説明

ジベレリンの調製および糖尿病での使用

【課題】ジベレリンAを含むジベレリンの調製のためのプロセスを提供すること。
【解決手段】ジベレリンAを含むジベレリンの調製のためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
(a)発酵ブロスにおいて、ジベレリン産生微生物株をインキュベートする工程;
(b)該発酵ブロスのpHを、pH6.5〜7.0に調節し、そして濾過して、微生物菌糸体の濾過ケーキおよび濾液を得る工程;
(c)該濾過ケーキを水で洗浄し、そして洗浄液を該濾液と合わせて、水溶液を形成する工程;
(d)該水溶液を濃縮する工程;
(e)5〜10℃の温度で、該水溶液を有機溶媒と混合し、そして該混合物のpHを、2.0未満に調節する工程;
(f)該混合物を水相および第一の有機相に分離し、そして該第一の有機相を除去する工程;
(g)工程(f)の水相を、有機溶媒を用いて再抽出して、第二の有機相を得る工程;
などの工程を包含する、プロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病、その合併症および関連する状態(肥満、微小血管疾患および大血管疾患(micro and macro vascular diseases)、ネフロパシー、ニューロパシー、眼疾患、糖尿病性潰瘍などが挙げられる)の処置のための式(1)の化合物(ジベレリン)およびそれらの誘導体の使用、ならびにこれらの状態の処置に関する薬学的組成物または医薬の調製のためにこれらの使用に関する。本発明は、血清グルコースレベルおよび他の生理学的状態の正常化を生じる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、糖尿病および関連する疾患の処置のための薬学的組成物の調製のための、ジベレリンとして公知の化合物およびこれらの誘導体の群の適用、ならびにジベレリンおよび/またはこれらの薬学的に受容可能な塩もしくはエステル(グリコシドエステル、活性エステルまたはラクトンが挙げられる)を投与することによる、これらおよび他の状態の処置法、の適用に関する。さらに、本発明は、糖尿病および関連する状態を処置するための医薬の製造およびその使用に関する。さらに、特に、経口的に、注入によって、経皮パッチによって、または吸入によって投与される場合、ジベレリンおよびこれらの誘導体の適用は、インスリン処置および/またはそのフラグメント誘導体処置および/またはIGF(インスリン様成長因子)処置の代用として、あるいはインスリン、そのフラグメント誘導体、IGF、成長因子または糖尿病および関連する状態の処置のための他の薬学的に適合性の抗糖尿病剤との組み合わせ処置の1つの選択肢として使用され得る。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
本発明は、獣医薬およびヒト医薬中のジベレリンの新規の適用に関する。特に、本発明は、ジベレリンを含む薬学的処方物、ならびにI型糖尿病およびII型糖尿病ならびにこれらの合併症ならびに関連する状態(肥満、微小血管疾患および大血管疾患、ネフロパシー、ニューロパシー、眼疾患、糖尿病性潰瘍などが挙げられる)の処置のためのこれらの使用に関する。
【0004】
ジベレリンは、一連の天然に存在する化合物であり、この化合物は、植物界において広い適用を有する植物成長制御因子として公知である[1]。これらはまた、いくつかの微生物(例えば、Gibberella fujikuroi)の代謝物から単離される[2]。ジベレリン(特に、ジベレリン酸(ジベレリンA)、およびそのジベレリンAおよび/またはジベレリンAとの混合物(これらは市販される))は、いくつかの果物(苺および葡萄)および野菜(トマト、キャベツおよびカリフラワー)の成長を促進するために農学に広範に適用され、オオムギの麦芽処理における食品添加物としてもまた適用される[3]。
[1].
J.MacMillianら、「Isolation and Structure of Gibberellin From Higher Plants」.Adv.Chem.Ser 28,18−24,(1961).
[2].
(a)P.J.Curtisら、Chem.& Ind.(London)1066,(1954).
(b)B.E.Cross,J.Chem.Soc.4670,(1954).
(c)P.W.Brianら、米国特許第2,842,051号.
(d)C.T.Calamら、米国特許第2,950,288号.
(e)A.J.Birchら、米国特許第2,977,285.
[3].
(a)M.Devlin,Plant Physiology,New York,Reinhold,(1966).
(b)P.W.Brianら、Plant Physiol,5,669(1955).
(c)A.K Mehtaら、J.Hostic Sci 4,167(1975).
(d)R.J.Weavor,Adv.Chem.Ser 28,89(1961).
(e)F.G.Gustafson,Plant Physical 35,521(1960).
(f)Fed.Reg.25,2162(1960)。
【0005】
ジベレリンAおよびそのジベレリンAおよび/またはジベレリンAとの混合物は、Gibberella fujikuroiのような微生物の発酵によって得られ得る。粗化合物が、単離および精製され、高純度の結晶性生成物が得られ得る。ジベレリンの他の誘導体は、ジベレリンAからの半合成経路または十分に記載される全合成のいずれかによって得られ得る[4]。
[4].
(a)The Merck Index,12,4426,明細書中に引用される文献。
(b)Furber M.ら、「New Synthesis Pathways From Gibberellins to Autheridiogens Isolated From the Fern Genus Anemia」,J.of Org.Chem.第55巻,第15号,4860−4870(1990).
(c)Mander L.N.ら、「C−18 hydroxylation of Gibberellins」,J.C.S.,Perkin Trans.1(17),2893−2894(2000).
(d)Pour M.ら、「Synthesis of 3,12−Dihydroxy−9,15−Cyclo Gibberellins」,Tetrahedron 54(45),13833−13850(1998).
(e)Liu J.P.ら、「A General Protocol For the Hydroxylation of C−14 in Gibberellins Synthesis of 14−Beta−hydroxy−Gibberellin A Methyl Ester」,Tetrahedron 54(38),11637−11650(1998).
(f)Pour M,ら、「Synthetic and Structural Studies on Novel Gibberellins」,Pure and Applied Chemistry 70(2),351−354(1998);「Synthesis of 12−Hydroxy−9,15−Cyclo−Gibberellins」,Tetrahedron Letters,39(14),1991−1994(1998);Australian J.of Chemistry 50(4),289−299(1997).
(g)King G.R.ら、「A New and Efficient Strategy for the Total Synthesis of Polycyclic Diterpenoids−The Preparation of Gibberellins(+/−)−GA103 and(+/)−GA73」,J.Am.Chem.Soc.119(16),3828−3829(1997).
(h)Mander L.N.,「Synthesis of 12−Hydroxy−C−20−Giebberellin from Gibberellin A」,Tetrahedron 53(6),2137〜2162(1997)および本明細書中に引用される文献。
【0006】
さらに、異なる植物、苗条、果実および種子由来の異なるジベレリンの抽出および単離はまた、広範に公開されている[5]。
[5].
(a)Pearce D.W.ら、Phytochemistry,59(6),679〜687(2002).
(b)Chang S.T.ら、Physiologia Plantarum,112(3),429−432(2001).
(c)Nakayama M.ら、Phytochemistry,57(5),749−758(2001);48(4),587−593(1998).
(d)Blake P.S.ら、Phytochemistry,55(8),887−890(2000);53(4),519−528(2000).
(e)Koshioka M.ら、J.of the Japanese Society for Horticultural Science,68(6),1158−1160(1999);67(6),866−871(1998).
(f)Mander L.N.ら、Phytochemistry,49(8),2195−2206(1998);49(6),1509〜1515(1998).
(g)Wynne G.ら、Phytochemistry,49(7),1837−1840(1998).
ジベレリンは、抗炎症、前立腺炎および乾癬の処置、腫瘍の処置、ならびに潰瘍および創傷の回復のために以前に使用された[6]。
[6].
(a)米国特許第4424232号 1/1984 Parkinson
(b)仏国特許第2597339号 10/1987
(c)米国特許第5487899号 1/1996 Davis
(d)米国特許第5580857号 12/1996 Oden
(e)豪州特許第695054号 11/1998 Wu
(f)米国特許第6121317号 9/2000 Wu
本発明者らは、I型糖尿病およびII型糖尿病ならびにこれらの関連する状態を含む糖尿病の処置のための、ジベレリンまたはその誘導体の適用をここで見出した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の開示)
ジベレリンが、哺乳動物の成長因子(例えば、IGF、EGF)様の特徴を保有することは、本出願人らの実験室においてここで見出された。
【0008】
実験結果(実施例3および4)は、植物および微生物によって生成されたジベレリンが、ある範囲の成長因子レセプターに結合する広いスペクトルの結合因子として作用することを示唆する。これらは、動物において見出される成長因子とは異なり、これらの各々は、特定のレセプターに対して高い親和性を有する。これは、進化の結果である。植物および微生物の生物学的系は、より複雑な生命形態(例えば、動物)の物質よりもより広い(特異性がより低い)基体に作用する生物学的物質を産生する。
【0009】
ジベレリンが成長因子よりも小さな分子であるので、ジベレリンの成長因子レセプターに対する結合は、おそらくより弱い。より低いレベルの成長因子の存在下で、ジベレリンは、細胞成長および他の機能を刺激する空の成長因子レセプターに結合する。この条件下で、ジベレリンは、成長因子の機能を果たす。成長因子の正常なレベルの存在下で、成長因子は、これらのレセプター部位に対する高い親和性に起因して、より迅速にこれらのレセプターに結合する。これらの成長因子の物理的なかさ高さは、ジベレリンが結合するレセプター部位に空間を残さないか、または非常に小さな空間しか残さない。このことは、十分な結合親和性を有する成長因子が十分量存在する場合、非効率的なジベレリンを生じる。この機構は、IGFを含む成長因子に対する基質または感作物質として作用するジベレリンについての、非常に良好なプロフィールを提供する。なぜなら、過剰のジベレリンの存在は、これらの成長因子の正常な機能に干渉しないからである。
【0010】
真性糖尿病は、高血糖症ならびに変更された脂質代謝およびタンパク質代謝によって示される慢性障害である。American Diabetes Associationに従うと、米国の1300万人を超える人口が、糖尿病を罹患し、毎年650,000の新規患者が同定される。インスリンおよびスルホニルウレアの導入は、真性糖尿病の処置における重要な目標を示す。インスリン様成長因子−1(IGF−1)、インスリンに対する構造相同性を有する分子は、その独自の特異的なレセプター(I型IGFレセプター)を有し、このレセプターを介して、インスリンと類似する種々の代謝効果を生じる。分子のインスリン用作用を担うヒト成長因子の活性領域の発見は、新規の抗糖尿病ペプチド剤の開発を導いた。さらに、成長因子は、細胞の複製、分化および代謝恒常を調節するポリペプチドである。これらは、ニューロンの成長および/または生存を増大する。糖尿病ニューロパシーを含む種々の神経学的障害の処置のための臨床前試験において、IGF−2は、神経再生速度を増加する。さらに、c−AMPの細胞内濃度の増加は、膵臓β細胞由来のグルコース依存性インスリン分泌を増強する。ジベレリンは、アデニル酸シクラーゼおよびグアニル酸(gryanylate)シクラーゼの活性を増加することが見出され、それによって、c−AMPおよびc−GMPの細胞内濃度が、ジベレリンの投与によって増加し、次いで、膵臓β細胞からのグルコース依存性インスリン分泌を増強する。従って、ジベレリンは、糖尿病の処置における適用を有すると考えられ得る。
【0011】
動物実験の結果(実施例5および6)は、5mg/kgのジベレリンA、またはAとAもしくはAの混合物、で処置された糖尿病ラットは、これらのグルコースレベルおよびこれらの体重を正常に復帰したことを示した。ジベレリンは、糖尿病の処置において効果的でありえることを示した。
【0012】
ジベレリンAの哺乳動物に対する毒性は、極端に低い。ラットおよびマウスに対する急性経口LD50は、それぞれ6.3g/kg[7a]および>15g/kg[7b]であることが報告された。90日の給餌試験において、ラットおよびイヌに対する無効化レベルは、1g/kg/日より小さかった[7b]。皮膚および眼に対して刺激性ではない[7b]。発癌性の指示はなかった[7c]。分類:WHO毒性レベル表5(最小有害性クラス生成物、正常な使用において急性の有害性を示さないかもしれない);EPA毒性クラスIII(2番目に最小の有害性分類)。
[7].
(a)NTP Chemical Repository,http://ntpserver.niehs.nih.gov/htdocs/CHEM_H & S/NTP_CHEM7/Radian77−06−5.html
(b)The Agrochemicals Handbook,Royal Society of Chemistry,August 1991.
(c)Gold L.S.,Slone T.H.,Ames B.N.(2001),Pesticide Residues in Food and Cancer Risk:A Critical Analysis,Publications from the Carcinogenic Potency Project,in Handbook of Pesticide Toxicity,第2版(R.Krieger編),Academic Press.
従って、本発明の局面は、糖尿病およびその合併症ならびに関連する状態(肥満、微小血管疾患および大血管疾患、ネフロパシー、ニューロパシー、眼疾患、糖尿病性潰瘍などが挙げられる)の処置のための式(1)の化合物(ジベレリン)またはこれらの誘導体の使用に関する。本発明の別の局面において、糖尿病および関連する状態(肥満、微小血管疾患および大血管疾患、ネフロパシー、ニューロパシー、眼疾患、糖尿病性潰瘍などが挙げられる)の処置のための薬学的調製物、ジベレリンを含有する前記薬学的調製物、および/またはこれらの薬学的に受容可能な塩もしくはエステルが提供される。
【0013】
ジベレリンは以下の式を有し:
【0014】
【化2】


式(1)
ここで、Rは、Hまたは−O−R20基であり、ここで、R20は、H、グリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)であり、C1−6アルキル基であるか、またはRは、RまたはR10と一緒になって、結合(それぞれ、C−C二重結合またはC−C10二重結合)を形成し;
は、Hまたは−O−R21であり、ここでR21は、H、グリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)、またはRと一緒になって結合(ラクトン)を形成するか、あるいは、
は、RまたはRと一緒になって結合(それぞれ、C−C二重結合またはC−C二重結合)を形成し;
は、H、=O、または−O−R22であり、ここでR22は、Hまたはグリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)であるか、あるいはRは、Rと一緒になって結合(C−C二重結合)を形成し;
は、OH、または−OR23であり、ここでR23は、非置換または置換された、C1−20アルキル、アリル、アリール、アリールアルキル、アミジン、−N2425あるいは窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む不飽和環または飽和環であり;R24およびR25は、同じであってもなくてもよく、水素またはC1−20アルキル、アリル、アリール、アリールアルキルあるいは窒素、酸素および硫黄からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む不飽和環または飽和環であり;あるいは
は、R21またはR28と一緒になって結合(ラクトン)を形成し;
は、Hまたはグリコシルエステル(グリコシドエステル)基であるか、あるいは非置換または置換された(例えば、ハロゲン化された)C1−20アルキルエステル、アリルエステル、アリールエステル、アリールアルキルエステル、活性エステル(例えば、フェナシルエステル、ピバロイルエステル)であり;
は、HまたはOHであるか、あるいはRと一緒になって結合(C11−C12二重結合)を形成し;
は、H、=O、または−OR26であり、ここで、R26は、Hまたはグリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)であるか、あるいはRは、Rと一緒になって結合(C11−C12二重結合)を形成し;
は、H、ヒドロキシル、メルカプタン、またはハロゲン(例えば、F、Cl)、アミノ、アジド、NR2425であるか、不飽和または飽和(例えば、ハロゲン化)C1−20アルキル、アリル、アリール、アリールアルキル、アミジン、または−OR27であり、ここでR27は、グリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)であり;
は、HまたはOHであるか、あるいはR15と一緒になって結合(C−C15結合)を形成し;
10は、H、CH、CHO、COOH、または前記COOH、CHO−R28もしくは−OR28のグリコシルエステル(グリコシドエステル)であり、ここでR28は、Hであるか、またはRと一緒になって結合(ラクトン)を形成するか、あるいはR10は、Rと一緒になって結合(C−C10二重結合)を形成し;
11は、HまたはOHであるか、あるいは存在せず;
12は、CH、CHOH、COOHまたは前記COOHのグリコシルエステル(グリコシドエステル)であり;
13は、メチレン、または二価へテロ原子、またはNR29であり、ここでR29は、NHR30またはOR30であり、ここでR30は、HまたはC1−20アルキル、アリール、アルキルアリールであり;そして二重結合が、R11が存在しない場合に、C16とR13との間に存在するか;あるいは
13は、H、OH、CHCHO、CHXであり、ここでXは、ハロゲン(例えば、F、Cl)であり;CHNR29、ここでR29
は、NHR30またはOR30であり、ここでR30は、Hであるか、またはR11がHまたはOHである場合、C1−20アルキル、アリール、アルキルアリールであり;但し、R11がOHである場合、R13はOHではなく;
14は、HまたはOHであり;
15は、HであるかまたはRと一緒になって結合(C−C15結合)を形成し;
薬学的に受容可能な誘導体(式(1)の化合物のラクトン、エステルおよび塩を含む)としては、アルカリ金属塩(例えば、Na、K)、アルカリ土類金属塩(例えば、Ca2+、Mg2+)、金属塩(例えば、Zn2+、Al3+)、およびアンモニウム塩、これらの有機塩基(例えば、リドカイン、またはNR16171819、ここでR16、R17、R18、R19は、同じであっても同じでなくてもよく、水素、C1−20アルキル、アルカノール、アリール)が挙げられる。
【0015】
実線と並んだ点線は、二重結合が点線と実線とで連結された3つの炭素原子の2つの間に位置し得ることを示し;但し、二重結合は、R11がOH基である場合には存在しない。
【0016】
式(1)は、通常の原子価則を満たすので、これは、以下のようなさらなる条件を導く:
とRは、R10とRおよび/またはRとRが結合を形成する場合、結合を形成し得ず;R10とR23が結合を形成する場合、R10とRは、結合を形成し得ず;
とRまたはRとRは、RとR21が結合を形成する場合、結合を形成し得ない。
【0017】
ジベレリンAの場合において、Rは、Rと一緒になって結合(C−C二重結合)を形成し;Rはβ−OHであり、Rは、R28と一緒になって、結合(ラクトン)を形成し;R、R、R、およびRは、水素であり、Rは、OHであり、R11は、存在せず;R12は、メチルであり;R13は、メチレンであり、二重結合がC16とR13との間に存在し;R14およびR15は水素である。
【0018】
最も容易に入手可能なジベレリンは、Gibberella fujikuroiの発酵由来の、ジベレリンAおよびそのジベレリンAおよび/またはジベレリンAとの混合物である。溶媒抽出およびクロマトグラフィーを含む、ジベレリンの単離および精製方法が、本発明の背景において記載されるように公開されているにも関わらず、単離および精製のための単純かつ効率的なプロセスは、なお必要とされる。本発明において、ジベレリンAの大スケール産生のための実用的なプロセスが提供され、このプロセスは、ジベレリンの濃度が約3000μg/ブロス1mlに到達するまで、発酵ブロス中で微生物のジベレリン産生株をインキュベートする工程、続いて以下の工程を包含する:
(a)発酵ブロスのpHをpH6.5〜7.0に調整し、濾過し、微生物菌体の濾過ケーキを得、濾液を得る工程;
(b)濾過ケーキを水で洗浄し、洗浄液を濾液と合わせ、水溶液を形成する工程;
(c)この水溶液を濃縮する工程;
(d)この水溶液を5〜10℃の温度で有機溶媒と混合し、この混合物のpHを2.0未満に調整する工程;
(e)この混合物を水層と第1有機層とに分配させ、第1有機層を除去する工程;
(f)水層を工程(f)からの水層を有機溶媒を用いて再抽出し、第2の有機層を得る工程;
(g)第1および第2の有機層をあわせ、濃縮し、濃縮有機溶液を形成する工程;
(h)固体物質の沈殿がなくなるまで、攪拌しながら、60〜70℃で3〜4時間、濃縮有機溶液を加熱する工程;
(i)濃縮有機溶液を室温まで冷却し、濾過し、沈殿物を得る工程;
(j)沈潜物を冷有機溶媒中で洗浄し、乾燥し、約80%ジベレリンA、約4%ジベレリンAおよび約4%ジベレリンAを含有する、オフホワイト固体を得る工程。
【0019】
必要に応じて、本発明は、以下の工程をさらに包含する:
(k)32.6%メタノール、2.2%水および65.2%アセトンの混合物中にオフホワイト固体を溶解し、ジベレリン溶液を得る工程;
(l)このジベレリン溶液を有機溶媒と水の10:1混合物で希釈する工程;
(m)この希釈されたジベレリン溶液を濾過し、真空エバポレーションによって濾液を濃縮する工程;
(n)この濃縮物を、攪拌しながら、60〜80℃の温度で2〜3時間加熱し、室温まで冷却し、濾過し、固体の結晶性沈殿物を得る工程;
この沈殿を冷酢酸エチルで洗浄し、乾燥し、95%を超える純度でジベレリン結晶を得る工程。
【0020】
さらに、ジベレリン塩およびエステルの調製のためのプロセスが、開示される。特に、本発明は、ジベレリンのナトリウム塩を得るためのプロセスを含み、このプロセスは、以下の工程を包含する:
(a)ジベレリンAをメタノール中に溶解する工程;
(b)ジベレリン溶液を、等モルのNaHCOの水溶液に添加する工程;
(c)混合溶液を、乾燥状態にエバポレートし、固体残渣を得る工程;
(d)この残渣を水中に溶解し、凍結乾燥し、ジベレリンAのナトリウム塩を得る工程。
【0021】
本発明は、ジベレリンの亜鉛塩を得るためのプロセスをさらに包含し、このプロセスは、以下のさらなる工程を包含する:ジベレリンAのナトリウム塩を水中に溶解する工程、この溶液を亜鉛イオン交換樹脂を充填したカラムを通す工程、このカラムを水で洗浄する工程、溶出液および洗浄液を回収し合わせる工程、ならびに水を除去し、ジベレリンAの亜鉛塩を得る工程。
【0022】
本発明は、ジベレリンのエチルエステルを得るためのプロセスをさらに包含し、このプロセスは、以下の工程を包含する:
(a)ジベレリンAを、アセトンと水の50:1比の混合物中に溶解する工程;
(b)ジベレリンA溶液を、当量のトリエチルアミンおよびエチルクロロホルメート、ならびに10分の1量のN−メチルモルホリンと混合し、−15℃で20分間攪拌する工程;
(c)得られた混合物を、無水エタノールで希釈し、室温で攪拌する工程;
(d)この希釈混合物を乾燥状態までエバポレートし、この残渣を6:1比の酢酸エチルと水との間で分配する工程;
(e)酢酸エチル層を分け、2%HCl、次いで、水、次いで、5%NaHCO、次いで、水で洗浄し、そして減圧下で乾燥状態までエバポレートし、ジベレリンAエチルエステルを得る工程。
【0023】
本明細書以下での式(1)の化合物の参照は、式(1)の化合物および薬学的に受容可能な誘導体(その塩、エステルおよびラクトン)を含む。
【0024】
式(1)の化合物の薬学的に受容可能な組成物はまた、式(1)の化合物と1種類以上の他の活性成分(例えば、インスリン、インスリン様ポリペプチド、インスリンフラグメント、IGF、IGFフラグメント、増殖因子、または糖尿病および関連する状態を処置するための他の薬学的に適合性の抗糖尿病剤)とを合わせることによって形成され得る。
【0025】
式(1)の化合物は、インスリンおよびインスリン様アゴニストおよび/または糖尿病、その合併症および関連する状態(肥満、微小血管疾患および大血管疾患、ネフロパシー、ニューロパシー、眼疾患、糖尿病性潰瘍などを含む)の処置のための増感物質としての活性を有する。従って、本発明のさらなる局面において、糖尿病および関連する状態の処置において活性治療薬として用いるための式(1)の化合物が提供される。
【0026】
本発明のさらなる局面において、薬学的組成物を製造する方法が提供され、この方法は、式(1)の化合物および/またはその誘導体を薬学的に受容可能なキャリアを合わせる工程を包含する。
【0027】
本発明のさらなる局面において、動物(ヒトを含む)における糖尿病および関連する状態を処置するための方法が提供され、この方法は、有効量の式(1)の化合物を投与する工程を包含する。
【0028】
本発明のさらなる局面において、糖尿病および関連する状態の処置のため薬学的組成物を製造するための式(1)の化合物の使用がまた、提供される。
【0029】
糖尿病および関連する状態の処置において使用するために必要とされる式(1)の化合物の量は、投与速度、処置する状態の性質ならびに動物(ヒト患者を含む)の年齢および状態に伴って変化し、最終的には、付き添いの獣医または医者の裁量である。
【0030】
一般に、適切な用量は、1日あたり、0.1μg〜100mg/kg体重、好ましくは50μg〜20mg/kg体重/日の範囲である。
【0031】
処置は、好ましくは、糖尿病の発症後または発症時に開始し、必要であれば継続する。予防処置として式(1)の化合物を使用することもまた、可能である。
【0032】
適切な処置を、毎日1〜4回与え、必要であれば継続する。あるいは、時間放出処方を用いる場合、この処置は、2日〜1週間に1回与えられ得る。
【0033】
所望の用量は、単回用量で提示され得るか、または適切な間隔で投与され得る、分割された用量(例えば、1日当り2サブ用量、3サブ用量、4サブ用量またはさらに多くのサブ用量)として提示され得る。
【0034】
式(1)の化合物は、単位用量形態(例えば、単位用量形態あたり0.1mg〜500mgの活性成分を含む)で、都合よく投与される。治療において用いるために、式(1)の化合物を未加工の化学物質として投与することが可能であるが、活性成分を、薬学的処方物として提供することが好ましい。
【0035】
従って、本発明は、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリア、ならびに必要に応じて他の治療的成分および/または予防的成分とともに、式(1)の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体を含む薬学的処方物さらに提供する。これらのキャリアは、処方物の他の成分と適合性であり、そしてその時レシピエントに対して有害でないという意味で、「受容可能」でなければならない。
【0036】
薬学的処方物としては、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所的投与(頬投与および舌下投与を含む)、膣内投与または非経口投与(筋肉内投与、頬皮内投与、皮下投与および静脈内投与を含む)に適切な処方物あるいは胃腸管への投与に適した形態の処方物、または気道(鼻孔を含む)への投与に適した形態(例えば、吸入またはガス注入または皮内移植または皮下移植のためかあるいは経皮的パッチのため)の症物が挙げられる。この処方物は、適切な場合、分割した用量単位で、都合よく存在し得、そして薬学の分野で公知のいずれかの方法で調製され得る。全ての方法は、活性化合物を液体キャリアまたは微細に砕かれた固体キャリアまたはその両方との会合させ、次いで、必要であれば、生成物を所望の処方物の形状にする工程を包含する。
【0037】
経口投与に適した薬学的処方物は、個別の単位(例えば、各々所定の量の活性成分を含むカプセル、カシェ剤または錠剤)として;粉末または顆粒として;溶液、懸濁液またはエマルジョンとして提供され得る。活性成分はまた、ボーラス舐剤またはペーストとして提供され得る。経口投与のためのカプセルおよび錠剤は、従来の賦形剤(例えば、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、または加湿剤)を含み得る。錠剤は、当該分野で周知の方法に従って、コーティングされ得る。経口液体調製物は、例えば、水性懸濁液または油性懸濁液、水溶液または油溶液、水性エマルジョンまたは油性エマルジョン、水性シロップまたは油性シロップならびに水性エリキシルまたは油性エリキシルの形態であっても、使用前に水または他の適切なビヒクルで構成するための乾燥生成物として提供されても良い。このような液体調製物は、従来の添加剤(例えば、懸濁剤、乳化剤、非水性ビヒクル(食用油を含み得る)、または保存剤)を含み得る。
【0038】
式(1)の化合物はまた、非経口投与(例えば、注射(例えば、ボーラス注射または継続的注入)による)のために処方され得、そしてアンプル中、予め充填したシリンジ中、少量注入中または複数回用量容器中に、添加された保存剤と共に、単位投薬形態で提示され得る。この組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンのような形態を取り得、そして処方剤(例えば、懸濁剤、安定剤および/または分散剤)を含み得る。あるいは、活性成分は、使用前に適切なビヒクル(例えば、滅菌した発熱物質を含まない水)を用いて構成するための粉末形態であり得、これは、滅菌固形物の無菌的単離または溶液からの凍結乾燥によって得られる。
【0039】
表皮への局所的な投与のために、式(1)の化合物を、軟膏、クリームまたはローションとして、あるいは経皮的パッチとして処方し得る。軟膏およびクリームは、例えば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して、水性基剤または油性基剤を用いて処方され得る。ローションは、水性ベースまたは油性ベースで処方され得、一般に1つ以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、または着色剤もまた含む。
【0040】
口内への局所的な投与のために、式(1)の化合物は、風味基剤(通常は、スクロースおよびアカシアまたはトラガント)中に活性成分を含むロゼンジ;不活性基剤中に基剤成分(例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア)を含む香錠;および適切な液体キャリア中に活性成分を含むうがい薬として処方され得る。
【0041】
膣内投与のために、これらの処方物は、活性成分に加えて、適切であることが当該分野で公知のキャリアを含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体またはスプレーとして提供され得る。
【0042】
直腸投与のために、キャリアが固形物である単位用量坐薬が好ましい。適切なキャリアとしては、ココアバターまたは当該分野で一般的に使われる他の物質が挙げられ、この坐薬は、軟化キャリアまたは融解キャリアとの活性化合物の混合、その後の冷却および成型により成形によって都合よく形成され得る。
【0043】
気道に投与(鼻孔内投与を含む)のために、式(1)の化合物は、気道への投与のために当該分野で用いられる任意の方法および任意の処方によって投与され得る。
【0044】
したがって、一般に、式(1)の化合物は、溶液形態または懸濁液形態で、あるいは乾燥粉末として投与され得る。
【0045】
溶液および懸濁液は、好ましくは、水性(例えば、水(例えば、滅菌水または発熱物質なしの水)のみで調製されるか、または水および生理学的に受容可能な共溶媒(例えば、エタノール、プロピレン、グリコール、およびポリエチレングリコール(例えば、PEG 400))で調製される。
【0046】
さらに、このような溶液または懸濁液は、他の賦形剤(例えば、保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)、可溶化剤/界面活性剤(例えば、ポリソルベート(例えば、Tween 80、Span 80、塩化ベンザルコニウム))、緩衝剤、等張性調節剤(例えば、塩化ナトリウム)、吸収促進剤および増粘剤)を含み得る。懸濁液は、さらに、懸濁剤(例えば、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)を含みうる。
【0047】
溶液または懸濁液は、従来の手段(例えば、点滴、ピペットまたはスプレー)で、鼻孔に直接適用される。これらの処方物は、単回用量形態または複数回用量形態で提供され得る。後者の場合、望ましくは、用量計の手段が提供される。点滴またはピペットの場合、これは適切な所定容量の溶液または懸濁液を患者に投与することよって達成され得る。スプレーの場合、これは例えば、計測噴霧スプレーポンプによって達成され得る。
【0048】
エアロゾル処方物はまた、気道投与のために用いられ得、ここで、式(1)の化合物は、適切な噴霧剤(例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体))を用いた加圧パックで提供される。このエアロゾルはまた、界面活性剤(例えば、レシチン)を都合よく含み得る。薬物の用量は、計測バルブの設置により制御され得る。
【0049】
あるいは、式(1)の化合物は、乾燥粉末形態(例えば、適切な粉末基剤(例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびポリビニルピロリジン(polybinylpyrolidine)(PVP))中の化合物の粉末混合物)で提供され得る。従来、この粉末キャリアは、鼻孔中にゲルを形成する。この粉末組成物は、この粉末が、吸入によって投与され得る単位用量形態(例えば、(例えば、ゼラチンまたはブリスターパックの)カプセルまたはカートリッジ)で提供され得る。
【0050】
気道への投与を意図する処方物(鼻腔内処方物を含む)において、一般に、この化合物は、小さな粒子サイズ(例えば、5ミクロン以下のオーダー)を有する。そのような粒子サイズは、当該分野に公知の手段(例えば、微粉化)によって得られ得る。
【0051】
胃腸管に投与するために、式(1)の化合物または薬学的に受容可能な誘導体が、胃腸管への投与のために当該分野で用いられる任意の方法および処方により投与され得る。
【0052】
所望される場合、活性成分の持続的な放出を与えるために適合された処方物が用いられ得る。
【0053】
式(1)の化合物はまた、他の治療剤(例えば、抗糖尿病剤(例えば、インスリン、IGF)、または鎮痛薬(analgesic)、抗高血圧薬、鎮静薬、催眠薬、脂質低下薬、抗感染剤など)との組合せで用いられ得る。したがって、本発明は、さらなる局面において、別の治療的に活性な薬剤とともに、式(1)の化合物またはその薬学的に受容可能な誘導体を含む組合せを提供する。
【0054】
上記の組み合わせは、薬学的な処方物の形態で用いるために、都合よく提供され得、従って、薬学的に受容可能なキャリアとともに、上記のような組み合わせを含むそのような処方物は、従って、本発明のさらなる局面を構成する。
【0055】
そのような組み合わせの個々の成分が、分けられたまたは合わされた薬学的処方物で、連続的または同時のいずれかで投与され得る。
【0056】
式(1)の化合物を、糖尿病および関連する状態の処置において活性な、第2の治療的剤とともに使用する場合、使用される各化合物の用量は、各化合物を単独で用いる場合と同じであるか、または異なるかのいずれかであり得る。適切な用量が、当業者によって容易に理解される。
【0057】
式(1)の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な誘導体が、類似構造の化合物を調製するために当該分野で公知の任意の方法で調製され得る。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1)
糖尿病およびその合併症および関連する状態についての処置方法であって、式(1)の化合物(ジベレリン):
【0058】
【化1】


ならびに/または、そのラクトン、グリコシド、エステル、活性エステルおよび塩を含む薬学的に受容可能な誘導体を、そのような処置を必要とする患者に施す工程を包含し、ここで、
は、Hまたは基−O−R20であり、ここで、R20は、H、グリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)、C1〜6アルキル基であるか、あるいはRは、RまたはR10と一緒になって、結合(それぞれ、C−C二重結合またはC−C10二重結合)を形成し、
は、Hまたは基−O−R21であり、ここで、R21は、H、グリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)であるか、あるいはRと一緒になって、結合を形成するか(ラクトン)、あるいはRは、RまたはRと一緒になって、結合(それぞれ、C−C二重結合またはC−C二重結合)を形成し、
は、H、=Oまたは−O−R22であり、ここで、R22は、Hまたはグリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)であるか、あるいはRはRと一緒になって結合(C−C二重結合)を形成し;
は、OHまたは−OR23であり、ここで、R23は、非置換もしくは置換の、C1〜20アルキル、アリル、アリール、アリールアルキル、アミジン、−NR2425、または窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される1個以上のヘテロ原子を含む、不飽和もしくは飽和環であり;R24およびR25は、同じでも異なってもよく、水素、もしくはC〜C20アルキル、アリル、アリール、アリールアルキル、または窒素、酸素および硫黄からなる群より選択される1個以上のヘテロ原子を含む、不飽和もしくは飽和環であるか;あるいはRは、R21またはR28と一緒になって結合を形成し(ラクトン);
は、Hまたはグリコシルエステル(グリコシドエステル)基、または非置換もしくは置換のC1〜20アルキルエステル、アリルエステル、アリールエステル、アリールアルキルエステル、活性エステルであり;
は、HまたはOHであるか、あるいはRと一緒になって結合(C11−C12二重結合)を形成し;
は、H、=Oまたは−OR26であり、ここで、R26は、Hまたはグリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)であるか、あるいはRは、Rと一緒になって、結合(C11−C12二重結合)を形成し;
は、H、ヒドロキシル、メルカプタン、またはハロゲン、アミノ、アジド、−NR2425、非置換もしくは置換のC1〜20アルキル、アリル、アリールもしくはアリールアルキル、または−OR27であり、ここで、R27は、グリコシルエーテル基(グリコシドエーテル)であり;
は、HまたはOHであるか、あるいは、R15と一緒になって結合(C−C15結合)を形成し;
10は、H、CH、CHO、COOHもしくは当該COOHのグリコシルエステル(グリコシドエステル)、CHO−R28または−OR28であり、ここで、R28は、Hであるか、またはRと一緒になって結合を形成するか(ラクトン)、あるいはR10は、Rと一緒になって、結合(C−C10二重結合)を形成し;
11は、HもしくはOHであるか、または存在せず;
12は、CH、CHOH、COOHもしくは当該COOHのグリコシルエステル(グリコシドエステル)であり;
13は、メチレンまたは二価ヘテロ原子またはNR29であり、ここで、R29は、NHR30またはOR30であり、ここで、R30は、H、またはC1〜20アルキル、アリール、アルキルアリールであり;そしてR11が存在しない場合には、二重結合がC16とR13との間に存在するか;あるいは、R11がHまたはOHである場合、R13は、H、OH、CHCHO、CHX(ここで、Xはハロゲンである)、CHNR29(ここで、R29は、NHR30である)またはOR30(ここで、R30は、HもしくはC1〜20アルキル、アリール、アルキルアリールである);但し、R11がOHである場合、R13はOHではない;
14は、HまたはOHであり;
15は、Hであるか、またはRと一緒になって結合(C−C15結合)を形成する、方法。
・(項目2)
項目1に記載の方法であって、上記糖尿病の合併症および関連する状態が、以下:肥満、微小血管疾患および大血管疾患、ネフロパシー、ニューロパシー、眼疾患、糖尿病性潰瘍、のうちの1つ以上である、方法。
・(項目3)
項目1に記載の方法であって、上記ジベレリンが、ジベレリンAである、方法。
・(項目4)
項目1に記載の方法であって、上記ジベレリンが、ジベレリンAおよびジベレリンAおよび/またはジベレリンAの混合物である、方法。
・(項目5)
項目1に記載の方法であって、上記薬学的に受容可能な誘導体が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、金属およびアンモニウムまたは有機塩基の塩を含む塩である、方法。
・(項目6)
項目5に記載の方法であって、上記有機塩基が、リドカインまたはNR16171819であり、ここで、R16、R17、R18、R19は同じであってもなくてもよく、水素または置換もしくは非置換のC1〜20アルキル基、アルカノール基もしくはアリール基である、方法。
・(項目7)
項目1に記載の方法であって、上記薬学的に受容可能な誘導体が、ラクトン、グリコシド、またはエステルおよび活性エステルである、方法。
・(項目8)
糖尿病および関連する状態の処置方法であって、当該方法は、有効量の式(1)の化合物(ジベレリン)およびその薬学的に受容可能な誘導体を、このような処置を必要とする患者に投与する工程を包含する、方法。
・(項目9)
項目8に記載の方法であって、上記ジベレリンが、ジベレリンAである、方法。
・(項目10)
項目8に記載の方法であって、上記ジベレリンが、ジベレリンAおよびジベレリンAおよび/またはジベレリンAの混合物である、方法。
・(項目11)
糖尿病および関連する状態の処置方法であって、当該方法は、式(1)の化合物(ジベレリン)またはその薬学的に受容可能な誘導体を、インスリン、そのフラグメント誘導体、IGF、増殖因子、および他の薬学的に適合性の抗糖尿病剤、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される物質と組み合わせて、投与する工程を包含する、方法。
・(項目12)
糖尿病および関連する状態の処置方法であって、当該方法は、式(1)の化合物(ジベレリン)またはその薬学的に受容可能な誘導体を、鎮痛薬、抗高血圧剤、鎮静剤、催眠薬、脂質低下剤、および抗感染剤、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される他の適合性の治療剤と組み合わせて投与する工程を包含する、方法。
・(項目13)
1型糖尿病およびその関連する状態の処置のための、項目1に記載の方法。
・(項目14)
2型糖尿病およびその関連する状態の処置のための、項目1に記載の方法。
・(項目15)
インスリン抵抗性糖尿病の処置のための、項目1に記載の方法。
・(項目16)
肥満、微小血管疾患および大血管疾患、ネフロパシー、ニューロパシー、眼疾患および糖尿病性潰瘍を含む、糖尿病関連合併症および関連する状態を処置するための、項目1に記載の方法。
・(項目17)
糖尿病および関連する状態の処置のための薬学的組成物であって、当該組成物は、活性成分として式(1)の化合物および/またはその誘導体を、薬学的に受容可能なキャリアと共に含む、薬学的組成物。
・(項目18)
処方物が、薬物適用器を用いた投与に適切な医薬である、項目17に記載の薬学的組成物。
・(項目19)
糖尿病および関連する状態の処置のための薬学的組成物であって、当該組成物は、活性成分として式(1)の化合物を、薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と共に含み、ここで、当該組成物は、緩徐放出組成物である、薬学的組成物。
・(項目20)
処方物が、経口投与のためのものである、項目17に記載の組成物。
・(項目21)
処方物が、吸入投与のためのものである、項目17に記載の組成物。
・(項目22)
処方物が、経皮投与のためのものである、項目17に記載の組成物。
・(項目23)
処方物が、非経口注射のためのものである、項目17に記載の組成物。
・(項目24)
処方物が、局所投与、直腸投与または膣投与のためのものである、項目17に記載の組成物。
・(項目25)
項目17、18または19のいずれか1項に記載の薬学的組成物であって、上記式(1)の誘導体が、ラクトン、エステル、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、金属塩、アンモニウム塩および有機塩基からなる群より選択される、薬学的組成物。
・(項目26)
上記誘導体が、式(1)のナトリウム塩である、項目25に記載の薬学的組成物。
・(項目27)
上記誘導体が、式(1)の亜鉛塩である、項目25に記載の薬学的組成物。
・(項目28)
上記誘導体が、式(1)のエチルエステルである、項目25に記載の薬学的組成物。
・(項目29)
糖尿病および関連する状態の処置において使用するための薬学的組成物の製造における、式(1)の化合物および/またはその誘導体の、使用。
・(項目30)
項目17に記載の薬学的組成物を製造する方法であって、当該方法は、式(1)の化合物および/またはその誘導体を、薬学的に受容可能なキャリアと合わせる工程を包含する、方法。
・(項目31)
ジベレリンAを含むジベレリンの調製のためのプロセスであって、当該プロセスは、以下の工程:
(a)発酵ブロスにおいて、ジベレリン産生微生物株をインキュベートする工程;
(b)当該発酵ブロスのpHを、pH6.5〜7.0に調節し、そして濾過して、微生物菌糸体の濾過ケーキおよび濾液を得る工程;
(c)当該濾過ケーキを水で洗浄し、そして洗浄液を当該濾液と合わせて、水溶液を形成する工程;
(d)当該水溶液を濃縮する工程;
(e)5〜10℃の温度で、当該水溶液を有機溶媒と混合し、そして当該混合物のpHを、2.0未満に調節する工程;
(f)当該混合物を水相および第一の有機相に分離し、そして当該第一の有機相を除去する工程;
(g)工程(f)の水相を、有機溶媒を用いて再抽出して、第二の有機相を得る工程;
(h)当該第一の有機相および第二の有機相を合わせ、そして濃縮して、濃縮有機溶液を形成する工程;
(i)当該濃縮有機溶液を、攪拌しながら3〜4時間にわたって、固形物の沈殿が止まるまで、60〜70℃にて加熱する工程;
(j)当該濃縮有機溶液を室温まで冷却し、そして濾過して沈殿物を得る工程;
(k)当該沈殿物を冷有機溶媒で洗浄し、そして乾燥して、約80%のジベレリンA、約4%のジベレリンAおよび約4%のジベレリンAを含むオフホワイトの固体を得る工程、
を包含する、プロセス。
・(項目32)
項目31に記載のプロセスであって、以下の工程:
(l)32.6%のメタノール、2.2%の水および65.2%のアセトンの混合物中に、上記オフホワイトの固体を溶解して、ジベレリン溶液を得る工程;
(m)当該ジベレリン溶液を、有機溶媒と水との10:1混合物で希釈する工程;
(n)当該希釈したジベレリン溶液を濾過し、そして当該濾液を真空エバポレーションによって濃縮する工程;
(o)当該濃縮物を、攪拌しながら、2〜3時間にわたって、60〜80℃の温度で加熱し、室温まで冷却し、そして濾過して、固体結晶性沈殿物を得る工程;
(p)当該沈殿物を冷有機溶媒で洗浄し、そして乾燥してジベレリンA結晶を得る工程、
をさらに包含する、プロセス。
・(項目33)
上記ジベレリン産生微生物株が、Gibberella fujikuroiである、項目31に記載のプロセス。
・(項目34)
上記工程(d)および(h)の溶液の濃縮が、真空エバポレーションを用いて達成される、項目31に記載のプロセス。
・(項目35)
上記有機溶媒が酢酸エチルである、項目31に記載のプロセス。
・(項目36)
上記有機溶媒が酢酸エチルである、項目32に記載のプロセス。
・(項目37)
項目32に記載のプロセスであって、以下の工程:
(q)上記ジベレリンAをメタノール中に溶解する工程;
(r)当該ジベレリン溶液を、等モルのNaHCO水溶液に添加する工程;
(s)当該混合された溶液を乾燥するまでエバポレートして、固体残渣を得る工程;
(t)当該残渣を水中に溶解し、そして凍結乾燥して、ジベレリンAナトリウム塩を得る工程、
をさらに包含する、プロセス。
・(項目38)
項目37に記載のプロセスであって、
水中に上記ジベレリンAナトリウム塩を溶解する工程、
当該溶液を、亜鉛イオン交換樹脂をロードしたカラムを通過させる工程、
当該カラムを水で洗浄する工程、
当該流出液および洗浄液を収集し、そして合わせる工程、ならびに
水を除去して、ジベレリンA亜鉛塩を得る工程、
をさらに包含する、プロセス。
・(項目39)
項目32に記載のプロセスであって、以下の工程:
(q)水に対するアセトンの、50:1の比率の混合物中に、ジベレリンAを溶解する工程;
(r)当該ジベレリンA溶液を、等モルのトリエチルアミンおよびクロロ蟻酸エチル、ならびに1/10モル量のN−メチルモルホリンを混合し、そして−15℃で20分間攪拌する工程;
(s)当該得られた混合物を無水エタノールで希釈し、そして室温で攪拌する工程;
(t)当該希釈した混合物を乾燥するまでエバポレートし、そして6:1の比で、酢酸エチルと水との間で残渣を分配する工程;
(u)当該酢酸エチル層を分離し、次いで2%HClで洗浄し、次いで水で洗浄し、次いで5%NaHCOで洗浄し、次いで水で洗浄し、そして減圧下で乾燥するまでエバポレートして、ジベレリンAエチルエステルを得る工程、
をさらに包含する、プロセス。
【0059】
本発明は、以下の実施例によって、さらに説明されるが、この実施例は、例証目的のみであり、本発明の限定として解釈すべきではない。
【実施例】
【0060】
(実施例1)
(ジベレリンの発酵、単離および精製)
(a)発酵:ジベレリンA、AおよびA生成株Gibberella fujikuroiを、100gのグルコース、100gのスクロース、2.5gのNHNO、0.25gのKHPO、0.2gのMgSO、0.01gのFeSO・7HO、0.03gのZnSO・7HO、0.1gのKCl、10gのペプトン、3gのCaCO、1000mlのHOを含む培地中で接種し、そして28℃で3〜4日間増殖させた。次いで、1000gのグルコース、100gのペプトン、24gのNHNO、100gのKHPO、20gのMgSO・7HO、20gのFeSO・7HO、1.5gのNa・10HO、8gのCuSO・7HO、0.7gの(NHMo24・4HO、20リットルのHOを含む生成培地(pH4.5)に移した(28℃で8〜10日間)。ジベレリンの生成がピーク(約3000μg/mlブロス)に達した場合、発酵を停止させた。
【0061】
(b)単離:発酵ブロス(18リットル)を10% NaOHを用いてpH6.5〜7.0に調整し、次いで濾過した。濾過ケーキ(菌糸体)を4LのHOで洗浄した。濾液および洗浄液を合わせ、真空エバポレートして容量を2Lにした。この濃縮物を、酢酸エチル(5L)とともに5〜10℃で撹拌し、6NHClを用いてpH1.5に調整した。次いで2層に分離させた。下層の水層を、酢酸エチル(2L)を用いて再抽出した。有機抽出物を合わせ、水(2L)で洗浄し、次いでエバポレートして400mlにした。この濃縮物を、それ以上沈殿物が生じなくなるまで、3〜4時間にわたって、60〜70℃で撹拌および加熱した。室温まで冷却した後、懸濁物を濾過した。固形物を冷酢酸エチルで洗浄し、乾燥させて、ジベレリンAおよびジベレリンA/A混合物をオフホワイトの固形物(45g)として得た。この混合物は、約80%のA、約4%のAおよび約4%のAを含む。
【0062】
(c)精製:上記のジベレリンAおよびジベレリンA/Aの混合物(10g)を、15mlのメタノール(1mlのHOを含む)および30mlのアセトンの混合物中に溶解した。この溶液を100mlの酢酸エチル(10mlのHOを含む)で希釈した。この混合物を濾過した。その濾液を真空エバポレートして容量を約80mlにした。この混合物を2〜3時間にわたって60〜80℃で撹拌および加熱し、次いで室温まで冷却した。それを濾過した。その固体を冷酢酸エチルで洗浄し、乾燥させ、白色の結晶としてジベレリンA(6.3g)(純度>95%)を得た。MS:391(M−1+2Na) 369(M+23) 329(M+1−HO)
(実施例2)
(ジベレリンA塩およびエステルの調製)
(a)ジベレリンAナトリウム塩の調製:ジベレリンA(346mg(1mmol))の溶液を1.5mlのメタノール中に溶解し、2mlのHO中のNaHCO(84mg、1mmol)溶液を添加した。混合物全体を減圧下でエバポレートし、乾燥させた。次いで、その残渣を水中(2ml)に溶解し、凍結乾燥し、ジベレリンAナトリウム塩(白色固体、高収率)を得た。
【0063】
(b)ジベレリンA亜鉛塩の調製:100mgのジベレリンAナトリウム塩を、10mlの水中に溶解し、次いで、カラム(20ml)Dowex 50 Zincイオン形態樹脂に通した。次いで、このカラムを、30mlのHOで洗浄した。この溶出液および洗浄液を合わせ、真空エバポレートして容量を小さくし、次いで凍結乾燥し、白色の固体として、高収率で、ジベレリンA亜鉛塩を得た。
【0064】
(c)ジベレリンAエチルエステルの調製:346mg(1mmol)のジベレリンAを、アセトン(10ml)および水(0.2ml)の混合物中に溶解した。この混合物に、−20℃で、トリエチルアミン(100mg、1mmol)、N−メチルモルホリン(10mg、0.1mmol)、クロロギ酸エチル(108mg、1mmol)を添加した。この混合物を、−15℃で20分間撹拌し、次いで、無水エタノール(10ml)で希釈した。この混合物を、室温で一晩撹拌し、次いでエバポレートして乾燥させた。次いで、その残渣を、酢酸エチル(30ml)と水(5ml)との間で分配した。有機層を分離し、2%HCl(5ml)、水(5ml)、5%NaHCO(5ml×2)、水(5ml)で連続して洗浄し、次いで減圧下でエバポレトートして、乾燥させ、無色固体のジベレリンAエチルエステル(319mg、85%)(MS 375(M+1))を得た。
【0065】
(実施例3)
(a)細胞の増殖に関するジベレリンAの効果を、インビトロで、EGFの効果と比較した。ケラチノサイト培地を用いて、ヒト皮膚細胞培養物実験を実施した。各ウェルに1,500細胞を播種した。インキュベーションを、5日間にわたって、37℃で実施した。以下のように実験を示す:
【0066】
【表1】


実験3.1および実験3.3は、EGF(上皮増殖因子)が、細胞増殖にとって重要であることを示した。実験2は、EGFおよびジベレリンAの両方の存在が、細胞増殖の速度に、相加的効果を有さないことを示した。実験4は、ジベレリンA単独が、EGFと同様に効率的に細胞増殖を刺激し得ることを示した。
【0067】
(b)(a)に記載した細胞増殖実験について、EGFの代わりにIGF−1を用いて、細胞培養物の増殖に対するジベレリンAの効果を、IGFの効果と比較した。その結果は、(a)における結果と同様であった。
【0068】
(実施例4)
ジベレリンAおよび/またはジベレリンAとジベレリンAとの混合物の効果を、インビトロでの細胞増殖に対するIGF−の効果と比較した。この結果は、実施例3(b)における結果と同様であった。
【0069】
(実施例5)
(糖尿病のラットにおけるジベレリンAの効果)
(方法)
オスWistarラット(290g〜330g)を計量し、軽く麻酔し(4%ハロタン、2:1 O/NO)、その結果、Precision Q.I.Dグルコメーターを用いて、尾部静脈サンプルによって血中グルコースレベルを測定し得た。次いで、使用直前に、シトレート緩衝液(50mM クエン酸および50mM クエン酸トリナトリウム;pH4.5)中に溶解したステプトゾトシン(STZ、60mg/kg)の単回の尾部静脈注射によって、糖尿病を誘導した。等容量のシトレート緩衝液を、年齢の一致したコントロールラットに注射した。
【0070】
実験の間、ラットを2つのグループで収容した。動物のケージ(house)の温度を、12時間の明/暗サイクルで、20℃(±2℃)に維持し、そしてラットを自由に食餌および水にアクセスすることが出来るようにした。
【0071】
全ての実験のための論理的承認を、Pharmacology Animal Ethics Committeeから得た。
【0072】
(薬物投与および毎日のモニタリングプロトコル)
STZ(60mg/kg)の刺激の48時間後に、血中グルコースサンプルを採取し、そして血中グルコースレベルが16mM以上の動物が糖尿病であると見なした。次いで、ラットをランダムにグループ分けした。
【0073】
緩やかに作用するLente Monotardインスリンを使用し、ジベレリンナトリウム塩を、必要に応じて、使用直前に蒸留水で作製した。
【0074】
血中グルコース読取りを、3日毎の薬物投与の2時間後または5時間後に得た。この結果を、以下に示す:
【0075】
【表2】




(実施例6)
(糖尿病ラットにおけるジベレリンAおよびA/A混合物の効果)
この実験のプロトコルは、実施例5のプロトコルと同様であるが、ジベレリンAおよびA/A混合物をジベレリンAの代わりに用いた。その結果は、実施例5における結果と異ならなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジベレリンAを含むジベレリンの調製のためのプロセスであって、該プロセスは、以下の工程:
(a)発酵ブロスにおいて、ジベレリン産生微生物株をインキュベートする工程;
(b)該発酵ブロスのpHを、pH6.5〜7.0に調節し、そして濾過して、微生物菌糸体の濾過ケーキおよび濾液を得る工程;
(c)該濾過ケーキを水で洗浄し、そして洗浄液を該濾液と合わせて、水溶液を形成する工程;
(d)該水溶液を濃縮する工程;
(e)5〜10℃の温度で、該水溶液を有機溶媒と混合し、そして該混合物のpHを、2.0未満に調節する工程;
(f)該混合物を水相および第一の有機相に分離し、そして該第一の有機相を除去する工程;
(g)工程(f)の水相を、有機溶媒を用いて再抽出して、第二の有機相を得る工程;
(h)該第一の有機相および第二の有機相を合わせ、そして濃縮して、濃縮有機溶液を形成する工程;
(i)該濃縮有機溶液を、攪拌しながら3〜4時間にわたって、固形物の沈殿が止まるまで、60〜70℃にて加熱する工程;
(j)該濃縮有機溶液を室温まで冷却し、そして濾過して沈殿物を得る工程;
(k)該沈殿物を冷有機溶媒で洗浄し、そして乾燥して、約80%のジベレリンA、約4%のジベレリンAおよび約4%のジベレリンAを含むオフホワイトの固体を得る工程、
を包含する、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスであって、以下の工程:
(l)32.6%のメタノール、2.2%の水および65.2%のアセトンの混合物中に、前記オフホワイトの固体を溶解して、ジベレリン溶液を得る工程;
(m)該ジベレリン溶液を、有機溶媒と水との10:1混合物で希釈する工程;
(n)該希釈したジベレリン溶液を濾過し、そして該濾液を真空エバポレーションによって濃縮する工程;
(o)該濃縮物を、攪拌しながら、2〜3時間にわたって、60〜80℃の温度で加熱し、室温まで冷却し、そして濾過して、固体結晶性沈殿物を得る工程;
(p)該沈殿物を冷有機溶媒で洗浄し、そして乾燥してジベレリンA結晶を得る工程、
をさらに包含する、プロセス。
【請求項3】
前記ジベレリン産生微生物株が、Gibberella fujikuroiである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記工程(d)および(h)の溶液の濃縮が、真空エバポレーションを用いて達成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記有機溶媒が酢酸エチルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記有機溶媒が酢酸エチルである、請求項2に記載のプロセス。
【請求項7】
請求項2に記載のプロセスであって、以下の工程:
(q)前記ジベレリンAをメタノール中に溶解する工程;
(r)該ジベレリン溶液を、等モルのNaHCO水溶液に添加する工程;
(s)該混合された溶液を乾燥するまでエバポレートして、固体残渣を得る工程;
(t)該残渣を水中に溶解し、そして凍結乾燥して、ジベレリンAナトリウム塩を得る工程、
をさらに包含する、プロセス。
【請求項8】
請求項7に記載のプロセスであって、
水中に前記ジベレリンAナトリウム塩を溶解する工程、
該溶液を、亜鉛イオン交換樹脂をロードしたカラムを通過させる工程、
該カラムを水で洗浄する工程、
該流出液および洗浄液を収集し、そして合わせる工程、ならびに
水を除去して、ジベレリンA亜鉛塩を得る工程、
をさらに包含する、プロセス。
【請求項9】
請求項2に記載のプロセスであって、以下の工程:
(q)アセトン:水が50:1の比率である混合物中に、ジベレリンAを溶解する工程;
(r)該ジベレリンA溶液を、等モル量のトリエチルアミンおよびクロロ蟻酸エチル、ならびに1/10モル量のN−メチルモルホリンを混合し、そして−15℃で20分間攪拌する工程;
(s)該得られた混合物を無水エタノールで希釈し、そして室温で攪拌する工程;
(t)該希釈した混合物を乾燥するまでエバポレートし、そして6:1の比で、酢酸エチルと水との間で残渣を分配する工程;
(u)該酢酸エチル層を分離し、次いで2%HClで洗浄し、次いで水で洗浄し、次いで5%NaHCOで洗浄し、次いで水で洗浄し、そして減圧下で乾燥するまでエバポレートして、ジベレリンAエチルエステルを得る工程、
をさらに包含する、プロセス。
【請求項10】
本明細書に記載されるような、プロセス。

【公開番号】特開2009−100775(P2009−100775A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27931(P2009−27931)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【分割の表示】特願2003−522584(P2003−522584)の分割
【原出願日】平成14年8月12日(2002.8.12)
【出願人】(504080836)オーストラリアン バイオメディカル カンパニー ピーティーワイ エルティーディー (1)
【Fターム(参考)】