説明

ジアミン系化合物の精製方法

【課題】 電荷輸送能をより一層向上させて、感度を高められたジアミン系化合物を得ることのできる、ジアミン系化合物の精製方法を提供すること。
【解決手段】 本発明のジアミン系化合物の精製方法は、ジアミン系化合物(1)と、ジアミン系化合物(1)の良溶媒とを配合して、加熱することにより、ジアミン系化合物(1)を溶解させる溶解工程と、溶解工程で得られた溶液を冷却して、ジアミン系化合物(1)の結晶を析出させる析出工程と、を含む。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミン系化合物の精製方法に関し、詳しくは、電子写真感光体の電荷輸送剤に用いられるジアミン系化合物の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタなどの画像形成装置には、その画像形成装置に用いられる露光光源の波長領域に感度を有する電子写真感光体が使用されている。このような電子写真感光体は、一般に、電荷輸送剤を含有する感光層が導電性基体上に設けられている。
また、上記の電子写真感光体は、感度に優れていることが望まれており、電子写真感光体の感度の向上を図ることのできる電荷輸送剤として、特許文献1には、下記一般式(91)で表されるジアミン誘導体が提案されている。
【0003】
【化1】

(式(91)中、R91、R92、R93およびR94の少なくとも2つは、下記式(92)で表される基を示し、残りは、水素を示す。R95およびR96は、独立して、水素、アルキル基などを示す。)
【0004】
【化2】

(式(92)中、R97は、水素原子、アルキル基などを示す。R98およびR99のいずれか一方は、アリール基を示し、他方は、水素原子、アリール基などを示す。)
さらに、近年、画像形成装置に要求される画質の高品質化により、電子写真感光体の感度を向上させるために、電荷輸送剤の電荷輸送能をより一層向上させることが求められている。
【0005】
ところで、一般に、化合物の精製方法としては、化合物を良溶媒に溶解後、貧溶媒を加えて再沈殿させる方法(再沈殿法)が知られており、特許文献2には、下記一般式(93)で表されるN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2−ナフチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを、再沈殿法により精製することが記載されている。
【0006】
【化3】

【特許文献1】特開平7−36203号公報
【特許文献2】特開2005−179259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に記載の再沈殿法によって、ジアミン誘導体(91)を精製すると、得られたジアミン誘導体(91)を電荷輸送剤として用いた電子写真感光体では、感度を高めることができないという不具合がある。
本発明の目的は、電荷輸送能をより一層向上させて、感度を高められたジアミン系化合物を得ることのできる、ジアミン系化合物の精製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のジアミン系化合物の精製方法は、下記一般式(1)または(2)で表されるジアミン系化合物と、前記ジアミン系化合物の良溶媒とを配合して、加熱することにより、前記ジアミン系化合物(1)または(2)を溶解させる溶解工程、および、前記溶解工程で得られた溶液を冷却して、前記ジアミン系化合物(1)または(2)の結晶を析出させる析出工程を含むことを特徴としている。
【0009】
【化4】

(一般式(1)中、R1〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリール基を示す。前記炭素数6〜20のアリール基は、さらに、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい。R13〜R14は、それぞれ独立して、水素原子または下記式(A)で表される基を示す。)
【0010】
【化5】

(式(A)中、mは0または1の整数を示す。R15、R16は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示す。但し、R15およびR16のいずれか一方は、水素原子以外の基を示す。)
【0011】
【化6】

(一般式(2)中、R21〜R32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリール基を示す。前記炭素数6〜20のアリール基は、さらに、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい。R33およびR34は、それぞれ独立して、水素原子または下記式(B)で表される基を示す。)
【0012】
【化7】

(式(B)中、pは0または1の整数を示す。R35、R36は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示す。但し、R35およびR36のいずれか一方は、水素原子以外の基を示す。)
また、本発明のジアミン系化合物の精製方法は、好ましくは、さらに、前記析出工程で析出された前記ジアミン系化合物(1)または(2)の結晶と、前記ジアミン系化合物の良溶媒とを配合することにより、前記ジアミン系化合物(1)または(2)を再度溶解する再溶解工程、および、前記再溶解工程で得られた溶液に、前記ジアミン系化合物の貧溶媒を添加することにより、前記ジアミン系化合物の結晶を再度析出させる再析出工程を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明のジアミン系化合物の精製方法によれば、上記一般式(1)および(2)で表されるジアミン系化合物について、従来の精製品よりも電荷輸送能を高めることができ、電子写真感光体の電気特性を向上させるのにより一層好適なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るジアミン系化合物の精製方法は、上記一般式(1)または(2)で表されるジアミン系化合物と、前記ジアミン系化合物の良溶媒とを配合して、加熱、溶解させる溶解工程、および、上記溶解工程で得られた溶液を冷却して、結晶を析出させる析出工程とを含んでいる。
一般式(1)で表されるジアミン系化合物のうち、R1〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または、炭素数6〜20のアリール基を示す。
【0015】
ハロゲン原子としては、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードなどが挙げられ、好ましくは、クロロが挙げられる。
炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、へプチル、オクチル、2−エチルへキシル、イソオクチル、n−ノニル、イソノニル、n−デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、デカデシルなどが挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましくは、1〜6、より好ましくは、1〜4、最も好ましくは、1または2である。
【0016】
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、n−ヘキシルオキシ、2−メチルペンチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−デシルなどが挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニル、o、m、p−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−キシリル、メシチル、o、m、p−クメニル、2−エチル−6−メチルフェニルなどが挙げられる。上記アリール基の炭素数は、好ましくは、6〜12、より好ましくは、6〜8であり、具体的には、フェニル、p−トリルなどが挙げられる。
【0017】
上記炭素数6〜20のアリール基は、さらに、ハロゲン、または、炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい。炭素数6〜20のアリール基に置換するハロゲンとしては、上記例示したのと同様のものが挙げられる。また、炭素数6〜20のアリール基に置換する、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、上記例示の炭素数1〜20のアルコキシ基のうち、炭素数が1〜4であるものが挙げられる。
【0018】
3〜R8については、例えば、R3〜R5のいずれか1つおよびR6〜R8のいずれか1つは、水素原子およびハロゲン原子以外の基であり、かつ、N−置換フェニルの4位(パラ位)に置換していることが好ましく、R3〜R5のいずれか2つおよびR6〜R8のいずれか2つは、N−置換フェニルの2位および6位(オルト位)に置換していることが好ましい。
【0019】
一般式(1)で表されるジアミン系化合物のうち、R13およびR14は、それぞれ独立して、水素原子または上記式(A)で表される基を示す。
式(A)で表される基のうち、R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示す。但し、R15およびR16のいずれか一方は、水素原子以外の基(すなわち、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基)を示す。
【0020】
炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基としては、上記したのと同様のものが挙げられる。なかでも、好ましくは、炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、より好ましくは、フェニル、p−トリルが挙げられる。
なお、R13およびR14が、ともに上記式(A)で表される基である場合において、R13とR14は同一の基であってもよく、また、R15、R16に相当する基やmの数が互いに異なっていてもよい。
【0021】
式(A)中、mは、ビニレン基の繰り返し数を示し、0または1の整数である。
一般式(1)中のR1〜R14およびmの具体例としては、特に限定されないが、例えば、表1に示すものが挙げられる。
【0022】
【表1】

表1中、「Me」はメチル、「iPr」はイソプロピル、「Ph」はフェニル、「CH365」はトリルを示す。「2−」、「4−」、「6−」および「p−」は、それぞれ、ベンゼン環上での置換位置を示す。なお、「2,4,6−triMe」は、2、4および6位の3箇所に、それぞれメチルが置換していることを示し、「2,4−diMe」は、2および4位の2箇所に、それぞれメチルが置換していることを示す。また、R1、R2、R9,R10、R11,R12、R14およびR16欄の「−」は、該当する基を有するN置換フェニルが、水素以外の基を有していないことを示す。ベンゼン環上での置換位置は、下記式に示すとおりである。
【0023】
【化8】

上記一般式(1)で表されるジアミン系化合物は、例えば、特許文献1(特開平7−36203号公報)に記載の方法に準じて合成することができる。また、特に、R13および/またはR14が上記式(A)で表される基である場合には、下記合成法1または合成法2により合成することができる。
【0024】
合成法1
下記式(3)で表されるジアミン誘導体に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)および塩化ホスホリルを過剰量添加して、これを加熱し、いわゆるフィルスマイヤー−ハーク(Vilsmeier−Haack)反応によって、下記式(4)で表されるジホルミルジアミン誘導体を得る。
【0025】
なお、ホルミル基を、4つのN−置換フェニルのうち、特定の2つのN−置換フェニル(R1やR2を有するN−置換フェニル)にのみ導入するためには、R3〜R5またはR6〜R8を有するN−置換フェニルが、水素原子およびハロゲン原子以外の基(すなわち、炭素数1〜20のアルキル基など。)を、4位(パラ位)に、または、2位および6位(オルト位)に有していることが好ましい。
【0026】
【化9】

(式中、R1〜R12は、前記と同じである。)
次いで、ジホルミルジアミン誘導体(4)と、アラルキルホスホン酸ジアルキルエステル(5)とを、例えば、乾燥テトラヒドラフラン(THF)中、ナトリウムメトキシド存在下で反応させることにより、一般式(1’)で表されるジアミン系化合物を得る。
【0027】
【化10】

合成法2
一般式(8)で表される4,4’−ジブロモビフェニル系化合物と、一般式(9−1)および(9−2)で表されるフェニルアミン誘導体とを、例えば、キシレン中、パラジウム触媒の存在下で、反応させることにより、一般式(1”)で表されるジアミン系化合物を得る。
【0028】
【化11】

上記式(1)で表されるジアミン系化合物の良溶媒(以下、単に「良溶媒」ということがある。)は、室温におけるジアミン系化合物(1)の溶解度が0.1重量%以上をいう。具体的には、例えば、トルエン、キシレン、テトラリンなどの芳香族系溶媒、例えば、シクロヘキサンなどの脂環式系溶媒、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテルなどの酸素含有脂環式系溶媒、例えば、クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン含有脂肪族系溶媒、例えば、アセトン、2−ブタノン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)などのカルボニル系溶媒などが挙げられる。これら良溶媒は、単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。なかでも好ましくは、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロベンゼン、2−ブタノン、酢酸エチルなどが挙げられる。
【0029】
なお、例えば、トルエンは、室温(25℃)における、下記式(HTM−1)で表されるジアミン系化合物の溶解度が0.3重量%であり、下記式(HTM−2)で表されるジアミン系化合物の溶解度が0.37重量%であり、下記式(HTM−3)で表されるジアミン系化合物の溶解度が0.27重量%であり、下記式(HTM−4)で表されるジアミン系化合物の溶解度が0.3重量%である。
【0030】
【化12】

【0031】
【化13】

【0032】
【化14】

【0033】
【化15】

一般式(2)で表されるジアミン系化合物のうち、R21〜R32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、または、炭素数6〜20のアリール基を示す。
【0034】
ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリール基としては、上記したのと同様のものが挙げられる。なかでも、炭素数1〜20アルキル基としては、好ましくは、メチル、エチルなどが挙げられる。
一般式(2)中、上記炭素数6〜20のアリール基は、さらに、ハロゲン、または、炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい。炭素数6〜20のアリール基に置換するハロゲンとしては、上記例示したのと同様のものが挙げられる。また、炭素数6〜20のアリール基に置換する、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、上記例示の炭素数1〜20のアルコキシ基のうち、炭素数が1〜4であるものが挙げられる。
【0035】
23〜R28については、例えば、R23〜R25のいずれか1つおよびR26〜R28のいずれか1つは、水素原子およびハロゲン原子以外の基であり、かつ、N−置換フェニルの4位(パラ位)に置換していることが好ましく、または、R23〜R25のいずれか2つおよびR26〜R28のいずれか2つは、N−置換フェニルの2位および6位(オルト位)に置換していることが好ましい。
【0036】
一般式(2)で表されるジアミン系化合物のうち、R33およびR34は、それぞれ独立して、水素原子または上記式(B)で表される基を示す。
式(B)で表される基のうち、R35およびR36は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示す。但し、R35およびR36のいずれか一方は、水素原子以外の基(すなわち、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基)を示す。
【0037】
炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基としては、上記したのと同様のものが挙げられる。なかでも、好ましくは、炭素数6〜20のアリール基が挙げられ、より好ましくは、フェニル、p−トリルが挙げられる。
なお、R33およびR34が、ともに上記式(B)で表される基である場合において、R33とR34は同一の基であってもよく、また、R35、R36に相当する基やpの数が互いに異なっていてもよい。
【0038】
式(B)中、pは、ビニレン基の繰り返し数を示し、0または1の整数、好ましくは、0である。
一般式(2)中のR21〜R36およびpの具体例としては、特に限定されないが、例えば、表2に示すものが挙げられる。
【0039】
【表2】

表2中、「Et」はエチルを示し、他の符号は、表1と同様である。なお、「2−Me−6−Et」は、2位にメチルが、6位にエチルが置換していることを示す。また、q欄中、「1,3−」および「1,4−」は、ジアミン系化合物(2)の2個のビニレンが置換するジアミン系化合物の中心ベンゼン環上での、ビニレン基が置換する位置を示す。ベンゼン環上での置換位置は、下記式に示すとおりである。
【0040】
【化16】

上記一般式(2)で表されるジアミン系化合物は、例えば、特許文献1(特開平7−36203号公報)に記載の方法に準じて合成することができる。また、特に、R33および/またはR34が上記式(B)で表される基である場合には、下記合成法3により合成することができる。
【0041】
合成法3
下記式(10−1)で表されるアミン誘導体に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)および塩化ホスホリルを過剰量添加して、これを加熱することにより、いわゆるフィルスマイヤー−ハーク反応によって、下記式(11−1)で表されるホルミルアミン誘導体を得る。
【0042】
なお、ホルミル基を、3つのN−置換フェニルのうち、特定のN−置換フェニル(R29,R30を有するN−置換フェニル)にのみ導入するためには、他の2つのN−置換フェニル(R21やR23〜R25を有するN−置換フェニル)が、水素原子およびハロゲン原子以外の基(すなわち、炭素数1〜20のアルキル基など。)を、4位(パラ位)に、または、2位および6位(オルト位)に有していることが好ましい。
【0043】
また、下記式(10−2)で表されるアミン誘導体についても、同様にして反応させることにより、下記式(11−2)で表されるホルミルアミン誘導体を得る。
【0044】
【化17】

(式中、R21〜R32は、前記と同じである。)
次いで、ホルミルアミン誘導体(11−1)および(11−2)と、アリーレンジホスホン酸ジアルキルエステル(12)とを、例えば、乾燥テトラヒドラフラン(THF)中、ナトリウムメトキシド存在下で反応させることにより、一般式(13)で表されるジアミン系化合物を得る。
【0045】
【化18】

さらに、ジアミン系化合物(13)に、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)および塩化ホスホリルを過剰量添加して、これを加熱することにより(フィルスマイヤー−ハーク反応)、下記式(14)で表されるホルミル体を得、このホルミル体(14)と、アラルキルホスホン酸ジアルキルエステル(15)とを、例えば、乾燥テトラヒドラフラン(THF)中、ナトリウムメトキシド存在下で反応させることにより、一般式(2’)で表されるジアミン系化合物を得る。
【0046】
【化19】

上記一般式(2)で表されるジアミン系化合物の良溶媒(以下、単に「良溶媒」ということがある。)は、室温におけるジアミン系化合物(2)の溶解度が0.1重量%以上のものをいう。具体的には、ジアミン系化合物(1)についての良溶媒と同様のものが挙げられる。これら良溶媒は、単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。なかでも好ましくは、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、クロロベンゼン、2−ブタノン、酢酸エチルなどが挙げられる。
【0047】
なお、例えば、トルエンでは、室温(25℃)における、下記式(HTM−5)で表されるジアミン系化合物の溶解度が0.25重量%であり、下記式(HTM−6)で表されるジアミン系化合物の溶解度が0.22重量%であり、下記式(HTM−7)で表されるジアミン系化合物の溶解度が0.2重量%である。
【0048】
【化20】

【0049】
【化21】

【0050】
【化22】

上記の精製方法の溶解工程において、ジアミン系化合物(1)を溶解させるには、ジアミン系化合物(1)と、ジアミン系化合物(1)の良溶媒とを配合して、加熱する。加熱時には、溶液を撹拌してもよい。
【0051】
良溶媒の配合割合は、良溶媒の種類によって適宜設定されることから、特に限定されないが、ジアミン系化合物(1)100重量部に対して、例えば、50〜1000重量部、好ましくは、50〜700重量部、さらに好ましくは、100〜500重量部である。
加熱温度は、ジアミン系化合物(1)やその良溶媒の種類に応じて、すなわち、ジアミン系化合物(1)についての良溶媒中の溶解度に応じて適宜設定すればよい。なお、例えば、良溶媒がトルエンまたはエチレングリコールモノエチルエーテルである場合は、60℃程度まで加熱すればよい。
【0052】
上記精製方法の析出工程において、ジアミン系化合物(1)の結晶を析出させるには、上記した溶解工程で得られた溶液を冷却する。
冷却温度は、上記したジアミン系化合物(1)や良溶媒の種類に応じて適宜設定すればよい。なお、例えば、良溶媒がトルエンまたはエチレングリコールモノエチルエーテルである場合は、室温まで冷却すればよい。上記冷却時または冷却後には、溶液を撹拌してもよい。冷却後に溶液を撹拌する場合には、撹拌時間は特に制限されず、例えば、1〜100時間である。
【0053】
上記析出工程で得られたジアミン系化合物(1)の結晶は、良溶媒から濾別した後、減圧乾燥または真空乾燥される。これにより、ジアミン系化合物(1)に含まれていた不純物が良溶媒中に移行されて、ジアミン系化合物(1)が精製される。
また、上記精製方法の溶解工程において、ジアミン系化合物(2)を溶解させるには、ジアミン系化合物(2)と、ジアミン系化合物(2)の良溶媒とを配合して、加熱する。加熱時には、溶液を撹拌してもよい。
【0054】
良溶媒の配合割合は、良溶媒の種類によって適宜設定されることから、特に限定されないが、ジアミン系化合物(2)100重量部に対して、例えば、50〜1000重量部、好ましくは、50〜700重量部、さらに好ましくは、100〜500重量部である。
加熱温度は、ジアミン系化合物(2)やその良溶媒の種類に応じて、すなわち、ジアミン系化合物(2)についての良溶媒中の溶解度に応じて適宜設定すればよい。なお、例えば、良溶媒がトルエンまたはエチレングリコールモノエチルエーテルである場合は、60℃程度まで加熱すればよい。
【0055】
上記精製方法の析出工程において、ジアミン系化合物(2)の結晶を析出させるには、上記した溶解工程で得られた溶液を冷却する。
冷却温度は、上記したジアミン系化合物(2)や良溶媒の種類に応じて、適宜設定すればよい。なお、例えば、良溶媒がトルエンまたはエチレングリコールモノエチルエーテルである場合は、室温まで冷却すればよい。上記冷却時または冷却後には、溶液を撹拌してもよい。冷却後に溶液を撹拌する場合には、撹拌時間は特に制限されず、例えば、1〜100時間である。
【0056】
上記析出工程で得られたジアミン系化合物(2)の結晶は、良溶媒から濾別した後、減圧乾燥または真空乾燥される。これにより、ジアミン系化合物に含まれていた不純物が良溶媒中へと移行されて、ジアミン系化合物(2)が精製される。
上記精製方法によれば、ジアミン系化合物(1)または(2)の貧溶媒(後述)を使用せず、良溶媒のみを使用して、ジアミン系化合物(1)または(2)の良溶媒の温度操作により、不純物を可及的に除去されたジアミン系化合物(1)または(2)を得ることができる。それゆえ、ジアミン系化合物(1)または(2)の電荷輸送能をより一層向上させることができる。
【0057】
上記精製方法により精製されたジアミン系化合物(1)または(2)を、電子写真感光体の感光層に含有させたときは、感度が向上し、かつ、露光後の残留電位が低減された高品質の電子写真感光体を得ることができる。
以上の説明では、ジアミン系化合物の貧溶媒を使用せずに、良溶媒のみを使用して、ジアミン系化合物(1)または(2)を精製したが、溶解工程と析出工程との後、貧溶媒を使用した処理を得ることによっても、ジアミン系化合物(1)または(2)を精製することもできる。
【0058】
すなわち、上記精製方法の溶解工程と析出工程との後、さらに、上記析出工程で得られたジアミン系化合物(1)または(2)の結晶と、良溶媒とを配合して、加熱することにより、ジアミン系化合物(1)または(2)を再度溶解させ(再溶解工程)、次いで、再溶解工程で得られた溶液に、ジアミン系化合物(1)または(2)の貧溶媒(以下、単に「貧溶媒」ということがある。)を添加して、その溶液を冷却することにより、ジアミン系化合物(1)または(2)の結晶が再度析出される(再析出工程)。
【0059】
上記再溶解工程において、ジアミン系化合物(1)を再度溶解するには、上記析出工程で析出されたジアミン系化合物(1)の結晶と、良溶媒とを配合して、必要に応じて、加熱する。良溶媒の配合割合や加熱温度は、上記溶解工程と同様に、設定すればよい。加熱時には、溶液を撹拌してもよい。
上記再析出工程において、ジアミン系化合物(1)の結晶を再度析出させるには、上記再溶解工程で得られた溶液に、貧溶媒を添加して、必要に応じて(例えば、上記再溶解工程において、加熱した場合には)、その溶液を冷却する。
【0060】
上記ジアミン系化合物(1)について、貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒、例えば、ヘキサンなどの長鎖脂肪族系溶媒などが挙げられる。
貧溶媒の配合割合は、ジアミン系化合物(1)100重量部に対して、好ましくは、50〜1000重量部、さらに好ましくは、100〜500重量部である。
【0061】
冷却温度は、ジアミン系化合物(1)の種類や、ジアミン系化合物(1)の良溶媒および貧溶媒に対する溶解度、および、上記両溶媒間の溶解度の差などに応じて、適宜設定すればよい。冷却時または冷却後には、溶液を撹拌してもよい。冷却後に溶液を撹拌する場合には、撹拌時間は特に制限されず、例えば、1〜100時間である。
上記再溶解工程において、ジアミン系化合物(2)を再度溶解するには、上記析出工程で得られたジアミン系化合物(2)の結晶と、良溶媒とを配合して、必要に応じて、加熱する。良溶媒の配合割合や加熱温度は、上記溶解工程と同様に、設定すればよい。また加熱時には、溶液を撹拌してもよい。
【0062】
また、上記再析出工程において、ジアミン系化合物(2)の結晶を再度析出させるには、上記再溶解工程で得られた溶液に、貧溶媒を添加して、必要に応じて(例えば、上記再溶解工程において、加熱した場合には)、その溶液を冷却する。
上記ジアミン系化合物(2)について、貧溶媒としては、ジアミン系化合物(1)についての貧溶媒と同様のものが挙げられる。これら貧溶媒は、単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。なかでも好ましくは、メタノールなどが挙げられる。
【0063】
貧溶媒の配合割合は、ジアミン系化合物(2)100重量部に対して、好ましくは、50〜1000重量部、さらに好ましくは、100〜500重量部である。
冷却温度は、ジアミン系化合物(2)の種類や、ジアミン系化合物(2)の良溶媒および貧溶媒に対する溶解度、および、上記両溶媒間の溶解度の差などに応じて、適宜設定すればよい。冷却時または冷却後には、溶液を撹拌してもよい。冷却後に溶液を撹拌する場合には、撹拌時間は特に制限されず、例えば、1〜100時間である。
【0064】
上記再析出工程で得られたジアミン系化合物(1)または(2)の結晶は、良溶媒および貧溶媒から、濾別した後、減圧乾燥または真空乾燥される。これにより、ジアミン系化合物(1)または(2)に含まれていた不純物が良溶媒および貧溶媒中へと移行されて、ジアミン系化合物(1)または(2)をより高度に精製することができる。
上記再溶解工程と再析出工程とを経て得られたジアミン系化合物(1)または(2)は、その電荷輸送能がより一層向上している。それゆえ、これらジアミン系化合物(1)または(2)を電子写真感光体の感光層に含有させたときは、電子写真感光体の電気特性をより一層優れたものとすることができる。
【0065】
上記精製方法により精製されたジアミン系化合物(1)および(2)は、いずれも電子写真感光体の電荷輸送剤、より詳しくは、正孔輸送剤として好適である。
電子写真感光体は、特に限定されるものではなく、例えば、導電性基体上に、電荷発生剤、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を含む感光層を備える、公知の種々の電子写真感光体が挙げられる。
【0066】
上記電子写真感光体に用いられる電荷輸送剤としては、上記の精製方法により精製されたジアミン系化合物(1)およびジアミン系化合物(2)のいずれかが用いられる。また、上記ジアミン系化合物(1)および(2)以外の正孔輸送剤を併用してもよい。さらに、電荷輸送剤として、電子輸送剤を併用してもよく、この電子輸送剤は、電荷移動錯体の形成が防止される限りにおいて、ジアミン系化合物(1)および/または(2)と同一の感光層中に併存させてもよい。
【0067】
上記電子写真感光体に用いられる導電性基体、電荷発生剤、電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)、バインダ樹脂などは、特に限定されるものではなく、従来公知の種々の材料の中から適宜選択して用いることができる。
上記電子写真感光体の感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を単一の感光層中に含有する、いわゆる単層型感光層や、電荷発生剤およびバインダ樹脂を含む電荷発生層と、電荷輸送剤およびバインダ樹脂を含む電荷輸送層とを積層してなる、いわゆる積層型感光層のいずれであってもよい。
【実施例】
【0068】
(ジアミン系化合物の合成)
合成例1
N,N’−ジメシチル−N,N’−ジフェニルベンジジン20gに、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)300gおよび塩化ホスホリル30gを添加して、これを120℃に加熱し、フィルスマイヤー−ハーク反応によって、N,N’−ビス(4−ホルミルフェニル)−N,N’−ジメシチルベンジジン17gを得た。
【0069】
次いで、N,N’−ビス(4−ホルミルフェニル)−N,N’−ジメシチルベンジジン17gと、ベンジルホスホン酸ジエチルエステル15gとを、乾燥テトラヒドラフラン(THF)中、ナトリウムメトキシドの存在下で反応させることにより、上記式(HTM−1)で表されるジアミン系化合物(表1のNo.1に相当)の粗生成物を得た(理論収量19g)。
【0070】
なお、ジアミン系化合物(HTM−1)の粗生成物は、その良溶媒であるTHFの溶液として、後述する精製処理(比較例1)に供した。
合成例2
N,N’−ジメシチル−N,N’−ジフェニルベンジジンに代えて、N,N’−ビス(p−クメニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン20gを用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応させることにより、N,N’−ビス(p−クメニル)−N,N’−ビス(4−ホルミルフェニル)ベンジジン17gを得た。
【0071】
次いで、N,N’−ビス(p−クメニル)−N,N’−ビス(4−ホルミルフェニル)ベンジジン17gと、ベンズヒドリルホスホン酸ジエチルエステル15gとを、乾燥THF中、ナトリウムメトキシドの存在下で反応させることにより、上記式(HTM−2)で表されるジアミン系化合物(表1のNo.2に相当)の粗生成物を得た(理論収量19g)。
【0072】
なお、ジアミン系化合物(HTM−2)の粗生成物は、その良溶媒であるTHFの溶液として、後述する精製処理(比較例2)に供した。
合成例3
N,N’−ジメシチル−N,N’−ジフェニルベンジジンに代えて、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(2,4−キシリル)−3,3’−ジメチルベンジジン20gを用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応させることにより、N,N’−ビス(4−ホルミルフェニル)−N,N’−ビス(2,4−キシリル)−3,3’−ジメチルベンジジン17gを得た。
【0073】
次いで、N,N’−ビス(4−ホルミルフェニル)−N,N’−ビス(2,4−キシリル)−3,3’−ジメチルベンジジン17gと、シンナミルホスホン酸ジエチルエステル15gとを、乾燥THF中、ナトリウムメトキシドの存在下で反応させることにより、上記式(HTM−3)で表されるジアミン系化合物(表1のNo.3に相当)の粗生成物を得た(理論収量19g)。
【0074】
なお、ジアミン系化合物(HTM−3)の粗生成物は、その良溶媒であるTHFの溶液として、後述する精製処理(比較例3)に供した。
合成例4
N,N’−ジメシチル−N,N’−ジフェニルベンジジンに代えて、N,N’−ジメシチル−N,N’−ジフェニル−3,3’−ジメチルベンジジン20gを用いたこと以外は、合成例1と同様にして反応させることにより、N,N’−ビス(4−ホルミルフェニル)−N,N’−ジメシチル−3,3’−ジメチルベンジジン18.5gを得た。
【0075】
次いで、N,N’−ビス(4−ホルミルフェニル)−N,N’−ジメシチル−3,3’−ジメチルベンジジン18.5gと、p−トリルメチルホスホン酸ジエチルエステル16.4gとを、乾燥THF中、ナトリウムメトキシドの存在下で反応させることにより、上記式(HTM−4)で表されるジアミン系化合物(表1のNo.4に相当)の粗生成物を得た(理論収量20g)。
【0076】
なお、ジアミン系化合物(HTM−4)の粗生成物は、その良溶媒であるTHFの溶液として、後述する精製処理(比較例4)に供した。
合成例5
N−(2−エチル−6−メチルフェニル)ジフェニルアミン20gに、DMF150gおよび塩化ホスホリル18gを添加して、これを120℃に加熱し、フィルスマイヤー−ハーク反応によって、N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−フェニル−4−アミノベンズアルデヒド18.7gを得た。
【0077】
次いで、N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−フェニル−4−アミノベンズアルデヒド18.7gと、上記式(12)で表されるアリーレンジホスホン酸ジエチルエステル11gとを、乾燥THF中、ナトリウムメトキシドの存在下で反応させることにより、上記式(HTM−5)で表されるジアミン系化合物(表2のNo.5に相当)の粗生成物を得た(理論収量20g)。
【0078】
なお、ジアミン系化合物(HTM−5)の粗生成物は、その良溶媒であるTHFの溶液として、後述する精製処理(比較例5)に供した。
合成例6
N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(p−(β−フェニルスチリル)フェニル)アニリン20gに、DMF150gおよび塩化ホスホリル12gを添加して、これを120℃に加熱し、フィルスマイヤー−ハーク反応によって、N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(p−(β−フェニルスチリル)フェニル)−4−アミノベンズアルデヒド18gを得た。
【0079】
次いで、N−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(p−(β−フェニルスチリル)フェニル)−4−アミノベンズアルデヒド18gと、アリーレンジホスホン酸ジエチルエステル(12)7.5gとを、乾燥THF中、ナトリウムメトキシドの存在下で反応させることにより、上記式(HTM−6)で表されるジアミン系化合物(表2のNo.6に相当)の粗生成物を得た(理論収量16.4g)。
【0080】
なお、ジアミン系化合物(HTM−6)の粗生成物は、その良溶媒であるTHFの溶液として、後述する精製処理(比較例6)に供した。
合成例7
合成例6で得られたN−(2−エチル−6−メチルフェニル)−N−(p−(β−フェニルスチリル)フェニル)−4−アミノベンズアルデヒド18gと、上記式(12)で表されるアリーレンジホスホン酸ジエチルエステル7.5gとを、乾燥THF中、ナトリウムメトキシドの存在下で反応させることにより、上記式(HTM−7)で表されるジアミン系化合物(表2のNo.7に相当)の粗生成物を得た(理論収量13.5g)。
【0081】
なお、ジアミン系化合物(HTM−7)の粗生成物は、その良溶媒であるTHFの溶液として、後述する精製処理(比較例7)に供した。
(ジアミン系化合物の精製)
比較例1
合成例1により得られたジアミン系化合物(HTM−1)のTHF溶液(HTM−1の理論収量19g)に対して、シリカと白土とを、それぞれ、HTM−1の理論収量に対して0.1当量配合した。次いで、上記THF溶液を濾別して得られるろ液に対して、上記ろ液の2倍量のメタノール(貧溶媒)を加えることにより、ジアミン系化合物(HTM−1)を析出させた(第1回目の析出)。
【0082】
さらに、得られた析出物(結晶)を用いて、晶析(トルエン/メタノール)を2回施し(第2および第3回目の析出)、濾過、真空乾燥することにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の結晶17.8gを得た。
比較例2
合成例1により得られたジアミン系化合物(HTM−1)のTHF溶液に代えて、合成例2により得られたジアミン系化合物(HTM−2)のTHF溶液(HTM−2の理論収量19g)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、第1〜第3回目の析出操作をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−2)の結晶17.5gを得た。
【0083】
比較例3
合成例1により得られたジアミン系化合物(HTM−1)のTHF溶液に代えて、合成例3により得られたジアミン系化合物(HTM−3)のTHF溶液(HTM−3の理論収量19g)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、第1〜第3回目の析出操作をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−3)の結晶17.2gを得た。
【0084】
比較例4
合成例1により得られたジアミン系化合物(HTM−1)のTHF溶液に代えて、合成例4により得られたジアミン系化合物(HTM−4)のTHF溶液(HTM−4の理論収量20g)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、第1〜第3回目の析出操作をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−4)の結晶16.8gを得た。
【0085】
比較例5
合成例1により得られたジアミン系化合物(HTM−1)のTHF溶液に代えて、合成例5により得られたジアミン系化合物(HTM−5)のTHF溶液(HTM−5の理論収量20g)を用いたこと以外は、比較例1と同様に処理して、第1〜第3回目の析出操作をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の結晶17.5gを得た。
【0086】
比較例6
合成例1により得られたジアミン系化合物(HTM−1)のTHF溶液に代えて、合成例6により得られたジアミン系化合物(HTM−6)のTHF溶液(HTM−6の理論収量16.4g)を用いたこと以外は、比較例1と同様に処理して、第1〜第3回目の析出操作をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−6)の結晶14.8gを得た。
【0087】
比較例7
合成例1により得られたジアミン系化合物(HTM−1)のTHF溶液に代えて、合成例7により得られたジアミン系化合物(HTM−7)のTHF溶液(HTM−7の理論収量13.5g)を用いたこと以外は、比較例1と同様に処理して、第1〜第3回目の析出操作をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−7)の結晶10.3gを得た。
【0088】
実施例1
比較例1における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−1)10gを、トルエン(良溶媒)25g中に添加して、60℃に加熱して、30分間撹拌することにより、溶解させた(溶解工程)。次いで、得られたトルエン溶液を撹拌しながら、室温まで冷却して、さらに、12時間撹拌することにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の結晶を析出させた。その後、析出した結晶を濾別して、真空乾燥することにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の精製物8.4gを得た。
【0089】
実施例2
ジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例2における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−2)10gを用いたこと以外は、実施例1と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−2)の精製物8.0gを得た。
実施例3
ジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例3における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−3)10gを用いたこと以外は、実施例1と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−3)の精製物8.5gを得た。
【0090】
実施例4
ジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例4における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−4)10gを用いたこと以外は、実施例1と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−4)の精製物8.0gを得た。
実施例5
比較例1における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−1)10gを、エチレングリコールモノエチルエーテル(良溶媒)40g中に添加して、60℃に加熱して、30分間撹拌することにより、溶解させた(溶解工程)。次いで、得られたエチレングリコールモノエチルエーテル溶液を撹拌しながら、室温まで冷却して、さらに、12時間撹拌することにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の結晶を析出させた(析出工程)。
【0091】
その後、析出した結晶を濾別して、クロロホルム(良溶媒)10gに溶解させた(再溶解工程)。次いで、得られたクロロホルム溶液に、メタノール(良溶媒)30gを添加することにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の結晶を析出させた(再析出工程)。こうして得られた結晶を濾別し、真空乾燥することにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の精製物7.8gを得た。
【0092】
実施例6
ジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例2における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−2)10gを用いたこと以外は、実施例5と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−2)の精製物7.8gを得た。
実施例7
ジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例3における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−3)10gを用いたこと以外は、実施例5と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−3)の精製物7.5gを得た。
【0093】
実施例8
ジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例4における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−4)10gを用いたこと以外は、実施例5と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−4)の精製物7.8gを得た。
実施例9
比較例5における1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−5)10gを、トルエン(良溶媒)25g中に添加して、60℃に加熱して、30分間撹拌することにより、溶解させた(溶解工程)。次いで、得られたトルエン溶液を撹拌しながら、室温まで冷却して、さらに、12時間撹拌することにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の結晶を析出させた(析出工程)。その後、析出した結晶を濾別して、真空乾燥することにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の精製物8.4gを得た。
【0094】
実施例10
ジアミン系化合物(HTM−5)に代えて、比較例6における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−6)10gを用いたこと以外は、実施例9と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−6)の精製物8.0gを得た。
実施例11
ジアミン系化合物(HTM−5)に代えて、比較例7における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−7)10gを用いたこと以外は、実施例9と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−7)の精製物8.4gを得た。
【0095】
実施例12
比較例5における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−5)10gを、エチレングリコールモノエチルエーテル(良溶媒)40g中に添加して、60℃に加熱して、30分間撹拌することにより、溶解させた(溶解工程)。次いで、得られたエチレングリコールモノエチルエーテル溶液を撹拌しながら、室温まで冷却して、さらに、12時間撹拌することにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の結晶を析出させた(析出工程)。
【0096】
その後、析出した結晶を濾別して、クロロホルム(良溶媒)10gに溶解させた(再溶解工程)。次いで、得られたクロロホルム溶液に、メタノール(貧溶媒)30gを添加することにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の結晶を析出させた(再析出工程)。こうして得られた結晶を濾別し、真空乾燥することにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の精製物8.4gを得た。
【0097】
実施例13
ジアミン系化合物(HTM−5)に代えて、比較例6における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−6)10gを用いたこと以外は、実施例12と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−6)の精製物8.3gを得た。
実施例14
ジアミン系化合物(HTM−5)に代えて、比較例7における第1回目の析出により得られたジアミン系化合物(HTM−7)10gを用いたこと以外は、実施例12と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−7)の精製物7.9gを得た。
【0098】
実施例15
トルエン25gに代えて、キシレン(良溶媒)25gを用いたこと以外は、実施例1と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の精製物8.2gを得た。
実施例16
トルエン25gに代えて、2−ブタノン(良溶媒)25gを用いたこと以外は、実施例1と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の精製物8.4gを得た。
【0099】
実施例17
溶解工程でエチレングリコールモノエチルエーテル40gに代えて、トルエン(良溶媒)40gを用い、再溶解工程でクロロホルム10gに代えて、トルエン10gを用いたこと以外は、実施例5と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の精製物8.0gを得た。
【0100】
実施例18
溶解工程でエチレングリコールモノエチルエーテル40gに代えて、2−ブタノン(良溶媒)40gを用い、再溶解工程でクロロホルム10gに代えて、トルエン10gを用いたこと以外は、実施例5と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の精製物8.0gを得た。
【0101】
実施例19
溶解工程でエチレングリコールモノエチルエーテル40gに代えて、クロロベンゼン(良溶媒)40gを用いたこと以外は、実施例5と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の精製物8.4gを得た。
実施例20
トルエン25gに代えて、酢酸エチル(良溶媒)25gを用いたこと以外は、実施例1と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−1)の精製物8.3gを得た。
【0102】
実施例21
トルエン25gに代えて、キシレン(良溶媒)25g用いたこと以外は、実施例9と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の精製物8.4gを得た。 実施例22
トルエン25gに代えて、2−ブタノン(良溶媒)25gを用いたこと以外は、実施例9と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の精製物8.0gを得た。
【0103】
実施例23
溶解工程でエチレングリコールモノエチルエーテル40gに代えて、トルエン(良溶媒)40g用い、再溶解工程でクロロホルム10gに代えて、トルエン10gを用いたこと以外は、実施例12と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の精製物8.0gを得た。
【0104】
実施例24
溶解工程でエチレングリコールモノエチルエーテル40gに代えて、2−ブタノン(良溶媒)40gを用い、再溶解工程でクロロホルム10gに代えて、トルエン(良溶媒)10gを用いたこと以外は、実施例12と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の精製物8.0gを得た。
【0105】
実施例25
溶解工程でエチレングリコールモノエチルエーテル40gに代えて、クロロベンゼン(良溶媒)40g用いたこと以外は、実施例12と同様にして、ジアミン系化合物(HTM−5)の精製物8.4gを得た。
実施例26
トルエン25gに代えて、酢酸エチル(良溶媒)25g用いたこと以外は、実施例9と同様の処理をすることにより、ジアミン系化合物(HTM−5)の精製物8.0gを得た。
【0106】
(単層型電子写真感光体の作製)
製造例1
電荷発生剤として、下記式(CGM1)で表されるX型無金属フタロシアニン5重量部と、正孔輸送剤として、実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)60重量部と、電子輸送剤として、下記一般式(ETM−1)で表されるジフェノキノン誘導体40重量部と、バインダ樹脂として、ポリカーボネート100重量部とを、THF800重量部に、ボールミルにより、50時間分散させて、感光層形成用塗布液を調製した。次いで、この感光層形成用塗布液を、導電性基体として、アルミニウム素管上にディップコート法により塗布し、次いで、100℃で30分間熱風乾燥して、膜厚25μmの感光層を備えた単層型電子写真感光体を作製した。
【0107】
【化23】

【0108】
【化24】

製造例2
ジフェノキノン誘導体(ETM−1)に代えて、下記式(ETM−2)で表されるジフェノキノン誘導体を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0109】
【化25】

製造例3
ジフェノキノン誘導体(ETM−1)に代えて、下記式(ETM−3)で表されるスチルベンキノン誘導体を用いたこと以外は、製造例1と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0110】
【化26】

製造例4〜6
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例2で得られたジアミン系化合物(HTM−2)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0111】
製造例7〜9
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例3で得られたジアミン系化合物(HTM−3)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例10〜12
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例4で得られたジアミン系化合物(HTM−4)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0112】
製造例13〜15
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例5で得られたジアミン系化合物(HTM−1)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例16〜18
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例6で得られたジアミン系化合物(HTM−2)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0113】
製造例19〜21
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例7で得られたジアミン系化合物(HTM−3)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例22〜24
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例8で得られたジアミン系化合物(HTM−4)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0114】
製造例25〜27
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例9で得られたジアミン系化合物(HTM−5)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例28〜30
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例10で得られたジアミン系化合物(HTM−6)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0115】
製造例31〜33
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例11で得られたジアミン系化合物(HTM−7)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例34〜36
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例12で得られたジアミン系化合物(HTM−5)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0116】
製造例37〜39
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例13で得られたジアミン系化合物(HTM−6)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例40〜42
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例14で得られたジアミン系化合物(HTM−7)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0117】
製造例43〜45
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例15で得られたジアミン系化合物(HTM−1)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例46〜48
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例16で得られたジアミン系化合物(HTM−1)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0118】
製造例49〜51
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例17で得られたジアミン系化合物(HTM−1)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例52〜54
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例18で得られたジアミン系化合物(HTM−1)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0119】
製造例55〜57
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例19で得られたジアミン系化合物(HTM−1)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例58〜60
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例20で得られたジアミン系化合物(HTM−1)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0120】
製造例61〜63
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例21で得られたジアミン系化合物(HTM−5)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例64〜66
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例22で得られたジアミン系化合物(HTM−5)を用いたこと以外は、造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0121】
製造例67〜69
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例23で得られたジアミン系化合物(HTM−5)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例70〜72
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例24で得られたジアミン系化合物(HTM−5)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0122】
製造例73〜75
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例25で得られたジアミン系化合物(HTM−5)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
製造例76〜78
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、実施例26で得られたジアミン系化合物(HTM−5)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0123】
比較製造例1〜3
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
比較製造例4〜6
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例2で得られたジアミン系化合物(HTM−2)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0124】
比較製造例7〜9
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例3で得られたジアミン系化合物(HTM−3)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
比較製造例10〜12
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例4で得られたジアミン系化合物(HTM−4)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0125】
比較製造例16〜18
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例5で得られたジアミン系化合物(HTM−5)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
比較製造例19〜21
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例6で得られたジアミン系化合物(HTM−6)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
【0126】
比較製造例22〜24
実施例1で得られたジアミン系化合物(HTM−1)に代えて、比較例7で得られたジアミン系化合物(HTM−7)を用いたこと以外は、それぞれ、製造例1〜3と同様にして、単層型電子写真感光体を作成した。
(電気特性試験)
GENTEC社製のドラム感度試験機を用いて、作製した単層型電子写真感光体の表面電位を+700(V)に帯電させ、これを初期電位(V0(V))として測定した。次いで、ハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度1.5μJ/m2)を単層型電子写真感光体の表面に露光(露光時間1.5秒)して、単層型電子写真感光体の表面電位が1/2(350(V))になるのに要した時間を測定し、半減露光量E1/2(秒)を算出した。
【0127】
また、露光開始から0.5秒経過した時点における、単層型電子写真感光体の表面電位を残留電位Vr(V)として測定した。その結果を、表3〜表6に示す。
【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】
【表5】

【0131】
【表6】

表3〜6に示した結果より明らかなように、電荷輸送剤として、溶解工程および析出工程を得た実施例1〜26のジアミン系化合物を用いた製造例1〜78によれば、単に再沈殿法により精製した比較例1〜7のジアミン系化合物を用いた比較製造例1〜21に比べて、感度が高いことが分かる。
【0132】
また、再溶解工程および再析出工程を経た実施例5〜8、12〜14および17〜19のジアミン系化合物を用いた製造例13〜15、34〜42および49〜57によれば、単に再沈殿法により精製した比較例1〜7のジアミン系化合物を用いた比較製造例1〜21に比べて、さらに感度が高いことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)または(2)で表されるジアミン系化合物と、前記ジアミン系化合物の良溶媒とを配合して、加熱することにより、前記ジアミン系化合物(1)または(2)を溶解させる溶解工程、および、
前記溶解工程で得られた溶液を冷却して、前記ジアミン系化合物(1)または(2)の結晶を析出させる析出工程
を含むことを特徴とする、ジアミン系化合物の精製方法。
【化1】

(一般式(1)中、R1〜R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリール基を示す。前記炭素数6〜20のアリール基は、さらに、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい。R13〜R14は、それぞれ独立して、水素原子または下記式(A)で表される基を示す。)
【化2】

(式(A)中、mは0または1の整数を示す。R15、R16は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示す。但し、R15およびR16のいずれか一方は、水素原子以外の基を示す。)
【化3】

(一般式(2)中、R21〜R32は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基または炭素数6〜20のアリール基を示す。前記炭素数6〜20のアリール基は、さらに、ハロゲン原子または炭素数1〜4のアルコキシ基を有していてもよい。R33およびR34は、それぞれ独立して、水素原子または下記式(B)で表される基を示す。)
【化4】

(式(B)中、pは0または1の整数を示す。R35、R36は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を示す。但し、R35およびR36のいずれか一方は、水素原子以外の基を示す。)
【請求項2】
さらに、前記析出工程で析出された前記ジアミン系化合物(1)または(2)の結晶と、前記ジアミン系化合物の良溶媒とを配合することにより、前記ジアミン系化合物(1)または(2)を再度溶解する再溶解工程、および、
前記再溶解工程で得られた溶液に、前記ジアミン系化合物の貧溶媒を添加することにより、前記ジアミン系化合物の結晶を再度析出させる再析出工程
を含むことを特徴とする、請求項1に記載のジアミン系化合物の精製方法。


【公開番号】特開2007−45758(P2007−45758A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232506(P2005−232506)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】