説明

ジフェニルスルホン架橋型化合物、感熱記録用顕色物質及び感熱記録材料

【課題】高濃度で発色し、画像部の保存性、特に耐水性、耐可塑剤性に優れ、さらに、未発色部の保存性、特に耐熱性に優れた感熱記録材料を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物からなる感熱記録用顕色物質と、無色又は単色のロイコ染料からなる発色物質とを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料である。


(式中、aは1〜6の整数を表し、Xのうちの少なくとも一つは、4,4'−ビス(メチレン)ジフェニレン基などの2価の架橋基であり、Xのうちの少なくとも一つはキシリレン基などの2価の架橋基である。R1〜R6はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基を示し、m、n、p、q、r及びtは、0〜4の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なジフェニルスルホン架橋型化合物、感熱記録用顕色物質及び感熱記録材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、画像部の保存性と未発色部の保存性に優れた感熱記録材料を与えることのできる顕色物質として有用な新規なジフェニルスルホン架橋型化合物、該架橋型化合物からなる感熱記録用顕色物質、及び該顕色物質を用いてなる、前記の優れた性状を有する感熱記録材料に関する。
【背景技術】
【0002】
感熱記録材料は、一般に支持体上に電子供与性の無色若しくは淡色の染料前駆体と電子受容性の顕色物質とを主成分とする感熱発色層を設けたもので、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光などで加熱することにより、染料前駆体と顕色物質とが瞬時に反応し、記録材料が得られる。このような感熱記録材料は、古くより開発が進められ、例えば、紙面に特殊な塗被を施して、通常は無色であるが、加熱又は赤外線照射により顕色する組成物からなる熱感応性複写シートとして、反応顕色成分がラクトン、ラクタム又はサルトン型の無着色染料ベース、有機酸及び熱可融性物質よりなる熱感応複写シートが提案されている(特許文献1)。また、耐湿性及びプリント安定性が改良され、耐湿性の改良により塗布された記録形成成分の乾燥及び作製中における着色を防ぐことができる感熱記録材料として、記録形成ユニットがクリスタル・バイオレット・ラクトン及びフェノール性物質を有する支持体シート材料よりなり、該フェノール性物質は室温では固体、サーモグラフ温度では液化又は気化し、ラクトンと反応して記録を生じ、該ラクトン及びフェノール性物質はポリビニルアルコール中に分散している感熱記録材料が提案されている(特許文献2)。
このような感熱記録材料は、比較的簡易な装置で記録が得られ、保守が容易であること、騒音の発生が少ないことなどの利点があり、各種携帯端末などのサーマルプリンター、超音波エコーなどに付属する医療画像プリンター、心電図や分析機器などのサーモペンレコーダー、航空券、乗車券、商品のPOSラベルなどに利用されている。
【0003】
感熱記録材料には、発色性に優れ、低熱量で高濃度に発色すること、得られた画像の保存性に優れること、未発色部の白度が保持されることなどのさまざまな特性が要求される。特に、電子レンジ加工食品ラベル、駐車券、配送ラベル、チケットなどには、記録画像の信頼性が重視されるため、耐可塑剤性、耐湿性、耐熱性などの保存安定性が要求される。このために、感熱記録材料の顕色剤として、さまざまな化合物が検討されている。
例えば高感度で地肌のかぶりが少なく、記録像の保存性、とりわけ耐水性、耐可塑剤性に優れた感熱記録材料が得られる顕色剤として、α,α'−ビス[4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−p−キシレン、α,α'−ビス[4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−m−キシレン若しくはα,α'−ビス[4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]−o−キシレンを含有する感熱記録材料が提案されている(特許文献3)。また、発色画像の保存安定性、特に耐可塑剤性、耐油性、耐光性、耐湿熱性に優れた感熱記録材料の顕色剤として、ジヒドロキシジフェニルスルホンとアルキレンジクロライドやα,α'−ジクロロキシレンなどとの反応物であるジフェニルスルホン架橋型化合物が例示されている(特許文献4)。しかしながら、これらの化合物は、未発色部の耐熱性が不十分であり、また、顕色剤の高保存性という要求が十分に満たされているとは言えない。
【特許文献1】特公昭43−4160号公報
【特許文献2】特公昭45−14039号公報
【特許文献3】特開平7−149713号公報
【特許文献4】特開平10−29969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情のもとで、高濃度で発色し、画像部の保存性、特に耐水性、耐可塑剤性に優れ、さらに、未発色部の保存性、特に耐熱性に優れた感熱記録材料を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するジフェニルスルホン架橋型化合物を感熱記録用顕色物質として用いることにより、その課題を解決し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1]下記一般式(1)で表されることを特徴とする、ジフェニルスルホン架橋型化合物、
【化1】

[式中、aは1〜6の整数を表し、Xのうちの少なくとも一つは、下記式(A)で表される2価の架橋基であり、Xのうちの少なくとも一つは、下記式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基から選ばれる架橋基を表す。aが2以上の場合、残りのXは、式(A)、式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基であってもよい。R1〜R6はそれぞれに独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基を表し、m、n、p、q、r及びtはそれぞれ置換基R1〜R6の置換基数であり、0〜4の整数を表す。置換基数が2以上の場合、各々の置換基は同一であっても、相異なっていてもよい。]
【化2】

(式中、R7及びR8は互いに独立に、メチレン基又はエチレン基を表す。)
【化3】

(式中、Tは水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
[2]一般式(1)において、Xが式(A)と式(B)で表される2価の架橋基である、上記[1]項に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物、
[3]式(B)で表される2価の架橋基におけるR7及びR8が共にメチレン基であり、かつ一般式(1)におけるm、n、p、q、r及びtが、いずれも0である、上記[2]項に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物、
[4]上記[1]〜[3]項のいずれか1項に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物からなる感熱記録用顕色物質、及び
[5]上記[4]項に記載の感熱記録用顕色物質と、無色又は単色のロイコ染料からなる発色物質とを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなることを特徴とする、感熱記録材料、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、感熱記録用顕色物質として、新規なジフェニルスルホン架橋型化合物を用いることにより、画像部の保存性、特に耐水性、耐可塑剤性に優れ、さらには、未発色部の保存性、特に耐熱性に優れる上、印字後の過酷な条件に耐えて使用することができる感熱記録材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
まず、本発明のジフェニルスルホン架橋型化合物について説明する。
[ジフェニルスルホン架橋型化合物]
本発明のジフェニルスルホン架橋型化合物は、新規な化合物であって、下記一般式(1)で表される構造を有している。
【化4】

本発明のジフェニルスルホン架橋型化合物は、ジヒドロキシジフェニルスルホンを、以下に示す特定の成分で架橋した構造を有している。
前記一般式(1)において、aは1〜6の整数を表す。
また、Xのうちの少なくとも一つは、下記式(A)で表される2価の架橋基であり、Xのうちの少なくとも一つは、下記式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基から選ばれる架橋基を表す。aが2以上の場合、残りのXは、式(A)、式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基であってもよく、たがいに異なっていてもよい。
さらに、R1〜R6はそれぞれに独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基を表し、m、n、p、q、r及びtはそれぞれ置換基R1〜R6の置換基数であり、0〜4の整数を表す。置換基数が2以上の場合、各々の置換基は同一であっても、たがいに異なっていてもよい。
【0008】
【化5】

(式中、R7及びR8は互いに独立に、メチレン基又はエチレン基を表す。)
【化6】

(式中、Tは水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
前記一般式(1)で示される本発明のジフェニルスルホン架橋型化合物は、ジヒドロキシジフェニルスルホンと、特定の構造を有するジハロゲン化物との重縮合反応によって得ることができる。
本発明のジフェニルスルホン架橋型化合物において、式(A)に示す2価の架橋基は本発明の必須構成成分であり、前記ジハロゲン化物としては4,4'−ビス(ハロメチル)ビフェニルを用いることがでる。
式(B)で示される2価の架橋基からなる構成成分において、R7及びR8はメチレン基、又はエチレン基である。式(B)に示す構成成分を有するジハロゲン化物として、キシリレンハライド、ジエチルベンゼンハライド、メチルエチルベンゼンハライドを挙げることができるが、末端ヒドロキシ基の含有率低下を最小限に留めるためには、R7及びR8が共にメチレン基であるキシリレンハライドを用いることが特に好ましい。
また、式(C)で示される2価の架橋基からなる構成成分において、Tは水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。式(C)に示す2価の構成成分を有するジハロゲン化物としてはジクロロヒドリン、ジクロロメチルプロパノールなどを例示できるが、末端ヒドロキシ基の含有率低下を最小限に留めるためには、Tが水素原子であるジクロロヒドリンを用いるのが好ましい。
【0009】
前記炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基としては、エーテル結合を有する炭素数1〜12の飽和炭化水素基が好ましく挙げられ、ジハロゲン化物としてジクロロエチルエーテルを用いた場合に導入できるCH2CH2OCH2CH2が特に好ましい。
1〜R6はそれぞれに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基を表わし、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。また、m、n、p、q、r及びtはそれぞれ置換基R1〜R6の置換基数であり、0〜4の整数を表す。置換基数が2以上の場合、各々の置換基は同一であっても、相異なっていてもよいが、m、n、p、q、r及びtがいずれも0である場合、末端ヒドロキシ基の含有率低下を最小限に留めることができるため、最も好ましい。
【0010】
本発明のジフェニルスルホン架橋型化合物は、必須構成成分として、分子主鎖中に式(A)で示す4,4'−ビス(メチレン)ビフェニレン基で架橋されているため、剛直な分子骨格となりガラス転移点が上昇し、耐熱性が向上する。さらに分子鎖中に式(B)で示すキシリレン基を導入することにより、ジフェニルスルホン架橋型化合物の耐油性、耐可塑剤性が向上する。キシリレン基には、o−、m−、p−の異性体が存在するが、中でもo−体とm−体が好ましい。
本発明のジフェニルスルホン架橋型化合物は、特に感熱記録材料における顕色物質として有用である。
【0011】
(一般式(1)のジフェニルスルホン架橋型化合物の合成)
本発明の一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物は、ジヒドロキシジフェニルスルホンと、式(A)で示される2価の基を有するジハロゲン化物と、式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基を有するジハロゲン化物の少なくとも1種を反応させることにより得られるが、それぞれの分子鎖中に、式(A)で表される2価の基と、式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基のうちの少なくとも1種の2価の基とを確実に導入するためには2段階の重縮合反応を経由して合成することが望ましい。
【0012】
1段階目では、ジヒドロキシジフェニルスルホンと式(A)に示す2価の基を有するジハロゲン化物[具体的には4,4'−ビス(ハロメチル)ビフェニル(ハロメチルとしては、クロロメチル又はブロモメチルが好ましい)]とを塩基及び溶媒の存在下、脱ハロゲン化水素反応させることにより、下記一般式(2)で表される重縮合体を製造する。反応温度としては50℃以上、溶媒の還流温度以下であることが好ましい。用いるジヒドロキシジフェニルスルホンとしては、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及びこれらの混合物を挙げることができる。これらの中で、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンは、画像部の保存性、特に耐湿熱性、耐可塑剤性に優れ、さらに未発色部の耐熱性に優れた顕色物質を得ることができるので特に好適に用いることができる。一般式(2)で表される重縮合体の分子量分布は、b=1とb=2の和が質量比で50%以上であることが好ましい。
【化7】

【0013】
2段階目の重縮合反応では、先ず、1段階目で得られた一般式(2)で表される重縮合体と、式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基を有するジハロゲン化物の少なくとも1種とを塩基性物質及び溶媒の存在下で反応する。これにより、一般式(2)で表される重縮合体同士を2段階目の反応のために添加されたジハロゲン化物の成分が架橋し、一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を得ることができる。ここで得られる化合物は、両末端のジフェニルスルホンを架橋する成分が共に1段階目の反応に用いた架橋成分である化合物となる。また、1段階目で得られた一般式(2)で表される重縮合体と、式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基を有するジハロゲン化物の少なくとも1種とを塩基性物質及び溶媒の存在下で反応したあと、ジヒドロキシジフェニルスルホンを添加することにより、前記の化合物に加え、両末端のジフェニルスルホンを架橋する成分が2段階目で用いた架橋成分であって途中に1段階目の架橋成分を有するもの、及び、一方の末端が一般式(2)で示される重縮合物すなわち、末端のジフェニルスルホンが1段階目に用いた架橋成分で架橋されたものであって、もう一方の末端がジフェニルスルホンを2段階目に用いた架橋成分で架橋された化合物が生成する。反応温度としては50℃以上、溶媒の還流温度以下であることが好ましい。
【0014】
1段階目及び2段階目で用いる塩基性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジンなどを挙げることができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのグリコール類;グリコール類のモノアルキルエーテル類;グリコール類のジアルキルエーテル類;アセトン等のケトン類;アセトニトリル等のニトリル類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸メチル、炭酸ジメチル、炭酸プロピレン等のエステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族系炭化水素類、及びこれらの混合溶媒などを挙げることができるが、さらに水との混合溶媒を用いることもできる。水との混合溶媒には、アルコール類及び芳香族炭化水素類が好ましい。
【0015】
本発明はまた、前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物からなる感熱記録用顕色物質をも提供する。
次に、本発明の感熱記録材料について説明する。
[感熱記録材料]
本発明の感熱記録材料は、前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物からなる感熱記録用顕色物質と、無色又は淡色のロイコ染料からなる発色物質とを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなることを特徴とする。
(発色物質)
本発明において、感熱発色層に含有させる発色物質として用いる無色又は淡色のロイコ染料に特に制限はなく、例えば、フルオラン誘導体、キナゾリン誘導体、フタリド誘導体、トリフェニルメタン誘導体、フェノチアジン誘導体などを挙げることができる。これらのロイコ染料の中で、フルオラン誘導体は、発色性が良好なので特に好適に用いることができる。フルオラン誘導体であるロイコ染料としては、例えば、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2',4'−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジアミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−アミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−[N−エチル−N−(4−メチルフェニル)]アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ペンチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ヘキシル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチル−N−ブチルアミノ−7−(2'−フルオロアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−クロロフルオラン、3−ピロジリル−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2'−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(2'−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ブチルアミノ−7−(2'−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオランなどを挙げることができる。
これらのロイコ染料は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良く、また感熱発色層に含有させる発色物質の量は、目的とする感熱記録材料の特性に応じて、適宜選択することができる。
【0016】
(顕色物質)
本発明においては、前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物を顕色物質として単独で用いることもできるが、従来公知な顕色物質と併用して用いることもできる。本発明で用いる前記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン架橋型化合物と従来公知な顕色物質とを併用して用いることで、従来公知な顕色物質の発色性を損なうことなく、画像部の保存性と未発色部の保存性をより向上させることが可能となる。使用できる従来公知の顕色物質に特に制限はないが、例えば次のようなものが挙げられる。
【0017】
α−ナフトール、β−ナフトール、4−オクチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルペンタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,6−ビス(4−ヒドロキベンゾイルオキシメチル)ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(2−ヒドロキシ−4−クロロフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4'−ヒドロキベンゾイルオキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキベンゾイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(3'−ヒドロキベンゾイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(2'−ヒドロキベンゾイルオキシ)シクロヘキサン、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、4,4'−チオビスフェノール、4,4'−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−クロロフェノール)、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−2−メチルフェノール)、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2−ヒドロキシプロパン、4,4'−ジフェノールスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジアリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−イソプロポキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−エトキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−プロポキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−メチル−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−メチル−3',4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−2,4(フェニルスルホニル)フェノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンジエチルエーテル縮合物、4,4'−ビス[(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド]ジフェニルスルホン、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−(3−p−トルエンスルホニルオキシフェニル)尿素、N−(4'−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−2−ヒドロキシアニリン、N−(4'−ヒドロキシフェニルチオ)アセチル−4−ヒドロキシアニリン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、4−ヒドロキシフタル酸ジベンジル、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、5−ヒドロキシイソフタル酸エチル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、N,N'−ジフェニルチオ尿素、N,N'−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−(3−p−ブトキシフェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−(p−ブトキシフェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N'−フェニル尿素、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などを挙げることができる。
【0018】
(増感剤)
本発明の感熱記録材料においては、感熱発色層にさらに増感剤を含有させることができる。この増感剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,2−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(4−メチルフェノキシメチル)ベンゼン、2−ベンジルオキシナフタレン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(4−メチルベンジル)、シュウ酸ジ(4−クロロベンジル)、4−アセチルベンジル、N−フェニルトルエンスルホンアミド、トルエンスルホンサンナフチル、p−ベンジルビフェニル、m−テルフェニル、4,4'−ジプロポキシジフェニルスルホン、4,4'−ジイソプロポキシジフェニルスルホン、4,4'−ジアリルオキシジフェニルスルホン、2,4'−ジプロポキシジフェニルスルホン、2,4'−ジイソプロポキシジフェニルスルホン、2,4'−ジアリルオキシジフェニルスルホン、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、テレフタル酸ベンジルなどを挙げることができる。これらの増感剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
(画像安定化剤)
本発明の感熱記録材料においては、感熱発色層にさらに画像安定化剤を含有させることができる。用いる画像安定化剤に特に制限はなく、例えば、4−ベンジルオキシ−4'−(2−メチルグリシジルオキシ)−ジフェニルスルホン、4,4'−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチル−4,4'−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、ポリヒドロキシ安息香酸などのポリエステル構造を有する化合物、ウレアウレタンなどのウレタン構造を有する物質、ポリ(フェニルスルホン)エーテルなどのポリエーテル構造を有する物質などを挙げることができる。これらの画像安定化剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0020】
(填料、その他添加剤)
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、感熱発色層に填料を含有させることができる。用いる填料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理されたシリカなどの無機填料や、ポリスチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、シリコーン樹脂粒子、セルロース粉末、スチレン/メタクリル酸共重合体粒子、塩化ビニリデン系樹脂粒子、スチレン/アクリル共重合体粒子、プラスチック球状中空微粒子などの有機填料などを挙げることができる。これらの填料は1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明の感熱記録材料においては、必要に応じて、他の添加剤を感熱発色層に含有させることができる。含有させる添加剤としては、例えば、ステアリン酸エステルワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸亜鉛などの滑剤、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール系紫外線吸収剤、グリオキザールなどの耐水化剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤,蛍光染料などを挙げることができる。
【0021】
(感熱記録材料の製造)
本発明の感熱記録材料の製造方法に特に制限がなく、例えば、発色物質、顕色物質、及び必要に応じて添加する増感剤、画像安定化剤、その他の成分を適当な結合剤とともに、水媒体などの媒体中に分散させて感熱発色層の塗布液を調製し、この塗布液を支持体上に塗布し、乾燥することにより製造することができる。発色物質、顕色物質、増感剤を含有する分散液は、発色物質を含有する分散液、顕色物質を含有する分散液及び増感剤を含有する分散液をそれぞれ個別に調製したのち、これらの分散液を混合することにより調製することが好ましい。各分散液中において、発色物質、顕色物質及び増感剤は、微粒子化して分散していることが望ましいので、これらの分散液の調製には、サンドミル、ボールミルなどを用いることが好ましい。
【0022】
<結合剤>
使用する結合剤に特に制限はなく、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メトキシセルロース、エチルセルロースル、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ゼラチン、カゼイン、澱粉、アルギン酸などの天然高分子類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂などを挙げることができる。これらの結合剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0023】
<支持体、アンダーコート層、バックコート層>
本発明の感熱記録材料に使用する支持体には特に制限はなく、例えば、中性紙や酸性紙などの紙、合成紙、古紙パルプを用いた再生紙、フィルム、不織布、織布などを挙げることができる。
本発明の感熱記録材料においては、支持体上に、さらに、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、クレー、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、表面処理されたシリカなどの無機填料や、ポリスチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、シリコーン樹脂粒子、セルロース粉末、スチレン/メタクリル酸共重合体粒子、塩化ビニリデン系樹脂粒子、スチレン/アクリル共重合体粒子、プラスチック球状中空微粒子などの有機填料などを含むアンダーコート層やバックコート層を設けることが好ましい。アンダーコート層やバックコート層を設けることにより、断熱層として作用し、サーマルヘッド等からの熱エネルギーの効率的活用による感度向上をもたらすことができる。特に、プラスチック球状中空微粒子を含むアンダーコート層やバックコート層は、熱感度を効果的に向上させることができるので好適に用いられる。
【0024】
なお、プラスチック球状中空微粒子とは、熱可塑性樹脂を殻としており、内部に空気その他の気体を含有してすでに発泡状態となっている微小中空粒子であり、平均粒子径は0.2〜20μm程度のものである。この平均粒子径(粒子外径)が0.2μmより小さいものは、任意の中空率にすることが難しいなどの生産上の問題があってコスト面で難点があり、逆に20μmより大きいものは塗布乾燥後の表面平滑性が低下するためにサーマルヘッドとの密着性が低下し、熱感度向上効果が低下する。従って、該粒子は粒子径が前記範囲にあると共に粒子径のバラツキが少ないものが好ましい。さらにこのプラスチック球状該中空粒子は、その断熱効果を勘案すると中空率は、40%以上のものが好ましく、90%以上のものが更に好ましい。中空率が低いものは、断熱効果が不充分なためサーマルヘッドからの熱エネルギーが支持体を通じて感熱記録材料の外へ放出され、熱感度向上効果が劣る。なお、ここでは言う「中空率」とは、中空微粒子の外径と内径の比であり、下記で表されるものである。
中空率(%)=[(中空微粒子の内径)/(中空微粒子の外径)]×100
プラスチック球状中空微粒子は、前記したように熱可塑性樹脂を殻とするものであるが、該樹脂としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエンあるいはそれらの共重合体樹脂などが挙げられる。これらの中でも、特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
【0025】
アンダーコート層やバックコート層に使用する結合剤に特に制限はなく、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メトキシセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ゼラチン、カゼイン、澱粉、アルギン酸などの天然高分子類;ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、ポリアクリルアミド、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、ポリビニルピロリドン、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂などを挙げることができる。
【0026】
本発明の感熱記録材料においては、さらに必要に応じて、感熱発色層の上に、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール類などの水溶性樹脂や、スチレン−ブタジエン共重合体、テルペン樹脂などの水溶性エマルジョンや非水溶性樹脂、それらの樹脂に填料、イソシアネート類、不飽和化合物などのモノマーやオリゴマーと架橋剤を加えてオーバーコート層を形成することができる。
本発明の感熱記録材料は、色調の異なる発色物質をそれぞれ感熱発色層として多層形成した多色感熱記録材料とすることができる。
【実施例】
【0027】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、実施例において、反応物組成及び化合物組成は、以下の条件にて測定した。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定条件>
クロマトグラフ:東ソー(株)製、「HLC−8020」
カラム:東ソー(株)製、TSK gel G2000H×L+TSK gel G3000H×L
カラム温度:40℃
移動層:ジメチルホルムアミド
流量:1.0mL/分
検出器:RI
<DSCの測定条件>
DSC本体:(株)島津製「DSC−50」
昇温条件(ファーストラン):室温から300℃、10℃/分
降温条件(ファーストラン):300℃から室温、30℃/分
昇温条件(セカンドラン):室温から300℃、10℃/分
<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定条件>
カラム:ODS
溶解液:50質量%アセトニトリル水
カラム温度:40℃
流速:1mL/分
注入量:5μL
検出器:UV(254nm)
【0028】
また、実施例及び比較例において、作製した感熱記録材料の性能は、次の方法により評価した。
(1)耐可塑剤性
作製した感熱記録材料に、感熱印字装置[(株)大倉電気製]を用いて、印字電圧20V、パルス巾3msで発色させ、発色させた部分(画像部)の色濃度を反射濃度計[マクベス社製、「RD−918」]を用いて測定する。次に、画像部に塩ビラップを3枚重ね、さらに一般紙10枚を重ね、約1.96N/cm2となるように重りをのせたものを、20℃環境下24時間放置したのち色濃度を測定した。
(2)耐水性
作製した感熱記録材料に、感熱印字装置[(株)大倉電気製]を用いて、印字電圧20V、パルス巾3msで発色させ、発色させた部分(画像部)の色濃度を反射濃度計[マクベス社、「RD−918」]を用いて測定する。次に、20℃で蒸留水に24時間浸漬させた後3時間風乾し、色濃度を測定した。
(3)耐熱性
作製した感熱記録材料の、発色させていない部分(未発色部)の色濃度を反射濃度計[マクベス社、「RD−918」]を用いて測定する。次に、80℃または100℃で24時間放置したのち、色濃度を測定した。
【0029】
合成例1
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン[日華化学社製、商品名「BPS−P(T)」]100g(0.4モル)及び水酸化ナトリウム24g(0.6モル)を溶解させた水溶液500gを加え、60℃まで加熱撹拌し溶解させた後、トルエン200gと4,4'−ビス(クロロメチル)−1,1'−ビフェニル51g(0.2モル)を添加し、加熱還流状態(87℃)で10時間撹拌した。その後、80℃まで冷却後、希塩酸水溶液を滴下し中和したのち、減圧ろ過し、60℃の熱水100gで結晶を洗浄し、乾燥させた。続いて、撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに得られた結晶とメタノール250gを加え、3時間加熱還流後、40℃まで冷却し、結晶を減圧ろ過により単離した。乾燥したところ白色の反応生成物が72g得られた。得られた反応生成物のTg(ガラス転移点)は105℃(DSC測定:セカンドラン)であった。さらにこの反応組成物をゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]で測定し、次のような組成であることを確認した。
【化8】

a=0:ピーク面積比0.3%、a=1:ピーク面積比86.4%、a=2:ピーク面積比5.4%、a=3:ピーク面積比4.7%、a=4:ピーク面積比3.2%であった。この化合物の平均分子量は781である。
【0030】
実施例1
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに、合成例1で得られた反応生成物50g(0.064モル)とジメチルホルムアミド200gと水酸化ナトリウム2.0g(0.05モル)を加え、90℃に加熱し溶解させた。次にα,α'−ジクロロ−o−キシレン7.0g(0.04モル)をジメチルホルムアミド50gに溶解させた液を0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃に加熱して30分後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]にてα,α'−ジクロロ−o−キシレンの消失を確認した。さらに4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン[日華化学社製、商品名「BPS−P(T)」]15g(0.06モル)及び水酸化ナトリウム4.0g(0.10モル)をジメチルホルムアミド100gに溶解させた液を15分かけて加え、120℃で5時間反応した。反応終了後、反応物を、0.1質量%塩酸水溶液2000g中に30℃で0.5時間かけて徐々に添加したのち、さらに2時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、水洗した。次に反応容器に得られた結晶と50質量%メタノール水溶液500gを仕込み、75℃で3時間撹拌した後、40℃で結晶をろ別し、水洗乾燥したところ、反応生成物61gが得られた。得られた反応生成物のTg(ガラス転移点)は114℃(DSC測定:セカンドラン)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]で分析したところ面積%で次のような組成であった。
【化9】

a=0:5.3%、a=1:52.4%、a=2:19.5%、a=3:12.6%、a=4:4.8%、a=5:1.9%
【0031】
実施例2
α,α'−ジクロロ−o−キシレン7.0g(0.04モル)の代わりに、α,α'−ジクロロ−m−キシレン7.0g(0.04モル)を使用した以外は、実施例1と同様にして反応生成物50gが得られた。得られた反応生成物のTg(ガラス転移点)は112℃(DSC測定:セカンドラン)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]で分析したところ面積%は次のような組成であった。
a=0:10.8%、a=1:40.3%、a=2:23.1%、a=3:14.3%、a=4:7.6%、a=5:2.6%
【0032】
実施例3
α,α'−ジクロロ−o−キシレン7.0g(0.04モル)の代わりに、ビス(2−クロロエチル)エーテル5.7g(0.04モル)を使用した以外は実施例1と同様にして反応生成物48gが得られた。得られた反応生成物のTg(ガラス転移点)は86℃(DSC測定:セカンドラン)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]で分析したところ面積%は次のような組成であった。
a=0:9.6%、a=1:39.2%、a=2:23.8%、a=3:15.2%、a=4:7.8%、a=5:3.1%
【0033】
実施例4
撹拌機、還流冷却管、温度計を備えた4ツ口フラスコに、合成例1で得られた反応生成物50g(0.064モル)とジメチルホルムアミド200gと水酸化ナトリウム6.4g(0.16モル)を加え、90℃に加熱し溶解させた。次にα,α'−ジクロロ−o−キシレン3.5g(0.02モル)をジメチルホルムアミド40gに溶解させた液を0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃に加熱して30分後、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]にてα,α'−ジクロロ−o−キシレンの消失を確認し、さらに5時間反応した。反応終了後、反応物を、0.1質量%塩酸水溶液2000g中に30℃で0.5時間かけて徐々に添加したのち、さらに2時間撹拌した。析出した結晶をろ別し、水洗した。乾燥したところ、反応生成物48gが得られた。得られた反応生成物のTg(ガラス転移点)は114℃(DSC測定:セカンドラン)であった。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[東ソー社製]で分析したところ面積%で次のような組成であった。
a=0:34.9%、a=1:10.4%、a=2:38.7%、a=3:8.6%、a=4:4.2%、a=5:1.8%
【0034】
実施例5
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン10質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液10質量部、水30質量部を、サンドミルを用いて4時間微粉砕して分散させることにより、発色物質分散液(A液)を調製した。実施例1で得られた化合物10質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液10質量部、水30質量部を、サンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させることにより、顕色物質分散液(B液)を調製した。シリカゲル[水沢化学(株)製、「P527」]10質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液10質量部、水30質量部を、サンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させることにより、シリカゲル分散液(C液)を調製した。ステアリン酸亜鉛10質量部、10質量%ポリビニルアルコール水溶液10質量部、水30質量部を、サンドミルを用いて3時間微粉砕して分散させることにより、ステアリン酸亜鉛分散液(D液)を調製した。非発泡性プラスチック微小中空粒子(固形分24質量%、平均粒径3μm、中空度90%)40質量部、スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス[日本ゼオン(株)製、「Nipol(登録商標)LY438C」]10質量部、水50質量部を、ディスパーを用いて撹拌混合させることにより、樹脂液(E液)を調製した。次に、A液5質量部、B液20質量部、C液20質量部及びD液2.5質量部を、ディスパーを用いて撹拌混合し発色層の塗布液を調製した。また、C液5質量部及びE液10質量部を、ディスパーを用いて撹拌混合しアンダーコート層の塗布液を調製した。坪量60g/m2の上質紙に、アンダーコート層の塗布液を乾燥塗布量が3g/m2となるように塗布し、乾燥してアンダーコート塗布紙を得た。このアンダーコート層上に、発色層の塗布液をロイコ塗料の乾燥塗布量が5g/m2となるように塗布し、乾燥し、1MPaの圧力でカレンダー処理して本発明の感熱記録材料を作製し、評価を行った。
【0035】
実施例6
実施例1で得られた反応生成物の代わりに、実施例2で得られた反応生成物を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例5と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。
【0036】
実施例7
実施例1で得られた反応生成物の代わりに、実施例3で得られた反応生成物を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例5と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。
【0037】
実施例8
実施例1で得られた反応生成物10質量部の代わりに、実施例1で得られた反応生成物7質量部及び4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン[日華化学(株)製、「BPS−MAE」]3質量部を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例5と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。なお、用いたBPS−MAEを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により組成を確認したところ、4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホンが97.3%、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンが0.8%、4,4'−ジアリルオキシ−ジフェニルスルホンが0.7%、3−アリル−4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン0.5%、3−アリル−4−ヒドロキシ−4'−アリルオキシジフェニルスルホン0.3%、3−アリル−4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン0.3%であった。
【0038】
実施例9
実施例1で得られた反応生成物10質量部の代わりに、実施例1で得られた反応生成物7質量部、4−アリルオキシ−4'−ヒドロキシジフェニルスルホン[日華化学(株)製、「BPS−MAE」]2.5質量部、及び4,4'−ジアリルオキシジフェニルスルホン[日華化学(株)製、「BPS−DAE」]0.5質量部を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例5と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。
【0039】
比較例1
実施例1で得られた反応生成物の代わりに、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホンとビス(2−クロロエチル)エーテルの重縮合物[日本曹達(株)製、「D−90」]を用いて顕色物質分散液(B液)を調製した以外は、実施例5と同様にして感熱記録紙を作製し、評価を行った。
実施例5〜9及び比較例1の感熱記録材料の評価結果を第1表に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
第1表に見られるように、比較例1の感熱記録材料に比べて、本発明のジフェニルスルホン架橋型化合物を顕色物質に用いた実施例5〜9の感熱記録材料は、画像部の耐可塑剤性、耐水性及び未発色部の耐熱性に優れていることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の感熱記録材料は、感熱記録用顕色物質として、本発明のジフェニルスルホン架橋型化合物を用いることにより、画像部の保存性、特に耐水性、耐可塑剤性に優れ、さらには、未発色部の保存性、特に耐熱性に優れる上、印字後の過酷な条件に耐えて使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表されることを特徴とする、ジフェニルスルホン架橋型化合物。
【化1】

[式中、aは1〜6の整数を表し、Xのうちの少なくとも一つは、下記式(A)で表される2価の架橋基であり、Xのうちの少なくとも一つは、下記式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基から選ばれる架橋基を表す。aが2以上の場合、残りのXは、式(A)、式(B)若しくは式(C)で表される2価の基、あるいは炭素数1〜12のエーテル結合を有してもよい飽和又は不飽和の直鎖状若しくは分岐鎖状の2価の炭化水素基であってもよい。R1〜R6はそれぞれに独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又はアルケニル基を表し、m、n、p、q、r及びtはそれぞれ置換基R1〜R6の置換基数であり、0〜4の整数を表す。置換基数が2以上の場合、各々の置換基は同一であっても、相異なっていてもよい。]
【化2】

(式中、R7及びR8は互いに独立に、メチレン基又はエチレン基を表す。)
【化3】

(式中、Tは水素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
【請求項2】
一般式(1)において、Xが式(A)と式(B)で表される2価の架橋基である、請求項1に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物。
【請求項3】
式(B)で表される2価の架橋基におけるR7及びR8が共にメチレン基であり、かつ一般式(1)におけるm、n、p、q、r及びtが、いずれも0である、請求項2に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物からなる感熱記録用顕色物質。
【請求項5】
請求項4に記載の感熱記録用顕色物質と、無色又は単色のロイコ染料からなる発色物質とを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなることを特徴とする、感熱記録材料。

【公開番号】特開2010−105928(P2010−105928A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−277156(P2008−277156)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000226161)日華化学株式会社 (208)
【Fターム(参考)】