説明

ジェットミル

【課題】粉砕ノズルと均圧管を同一レベルに配置したジェットミルにおいて、ノズルチップを容易に交換できるようにすることである。
【解決手段】粉砕ノズル2と均圧管4とを同一水平面内に配置したもので、ケーシング1の外周面に各粉砕ノズル2を保持する筒部3を放射状に延出し、これらの各筒部3の途中に均圧管4を接続して、各筒部3の延出側端面を開閉可能とすることにより、粉砕ノズル2をこの開閉可能とした延出側端面から各筒部3に着脱し、粉砕ノズル2の先端に取り付けられたノズルチップ2aを容易に交換できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料を圧縮空気の噴射で粉砕するジェットミルに関する。
【背景技術】
【0002】
原料が供給される縦向き円筒状のケーシングの中心に向かって圧縮空気を噴射する複数の粉砕ノズルに圧縮空気を供給する環状の均圧管をケーシングの周囲に設けたジェットミルには、各粉砕ノズルと均圧管とを同一水平面内に配置し、各粉砕ノズルを環状の均圧管の半径方向内方へ向けて均圧管に直接取り付けて、ケーシングの外周面に内部の点検口用のスペースを広く確保できるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたものでは、各粉砕ノズルを均圧管とケーシング外壁の開口部に溶接で取り付け、その先端に取り付けられたノズルチップがケーシングの内側でケーシングの中心に向けられるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−140674号公報(第2−3頁、第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたジェットミルは、ケーシングの外周面に点検口用のスペースを広く確保でき、圧縮空気の供給経路における屈曲部を少なくして圧力損失も低減できるが、各粉砕ノズルを均圧管とケーシング外壁の開口部に溶接で直接取り付けているので、各粉砕ノズルの先端に取り付けられたノズルチップを、ケーシングの内側からしか交換できず、ノズルチップ交換のための作業環境と作業性が非常に悪い問題がある。粉砕ノズルの取り付けを溶接の替りにボルト結合等の着脱可能なものとすれば、ノズルチップをケーシングの外側から交換できるが、これらのボルト結合等を解除して粉砕ノズルを均圧管やケーシングと分離する必要があるので、ノズルチップ交換の作業性はかなり悪いものとなる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、粉砕ノズルと均圧管を同一レベルに配置したジェットミルにおいて、ノズルチップを容易に交換できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、原料が供給される縦向き円筒状のケーシングの中心に向かって圧縮空気を噴射する複数の粉砕ノズルと、これらの粉砕ノズルに圧縮空気を供給する環状または一部が切欠された環状の均圧管とを同一水平面内に配置したジェットミルにおいて、前記ケーシングの外周面に前記各粉砕ノズルを保持する筒部を放射状に延出し、これらの各筒部の途中に前記均圧管を接続して、各筒部の延出側端面を開閉可能とし、前記粉砕ノズルをこの開閉可能とした延出側端面から各筒部に着脱する構成を採用した。
【0007】
すなわち、ケーシングの外周面に各粉砕ノズルを保持する筒部を放射状に延出し、これらの各筒部の途中に均圧管を接続して、各筒部の延出側端面を開閉可能とすることにより、粉砕ノズルをこの開閉可能とした延出側端面から各筒部に着脱し、ケーシングの外側からノズルチップを容易に交換できるようにした。
【0008】
前記各筒部に保持される粉砕ノズルの後端を、前記均圧管よりも前記ケーシングの外周面から半径方向外方に位置させ、前記均圧管から供給される圧縮空気を粉砕ノズルの側部から流入させることにより、粉砕ノズルの各筒部への着脱をより容易に行なうことができる。また、各筒部への均圧管の接続位置をケーシングの外周面に近づけ、均圧管の環状外形寸法を小さくして、ジェットミルの外形寸法をコンパクトに設計することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のジェットミルは、粉砕ノズルと均圧管とを同一水平面内に配置したもので、ケーシングの外周面に各粉砕ノズルを保持する筒部を放射状に延出し、これらの各筒部の途中に均圧管を接続して、各筒部の延出側端面を開閉可能としたので、粉砕ノズルをこの開閉可能とした延出側端面から各筒部に着脱して、ケーシングの外側からノズルチップを容易に交換することができる。
【0010】
前記各筒部に保持される粉砕ノズルの後端を、均圧管よりもケーシングの外周面から半径方向外方に位置させ、均圧管から供給される圧縮空気を粉砕ノズルの側部から流入させることにより、粉砕ノズルの各筒部への着脱をより容易に行なうことができる。また、各筒部への均圧管の接続位置をケーシングの外周面に近づけ、均圧管の環状外形寸法を小さくして、ジェットミルの外形寸法をコンパクトに設計することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。このジェットミルは、図1および図2に示すように、縦向き円筒状のケーシング1の中心に向かって圧縮空気を噴射する3つの粉砕ノズル2を保持する筒部3をケーシング1の外周面に放射状に延出し、各粉砕ノズル2に圧縮空気を供給する一部が切欠された環状の均圧管4を、各粉砕ノズル2と同一水平面内で各筒部3の途中に接続したものであり、各粉砕ノズル2の先端にねじ込んで取り付けられたノズルチップ2aがケーシング1の中心に向けられている。ケーシング1と均圧管4は、各筒部3の下に取り付けられた支持脚5によって、筒部3を介して支持されており、圧縮空気は導入口4aから均圧管4に導入される。
【0012】
前記ケーシング1に供給口1aから供給される原料は、各粉砕ノズル2から噴射される圧縮空気のジェット流で粉砕され、粉砕された粉体は上方に設けられた分級機6で分級される。分級機6は分級ロータ6aを高速で回転させて、細かく粉砕された微粉のみを気流で排出口6bに排出するものであり、十分に粉砕されていない粗粉は下方へ落下して再粉砕される。
【0013】
図3および図4に示すように、前記ケーシング1の外周面に放射状に延出された筒部3の延出側端面は開口し、その側面に均圧管4と連通する通気孔3aが設けられている。先端にノズルチップ2aを取り付けられた粉砕ノズル2は、開口した延出側端面から挿入されて筒部3の内径面に設けられた段差部3bで、後端が均圧管4よりもケーシング1の外周面から半径方向外方に位置するように係止され、この開口した後端面を筒部3に螺着されるねじ蓋7で閉塞するように押さえ込まれて保持される。
【0014】
前記筒部3に保持された粉砕ノズル2の側面には、筒部3の通気孔3aを介して均圧管4に連通する流入口2bが設けられ、均圧管4から粉砕ノズル2の流入口2bに流入する圧縮空気が、その先端に取り付けられたノズルチップ2aのノズル孔から噴射される。この粉砕ノズル2は通常のねじ込み式で固着されるものではなく、ねじ蓋7で押さえ込まれて筒部3に保持されるので、その流入口2bを筒部3の通気孔3aの位置に容易に合わせることができる。
【0015】
前記粉砕ノズル2の先端側は段差部2cで小径に形成され、粉砕ノズル2はこの段差部2cで筒部3の内径面の段差部3bに係止され、粉砕ノズル2の小径外周面とねじ蓋7の外周面にOリング8が装着されて、流入口2bの周りがシールされている。また、粉砕ノズル2の後端側には、ねじ蓋7を取り外して筒部3から粉砕ノズル2とノズルチップ2aを一体で取り出すための把手9が設けられている。
【0016】
上述した実施形態では、均圧管を一部が切欠された環状のものとし、粉砕ノズルを保持する筒部を3箇所に設けたが、均圧管は切欠のない環状のものとしてもよく、筒部を設ける箇所も3箇所に限定されることはない。
【0017】
また、上述した実施形態では、粉砕ノズルの後端を均圧管よりもケーシングの外周面から半径方向外方に位置させ、その側面に均圧管からの圧縮空気の流入口を設けたが、粉砕ノズルの後端を均圧管の環状外径よりも半径方向内方に位置させ、粉砕ノズルの後端側から圧縮空気を流入させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】ジェットミルの実施形態を示す縦断面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】図1の要部拡大断面図
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図
【符号の説明】
【0019】
1 ケーシング
1a 供給口
2 粉砕ノズル
2a ノズルチップ
2b 流入口
2c 段差部
3 筒部
3a 通気孔
3b 段差部
4 均圧管
5 支持脚
6 分級機
6a 分級ロータ
6b 排出口
7 ねじ蓋
8 Oリング
9 把手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料が供給される縦向き円筒状のケーシングの中心に向かって圧縮空気を噴射する複数の粉砕ノズルと、これらの粉砕ノズルに圧縮空気を供給する環状または一部が切欠された環状の均圧管とを同一水平面内に配置したジェットミルにおいて、前記ケーシングの外周面に前記各粉砕ノズルを保持する筒部を放射状に延出し、これらの各筒部の途中に前記均圧管を接続して、各筒部の延出側端面を開閉可能とし、前記粉砕ノズルをこの開閉可能とした延出側端面から各筒部に着脱するようにしたことを特徴とするジェットミル。
【請求項2】
前記各筒部に保持される粉砕ノズルの後端を、前記均圧管よりも前記ケーシングの外周面から半径方向外方に位置させ、前記均圧管から供給される圧縮空気を粉砕ノズルの側部から流入させるようにした請求項1に記載のジェットミル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−7089(P2006−7089A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−187572(P2004−187572)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000142595)株式会社栗本鐵工所 (566)
【Fターム(参考)】