ジッタ発生器
【課題】簡単な構成で出力信号のジッタ量を設定することを可能にしたジッタ発生器を提供する。
【解決手段】出力信号を伝送するための第1の信号線と、第1の信号線に隣接する第2および第3の信号線と、を有し、第2および第3の信号線のそれぞれは第1の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与える。出力信号を伝送する第1の信号線は、隣接する第2および第3の信号線のそれぞれとの距離や信号線の長さに対応する配線カップリングノイズが第2および第3の信号線から与えられ、与えられた配線カップリングノイズに応じたジッタを発生する。
【解決手段】出力信号を伝送するための第1の信号線と、第1の信号線に隣接する第2および第3の信号線と、を有し、第2および第3の信号線のそれぞれは第1の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与える。出力信号を伝送する第1の信号線は、隣接する第2および第3の信号線のそれぞれとの距離や信号線の長さに対応する配線カップリングノイズが第2および第3の信号線から与えられ、与えられた配線カップリングノイズに応じたジッタを発生する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッタ(Jitter)による電子機器への影響を調べるためのジッタ発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のサイズがより小さくなるにつれて、PCB(Printed Circuit Board)基板に設けられた信号線における信号線間の距離も短くなり、信号に対する、ジッタによる影響が問題になってきた。
【0003】
電子機器内の信号または電子機器に入力される信号に対する、ジッタによる影響を評価するために、パルスジェネレータを用いてジッタを意図的に発生させる方法が知られている。なお、容量カップリングノイズを用いて信号を伝搬させるバスシステムの一例が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−312087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パルスジェネレータを用いてジッタを発生させる方法では、モジュレータを介してパルスジェネレータに変調信号を入力し、パルスジェネレータの出力信号にジッタを付加する。しかし、パルスジェネレータは、ジッタだけでなく、多くの種類の評価のために様々なパルスを発生できるように作製されたものであり、ジッタの発生を目的とする装置としては高価であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のジッタ発生器は、
出力信号を伝送するための第1の信号線と、
前記第1の信号線に隣接する第2および第3の信号線と、を有し、
前記第2および第3の信号線のそれぞれは前記第1の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与える構成である。
【0007】
本発明によれば、出力信号を伝送する第1の信号線は、隣接する第2および第3の信号線のそれぞれとの距離や信号線の長さに対応する配線カップリングノイズが第2および第3の信号線から与えられ、与えられた配線カップリングノイズに応じたジッタを発生する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成で出力信号のジッタ量を設定でき、電子機器への入力信号のジッタ量の影響を定量的に調査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【図2】実施例1における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図3】実施例1において信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。
【図4】ジッタ発生器による出力信号の波形を説明するための図である。
【図5】図3に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【図6】実施例2における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図7】実施例2において信号パターンとVoxの関係を説明するための模式図である。
【図8】図7に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【図9】第2の実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【図10】実施例3における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図11】実施例3において信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。
【図12】図11に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【図13】第3の実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【図14】実施例4における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図15】実施例4において信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。
【図16】図15に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【図17】実施例5における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図18】実施例5において信号パターンとVoxの関係を説明するための模式図である。
【図19】図18に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本実施形態のジッタ発生器を説明する。図1は本実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【0011】
図1に示すように、ジッタ発生器1は、信号発生部100、信号調整部131〜133、信号線グループ14および出力部12を有する。これらの構成がPCB基板11上に設けられている。ジッタを含む出力信号13が出力部12を介して出力される。なお、説明のために、信号調整部131〜133を信号発生部100とは別の構成で示しているが、信号調整部131〜133が信号発生部100に含まれていてもよい。
【0012】
信号線グループ14は、信号調整部131から伸びる2本の信号線141、142と、信号調整部132から伸びる信号線143と、信号調整部133から伸びる信号線144とを有する。これらの4本の信号線141〜144は、図1に示すように、並行に設けられている。
【0013】
4つの信号線141〜144のうち、信号線141、142は出力部12に接続され、信号調整部131から出力される差動信号のA信号が出力信号13となる。A信号の基準信号であるTrue信号が信号線141を介して出力部12から出力され、True信号の反転信号であるBar信号が信号線142を介して出力部12から出力される。
【0014】
差動信号を出力する信号線141、142のうち、信号線141に近い側に信号線143が配置され、信号線142に近い側に信号線144が配置されている。信号線143、144のそれぞれを介して出力される信号の伝送方式はSingle- ended(シングルエンド)方式である。以下では、信号線143を伝送する信号を信号Bと称し、信号線144を伝送する信号を信号Cと称する。
【0015】
信号線143が主に信号線141に対して配線カップリングノイズを与え、信号線144が主に信号線142に対して配線カップリングノイズを与える。そのため、信号線141と信号線143との間の距離が小さいほど、B信号によるA信号へのクロストーク(Xtalk)が大きくなり、A信号のジッタ量が大きくなる。信号線142および信号線144の間の距離とジッタ量との関係についても同様である。また、これら4つの信号線141〜144の長さは同等であるが、信号線が長いほどジッタ量が大きくなる。
【0016】
上述したように、差動信号のA信号の配線の両脇に、シングルエンド方式の信号Bおよび信号Cの配線を配置している。信号A、信号Bおよび信号Cのそれぞれのパターン(Bit stream)を変えることによって、配線カップリングノイズによるクロストークの量が変わり、差動信号のジッタ量や、True信号とBar信号のクロスポイントの電圧値となるVoxを変えることが可能となる。以下に、実施例で詳しく説明する。なお、信号A、信号B、信号Cのそれぞれの基準となるパターンを、パターンA、パターンB、パターンCと称する。
【実施例1】
【0017】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図2は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図2に示す信号発生部101は図1に示した信号発生部100に相当する。
【0018】
図2に示すように、信号発生部101は、クロック信号発生器110と、パターン発生器114と、制御回路112と、セレクタ116、118とを有する。
【0019】
制御回路112には、パターンAの情報と、そのパターンAに基づいてパターンBおよびパターンCを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。信号パターンとは、信号の時間的変化を示すパターンである。パターンAおよび信号パターンの情報は外部から制御回路112にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路112は、パターンAに対応する制御信号をパターン発生器114に送信し、信号パターンに対応する制御信号をセレクタ116およびセレクタ118に送信する。
【0020】
パターン発生器114は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路112から受信する制御信号とに基づいてパターンAの信号を生成し、生成したパターンAの信号をセレクタ116、118および信号調整部131のそれぞれに送信する。
【0021】
セレクタ116は、パターン発生器114からパターンAの信号が入力され、制御回路112から制御信号を受信すると、パターンAと同じ信号、パターンAの反転信号、Low固定信号、および、High固定信号のうちいずれかを制御信号に基づいてパターンBの信号として選択し、選択した信号を信号調整部132に出力する。セレクタ118についてもセレクタ116と同様にして、制御回路112から受信する制御信号にしたがって、上記4つの信号のうちいずれかをパターンCの信号として選択し、選択した信号を信号調整部133に送信する。
【0022】
信号調整部132は、セレクタ116から受信するパターンBの信号を、信号線143を介して信号Bとして出力する。信号調整部131は、パターン発生器114から受信するパターンAの信号に対して、パターンAの信号を信号AのTrue信号として信号線141を介して出力するとともに、パターンAの反転信号を信号AのBar信号として信号線142を介して出力する。信号調整部133は、セレクタ118から受信するパターンCの信号を、信号線144を介して信号Cとして出力する。
【0023】
以下に、上述した信号発生部101によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0024】
図3は信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。図4はジッタ発生器による出力信号の波形を説明するための図である。図4は横軸が時間を示し、縦軸は電圧値を示す。図4に示すクロスポイントの電圧値Voxにおいて、波形の広がり時間がジッタ量に相当する。
【0025】
図3には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern5を示す。Pattern5は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。「信号無し」とは、Low固定信号である。そして、Patten5のときのクロスポイントを基準クロスポイントと称する。
【0026】
例えば、Patten1またはPattern2を選択すれば、クロスポイントが基準クロスポイントに対してクロスポイントの位置の変化が最も大きく、ジッタ量が最大になる。また、Pattern1を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも遅くすることが可能となり、Pattern2を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも早くすることが可能となる。Pattern5を選択すれば、ジッタ量は最小になる。
【0027】
差動信号のA信号に所望のジッタを発生させる際、ジッタ量とクロスポイントの位置をどのように設定するかにより、図3に示すPattern1からPattern5のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路112に設定すればよい。また、これらのPatternを組み合わせてもよい。つまり、5つのPatternから2つ以上のPatternを選択し、選択した範囲内で一定時間毎にPatternの種類が変わるように設定してもよい。
【0028】
図5は図3に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図5に示すように、B信号はA信号のTrue信号と同一であり、C信号はA信号のBar信号と同一である。
【0029】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、Far end Xtalk(FEXT)の量が変わり、ジッタ量を任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、ジッタ量による影響を定量的に調べることができる。
【実施例2】
【0030】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図6は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図6に示す信号発生部102は図1に示した信号発生部100に相当する。実施例1と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0031】
図6に示すように、信号発生部102は、クロック信号発生器110と、パターン発生器113と、制御回路111と、フリップフロップ回路(以下では、F/Fと略記する)115と、セレクタ176、178とを有する。
【0032】
制御回路111には、パターンBの情報と、そのパターンBに基づいてパターンAを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。本実施例では、パターンBとパターンCは同じであるため、ここでは、パターンBの情報が予め格納されているものとする。パターンBおよび信号パターンの情報は外部から制御回路111にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路111は、信号パターンに対応する制御信号をF/F115およびセレクタ176、178のそれぞれに送信し、パターンBに対応する制御信号をパターン発生器113に送信する。
【0033】
パターン発生器113は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路111から受信する制御信号とに基づいて、同一パターンのパターンBおよびパターンCの信号を生成し、生成した信号をF/F115およびセレクタ176、178のそれぞれに送信する。
【0034】
セレクタ176は、制御回路111からの制御信号に対応して、パターン発生器113から受信するパターンBの信号を信号調整部132に出力するか、出力しないかを制御する。セレクタ178は、制御回路111からの制御信号に対応して、パターン発生器113から受信するパターンCの信号を信号調整部133に出力するか、出力しないかを制御する。
【0035】
F/F115のCK端子にパターンBの信号が入力される。Q#出力端子は入力端子Dに接続されており、Q#出力信号が入力端子Dに戻される。Q出力端子が信号調整部131と接続され、Q出力端子からパターンAの信号が出力される。CK端子に入力されるパターンBの信号の立ち下がりエッジでデータを捕らえるようにF/F115を設定すれば、パターンAの信号の切り換わり時に、パターンBおよびパターンCの信号が立ち下がる。CK端子に入力されるパターンBの信号の立ち上がりエッジでデータを捕らえるようにF/F115を設定すれば、パターンAの信号の切り換わり時に、パターンBおよびパターンCの信号が立ち上がる。F/F115に対する設定は、制御回路111から入力される制御信号により行われる。
【0036】
以下に、上述した信号発生部102によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0037】
図7は信号パターンとVoxの関係を説明するための模式図である。図7には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern3を示す。Pattern3は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。Patten3のときのVoxを基準Vox値とする。
【0038】
例えば、Patten1を選択すれば、Voxの値が基準Voxよりも大きくなる。Patten2を選択すれば、Voxの値が基準Voxよりも小さくなる。Patten1とPatten2を組み合わせれば、基準Voxを中心にしてVoxの値を上下に変動させることができる。
【0039】
差動信号のA信号に所望のVoxを設定させる際、Voxの値をどのように設定するかにより、図7に示すPattern1からPattern3のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路111に設定すればよい。また、基準Voxを中心にしてVoxの値を上下に変動させる場合には、一定時間毎にPatten1とPatten2が切り替わるように設定すればよい。
【0040】
図8は図7に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図8に示すように、A信号の切り替わり時にB信号およびC信号がHighからLowに立ち下がっている。
【0041】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、FEXTの量が変わり、A信号のクロスポイントの電圧値Voxを任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、Voxによる影響を定量的に調べることができる。
【0042】
なお、実施例1の信号発生部101と実施例2の信号発生部102とを異なる構成にしたが、共通の信号発生回路と各実施例に対応したセレクタとを設け、信号発生回路からの出力信号をセレクタにより切り替えることで、信号発生部101および信号発生部102のそれぞれの回路と同様な構成を実現することも可能である。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態のジッタ発生器を説明する。図9は本実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【0044】
図9に示すように、ジッタ発生器3は、信号発生部200、信号調整部231〜233、信号線グループ24および出力部22を有する。これらの構成がPCB基板21上に設けられている。ジッタを含む出力信号23が出力部22を介して出力される。なお、説明のために、信号調整部231〜233を信号発生部200とは別の構成で示しているが、信号調整部231〜233が信号発生部200に含まれていてもよく、信号調整部231〜233を省略してもよい。
【0045】
信号線グループ24は、信号調整部231から伸びる信号線241と、信号調整部232から伸びる信号線242と、信号調整部233から伸びる信号線243とを有する。これらの3本の信号線241〜243は、図9に示すように、並行に設けられている。信号線241を挟むように、信号線242および信号線243が配置されている。
【0046】
3つの信号線241〜243のうち、信号線241は出力部22に接続され、信号調整部231から出力される、シングルエンド方式のA信号が出力信号23となる。信号線242、243のそれぞれを介して出力される信号の伝送方式はシングルエンド方式である。以下では、信号線242を伝送する信号を信号Bと称し、信号線243を伝送する信号を信号Cと称する。信号線241〜243の長さは同等である。
【0047】
信号線242および信号線243のそれぞれが信号線241に対して配線カップリングノイズを与える。信号線間の距離とジッタ量の関係、信号線の長さとジッタ量の関係については、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0048】
上述したように、シングルエンド方式のA信号の配線の両脇に、シングルエンド方式の信号Bおよび信号Cの配線を配置している。信号A、信号Bおよび信号Cのそれぞれのパターンを変えることによって、配線カップリングノイズによるクロストークの量が変わり、信号Aのジッタ量を変えることが可能となる。以下に、実施例で詳しく説明する。なお、信号A、信号B、信号Cのそれぞれの基準となるパターンを、パターンA、パターンB、パターンCと称する。
【実施例3】
【0049】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図10は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図10に示す信号発生部200は図9に示した信号発生部200に相当する。なお、実施例1または実施例2と同一な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図10に示すように、信号発生部200は、クロック信号発生器110と、パターン発生器214と、制御回路212と、セレクタ216、218とを有する。
【0051】
制御回路212には、パターンAの情報と、そのパターンAに基づいてパターンBおよびパターンCを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。パターンAおよび信号パターンの情報は外部から制御回路212にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路212は、パターンAに対応する制御信号をパターン発生器214に送信し、信号パターンに対応する制御信号をセレクタ216およびセレクタ218に送信する。
【0052】
パターン発生器214は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路212から受信する制御信号とに基づいてパターンAの信号を生成し、生成したパターンAの信号をセレクタ216、218および信号調整部231のそれぞれに送信する。
【0053】
セレクタ216は、パターン発生器214からパターンAの信号が入力され、制御回路212から制御信号を受信すると、パターンAと同じ信号、パターンAの反転信号、Low固定信号、および、High固定信号のうちいずれかを制御信号に基づいてパターンBの信号として選択し、選択した信号を信号調整部232に出力する。セレクタ218についてもセレクタ216と同様にして、制御回路212から受信する制御信号にしたがって、上記4つの信号のうちいずれかをパターンCの信号として選択し、選択した信号を信号調整部233に送信する。
【0054】
信号調整部232は、セレクタ216から受信するパターンBの信号を、信号線242を介して信号Bとして出力する。信号調整部231は、パターン発生器214から受信するパターンAの信号を、信号線241を介して信号Aとして出力する。信号調整部233は、セレクタ218から受信するパターンCの信号を、信号線243を介して信号Cとして出力する。
【0055】
以下に、上述した信号発生部200によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0056】
図11は信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。図11には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern5を示す。Pattern5は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。「信号無し」とは、Low固定信号である。そして、Patten5のときのクロスポイントを基準クロスポイントと称する。
【0057】
例えば、Patten1またはPattern2を選択すれば、クロスポイントが基準クロスポイントに対してクロスポイントの位置の変化が最も大きく、ジッタ量が最大になる。また、Pattern1を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも遅くすることが可能となり、Pattern2を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも早くすることが可能となる。Pattern5を選択すれば、ジッタ量は最小になる。
【0058】
シングルエンド方式のA信号に所望のジッタを発生させる際、ジッタ量をどのように設定するかにより、図11に示すPattern1からPattern5のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路212に設定すればよい。また、これらのPatternを組み合わせてもよい。つまり、5つのPatternから2つ以上のPatternを選択し、選択した範囲内で一定時間毎にPatternの種類が変わるように設定してもよい。
【0059】
図12は図11に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図12に示すように、B信号はA信号と同一であり、C信号はA信号と同一である。
【0060】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、FEXTの量が変わり、ジッタ量を任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、ジッタ量による影響を定量的に調べることができる。
【0061】
(第3の実施形態)
本実施形態のジッタ発生器を説明する。図13は本実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【0062】
図13に示すように、ジッタ発生器5は、信号発生部300、信号調整部331〜333、信号線グループ34および出力部32を有する。これらの構成がPCB基板31上に設けられている。ジッタを含む出力信号33が出力部32を介して出力される。なお、説明のために、信号調整部331〜333を信号発生部300とは別の構成で示しているが、信号調整部331〜333が信号発生部300に含まれていてもよい。
【0063】
信号線グループ34は、信号調整部331から伸びる2本の信号線341、342と、信号調整部132から伸びる2本の信号線343、344と、信号調整部333から伸びる2本の信号線345、346とを有する。これらの6本の信号線341〜346は、図13に示すように、並行に設けられている。
【0064】
6つの信号線341〜346のうち、信号線341、342は出力部32に接続され、信号調整部331から出力される差動信号のA信号が出力信号33となる。A信号の基準信号であるTrue信号が信号線341を介して出力部32から出力され、True信号の反転信号であるBar信号が信号線342を介して出力部32から出力される。
【0065】
差動信号を出力する信号線341、342のうち、信号線341に近い側に信号線343、344が配置され、信号線342に近い側に信号線345、346が配置されている。信号調整部332から出力される差動信号をB信号と称し、信号調整部333から出力される差動信号をC信号と称する。B信号のTrue信号が信号線343を介して伝送され、B信号のBar信号が信号線344を介して伝送される。C信号のTrue信号が信号線345を介して伝送され、C信号のBar信号が信号線346を介して伝送される。
【0066】
信号線344が主に信号線341に対して配線カップリングノイズを与え、信号線345が主に信号線342に対して配線カップリングノイズを与える。出力信号33の信号線および他の信号線の間の距離とジッタ量の関係、信号線の長さとジッタ量の関係については、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0067】
上述したように、差動信号のA信号の配線の両脇に、差動信号の信号Bおよび信号Cの配線を配置している。信号A、信号Bおよび信号Cのそれぞれのパターンを変えることによって、配線カップリングノイズによるクロストークの量が変わり、差動信号のジッタ量やクロスポイントのVoxの値を変えることが可能となる。以下に、実施例で詳しく説明する。なお、信号A、信号B、信号Cのそれぞれの基準となるパターンを、パターンA、パターンB、パターンCと称する。
【実施例4】
【0068】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図14は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図14に示す信号発生部301は図13に示した信号発生部300に相当する。
【0069】
図14に示すように、信号発生部301は、クロック信号発生器110と、パターン発生器314と、制御回路312と、セレクタ316、318とを有する。
【0070】
制御回路312には、パターンAの情報と、そのパターンAに基づいてパターンBおよびパターンCを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。パターンAおよび信号パターンの情報は外部から制御回路312にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路312は、パターンAに対応する制御信号をパターン発生器314に送信し、信号パターンに対応する制御信号をセレクタ316およびセレクタ318に送信する。
【0071】
パターン発生器314は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路312から受信する制御信号とに基づいてパターンAの信号を生成し、生成したパターンAの信号をセレクタ316、318および信号調整部331のそれぞれに送信する。
【0072】
セレクタ316は、パターン発生器314からパターンAの信号が入力され、制御回路312から制御信号を受信すると、パターンAと同じ信号、パターンAの反転信号、Low固定信号、および、High固定信号のうちいずれかを制御信号に基づいてパターンBの信号として選択し、選択した信号を信号調整部332に出力する。セレクタ318についてもセレクタ316と同様にして、制御回路312から受信する制御信号にしたがって、上記4つの信号のうちいずれかをパターンCの信号として選択し、選択した信号を信号調整部333に送信する。
【0073】
信号調整部331は、パターン発生器314から受信するパターンAの信号に対して、パターンAの信号を信号AのTrue信号として信号線341を介して出力するとともに、パターンAの反転信号を信号AのBar信号として信号線342を介して出力する。信号調整部332は、セレクタ316から受信するパターンBの信号に対して、パターンBの信号を信号BのTrue信号として信号線343に出力するとともに、パターンBの反転信号を信号BのBar信号として信号線344に出力する。信号調整部333は、セレクタ318から受信するパターンCの信号に対して、パターンCの信号を信号CのTrue信号として信号線345に出力するとともに、パターンCの反転信号を信号CのBar信号として信号線346に出力する。
【0074】
以下に、上述した信号発生部301によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0075】
図15は信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。図15には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern5を示す。Pattern5は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。「信号無し」とは、Low固定信号である。そして、Patten5のときのクロスポイントを基準クロスポイントと称する。
【0076】
例えば、Patten1またはPattern2を選択すれば、クロスポイントが基準クロスポイントに対してクロスポイントの位置の変化が最も大きく、ジッタ量が最大になる。また、Pattern1を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも遅くすることが可能となり、Pattern2を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも早くすることが可能となる。Pattern5を選択すれば、ジッタ量は最小になる。
【0077】
差動信号のA信号に所望のジッタを発生させる際、ジッタ量とクロスポイントの位置をどのように設定するかにより、図15に示すPattern1からPattern5のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路312に設定すればよい。また、これらのPatternを組み合わせてもよい。つまり、5つのPatternから2つ以上のPatternを選択し、選択した範囲内で一定時間毎にPatternの種類が変わるように設定してもよい。
【0078】
図16は図15に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図16に示すように、B信号のTrue信号はA信号のBar信号と同一であり、B信号のBar信号はA信号のTrue信号と同一である。C信号についても同様に、C信号のTrue信号はA信号のBar信号と同一であり、C信号のBar信号はA信号のTrue信号と同一である。
【0079】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、FEXTの量が変わり、ジッタ量を任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、ジッタ量による影響を定量的に調べることができる。
【実施例5】
【0080】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図17は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図17に示す信号発生部302は図13に示した信号発生部300に相当する。実施例2と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0081】
図17に示すように、信号発生部302は、クロック信号発生器110と、パターン発生器313と、制御回路311と、F/F315と、セレクタ376、378とを有する。
【0082】
制御回路311には、パターンBの情報と、そのパターンBに基づいてパターンAを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。本実施例では、パターンBとパターンCは同じであるため、ここでは、パターンBの情報が予め格納されているものとする。パターンBおよび信号パターンの情報は外部から制御回路311にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路311は、信号パターンに対応する制御信号をF/F315およびセレクタ376、378のそれぞれに送信し、パターンBに対応する制御信号をパターン発生器313に送信する。
【0083】
パターン発生器313は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路311から受信する制御信号とに基づいて、同一パターンのパターンBおよびパターンCの信号を生成し、生成した信号をF/F315およびセレクタ376、378のそれぞれに送信する。
【0084】
セレクタ376は、制御回路311からの制御信号に対応して、パターン発生器313から受信するパターンBの信号を信号調整部332に出力するか、出力しないかを制御する。セレクタ378は、制御回路111からの制御信号に対応して、パターン発生器313から受信するパターンCの信号を信号調整部333に出力するか、出力しないかを制御する。
【0085】
F/F315のCK端子にパターンBの信号が入力される。Q#出力端子は入力端子Dに接続されており、Q#出力信号が入力端子Dに戻される。Q出力端子が信号調整部131と接続され、Q出力端子からパターンAの信号が出力される。CK端子に入力されるパターンBの信号の立ち下がりエッジでデータを捕らえるようにF/F315を設定すれば、パターンAの信号の切り換わり時に、パターンBおよびパターンCの信号が立ち下がる。CK端子に入力されるパターンBの信号の立ち上がりエッジでデータを捕らえるようにF/F315を設定すれば、パターンAの信号の切り換わり時に、パターンBおよびパターンCの信号が立ち上がる。F/F315に対する設定は、制御回路311から入力される制御信号により行われる。
【0086】
以下に、上述した信号発生部302によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0087】
図18は信号パターンとVoxの関係を説明するための模式図である。図18には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern3を示す。Pattern3は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。Patten3のときのVoxを基準Vox値とする。
【0088】
例えば、Patten1を選択すれば、Voxの値が基準Voxよりも大きくなる。Patten2を選択すれば、Voxの値が基準Voxよりも小さくなる。Patten1とPatten2を組み合わせれば、基準Voxを中心にしてVoxの値を上下に変動させることができる。
【0089】
差動信号のA信号に所望のVoxを設定させる際、Voxの値をどのように設定するかにより、図18に示すPattern1からPattern3のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路311に設定すればよい。また、基準Voxを中心にしてVoxの値を上下に変動させる場合には、一定時間毎にPatten1とPatten2が切り替わるように設定すればよい。
【0090】
図19は図18に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図19に示すように、A信号の切り替わり時に、B信号のBar信号がHighからLowに立ち下がり、C信号のTrue信号がHighからLowに立ち下がっている。
【0091】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、FEXTの量が変わり、A信号のクロスポイントの電圧値Voxを任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、Voxによる影響を定量的に調べることができる。
【0092】
なお、実施例4の信号発生部301と実施例5の信号発生部302とを異なる構成にしたが、共通の信号発生回路と各実施例に対応したセレクタとを設け、信号発生回路からの出力信号をセレクタにより切り替えることで、信号発生部301および信号発生部302のそれぞれの回路と同様な構成を実現することも可能である。
【0093】
本発明によれば、簡単な構成で出力信号のジッタ量およびVoxを設定でき、電子機器への入力信号のジッタ量の影響を定量的に調査することができる。また、PCB基板に信号線を設けた構成でクロストークを発生させているため、実際の電子機器におけるシステムの信号に近い信号を発生させることができる。その結果、きめ細かい不良解析や、ジッタに強い入力回路を設計することが可能になる。
【符号の説明】
【0094】
1、3、5 ジッタ発生器
12、22、32 出力部
100、200、300 信号発生部
131〜133、231〜233、331〜333 信号調整部
141〜144、241〜243、341〜346 信号線
110 クロック信号発生器
111、112、212、311、312 制御回路
113、114、214、313、314 パターン発生器
116、118、216、218、316、318 セレクタ
115、315 フリップフロップ回路(F/F)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッタ(Jitter)による電子機器への影響を調べるためのジッタ発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器のサイズがより小さくなるにつれて、PCB(Printed Circuit Board)基板に設けられた信号線における信号線間の距離も短くなり、信号に対する、ジッタによる影響が問題になってきた。
【0003】
電子機器内の信号または電子機器に入力される信号に対する、ジッタによる影響を評価するために、パルスジェネレータを用いてジッタを意図的に発生させる方法が知られている。なお、容量カップリングノイズを用いて信号を伝搬させるバスシステムの一例が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−312087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パルスジェネレータを用いてジッタを発生させる方法では、モジュレータを介してパルスジェネレータに変調信号を入力し、パルスジェネレータの出力信号にジッタを付加する。しかし、パルスジェネレータは、ジッタだけでなく、多くの種類の評価のために様々なパルスを発生できるように作製されたものであり、ジッタの発生を目的とする装置としては高価であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のジッタ発生器は、
出力信号を伝送するための第1の信号線と、
前記第1の信号線に隣接する第2および第3の信号線と、を有し、
前記第2および第3の信号線のそれぞれは前記第1の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与える構成である。
【0007】
本発明によれば、出力信号を伝送する第1の信号線は、隣接する第2および第3の信号線のそれぞれとの距離や信号線の長さに対応する配線カップリングノイズが第2および第3の信号線から与えられ、与えられた配線カップリングノイズに応じたジッタを発生する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成で出力信号のジッタ量を設定でき、電子機器への入力信号のジッタ量の影響を定量的に調査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【図2】実施例1における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図3】実施例1において信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。
【図4】ジッタ発生器による出力信号の波形を説明するための図である。
【図5】図3に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【図6】実施例2における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図7】実施例2において信号パターンとVoxの関係を説明するための模式図である。
【図8】図7に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【図9】第2の実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【図10】実施例3における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図11】実施例3において信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。
【図12】図11に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【図13】第3の実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【図14】実施例4における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図15】実施例4において信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。
【図16】図15に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【図17】実施例5における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。
【図18】実施例5において信号パターンとVoxの関係を説明するための模式図である。
【図19】図18に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本実施形態のジッタ発生器を説明する。図1は本実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【0011】
図1に示すように、ジッタ発生器1は、信号発生部100、信号調整部131〜133、信号線グループ14および出力部12を有する。これらの構成がPCB基板11上に設けられている。ジッタを含む出力信号13が出力部12を介して出力される。なお、説明のために、信号調整部131〜133を信号発生部100とは別の構成で示しているが、信号調整部131〜133が信号発生部100に含まれていてもよい。
【0012】
信号線グループ14は、信号調整部131から伸びる2本の信号線141、142と、信号調整部132から伸びる信号線143と、信号調整部133から伸びる信号線144とを有する。これらの4本の信号線141〜144は、図1に示すように、並行に設けられている。
【0013】
4つの信号線141〜144のうち、信号線141、142は出力部12に接続され、信号調整部131から出力される差動信号のA信号が出力信号13となる。A信号の基準信号であるTrue信号が信号線141を介して出力部12から出力され、True信号の反転信号であるBar信号が信号線142を介して出力部12から出力される。
【0014】
差動信号を出力する信号線141、142のうち、信号線141に近い側に信号線143が配置され、信号線142に近い側に信号線144が配置されている。信号線143、144のそれぞれを介して出力される信号の伝送方式はSingle- ended(シングルエンド)方式である。以下では、信号線143を伝送する信号を信号Bと称し、信号線144を伝送する信号を信号Cと称する。
【0015】
信号線143が主に信号線141に対して配線カップリングノイズを与え、信号線144が主に信号線142に対して配線カップリングノイズを与える。そのため、信号線141と信号線143との間の距離が小さいほど、B信号によるA信号へのクロストーク(Xtalk)が大きくなり、A信号のジッタ量が大きくなる。信号線142および信号線144の間の距離とジッタ量との関係についても同様である。また、これら4つの信号線141〜144の長さは同等であるが、信号線が長いほどジッタ量が大きくなる。
【0016】
上述したように、差動信号のA信号の配線の両脇に、シングルエンド方式の信号Bおよび信号Cの配線を配置している。信号A、信号Bおよび信号Cのそれぞれのパターン(Bit stream)を変えることによって、配線カップリングノイズによるクロストークの量が変わり、差動信号のジッタ量や、True信号とBar信号のクロスポイントの電圧値となるVoxを変えることが可能となる。以下に、実施例で詳しく説明する。なお、信号A、信号B、信号Cのそれぞれの基準となるパターンを、パターンA、パターンB、パターンCと称する。
【実施例1】
【0017】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図2は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図2に示す信号発生部101は図1に示した信号発生部100に相当する。
【0018】
図2に示すように、信号発生部101は、クロック信号発生器110と、パターン発生器114と、制御回路112と、セレクタ116、118とを有する。
【0019】
制御回路112には、パターンAの情報と、そのパターンAに基づいてパターンBおよびパターンCを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。信号パターンとは、信号の時間的変化を示すパターンである。パターンAおよび信号パターンの情報は外部から制御回路112にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路112は、パターンAに対応する制御信号をパターン発生器114に送信し、信号パターンに対応する制御信号をセレクタ116およびセレクタ118に送信する。
【0020】
パターン発生器114は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路112から受信する制御信号とに基づいてパターンAの信号を生成し、生成したパターンAの信号をセレクタ116、118および信号調整部131のそれぞれに送信する。
【0021】
セレクタ116は、パターン発生器114からパターンAの信号が入力され、制御回路112から制御信号を受信すると、パターンAと同じ信号、パターンAの反転信号、Low固定信号、および、High固定信号のうちいずれかを制御信号に基づいてパターンBの信号として選択し、選択した信号を信号調整部132に出力する。セレクタ118についてもセレクタ116と同様にして、制御回路112から受信する制御信号にしたがって、上記4つの信号のうちいずれかをパターンCの信号として選択し、選択した信号を信号調整部133に送信する。
【0022】
信号調整部132は、セレクタ116から受信するパターンBの信号を、信号線143を介して信号Bとして出力する。信号調整部131は、パターン発生器114から受信するパターンAの信号に対して、パターンAの信号を信号AのTrue信号として信号線141を介して出力するとともに、パターンAの反転信号を信号AのBar信号として信号線142を介して出力する。信号調整部133は、セレクタ118から受信するパターンCの信号を、信号線144を介して信号Cとして出力する。
【0023】
以下に、上述した信号発生部101によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0024】
図3は信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。図4はジッタ発生器による出力信号の波形を説明するための図である。図4は横軸が時間を示し、縦軸は電圧値を示す。図4に示すクロスポイントの電圧値Voxにおいて、波形の広がり時間がジッタ量に相当する。
【0025】
図3には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern5を示す。Pattern5は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。「信号無し」とは、Low固定信号である。そして、Patten5のときのクロスポイントを基準クロスポイントと称する。
【0026】
例えば、Patten1またはPattern2を選択すれば、クロスポイントが基準クロスポイントに対してクロスポイントの位置の変化が最も大きく、ジッタ量が最大になる。また、Pattern1を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも遅くすることが可能となり、Pattern2を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも早くすることが可能となる。Pattern5を選択すれば、ジッタ量は最小になる。
【0027】
差動信号のA信号に所望のジッタを発生させる際、ジッタ量とクロスポイントの位置をどのように設定するかにより、図3に示すPattern1からPattern5のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路112に設定すればよい。また、これらのPatternを組み合わせてもよい。つまり、5つのPatternから2つ以上のPatternを選択し、選択した範囲内で一定時間毎にPatternの種類が変わるように設定してもよい。
【0028】
図5は図3に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図5に示すように、B信号はA信号のTrue信号と同一であり、C信号はA信号のBar信号と同一である。
【0029】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、Far end Xtalk(FEXT)の量が変わり、ジッタ量を任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、ジッタ量による影響を定量的に調べることができる。
【実施例2】
【0030】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図6は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図6に示す信号発生部102は図1に示した信号発生部100に相当する。実施例1と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0031】
図6に示すように、信号発生部102は、クロック信号発生器110と、パターン発生器113と、制御回路111と、フリップフロップ回路(以下では、F/Fと略記する)115と、セレクタ176、178とを有する。
【0032】
制御回路111には、パターンBの情報と、そのパターンBに基づいてパターンAを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。本実施例では、パターンBとパターンCは同じであるため、ここでは、パターンBの情報が予め格納されているものとする。パターンBおよび信号パターンの情報は外部から制御回路111にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路111は、信号パターンに対応する制御信号をF/F115およびセレクタ176、178のそれぞれに送信し、パターンBに対応する制御信号をパターン発生器113に送信する。
【0033】
パターン発生器113は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路111から受信する制御信号とに基づいて、同一パターンのパターンBおよびパターンCの信号を生成し、生成した信号をF/F115およびセレクタ176、178のそれぞれに送信する。
【0034】
セレクタ176は、制御回路111からの制御信号に対応して、パターン発生器113から受信するパターンBの信号を信号調整部132に出力するか、出力しないかを制御する。セレクタ178は、制御回路111からの制御信号に対応して、パターン発生器113から受信するパターンCの信号を信号調整部133に出力するか、出力しないかを制御する。
【0035】
F/F115のCK端子にパターンBの信号が入力される。Q#出力端子は入力端子Dに接続されており、Q#出力信号が入力端子Dに戻される。Q出力端子が信号調整部131と接続され、Q出力端子からパターンAの信号が出力される。CK端子に入力されるパターンBの信号の立ち下がりエッジでデータを捕らえるようにF/F115を設定すれば、パターンAの信号の切り換わり時に、パターンBおよびパターンCの信号が立ち下がる。CK端子に入力されるパターンBの信号の立ち上がりエッジでデータを捕らえるようにF/F115を設定すれば、パターンAの信号の切り換わり時に、パターンBおよびパターンCの信号が立ち上がる。F/F115に対する設定は、制御回路111から入力される制御信号により行われる。
【0036】
以下に、上述した信号発生部102によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0037】
図7は信号パターンとVoxの関係を説明するための模式図である。図7には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern3を示す。Pattern3は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。Patten3のときのVoxを基準Vox値とする。
【0038】
例えば、Patten1を選択すれば、Voxの値が基準Voxよりも大きくなる。Patten2を選択すれば、Voxの値が基準Voxよりも小さくなる。Patten1とPatten2を組み合わせれば、基準Voxを中心にしてVoxの値を上下に変動させることができる。
【0039】
差動信号のA信号に所望のVoxを設定させる際、Voxの値をどのように設定するかにより、図7に示すPattern1からPattern3のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路111に設定すればよい。また、基準Voxを中心にしてVoxの値を上下に変動させる場合には、一定時間毎にPatten1とPatten2が切り替わるように設定すればよい。
【0040】
図8は図7に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図8に示すように、A信号の切り替わり時にB信号およびC信号がHighからLowに立ち下がっている。
【0041】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、FEXTの量が変わり、A信号のクロスポイントの電圧値Voxを任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、Voxによる影響を定量的に調べることができる。
【0042】
なお、実施例1の信号発生部101と実施例2の信号発生部102とを異なる構成にしたが、共通の信号発生回路と各実施例に対応したセレクタとを設け、信号発生回路からの出力信号をセレクタにより切り替えることで、信号発生部101および信号発生部102のそれぞれの回路と同様な構成を実現することも可能である。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態のジッタ発生器を説明する。図9は本実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【0044】
図9に示すように、ジッタ発生器3は、信号発生部200、信号調整部231〜233、信号線グループ24および出力部22を有する。これらの構成がPCB基板21上に設けられている。ジッタを含む出力信号23が出力部22を介して出力される。なお、説明のために、信号調整部231〜233を信号発生部200とは別の構成で示しているが、信号調整部231〜233が信号発生部200に含まれていてもよく、信号調整部231〜233を省略してもよい。
【0045】
信号線グループ24は、信号調整部231から伸びる信号線241と、信号調整部232から伸びる信号線242と、信号調整部233から伸びる信号線243とを有する。これらの3本の信号線241〜243は、図9に示すように、並行に設けられている。信号線241を挟むように、信号線242および信号線243が配置されている。
【0046】
3つの信号線241〜243のうち、信号線241は出力部22に接続され、信号調整部231から出力される、シングルエンド方式のA信号が出力信号23となる。信号線242、243のそれぞれを介して出力される信号の伝送方式はシングルエンド方式である。以下では、信号線242を伝送する信号を信号Bと称し、信号線243を伝送する信号を信号Cと称する。信号線241〜243の長さは同等である。
【0047】
信号線242および信号線243のそれぞれが信号線241に対して配線カップリングノイズを与える。信号線間の距離とジッタ量の関係、信号線の長さとジッタ量の関係については、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0048】
上述したように、シングルエンド方式のA信号の配線の両脇に、シングルエンド方式の信号Bおよび信号Cの配線を配置している。信号A、信号Bおよび信号Cのそれぞれのパターンを変えることによって、配線カップリングノイズによるクロストークの量が変わり、信号Aのジッタ量を変えることが可能となる。以下に、実施例で詳しく説明する。なお、信号A、信号B、信号Cのそれぞれの基準となるパターンを、パターンA、パターンB、パターンCと称する。
【実施例3】
【0049】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図10は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図10に示す信号発生部200は図9に示した信号発生部200に相当する。なお、実施例1または実施例2と同一な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
図10に示すように、信号発生部200は、クロック信号発生器110と、パターン発生器214と、制御回路212と、セレクタ216、218とを有する。
【0051】
制御回路212には、パターンAの情報と、そのパターンAに基づいてパターンBおよびパターンCを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。パターンAおよび信号パターンの情報は外部から制御回路212にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路212は、パターンAに対応する制御信号をパターン発生器214に送信し、信号パターンに対応する制御信号をセレクタ216およびセレクタ218に送信する。
【0052】
パターン発生器214は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路212から受信する制御信号とに基づいてパターンAの信号を生成し、生成したパターンAの信号をセレクタ216、218および信号調整部231のそれぞれに送信する。
【0053】
セレクタ216は、パターン発生器214からパターンAの信号が入力され、制御回路212から制御信号を受信すると、パターンAと同じ信号、パターンAの反転信号、Low固定信号、および、High固定信号のうちいずれかを制御信号に基づいてパターンBの信号として選択し、選択した信号を信号調整部232に出力する。セレクタ218についてもセレクタ216と同様にして、制御回路212から受信する制御信号にしたがって、上記4つの信号のうちいずれかをパターンCの信号として選択し、選択した信号を信号調整部233に送信する。
【0054】
信号調整部232は、セレクタ216から受信するパターンBの信号を、信号線242を介して信号Bとして出力する。信号調整部231は、パターン発生器214から受信するパターンAの信号を、信号線241を介して信号Aとして出力する。信号調整部233は、セレクタ218から受信するパターンCの信号を、信号線243を介して信号Cとして出力する。
【0055】
以下に、上述した信号発生部200によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0056】
図11は信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。図11には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern5を示す。Pattern5は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。「信号無し」とは、Low固定信号である。そして、Patten5のときのクロスポイントを基準クロスポイントと称する。
【0057】
例えば、Patten1またはPattern2を選択すれば、クロスポイントが基準クロスポイントに対してクロスポイントの位置の変化が最も大きく、ジッタ量が最大になる。また、Pattern1を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも遅くすることが可能となり、Pattern2を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも早くすることが可能となる。Pattern5を選択すれば、ジッタ量は最小になる。
【0058】
シングルエンド方式のA信号に所望のジッタを発生させる際、ジッタ量をどのように設定するかにより、図11に示すPattern1からPattern5のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路212に設定すればよい。また、これらのPatternを組み合わせてもよい。つまり、5つのPatternから2つ以上のPatternを選択し、選択した範囲内で一定時間毎にPatternの種類が変わるように設定してもよい。
【0059】
図12は図11に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図12に示すように、B信号はA信号と同一であり、C信号はA信号と同一である。
【0060】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、FEXTの量が変わり、ジッタ量を任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、ジッタ量による影響を定量的に調べることができる。
【0061】
(第3の実施形態)
本実施形態のジッタ発生器を説明する。図13は本実施形態のジッタ発生器を説明するためのブロック図である。
【0062】
図13に示すように、ジッタ発生器5は、信号発生部300、信号調整部331〜333、信号線グループ34および出力部32を有する。これらの構成がPCB基板31上に設けられている。ジッタを含む出力信号33が出力部32を介して出力される。なお、説明のために、信号調整部331〜333を信号発生部300とは別の構成で示しているが、信号調整部331〜333が信号発生部300に含まれていてもよい。
【0063】
信号線グループ34は、信号調整部331から伸びる2本の信号線341、342と、信号調整部132から伸びる2本の信号線343、344と、信号調整部333から伸びる2本の信号線345、346とを有する。これらの6本の信号線341〜346は、図13に示すように、並行に設けられている。
【0064】
6つの信号線341〜346のうち、信号線341、342は出力部32に接続され、信号調整部331から出力される差動信号のA信号が出力信号33となる。A信号の基準信号であるTrue信号が信号線341を介して出力部32から出力され、True信号の反転信号であるBar信号が信号線342を介して出力部32から出力される。
【0065】
差動信号を出力する信号線341、342のうち、信号線341に近い側に信号線343、344が配置され、信号線342に近い側に信号線345、346が配置されている。信号調整部332から出力される差動信号をB信号と称し、信号調整部333から出力される差動信号をC信号と称する。B信号のTrue信号が信号線343を介して伝送され、B信号のBar信号が信号線344を介して伝送される。C信号のTrue信号が信号線345を介して伝送され、C信号のBar信号が信号線346を介して伝送される。
【0066】
信号線344が主に信号線341に対して配線カップリングノイズを与え、信号線345が主に信号線342に対して配線カップリングノイズを与える。出力信号33の信号線および他の信号線の間の距離とジッタ量の関係、信号線の長さとジッタ量の関係については、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0067】
上述したように、差動信号のA信号の配線の両脇に、差動信号の信号Bおよび信号Cの配線を配置している。信号A、信号Bおよび信号Cのそれぞれのパターンを変えることによって、配線カップリングノイズによるクロストークの量が変わり、差動信号のジッタ量やクロスポイントのVoxの値を変えることが可能となる。以下に、実施例で詳しく説明する。なお、信号A、信号B、信号Cのそれぞれの基準となるパターンを、パターンA、パターンB、パターンCと称する。
【実施例4】
【0068】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図14は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図14に示す信号発生部301は図13に示した信号発生部300に相当する。
【0069】
図14に示すように、信号発生部301は、クロック信号発生器110と、パターン発生器314と、制御回路312と、セレクタ316、318とを有する。
【0070】
制御回路312には、パターンAの情報と、そのパターンAに基づいてパターンBおよびパターンCを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。パターンAおよび信号パターンの情報は外部から制御回路312にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路312は、パターンAに対応する制御信号をパターン発生器314に送信し、信号パターンに対応する制御信号をセレクタ316およびセレクタ318に送信する。
【0071】
パターン発生器314は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路312から受信する制御信号とに基づいてパターンAの信号を生成し、生成したパターンAの信号をセレクタ316、318および信号調整部331のそれぞれに送信する。
【0072】
セレクタ316は、パターン発生器314からパターンAの信号が入力され、制御回路312から制御信号を受信すると、パターンAと同じ信号、パターンAの反転信号、Low固定信号、および、High固定信号のうちいずれかを制御信号に基づいてパターンBの信号として選択し、選択した信号を信号調整部332に出力する。セレクタ318についてもセレクタ316と同様にして、制御回路312から受信する制御信号にしたがって、上記4つの信号のうちいずれかをパターンCの信号として選択し、選択した信号を信号調整部333に送信する。
【0073】
信号調整部331は、パターン発生器314から受信するパターンAの信号に対して、パターンAの信号を信号AのTrue信号として信号線341を介して出力するとともに、パターンAの反転信号を信号AのBar信号として信号線342を介して出力する。信号調整部332は、セレクタ316から受信するパターンBの信号に対して、パターンBの信号を信号BのTrue信号として信号線343に出力するとともに、パターンBの反転信号を信号BのBar信号として信号線344に出力する。信号調整部333は、セレクタ318から受信するパターンCの信号に対して、パターンCの信号を信号CのTrue信号として信号線345に出力するとともに、パターンCの反転信号を信号CのBar信号として信号線346に出力する。
【0074】
以下に、上述した信号発生部301によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0075】
図15は信号パターンとクロスポイントの関係を説明するための模式図である。図15には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern5を示す。Pattern5は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。「信号無し」とは、Low固定信号である。そして、Patten5のときのクロスポイントを基準クロスポイントと称する。
【0076】
例えば、Patten1またはPattern2を選択すれば、クロスポイントが基準クロスポイントに対してクロスポイントの位置の変化が最も大きく、ジッタ量が最大になる。また、Pattern1を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも遅くすることが可能となり、Pattern2を選択すればクロスポイントの位置を基準クロスポイントよりも早くすることが可能となる。Pattern5を選択すれば、ジッタ量は最小になる。
【0077】
差動信号のA信号に所望のジッタを発生させる際、ジッタ量とクロスポイントの位置をどのように設定するかにより、図15に示すPattern1からPattern5のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路312に設定すればよい。また、これらのPatternを組み合わせてもよい。つまり、5つのPatternから2つ以上のPatternを選択し、選択した範囲内で一定時間毎にPatternの種類が変わるように設定してもよい。
【0078】
図16は図15に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図16に示すように、B信号のTrue信号はA信号のBar信号と同一であり、B信号のBar信号はA信号のTrue信号と同一である。C信号についても同様に、C信号のTrue信号はA信号のBar信号と同一であり、C信号のBar信号はA信号のTrue信号と同一である。
【0079】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、FEXTの量が変わり、ジッタ量を任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、ジッタ量による影響を定量的に調べることができる。
【実施例5】
【0080】
本実施例のジッタ発生器について説明する。図17は本実施例における信号発生部の一構成例を示すブロック図である。図17に示す信号発生部302は図13に示した信号発生部300に相当する。実施例2と同様な構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0081】
図17に示すように、信号発生部302は、クロック信号発生器110と、パターン発生器313と、制御回路311と、F/F315と、セレクタ376、378とを有する。
【0082】
制御回路311には、パターンBの情報と、そのパターンBに基づいてパターンAを設定するための信号パターンの情報とが格納されている。本実施例では、パターンBとパターンCは同じであるため、ここでは、パターンBの情報が予め格納されているものとする。パターンBおよび信号パターンの情報は外部から制御回路311にユーザが入力することにより設定可能にしてもよい。制御回路311は、信号パターンに対応する制御信号をF/F315およびセレクタ376、378のそれぞれに送信し、パターンBに対応する制御信号をパターン発生器313に送信する。
【0083】
パターン発生器313は、クロック信号発生器110から受信するクロック信号と制御回路311から受信する制御信号とに基づいて、同一パターンのパターンBおよびパターンCの信号を生成し、生成した信号をF/F315およびセレクタ376、378のそれぞれに送信する。
【0084】
セレクタ376は、制御回路311からの制御信号に対応して、パターン発生器313から受信するパターンBの信号を信号調整部332に出力するか、出力しないかを制御する。セレクタ378は、制御回路111からの制御信号に対応して、パターン発生器313から受信するパターンCの信号を信号調整部333に出力するか、出力しないかを制御する。
【0085】
F/F315のCK端子にパターンBの信号が入力される。Q#出力端子は入力端子Dに接続されており、Q#出力信号が入力端子Dに戻される。Q出力端子が信号調整部131と接続され、Q出力端子からパターンAの信号が出力される。CK端子に入力されるパターンBの信号の立ち下がりエッジでデータを捕らえるようにF/F315を設定すれば、パターンAの信号の切り換わり時に、パターンBおよびパターンCの信号が立ち下がる。CK端子に入力されるパターンBの信号の立ち上がりエッジでデータを捕らえるようにF/F315を設定すれば、パターンAの信号の切り換わり時に、パターンBおよびパターンCの信号が立ち上がる。F/F315に対する設定は、制御回路311から入力される制御信号により行われる。
【0086】
以下に、上述した信号発生部302によって、どのようなジッタを発生させることができるかを説明する。
【0087】
図18は信号パターンとVoxの関係を説明するための模式図である。図18には、信号パターンの例として、Pattern1からPattern3を示す。Pattern3は、信号Bおよび信号Cが信号無しで、信号Aだけの場合を示し、この場合を基準とする。Patten3のときのVoxを基準Vox値とする。
【0088】
例えば、Patten1を選択すれば、Voxの値が基準Voxよりも大きくなる。Patten2を選択すれば、Voxの値が基準Voxよりも小さくなる。Patten1とPatten2を組み合わせれば、基準Voxを中心にしてVoxの値を上下に変動させることができる。
【0089】
差動信号のA信号に所望のVoxを設定させる際、Voxの値をどのように設定するかにより、図18に示すPattern1からPattern3のうちいずれかのPatternを選択し、選択したPatternを制御回路311に設定すればよい。また、基準Voxを中心にしてVoxの値を上下に変動させる場合には、一定時間毎にPatten1とPatten2が切り替わるように設定すればよい。
【0090】
図19は図18に示したPattern1の場合の各信号線の変化を示す図である。図19に示すように、A信号の切り替わり時に、B信号のBar信号がHighからLowに立ち下がり、C信号のTrue信号がHighからLowに立ち下がっている。
【0091】
このようにして、信号のHighとLowを動作させるPatternを変えることによって、FEXTの量が変わり、A信号のクロスポイントの電圧値Voxを任意の値に設定できる。電子機器への入力信号などの信号に対する、Voxによる影響を定量的に調べることができる。
【0092】
なお、実施例4の信号発生部301と実施例5の信号発生部302とを異なる構成にしたが、共通の信号発生回路と各実施例に対応したセレクタとを設け、信号発生回路からの出力信号をセレクタにより切り替えることで、信号発生部301および信号発生部302のそれぞれの回路と同様な構成を実現することも可能である。
【0093】
本発明によれば、簡単な構成で出力信号のジッタ量およびVoxを設定でき、電子機器への入力信号のジッタ量の影響を定量的に調査することができる。また、PCB基板に信号線を設けた構成でクロストークを発生させているため、実際の電子機器におけるシステムの信号に近い信号を発生させることができる。その結果、きめ細かい不良解析や、ジッタに強い入力回路を設計することが可能になる。
【符号の説明】
【0094】
1、3、5 ジッタ発生器
12、22、32 出力部
100、200、300 信号発生部
131〜133、231〜233、331〜333 信号調整部
141〜144、241〜243、341〜346 信号線
110 クロック信号発生器
111、112、212、311、312 制御回路
113、114、214、313、314 パターン発生器
116、118、216、218、316、318 セレクタ
115、315 フリップフロップ回路(F/F)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力信号となる第1の信号を伝送するための第1の信号線と、
前記第1の信号線に隣接する第2および第3の信号線と、
前記第1の信号、前記第2の信号線に出力する第2の信号、および前記第3の信号線に出力する第3の信号を生成する信号発生部と、を有し、
前記第2および第3の信号線のそれぞれは前記第1の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与える構成である、ジッタ発生器。
【請求項2】
前記第2および第3の信号のうち少なくとも一方は、信号の時間的変化を示すパターンが前記第1の信号と同一のパターン、または該第1の信号の反転パターンである、請求項1記載のジッタ発生器。
【請求項3】
前記第1の信号線と前記第3の信号線の間に、前記信号発生部から出力される、前記第1の信号を反転した出力信号である第4の信号を伝送するための第4の信号線が設けられ、
前記第2の信号線は前記第1の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与え、前記第3の信号線は前記第4の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与える構成である、請求項1記載のジッタ発生器。
【請求項4】
前記第2の信号は、信号の時間的変化を示すパターンが前記第3の信号と異なっている、請求項3記載のジッタ発生器。
【請求項5】
前記第2の信号線に隣接し、かつ、前記第1の信号線とは反対側に、前記信号発生部から出力される、前記第2の信号を反転した信号である第5の信号を伝送するための第5の信号線が設けられ、
前記第3の信号線に隣接し、かつ、前記第4の信号線とは反対側に、前記信号発生部から出力される、前記第3の信号を反転した信号である第6の信号を伝送するための第6の信号線が設けられている、請求項3記載のジッタ発生器。
【請求項6】
前記第1および第4の信号の2つの信号を第1の差動信号とし、前記第2および第5の信号の2つの信号を第2の差動信号とし、前記第3および第6の信号の2つの信号を第3の差動信号とすると、
前記第2および第3の差動信号のうち少なくとも一方の前記2つの信号の一方は、信号の時間的変化を示すパターンが前記第1の信号と同一のパターン、または該第1の信号の反転パターンである、請求項5記載のジッタ発生器。
【請求項7】
前記第2および第3の信号は信号の時間的変化を示すパターンが同一であり、
前記第2および第3の信号がハイからローまたはローからハイに変化するときに、前記第1および第4の信号がハイからローまたはローからハイに変化する、請求項3または6記載のジッタ発生器。
【請求項1】
出力信号となる第1の信号を伝送するための第1の信号線と、
前記第1の信号線に隣接する第2および第3の信号線と、
前記第1の信号、前記第2の信号線に出力する第2の信号、および前記第3の信号線に出力する第3の信号を生成する信号発生部と、を有し、
前記第2および第3の信号線のそれぞれは前記第1の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与える構成である、ジッタ発生器。
【請求項2】
前記第2および第3の信号のうち少なくとも一方は、信号の時間的変化を示すパターンが前記第1の信号と同一のパターン、または該第1の信号の反転パターンである、請求項1記載のジッタ発生器。
【請求項3】
前記第1の信号線と前記第3の信号線の間に、前記信号発生部から出力される、前記第1の信号を反転した出力信号である第4の信号を伝送するための第4の信号線が設けられ、
前記第2の信号線は前記第1の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与え、前記第3の信号線は前記第4の信号線に対して任意の配線カップリングノイズを与える構成である、請求項1記載のジッタ発生器。
【請求項4】
前記第2の信号は、信号の時間的変化を示すパターンが前記第3の信号と異なっている、請求項3記載のジッタ発生器。
【請求項5】
前記第2の信号線に隣接し、かつ、前記第1の信号線とは反対側に、前記信号発生部から出力される、前記第2の信号を反転した信号である第5の信号を伝送するための第5の信号線が設けられ、
前記第3の信号線に隣接し、かつ、前記第4の信号線とは反対側に、前記信号発生部から出力される、前記第3の信号を反転した信号である第6の信号を伝送するための第6の信号線が設けられている、請求項3記載のジッタ発生器。
【請求項6】
前記第1および第4の信号の2つの信号を第1の差動信号とし、前記第2および第5の信号の2つの信号を第2の差動信号とし、前記第3および第6の信号の2つの信号を第3の差動信号とすると、
前記第2および第3の差動信号のうち少なくとも一方の前記2つの信号の一方は、信号の時間的変化を示すパターンが前記第1の信号と同一のパターン、または該第1の信号の反転パターンである、請求項5記載のジッタ発生器。
【請求項7】
前記第2および第3の信号は信号の時間的変化を示すパターンが同一であり、
前記第2および第3の信号がハイからローまたはローからハイに変化するときに、前記第1および第4の信号がハイからローまたはローからハイに変化する、請求項3または6記載のジッタ発生器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−251965(P2010−251965A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97939(P2009−97939)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】
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