説明

ジエポキシ化合物の製造方法

【課題】エステル結合が含まれるメソゲン骨格を有するジエポキシ化合物を高い収率で与える新規な製造方法を提供する。
【解決手段】アンモニウムハライド塩、無機塩基および脂肪族アルコールの存在下、1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)などの化合物と、式(2)


(式中、Xはハロゲン原子を表わす。)で示される化合物とを混合して、反応させる工程を含むことを特徴とする式(3)


(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同じ意味を表わす。)で示されるジエポキシ化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジエポキシ化合物の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ジエポキシ化合物を硬化させて得られるエポキシ硬化物は、良好な耐熱性及び耐湿性に加えて、機械的及び電気的に優れた特性を示すことから工業的に広く利用されている。
中でも、エステル結合が含まれるメソゲン骨格を有するジエポキシ化合物と硬化剤とを硬化させて得られる硬化物は、高い強靭性及び高い熱伝導性を示すことが報告されており、例えば、式(A)

で表わされるジエポキシ化合物と硬化剤とを硬化させて得られる硬化物が、非特許文献1に記載されている。また、式(A)で示されるジエポキシ化合物の製造方法としては、式(B)

で示される化合物と、該化合物の20重量倍以上のエピクロロヒドリンとを、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミドの存在下に反応させ、得られた反応混合物と水酸化ナトリウム水溶液とを混合する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Macromol.Chem.Phys.199,853−859(1998)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、エステル結合が含まれるメソゲン骨格を有するジエポキシ化合物を高い収率で与える新規な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような状況下、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の<1>〜<6>記載の発明に至った。すなわち本発明は、
<1> アンモニウムハライド塩、無機塩基および脂肪族アルコールの存在下、式(1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わす。)
で示される化合物と、式(2)

(式中、Xはハロゲン原子を表わす。)
で示される化合物とを混合して、
前記式(1)で示される化合物と前記(2)で示される化合物とを反応させる工程を含むことを特徴とする式(3)

(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同じ意味を表わす。)
で示されるジエポキシ化合物の製造方法;
<2> 脂肪族アルコールが、2級アルコ−ルおよび3級アルコ−ルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<1>記載の製造方法;
<3> 工程が、式(1)で示される化合物、式(2)で示される化合物、アンモニウムハライド塩および脂肪族アルコールを混合し、次いで、得られた混合物と無機塩基とを混合する工程であることを特徴とする<1>又は<2>記載の製造方法。
<4> 無機塩基が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか記載の製造方法;
<5> アンモニウムハライド塩が、4級アンモニウムハライドであることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか記載の製造方法;
<6> 式(4)

(式中、R20は水素原子またはメチル基を表わし、R21は水素原子またはメチル基を表わし、R22は水素原子またはメチル基を表わし、R23は水素原子またはメチル基を表わし、R24は水素原子またはメチル基を表わし、R25は水素原子またはメチル基を表わし、R26は水素原子またはメチル基を表わし、R27は水素原子またはメチル基を表わす。ただし、2つのR20、2つのR21、2つのR22、2つのR23、R24、R25、R26及びR27におけるメチル基の数の合計は、2〜4である。)
で示されるジエポキシ化合物;
等である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、エステル結合が含まれるメソゲン骨格を有するジエポキシ化合物を、高い収率で製造可能である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
まず、アンモニウムハライド塩、無機塩基および脂肪族アルコールの存在下、式(1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(1)と略記する。)と
【0008】
式(2)

(式中、Xはハロゲン原子を表わす。)
で示される化合物(以下、化合物(2)と略記する。)とを混合して、
化合物(1)と化合物(2)とを反応させる工程を含むことを特徴とする
【0009】
式(3)

(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同じ意味を表わす。)
で示されるジエポキシ化合物(以下、ジエポキシ化合物(3)と略記する。)の製造方法について説明する。
【0010】
、R、RおよびRにおける炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびイソプロピル基が挙げられ、メチル基が好ましい。
、R、R、R、R、R、RおよびRにおける炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基およびイソプロポキシ基が挙げられ、メトキシ基が好ましい。R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子、メチル基またはメトキシ基であることが好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
【0011】
化合物(1)としては、
1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)、1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート)、1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾエート)、1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゾエート)、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート)、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾエート)、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゾエート)、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート)、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾエート)、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンゾエート)、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート)および2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンゾエート)が挙げられる。
【0012】
化合物(1)の中でも、式(5)

(式中、R20は水素原子またはメチル基を表わし、R21は水素原子またはメチル基を表わし、R22は水素原子またはメチル基を表わし、R23は水素原子またはメチル基を表わし、R24は水素原子またはメチル基を表わし、R25は水素原子またはメチル基を表わし、R26は水素原子またはメチル基を表わし、R27は水素原子またはメチル基を表わす。ただし、2つのR20、2つのR21、2つのR22、2つのR23、R24、R25、R26及びR27におけるメチル基の数の合計は、2〜4である。)
で示される化合物(以下、化合物(5)と略記する)は、後述する式(4)で示される化合物を与えることから好ましい。
【0013】
なかでも、1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート)、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)および2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)が好ましい。
【0014】
化合物(1)は、市販されているものを用いてもよいし、下記式

(式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す)
で表されるp−ヒドロキシ安息香酸類と、下記式

(式中、R〜Rは前記と同じ意味を表す)
で表されるヒドロキノン類とを、Macromol.Chem.Phys.199,853−859(1998)に記載の方法等に準じて製造したものを用いてもよい。
【0015】
化合物(4)は、下記式

(式中、R20〜R23は前記と同じ意味を表す)
で表されるp−ヒドロキシ安息香酸類と、下記式

(式中、R24〜R27は前記と同じ意味を表す)
で表されるヒドロキノン類とを、Macromol.Chem.Phys.199,853−859(1998)に記載の方法等に準じて製造することができる。
【0016】
化合物(2)の式中、Xで示されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子および臭素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。化合物(2)としては、エピクロロヒドリンおよびエピブロモヒドリンが挙げられ、エピクロロヒドリンが好ましい。
化合物(2)の使用量は、化合物(1)1モルに対して、例えば、2〜200モルの範囲等が挙げられ、好ましくは5〜150モルの範囲等が挙げられる。
【0017】
アンモニウムハライド塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨーダイド、テトラエチルアンモニウムヨーダイド、テトラブチルアンモニウムヨーダイド、ベンジルトリブチルアンモニウムヨーダイド等の炭素数1〜20の炭化水素基が窒素原子に4つ結合した4級アンモニウムハライド塩が挙げられる。
本発明の工程には、二種以上のアンモニウムハライド塩を混合して用いてもよい。
好ましいアンモニウムハライド塩としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロミドおよびベンジルトリメチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
【0018】
アンモニウムハライド塩の使用量は、化合物(1)1モルに対して、例えば、0.0001〜1モルの範囲等が挙げられ、好ましくは0.001〜0.5モルの範囲等が挙げられる。
【0019】
無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。二種以上の無機塩基を混合して用いてもよい。
好ましい無機塩基としては、例えば、アルカリ金属水酸化物等が挙げられ、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムがより好ましい。
【0020】
無機塩基の使用量は、化合物(1)1モルに対して、例えば、0.1〜20モルの範囲等が挙げられ、好ましくは0.5〜10モルの範囲等が挙げられる。
無機塩基として、例えば、粒状等の固体の形態の無機塩基を用いてもよいし、約1〜約60重量%の濃度の水溶液の形態の無機塩基を用いてもよい。
【0021】
脂肪族アルコールとしては、例えば、炭素数1〜12の脂肪族アルコール等が挙げられ、好ましくは、例えば、2級アルコールおよび3級アルコール等が挙げられ、より好ましくは、例えば、3級アルコール等が挙げられ、とりわけより好ましくは炭素数4〜10の3級アルコール等が挙げられる。具体的には、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、4−デカノール、2−ドデカノール、3−メチル−2−ブタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ペンタノール、5−メチル−2−ヘキサノール、4−メチル−3−ヘプタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ブタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、2−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−3−ペンタノール、3−エチル−3−ペンタノール、2,3−ジメチル−3−ペンタノール、3−エチル−2,2−ジメチル−3−ペンタノール、2−メチル−2−ヘキサノールおよび3,7−ジメチル−3−オクタノール等が例示される。
【0022】
脂肪族アルコールの使用量は、化合物(1)1重量部に対して、例えば、0.01〜100重量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは0.1〜50重量部の範囲等、より好ましくは1〜50重量部の範囲等が挙げられる。
二種以上の脂肪族アルコールを混合して用いてもよい。
【0023】
本発明の工程は、例えば、化合物(1)、化合物(2)、脂肪族アルコール、アンモニウムハライド塩および無機塩基を混合する工程等が挙げられる。好ましくは、例えば、化合物(1)、化合物(2)、アンモニウムハライド塩および脂肪族アルコールを混合する工程(第1工程)を行い、得られた混合物と無機塩基とを混合する第2工程を行う方法等が挙げられる。
【0024】
本発明の工程は、溶媒の存在下で行ってもよく、かかる溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、例えば、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル溶媒等が挙げられ、非プロトン性極性溶媒が好ましい。化合物(2)を溶媒として用いてもよい。反応温度において、脂肪族アルコールが液体である場合は、該脂肪族アルコールを溶媒として用いてもよい。かかる溶媒は、二種以上を混合して用いてもよい。
溶媒の使用量は、化合物(1)1重量部に対して、例えば、0.01〜100重量部の範囲等を挙げることができ、好ましくは0.1〜50重量部の範囲等が挙げられる。
反応は、常圧条件下で行ってもよいし、加圧条件下で行ってもよいし、減圧条件下で行ってもよい。
【0025】
本発明の工程は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲気下で行ってもよい。
本発明の工程における反応温度は、例えば、−20℃〜150℃の範囲等を挙げることができ、好ましくは−10℃〜120℃の範囲等が挙げられる。
本発明の工程における反応の進行は、液体クロマトグラフィー等の分析手段により確認することができる。
本発明の工程における反応時間は、例えば、0.5〜72時間の範囲等が挙げられる。
【0026】
本発明の工程は、−10℃〜150℃の温度範囲等、好ましくは、0℃〜120℃の温度範囲等にて化合物(1)、化合物(2)、アンモニウムハライド塩および脂肪族アルコールを混合し、次いで、−20℃〜120℃の温度範囲等、より好ましくは、−10℃〜80℃の温度範囲等にて、得られた混合物と無機塩基とを混合する工程であることが好ましい。
【0027】
本発明の工程によって得られた反応混合物は、例えば、さらに、水、および、必要に応じて水に不溶の溶媒とを混合し、攪拌後、分液することにより、ジエポキシ化合物(3)を含む有機層を得ることができる。得られた有機層を水で洗浄した後、必要に応じて不溶分を濾過により除去し、濃縮することにより、ジエポキシ化合物(3)を取り出すことができる。
取り出したジエポキシ化合物(3)は、再結晶等の精製手段により、さらに精製してもよい。
【0028】
かかるジエポキシ化合物(3)としては、例えば、
1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンゾエート}、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,6−ジメチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,6−ジメチルベンゾエート}、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンゾエート}、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2,6−ジメチルベンゾエート}、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}および2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3,5−ジメチルベンゾエート}が挙げられる。
【0029】
なかでも、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}および2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}が好ましい。
【0030】
ジエポキシ化合物は、メチルイソブチルケトンに一部を溶解させて硬化剤と混合した後、硬化させる場合がある。ジエポキシ化合物(3)のうち、式(4)

(式中、R20は水素原子またはメチル基を表わし、R21は水素原子またはメチル基を表わし、R22は水素原子またはメチル基を表わし、R23は水素原子またはメチル基を表わし、R24は水素原子またはメチル基を表わし、R25は水素原子またはメチル基を表わし、R26は水素原子またはメチル基を表わし、R27は水素原子またはメチル基を表わす。ただし、2つのR20、2つのR21、2つのR22、2つのR23、R24、R25、R26及びR27におけるメチル基の数の合計は、2〜4である。)
で示されるジエポキシ化合物は新規な化合物であり、メチルイソブチルケトンへの溶解性に優れることから、少量のメチルイソブチルケトンで溶解することが可能であり、あるいは低温でメチルイソブチルケトンに溶解可能である。
式(4)で示されるジエポキシ化合物は、化合物(5)について本発明の工程を施すことにより得ることができる。
【0031】
従来の製造方法では、後述の比較例1に示すように、ジエポキシ化合物(3)を必ずしも常に高い収率で製造することは容易ではなかったが、本発明の製造方法は、高い収率でジエポキシ化合物(3)を容易に提供可能である。また、得られたジエポキシ化合物(3)の純度が優れる。さらに、式(4)で示されるジエポキシ化合物は、メチルイソブチルケトンへの溶解性に優れる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.088g、エピクロロヒドリン17.2mLおよび2−メチル−2−プロパノール17.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で12時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.40gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却した後、10重量%塩化アンモニウム水溶液30mLを加えた。さらに、イオン交換水50mLを加えた。得られた混合物をクロロホルム100mLで抽出し、有機層と水層とを得た。有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、得られた有機層中の不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を濃縮し、粗生成物を得た。
得られた粗生成物に、トルエンおよび2−プロパノールを加えた。得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の白色結晶1.88gを得た。該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は95.9%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:69%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
【0033】
[実施例2]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラメチルアンモニウムブロミド0.042g、エピクロロヒドリン17.2mLおよび2−メチル−2−プロパノール17.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.40gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌した。得られた反応混合物を、実施例1と同様に処理し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の白色結晶1.68gを得た。該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は94.9%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:60%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
【0034】
[実施例3]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド0.063g、エピクロロヒドリン17.2mLおよび2−メチル−2−プロパノール17.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で13時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.40gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌した。得られた反応混合物を、実施例1と同様に処理し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の白色結晶1.51gを得た。該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は95.6%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:55%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
【0035】
[実施例4]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムクロリド0.076g、エピクロロヒドリン17.2mLおよび2−メチル−2−プロパノール17.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.40gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌した。得られた反応混合物を、実施例1と同様に処理し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の白色結晶1.78gを得た。該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は97.5%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:68%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
【0036】
[実施例5]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムヨーダイド0.101g、エピクロロヒドリン17.2mLおよび2−メチル−2−プロパノール17.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で10時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.40gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌した。得られた反応混合物を、実施例1と同様に処理し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の白色結晶1.75gを得た。該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は97.5%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:67%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
【0037】
[実施例6]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.088g、エピクロロヒドリン17.2mLおよび2−メチル−2−プロパノール17.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.40gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で4時間攪拌した。得られた反応混合物を、実施例1と同様に処理し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の白色結晶1.54gを得た。該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は97.1%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:59%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
【0038】
[実施例7]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.088g、エピクロロヒドリン17.2mLおよび2−ブタノール17.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.40gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で4時間攪拌した。得られた反応混合物を、実施例1と同様に処理し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の白色結晶1.44gを得た。該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は97.8%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:55%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
【0039】
[比較例1]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.042gおよびエピクロロヒドリン17.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で12時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.40gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌した。得られた反応混合物を、実施例1と同様に処理し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の白色結晶0.86gを得た。該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は90.8%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:33%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
【0040】
[比較例2]
冷却装置を取り付けた反応容器に、室温で、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド0.038gおよびエピクロロヒドリン8.6mLを加えた。得られた混合物を、還流条件下で、35分間攪拌した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液2.93gを加え、さらに35分間攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、イオン交換水25mLおよびエピクロロヒドリン25mLを加えた。得られた混合物を攪拌した後、有機層を分離した。得られた有機層をイオン交換水25mLで2回洗浄した後、濃縮し、粗生成物を得た。得られた粗生成物の再結晶をトルエンおよび2−プロパノールを用いて行い、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の白色結晶1.13gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は89.6%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロピル)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:39%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
【0041】
[参考例1]
ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、4−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸39.22g、メチルヒドロキノン16.00g、硫酸0.63gおよびキシレン111.6mLを約25℃で混合した。得られた混合物を還流条件下で11時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応の進行に伴って生成した水はディーンスターク装置を用いて連続的に反応系外へ除去した。反応混合物中に析出した固体を濾過により取り出し、メタノール300mLで洗浄した後、50℃で4時間減圧乾燥し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート)の薄灰色結晶41.21gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、96.3%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート)の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:78%(メチルヒドロキノン基準)
H−NMR(δ:ppm,ジメチルスルホキシド−d) 10.48(br,2H),7.75−7.95(c,4H),6.82−7.32(c,5H),1.90−2.30(c,9H)
【0042】
[実施例8]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート)2.00g、テトラメチルアンモニウムブロミド0.039g、エピクロロヒドリン15.9mLおよび2−メチル−2−プロパノール15.9mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.07gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で5時間攪拌した。得られた混合物に15重量%水酸化ナトリウム水溶液0.41gをさらに加えて2時間撹拌した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液0.95gをさらに加えて30分間撹拌した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液0.41gをさらに加えて30分間撹拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却して、10重量%塩化アンモニウム水溶液60mLを加えた。得られた混合物をクロロホルム100mLで抽出し、有機層と水層を得た。有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を濃縮し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}を含む粗生成物を得た。
得られた粗生成物にトルエンおよび2−プロパノールを加えた。得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}の白色結晶1.88gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、95.6%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−3−メチルベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:73%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルベンゾエート)基準)。
H−NMR(δ:ppm,CDCl) 7.92−8.19(c,4H),7.02−7.25(c,3H),6.80−7.00(c,2H),4.27−4.49(c,2H),3.95−4.18(c,2H),3.35−3.55(c,2H),2.90−3.09(c,2H),2.75−2.87(c,2H),2.32(s,6H),2.24(s,3H)
【0043】
[参考例2]
ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、4−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸49.03g、メチルヒドロキノン20.00g、硫酸1.58gおよびキシレン139.5mLを約25℃で混合した。得られた混合物を還流条件下で6時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応の進行に伴って生成した水はディーンスターク装置を用いて連続的に反応系外へ除去した。反応混合物中に析出した固体を濾過により取り出し、メタノール2600mLで洗浄した後、50℃で4時間減圧乾燥し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)の茶白色結晶53.70gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、99.0%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:84%(メチルヒドロキノン基準)
H−NMR(δ:ppm,ジメチルスルホキシド−d) 10.37−10.42(c,2H),7.95−8.13(c,2H),7.06−7.28(c,3H),6.70−6.82(c,4H),2.53(s,6H),2.17(s,3H)
【0044】
[実施例9]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)20.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.822g、エピクロロヒドリン159.5mLおよび2−メチル−2−プロパノール159.5mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、18℃まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液40.77gを徐々に加え、得られた混合物を18℃で3時間攪拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却した後、10重量%塩化アンモニウム水溶液を300mL加えた。得られた混合物に、イオン交換水500mLを加え、クロロホルム1000mLで抽出した。得られた有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を濃縮し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}を含む粗生成物を得た。
得られた粗生成物にトルエンおよび2−プロパノールを加えた。得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥し、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}の白色結晶22.06gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、97.8%であった。該純度を該結晶中の2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:85%(2−メチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)基準)
H−NMR(δ:ppm,CDCl) 8.12−8.27(c,2H),7.02−7.22(c,3H),6.79−6.93(c,4H),4.28−4.41(c,2H),3.95−4.12(c,2H),3.33−3.45(c,2H),2.90−2.98(c,2H),2.75−2.85(c,2H),2.66(s,6H),2.25(s,3H)
【0045】
[参考例3]
ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、4−ヒドロキシ−2−メチル安息香酸38.69g、ヒドロキノン14.00g、硫酸0.62gおよびキシレン97.7mLを約25℃で混合した。得られた混合物を還流下で3時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応の進行に伴って生成した水はディーンスターク装置を用いて連続的に反応系外へ除去した。反応混合物中に析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノール300mLで洗浄した後、50℃で4時間減圧乾燥し、1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)の薄灰色結晶42.73gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、93.9%であった。該純度を該結晶中の1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:83%(ヒドロキノン基準)。
H−NMR(δ:ppm,ジメチルスルホキシド−d) 10.34(br,2H),8.01(dd,2H),7.29(s,4H),6.68−6.87(c,4H),2.52(s,6H)
【0046】
[実施例10]
冷却装置を取り付けた反応容器に、1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.085g、エピクロロヒドリン16.5mLおよび2−メチル−2−プロパノール16.5mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.20gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で3時間、40℃で2時間、さらに50℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却して、10重量%塩化アンモニウム水溶液30mLを加えた。得られた混合物に、イオン交換水50mLを加えた後、得られた混合物をクロロホルム100mLで抽出した。得られた有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を濃縮し、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}を含む粗生成物を得た。
得られた粗生成物にトルエンおよび2−プロパノールを加えた。得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄し、白色結晶を得た。該結晶にトルエンおよび2−プロパノールを加えた後、得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥し、1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}の白色結晶1.91gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、93.7%であった。該純度を該結晶中の1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:73%(1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルベンゾエート)基準)。
H−NMR(δ:ppm,CDCl) 8.12−8.25(c,2H),7.25(d,4H),6.76−6.90(c,4H),4.23−4.40(c,2H),3.95−4.08(c,2H),3.34−3.45(c,2H),2.83−3.00(c,2H),2.74−2.80(c,2H),2.66(s,6H)
【0047】
[参考例4]
ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、4−ヒドロキシ安息香酸21.99g、2,6−ジメチルヒドロキノン11.00g、p−トルエンスルホン酸1.51gおよびキシレン199mLを約25℃で混合した。得られた混合物を還流下で25時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応の進行に伴って生成した水はディーンスターク装置を用いて連続的に反応系外へ除去した。反応混合物中に析出した固体を濾過により取り出し、メタノール1000mLで洗浄した後、50℃で4時間減圧乾燥し、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の薄灰色結晶15.84gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、98.6%であった。該純度を該結晶中の2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:52%(2,6−ジメチルヒドロキノン基準)。
H−NMR(δ:ppm,ジメチルスルホキシド−d) 10.53(br,2H),8.00(dd,4H),7.04(s,2H),6.94(dd,4H),2.10(s,6H)
【0048】
[実施例11]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.085g、エピクロロヒドリン16.5mLおよび2−メチル−2−プロパノール16.5mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.20gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で4時間攪拌し、さらに50℃で2時間撹拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却して、10重量%塩化アンモニウム水溶液30mLを加えた。得られた混合物に、イオン交換水50mLを加えた後、得られた混合物をクロロホルム100mLで抽出した。得られた有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を濃縮し、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}を含む粗生成物を得た。
得られた粗生成物にトルエンおよび2−プロパノールを加えた。得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥し、2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の白色結晶1.48gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、97.5%であった。該純度を該結晶中の2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:58%(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
H−NMR(δ:ppm,CDCl) 8.17(dd,4H),6.82−7.16(c,6H),4.25−4.47(c,2H),3.95−4.13(c,2H),3.32−3.49(c,2H),2.86−3.00(c,2H),2.70−2.84(c,2H),2.20(s,6H)
【0049】
[参考例5]
ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、4−ヒドロキシ安息香酸21.78g、トリメチルヒドロキノン12.00g、p−トルエンスルホン酸1.50gおよびキシレン197.1mLを約25℃で混合した。得られた混合物を還流下で24時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応の進行に伴って生成した水はディーンスターク装置を用いて連続的に反応系外へ除去した。反応混合物中に析出した固体を濾過により取り出し、メタノール1000mLで洗浄した後、50℃で4時間減圧乾燥し、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の薄灰色結晶25.35gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、98.2%であった。該純度を該結晶中の2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:81%(トリメチルヒドロキノン基準)。
H−NMR(δ:ppm,DMSO−d) 10.54(br,2H),8.02(dd,4H),6.88−7.09(c,5H),1.93−2.18(c,9H)
【0050】
[実施例12]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.082g、エピクロロヒドリン15.9mLおよび2−メチル−2−プロパノール15.9mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で10時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.07gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で3時間攪拌し、さらに40℃で2時間撹拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却して、10重量%塩化アンモニウム水溶液30mLを加えた。得られた混合物をクロロホルム100mLで抽出した。得られた有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を濃縮し、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}を含む粗生成物を得た。
得られた粗生成物にトルエンおよび2−プロパノールを加えた。得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥し、2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の白色結晶1.97gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、94.6%であった。該純度を該結晶中の2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:73%(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
H−NMR(δ:ppm,CDCl) 8.12−8.37(c,4H),6.95−7.17(c,4H),6.91(s,1H),4.31−4.48(c,2H),3.99−4.18(c,2H),3.36−3.52(c,2H),2.88−3.07(c,2H),2.65−2.86(c,2H),2.05−2.35(c,9H)
【0051】
[参考例6]
ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、4−ヒドロキシ安息香酸8.31g、テトラメチルヒドロキノン5.00g、p−トルエンスルホン酸0.57gおよびキシレン75.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を還流下で46時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応の進行に伴って生成した水はディーンスターク装置を用いて連続的に反応系外へ除去した。反応混合物中に析出した固体を濾過により取り出し、メタノール1000mLで洗浄した後、50℃で4時間減圧乾燥し、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の緑灰色結晶10.65gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、96.8%であった。該純度を該結晶中の2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:84%(テトラメチルヒドロキノン基準)。
H−NMR(δ:ppm,ジメチルスルホキシド−d) 10.54(br,2H),8.04(d,4H),6.95(d,4H),2.01(s,12H)
【0052】
[実施例13]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.079g、エピクロロヒドリン15.4mLおよび2−メチル−2−プロパノール15.4mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、18℃まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液3.94gを徐々に加えた。得られた混合物を18℃で4時間攪拌し、さらに40℃で3時間撹拌した。得られた混合物にジメチルスルホキシド15.4mLを加えた。得られた混合物を、50℃で2時間、60℃で2時間、70℃で3時間、さらに80℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却して、10重量%塩化アンモニウム水溶液30mLを加えた。得られた混合物に、イオン交換水50mLを加えた後、得られた混合物をクロロホルム100mLで抽出した。得られた有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を濃縮し、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}を含む粗生成物を得た。
得られた粗生成物にトルエンおよび2−プロパノールを加えた。得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥し、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の白色結晶1.73gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、93.5%であった。該純度を該結晶中の2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:63%(2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
H−NMR(δ:ppm,CDCl) 8.22(d,4H),7.04(d,4H),4.36(dd,2H),4.04(dd,2H),3.40(m,2H),2.95(m,2H),2.80(dd,2H),2.10(s,12H)
【0053】
[参考例7]
ディーンスターク装置を取り付けた反応容器に、4−ヒドロキシ安息香酸21.68g、メトキシヒドロキノン11.00g、p−トルエンスルホン酸1.49gおよびキシレン196.2mLを約25℃で混合した。得られた混合物を還流下で24時間攪拌した後、室温まで冷却した。反応の進行に伴って生成した水はディーンスターク装置を用いて連続的に反応系外へ除去した。反応混合物中に析出した固体を濾過により取り出し、シクロヘキサノン130mLおよびメタノール100mLで洗浄した後、50℃で4時間減圧乾燥し、2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の緑灰色結晶2.79gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、94.9%であった。該純度を該結晶中の2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:9%(メトキシヒドロキノン基準)。
H−NMR(δ:ppm,ジメチルスルホキシド−d) 10.53(br,2H),7.82−8.09(c,4H),7.24(d,1H),7.10(d,1H),6.78−7.00(c,5H),3.74(s,3H)
【0054】
[実施例14]
冷却装置を取り付けた反応容器に、2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)2.00g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.085g、エピクロロヒドリン16.5mLおよび2−メチル−2−プロパノール16.5mLを約25℃で混合した。得られた混合物を70℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。得られた混合物に、15重量%水酸化ナトリウム水溶液4.20gを徐々に加えた。得られた混合物を室温で2時間30分攪拌した。得られた反応混合物を0℃まで冷却して、10重量%塩化アンモニウム水溶液30mLを加えた。得られた混合物に、イオン交換水50mLを加えた後、得られた混合物をクロロホルム100mLで抽出した。得られた有機層をイオン交換水で3回洗浄した後、不溶分を濾過により除去した。得られた濾液を濃縮し、2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}を含む粗生成物を得た。
得られた粗生成物にトルエンおよび2−プロパノールを加えた。得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄し、白色結晶を得た。得られた白色結晶にトルエンおよび2−プロパノールを加えた。得られた混合物を室温まで冷却し、終夜静置した。析出した固体を濾過により取り出し、2−プロパノールで洗浄した後、乾燥し、2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の白色結晶1.15gを得た。
該結晶を液体クロマトグラフィーにより分析したところ、純度(面積百分率)は、95.7%であった。該純度を該結晶中の2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の含有量と仮定して、収率を算出した。収率:45%(2−メトキシ−1,4−フェニレン−ビス(4−ヒドロキシベンゾエート)基準)。
H−NMR(δ:ppm,CDCl) 8.09−8.28(c,4H),7.18(d,1H),7.02(dd,4H),6.78−6.95(c,2H),4.27−4.43(c,2H),3.95−4.12(c,2H),3.81(s,3H),3.32−3.48(c,2H),2.89−3.03(c,2H),2.75−2.85(c,2H)
【0055】
<溶解度の測定>
実施例9で得られた2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}および2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の、40℃および65℃におけるメチルイソブチルケトンへの溶解度(ジエポキシ化合物(g)×100/[ジエポキシ化合物(g)+メチルイソブチルケトン(g)]、重量%)を求めた。結果を表1に示す。
表1から、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルベンゾエート}の溶解度は、2−メチル−1,4−フェニレン−ビス{4−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンゾエート}の溶解度よりも11倍以上大きいことがわかる。
【0056】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、エステル結合が含まれるメソゲン骨格を有するジエポキシ化合物を、高い収率で製造可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニウムハライド塩、無機塩基および脂肪族アルコールの存在下、式(1)

(式中、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わし、Rは水素原子、メチル基または炭素数1〜3のアルコキシ基を表わす。)
で示される化合物と、式(2)

(式中、Xはハロゲン原子を表わす。)
で示される化合物とを混合して、
前記式(1)で示される化合物と前記(2)で示される化合物とを反応させる工程を含むことを特徴とする式(3)

(式中、R、R、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ前記と同じ意味を表わす。)
で示されるジエポキシ化合物の製造方法。
【請求項2】
脂肪族アルコールが、2級アルコ−ルおよび3級アルコ−ルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
工程が、式(1)で示される化合物、式(2)で示される化合物、アンモニウムハライド塩および脂肪族アルコールを混合し、次いで、得られた混合物と無機塩基とを混合する工程であることを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
無機塩基が、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の製造方法。
【請求項5】
アンモニウムハライド塩が、4級アンモニウムハライドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
【請求項6】
式(4)

(式中、R20は水素原子またはメチル基を表わし、R21は水素原子またはメチル基を表わし、R22は水素原子またはメチル基を表わし、R23は水素原子またはメチル基を表わし、R24は水素原子またはメチル基を表わし、R25は水素原子またはメチル基を表わし、R26は水素原子またはメチル基を表わし、R27は水素原子またはメチル基を表わす。ただし、2つのR20、2つのR21、2つのR22、2つのR23、R24、R25、R26及びR27におけるメチル基の数の合計は、2〜4である。)
で示されるジエポキシ化合物。

【公開番号】特開2010−241797(P2010−241797A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55861(P2010−55861)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】