシェル517の小径部513に内挿するように中子527をセットした後、加締めダイス523,525を締め付けてシールドリング505を加締める。中子527は、高い剛性をもっており、加締めダイス523,525を締め付けて小径部513に対してシールドリング505を加締めた際に、その外力に対して小径部513を内側から押し返す。即ち、中子527により、シールドリング505の加締め処理に伴う小径部513の変形を抑止することができる。加締め作業が完了した後に、加締めダイス525を取り外すとともに中子527を抜脱する。これにより、編組507をシールドシェル517に強固に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−268562号公報
【特許文献2】特開2011−44354号公報
【特許文献3】特開2010−170778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のシールドコネクタ501は、シールドリング505を加締める際に中子527、加締めダイス523,525等の設備を使用するため、製造コストが高くなるという問題があった。
更に、加締める際にシールドシェル517が変形することにより、機器側との嵌合、接地が不安定になることが懸念される。また、変形部と電線とが接触し、電線の傷つきも懸念される。
これに対し、シールドシェルをダイキャスト製とすることにより、中子が不要で工具による外部操作のみで加締めて編組を固定する技術が特許文献2、特許文献3等に開示されている。しかしながら、シールドシェルをダイキャスト製とすることにより、重量が大きくなるとともに、製造コストも大幅に高くなる問題があった。
【0007】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、構造を簡素にでき、部品コストを低減できるとともに、組み付け時に使用する設備を削減でき、しかも、接続安定性を向上させることができるシールド電線の固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 電線、前記電線を覆う編組、前記編組を覆うシースを含んで構成されるシールド電線と、前記電線に接続された端子金具を収容する絶縁ハウジングと、半筒状に形成され、前記絶縁ハウジングが内部に装着される一対の分割シールドシェルと、前記電線が導出される前記絶縁ハウジングの電線導出口を覆う部分の前記分割シールドシェルにそれぞれプレス成型され、貫通する前記電線の周方向に沿った外面に凹設された溝形状部と、合わせ固定された一対の前記分割シールドシェルの溝形状部により構成された環状装着溝との間に前記編組の終端部が位置する状態で前記環状装着溝に締め付け固着される編組固定部材と、を備えることを特徴とするシールド電線の固定構造。
【0009】
上記(1)の構成のシールド電線の固定構造によれば、一対の分割シールドシェルが合わせ固定されることで、それぞれに形成された溝形状部によって環状装着溝が構成される。この環状装着溝に編組の終端部が被せられ、終端部の外側から編組固定部材が固着されることで、シールド電線が簡素な構造で分割シールドシェルに固定される。即ち、分割シールドシェルを板金材により形成できるので、ダイキャスト製の従来シールドシェルに比べ固定構造が軽量且つ安価となる。また、編組固定部材が、環状装着溝に被せた編組の終端部を構造的に抜け止めして締結できる。これにより、従来のシールドリングを加締めて塑性変形させるための中子、加締めダイス等を使用せずに組み付けできる。加締める必要がないので、分割シールドシェルに変形が生じにくく、接地が不安定になったり、変形部と電線との接触により電線が傷ついたりすることも起きにくくなる。
【0010】
(2) 前記一対の分割シールドシェルが、前記絶縁ハウジングにおける電線導出口を覆う部分の一部を覆う第1の分割シールドシェルと、前記絶縁ハウジングにおける電線導出口を覆う部分の他の部分及び本体部分を覆う第2の分割シールドシェルと、を備えることを特徴とする上記(1)に記載のシールド電線の固定構造。
【0011】
上記(2)の構成のシールド電線の固定構造によれば、第2の分割シールドシェルが、絶縁ハウジングにおける電線導出口を覆う部分の他の部分及び本体部分を継ぎ目無く一体に覆うことができるので、良好なシールド特性を得ることができる。
【0012】
(3) 前記絶縁ハウジングの外面に位置決めボスを設け、前記第2の分割シールドシェルに設けた位置決め穴を係合させることを特徴とする上記(2)に記載のシールド電線の固定構造。
【0013】
上記(3)の構成のシールド電線の固定構造によれば、第1及び第2の分割シールドシェルにて絶縁ハウジングを覆う際には、先ず、第2の分割シールドシェルは、位置決め穴を絶縁ハウジングの位置決めボスに係合させて、絶縁ハウジングに位置決めされる。そして、絶縁ハウジングに対して位置決めされた第2の分割シールドシェルに第1の分割シールドシェルが固定されるので、第1及び第2の分割シールドシェルと絶縁ハウジングとが高精度に位置決め固定される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るシールド電線の固定構造によれば、構造を簡素にでき、部品コストを低減できる。また、組み付け時に使用する設備を削減できる。更に、接続安定性を向上させることができる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係るシールド電線の固定構造を有するシールドコネクタの正面図である。
【図2】図1に示したシールドコネクタのA−A断面矢視図である。
【図3】図1に示したシールドコネクタの分解斜視図である。
【図4】本発明の変形例に係るシールド電線の固定構造を有するシールドコネクタの分解斜視図である。
【図5】図4に示したシールドコネクタの縦断面図である。
【図6】従来のシールドコネクタの分解斜視図である。
【図7】図6に示したシールドコネクタの組立状況を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態に係るシールド電線の固定構造を詳細に説明する。
図1〜図3に示すように、本発明の一実施形態に係るシールド電線の固定構造を有するシールドコネクタ13は、例えば、電気自動車のインバータ装置と、車両搭載電気機器のモータとの間を電気接続するべくインバータ装置側に装着されて使用される。
【0018】
シールド電線11は、電線19、電線19を覆う編組15、編組15を覆うシース21を含んで構成される。電線19は、中心の芯線と、芯線の外周を被覆する絶縁性の樹脂等の絶縁体で形成した絶縁被覆23と、からなる。本実施形態のシールド電線11は、2芯のものが一括シールドされた構成のものであるが、単芯或いは3芯以上の芯線が一括シールドされた構成であってもよい。なお、編組15には、予め、所要長さだけ内側(または外側)に折返された折返部が終端部17に形成されていてもよい。
【0019】
シールドコネクタ13は、電線19に接続された端子金具25を絶縁ハウジング27に収容する。端子金具25は、導電性に優れた金属板をプレス加工して形成され、接続部29の後方に設けられたバレル31が絶縁ハウジング27内に収容される。この接続部29の後方に設けられたバレル31が、電線19の皮剥きされて露出した芯線の端末に加締められて固着される。そして、図示しない相手の機器側シールドコネクタに収容された端子に接続部29が嵌合する。
【0020】
絶縁ハウジング27は、合成樹脂製であって、端子金具25の接続部29を突出させる楕円筒状の嵌合筒部33と、この嵌合筒部33の軸線と直交する軸線に沿って電線19を導出する電線導出口35と、を有する。すなわち、絶縁ハウジング27は、嵌合筒部33と電線導出口35とが直交する略L字形状に形成されている。
嵌合筒部33の外周には、機器側シールドコネクタとの間を水密・防塵シールするためのユニットパッキン37が装着されている。嵌合筒部33内における端子金具25の下方には、インターロック39が配設される。インターロック39は、機器側シールドコネクタとの間の嵌合状態を電気的に検知するための検知端子41を装着する。
【0021】
絶縁ハウジング27は、一対の分割シールドシェル43によって覆われる。分割シールドシェル43は、半筒状に形成され、内部に絶縁ハウジング27を装着する。本実施形態において、分割シールドシェル43は、第1の分割シールドシェル45と、第2の分割シールドシェル47と、からなる。これら第1の分割シールドシェル45及び第2の分割シールドシェル47は、板金材を用いた板金加工により形成される。
【0022】
図2に示すように、第1の分割シールドシェル45は、絶縁ハウジング27における電線導出口35を覆う部分の一部(図2中左側部分)49aを覆う。即ち、第1の分割シールドシェル45は、略L字形状に形成された絶縁ハウジング27の入隅側を覆う。そこで、第1の分割シールドシェル45は、絶縁ハウジング27における電線導出口35の一部分のみを覆う小蓋状に形成される。
【0023】
第2の分割シールドシェル47は、絶縁ハウジング27における電線導出口35を覆う部分の他の部分(図2中右側部分)49bと本体部分51を覆う。即ち、第2の分割シールドシェル47は、略L字形状に形成された絶縁ハウジング27の出隅側を覆う。そこで、第2の分割シールドシェル47は、第1の分割シールドシェル45に比べ大きい箱状に形成される。
従って、本実施形態の第2の分割シールドシェル47は、絶縁ハウジング27における電線導出口35を覆う部分の他の部分49b及び本体部分51を継ぎ目無く一体に覆うことができるので、良好なシールド特性を得ることができる。
【0024】
図1及び図3に示すように、第1の分割シールドシェル45の両側部には、ボルト53の挿通されるボルト固定部55が突設されている。このボルト固定部55に挿通されたボルト53は、第2の分割シールドシェル47の側部に突設されたボルト締結板部57に固定される(図4参照)。ボルト締結板部57には予め雌ネジが形成されていてもよく、ナットが溶着されていてもよい。また、別体のナットがボルト53に螺合されてもよい。
【0025】
絶縁ハウジング27上部の外面には、位置決めボス61が設けられている。この位置決めボス61には、第2の分割シールドシェル47に設けられた位置決め穴63が係合する。即ち、分割シールドシェル43にて絶縁ハウジング27を覆う際、先ず、第2の分割シールドシェル47が、位置決め穴63を絶縁ハウジング27の位置決めボス61に係合させて、絶縁ハウジング27の正規の位置に位置決め保持される。そして、絶縁ハウジング27に対して位置決め保持された第2の分割シールドシェル47に対して、第1の分割シールドシェル45がボルト固定される。これにより、一対の分割シールドシェル43が、絶縁ハウジング27に対して高精度に位置決め固定されるようになっている。
【0026】
電線19が導出される絶縁ハウジング27の電線導出口35を覆う部分の分割シールドシェル43には、電線19の周方向に沿って環状装着溝65が形成される。この環状装着溝65は、絶縁ハウジング27の電線導出口35を覆う部分の第1及び第2の分割シールドシェル45,47の双方にそれぞれ溝形状部67としてプレス成型されている。即ち、環状装着溝65は、合わせ固定された一対の第1及び第2の分割シールドシェル45,47の外面に電線19の周方向に沿って凹設された各溝形状部67によって構成される。
【0027】
この環状装着溝65は、溝を挟む一方側(端部側の溝壁)がフランジ部69となる。環状装着溝65には、編組15の終端部17がフランジ部69を外側から包囲し乗り越えて装着される。この環状装着溝65に装着された編組15の外側には、編組固定部材である固定バンド71が固定される。固定バンド71は、環状装着溝65との間に編組15の終端部17が位置する状態で環状装着溝65に締め付け固着される。
【0028】
固定バンド71は、所要の強度を有する薄い金属製の薄板材料で形成される。図1に示すように、固定バンド71はバンド基端に設けられたバンド固着部75に、バンド先端77が挿入固定されて、編組15を締結する。これにより、従来のシールド電線の固定構造のような中子が不要となり、工具による外部操作のみで編組15を固定することができる。
尚、本実施形態においては、編組固定部材として薄い金属製の固定バンド71を用いたが、インシュロック(登録商標)等の合成樹脂製又はステンレス製の結束バンドや、締付けバンドなど種々の固定部材を用いることができることは云うまでもない。
【0029】
固定バンド71を用いたシールド電線11の固定構造では、環状装着溝65にシールド電線11を組み付ける際、その内部に編組15、環状装着溝65、電線19の順に径方向内側に向かって配置される。環状装着溝65は、編組15の終端部17が外側面を覆い、シールド電線11の芯線及び絶縁被覆23がその内方を貫通することになる。この終端部17の外周面に固定バンド71が締結され、終端部17は固定バンド71と環状装着溝65とに挟まれて固定される。この際、固定バンド71は、内径がフランジ部69の外径よりも小さくなるので、固定バンド71及び編組15は、環状装着溝65からの脱落が阻止される。
【0030】
次に、上記シールドコネクタ13の組立手順を説明する。
シールドコネクタ13を組み立てるには、先ず、シールド電線11の一端から所要の長さだけシース21を切除して編組15及び電線19を露出させる。そして、一端が端子金具25に接続されたシールド電線11を絶縁ハウジング27の電線導出口35から導出させる。
次に、芯線を被覆している絶縁被覆23から剥離させた編組15の一端側を、テーパ状に拡開させる。そして、編組15の端から一定長さの領域を外側または内側へ折り返して終端部17とする。
【0031】
絶縁ハウジング27には、位置決めボス61に位置決め穴63を係合して、第2の分割シールドシェル47を仮固定した後、この第2の分割シールドシェル47に第1の分割シールドシェル45をボルト53にて固定する。第1の分割シールドシェル45及び第2の分割シールドシェル47が固定されることで、絶縁ハウジング27が分割シールドシェル43によって覆われる。そして、一体に固定された分割シールドシェル43の電線導出口35を覆う部分には、上述したように環状装着溝65が構成されることになる。
【0032】
次に、環状装着溝65の外周を覆うように編組15の終端部17が外装される。環状装着溝65に装着された編組15の終端部17に、外側から固定バンド71を締結する。固定バンド71の締結により、編組15の終端部17を固定バンド71と環状装着溝65とによって挟んで固定し、分割シールドシェル43とシールド電線11との固定を完了する。
【0033】
上記構成を有するシールド電線11の固定構造の作用を説明する。
本実施形態に係るシールド電線11の固定構造では、第1の分割シールドシェル45と第2の分割シールドシェル47とが合わせ固定されることで、それぞれに形成された溝形状部67によって環状装着溝65が構成される。環状装着溝65に編組15の終端部17が被せられ、終端部17の外側から固定バンド71が固着されることで、シールド電線11が簡単な構造で分割シールドシェル43に固定される。
【0034】
また、分割シールドシェル43を板金材により形成できるので、ダイキャスト製の従来シールドシェルに比べ軽量且つ安価となる。更に、環状装着溝65に被せた編組15の終端部17を、固定バンド71で構造的に抜け止めして締結できる。これにより、従来のシールドリングを加締めて塑性変形させるための中子や加締めダイス等を使用せずに、組み付けできる。加締める必要がないので、分割シールドシェル43に変形が生じにくく、接地が不安定になったり、変形部と電線19との接触により電線19が傷ついたりすることも起きにくくなる。
【0035】
このように、本実施形態に係るシールドコネクタ13では、第1及び第2の分割シールドシェル45,47からなる一対の分割シールドシェル43に環状装着溝65を設けることにより、固定バンド71に大きな保持力を必要としない。即ち、固定バンド71が環状装着溝65に引っ掛かることにより、編組15、固定バンド71の抜けを共に防止している。
【0036】
また、固定バンド71を組み付ける際、従来使用していた中子や加締めダイスのような大きな設備を必要とせず、固定バンド71を締め付ける治具のみでよいことから低コスト化も実現することができる。
従って、シールドコネクタ13は、簡単な構造によって、シールド電線11の編組15の終端部17を確実、且つ安価に固定できる。
【0037】
次に、本発明の変形例に係るシールド電線の固定構造を説明する。尚、上記実施形態に係るシールドコネクタ13と同等の部材、部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図4及び図5に示すように、この変形例に係るシールド電線11の固定構造を有するシールドコネクタ79では、ネジ固定される一対の固定枠81が編組固定部材として用いられている。他の構成はシールドコネクタ13と同じである。
固定枠81は、表裏同一形状のものを一対で用いることができる。固定枠81は、両端にボルト挿通穴83が形成され、中央部に湾曲した編組挟持部85が形成される。
【0038】
この固定枠81を使用する固定構造では、編組15を固定する場合、編組15の終端部17が環状装着溝65の外周を覆うように外装される。環状装着溝65に装着された編組15の終端部17は表裏から一対の固定枠81によって挟まれる。
次いで、それぞれの固定枠81同士のボルト挿通穴83にボルト87を挿通し、ボルト87の挿通先端に螺合したナット89とで、表裏の固定枠81を締結する。固定枠81の締結により、編組15の終端部17を固定枠81と環状装着溝65とによって挟んで固定し、分割シールドシェル43とシールド電線11との固定を完了する。なお、固定枠81は、一方のボルト挿通穴83にナット89が固定されていてもよい。
【0039】
従って、本実施形態の変形例に係るシールドコネクタ79によっても、シールド電線11の固定構造を簡素にでき、部品コストを低減できる。また、組み付け時に使用する設備を削減できる。更に、接続安定性を向上させることができる。
【0040】
尚、本発明のシールド電線の固定構造に係る電線、編組、シース、シールド電線、端子金具、絶縁ハウジング、分割シールドシェル、溝形状部及び編組固定部材等の構成は、上記実施形態の構成に限らず種々の形態を採りうることは云うまでもない。
例えば、絶縁ハウジングの形状は上記略L字形状に限らず、円筒状や角柱状等の種々の形状とすることができ、分割シールドシェルも絶縁ハウジングの形状に合わせて種々の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0041】
11…シールド電線
15…編組
17…終端部
19…電線
21…シース
25…端子金具
27…絶縁ハウジング
35…電線導出口
43…分割シールドシェル
45…第1の分割シールドシェル
47…第2の分割シールドシェル
51…本体部分
61…位置決めボス
63…位置決め穴
65…環状装着溝
67…溝形状部
71…固定バンド(編組固定部材)
81…固定枠(編組固定部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線、前記電線を覆う編組、前記編組を覆うシースを含んで構成されるシールド電線と、
前記電線に接続された端子金具を収容する絶縁ハウジングと、
半筒状に形成され、前記絶縁ハウジングが内部に装着される一対の分割シールドシェルと、
前記電線が導出される前記絶縁ハウジングの電線導出口を覆う部分の前記分割シールドシェルにそれぞれプレス成型され、貫通する前記電線の周方向に沿った外面に凹設された溝形状部と、
合わせ固定された一対の前記分割シールドシェルの溝形状部により構成された環状装着溝との間に前記編組の終端部が位置する状態で前記環状装着溝に締め付け固着される編組固定部材と、
を備えることを特徴とするシールド電線の固定構造。
【請求項2】
前記一対の分割シールドシェルが、前記絶縁ハウジングにおける電線導出口を覆う部分の一部を覆う第1の分割シールドシェルと、前記絶縁ハウジングにおける電線導出口を覆う部分の他の部分及び本体部分を覆う第2の分割シールドシェルと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のシールド電線の固定構造。
【請求項3】
前記絶縁ハウジングの外面に位置決めボスを設け、前記第2の分割シールドシェルに設けた位置決め穴を係合させることを特徴とする請求項2に記載のシールド電線の固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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