説明

ジョイントコネクタ

【課題】挿入力が小さく、端子の抜け防止、半挿入状態防止、専用のバスバーが不要となり、部品点数が少ないジョイントコネクタを提供する。
【解決手段】ジョイントコネクタを、複数の端子(20)と、複数の端子を並列に接触状態で収容できる大きさの空間とかつ前記空間に挿入された端子を一方の側壁(10L)側から反対側の側壁(10R)まで横方向に移動させることのできる端子挿入口(10F)とを備えたハウジング(10)と、前記端子挿入口(10F)から前記空間内に収容された複数の端子のうちの前記一方の側壁(10L)の内部壁面に近い端子と前記一方の側壁(10L)の内部壁面との間に介挿されて複数端子を互いに接触状態で反対側の側壁の内部壁面に押圧するばね(30)と、から構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジョイントコネクタに関するもので、部品点数が少なくて組み付けの作業性の良い、端子をハウジング内に収容するときの挿入力が小さく、端子の保持力の大きなジョイントコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
〈専用バスバー〉
ジョイントコネクタとしては、例えば、図9(A)〜(C)に示すような専用バスバーを使用するものが提案されている。図9(A)〜(C)は複数の端子それぞれに専用バスバーを差し込んで電気的に接続するジョイントコネクタの概念図で、図9(A)は2本の端子、図9(B)は3本の端子、図9(C)は5本の端子の例である。
図9(A)〜(C)において、配線1a〜1eの各端子a〜eのうち端子a、bのみを接続する時には、図9(A)に示す専用バスバー3Aを端子a、bに差込んで両者を接続している。
また、配線1a〜1eの各端子a〜eのうち端子a〜cを接続するジョイントコネクタでは、図9(B)に示す専用バスバー3Bを端子a〜cに差込み接続している。
さらに、図9(C)に示すジョイントコネクタでは、端子a〜eを接続する時、専用バスバー3Cを端子a〜eに差込み接続している。
【0003】
〈専用バスバーを備えたジョイントコネクタの公知例〉
図10は、図9(B)に示す3端子を共通接続する公知のジョイントコネクタ(特許文献1参照)の分解図である。図10において雌コネクタ40のハウジング41は合成樹脂材によって成形された雌コネクタのハウジングで、内部に防水用シール44とリテーナ45が収容される。さらにリテーナ45より端子収容室が横並びで3室形成され、それらの端子収容室に被覆電線42が接続された雌形の端子金具43がそれぞれ差し込まれる。
ハウジング41の前方側端部にキャップ50が嵌合される。キャップ50も合成樹脂材によって成形され、キャップ本体51はハウジング41に嵌合可能な形状を備え、その上面部には、ハウジング41のロックアーム41Kに進入可能な係合枠51Kが形成されている。
そして、キャップ50内には図9(B)に示す専用バスバー52がインサート成形により一体的に設けられている。専用バスバー52は金属板のプレス加工により形成されたもので、ハウジング41内の端子金具43に挿入可能な横一列の3本のオス型のタブ部52Tを有している。そこで、キャップ本体51とハウジング41とが嵌合状態になると、専用バスバー52が3つの端子金具43と接続状態となって各端子金具間を導通接続することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−250185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
〈特許文献1のジョイントコネクタの問題点〉
特許文献1のジョイントコネクタは、図10で示すように、キャップ本体51、専用バスバー52、防水用シール44、リテーナ45が必須であり、部品点数が多くなる問題点があった。
また、キャップ本体とハウジングの嵌合時、バスバーのタブ部のどつきを防止する構造が必要である。
さらに、端子の保持力を大きくする(すなわち、ハウジングからの端子の抜け防止を確実にする)ために強い係合が必要であり、それは、端子をハウジング内に収容するときに大きな挿入力を必要にした。
また、端子の半挿入防止のための構造も必要である。
【0006】
〈本発明の目的〉
本発明は、上記欠点を解決するためになされたもので、部品点数が少なくて済み、さらにバスバーのタブ部のどつきの心配がなく、端子の大きな保持力(抜け防止)を備え、しかも端子をハウジング内に収容するときの挿入力が小さく、端子の半挿入防止が簡単にできるジョイントコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本願第1発明は、複数の端子と、前記複数の端子を並列に接触状態で収容できる大きさの空間とかつ前記空間に挿入された前記端子を一方の側壁側から反対側の側壁まで横方向に移動させることのできる端子挿入口とを備えたハウジングと、前記空間に収容された複数の端子のうち前記一方の側壁に近い端子と前記一方の側壁との間に介挿されて前記複数端子を互いに接触状態で反対側の側壁に押圧するばねと、から構成されることを特徴としている。
【0008】
本願第2発明は、第1発明において、前記端子が側面視で下部に凹部を備え、係止部材が、前記凹部に入り込む凸状の断面を備えた長尺体であり、前記端子が前記端子挿入口から前記ハウジングの前記空間内に挿入されて規制面に当接した状態で前記端子を横方向に移動させると前記凹部に前記係止部材が入り込んで前記一方の側壁の内部壁面側から前記反対側の側壁の内部壁面まで横方向に前記端子が移動できるように前記係止部材が前記ハウジングの底部に形成されたことを特徴としている。
本願第3発明は、第2発明において、前記ハウジングの前記底部に、一方の側壁に沿って前記端子の横幅にほぼ等しい幅の溝が形成されたことを特徴としている。
本願第4発明は、第3発明において、前記端子の先端位置を規制する前記規制面を前記端子収容室の奥壁の内部壁面とすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
(1)以上の構成によれば、端子は横幅と同じ幅の溝を通されるだけなので、端子をハウジング内に収容するときの挿入力が低減される(低挿入力化)。
(2)ハウジング内に収容された端子は端子の下部に形成されている凹部に係止部材が入り込んでいるので、端子挿入口側に抜け出ることがない(抜け防止)。
(3)端子がハウジング内に半挿入の状態で収容された状態では、端子の下部に形成されている凹部に係止部材が入り込めないため、端子が横方向に移動できず、したがって端子の半挿入状態が簡単に分かる(半挿入状態防止)。
(4)係止部材を内部に備えたハウジングとJ字状のばねだけで2端子〜4端子のジョイントコネクタといった複数種のジョイントコネクタを作ることができるので、それぞれ専用のバスバーが不要となり、部品点数が少なくて済む(部品点数低減)。
(5)また、端子に差し込む専用バスバーを用いないので、専用バスバーのタブ部のどつきの心配がない(どつき防止)。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明に係るジョイントコネクタの分解斜視図である。
【図2】図2は図1のジョイントコネクタのハウジングを途中の高さで切断して示したジョイントコネクタの分解斜視図である。
【図3】図3は3本の端子を組み込んだ本発明の実施例1に係るジョイントコネクタの組み立て手順の第1ステップを示す斜視図である。
【図4】図4は図3の第1ステップに続く第2ステップを示す斜視図である。
【図5】図5は図4の第2ステップに続く第3ステップを示す斜視図である。
【図6】図6は図5の第3ステップに続く第4ステップを示す斜視図である。
【図7】図7は図6の第4ステップに続く第5ステップを示す斜視図である。
【図8】図8(A)は2本の端子を組み込んだ本発明の実施例2に係るジョイントコネクタの断面斜視図であり、図8(B)は4本の端子を組み込んだ本発明の実施例3に係るジョイントコネクタの断面斜視図である。
【図9】図9(A)〜(C)は複数の端子それぞれに専用バスバーを差し込んで電気的に接続するジョイントコネクタの概念図で、図9(A)は2本の端子、図9(B)は3本の端子、図9(C)は5本の端子の例である。
【図10】図10は図9Bに示す3端子を共通接続する専用のバスバーを用いた特許文献1記載のジョイントコネクタの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、部品点数が少なくて済み、さらにバスバーのタブ部のどつきの心配がなく、端子の大きな保持力(抜け防止)を備え、しかも端子をハウジング内に収容するときの挿入力が小さく、端子の半挿入防止が簡単にできる本発明に係るジョイントコネクタについて、図面を用いて説明する。
【0012】
〈本発明に係るジョイントコネクタの構成部品〉
図1は本発明に係るジョイントコネクタの分解斜視図である。図2は図1のジョイントコネクタのハウジングを途中の高さで切断して示す分解斜視図である。本発明に係るジョイントコネクタは図1に示すようなハウジング10、端子20、ばね30のみから成っており、特許文献1のような専用バスバーを備えていないのが特徴である。
以下に、ハウジング10、端子20、ばね30について図1および図2に基づいて説明する。
【0013】
〈ハウジング10〉
《ハウジング10の形状》
ハウジング10は、必要個数の端子を内部に収容し、これらの端子をすべて電気的に接続するためのもので、複数の端子が並列に接触状態で収容できる大きな中空空間を内部に備えた直方体であり、その正面壁がすべて除去されて端子20が挿入される広い端子挿入口が形成され、他の3つの側壁(すなわち、奥壁10Z、右壁10R、左壁10L)は底部10Bと天井10H(図1)との間を連結して隙間なく塞いでいる。なお、図2で奥壁10Zの一部を切り欠いて描いているが、奥壁10Zの内部壁面10Dが垂直であることを示すための切り欠きであり、実際には切り欠きは存在しない。
《内部に係止部材10Tの形成》
底部10Bには断面台形の係止部材10Tが奥壁10Zの内部壁面10Dから端子挿入口10Fの方向に所定の距離(D1)を隔てた位置でかつ左壁10Lの内部壁面から端子20の横幅(T1)とほぼ同じ幅の空隙をあけた位置から右壁10Rの内部壁面に向けて奥壁10Zと平行に形成されている。
係止部材10Tは、奥壁10Zに面する側に底部10Bから垂直に立つ係止面10Kと、天井10H(図1)に面する側に天井10Hと平行に延びる水平面10Sと、水平面10Sの端部から底部10Bへ斜めに下る傾斜面10Cから成る形状を有しており、係止面10Kは後述する端子20の繋ぎ部20Bの下部に形成されている凹部20Qの係止部20Kと係合する。即ち、係止部材10Tは、凹部20Qに入り込む凸状の断面を備えた長尺体である。
《内部に溝10Mの形成》
底部10Bは係止部材10Tを境に端子挿入口10F側の底部10B1が奥壁10Zの底部10B2より若干高く形成され、底部10B1の左壁10L側には端子20の横幅(T1)とほぼ同じ幅の溝10Mが形成されている。
【0014】
〈端子20〉
端子20は導電性金属板をプレス成形することによって製造されるメス型の端子で、電線の先端で電線の芯線と電気的に接続され、かつ芯線を包囲する絶縁性の外部被覆と機械的に接続されるものである。例えば、端子20は、ハウジング10の端子挿入口10Fに挿入し易いように挿入方向の先端が先細を有し、かつ挿入方向と直角な断面形状に略コ字状および略ロ字状を有する長尺状の端子本体として、筒部20Dと、筒部20Dの挿入方向の前端部(先端部)として形成された断面視略ロ字状の電気接続部20Hと、筒部20Dの中間部に形成された芯線圧着部20Cと、筒部20Dの挿入方向の後端近傍に形成された外部被覆圧着部20Fと、を備えている。なお、図面では電線の図示を省略するとともに、端子20については電線と接続する前の形状で図示している。
芯線圧着部20Cは電線の芯線を加締めて、電線の芯線と端子20とを電気的に接続する。電気接続部20Hと芯線圧着部20Cとの間を繋ぐ繋ぎ部20Bの下部には側面視で凹部20Qが形成される。なお、芯線圧着部20Cと外部被覆圧着部20Fとの間にもそれらを繋ぐ後側繋ぎ部20Gが形成されている。
外部被覆圧着部20Fは電線の芯線を包囲する絶縁性の外部被覆を加締めることによって電線と端子20とを機械的に接続する。凹部20Qの挿入方向先端側の部分を形成する電気接続部20Hの部分には垂直な係止部20Kが形成されている。そして、筒部20Dの挿入方向の先端から後端の係止部20Kまでの長さ(D2)と、奥壁10Zの内部壁面10Dから係止部材10Tの係止面10Kまでの距離(D1)とはほぼ等しい。
D1≒D2 (ただし、両者の間にクリアランスが必要なため、ややD1>D2)
この関係式から、端子20が溝10Mを通ってハウジング10の奥壁10Zの内部壁面10Dに当接した状態でのみ、凹部20Qが係止部材10Tと係合でき、そして係止部20Kが係止部材10Tの係止面10Kにより係止されることができるようになっている。したがって、端子20がハウジング10の奥壁10Zの内部壁面10Dに当接していない状態では、係止部20Kは係止面10Kに係止されない。
係止部20Kが係止面10Kにより係止されれば、端子20はハウジング10から離脱できなくなる。また、凹部20Qと係止部材10Tとが係合すれば端子20は、ハウジング10内を係止部材10Tに沿って横方向に移動できるようになる。
【0015】
〈ばね30〉
ばね30は略J字状に形成されている弾性金属片で、直線部分から成る基部30Bと曲折部30Sと先端の押圧接触部30Pとから成る。基部30Bから押圧接触部30Pまでの横幅T2は、左壁10Lの内部壁面と右壁10Rの内部壁面との距離をT3、端子20の横幅をT1としたとき、
T2>T3−2×T1
としてある。
【0016】
〈本発明の実施例1に係るジョイントコネクタの組み立て方〉
次に、本発明の実施例1に係るジョイントコネクタの組み立て方について、図3〜図7を用いて説明する。実施例1は3本の端子21〜23をハウジング10に収容しかつ3本の端子21〜23のすべてを電気的に接続して成るジョイントコネクタである。図3は実施例1のジョイントコネクタの組み立て手順の第1ステップを示す斜視図である。
【0017】
《1番目の端子の収容》
図3において、係止部材10Tは溝10Mの部分には形成されておらず、かつ、溝10Mの幅は端子21の横幅にほぼ等しいので、端子21は溝10Mを通ってハウジング10の奥まで低挿入力で挿入することができる。そこでまず、第1番目の端子21をハウジング10の溝10Mに通してハウジング10の奥壁10Zの内部壁面10Dに付き当てると、それ以上は進まないから挿入はここでストップする。
係止部材10Tの断面台形は端子20の側面視で下部に形成されている凹部20Qに入り込むことができ、かつ、筒部20Dの挿入方向の先端から後端の係止部20Kまでの長さ(D2)と、奥壁10Zから係止部材10Tの係止面10Kまでの距離(D1)とはほぼ等しい(D1≒D2(ただし、ややD1>D2))関係にあるから、ハウジング10の奥に収容された端子20は係止部材10Tに沿って横方向に移動できるようになる。
そこで、内部壁面10Dに当接して収容された端子21’は係止部材10Tに沿って横方向に移動されて、右壁10Rに当接してストップし、端子21”となる。
【0018】
〈本発明の効果1〉
(1)このように本発明によれば、端子21’は横幅とほぼ同じ幅の溝10Mを通されるだけなので、従来の係合部が嵌合斜面を乗り越えるような構成を有しないため、端子をハウジング内に収容するときの挿入力が低減される(低挿入力化)。
(2)端子21”の下部に形成されている凹部20Qに係止部材10Tが入り込んでいるので、ハウジングにいったん収容された端子21”は端子挿入口10F(図2)側に抜け出ることがない(抜け防止)。
(3)端子21がハウジング10に半挿入の状態では、係止部材10Tが邪魔して横移動できないため、端子21の半挿入状態が簡単に分かる。
【0019】
《2番目の端子収容》
次に、図4において、第2番目の端子22をハウジング10の溝10Mに通してハウジング10の奥壁10Zの内部壁面10Dに付き当て、その後、端子22’を係止部材10Tに沿って横方向に移動させ、既に挿入されている端子21の側面に当接してストップして端子22”となる。
【0020】
《3番目の端子収容》
同じように、図5において、第3番目の端子23をハウジング10の溝10Mに通してハウジング10の奥壁10Zの内部壁面10Dに付き当て、その後、端子23’を係止部材10Tに沿って横方向に移動させ、その側面が既に挿入されている端子22の側面に当接してストップして端子23”となる。
【0021】
《ばねの収容》
最後に、ばね30を図6に示すように収容する。図6において、ばね30の先端の押圧接触部30Pを基部30B側に押しつけた状態で、ハウジング10の溝10M(図2)に通すと、ばね30の先端の押圧接触部30Pは溝10Mの中に収容された状態で奥に挿入される。ばね30の先端の押圧接触部30Pが係止部材10Tの横を通過すると、溝10Mはなくなっているので、ばね30の先端の押圧接触部30Pは基部30Bから拡開して図7のようにハウジング10内を横方向に移動して端子23の筒部20Dに当接して止まる。この状態で、端子23はばね30によって右壁10R方向に押圧されるので、端子23は端子22と端子21を右壁10R方向に押圧し、最終的に端子21、22、23は互いに接触状態に維持されて、電気的に接続状態となる。
【0022】
《ジョイントコネクタの完成》
このようにして、本発明によれば、特許文献1のような3端子接続用の専用バスバー3B(図9(B))を備えなくても、係止部材10Tを内部に備えたハウジング10とJ字状のばね30だけで3本の端子21、22、23を電気的に接続するジョイントコネクタを作ることができる。
【0023】
〈本発明の効果2〉
(4)このようにして、本発明によれば、係止部材10Tを内部に備えたハウジング10とJ字状のばね30だけで3端子のジョイントコネクタを作ることができるので、部品点数が少なくて済む。
(5)また、特許文献1のような3端子接続用の専用バスバー3B(図9(B))を用いないので、バスバーのタブ部のどつきの心配がない。
【0024】
〈実施例2:2端子のジョイントコネクタ〉
本発明の実施例2では、特許文献1の2端子接続用の専用バスバー3A(図9(A))を備えなくても、2本の端子を電気的に接続するジョイントコネクタを作ることができる。
図8(A)は2本の端子を電気的に接続するジョイントコネクタの実施例である。
まず、図3で説明したようにして第1番目の端子21をハウジング10内に収容し、次に、図4で説明したようにして第2番目の端子22をハウジング10内に収容し、次に、図6で説明したようにしてばね30をハウジング10内に収容すると、図8(A)の2端子収容ジョイントコネクタが得られる。
【0025】
〈実施例3:4端子のジョイントコネクタ〉
本発明の実施例3では、同じようにして4本の端子を電気的に接続するジョイントコネクタを作ることができる。図8(B)は4本の端子を電気的に接続するジョイントコネクタの実施例である。
まず、図3で説明したようにして第1番目の端子21をハウジング10内に収容し、次に、図4で説明したようにして第2番目の端子22をハウジング10内に収容し、次に、図5で説明したようにして第3番目の端子23をハウジング10内に収容し、さらに、図5で説明したのと同じようにして第4番目の端子24をハウジング10内に収容し、最後に、図6で説明したようにしてばね30をハウジング10内に収容すると、図8(B)の4端子収容ジョイントコネクタが得られる。
【0026】
〈まとめ〉
(1)以上、本発明によれば、端子は横幅と同じ幅の溝を通されるだけなので、端子をハウジング内に収容するときの挿入力が低減される(低挿入力化)。
(2)ハウジング内に収容された端子は端子の下部に形成されている凹部に係止部材が入り込んでいるので、端子挿入口側に抜け出ることがない(抜け防止)。
(3)端子がハウジング内に半挿入の状態で収容された状態では、端子の下部に形成されている凹部に係止部材が入り込めないため、端子が横方向に移動できず、したがって端子の半挿入状態が簡単に分かる(半挿入状態防止)。
(4)係止部材を内部に備えたハウジングとJ字状のばねだけで2端子〜4端子のジョイントコネクタといった複数種のジョイントコネクタを作ることができるので、それぞれ専用のバスバーが不要となり、部品点数が少なくて済む(部品点数低減)。
(5)また、端子に差し込む専用バスバーを用いないので、専用バスバーのタブ部のどつきの心配がない(どつき防止)。
【符号の説明】
【0027】
10 ハウジング
10B 底部
10B1 第1底部(入口側)
10B2 第2底部(奥側)
10C 傾斜面
10D 内部壁面
10F 端子挿入口
10H 天井
10K 係止面
10L 一方の側壁(左壁)
10M 溝
10R 他方の側壁(右壁)
10S 水平面
10T 係止部材
10Z 奥壁
20 端子
20B 繋ぎ部
20C 芯線圧着部
20D 筒部
20F 外部被覆圧着部
20G 後側繋ぎ部
20H 電気接続部
20K 係止部
20Q 凹部
30 ばね
30B 基部
30P 押圧接触部
30S 曲折部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端子と、前記複数の端子を並列に接触状態で収容できる大きさの空間とかつ前記空間に挿入された前記端子を一方の側壁側から反対側の側壁まで横方向に移動させることのできる端子挿入口とを備えたハウジングと、前記空間に収容された複数の端子のうち前記一方の側壁に近い端子と前記一方の側壁との間に介挿されて前記複数端子を互いに接触状態で反対側の側壁に押圧するばねと、から構成されることを特徴とするジョイントコネクタ。
【請求項2】
前記端子が側面視で下部に凹部を備え、係止部材が、前記凹部に入り込む凸状の断面を備えた長尺体であり、前記端子が前記端子挿入口から前記ハウジングの前記空間内に挿入されて規制面に当接した状態で前記端子を横方向に移動させると前記凹部に前記係止部材が入り込んで前記一方の側壁の内部壁面側から前記反対側の側壁の内部壁面まで横方向に前記端子が移動できるように前記係止部材が前記ハウジングの底部に形成されたことを特徴とする請求項1記載のジョイントコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングの前記底部に、一方の側壁に沿って前記端子の横幅にほぼ等しい幅の溝が形成されたことを特徴とする請求項2記載のジョイントコネクタ。
【請求項4】
前記端子の先端位置を規制する前記規制面を前記端子収容室の奥壁の内部壁面とすることを特徴とする請求項3記載のジョイントコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−174428(P2012−174428A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33709(P2011−33709)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】